【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話 作:月見ハク
「卒業編」のラストまで描いていますので、ぜひご購入いただけたら幸いです!
■Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CNK5YLJC
■FANZA
https://book.dmm.co.jp/product/4257044/b126afrnc01264
そよ風に顔を撫でられ、目を覚ます。
天井には見慣れない蛍光灯。
ここは……学校の保健室だ。
どうやら俺は保健室のベッドで寝ていたらしい。
窓が開いていて、外に桜の木が見える。そよ風に薄桃色の花びらが舞う。
……桜の花?
いや今は十一月になったばっかり。まだ、秋のはずだ。
「ああ、いつものやつか」
はたと、これが夢だということに気づく。
修学旅行で大仏さまに祈ったあの日から、ほぼ毎日見る夢だ。
直感が見せてくれる未来の記憶。何万通りも存在するシミュレーションの一つだ。
「ん……ぼーやん?」
俺のお腹のあたりで茶色い頭がモゾモゾと動く。
アヤが片目をこすりながらこっちを見つめていた。
お見舞いに来てくれたのだろう。ベッド脇のイスに座りながら、いつの間にか俺のお腹を枕にして昼寝をしてしまったようだ。
「おはようアヤ」
「ん゛ぅぅ、こっちのセリフだし……おはようぼーやん」
長袖ブレザーを着た彼女が体を起こす。
白いブラウスは第二ボタンが外れていて、そのわずかな隙間から深い谷間が見えた。重力で下を向いた大きな乳房に、つい目が釘付けになる。
春のそよ風に、ほんの少しだけ長くなった茶髪が揺れていた。
寝起きだからか、ぱっちりとした二重の目元に涙が浮かんでいる。
ふと目鼻立ちの整った美少女が、ふわりと微笑んだ。少し憂いを帯びた眼差しに心臓を射抜かれる。
アヤは夢の中でも俺を見惚れさせるらしい。
「――ぼーやん」
「なに?」
「あのね……ぼーやんに、伝えなきゃいけないことがあって」
その豊満な胸元の前で片手を握り、自信なさげに俺を見つめる。
眉間にシワを寄せて何かを言おうと、決心を固めているようだ。
やがて。
「あのさ――」
――パチリと、目が覚めた。
視界いっぱいに青空が広がっている。透き通った秋の空だ。
どうやら俺は公園のベンチに座りながら、昼寝をしてしまっていたらしい。
水色よりは濃い青に、黄色い木の葉が舞う。十一月中旬で肌寒くなってきたとはいえ、昼はジャケットを着ているとけっこう汗ばむ。
「……そろそろ休憩終わりかな」
今日は姉貴の手伝いで撮影現場に来ている。
大きな公園の一部を貸し切り、モデルの人たちが冬の新作服を披露していた。
ブブッとポケットの中でスマホが震える。
取り出すと、アヤからのメールだった。
『ごめんヒロトの忘れ物届けることになった』
『待ち合わせ遅れるごめん』
弟のヒロト君の中学校に届け物があるらしい。彼はサッカー部の練習に行っているはずだから、部活関連の忘れ物だろうか。
立て続けに送られてきた文面から、彼女が相当焦っているのが分かって面白い。
今日は久々にデートの日だ。
俺もアヤも最近はバイトで忙しいので、まともに会えるのは土日のみ。
……なのだが、先々週は彼女のブライダルバイトを手伝い、先週も彼女がカナッペたちとのお泊り会だったので、まともなデートは久しぶりだ。
セックスだって、彼女のバイト先の式場でして以来になる。
だから今日は午前中にデートを楽しみ、午後はずっとアヤを抱き潰したかった。
でも姉貴に朝から現場を手伝ってほしいと頼み込まれ、仕方なく午後からの待ち合わせになったのだ。
俺はスマホに返信を打つ。
『ヒロト君の中学に届けるなら、そこを待ち合わせ場所にしよう』
すぐに手元が震え、彼女の返事が表示される。
『中学つまんないよ?』
『いいよ。早く会いたいし』
返信を送って、しばし待つ。
なんとなく画面の向こうでアヤが顔を赤くしている気がする。
『ありがとう! ごめんね』
