本番は今週中に……。
「あ〜食った食った〜また食べに行きたい……え〜ぷぅっ」
「まったく汚いでしょリョウ。ま、リョウが追加で食べてた小籠包とカレードリア美味しそうだったしねぇ。嗚呼……柚子ソース掛けの生湯葉丼、嶺岡豆腐の味と舌触りは忘れられないよぉ」
リョウは寝っ転がって幸せそうに目をつむっており、虹夏は4人分のお茶を淹れていた。
「私は特にナマズの天ぷらが美味しかったです! 意外と食べられるレベルでと言うか、普通に美味しくてびっくりしました!」
郁代はイソスタにあげる写真を、さっき食べていた夕飯の写真から選んでいる。
結束バンドが夕食から部屋に戻ってきて、15分ほど経っていた。
「あ〜わっかるぅ〜。あたしも、伊地知家の明日の月イチ天ぷらディナーは魚の天ぷらにしよっかなぁ。ちょうどお姉ちゃんの知り合いからキス貰ったし」
それを聞いた郁代が、写真選びを中断して虹夏の方へ身を乗り出す。
「! 伊地知先輩ってお魚の天ぷらも作られるんですか〜凄いわっ。油はねたり火傷とか怖くないですか?」
「たしかに最初は火傷とか、油のにおいでちょっと胃が気持ち悪くなったり、揚げ過ぎちゃうけど、案外熱さやニオイとか対処できるもんだよ」
「なるほど~。ていうかほんと、家事スキル高すぎです〜。どうしよう、伊地知先輩をお嫁さんに貰ってもいいですか!」
「えー、あたしの事貰ってくれるのぉ? ま、あたしも喜多ちゃんみたいな可愛い女の子のお嫁さんになるのもやぶさかじゃあないぜ」
「ならさっそく式でもあげちゃいます?」
「いいね〜式場は猿田彦神社で!」
「渋い! でも芸能の神様をお嫁さんにしてるしその女神さまも祀られてて、私たちにはぴったし!」
虹夏と郁代はきゃっきゃ、きゃっきゃと笑い合う。だが、そんな二人のイチャイチャした会話にリョウが割り込んだ。
「虹夏は渡さんぞ郁代。虹夏には私の老後の介護まで面倒を見てもらうんだ」
「ちょっとリョ――」
「あんまりですよ! 伊地知先輩っ。リョウ先輩と一生を添い遂げるつもりなんて……。ごめんなさい伊地知先輩。伊地知先輩と結婚したら、今度は私もリョウ先輩とも結婚します♡♡♡!! そうして伊地知先輩と一緒にリョウ先輩に可愛がってもらいます♡♡♡♡ 不倫するよりよっぽどマシですよね! ああでも、さすがにリョウ先輩との夜の営みの方が情熱的になって回数も多くなりますのでもう一度ごめんなさい伊地知先輩っ」
「っふ。よき哉よき哉郁代。キサマも私の運命の奴隷にでもなってもらおうじゃあないか」
「はいっ(キターン♡)」
「なら結婚式の一日の食事代は郁代持ちね。式費用は私もちょっとは出す」
「私との結婚式にお金を出してくれるなんて……リョウ先輩優しいっ、委細承知です(キタキタキターン♡♡)!!」
「……ヤバ過ぎんだろ」
虹夏となんちゃって(?)結婚話をしていた時よりも郁代はテンションが高くなっては、そんな彼女をリョウが煽る。虹夏は白けたような目つきで阿呆二人を見ていた。
虹夏はため息をついてからリョウとリョウ狂いにお盆に載せた番茶を渡しに向かう。そして、自分に一番近かい場所にいた、飼い主に向かって尻尾をフリフリする子犬のように興奮する喜多郁代に渡す。
「あっ、ありがとうございます伊地知先輩」
「どぉいた〜。……ところで喜多ちゃんはイソスタ写真何上げるか決まった?」
「天ぷらはもちろんですが、あと2品は写真あげたいですね、でもいっそ全部あげようかしら」
