※この作品はR-18です。

【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話   作:月見ハク

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妖艶な幼馴染に図書室で我慢をした(九十二日目・金 午後)

 春風の心地よさで、まぶたを開ける。

 

 天井には保健室の蛍光灯。

 そして俺のお腹には、少しだけ髪の伸びたアヤの寝顔が乗っていた。

 

 またいつもの夢だ。

 最近よく直感が見せてくる、俺たちのゴール。

 

「ん……おはよぉ、ぼーやん」

 

 ふんわりと目覚めた彼女が起き上がる。

 

 今回の夢ではブレザーを着ておらず、ブラウスを袖までめくった姿だ。

 毎回ちょっとずつ内容が変わるのが面白い。

 それほど、俺たちの未来は常に変わり続けているのだろう。

 

 薄着をしているせいか、どうにも彼女の魅惑的なふくらみに目が固定される。

 最近、現実世界ではあまりエッチができておらず、欲求不満が溜まっているせいだろう。

 

「――あのねぼーやん、言わなきゃいけないことがあるんだ」

 

 彼女は少しだけ言いづらそうに、俺の返事を待った。その瞳には不安の色が見える。

 

「なに?」

 

「あ、あのさ、私ね――」

 

 

 目の前に、アパートのドアがあった。

 

 これは。

 俺たちの、数年後の未来だ。

 

 数年後、俺とアヤはこのアパートで同棲している。これもたまに直感が見せてくるビジョンの一つ。ゴールの先にある、未来の一つだ。

 

 ドアを開けると、美味しそうなハンバーグの香りが漂ってくる。

 

「ただいま、アヤ」

 

「あ、おかえり~。今日は夕飯食べてく?」

 

 エプロンを付けたアヤが俺を出迎えた。

 今回の未来では、黒髪のロングヘア―を後ろで結んでいる。この髪型も大人の色気があっていいなと思う。これはこれですごく綺麗だ。

 

「ああごめん、またすぐ仕事行かなきゃ」

 

「今日も――――の現場?」

 

「そうだね」

 

「そっか、単位は大丈夫そ?」

 

「大丈夫、だと思う」

 

 俺は大学に通いながら姉貴の仕事を手伝っているらしい。

 なんとか二人分の生活費を稼ぎ、不自由ない暮らしを送れている。

 

「んふ、えらいぞぼーやん」

 

「アヤこそ、両立たいへんじゃない?」

 

「ぼーやんに比べたらヘノカッパだよ」

 

「ヘノカッパ? ああ屁の河童か」

 

「そう、カッパカッパ。さ、仕事間に合わなくなるよ、行った行った。――――の現場、時間に厳しいんでしょ?」

 

「まあ、うん」

 

「じゃあ、頑張ってね」

 

「今日は日が変わるまでには帰れると思う」

 

「待ってる」

 

「無理しなくていいよ。先に寝てて」

 

「ううん……今日も待ちたい、ぼーやんのこと」

 

 そう言って、彼女が俺の胸の中にしなだれかかる。

 見つめてくる瞳には熱がこもっていて、濃密なセックスを欲しているのが伝わってきた。

 

「アヤ」

 

「起きて待ってるから。絶対、帰ってきてね」

 

「当たり前だろ」

 

 俺たちはいつものように、いってきますのキスをした。

 

 ふにっと柔らかいアヤの唇の感触に、つい玄関先で押し倒したくなってしまう。

 胸板に押し付けられた豊満な乳房が気持ちいい。

 夢の中なのに感覚までリアルだから困る。

 

「……いってらっしゃい、ぼーやん」

 

 アヤが満面の笑みを浮かべる。

 

「いってきます。愛してるよ」

 

 にっこりとした笑顔を張り付けたままのアヤを玄関に残し、外に出た。

 

 

 ――ピピピピッ、という電子音で目が覚める。

 

 枕元のスマホに手を伸ばし、アラームを止めた。

 

 のそりとベッドから起き上がり、窓を開ける。

 

 ヒュウ、と秋の寒い風が体温を奪っていく。

 スマホの画面には十一月終わりの日付が表示されていた。

 

「そろそろ、覚悟を決めないとな」

 

 独り言が、白い吐息となって朝の空に消えていく。

 

 直感の力を授かってから、何十回と未来の夢を見てきた。

 細かい部分は違うものの、いずれもあの保健室がゴールテープだ。

 その先の未来では、俺たちはアパートで仲睦まじく同棲している。それは変わらない。

 

 だけど、そこに至る道のりはピンキリだったりする。

 