短い返事の最後に、可愛らしいブタが申し訳なさそうに謝っているスタンプが付いていた。
最近、彼女はよく「ごめん」と口にする。
何か気負っているような感じがして、少し気がかりだった。
無性にアヤを抱き締めたくなる。
でも、今抱き締めたらそれだけでは済まないだろう。
「リュウジー休憩終わり! 次の撮影始まるから来て」
「ああ」
姉貴が小走りで呼びに来る。
俺は頭を仕事モードに切り替えて立ち上がった。
「はーい、いったん撮影終了です! お疲れさまでした!」
撮影スタッフの掛け声で、現場の撤収作業が始まる。何人かのモデルがカメラマンと一緒にタブレットを覗き込み、写真の確認をしていた。
俺は姉貴に許可をもらい、そそくさと帰り準備を始める。
今から向かえば昼過ぎにはヒロト君の中学校に着くはずだ。
スマホで行先のルート設定をしていると、視界にシュークリームが現れた。
「リュウジくんお疲れ、これいる?」
見れば、モデルの一人が立っていた。白いアウタージャケットの中にハイネックの黒いニットを着ていて、下はブルーのデニムが伸びている。
年は二十歳だと姉貴が言っていた気がする。黒髪ロングをオールバックにして、恐ろしく整った顔に濃いメイクをしているのにどこか幼げな印象がある。
それは多分、楽しそうにニコニコと笑っているからだろう。
確か名前は…………。
「千春だよ、覚えて」
「千春さんお疲れさまです。写真のチェックはいいんですか?」
「あーするする。でもリュウジくんが急いでそうだったからさ。これから彼女さんとデートとか?」
千春さんが包装されたシュークリームを手のひらに乗せながら聞いてくる。
彼女……アヤのことは姉貴にでも聞いたのだろう。
最近よく現場で会うし、姉貴とは仲良さげに話しているのを見たこともある。
「はい、これからデートなんです」
「そっか~、いいなー青春」
完成された美人顔が苦笑する。
表情の変化が多くて、きっとこういう人懐っこいモデルさんが人気になるのだろうと思う。
「じゃあ失礼します」
「あ、待って、はいこれ」
千春さんがぶら下げていたビニール袋からもう一つのシュークリームを取り出し、両手に乗せて差し出してくる。
「さっきコンビニで買い過ぎちゃってさ、こっちは彼女さんの分ね」
「いえ、悪いで――」
――受け取れ。
不意に、直感が囁いた。
意味が分からない。
分からないが、このシュークリームをもらうことでアヤとの関係がより良い方向に進むということらしい。
「……いただきます」
シュークリームを受け取ると、千春さんが「んふふ」と笑った。まるで悪戯に成功した子どものような笑みだ。
「私のことはシュークリームの人くらいに覚えといてくれればいいから」
「はぁ」
「でさ、別件なんだけど、リュウジくん私の専属になる気ない?」
「……はい?」
「あー正確にはカエデさん……リュウジくんのお姉さんに専属になってもらおうと思ってて、ついでに君もどうかなと」
「専属、ですか」
「専属って言っても君の場合はお姉さんのおまけ、雑用係、オールラウンダー要員って感じだから変に遠慮しなくていいよ。ほら、リュウジくん気が利くし、居てくれると現場がいい感じに回って助かるんだ。あ、これ他の子もみんな言ってるよ」
「はぁ」
専属か。
千春さんは若手の中でもかなり売れっ子のモデルだ。専属ともなれば収入も上がって、俺としてはありがたい。
――断るな。
直感が、少し強めに進言してきた。
きっと俺とアヤの未来にとって良い話なのだろう。
でも、今より確実に忙しくなる。
「もちろんリュウジくんはまだ学生だしさ、ゆっくり考えてくれていいから」
「分かりました、じゃあ失礼します」
俺はペコリと頭を下げ、公園をあとにした。
***
最寄りのバス停で降りると、ヒロト君の通う中学校が見えてきた。
「懐かしいな」
ここは俺とアヤの母校でもある。
校門を入り校庭へ進むと、サッカー部らしき生徒たちが走り回っていた。
校庭をぐるりと見回してみたがアヤの姿はない。
スマホを見れば「ごめん少し遅れる!」とメールが来ていた。
