【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話 作:月見ハク
「あ゛づいね……」
「アヤ大丈夫? 先に出てていいよ」
向かいに座るユカリが身を乗り出してくる。灼熱の蒸し風呂なのに涼やかな顔のままだ。やっぱりユカリはすごい。
「うんごめん……カナッペも、私先に出るね」
「大丈夫? まだ五分じゃん」
「うん……私、のぼせやすいんだ……」
ひのきで造られた扉を開けると、そこは天国だった。熱の塊状態の全身を浴場の空気が冷やしてくれる。
誘われるように「水風呂」と書かれたお風呂に向かう。
「はぁっ……」
全身がスーッと軽くなり、ふわっと浮くような感覚に包まれた。朦朧としていた思考がクリアになり、快感がジワリと体中に伝わっていく。
「きもちいい」
首から上だけを出し、体を水に浮かせてみる。たぷたぷと海に揺蕩うクラゲになった気分……全身もふにゃふにゃだ。
まるで、ぼーやんに抱かれているときみたいに。
「あれ……」
また、のぼせてきた。
冷まさなきゃ。
ドプンと、水の中に沈んだ。
おそるおそる目を開けてみる。目の前の水面に、浴場の照明がゆらゆら揺れている。口から漏れた気泡が水面に当たって弾ける。
全然、こわくない。
あのプールで、ぼーやんが全部消してくれたから。
今、ぼーやん何してるかな。
会いたいな。
体が徐々に浮上していき、顔で水面の膜をやぶる。
ゆっくり体を起こすと、水風呂のふちにカナッペが立っていた。
「アヤぁ~、お風呂で潜るの禁止! 小学生かっ」
「う、ごめん。冷ましたくて」
「あぁ、アヤは火照りやすいんだもんねぇ」
カナッペがニヤニヤ笑いながら水風呂に入ってくる。底に立っても太ももの下くらいまでしか浸かっていない。長い脚線美がうらやましい。
「……私はのぼせやすいって言った」
「いひひっ、まあアヤは基礎体温高いもんな。さ、ユカリ出たら露天風呂いこ」
「ユカリは?」
「さぁ~あの調子じゃ、あと二十分は出てこないかもな」
「ユカリ、強いね……」
サウナの扉を見ながらぼーっと水に浸かっていると、カナッペが妙な咳払いをした。
「あ゛~そんでさ、ぶっちゃけどうなの? ぼーやんはさ」
「え、ぼーやんはぼーやんだけど」
「いやほら、セックスの話」
「セッ――えぇ……」
えっちな質問だった。
カナッペを睨みつけると、意外にも真面目な視線で返してきた。
すごく、知りたそうだ。
「いやあんまアヤとこういう話したことないじゃん、でもさ、やっぱ興味あるわけよ。ねぇアヤ~、ちょっとでいいからさ」
甘えた調子の声だけど妙に真剣なカナッペに、つい気圧されてしまう。
「……言わなきゃダメ?」
「お願いっ、私とアヤの仲じゃん?」
「うぅ~……」
カナッペ相手でも、こういう話は恥ずかしい。
平気な子もいるけど私は無理だ。
ぼーやんも勝手に話されたら嫌だろうし。
「とりあえずさ、セックスってどんな感じ? ぼーやんとのエッチってやっぱ凄いの?」
「ふぇ!?」
いきなりドストレートな質問に変な声が出る。
セックスという言葉に、勝手に記憶が蘇ってしまう。体に刻まれたぼーやんの熱、温もり、肌触り。私の中を埋め尽くす感覚。
すごく気持ちよくて、満たされて。
大事にされてるって実感できて――。
「はぁぁ~やっぱ凄いのかぁー……」
「いや何も言ってないしっ」
「顔見りゃ分かるよ~、アヤは素直な子だねぇ」
カナッペがニヤリと口角を上げる。
「てかぼーやんの体も凄かったりするの?」
「か、えっ……」
私の上を覆いつくす大きな体を思い出す。激しくて、優しくて、熱い身体。厚くて硬い胸板に潰されると苦しくて気持ちいい。太い腕で簡単に持ち上げられて、抱きしめられて、安心する。
意外に細くて柔らかい指で、優しく撫でられて……。
「腹筋は、割れてる」
「やっぱ割れてんのか~っ、アヤはああいうがっしりしたの好きそうだもんなー」
がっしりした人なら誰でもなんて思えない。
ぼーやんだから、抱かれたいって思う。
「ねぇ、男の人のアレってどんなもん?」
「え」
そこまで聞く……もの?
