【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話 作:月見ハク
文庫版3巻も出ました!
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雪合戦と初めてのシックスナイン・前編(百七十日目・土 午後)
雪の降り積もった路地を、ぼーっと眺める。
一晩中降りそそいだ初雪で、見慣れた道は白銀の世界に変わっていた。こんな大雪は何年ぶりだろうか。
吐く息は白いが、カンカン晴れの太陽と雪の照り返しで、着込んだ服の下がじんわり汗ばんでくる。
「ぼーやん」
背後から猫がおねだりするような声が聞こえた。少し甘えたような声色に、俺は無条件で振り向いてしまう。
「えいっ」
顔面に冷たい雪玉が叩きつけられた。
「油断したな、勝負はもう始まってるよ」
「アヤ、ちょっとタンマ」
「ふふ」
慌てて地面の雪をすくい取ろうとする俺の背中に、アヤがまたしても雪玉を投げてくる。
何度か背中に衝撃を受けながら、やっと特大の雪玉を完成させた。振り返ると、すでに彼女は数歩先まで距離を取っている。その足下に放り投げると、アヤは見事な足さばきでかわした。バドミントン部で鍛えた身のこなしだ。
「足を狙うとは、やるねぼーやん」
すばしっこいサイドステップを踏んだと思ったら、再び雪玉を投げてきた。図体の大きい俺はアヤの格好の的だ。子どもの頃から、彼女に雪合戦で勝った試しがない。
「アヤ、ちょっとタンマ」
「そんなこと言ってぶつける気でしょ?」
バレたか。
俺は隠し持っていた小さい雪玉を放るが、今度はバックステップでよけられてしまった。
真っ白な世界を背景に、アヤの茶色いショートカットがふわりと浮かぶ。少しだけ鼻を赤くした美少女が楽しそうに笑っていた。
(可愛すぎるだろ)
彼女はだぼっとした黒いダウンジャケットに、首元には深緑色のマフラーを巻いていた。俺がクリスマスにプレゼントしたものだ。
下はジーンズに長靴。そんなシックな装いなのに、雪の照り返しのせいかアヤの全身がキラキラと輝いて見えた。
俺はといえば、自前のコートの下に昨日彼女にもらった上下緑色のスウェットを着ている。コートのポケットには、これも昨日アヤにもらったバレンタインチョコの包み紙が入っていた。
昨夜、我慢の冬が明けた俺たちは、アヤの家で狂ったようにセックスをした。今日起きてからも耐え切れずに彼女を襲い、一緒にシャワーを浴び、遅い朝食を取り、この雪合戦に至る。
何度もアヤを抱いたはずなのに、雪の上を駆けるたびにゆさゆさと上下する胸元を見ていると股間に熱が集まってきて困る。ダウンジャケット越しでも揺れが分かってしまうそのボリュームを、つい目で追ってしまう。
バシャ、とコートに雪玉がぶつかる。
「ぼーやん、ぼーっとしすぎ。そのまま雪だるまになっちゃうぞ」
「ああごめん……見惚れてた。アヤが可愛くて」
真顔で言うと、彼女が雪玉を持ったまま固まる。だがハッと何かに気づいたように後ずさった。
「その手には乗らないっ」
アヤが大きく振りかぶった。すべてお見通しだと言わんばかりのすまし顔が面白い。
「ほんとだよ。トナカイみたいですごく可愛い」
「鼻赤くないしっ」
俺は今日何十発目かの雪玉をくらった。
「ふ~……ぶつけたぶつけた、やっぱり私の圧勝だったね。久々で不安だったけど、腕はなまってなかった」
アヤがやりきったという笑顔を向けてくる。
彼女は運動神経がいい。とりわけ球技のセンスは抜群だ。しかも勝負の類となると本気で挑んでくるから、俺はバッティングセンターとか卓球とかバスケとか、だいたいの球技で負けてしまう。