仕方がないのでサッカー部の練習風景を眺める。
どうやら数人ずつのチームでコンパクトな模擬戦をしているらしく、何人かは校庭の隅に座って自分たちの順番を待っていた。
その待機中の部員の中にヒロト君を見つけ、声を掛けようと近づく。
「――え、今日ヒロのねーちゃん来るの?」
彼らは模擬戦を視線で追いながら、ちょうどアヤの話をしているようだった。
「うん、昨日出し忘れたやつ今日絶対持ってこいって先生に言われててさー」
「忘れたんか」
「忘れた」
「ヒロのねーちゃんて、アヤさんだっけ」
「そーだけど」
ヒロト君の声色が低くなった。つまらなそうに模擬戦を睨んでいる。
知り合いに姉の話題を出されるのは気まずいものだ。俺もその感覚はよく分かるので、ヒロト君に親近感が湧いてくる。
「アヤさんってさ、この前高校の文化祭でお化けやってたよな」
「ゾンビな」
「そうそうゾンビ、超ビビったわ。いきなり白目剥いて襲ってきてさ、あれヤバかった。めっちゃ気合入ってたよな」
「姉ちゃんに言っとくよ。すっげー喜ぶぞ」
「おお頼むわ。いやー、いいよな~アヤさん」
「は? なんでそーいう話になる」
「いやだってよ、ノリいいしすっげー可愛いし、おっ……落ち着いてる感じもあるし?」
今、おっぱいと言おうとしたなこの子。
「いやマジそういう話勘弁……」
「なんでだよヒロ、超うらやましいって話じゃん」
「いや実の姉だぞ」
「あー俺もあんなねーちゃんほしー」
「今度遊びに行っていい?」
「いいけど姉ちゃん彼氏いるぞ」
ヒロト君が淡々とした調子で言い放つ。
「はぁ……知ってるよ、サッカー部OBの時田さんだろ? 先輩から名物カップルだったって話聞いたし」
「あー俺も聞いたことある。高校でもずっと付き合ってんでしょ?」
「いや姉ちゃん別れたよ」
「えっ、じゃあアヤさん今フリー!?」
「あれ、でも今彼氏いるって」
「いるよ」
「マジか~」
数人がオーバーなリアクションで天を仰ぐ。
「アヤさんの彼氏ってどんな人なん?」
「……いい人だよ」
「マジか」
「あと背が高い」
ヒロト君の口調に熱がこもっていく。弟として余計な虫を追い払おうとしてくれているのだろう。
「マジかー、イケメン?」
「あー、まぁ――」
ピピーッと笛の音が響き、雑談が終了した。
ちょうどそのタイミングで俺のスマホが震える。
『ついたよー』
すぐに校門のほうへ視線を移す。
遠くからでも目を引く美少女が立っていた。
「おっ、あれアヤさんじゃね?」
「うわ……めっちゃ可愛い」
俺と目が合うなり彼女はニコリと微笑み、片手を胸のあたりまで上げた。
すぐに腕を下ろすと、小走りでやってくる。
俺はそんなアヤに目を奪われてしまう。
彼女は黒い長袖スウェットに青い膝丈のスカートという秋の装いだった。頭にはいつものベースボールキャップではなく、ベージュ色のキャップを被っている。
スカートもキャップも初めて見るものだ。
というか彼女のスカート姿なんて制服以外で見たことがない。最近買ったのだろうか。
「え、やば」
部員の一人が声を漏らす。彼の視線はアヤの胸元に固定されていた。
真っ白なスニーカーで軽快に地を踏むたびに、その豊満な胸元がゆさ、ゆさと揺れる。小さい黒バッグをたすき掛けにしているせいで、余計にその巨乳が強調されている。
これは中学生男子には……というか俺にも目の毒だ。
彼女は笑顔で俺のもとまで駆け寄ると、眉をハの字にする。
「ごめん、お待たせっ……」
アヤが息を整えながら俺の腕に触れた。
「ううん、俺も三時間くらい前に来たところ」
「え、待ちすぎだし」
くだらないジョークに、彼女が戸惑い半分、苦笑い半分といった顔を浮かべる。
「そのスカート可愛いね。青がすごく似合ってる」
「あ、うん……ありがとう。カナッペと、ユカリがね、すすめてくれたんだ」
今度は恥ずかしさ半分、嬉しさ半分といった顔だ。
本当にアヤは表情がころころ変わって面白い。
もっと見たくなる。
「それに髪も切ったんだ。ちょっとだけすっきりしたね」
「うん……午前中、切ってきた」