ぼーやんの、は。
かたくて……。
あれ、私何を考えて。
だめだ、頭も体もヘンだ。このくらいにしないと。
「やっぱさ、一人でするのとは違うもん? ぼーやんってうまいの? 指とアレとじゃ別次元?」
答えていないのに矢継ぎ早に質問を重ねられて、うろたえてしまう。次々に記憶があふれてきて、頭が熱い。
「……そんなの、わかんなぃよ」
「アレで突かれるとさ、勝手に大きな声でちゃうもん?」
ゆっくりだったり、激しかったり。ぼーやんのが中で動いて、そのたびに気持ちいいのが我慢できなくて。
何も考えられなくなって。
「ふふ……アヤ、声でちゃうんだ」
妙に惚けたような口調で言われ、恥ずかしさが限界を突破する。
「カナッペ、もういい……?」
勘弁してよ~という目で見つめると、カナッペはキョトンとした顔で固まってしまった。そしてなぜか「はぁ」とつまらなそうにため息をつく。
む。
「勝手に聞いてきたのカナッペでしょー!」
「あぁっ、ごめんごめん! 反応がウブウブでちょっと興奮し過ぎちゃったわ。う゛ぅ~冷えてきた、アヤもう水から上がるよ。水風呂は二分以上入ると風邪引くんだぞ」
だからカナッペが質問攻めにしてきたんじゃん、と抗議したい気持ちをぐっとこらえる。
「私はまだまだ全然平気だけどカナッペは寒がりだもんね。隣のジャグジーいこ?」
「はいはーい、風邪引いたらぼーやんとエッチできなくなっちゃうもんね」
「……バカナッペ」
「うわひっど~、アホヤ」
けらけらと笑うカナッペにため息をつきながら、一緒にジャグジーへ移動した。
隣で「ジャグジー最高~」と声を上げる彼女を横目で見る。
……カナッペが、さっきからちょっと変だ。
どうしたんだろう。
たまに、本当にたまに、カナッペが変な絡み方をしてくることがある。私が心配して聞いてもはぐらかすから、理由はいつも分からない。
それがちょっとだけ、寂しかったりする。
結局いつもみたいに聞こうとしたとき、サウナルームの扉からユカリが出てきた。
「ごめんお待たせー、気持ちよすぎて長居しちゃったよー」
「ユカリ遅いぞ~、もうお湯で皮膚がふやけそうだわ。さっさと露天風呂いこーよ」
「あ、うん、ちょっと待ってね。整えてから」
言いながらユカリが水風呂に体を沈め、ふい~と気持ちよさそうな声を発した。
「ぷっ……ユカリそれ、おっさんみたいだぞ」
「えぇ~いいじゃん女湯なんだし。って……あ~アヤも笑い過ぎー」
口調は怒っているのに顔はとろとろになっているユカリが可笑しくて、私とカナッペは顔を見合わせて笑ってしまった。
「あ゛ぁ~、やっぱり露天が最高だよな~」
三人並んでお湯に浸かっていると、タオルを頭に乗せたカナッペが面白いうなり声を上げた。
「にしても、土曜日なのに貸し切り状態だね。解放感がすごいよー」
「よー……」と声が反響する。
広い露天風呂には人が一人もいない。なんだか今なら何をしても許される気がする。小学生の頃だったら間違いなく平泳ぎを披露してたと思う。
「アヤ~、貸し切りだからって泳いだりすんなよ~」
「子どもじゃあるまいし」
「どうだかー、アヤは意外にお子ちゃまだからな~」
カナッペと子どものようなやり取りをしていると、静かに目を閉じていたユカリがふぅとため息をついた。
「これも謎の力の仕業……? おかしい、まだ諦めきれないなんてことは……」
