【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話 作:月見ハク
「ぼーやん君、一緒に三組目のアテンドお願いできる?」
中庭で幸せな光景に浸っていると、バイトのリーダーっぽい人に呼ばれた。
見渡せば他のスタッフも各々次の現場へ向かおうとしている。アヤを含めた数人はこの中庭に残るようだ。
「了解です」
リーダーっぽい人の後に付いていくと、くいっと背中を引っ張られる。振り返るとアヤが立っていた。小走りで駆けてきたらしく、少しだけ息が上がっている。
「どうしたの?」
「ぼーやんこれ貰ってないでしょ、三組目の来賓者リスト」
アヤは右手で俺のベストをつかみ、左手に来賓者の名前が書かれた紙を持っていた。
「ああ、助かる。ありがとう」
頼れる先輩にお礼を言うと、彼女は満足そうに微笑む。どことなく得意げな表情なのが可愛い。
「ほい」
リストを渡してくる左手に、ふと目が吸い寄せられる。
薬指に、俺のあげた婚約指輪が光っていた。
心臓がドクンと波打ち、熱いものが胸に込み上げてくる。
なるほど、だから誰も俺にけん制してこなかったのか。
おそらくバイトのときはいつも指にはめているのだろう。しっかり魔除けの機能を果たしてくれているらしい。
てっきりバイト中は胸元に隠しているかと思っていたので、少し意外だ。
リストを受け取りながら、そっと囁く。
「指輪、はめてくれてるんだ」
アヤがピクリと肩を震わせ、自分の左手に視線を落とす。
「……ん」
喉の奥でつぶやくと、上目遣いで見上げてきた。
眉一つ動かさず、「当然でしょ」という顔をしている。
バイト中――いや、学校以外で指輪をはめるのは彼女にとって当たり前なのだろう。
アヤは誰より人目を気にするくせに、一度決めたら驚くほど大胆になったりする。きっと今は、気にする必要がないくらい彼女の中では日常になっているのだ。
その事実が無性に嬉しくて、思わず抱きしめたくなってしまう。
しかし、新郎新婦の集まりのほうから乾杯の声が上がると、アヤは「じゃね」とアイコンタクトをして給仕に行ってしまった。
「おーい、ぼーやん君」
「あ、すみません」
リーダーっぽい人に呼ばれ我に返る。そういえばバイト中だった。
制服の下からネックレスを引っ張り出すと、薬指に付け替えながら自分の仕事場へ向かう。俺も、彼女のバイト先だからと気を使わなくていいようだ。
結局ほとんど休憩を挟めないまま、気づけば日が暮れていた。
三組目の披露宴の後片付けをしていると、リーダーっぽい人が声を掛けてくる。
「ぼーやん君おつかれ~、もう上がっていいよ」
「もう大丈夫なんですか?」
「ああ、ほとんど片付いたしもう遅いしね。いや助かったよ~君みたいな子がいてくれるとほんと助かる」
「もしまた人手が足りなかったら言ってください」
「ほんとに!? じゃあまた助っ人してほしいときは南鳥さんづたいに連絡するかも」
「ええ、いいですよ」
直接俺の連絡先を聞いてこないところに好感が持てる。
よかった。この人はアヤの上司にしておいて問題はなさそうだ。
「いや~、ぼーやん君ってほんといい子だね」
「それは買いかぶりですよ」
実際アヤのバイト先でなければ、いつでも手伝うなんて言わない。
俺はリーダーっぽい人――もとい芝崎さんに頭を下げると、会場を後にした。
すっかりスタッフの数もまばらになった式場内を歩いていると、廊下のベンチにアヤが座っていた。
俺の姿を見つけると、上機嫌そうな顔で立ち上がる。
「あ、ぼーやん終わった?」
「上がっていいってさ。ごめん。けっこう待たせた?」
「ううん、大丈夫だよ」
「そっか」
多分、三十分以上はベンチで待っていた気がする。
思いきり抱きしめたい衝動をこらえ、彼女の前で立ち止まる。