 二人で別々の大学に進学したり、アヤは大学には行かず専業主婦をしていたり、逆にアヤだけが進学して俺のほうが昼夜仕事に明け暮れていたり。

 中にはお互い浪人し、仕事と子育てとセックスに耽る未来なんてものもあった。

 

 でも俺としては、できれば二人で大学に進学したいと考えている。

 

 それがアヤの両親や俺の姉貴のささやかな願いだったりするからだ。彼らは口に出さないが。

 

 俺たちの進学がうまくいかなくても、「早くに結婚したのだから仕方ない」なんて思ってくれるのだろう。

 俺は幸せな家庭を築けるならなんでもいいが、彼女は家族にも心から祝福されたいと思っているはずだ。

 

 だから、覚悟を決める。

 

 二人で最良の未来を勝ち取る。その方法は、直感の見せてくる夢で知っていた。

 

 これから当分勉強と仕事に専念する。ただそれだけだ。

 

 セックスを、せずに。

 

「……はぁ」

 

 思わずため息が出る。

 

 何十通り見てきた夢の中で、一つだけアヤと同じ大学に進学する未来があった。

 それがこの冬セックスを我慢して、受験勉強や仕事に集中するというルートだ。

 

 中学校に忘れ物を届けに行ったとき以来、俺たちはまともなデートをしていない。お互いバイト三昧だったからだ。

 

 かれこれ二週間、彼女を抱いていない。

 アヤは平気かもしれないが、一日二回抱きたいのが基本である俺にとってはかなりの拷問だ。

 

 そんな俺が、果たして何カ月も我慢できるのだろうか。

 

「いや、我慢しないと」

 

 ここからは一日一日が勝負だ。

 

 一度でもセックスをすると彼女への欲望が膨れ上がり、なし崩し的にセックス漬けの日々を送ってしまう。別に大学に行かなくても幸せな同棲生活を送れるのには変わりがないのだから、と。

 そういう未来をいくつも見てきた。

 

「リュウジ起きた~? もう仕事行っちゃうから朝ごはん適当に食べてって~」

 

 一階から姉貴の声がする。

 

 俺は両頬をバシンと叩いて渇を入れた。

 どうせ幸せになるなら、一番幸せな未来がいい。

 

 ぐっと背伸びをしてから、制服に着替え始めた。

 

 

***

 

 

 学校の最寄り駅で電車を降り、早足で歩く。

 

 ブブッとポケットが震えたのでスマホを取り出した。

 

『学校まにあいそ?』

 

 アヤからのメールだ。

 

『余裕だよ』

 

 早歩きから小走りになりつつ、返信を打つ。

 

 朝、考え事をしていたら支度が遅れてしまった。連日のバイト疲れもあるだろう。

 おかげで今日はアヤと一緒に登校ができなかった。

 最近では数少ない彼女との時間を、一つ失ってしまったのは不覚だ。

 

『寝ぼーやん。だから待つっていったのに』

 

『アヤまで全力疾走させられないよ』

 

『全然余裕じゃないじゃん!』

 

 何年かぶりに本気で走ったおかげか、始業十分前には学校にたどり着いた。

 

 スマホを見ると、二分置きくらいにアヤからスタンプが送られてきている。

 

 汗だくのブタが必死に走っているもの。

 リボンを付けたブタが「フレーフレー」と応援しているもの。

 そのブタが投げキッスを送っているもの。

 

「このブタ、レパートリー多いな」

 

 息を整えながら校舎に入る。

 

 階段を上っているとまたスタンプが送られてきた。

 ハートのクッションを持ったブタが、「はやくきて」と懇願している。

 

「はぁぁぁ……」

 

 思わず階段の踊り場でしゃがみ込んだ。

 

 このスタンプはどう見ても夜を誘っているものだ。でも彼女は早く学校にきて、くらいの認識で使ったのだろう。

 

 天然無自覚というか、下ネタに疎いのはアヤの数多ある魅力の一つなのだが、今の俺には不意打ちが過ぎる。

 朝の覚悟が、さっそく揺らぎそうだ。

 

 気を取り直して階段を上り、廊下を歩く。

 

 以前、直感が見せてきた過激なセックスを思い出す。

 中学校の廊下で全裸のアヤを後ろから犯す、あの未来だ。

 彼女に激しくピストンしながら、俺は愉悦に顔を歪めていた。

 自分の中には、ああいう本性も潜んでいるのだろう。

 

 だからこそ、今日からは特大の自制心が必要とされる。

 

 いったん深呼吸をして、俺は教室に入った。

 

「あ、ぼーやん間に合った!」

 

「……は?」

 

 入ってすぐの席に、手錠を付けたアヤが座っていた。

 