「雪合戦したのなんて、小学校以来か」
「あのときも私がビシバシ当ててたよね」
「うん、すばしっこくて猿かと思ったよ」
「だれが猿じゃい」
アヤが中途半端な大きさの雪玉をポテっと当ててきた。
もう少し彼女が飛び跳ねる姿を堪能してもいいが、俺たちには仕事がある。
「じゃあそろそろやろうか、雪かき」
「あ、うん……ありがとね、手伝ってもらっちゃって」
見渡せば、すでに道沿いの数軒は雪かきを終えている。
「雪かき用のスコップとかあったっけ?」
「多分物置きにあるんだけど、探すの大変だから向かいのお家に借りようかと思って」
「そっか」
向かいの家は朝早くに雪かきを終えたようだ。
てっぺんにあったはずの太陽は、すでに高度を下げている。早めに済ませたほうがいいだろう。
俺たちはスコップを借り、せっせと雪かきを始めた。
「こんなもんかな」
「うんっ、ほんとありがとね」
小一時間も掛からず、玄関先をすっきりさせることができた。アヤの両親は夕方ころに温泉旅行から帰ってくるはずなので、その前に済ませられてよかった。
「もうお父さんたち帰ってくるんだよね? 俺もそろそろ帰るよ」
「じゃあ私も行く」
「え?」
いつの間にか腕まくりをしていたアヤが、その細腕でスコップを掲げる。雪のような白い腕に、つい目が行ってしまう。
「ぼーやん家の雪かきもしなきゃだし。カエデさん、帰ってないんでしょ?」
彼女が「任せてよ」といわんばかりに大きな胸を張った。
正直、雪かきでもなんでもアヤと少しでも一緒にいられるのは嬉しい。
俺はさっきスマホに届いたメールを開く。
「姉貴、雪の中帰るのはダルいから現場近くのホテルに泊まるってさ」
「なら決まり。ちゃっちゃと済ませちゃおう」
「ありがとう。助かるよ」
「ふふ、お安い御用だぜ」
俺がスコップを持っていないほうの手を差し出すと、アヤが手のひらを重ねてくる。
互いの冷たい手を温め合うように、俺たちは指を絡ませた。
アヤの手を引き、車のタイヤ痕で雪が取り除かれたところを歩く。
靴底が滑るので、歩くペースはいつもよりゆっくりだ。
いつもの通学路なのに、白く染まった家々を眺めていると別の世界に迷い込んだ気がしてくる。
「なんか不思議な感じ」
アヤも俺と同じことを思ったようだ。
「日中なのに雪で覆われてるから静かだしね。俺とアヤの足音しか聞こえない」
「うん、そうだね」
俺が手を引いているからか、彼女は安心したように目を閉じた。足音に耳を澄ませているようだ。
たまに滑りそうになるのか、そのたびにぎゅっと手を握ってくる。
「ぼーやん、公園ついたら教えて」
「公園? わかった」
少し歩くと、馴染みの公園が見えてきた。
俺とアヤの家のちょうど中間地点にある公園だ。
修学旅行の最終日、一緒にお弁当を食べたのが懐かしい。中華レストランのバイト帰りに彼女を抱いた屋根付きベンチも、今は雪を被っていた。
立ち止まり、後ろに声をかける。
「アヤ、着いたよ」
「……うわぁっ」
ゆっくり目を開いたアヤが、まるで宝箱を開けたような声を上げる。
公園はまっさらな雪で覆われていた。ところどころに犬や子どもが歩いたのだろう足跡が点々と続いているが、それ以外は一面の白だ。
「おりゃ」
見れば、アヤが公園の雪にズボ、ズボと長靴で穴を開けている。そういえば小学生のときも、彼女はこうして初雪を踏み鳴らして楽しんでいた。
「ぼーやんもおいでよ。気持ちいいよぉ~」
子どもみたいだね――そう言いかけて、やめた。
「じゃあちょっとだけ」
今度は俺のほうがアヤに手を引かれて、真っ白な公園を歩く。
