※この作品はR-18です。

【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話   作:月見ハク

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月明かりの帰り道を二人で歩いた(六十五日目・土 夜)

 静まり返った廊下で待っていると、女子のロッカールームからアヤが出てきた。

 

「ごめん、お待たせー」

 

 彼女が申し訳なさそうに片手を上げる。

 

 確かに三十分ほど待った。濡れてしまった下着を替えただけではなく、どうやらメイクも直していたらしい。彼女のグロスやファンデーションが、来たときよりもほんの少し濃く塗られていた。

 

 ここからが、アヤにとってのデートなのだろう。ただ俺と帰るだけなのに、そう思ってくれることが素直に嬉しい。

 

「じゃあ帰ろうか」

 

 手を差し出すと、彼女は「うん」と軽くうなずいてから手を握ってきた。

 

「あのさ、中庭通って行かない?」

 

「中庭?」

 

「そう。この時間ならまだライトアップされてるはずなんだ」

 

 アヤが手を繋いだまま先を行くので、俺もそれに付いて歩き出した。

 

 

 

 

「これは幻想的だね」

 

 中庭は地面のいたるところに円球のライトが設置されていて、あたり一面を白く照らしていた。

 

「でしょ?」

 

 振り返ったアヤがどうだと言わんばかりに得意げな顔をする。

 

「ああ‥…すごく綺麗だよ」

 

 彼女のオーバーサイズの白い長袖スウェットが光を吸収し、浮かび上がっているように見えた。まるで無人の中庭にたたずむ妖精みたいだ。妖精にしてはボーイッシュだが。

 

「ふふ、これさー、いつかぼーやんに見せてあげたいなって思ってたんだ」

 

「うん、見れて良かったよ」

 

「感謝するんだぞ」

 

 アヤがまた先輩風を吹かす。片方の口角を上げて、今にもウインクでもしそうだ。

 

「ああ、この中庭をデザインした設計士さんにいつかお礼を言わなきゃね」

 

「そっちかよ~」

 

 手柄を横取りされたかのように眉間にシワを寄せる。でもその口調は楽しそうだ。俺も、こうして二人でイルミネーションを満喫できて楽しい。本当にデートみたいだ。

 

 フッと、あたりが暗闇に包まれる。

 

「あ、十時になっちゃった」

 

 闇の中からアヤの声がした。どうやら夜の十時で中庭のライトアップは終了らしい。

 

「さて、帰るかな~」

 

 サクサクと芝生を歩く音がして、トンと俺の胸に手が添えられた。明暗差にも慣れ、段々と胸元にいる彼女の輪郭が見えてくる。

 少しだけ切なそうな美少女が、俺を見上げていた。

 

「少し、ゆっくり帰ろうか」

 

 優しく髪の毛を撫でると、「そうだね」とアヤが寄りかかってきた。

 

 

 

 

 黒い木々の生い茂る坂道を、アヤと並んで下る。

 街灯はまばらだが、満月の明かりが道を明るく照らしていた。その中を、二人の影がゆっくり進む。

 

「そういえば、今度またお泊り会するよ」

 

 隣を歩くアヤが、前を見ながら言った。

 

「カナッペと?」

 

 俺はかろうじて憶えている彼女の親友の名前を挙げてみる。

 

「うん、カナッペと……あとユカリも」

 

「そうなんだ」

 

「うん……ユカリがね、メールくれたんだ」

 

 アヤの横顔には嬉しいような怯えるような……そんな感情が浮かんでいた。

 

 俺がユカリの告白を断って以来、多分、二人は言葉を交わしていない。きっとアヤは何度もユカリにメールをしようとしたのだろう。でも、ずっとためらっていた。

 そんな気がする。

 

 ユカリからメールが来て、二人がどんなやり取りをしたのかは詮索しない。それはあくまで二人の問題だ。

 

「そっか……良かったね」

 

 代わりに、俺はめいっぱい口角を上げて微笑みかけた。

 

「……うん!」

 

 やっと仲直りのできた少年のように、アヤが素直な笑顔を見せる。

 きっと二人はまた友だちに戻るのだろう。なんだかそれが自分のことのように嬉しい。

 

 坂道を下り丘の中腹に差し掛かると、木々が途切れ、一気に視界が開けた。

 

「あ、見てぼーやん!」

 

 彼女が顔を向けた先には、一面に光る夜景が広がっていた。

 住宅街の光が眼下を埋め尽くし、その街並みを月明かりが浮かび上がらせている。季節が冬に差し掛かり空気が澄んできたからか、光の一つ一つがはっきりとしていた。

 

「綺麗だね」

 

「うん、綺麗……」

 

 そのとき、さあっと冷たい風が吹いた。

 木々が揺れ、葉がカサカサと乾いた音を鳴らす。

 

 冷たい風が、露出した顔面に容赦なく吹きすさぶ。

 

 冷たい。

 冷たいけど、なんだか優しい――澄んだ匂いがした。

 きっとアヤが隣にいるからそう感じるのだろう。

 

 ――この空気、好き。

 優しい匂い。

 きっと、ぼーやんがいるからだ。

 

 触れる肩から、彼女の温かい気持ちが伝わってくる。

 アヤも同じことを感じていたようだ。なんとなく、そんな気がしていた。

 

 ――ぼーやん、今。

 私とおんなじこと思ってそう。

 

 彼女の心の声に、思わず吹き出しそうになる。

 言葉も視線も交わさずに、俺たちは同じ気持ちを共有していた。

 