「ユカリ?」
ユカリが何やらブツブツつぶやいている。
「ねぇアヤ、聞いてもいい?」
「う、うん、いいよ」
唐突にこっちを向いて目を見開いた。
なんだか今日はやけにいろいろ聞かれる日だ。もうそういう日なのだと覚悟を決めよう。
「ぼーやんの、どんなところが好き?」
静かで、重い声色だった。
優しい口調だけど、ユカリは真剣に聞いている。
なぜか隣にいるカナッペも押し黙ってしまった。
私はぼーやんの顔を思い浮かべる。
どうしてか、さっきからぼーやんに会いたくて仕方がない。
ぼーやんのことを考えるだけで、ドキドキする。
いつも、ドキドキさせられる。
私の前で、男らしくいようとしてくれる。
頼りになるって思わせてくれる。頼ってくれる。
守ってくれる。守りたいと思う。
でも。
それよりも。
「……落ち着く、ところかな」
ポツリとつぶやくと、ユカリが少し驚いたような顔をした。
「へぇ、なんか意外……でもないか、ぼーやんってそういう人だもんね」
「うん、ずっとそう。なんにもしてなくても、一緒にいる時間がずっと続けばいいなーって思う」
「信頼できるってこと?」
「うん……ぼーやんはさ、絶対に私が嫌がることをしないから。傷つけないようにって、いつも考えてくれてるのが分かるんだ」
「あ~、アヤをすごく大切にしてるもんね、うんうん」
「……うん、それが伝わってくるから。だから、私も同じくらい伝えなきゃって思う」
「ふふ、アヤ……今めっちゃいい顔してるよ」
「へぁっ?」
思わずユカリの瞳に映る自分を確認してしまう。小さいレンズ越しでも分かるくらい、顔が真っ赤だった。
いやいや、温泉に浸かっているんだから当たり前だし。
「伝えるって、何を伝えたいの?」
ユカリが優しく聞いてきた。
ぼーやんに、伝えたいこと。
まだ、ちゃんと伝えられてないこと。
「ぼーやんに、あったかい家族を作ってあげたい」
初めて、言葉にした。
言葉にできた。
そうだ私ずっと。
ぼーやんに、会ったときから――。
「おんもっ、アヤ~愛情深すぎ!」
やけっぱちみたいにカナッペが叫んだ。
「お、重いかな?」
「重いよ~、おもおもでドン引きだわ」
からかうようにカナッペが笑う。
でもその顔が、少し悲しそうに見えた。
「カナッペ、どうしたの……?」
「へ、なにが?」
「なにがって、泣きそうな顔してるから」
「はっ? アヤじゃないんだから人のノロケ聞いて泣く趣味なんてないって~」
カナッペが取り繕うように笑う。
まったく。
中学からの付き合いを舐めないでほしい。
カナッペの口が妙に汚くなるときは、本当の気持ちを隠そうとしているときだ。
私と同じ、不器用な子。
「大丈夫? 私、話聞くよ……温泉だし」
「あはは、裸の付き合いってやつ? 心も丸裸に~ってか」
「もう、じゃあ話さなくていいよ。はい、おいで」
腕を広げて優しく笑いかける。
こういうときは、お母さんモードに限る。
「あ、いやえっと……今その胸飛び込んだら私、ヤバいかも。ほらアヤのおっぱいふわふわだしさ、眠くなっちゃうわ~なんつって」
カナッペがヘラヘラ笑ってごまかす。
やっぱり変だ。
「カナッペ、いいからおいで」
あれ。
なんでだろう、せっかく今日ずっと我慢してきたのに。
ここに来て涙が出そう。
あ、出た。
「ちょっとなんでアヤが泣くのよ! ……って近寄ってくんな~っ」
