大学生とアラサーOL 極秘の通勤快楽 作:由波紫原
勇斗がOLに連れられて、人通りの少ない道を歩いた。途中、交番を2回程通りすぎたが、N・S似のOLは全くそこに向かうことはなかった。
やがて、個人経営らしき喫茶店が見えてきた。OLはそこのドアを躊躇いもせず開ける。ドアベルがカラカラと鳴り、マスターの案内を待たずして彼女は一番奥の、目立たないテーブル席へと向かった。
喫茶店は年季が入っているようで、木でできたカウンターの他に、これまた木製の4人がけのテーブルと椅子のセットが4つ、並んでいる。
流石にこの時間なのか、客は全くいない。OLはコーヒー2つ、とマスターに注文し、勇斗の顔を見て、かなり小さな声で言った。
「さて、今から聞く事に正直に答えて貰うわよ。まずは、そうね。名前から聞こうかしら」
「こ・・・・・古河勇斗です・・・・・」
「そう。学生?」
「はい・・・・」
「年は?」
「18歳です・・・・・・」
マスターがすぐにコーヒーを持ってきたので、OLは一旦、言葉を切り、マスターがテーブルから離れてからまた尋問を始めた。
「それで、あんな事をしたのは初めてかしら?」
「は、はい・・・・・・」
「住んでる場所の最寄り駅は?」
「森奈西です・・・・・」
「あら、私と同じじゃない。で、私のお尻を触った感想を聞かせてもらおうかしら」
「えっ・・・・・?」勇斗は混乱した。
「私のお尻を触った感想よ。正直に答えて」
「あっ、や、柔らかくて・・・・・・」
「柔らかくて?」
「何と言うか、気持ち良くて、さ、触っていたかったです・・・・・」
「ふぅん?そう」
やがて、OLは鞄からメモ用紙を取り出し、何やら書き込む。何を書いているのかは、勇斗にはわからない。この『取り調べ』のことをメモしているのだろうか。
勇斗は、まだ微かに湯気を上げているブラックコーヒーが入ったカップに視線を向けた。目の前にいる超絶美人で、実際、勇斗にとってどストライクに好みのタイプの女性の顔を、まともに見ることができない。
これから自分はどうなってしまうのだろう。その事しか頭に無い。いや、そのような事すら考えられなくなっているほど、勇斗は追い詰められていた。テーブルの対岸にいる女性が、交番に駆け込み、さっきの事を警官に話したら、自分はオシマイなのだ。
「ねぇ、勇斗君、と言ったわね。これを見て」
目の前のOLは紙を差し出す。それには、こう書いてあった。
佐渡山日菜子
29歳
新御木区森奈南2-13 パークハイツ森奈506
090-✕✕✕✕-✕✕✕✕
更にメールアドレスが2つ、書かれていた。片方はスマホで、もう片方はパソコンのもののようだ。
「えっ・・・・・・・・?」
佐渡山日菜子、という女性はもう一枚、紙を勇斗に差し出した。
「君のも書いて。私にちょうだい。そうしてくれないと、わかっているわね」日菜子は勇斗にしか聞こえない大きさの声で囁く。
「わ、わかりました・・・・・・・」
勇斗はノートや本が詰まった鞄の中を右手で探り、ようやく見つけたボールペンで自分のフルネーム、年齢、住所、携帯電話番号、メールアドレスを日菜子が差し出した紙に書いた。
「あら、ずいぶん近くに住んでいるのね」
そして、日菜子はテーブルに身をのりだし、話しかけた。
「ちょっと耳を貸してくれるかしら?」
「は、はい・・・・・・」
日菜子は勇斗の耳に触れんばかりに唇を近づけ、かなり小さな声で囁いた。
「今日のことは許してあげる、というか。そうね。私とこれから、朝の痴漢ごっこに付き合ってもらうわ。私とは毎朝8時に森奈西駅で待ち合わせ。金曜日の夜はお互いのアパートに泊まるの。もし、何か都合が悪くなったりしてできない場合は、必ず連絡すること。いいわね?」
「えっ、ええっ・・・・・・?」
ち、痴漢ごっこだって?こんな美人な年上の女の人と? しかも、金曜日にお泊まり・・・・・・?
「いいわね。わかった?」
「は、はい、わかりました・・・・・・」
「よし、それでよろしい。あ、私の事は気にしなくていいわ。今日の午前中は外回りして、実際に会社に行くのはお昼になってからだから。そうそう、コーヒーは契約のしるしに私の奢りってことで。じゃ、明日の朝、待ってるからね」
日菜子は伝票を持ち、喫茶店のマスターに二人分のコーヒーの代金を払い、颯爽と出ていった。
勇斗は、すっかりぬるくなったコーヒーを啜る。そこで、勇斗はすっかり自分の喉がカラカラに渇ききっていたことに気づいた。
さて、何はともあれ、まずは大学へ行かねばならない。今日は・・・・・・火曜日か。つまり、日菜子さんとの『お泊まり』は四日後ということになる。昨日が入学式で、二週間はサークル勧誘も兼ねたオリエンテーション期間だ。
元々、一匹狼でいることを好む勇斗にとって、サークルというのは煩わしいことこの上無い。おまけに、そんなものに所属してしまったら、日菜子さんとの『お泊まり』も楽しめなくなってしまう。
勇斗はコーヒーを飲み干し、スマホで地図を見て、ここから歩いて15分くらいの距離にある大学を目指した。