アヤは腰元のサロンを外していた。だからか、その格好はオフィス街にいる女性社員を彷彿とさせる。
長袖ブラウスに黒いベスト、そして膝下まで伸びるややタイトな黒スカートに、ヒールの高くない黒いパンプス。
うっすらと化粧がかった顔を相まって、普段の彼女よりも大人びて見える。
もし社会人になったら、仕事帰りの待ち合わせはこんな感じなのだろうか。
そんな甘ったるい妄想をしていると、アヤが一歩近づいて顔を覗き込んでくる。
「疲れた? なんかぼーっとしてる」
「いや、バイト上がりのアヤは格別だなと思って」
「なんだそりゃ。お風呂上がりのジュースか」
彼女は嬉しさ半分、恥ずかしさ半分といった感じではにかむ。
当然のように肩を並べ、互いの体が当たる距離のまま廊下を歩く。
柔らかい二の腕が俺の肘に当たる。彼女も疲れているのか、それともバイトが終わった解放感か、いつもよりくっついてきている気がする。
ふにふにと心地よい感触が伝わってきて、疲れた体がとりあえずアヤを抱きしめろと雑な司令を送ってくる。だが、さすがに彼女のバイト先でそれはマズいだろう。
スタッフエリアに入っても、他のスタッフの姿はなかった。
スマホを見ればもう夜の九時過ぎ。これからデートをするのはさすがに無理だ。
また強引に外泊させるのもいいが――直感はそれでも問題ないとさっきから囁いているが、できれば家で休ませたい。
戦場のように忙しかったせいで、アヤの顔に少しだけ疲れの色が見える。
そんなことを考えていると、彼女が思い出したように立ち止まった。
「あ、ぼーやんサロン外して。クリーニングボックスに入れないといけないんだ」
言いながら俺の腰に手を伸ばし、サロンをするすると解いていく。
なんだか仕事帰りにスーツを脱がしてもらっている夫みたいだ。まるで新妻のような彼女の仕草に、つい股間が硬くなってしまう。
アヤは俺の硬直を気にしない素振りでサロンを外すと、近くにあるビニールボックスへと歩いていった。
戻ってきた彼女が立ち止まり、ふふと笑う。
「どうしたの?」
「なんかぼーやんの格好、サラリーマンみたい」
「そうかな」
アヤが「そうだよ~」と言いながら肩をぶつけてきたので、また並んで歩き出す。
すると彼女がまた楽しそうに微笑んだ。
「なんかいいね、こういうの。仕事帰りに待ち合わせしてさ、一緒に帰ってるみたいな」
「……そうかな?」
「そうだよ」と、また肩をぶつけてくる。今度は当たったまま離れない。
横顔を見ると、ニンマリと口角を上げていてすごく嬉しそうだ。毎回こういう顔を見られるなら、本気でこちらにバイト先を移したくなる。
アヤが肩を密着させながら、独り言のようにつぶやく。
「ぼーやん今日すごくテキパキしてた」
――なんか、かっこよかった。
触れる肩越しにアヤの心の声が流れ込む。
不意打ちで彼女に褒められ、動揺しそうになる。
顔がカッと赤くなるのを必死に抑え、なんとか平静を装った。
「アヤ先輩の仕事を見習ってただけだよ」
「んふ、私もけっこう頑張ってたでしょ?」
「うん、接客は丁寧だし、ずっといい笑顔だし……惚れ直したかも」
「かもかよ~」
不服そうな口調の割に、嬉しそうに体を左右に揺らすアヤが可愛すぎる。
もう周囲に人はいないので、抱きしめてもいいのではないだろうか。
肩を抱き寄せようとしたとき、ふと彼女の体の揺れが止まった。
「でもさ、ほんとにぼーやんテキパキしてたよ」
妙にしんみりとした口調で言う。
「そう?」
「うん、気がきく子だねって……先輩が言ってた」
「先輩?」
「すごく仕事のできる先輩なんだよ。ぼーやん君はぼーっとしてるようで、実際は周りをよく見てるねって、すごく褒めてた」
「へぇ」