 白い長袖ブラウスを袖までめくり、銀の手錠をはめている。

 制服姿の美少女が両腕を拘束されている姿に、思わず見惚れてしまう。

 

「アヤ、ついに逮捕されたの?」

 

 放心しながらも、なんとか冗談を絞り出した俺を褒めてほしい。

 

「ついにってなんだよ~! これおもちゃだよ。なんか男子がハロウィーン用にドンキで買ってきたのを、みんなで順番に付けてたんだ」

 

 本人はこの背徳的なエロさにまったく気づいていないのだろう。そんな純粋無垢な彼女と手錠の組み合わせが、とんでもなくエロい。

 頬がほんのりと桃色に染まっていて、ちょっと興奮気味なのが煽情的すぎる。

 見てはいけない感じがするのに目が離せない。

 

 気付けばクラスの男子たちがチラチラと彼女を見ていた。中には惚けたような表情で堂々と凝視しているヤツもいる。

 

 俺は生まれて初めてクラスメイトに殺意が湧きそうになった。

 

「そろそろ外したら? もうホームルーム始まるよ」

 

「うん。あ……ぼーやんもちょっと付けてみる?」

 

 アヤがなぜか甘い声で聞いてくる。すごく付けてほしそうだ。

 その声色が妙に色っぽくて、俺は危うく勃起しそうになる。

 

「そのサイズだと俺の腕には無理だよ」

 

「あ、そっか……ぼーやんの太いもんね」

 

 手錠をはめながら、そんなふうに俺の腕を見つめないでほしい。

 

 いいタイミングでチャイムが鳴ってくれたので、心を落ち着かせながら席にたどり着く。

 

 もう少しで、アブノーマルな性癖に目覚めるところだ。

 いや……多分もう目覚めてしまった。

 

「はぁ……」

 

 窓の外に浮かぶ雲を数えて、心と股間を落ち着かせる。

 

 早くしないと決心が消え失せてしまう。

 

 なんとか鼓動が正常に戻ってきたので、彼女にメールを打った。

 

『アヤ放課後時間ある?』

 

 すぐさま返信が届く。

 

『今日はだいじょぶ』

 

『ちょっと大事な話ある』

 

『おけ』

 

 先生が入って来たので、俺は急いでスマホを鞄に閉まった。

 

 

***

 

 

 放課後、俺は図書室にいた。

 

 席は半分くらいが埋まっている。

 学校の期末テストが近いからか、下の学年の生徒たちも思い思いに自習をしているようだ。

 

 テーブル席に割と人の少ない一角を見つけ、荷物を置く。

 いい場所を確保できたので、教室に残っているはずのアヤを迎えに行こうと出口へと向かう。すると、なんとなく彼女のほうからやってくる気がした。

 

 図書室の扉が開き、やはりアヤが入ってくる。

 俺の姿を見つけると軽く手を振ってから近づいてきた。

 

「ぼーやん、図書室いたんだ」

 

「アヤ、よく俺がここにいるって分かったね」

 

「うん……なんとなく?」

 

 ちょっと得意げな顔が可愛い。

 つい彼女の手首に手錠のあとを探してしまうが、それは許してほしい。

 

「俺もなんとなくアヤが来そうだなと思ったよ」

 

「ふふ、そっか」

 

 お互いが通じ合っている気がして、心がじんわり温かくなる。

 本当に、俺たちは恋人同士なんだ。

 

「それ大学の資料? だからぼーやんお昼に進路指導室行ってたんだ」

 

 彼女がテーブルに広げられた資料を見つめる。

 貴重なアヤとのランチデート犠牲にして、俺は必要な資料を集めていた。

 

「そう、お互いの進学について話がしたくてさ」

 

「うん、私もそういう話したいと思ってたんだ」

 

 またもや以心伝心だったらしい。

 

 席に座ると、彼女も隣に腰を下ろす。

 資料を見ようと寄ってきたアヤの胸が、俺の二の腕に接近してくる。

 

 頬が触れ合うほど近くに寄ってきた彼女に、本題を切り出した。

 

「アヤ、俺たち受験まで勉強に専念しない?」

 

 図書室なので、彼女にだけ聞こえる音量でささやく。

 

「あ、うん……私もそろそろ追い込み必要かなって思ってた」

 

 アヤがうなずきながら志望校の赤本をめくる。俺と彼女が受けようとしている大学だ。

 

 本来追い込み時期としては遅いのだろうが、俺たちの志望校は難関大というわけではない。互いの実家からほど近い、そこそこの私立大だ。

 