それから虹夏はリョウに番茶を手渡す。すると郁代は虹夏にある提案を持ちかけた。
「あっ、あのですね伊地知先輩、今度の都合がいい日に結束バンドで何かお料理会しません? で、作った料理や作ってる最中を投稿するんです。それに、もしよければその会を時々開催します。バンド活動の一環で」
「お料理会開くのも投稿するのもいいけど、なにゆえ?」
「最近は、と言うか、声優さんやキャンパーさん、ユーチューバーの方達ってご飯作りをSNSとか動画サイトでアップしてはバズったり、再生数稼いでるじゃないですか。で、それを結束バンドもやってみるんです。音楽とはかけ離れてるし、結局はバンドの腕前がモノを言いますが……結束バンドをより多くの人に知ってもらうのにどうかなと」
「おお……。そうゆう手もあったねぇ。さすがSNS大臣。うん、やろう!! 奮わなくともあたしらの練習の息抜きにもなるし、なによりも普通に青春の思い出の1ページにもなる……。バズったらバズったでテレビでも紹介されちゃったりしてぇ」
「ただ……リョウ先輩はどうでしょうか。ちょっと軟派すぎますよね……」
「いいんじゃないの。私も手伝うよ」
「! よかったぁ……。ありがとうございます……伊地知先輩っ、リョウ先輩っ」
「へぇ~珍し……」
虹夏がリョウに感心するのかと思いきや、彼女は言いとどまった。
少しの時間を経ては、――手伝うってただ食いたいだけだろ山田、と虹夏が問うとリョウは番茶を啜りながら頷く。――ま、それでもいっか、と虹夏は自分を納得させるように呟く。
郁代がそのやりとりを見計らったようにそっと両手を、しっとりした指先と、ギターを弾くためチューニングされた指先を合わせて口を開いた。
「お夕飯の写真と一緒に、結束バンドに何を作ってもらいたいかアンケートとっちゃいます? 選択肢の内容はこっちが決めてって感じで」
「うん。それがいいね。じゃあ選択肢の内容決めよっか。ほーらリョウも参加」
「うーい」
「ぼっちちゃんもおいでー。勉強してるところごめんね」
虹夏は手にしていたお盆を畳の上に置き、あぐらをかいてはひとりを手招く。
ひとりは夕食から戻ったあと、彼女らの会話に加わらないように学校の週末課題を消化していた。下手に加わってしまえばリョウの時みたいになりかねないと逃げていたのだ。
青ざめながら、俯きながら後藤ひとりは3人の元へ移動する。
「はいこれぼっちちゃんの分」
ひとりが加わると、虹夏が番茶を持って、座ったままズササと移動してひとりの横にぴたっと位置どる。
「あっありがとうございます……」
「で、後藤さんは何を作ってみたい? 何を食べてみたいの?」
郁代もくっつくようにひとりの隣りへ。そして右手をひとりの膝に置く。
いい香りがして、ドキドキさせるような体温をした美少女二人にひとりは挟まれる。
だが、そんな胸キュンをひとりは味わうことはな出来ず、また死んじゃいそうと怯えながら座していた。
「あっ、え、えと。は、はは……」
「は?」
「伯邑考っ!」
「は、ハクユウコウ?」
「ップ……ちょっとぼっちちゃんいきなりボケるのやめて〜。合っちゃいるけどさぁ」
「私もぼっちと同じくハンバーグが食べたい」
「あぁ、ハンバーグって伯邑考とも言うんですか。知りませんでした」
「あっ、喜多さんはこんなスラング覚えない方がいいと思います……」
「ぼっちちゃんの言う通りかな。汚れてほしくない……って、実際はシリアスな泣ける場面だけど」