アヤの口ぶりからその先輩は女性の気がする。誰だろうか、バイト中は覚えることが多すぎてスタッフの顔や名前はリーダーの芝崎さんくらいしか記憶にない。
気がきく、か。
そう見えたのなら、きっと姉貴の現場で厳しく仕込まれているおかげだろう。後はここがアヤのバイト先だから、俺も必要以上に頑張った自覚がある。
他のバイト先なら、そんな評価はもらえなかっただろう。
「……それに」
「ん?」
「優しそうに見えて実は男らしいところもありそう、だってさ」
「はぁ……そうかな」
彼女が少し拗ねたような声色になったので、俺も微妙な返事をしておく。
男らしいと他人に言われたのは初めてだ。
まあそれもアヤにだけだと思うし、男というより獣と言ったほうが合っている気がする。
「先輩鋭いな~って思ったよ」
「それは、先輩の買いかぶりな気がするな」
するとアヤがボスっと頭突きをしてきた。
俺の胸元で拳を握り、悔しそうにつぶやく。
「ぼーやんは、自分の良さを分かってない」
――ぼーやんのいいところ。
みんなが分かってくれて嬉しいのに。
誰にも、知られたくない。
ぐりぐりと押し付けられるおでこから、彼女の切ない思いが流れ込んでくる。
ふと、修学旅行初日、大仏さまの前でアヤと話したときのことを思い出す。
今まで自分の良さなんて、考えたこともなかった。でも彼女はずっと俺の良さ……を見つけてくれていたんだ。
心臓がドクドクと脈打つ。
喜びと愛おしさが体を満たしていく。
「……そう、なのかな」
「そうだよ」
言いながら、アヤが俺の腹をつまんでくる。
「うおっ」
思わず腹を引っ込めると、彼女がいたずらっぽく笑う。
「もうちょっとお肉つけてもいいのに」
――そしたらみんな……。
「ぶくぶく太ってもいいの?」
「全然いいよ、まるっとしてたほうが安心感ある……ほら、クマさんみたいな?」
「そっか」
なんだこれ。
顔中が熱い。
アヤのささやかな嫉妬や独占欲が嬉しすぎる。
つい喜びが態度に出そうになるが、そうしたらアヤは怒るだろう。
俺は火照った顔を冷ますため、ちょうど近くにあった自動販売機へ向かう。
ポケットから財布を出そうとすると、アヤが俺の手に触れた。
「待ってぼーやん、私がおごるよ。今日助けに来てくれたお礼」
「じゃあ先輩のお言葉に甘えようかな」
「ふふっ、シンボーくんお疲れさま」
彼女は硬貨を入れると迷いなくボタンを押した。ガタンと、冷えたスポーツ飲料が落ちてくる。
「ほい、どうぞ」
「ありがとう」
ペットボトルのキャップを外しぐいっと飲む。温度の急上昇した体に、冷たい水分と甘みが沁みわたっていく。
ゴクゴクと夢中で喉を鳴らしていると、ふと視線を感じた。
アヤが、じいっとこちらを見つめている。
その視線は俺の顔ではなく喉元あたりに注がれていた。瞳にはほんのり熱がこもっていて、なんだかこそばゆい。
「アヤ、買わないの?」
半分ほどを一気飲みしてから聞いてみる。
「あ、うん……買う」
ぎこちなく硬貨を入れる彼女の心を読もうとして、やめる。
今、それを聞いてしまったらこの場で理性のタガが外れる、そんな予感がしたから。
静まり返った廊下を二人無言で歩く。
いつの間にか俺たちは手を握り合っていた。どちらから繋いだのかは覚えていない。
やがて男性用ロッカールームのドアが見えてきた。
「アヤ、このまま手を繋いでたらロッカールームに連れ込むよ」
これから抱くことを伝える。たとえ嫌がっても、もう手を離すつもりはない。
「……知ってる」
――だって、ぼーやんだもん。
アヤが目を伏せながらつぶやく。
長い睫毛に隠れそうな瞳が潤んでいる。頬は紅潮し、これから自分が何をされるのか十分に理解しているようだ。
直感によると、しばらく誰もやってこない。
俺はアヤの手を引きながら、ロッカールームに入った。