 これまでも二人でけっこう勉強はしていた。

 付き合い始めてからは「そのせいで学力が落ちたんだ」と言われないために、むしろ学校の成績は上げている。

 今の俺たちの力で、十分に合格可能だ。追い込みを頑張ればだが。

 

「だから、それまではデートも控えたほうがいいと思ってる。もちろん、アヤを抱くのも」

 

「えっ…………あ、うん……なんか、分かる」

 

 アヤの耳が徐々に赤くなっていく。

 それだけで押し倒したい衝動が湧き上がってくるから困る。

 

「ごめん」

 

「いや、謝ることじゃ……ないし」

 

 彼女の白い太ももがきゅっと閉じられた。どことなくモジモジしている感じだ。

 

 ふぅと一息つく。

 多分、これでは説明が足りない。

 こういう大事なことはきちんと伝えなければだめだ。

 

「俺は、一日二回はアヤを抱きたい」

 

「ふぇ!? ……いっ、うん……知ってる、けど」

 

 アヤが変な声を上げ、ますます耳を赤くした。

 

「最近アヤとできなくて、正直つらかった」

 

 どう考えても図書室でしていい話ではないので、さらに彼女の耳元に近づいてささやく。

 

「んっ……うん、なんか……わかってたよ」

 

「でも一度でもしちゃうと俺、きっと止まれない。この冬の間中……それからもずっと、アヤを抱き続ける自信がある」

 

「そんな、自信……あっても」

 

 ――別に、困らないけど……。

 

 

 彼女の本音が股間に突き刺さる。

 

 一度ため息をついて煩悩を落ち着かせ、ゆっくり口を開く。

 

「だから、受験の合格発表までは我慢しようと思ったんだ……勝手でごめん」

 

「ぅッ……あ、あの、わかったからっ」

 

「ん?」

 

 アヤが眉間にくっとシワを寄せた。

 

「ちかいよぉ……」

 

 いつの間にか、俺は彼女の耳に口づけをするほど顔を寄せていた。

 

 アヤの細腕がスカートの内股あたりをつかんでいる。まるで何かを我慢しているような……。

 

「っ、ごめん」

 

 俺は慌てて顔を離した。

 テーブルの下で股間が膨れ上がり、ドクドクと熱くなっていく。

 

 しばらく黙っていると、「ふぅ」と呼吸を整えたらしいアヤがこちらを向いた。

 

「えっと……つまりケジメってことだよね」

 

「うん」

 

「合格発表、までなの? あの……試験の日とかじゃなくて」

 

 試験は今から約一カ月後の一月上旬。合格発表は約二カ月後の二月上旬だ。

 十一月末の今日から二カ月間、俺はアヤとセックスをしないことになる。

 はっきり言って地獄だ。でも。

 

「できればバイト……仕事も、今まで以上に頑張りたいんだ。進学がどうなるかで未来も変わってくるから、備えておきたい」

 

「そう、なんだ」

 

「俺の勝手でごめん」

 

「ううん、私のケジメでもあるから」

 

「そっか」

 

 ……ん?

 

 今の言い方だとアヤのほうも――。

 

「ぼーやん、あのさ」

 

「なに?」

 

「こうやって勉強するときは、会えるのかな……?」

 

 彼女が不安そうに聞いてくる。潤んだ瞳がまるで懇願しているようだ。

 ここが図書室でなければ迷わず抱き締めていただろう。

 

「もちろんだよ。俺もアヤに会いたいし、平日は放課後こうして勉強しようよ。その分、土日はフルで仕事入れようと思ってるけど」

 

「……体、大丈夫そ?」

 

 心配そうなアヤの表情に、心臓が高鳴る。

 真っ先に俺の体を気遣ってくれるのが素直に嬉しい。

 

「余裕だよ。卒業したらアヤと同棲したいし、結婚資金とか家庭を養うお金も貯めたいから」

 

「けっ……あ、う……そういうこと、さらっと言う……」

 

 顔を近づけていないのに、彼女の頬がどんどん染まっていく。

 俺も、我ながらずいぶんストレートな告白をしたと思う。

 

「じゃあ……さっそく勉強しようか」

 

「……うん、しよ」

 

 お互い顔を赤くしながら、俺たちはテーブルに向かった。

 

 

「――アヤの受験科目だったら、とりあえず過去問を押さえるのがいいんじゃないかな」

 

「うん、私もそんな気がする。あ、てか願書提出日いつだっけ」

 

「十二月……来月末だよ。大学のサイトから請求できるはず」

 

「じゃあ帰ったらサイト見てみる」

 

「間違えてハートのクッションとか買わないようにね」

 

「ぼーやんこそブタ侍のシールとか買っちゃだめだよ」

 