彼女が頬を染めて少しうつむく。キャップの下の茶髪がふわりと揺れる。
アヤの髪が、昨日より一センチほど短い。ボリュームも少しだけ軽くなっている。
「リップも変えた? 色艶が先週と全然違う」
「うっ……変えてみた……ありがと」
ついに彼女の顔がキャップのつばで隠れてしまった。
俺の腕に触れる指先から、感情が流れこんでくる。
――ぼーやんめ。
ぼーやんめ。
なんで全部気づくの。
いつもうれしいことばっかり言う。
恥ずかしい。
だめ、ぼーやんにちゃんと。
見てほしい。
ちゃんと、見てもらわなきゃ。
アヤが顔を上げ、俺を見つめた。
「あのさ、ごめん……これ準備してたら、遅れちゃって」
――はずかしい。
デートのためにおしゃれしてみたとか。
それでこんなに遅れちゃうとか。
私、アホの子みたいだ。
でも、ぼーやんはきっと。
「ああ、すごく可愛いよ」
「うぅ……っ」
アヤが眉にシワを寄せ、瞳を潤ませる。
嬉しそうなのに、どこか悔しそうだ。
本当に、どうしてこんなに可愛いのだろうか。
「あー……姉ちゃん」
背後でヒロト君の申し訳なさそうな声が聞こえた。
振り向くと、男子中学生たちが俺とアヤを呆然と見ている。
「あぇっ、ヒロトいたの!?」
アヤも気まずそうな表情でひょこっと顔を出す。
そうだった。
彼女に夢中になりすぎてヒロト君たちのことをすっかり忘れていた。
「まぁ、ずっといたけど……持ってきてくれたの?」
「あーそうだった」
アヤがバックの中をガサゴソと漁る。
「ほらこれ、進路希望」
「ん、サンキュ」
妙な沈黙が流れる。
それを打ち破ったのはヒロト君の隣にいた男の子だった。
「じゃあ俺らまだ練習あるんで!」
「あ、うんっ、頑張れ~」
アヤのにこやかな笑顔に、彼らは「うぃっす」と言って走っていく。
その横顔は一様に赤くなっているように見えた。
「んじゃな、ぼーやん」
ヒロト君も無愛想に挨拶をして彼らの後を追った。
「……じゃあぼーやん、行く? 映画、次の回まだ間に合うっぽいけど」
アヤが頬を火照らせたまま聞いてくる。
今日は初めての映画デートだ。
彼女がずっと観たいと言っていたCGアニメを観る予定だったのだが。
「アヤがよければ、もう少し学校見て行かない?」
「んふ、私も同じこと思ってた」
「じゃあ昔の担任とかに挨拶しに行こうか」
「いいね!」
彼女が黒いスウェットを腕まくりする。
なぜここで腕まくりと思ったが、張り切る姿が面白いのでツッコまなかった。
「失礼します。あの私たち卒業生の南鳥……あ、アンディー先生!」
アヤが職員室に入るなり歓声を上げた。
「おぉ~南鳥か! お、君はぼーやんか、また背伸びたなぁ」
「お久しぶりです安藤先生」
体が横に広い中年の先生が、温和な笑みを浮かべて入り口にやってくる。
安藤先生は俺とアヤの中学一年生の時の担任で、その穏やかな人柄から生徒たちに人気だ。
アヤは特に懐いていて、勝手にあだ名を付けて事あるごとに相談したり、授業の準備を手伝ったりしていた。
「二人とも大人になったなぁ~、というか南鳥は相変わらず元気だな」
「アンディー先生は変わらないですね」
「もうおっさんだからな。おっさんは数年でそう変わらんのよ」
アヤと安藤先生が楽しそうに談笑している。
彼女にとっては数少ない気楽に話せる男性教師なのだろう。
「そういや今日は何しに来たんだ?」
「弟の忘れ物届けに来たんです。あとアンディー先生にも会いにきました~」
まるで中学生のような無邪気な笑顔を向ける。女子生徒が先生をからかうみたいな感じだ。
ここまで気軽に接するアヤも珍しい。
「ああそりゃご苦労さん」
安藤先生が照れ隠しなのか彼女の肩に手を置こうとして、止めた。
さすがに大人になったアヤに触れるのをためらったのだろう。
先生が思わず意識してしまうほど、彼女は中学時代から成長している。
「せっかく来たんだから学校内でも見ていったらどうだ」
「え、いいんですか?」
「いいぞ、今日は俺と部活顧問の先生しかいないし。うん、俺の権限で許す」
「アンディー先生出世したんですね~。じゃあちょっと見学してきます」