二人ぶんの耳心地のいい足音が響く。柔らかい雪に足が埋まる感覚は、なるほど確かに気持ちがいい。
――もうちょっと一緒にいたいな。
繋いでいる手をつたって、心の声が聞こえた気がした。
今、神様の直感は俺たちが変えてしまった未来のシミュレーションのほうに忙しいためか、アヤの心情が流れ込んでくることはない。
でもさっきから彼女が、俺との時間を引き延ばそうとしているのがなんとなく分かった。
「……ごめんね、もうちょっと……ぼーやんと一緒にいたくて」
アヤが前を向いたままつぶやく。
どうやらもう、直感の力は必要ないようだ。彼女は自分で不安や嫉妬やわがままだと思っている感情も、素直に言おうと決めたらしい。
「俺も同じだよ。一秒でも長く一緒にいたい。二人で公園の雪を全部踏んで平らにしたいくらい」
するとアヤがぷっと小さく笑う。
「それだと日が暮れちゃうし。こういうのは近所の子どもたちにも取っておかないとだし」
彼女が手をぎゅうっと握ってくる。
――よかった。おんなじ気持ちで。
アヤの温もりが、そう言っていた。
俺たちはじっくり時間を掛けて無数の穴ぼこを空けてから、公園を出た。
「こんなもんかな?」
アヤが積み上げた雪の山にスコップを突き刺す。
「ああ、本当に助かったよ。ありがとう」
俺の家の前も、小一時間しないうちに片付いた。
空はもう赤みがかっている。日が暮れると地面が凍ってしまうので、その前に雪を除去できてよかった。
そろそろ夕方だ。
彼女の両親や弟のヒロト君が帰ってくるころだろう。
「アヤ、もう――」
ブブッとポケットが震える。
スマホを取り出してみると、姉貴からのメールだった。
『明日現場早いからホテルにもう一泊するわ。雪かき頼んだ』
「もう終わってるよ」
ため息をついて顔を上げると、アヤも自分のスマホを凝視していた。指を滑らせて返信を打っているようだ。
少しして彼女もこちらを見る。眉をちょっとだけ寄せ、いつもお願いごとをしてくるときの顔をする。
「ぼーやん、あのさ……うちの親、今日も帰らないみたい」
「え?」
「道が混んでるから途中の温泉に泊まるんだって。温泉好きだよね、あの人たち」
「そうなんだ」
「うん、それでね……ヒロトも今日は帰ってこないんだ」
悪だくみに成功したという声色だ。もしかしたらヒロト君にもう一泊するよう頼んだのかもしれない。
「そう、なんだ……だったら」
「あのさ、今日もうち……泊まる?」
「泊まる」
被せ気味に即答する。なんなら俺の家に泊まろうと誘うつもりだったが、アヤともう一晩一緒にいられるならどこだっていい。
「即答かよ~」
「即答するでしょ」
「うん、そうだね」
二人でぎこちなく微笑み合う。妙に照れくさいのはなぜなのだろう。
「じゃあ戻ろっか。スコップ返さないとだし、ぼーやんの鼻真っ赤だし」
「アヤもね」
「ふふ、寒いんだから当たり前じゃない?」
そんな挑発には乗らないぞという顔だ。この顔を見ると、もっとからかいたくなってくる。
「そう? そんなに寒いかな」
アヤに顔を近づけ、鼻と鼻をくっつけてみる。
「ほぇ……!?」
素っ頓狂な声を上げて目を丸くする彼女がおもしろい。
「確かに、アヤのほうがあったかいね」
「なにそれ……っ」
アヤが頬まで赤くしていく。触れ合う鼻もどんどん温かくなってきた。
それをからかおうかと思ったが、やめる。求めるように揺れる瞳を見ていたら俺の顔も熱くなってきたからだ。これではおあいこになってしまう。
「アヤの家、戻ろうか」
「……そだね」
来たときよりもずっと強い力で、手をつなぐ。
歩き出すと自然と早足になってくる。俺たちは十五分の道のりを十分で戻った。