 真面目な話とくだらない冗談を交互に繰り返す。いつもの幼馴染の会話だ。

 

 二人並んで勉強したり他愛もない話をしたりする。

 やっていることは付き合う前とそう変わらないのに。

 

 ――あ……ぼーやんの肘。

 

 互いの肘が当たった瞬間、彼女の心の声が聞こえた。

 さっきから俺と体のどこかが触れるたび、アヤが肩だの二の腕だの心の中でつぶやいている。

 

 正直、平静を保つのに精いっぱいだ。

 

「とりあえずアヤの課題は英作文だけど、そこに集中するより単語とか文法を固めたほうがいいと思うよ」

 

「うん、だね。ぼーやんは長文読解がちょっと弱めだから、やっぱ過去問一択かな」

 

「だよな。ごめん赤本取ってくれる?」

 

「ほい」

 

 アヤが赤本を手渡そうとこちらに体を向ける。

 テーブルの下で彼女の膝が俺の太ももに当たった。

 

 ――あ。

 ぼーやんの足。

 あったかい。

 

 触れたところから、またもやアヤの心情が流れ込んでくる。

 

 こすれ合う肘、太ももをつついてくる彼女の膝にドキドキしてしまう。

 

 まるで付き合う前、俺たちがまだ普通の幼馴染だったときみたいだ。

 あの頃も、俺はアヤに肩を叩かれたりトンと小突かれたりした場所を、妙に意識していた。

 

 当分セックスはしない。そう決めたことで逆に過敏になってしまったのだろう。

 まるで片思いを募らせる初心な男子だ。

 

 図書室という禁断めいたシチュエーションなのも悪い。彼女の体温や息づかい、皮膚の柔らかさにいつもよりエロスを感じてしまう。

 

 そんなことを悶々と考えながら、真面目な話をなんとか続ける。

 

「単語と文法も、とりあえず過去問から間違いやすそうなの拾っていこうか」

 

「いいね」

 

 アヤがわずかに身を乗り出し、ショートの茶髪がふわりと揺れた。

 彼女がいつも使っているシャンプーの匂いと、その体から分泌される甘い香りが鼻腔をくすぐる。

 

 やばいな。

 理性で抑え込もうとすればするほど、アヤへの情欲が湧き上がって仕方がない。

 過去問のページをなぞる彼女の細い指ですら妖艶だ。いや、それは前からだが。

 

「あ、ぼーやんこれ分かる? divine……ってどういう意味だっけ」

 

「確か『神聖な』とか『神の』って意味だったはず」

 

「んふ、じゃあdivineぼーやんって覚えるよ」

 

「なにそれ」

 

「最後にぼーやん付けたらなんでも覚えられる気がして」

 

 アヤが俺の横顔を見ながらくふふと笑う。

 

 ――ぼーやんの唇、乾いてる。

 キスしたら、カサカサするのかな。

 あ、喉仏ちょっと動いた。

 ぼーやんの喉仏……触りたいな。

 やばい。

 体の奥、ジンジンする。

 私もケジメつけなきゃなのに。

 ぼーやん。

 我慢、むずかしいよ。

 

 焦がれるような欲求が流れ込んでくる。

 どうやらアヤも俺と同じらしい。我慢すると決めたせいで逆に高まってしまったらしい。

 

 これは、ちょっとクールダウンしないと性欲が爆発しそうだ。。さすがに理性がもたない。

 

「……アヤ、のど渇かない?」

 

「あ、私自販機行ってくるよ」

 

「いいよ、俺買ってくる」

 

 とりあえずキンキンに冷えたアイスコーヒーを飲みたい。

 

「ううん、私トイレ行くからそのついでに買ってくる」

 

 ――どうしよう。

 今日、下着の替え持ってきてないのに。

 こんなに、濡れて。

 ぼーやんのばか。

 

「え……?」

 

 思わず体が硬直する。

 

 その隙に、彼女が立ち上がってしまった。

 

「ぼーやんはコーヒーでいいよね……うんと冷たいやつ」

 

「うん、冷たいのお願い」

 

「じゃ、ちょっと待ってて~」

 

 アヤがすたすたと出口へ歩いていく。

 その後ろ姿、スカートの内側でぐっしょりと濡れているだろう下半身に目が吸い寄せられる。

 

「はぁ……まいったな」

 

 俺は図書室の窓へと視線を移した。

 秋風に揺れる木々の枝葉を一つ一つ数えながら、股間の興奮が収まるのを待つ。

 

 これは今までの人生で、一番ハードな試練かもしれない。

 

 

 こうして俺の――俺たちの我慢の冬が始まった。

 

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