【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話 作:月見ハク
朝起きたら、昨日の服のままだった。
「あ゛れ……」
プールから出て、みんなでハルくんの車に乗って……そこからの記憶がない。
とりあえず一階に下りようとして、ぼーやんが泊まっているのを思い出す。
「やばっ」
お母さんがたたんでくれていた服に慌てて着替え、姿見で軽く髪を整える。もう目元にクマはないし、一昨日の朝より肌艶もいい気がする。
きっとこれは、ぼーやん効果だ。
「お母さんおはよ~」
「あら、もう疲れは取れたの?」
台所でお皿を洗っているお母さんが、目をパチクリとさせる。
「ん゛……もうばっちり」
「あらそう、じゃあもう起きるのね」
「うん、早起きは三文の徳って言うし」
「早起きってもう十時過ぎよ」
「……あれ、ぼーやんは?」
「ぼーやんはまだ寝てるわよ~、昨日また宴会始まっちゃってね、その付き合いやら後片付けやら手伝ってもらっちゃったのよ。あ、寝てるあなたを二階に運んでくれたのもぼーやんなんだから、後でお礼言っときなさいね」
「え、ぼーやんが?」
二階まで…………重く、なかったかな。
いやでもぼーやんは力持ちだし、プールでもずっと持ち上げられてたし……。
「あなた顔赤いわよ、もうちょっと休んだら?」
「う……大丈夫」
どうしよう。
ぼーやんの太い腕とか硬い体とかを思い出してしまう。抱っこされてるときのふわふわする感じとか、体中が覚えてる。
「私たちこれから病院行くけど、アヤはどうするの?」
「あ、おじいちゃんのお見舞いか」
いつもは私も付いていくけど、今日はぼーやんがいる。一人でこの家に置いていったら、起きたとき寂しいだろうな。
それに、私だって。
「私は――」
「姉ちゃんまだ疲れ残ってんだろ? 今日は家にいなよ」
いつの間にか台所にいたヒロトがつまらなそうに提案してくる。
「あらそうなの? じゃあお留守番よろしくね。あ、ぼーやん起きたら朝ごはん用意してあげて、そこにラップしてあるから。昨日作ったお味噌汁も、もう一回温めるのよ」
「うん、分かった」
「こたつ布団も干してあるから、後で取り込んでおいてくれる?」
「こたつ?」
「そーよ、そろそろ寒くなってきたらかって、あなたがこたつ出したいって言ったんじゃない」
「あ、うん、ありがとう」
おじいちゃんが死んじゃうんじゃないかって恐くて、ずっと寒くて。
平気だって分かっても体の芯が冷たくて。
でも、ぼーやんが来てからはすっかり忘れてた。
そそくさと用意を終えたお母さんに引っ張られるように、お父さんとヒロトが出て行った。
しーんと家の中が静まり返る。
時計を見るともう十一時。
ぼーやんはまだ起きてこない。
「……よし」
台所に戻り、お味噌汁の鍋に火をつける。今日の朝ごはんは焼き鮭と、昨日の宴会の残りらしいサラダだった。
「これじゃ、ぼーやん足りないよね」
現に私は足りる気がしない。
「いっちょやるか……!」
この前お母さんに教えてもらった
「うん、まあまあかな」
完成した出汁巻き卵をお皿に盛り付け、ちょちょいと直してスマホで撮る。
今日の戦果をカナッペに送信し、六畳間のテーブルに置く。もう一度スマホを見ると、もう十二時前だった。
「そろそろ寝ぼーやん起こすか」
出汁巻き卵、口に合うかな。
ぼーやんなら、きっと美味しいって言ってくれる気がする。
大広間を通り、ぼーやんが寝ている和室の前に立つ。
もし今、襖が開いてぼーやんが現れたら、胸に手を当てて深呼吸している私と鉢合わせだ。
でもきっとぼーやんは、いつもみたいに「おはよう」って笑ってくれるんだろうな。春のお陽さまみたいな顔で。
「……私はアホの子か」
