【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話 作:月見ハク
甘い香りがして、目が覚める。
まぶたを開けると、自分の部屋の見慣れた天井。
その視界の端からずいっと、茶髪でショートカットの美少女が覗き込んできた。面白いものでも見るような顔が、にっこりと笑う。
「寝ぼーやん、おはよ」
「……目覚まし掛けたんだけどな」
「私が早起きしただけ。まだお昼過ぎだよ」
「アヤは何時に起きたの?」
「ん? さっき」
それは早起きとは言わない……というツッコミはやめておく。
昨日は卒業式でいろいろと忙しなかったし、なによりアヤには十分な睡眠を取ってほしい。
「挨拶に行くの、三時でいいんだよね」
「うん、だからぼーやんはもっと寝てていいんだよ。なんなら今日はやめとく?」
心配そうに眉をハの字にするアヤが、どこかお母さんみたいだ。
昨日の卒業式、俺は過労で見事にぶっ倒れてしまったので、そのへんを心配してくれているのだろう。
「いや、こういうのは早いほうがいいと思うから、行くよ」
「うん、分かった」
彼女は床にしゃがみ込むと、枕元に突っ伏してじいっと見つめてきた。ちょっとだけ真顔なのは、緊張しているからだろうか。
その左手の薬指には、シルバーの指輪が光っている。
「アヤ、大丈夫だよ」
体を横に向けて、彼女と見つめ合う。安心させるように微笑むと、アヤも同じように笑う。
「知ってる」
重ねた手のひらから伝わる心音は、二人とも落ち着いていた。
今日、俺たちはアヤの妊娠を報告しにいく。
「ぼーやん、こっちのジャケットのほうがいいよ。うちのお父さん、このジャケット着たぼーやん気に入ってたし」
アヤがクローゼットから黒いジャケットを取り出して、立っている俺の前に掲げて合わせる。
「うん、やっぱこれが一番ぼーやんっぽい」
彼女としてはブラウンカラーのジャケットも捨てがたいとのことだが、総合的に考えて黒のほうがいいと判断したらしい。
ジャケットの中はクリーム色のニットで、下はジーンズを穿いている。変に堅苦しくなく、それでいてフォーマルな感じも醸し出せるいい感じのバランスらしい。
二十分ほどで、アヤプロデュースによる全身コーディネートは終了した。
鼻息荒く、こっちを眺めてうなずいている彼女が面白い。
「アヤの格好も、すごくアヤっぽくて可愛いよ」
「ふふ、ありがと」
嬉しそうに笑うアヤが、やっぱり可愛い。
最近になってやっとこの手の褒め言葉を、照れずに受け止めてくれるようになった。
彼女は白いセーターに下はジーンズと、俺の格好に合わせた出で立ちだ。曰く、お父さんには効果的な服装らしい。
どう効果的なのかは分からないが、こうしてアヤに服装を選んでもらっていると新婚感があっていい。できれば今後もお願いしたい。
「制服ぼーやんも、昨日が見納めだったんだね」
彼女が壁に掛かっている俺のブレザーを眺めて目を細めた。
「たまには着てもいいんじゃない」
「いいね! 制服デートしようよ」
「制服着たアヤを抱きたいし」
率直な本音をこぼすと、アヤが呆れたようなため息をついた。
「はぁ……ぼーやんはえっちだなぁ」
「だめ?」
「……たまにだからね」
呆れたような口調に恥じらいがにじんでいる。
俺は股間が隆起したのをごまかすために、優しげな笑みを浮かべた。
「とりあえず朝、いや昼飯食べようかな。アヤもまだだったら作るけど?」
「あ、私は食べてきた。んでさっきカエデさんと一緒にぼーやんの作っといたよ」
「……だし巻き卵、ある?」
「んふふ、ある」
それは嬉しい。アヤの実家で食べたお手製だし巻き卵は、一瞬で俺の好物のトップに躍り出た。
「大事な日に食べられるなんて、幸先いいな」
「んふふふ、そう?」
なにより料理を褒められてまんざらでもない顔を浮かべるアヤを見られるのだから。
◇
姉貴と三人で美味しい朝昼ご飯を食べ、いざ戦場へという気分で徒歩十分の場所にあるアヤの家を訪れる。
満面の笑みを浮かべるアヤのお母さんに通されたのは、一階リビングの隣にある和室だった。この部屋を使ったところを見たことなかったが、なるほどこういうときに使うらしい。
「お母さんにはもう伝えてあるから」
アヤがそっと耳打ちしてくる。
「そうなんだ」
ということはお父さんは初耳ということになる。