虹夏の発言に、ひとりが眉をぴくっとさせて、言葉にはしないがツッコむ。
――でも、みな様方はある意味けがれていますよね。私もそうなっちゃったけど……。
といったように、結束バンドは今度の休日に何を作るかのミーティングを煮詰めていった。
案が出そろい、それを郁代のイソスタ更新と共にアンケートとして投稿した。
これにてミーティングはお開きとなったのだが、リョウは真正面で正座しているひとりのことを、じと~と見つめていた。何か言いたげな視線である。
「虹夏と郁代さぁ、ちょっとぼっちとくっつきすぎじゃない?」
言われてみれば確かに、というかひとりは思わないようにしていたのに、しっかり認知してしまった。
右隣の虹夏の今日の体臭は人を安心させる、温かくて甘いミルクの様な仄かな香りが――。
左の郁代からアップル系のフルーティーな清楚感ある香りが、ひとりの鼻孔をくすぐる。匂いがひとりを包むだけならいい。けれどもひとりは耳たぶをフニフニされたり、二の腕、太もも等を二人にさすられており、気が気でない。特に、虹夏に尾てい骨あたりを撫でられたり――手を郁代に色っぽくすりすりされては変にくすぐったい。ひとりの子宮が降りてきそうな錯覚も覚え始める。
――だめだ、これ……。リョウさんされた時とおなじ違和感が……! あの時の気持ちいいの思い出しちゃうッ!! だめ、なの……。
その昂ぶりを、ひとりはなんとか抑えようと太ももをモジモジするようにこすり合わせる。
「こ、これは違うんですリョウ先輩っ!」
「違うも何も二人とも私へのあてつけでしょそれ」
「そうだよ。だってリョウが抜け駆けでぼっちちゃんのはじめてを奪ったんじゃん。みんな揃ってからって言ってたよね自分で」
虹夏に非難されるもリョウはやれやれと首を振った。
「ここに泊まれて、おまけに美味しいご飯たべられるの私のお陰じゃん? 私が先に食べちゃっても許されるはず。だよね郁代とぼっち?」
「あっ、ううん……っく。先輩の言う通りです。後藤さんもそう思うでしょ」
「あっはい……」
「……はぁ、わかりやしたよ。納得いかない3対1の構図だけども」
ふっと、勝ち誇ったようにリョウがほくそ笑む。
そしてリョウが番茶をのみほして、雌豹のように四つん這いになりこちらへ近寄る。「ぼっち……♡」と、妖しい笑みを携えてひとりの頬に触ろうと手を伸ばしてくる。
ひとりははっと息をのんでまぶたをぎゅっとつむった。
――やっぱりこうなるのおおおお!!? 天井のシミかぞえないとぉぉぉぉ……。でも目開けるのこわいっ――ううっ。
ぶるぶると震えて心の中で泣くひとり。
だが、リョウの手が自分の頬っぺたに触れる感触はおとずれなかった。
「ん?」
気になって恐る恐るまぶたを開けば、虹夏がリョウの手を掴んでいた。
「何するのさ伊地知虹夏」
「あのね、この旅館に着く前に喜多ちゃんと話し合ったの。喜多ちゃん準備」
「イエスマム」
「??」
虹夏に号令をかけられた郁代がリョウの背後に立ち回った。
その時の郁代はなぜか「はぁはぁ……!」息を上げながらリョウを見下ろしていた。そのリョウは嫌な気配を感じ取ったのだろう、ジト目になって後ろの郁代へ振り向く。
「ごめんなさいありがとうございますリョウ先輩!? でもこれはリョウ先輩が後藤さんと仲良くするのがいけないんですよ!!」
「なっ、何をするきだいくよっ――???」
ガバッ!!!