襖の前で一人ニヤニヤしている自分が恥ずかしい。
ふうと息を吐いて、ゆっくり襖を開けた。
薄暗い室内に、ほんのりと落ち着く香りがした。ぼーやんの匂いだ。
私の、大好きな匂い。
「ぼーやん、おはよー……」
こんもりふくらんだ布団に声を掛けてみても反応がない。まだすやすや寝てるみたいだ。
「朝ごはんだよ~」
そっと近づいてみると、ぼーやんが横を向いて熟睡していた。
大きな体がしっかり掛け布団の中に収まり、静かに上下している。人は寝ている間に何度も寝返りを打つっていうけど、ぼーやんは寝ているときも行儀がいい。
こういうところがぼーやんっぽくて、ちょっと笑ってしまう。
「……寝相よくていいな」
足音を立てないようにしながら、畳を滑るようにして近づく。
テレビでよくやる寝起きドッキリってこんな感じなのかな。
レポーターになったつもりで、ぼーやんの顔の近くに腰を下ろす。
「…………」
気持ちよさそうな寝顔に、つい見入ってしまう。
短い髪の毛は、長さも髪型も昔から全然変わらない。
顔だってずっと一緒だ。おだやかで安心する顔。なのに鼻とか顎のラインとか、ほっぺたとかが前より凛々しく見える。
近くで見ると、まつ毛だってけっこう長い。
「のどぼとけ……」
くっきり尖った喉仏。
私はぼーやんより背が低いから、見上げるといつも喉仏に目が行く。つい、じいっと見てしまう。
ここからあの低い声が出るんだ。
耳元で聞くと、お腹に響いてくるぼーやんの声が。
昨日のプールで、お水をゴクゴク一気飲みしてるときも喉仏が激しく動いてた。
思い出しただけで、心拍数が上がってしまう。
私、ぼーやんの喉仏フェチなのかもしれない。
いつもそうやってドキドキさせてくるくせに、なんの気なしに飲みかけのペットボトルを渡したら、珍しく照れてた。
息ができないくらいの激しいキスをしてくるくせに。
耳元ですごくいやらしいこと、言ってくるくせに。
間接キスで、照れるなんて。
反則だ。
「かわいいぼーやんめ」
ぼーやんの横に、向かい合わせでごろんと寝転がってみる。
肩が広くて体が大きくて、向こう側が見えない。
「大きな手」
骨っぽい手が、布団に投げ出されている。こんなにゴツゴツしてるのに触れてくるときはいつも優しくて、そのたびに体の芯が熱くなる。
この手のひらで、体中の気持ちいいところをまさぐられて。
触れられたところがすぐにアツくなって、とろけそうで。
もっとさわってほしいって思ってしまう。
だめだ。
お腹の奥がムズムズして、すごく切ない気分になってしまう。
「……寝癖立ってるし」
ぼーやんの手から視線を逸らすと、彼の髪の毛がぴょんと跳ねていた。
手を伸ばして、前髪にそっと指を入れてみる。
ごわごわしてるのに、妙に手触りがいいぼーやんの髪。
なんだか、大型犬を撫でているみたいでクセになる。
「……アヤ」
「ふぇっ?」
ぼーやんがポツリとつぶやいた。
寝言、かな。
うん、やっぱり寝言だ。目開かない。
寝てる……のに。
「なんで呼ぶんだよぉ……」
心臓がドクドクうるさくて、部屋中に響いている気がする。
体中が、ほかほか熱い。
きっと私今、人に見せられない顔してる。
おかしいな。
どうして私、泣きそうなんだろう。
好きすぎて、涙が出そう。
「ぼーやん」
お腹の奥が、アソコが……ジンジンする。
ぼーやんがほしいって疼いてる。
えっちなことしてるときみたいに。
あの気持ちいい感覚に、鳥肌が立つ。
優しくて溶けそうになる、ぼーやんとのキス。
冷たいところと、温かいところのあるぼーやんの体。
私の中を熱く満たしてくれる、ぼーやんの。
ほしくて、たまらない。
ぼーやんの唇に、吸い寄せられる。
「っ……」
そっと、先端が触れ合うだけのキスをした。