とはいえ和室を指定したことといい、弟のヒロト君は二階にとどまらせていることといい、お父さんも結婚とか同棲以上の大事な報告があることを察しているのだろう。
アヤと二人で下座に腰を下ろすと、すぐにお父さんがやってきた。
「ああぼーやん、卒業おめでとう」
「ありがとうございます」
ローテーブルの反対側にどっかりと座ったお父さんは貫禄があった。強面でトレンディ俳優のような顔が、いつにも増して濃くなっている気がする。
隣に座るお母さんも、にこにこ顔ながらどこか緊張しているように見える。
普通だったら口から心臓が出てしまうような場面なのだろう。
だが俺は平然と、でも覚悟を持ってお父さんを見つめた。
「今日はお父さんとお母さんに、大事な話があって来ました」
一拍置いて続きを話そうとすると、隣のアヤがすっと俺の腕に触れてきた。見上げる彼女と目が合う。
――大丈夫、私に言わせて。
そう視線で訴えている。瞳には確信めいたものが宿っていた。
俺は彼女を信じて小さくうなずく。
「あのね、ぼーやん……リュウジくんとのあいだに、赤ちゃん……できました」
「なっ……ほんとか?」
お父さんが眉間に深いシワを寄せ、目を見開く。アヤのお腹のあたりを凝視して、それから俺を見て「本当なのか?」ともう一度聞く。
「はい、本当です」
「…………そうか」
お父さんはローテーブルに視線を伏せると、両手をぐっと握り込んで動かなくなった。
怒って、いるのだろうか。
普通だったら学生の間に中出しセックスをしまくって孕ませたとあっては、殴り飛ばされてもおかしくないのだろう。
だが、だとしても認めてもらうしかない。
「アヤと子どもは、僕が責任を持って幸せにします。何不自由なく生活してもらうために、大学に通いながら働けるところも見つけました。収入も問題ないです。育児も家事も分担するつもりです。彼女に苦労も面倒も、寂しい思いもさせません」
そのために、この冬は死ぬ気で頑張ってきた。
見れば、お母さんが目を丸くして「すごいわね」と小さく漏らす。お父さんのほうは下を向いたままだ。
やがて、絞り出すような低い声が響く。
「それは、そうだろう……ぼーやんだからな」
「私も育児も家事も頑張るよ、大学だってちゃんと通う」
アヤが目を潤ませ、それでもまっすぐお父さんを見つめる。お父さんも彼女を見て、また目線を伏せた。
「アヤは、分かっているのかいろいろ。まだ若いうちに…………いいのかそれで」
低い声がさらに凄みを増し、飛び掛かる寸前のライオンのようだ。
だがアヤは動じることなく、落ち着いた表情でお父さんに微笑んだ。
「うん……私は、大丈夫だよ。ぼーやんが一緒だから」
「……そうか」
お父さんがまたも俺を見る。眼光を鋭くなり、握りしめた拳が震わせている。
俺はいよいよ殴られるかもしれないと覚悟を決めた。
少しの沈黙が流れる。予想していた拳は飛んでこない。その代わり。
「そうかっ……そうなんだな」
お父さんは拳を震わせながら、涙を流していた。
泣いたところなんて見たことがなかった人の涙に、唖然とする。
「いや、まさかそういうことになっているとは……赤ちゃんとかそういうのは、もうちょっと先かと、思ってたよっ……」
震える声色には、娘が巣立ってしまう寂しさや、ガキの俺では考えも及ばない色々な感情がこもっていた。でも一番伝わってきたのは、たとえようのない嬉しさだった。
「くそっ……そうか、ぼーやんに……俺たちに、新しい家族ができるのか」
その言葉に、こらえていた涙腺が決壊しそうになる。俺はこの人と、いやこの人だけでなくお母さんやヒロトくんと家族になりたいと、ずっと思っていた。
お父さんが「俺たち」と言ってくれたことが、たまらなく嬉しい。
「ぼーやんのことだから、ちゃんと先のこと……考えてるんだろ?」
お母さんに背中をさすられ、赤く目を腫らしたお父さんがキッと見据えてくる。
「考えてます。この先も、ずっと先のことも」
「そうかっ……まあ、ぼーやんだもんなぁ」
本当に、この人たちはどれほど俺を信頼してくれているのだろう。この信頼を全部返せる日なんて来るのだろうか。
「ぼーやん、アヤのこと、頼んだぞ……幸せにしてやってくれ」
お父さんなりの、認める前の最終確認のようなものだと思った。
アヤを幸せにする。それは当たり前のことだ。俺はもっと――。
「俺はアヤを笑顔にし続けます」