 多分、この瞬間が幸せというやつなのだろう。

 

 ――こんなときが、続けばいいな。

 

 アヤが心の中で願う。

 

「続くよ」

 

 夜景に夢中になっている彼女に、俺は小さくつぶやいた。

 

 

 

 

 バス停まで下りると、当然だが人の姿はなかった。

 もう夜の十一時過ぎ。時刻表を見ると、最終バスが来るまでしばらく掛かりそうだ。

 

 それまで何をしていようか。

 

 答えは、なんとなく分かっていた。

 

「ぼーやん、唇……寒い?」

 

 彼女のぎこちないお誘いに、また吹き出しそうになる。

 俺から言おうと思ったのに、先を越されてしまった。どうも、今日はアヤが有利な日らしい。

 

「ああ、そうだね」

 

 俺は彼女の目をじいっと見つめ、心にキスの準備をさせる。アヤの唇の感覚が研ぎ澄まされていくのが分かった。

 

 うっすら桃色がかった頬に手を添えると、ひんやり冷たくて気持ちがいい。彼女の瞳が熱っぽく揺れている。ハッとするほど可愛い顔に、ゆっくり顔を近づけていく。

 

 鼻先が触れるほどに近づくと、彼女の白い吐息が温かい。

 

 あふれる思いを込めながら、鼻先同士をこすり合わせる。優しげに孤を描いたアヤの目元が、ゆっくり閉じる。俺も目を閉じ、唇に神経を集中させた。

 

 ふんわりと唇を重ねる。徐々にしっとりとした柔らかさが広がっていく。

 

 ついばむことも舌を入れることもない、ただ唇を合わせるだけのキス。それなのに脳みそが痺れるように気持ちがいい。愛おしさが唇を通して行ったり来たりするような、満たされるキスだ。

 

 ――私の心。

 伝わってる。

 

 俺も、自分の心が伝わっているのが分かった。

 

 唇は微動だにしていないのに、わずかな筋肉の動きだけで電気が走ったように気持ちがいい。ちょっとだけ唇を押し出してみると、それ以上の快感が全身に走った。

 

 お返しとばかりに、アヤが唇の先をちょっとだけ突き出す。互いを優しく愛撫するように、俺たちは密着した部分だけで思いを伝え合った。

 

 本当に、彼女といると驚きの連続だ。セックスよりも気持ちのいいキスがあるなんて知らなかった。

 

 きっとこれからも、俺はアヤにいろんなことを教えられるのだろう。

 

 

 溶け合うようなキスに溺れていると、まぶたの裏が明るくなった。

 

 目を開けると、彼女の頭越しにバスのヘッドライトが近づいてくる。アヤもそれに気づいたのか、ゆっくりと唇が離れていった。

 

「バス、来ちゃったね」

 

 彼女が背後に意識をやりながら残念そうにこぼす。

 

 同感だ。

 

「バス乗らないで、このまま歩いて帰ろうか」

 

「え……どのくらい掛かるかな」

 

「多分、三時間くらい?」

 

「三時間かー」

 

 まんざらでもなさそうに考え込む様子が嬉しい。

 

「大丈夫、背負っていくから」

 

「いや、でも疲れちゃうし……」

 

「アヤも足腰強くなるんじゃない?」

 

「私かいっ」

 

 彼女が軽妙なツッコミを入れたところで、バスが目の前で停車した。

 

 手を繋ぎ、開いたドアから乗り込む。

 

「最寄りのバス停からアヤの家までなら、おぶっていこうか?」

 

「いや、いいよ……重いし」

 

「それはないと思うけど」

 

 一番奥の席、彼女を窓側に座らせ、その隣に腰を下ろす。それを合図にバスが動き出した。

 

「昔さ、私がぼーやんおんぶしたの覚えてる?」

 

「そんなことあったっけ?」

 

「あったよー、なんかの罰ゲームで」

 

「じゃあ、今からバス停着くまで勝負しようか」

 

「いいね。んーじゃあ、にらめっこ……はちょっとアレだから、えと……あっち向いてホイは?」

 

 俺たち以外誰も乗っていないバス内に、アヤの楽しげな声が響く。バックミラー越しに運転手さんと目が合った気がして、二人で少し声を落とす。

 

「いいよ。俺が先行でいい?」

 

「どうぞ~」

 

「よし……あ、あれ式場の屋根じゃない?」

 

「え?」

 

 彼女が窓のほうを向いたので、俺はそちらに指を向けた。アヤの目線の先には住宅街の明かりしか見えない。

 

「はい、まず俺の一勝ね」

 

「なっ……ぼーやんズルっ子だ」

 

 彼女が不服そうに睨んでくる。

 今日はアヤに押されっぱなしなので、このくらいの反則は許してほしい。

 

「じゃあ次は私の番ね。……あ、見てまんまる!」

 

 アヤが俺の背後を指差す。

 

 まんまる……? 満月のことを言っているのだろうか。

 

「まんまるって、なんか可愛いね」

 

「引っかかってよ~……」

 

 口惜しそうに眉を寄せるアヤに、つい笑ってしまう。

 

 車窓の向こうに、きらびやかな夜景が流れていた。

 二人で眺めたら、さぞかしロマンチックだろう。

 

 でも俺たちは。

 バス停に着くまで、仲のいい幼馴染のようにひたすらあっち向いてホイをして過ごした。

 

 




まだ続きます。

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