どうしよう、もっと。
もっとしたくて。
全然おさまらない。
また昨日みたいに、ぼーやんに抱きしめられたい。
全身で、ぼーやんを感じたい。
「ん……っ」
今度は、唇を押し当てる。カサついたぼーやんの唇がやわらかい。
もっとキス、したい。
起きるまでずっと。
だめ、かな。
ぼーやんは強引なのに、いつも聞いてくれる。
私は、いいのに。
ぼーやんにされてイヤなことなんて、一つもないのに。
それをちゃんと、伝えられてるのかな。
「私は、大丈夫だよ」
ぼーやんが、いつも目で追ってくれるから。
私だけに、優しい声で話しかけてくれるから。
私を、泳げるようにしてくれたから。
暗い水の底に沈んでいく記憶。
いくら叫んで手を伸ばしても、誰にも気づかれない。
そんな私を、引き上げてくれたから。
手を伸ばさなくても、そこにいるって教えてくれたから。
だから、大丈夫って思える。
何をされてもいい。全部、幸せだから。
ぼーやんも、そうならいいのに。
私で、うんと気持ちよくなってくれたら。
「ぼーやん……んっ……ぁ」
唇が潰れるくらい押し付けて、ぼーやんを吐息で温めた。
私の熱が、伝わってほしい。
ゆっくり顔を離して、寝顔を見つめる。
胸がぎゅうって締めつけられる。
いつもそうだ。
この顔を見るたたびに安心して、つい口元がゆるんでしまう。なのにどうしようもなくドキドキするんだ。
うまく呼吸ができない。
視界が潤んで揺れてる。
昨日プールでぼーやんの体を見たときから、一昨日物置でキスをしてから……ううん、迎えに行った駅で、ぼーやんが私を見つけてくれたときから。
ほしくて、たまらないんだ。
「起きて……起きないと、たべちゃうよ」
「んう」
ぼーやんのまぶたがピクっと震えた。
大きな体がもぞもぞと動き出す。
もうすぐぼーやんの目が覚める、感じがする。
やばい。
息、整えなきゃ。
冷まさなきゃ。
こんな顔、ぼーやんに見られたら。
たべ……。
たべちゃうってなんだ。
落ち着け。
私は出汁巻き卵だって作れた。
出汁巻き卵、は今関係ない……!
正座。
とりあえず正座。
体を起こして。
ゆっくり息を吸う。
「ん、う……アヤ?」
「お、起きた? おはよう」
なんでもないという声を作る。
「ああ、おはよ……」
ふんわりと微笑んだぼーやんが、正座をしている私の膝にちゅうっとキスをした。
「あっ――」
内股が震えて、つま先が外に広がる。正座がとろけて間抜けなアヒル座りになる。お尻が畳に落ちて、下半身がジワリと熱くなる。腰が砕けて、動けない。
こんなの、反則だ。
ぼーやんのばか。
「なんか、いい匂いする」
私の膝にキスをしながら、ぼーやんがつぶやく。
「だ、出汁巻き卵……作ってみた」
「え、アヤが?」
急に目が覚めたみたいに、ぼーやんが私を見上げた。新種の生き物を見つけたみたいな顔で、目を見開いている。
む。
私が、とはなんだ。
「そうだよー?」
文句あんのか~? という文句をこめて寝ぼすけ幼馴染を見下ろす。
「それは、早く食べたいな」
驚き顔が、ふわっとゆるんで優しい笑顔に変わった。
あ。
また反則だ。
そんな本当に嬉しそうな顔をされたら、もうだめだ。
必死に視線を泳がす。
カーテンの隙間から差し込む光が畳に白い線を描いていた。
半開きの襖から、うっすら線香の匂いが漂っている。
火照った体が秋の空気で肌寒い。
ぼーやんの体温が、近い。
なんとなく、私はこの瞬間を一生忘れないんだろうなと思った。
こうやって忘れられない思い出が増えていくんだ。
ぼーやんと、最期の時までずっと。
こんなふうにドキドキしながら、でも安心しながら、ずっと一緒にいれるんだ。
「うん、味わって食べてね」
私はぼーやんに、四回目のキスをした。