「教室は鍵掛かってて入れないけどな。懐かしんでいけ」
「おーけーです。行こ、ぼーやん」
アヤにジャケットの裾をつままれ職員室を出た。
こういうとき、彼女の明るさや人懐っこさに感心する。
老若男女、誰からも好かれる。彼女の数多ある魅力の一つだ。
結局俺は先生と一言も話さなかった。
一応「付き合ってるのか?」くらいは聞かれるかも思っていたのだが、先生からはそういう気配を一切感じなかった。
俺たちが幼馴染だということは知られているので、高校に行ってもこいつら仲がいいな、くらいに思われたのだろう。
きっと、外から見たら俺たちはそういうふうに見えるのだ。
激しいセックスをしている仲だなんて、誰も思わないのだろう。
「アヤは安藤先生が好きなんだね」
上機嫌に廊下を歩く彼女に聞いてみる。
「うん、すっごくいい先生なんだ」
「そんな感じがしたよ」
「んふふ、やきもち?」
彼女が片眉を上げて不敵に微笑む。
テンションが中学生に戻っているからだろう。それは恋人としてというより、仲のいい幼馴染として聞いているような感じがした。
「ああ、安藤先生に三日アヤを預けられるくらいには」
「全然やいてないじゃんっ」
アヤが肩を当ててくる。
いつもの幼馴染のやり取りだ。
でも彼女は触れ合う肩を離そうとしなかった。
次第に腕が密着し、手の甲がうかがうようにこすれ合う。
俺たちはどちらからともなく、手をつないだ。
細くて柔らかいアヤの手をぎゅっと握る。
すると彼女も優しく握り返してきた。
その温もりだけで、どれだけこうしたかったかが伝わってくる。
俺たちは、特にあてもなく校内を歩いた。
もう秋なので校舎の中も寒いかと思ったが、ちょうど午後の陽射しが廊下に差し込んでいるせいか、ふんわりと暖かい。
こうして無人の校舎を歩いていると、文化祭の翌朝を思い出してしまう。
誰もいない教室で一晩中アヤを抱き続けた、あのときを。
「あ、そっか。こっちの学校は自販機ないんだね」
廊下の端、階段の手前で彼女がつぶやく。
多分、俺と同じことを思い出しているのだろう。
その証拠に、握った手のひらが汗ばんでいた。トクトクと脈が速くなっているのも感じる。
アヤも今、俺の手のひらから同じことを感じ取っているはずだ。
「飲み物ならあるよ、二人分」
「あ、うん……私も持ってきた。二人分」
俺たちは手をつなぎながら階段を上った。
なんだか、二人で人の気配のない場所を探しているみたいだ。
二階の廊下は一階よりも暖かかった。
ふと、彼女のほうから甘い香りが漂ってくる。
デートのために香水を付けてきてくれたのだろうか。
一瞬そう思ったが、慣れ親しんだその匂いに思い直す。
これは、アヤの香りだ。
よく見れば黒いスウェットから伸びる首筋がほんのり汗ばんでいる。
彼女とキスをしたり抱き締めたり、脱がしたりするときに香る、脳を蕩けさせるような甘い匂い。
全身が……股間がじんわりと熱を帯びてくる。
「なんかさ、探検してるみたいだね私たち」
アヤが廊下の先を見ながらつぶやいた。
「……あとちょっぴり、悪いことしてるみたい」
その声がすごく色っぽくて、股間がさらに膨れ上がる。
彼女にそんなつもりはないのかもしれないが、その声色や匂いには男を誘惑する成分が含まれていた。
俺は彼女の手を強く握ると、廊下を早歩きで進みだす。
「え、ぼーやん? どこいくの」
小さい手を引きながら、一つの扉の前で立ち止まる。
「アヤ、この教室覚えてる?」
「あ、一年二組」
中学のとき、俺とアヤが同じクラスだったときの教室だ。
俺は直感のおもむくまま扉に手を掛ける。
横に引くと、すんなり開いた。
「あれ、教室鍵掛かってるって……」
「ここだけ閉め忘れてたみたいだね」
これも神様の粋な計らいなのだろうか。
しばらく人が来ないことも、直感で分かる。
「……入る、の?」
「入ろうか」
アヤも、もうこの後の展開を予想しているのだろう。
握った手のひらがピクリと震え、わずかに赤くなった顔が下を向く。
「……うん」
彼女は恥ずかしそうに小さくうなずいた。