郁代がリョウに抱きついたのだ。顔をリョウのうなじにぐりぐりこすりつけて、彼女の動きを封じるように絡みつく。また、郁代はちゃっかりとリョウのおっぱいを揉んでいた。まるで、欲情して後背位から種付をして孕ませる姿だ。現に郁代はリョウのお尻に、自身のクリトリスに刺激を与える様に擦り付けている。
「ああ……せんぱい……っすぅ~~はぁぁ。りょうせんぱいのうなじのにおいしゅきぃぃ……」
「あっ、やっ、やめろ……! いくよの、吐息ぃ……首ぃ、きもちわるい……なまあたらかい――ッ。せめて……っ、揉むなぁ」
甘ったるい声を発する郁代を引き離そうとするも徒労に終わる。不意打ちの形で主導権を握られてそれが恥ずかしくて、郁代の湿った息がリョウの首にしっとり降りかかる感覚にゾワゾワしたからか、悩ましげな声を漏らす。
ひとりはそんな二人の寸劇に狼狽えながら隣の虹夏に答えを求めようとするも、隣におらず、虹夏はリョウのバックを漁っていた。
よーしあったぁ――と虹夏は変なモノ達をとりだした。
それは、陰キャなひとりでも分かるモノ――赤色のボールギャグ、ピンク色のアイマスク、赤黒い拘束ベルト、青色の豆粒上のローターだった。
「ゔお゛ぉおおいっっ!!」
あまりにもショッキングすぎてひとりは声を荒げた。
「うおっ!? その驚き方ちょっとやめてこわいから。ビックリするしどこぞのサメなの」
虹夏がひとりの声に驚いたが、驚きたいのはこっちだし、怖いと言いたいのも、やめてほしいのもこっちである。
それらを持つ虹夏が拘束されてるリョウのもとへ向かう。ひとりは固まったまま事の成り行きを見守る。というかそれしか出来ない。
そうして、リョウはどうやら自分が何をされるのか理解したらしく懸命にもがくも、郁代のリョウ大好きパワーには勝てなかった。そんな彼女を虹夏はにやにや笑いながら、ボールギャグを強引に咥えさせる。
「やっ、やめ?! む……ぅっむーーーっ!」
次にリョウは服を無理やり脱がされ、彼女の美しい肢体と清潔な下着が曝露される。リョウの太ももに汗が浮かび始めていて、微熱を帯びている。そのまま虹夏と郁代が結託してリョウをM字開脚させるように股を開かせて、足首と手首を繋げるようにベルトで拘束。
リョウはふむーッ!と声を出しながら虹夏と郁代をにらむ。
「リョウ先輩に睨まれるの、普段ならショックで寝込みますが……今はとってもエモいです! いつまでも見つめていたいですが先輩の目を覆いますね」
リョウが首を横に振ってアイマスクを付けさせまいとするもやはり無駄であった。
アイマスクで視界を封じられ、まっしろな頬は興奮して朱色に染まり、鼻息を荒くし、ボールギャグを咥える口からはヨダレを垂らし、白と水色の水玉模様のブラジャーとショーツだけを纏わされ、M字開脚ポーズになるように手足を絆にされる。
リョウにとって恥辱な、見事に無様な姿にされた。
「……つぎはぁ、リョウの下着ずらすね」
虹夏は頬を赤らめて彼女のショーツをおまんこが見える様にずらして、郁代がリョウのブラをめくった。リョウの乳頭はピンと固くなり始めていて――おまんこは防衛本能が働いたのか愛液でてらてら輝いていた。
そして、リョウを辱しめる二人は彼女にピンクのローターを乳首とクリトリスに装着させて電源をオンにした。
「んんんん~っ!?」
ぶるるると振動して乳首と陰核を責め始める。
受け入れたくない快楽から逃げる様にリョウはもだえる。けれどもリョウの自由は奪われていて、快感の波の享受を強制される。アイマスクでリョウの目は見えないが、アイマスクの下から雫が零れ落ちる。もしかしたら、リョウは攻めは強いが受けに回ると脆いのだろう。
郁代はそれをうっとりした目つきで見つめながら、自身のショーツの中に手を入れてクリトリスを慰めるよう弄りだす。
「りょうせんぱいっ……ゆるしてくださっ……ん♡ あ、あたしも、もうぬれちゃってるわ……」
金縛りにあったように固まっていたひとりは虹夏に問いかけた。
「ゑ……? あっ、ゑ?」
「リョウは出し抜いたでしょ? だから、ちょっとは痛い目見るべきだと思ったんだよ」
はぁ、とひとりは返答した。
――あのころの、陰キャでもまっとうに輝けるバンドだったはずの結束バンドはいずこに!? みんな結束しすぎでは!? 入るバンドを間違えた!!!
ひとりは心の中で叫びながら後悔して、うつむく。
でも、陰キャ中の陰キャの私が結束バンド以外で羽ばたけるヴィジョンも視えないし、詰んでる――とネガティブスパイラルに陥っていた。
そんなひとりに郁代が名残惜しそうにしながら近づく。
「それじゃあ後藤さん、しましょうか……」
「あっ、はい」
ひとりが郁代に露天風呂へと連れ出されていく。
「まって、ぼっちちゃん、喜多ちゃんっ。あたしも」
虹夏は慌てて二人についていった。