「だって、なんかカナッペ泣いてる気がするんだもん」
びっくりするほど細い体をぎゅうと抱きしめる。
「ああもう、これだからアヤはっ……」
私の腕の中で、カナッペの体が縮こまった。お湯に入ってるのにすごく冷たい。だから私が温める。
「アヤには心配かけたくないのよ……私の勝手なアレでさ、私なんかのために泣いちゃダメなんだよ……」
ぼそぼそとつぶやくカナッペは、いまいち何を言っているのか分からない。
でも、やるせない気持ちは伝わってくる。
「カナ、私なんかなんて言っちゃだめ。カナを悲しませるような人がいたら、私、すごい怒るから」
「アヤが、怒るの?」
「怒るよ。グーでふっ飛ばしてやる」
安心させるようにカナッペの耳元でささやく。
ぼーやんが、いつも私にしてくれるみたいに。
「なんでそこで男前なのよぉ」
カナッペが笑いながら泣き出した。
こんなに感情を表に出すカナッペを見たのは初めてかもしれない。
もう遠慮しないことにしたのか、私の胸にぐりぐりと頭を突っ込んでくる。
そんな可愛らしい親友を、優しく抱きしめた。
「よしよし」
湿った黒髪をゆっくり撫でる。
するとパシャンッと水音がした。見ればユカリがお湯に顔面を浸している。やがてぶくぶくと泡を立て、ぶはぁと顔を上げた。
「はぁ……人払いはこのためか。こっちにもフラグがあったなんて……またやられた」
「ユカリ?」
ヤバい……ユカリの言動もヘンだ。
「みんな難儀な恋をしてたんだなー」
そのつぶやきに、胸元で泣いていたカナッペが顔を上げた。
「ユカリ、言わないでよ?」
キッと睨みつける目が据わっている。
ユカリのほうは平然とした様子だ。
「言わないよ、吹っ切れたんでしょ?」
「完全に吹っ切れた」
「カナッペ、どういうこと?」
私だけ置いてけぼりになっている気がする……。
「う゛~~~っ、アヤがさぁ」
「私?」
「アヤが……離れてくのが寂しいのっ」
「えぇっ……私、カナッペから離れたりしないよ」
「うん、もうそれでいい」
カナッペが私の肩で涙をぬぐう。
「アヤ、ありがとね」
「ううん、いいよー」
軽い感じで、気にしてないよという感じで返す。
いつも、ぼーやんがしてくれるみたいに。
「アヤなら、最高の家族作ってあげられるよ。私が保証する」
「うん、ありがとう」
ちょっと前の私だったら、こんなふうにカナッペを抱きしめられなかったかもしれない。深入りして、嫌われたらどうしようって。
でも。
本音でぶつかっても大丈夫だって、ぼーやんが教えてくれたから。
「二人ともそろそろ上がろっか~、アヤがのぼせる前に」
「だね、アヤはすぐ火照っちゃうから」
「もうそれでいいよ」
結局、そのあとカナッペのわがままでユカリと二人でサウナに消えていき、私は内風呂でぷかぷか浮かびながら待ちぼうけを食らった。
帰り道。
ふとスマホを見ると、ぼーやんからショートメールが来ていた。
私から送ろうと思ってたのに、本当にこういうところがぼーやんだ。
『大丈夫?』
たったそれだけ。
でも、ぼーやんがひそかに心配してくれていたのが伝わってくるから不思議だ。
『大丈夫だよ』
私もそれだけ返す。
それで、全部伝わる。
そんな確信がある。
スマホをポケットに押し込むと、カナッペにタックルしたり、ユカリに引っ付いたりして寒い道をゆっくり歩いた。