お父さんがぐうっと喉を鳴らした。隣のお母さんも笑顔を浮かべながら涙を流している。温かい人たちだ。この家族の一員になれて、本当によかった。
「わ、私もっ……」
見れば、アヤも下唇をきゅっと噛みしめ目に涙を浮かべていた。
「私も、ぼーやんのこと幸せにするから」
「そうか……なら安心だな」
ついにお父さんは、テーブルに突っ伏して泣き出してしまった。
お母さんがお父さんの肩をさすりながら、俺たちに目配せをする。もう行っていいよと言われている気がして、アヤを見る。
アヤはコクリとうなずくと、俺の腕を引いて立ち上がった。
俺たちが和室のふすまを閉めると、中から聞いたことのないような泣き声が聞こえてきた。
なるほど、お父さんに心置きなく号泣させるための配慮だったのかと思い至る。
アヤに引っ張られるままに玄関から外に出ると、目を腫らした彼女が振り向いた。
「ぼーやん、ありがとね……あんなお父さん、初めて見た。ほんとは涙もろいって聞いてたけど、あんなに泣いて喜んでくれるなんて思わなかったよ……」
「そうだね……俺はてっきり殴られるかと覚悟してたよ」
「ふふ、お父さんに限ってそれはないよ。うちのお父さん、ぼーやんのこともう一人の息子みたいだって、いつも言ってたから」
「そう、なんだ」
不意打ちで明かされた事実に、いよいよ涙がこぼれそうになる。
「今日はさ、帰ってもらって大丈夫だよ。多分このあと、私とお母さんで夜通しお父さんを慰めることになるから」
「そうなんだ……」
娘が結婚して、子どもまでできてしまったお父さんの気持ちは、俺にはまだ分からない。でもいつか、共有できる日がくればいいなと思う。
「ヒロトくんには、アヤから伝える?」
「あーまあ、ヒロトは大丈夫だよ。適当に伝えとく」
「いいの? そんなんで」
「多分だけど……もうお母さんから伝わってると思うから」
「そうなんだ」
玄関先を出て、道に出る。
「じゃあ、また明日学校……はもうないのか。また明日挨拶しに来るよ」
「うん、待ってる……あ、そうだぼーやん」
「ん?」
「これからはさ、ぼーやんのことリュウジって呼んでいい?」
「え、どうしたのいきなり」
それは、アヤに普段から下の名前で呼んでもらえるのはガッツポーズをするくらい嬉しいことだが。
「いや、前から思ってたんだけどさ……最近のぼーやんは全然ぼーっとしてる感じじゃないし、これから夫婦になるにあたって、その……ケジメといいますか……私もそうやって呼びたいな~、なんて……思ったりしてて……っ」
なぜかどんどん照れていくアヤが面白い。
「もちろん嬉しいよ」
「そっか、じゃあこれからはリュウジって呼ぶね。……リュウジくんとどっちがいい?」
リュウジとリュウジくんか……正直どちらも呼ばれたら嬉しい。
「できれば併用してほしい」
「それややこしいよ~、じゃあリュウジね!」
「うん、よろしく」
「よろしく、ぼー……リュウジ!」
これはリュウジ呼びに慣れるまで、しばらく掛かりそうだ。
彼女に手を振って、俺は商店街のほうへ歩き出す。
さっそく二人……いや三人の新居を決めなければならない。
もうすでに目星を付けた物件がある。
大学の入学手続きやら、アヤの妊娠の準備とか、やることはいろいろある。今手伝っている仕事も軌道に乗せないといけない。
課題は山積みだ。
でも。
「大丈夫だ、問題ない」
なぜか、そういう確信があった。
俺はポケットの中で拳をぎゅっと握り締めると、いつもと同じ速さで歩みを進めた。
久々の投稿にも関わらずここまで読んでいただきありがとうございます。
今話のその後……新婚大学生編は6巻で、卒業式前のスノボ旅行の模様は先日発売した7巻で描かれています(時系列がややこしくてすみません!)
【6巻】
Kindle:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CSNNBVCB
FANZA:https://book.dmm.co.jp/product/4257044/b126afrnc00937/
【7巻】
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FANZA:https://book.dmm.co.jp/product/4257044/b126afrnc02641/