世界最強の男がTS憑依して範馬勇次郎に負けた挙句同意レイプされる話 作:白髪ロング娘スキー
第一話
瞼を射す光に目を覚ます。
まず最初に思った事は、体が重いという事だった。
生き永らえてしまったのか……
一粒で100時間以上は効果を発揮する精神安定剤、それを数百錠。
それに加えて入れ物の瓶まで呑み込んだというのに生きていられるとは……
相も変わらず、神というのはつくづく度し難い。
加護なんぞ、
とはいえ、流石にダメージはあるのか、体に纏わり付く倦怠感が強すぎて上手く動けない。
これならば、あと2~3回も繰り返してやれば死ねるだろう。
動けるようになったら買いに行かなければ。
そんなことを考えていた時、ふと足音が聞こえた。
ぱたぱたと何処か忙しなく、されど余りにも軽い音。
最早すでに聞き慣れた足音。
刺客か……丁度良い、動くのも面倒だったんだ。
良いタイミングで来たラッキーボーイに首でもくれてやろう。
そうして横になったまま待つこと数秒、部屋の扉が開かれた。
「お目覚めになりましたか、
現れたのは到底刺客が着る物とは思えない分厚い服を着た、黒い目と黒い髪をした妙齢の女だった。
とても鉄筋コンクリートの超高級ホテルで見かけるとは思えない恰好。
思わず唖然とする。
あれは……確かジャパニーズユカタ、だったか?
何故そんなものを着ている? 戦闘をする者として動きにくくて仕方ないだろうに。
いや、確かキョウトのオイラン達は男を惑わし暗殺する女版ニンジャ、クノイチだったか? ならばその恰好も不思議ではないが……それにしたって、何故無防備に声を掛けて来る? 視界の端に映っていたから見えていたが、女はこちらを一瞥もせず俯いたまま片膝をつきながら部屋の扉を開けていた。
そんな姿、あまりにも暗殺者として無防備すぎるだろうに。
いや、もしかしてこの思考をしている時点で既にあのクノイチの罠にハマっているのか?
なるほど……侮れん、これがジャパニーズワビサビか。
もはや思考が一転して面白い事になり始めていたがそれはそれ。
尚もこちらを一瞥もしない女が膝を整え、両手を床について頭を下げた。
思わず見惚れる程の美しいDOGEZA*1だった。
「おはようございます、輝夜様。私、本日から輝夜様のお付きとなりました、
そうして、その言葉にふと気付く。
この女、先ほどからカグヤカグヤと呼ぶが、誰も反応していない。
字面からして、どうやら女の名前のようだが……
そもそも、このホテルのこの部屋を取っているのは自分だけだ。
目的が自殺なのだから当然女も呼んでいない。
なにがどうなっている……?
段々と冷静になってきた頃、薬の影響も抜けてきたのか、軽くだが体を動かせる事に気が付いた。
それでも全身を襲う倦怠感は残っており、僅かに首を傾ける事で周囲を見渡す。
天井、ツヤツヤとした素人目にもいい木を使っていると分かる木目の天井だ。
もうこの時点でおかしいが取り敢えず今は無視する。
壁、薄い茶色で塗られた壁が目に優しく、妙な形の扉が目に付く。
あれは確か……ジャパニーズフスマ? という事はここはニホンか?
何故わざわざニホンに? 寝ている間に十分殺せただろうに。
鏡……正直あまり見たくないが、状況判断の為仕方なく見る。
目だけをそちらにやり……そこに映る姿を見た瞬間、思わず全身を襲う倦怠感も忘れ、勢いよく体を起こしていた。
腰まで届く光を反射して輪が浮かんだ黒い長髪。
何故そんなに大きいのか疑問になるほど、ぱっちりとしていて全てを呑み込みそうな、されど光の浮かんでいない黒い瞳。
ほんのりと肉付きの良い頬に切れ長の二重まぶた。
鼻はスーッと筋の通った良い形をしており、ほんの少し丸みを帯びた顎は思わず触れてみたくなるほどの色香を発していた。
というか、実際に触れてみた。
フニフニと柔らかく、されど内に秘められた確かな筋肉のコリコリとした硬さはえもいわれぬ感触を作り出していた。
そして、再度鏡に目をやる。
そこに映りこんだ絶世という言葉ですら表せない、立場上世界中の様々な美女美少女を見てきた自分でも、この女以上の女は見た事が無いと断言できる美少女。
そんな美少女は、確かに自分の手で自分の顎を触っていた。
まるで、自分のように。
というか、自分だった。
目の前の鏡に映っている美少女は、自分だった。
「
「わっつごー……?」
——— ———
実戦用の筋肉でムキムキだった細マッチョの自分が、何故か自殺をしたらジャパニーズ美少女になっていた。
意味が分からない。
驚きで硬直している内に、いつの間にか薄っぺらい白布一枚の恰好からクノイチと同じようなユカタに着替えさせられていた。
硬直、倦怠感、体の変化、殺気が無かった。
色々と理由はあれど、自分に気付かれぬ内に服を着せたこのクノイチの確かな実力を感じつつも、敵意が無いのでどうにもやり辛い。
しかも着替えさせたら着替えさせたで特に何をするでもなく、ただ黙って自分の少し後ろに立ってこちらを見つめているのだ。
意味が分からない。
このクノイチは一体何を求めているんだ?
自分が硬直したまま黙って立つこと数分。
時間が経てば経つほど怪訝そうな顔になっていくので、恐らく俺に何かをさせようとしているのだろうとは思うのだが。
困惑が困惑を呼び、静寂が場を満たしているのにカオス極まりないという意味不明な状況。
そんな中、我慢が出来なくなったのか、静かにクノイチが呟いた。
「あの、輝夜様? 朝食に赴かなくともよろしいのですか?」
朝食!
なるほど、この着替えは朝食の場に赴く為のコーディネートか!
そう言われれば確かに腹が減っている気がする。
ジャパニーズニンジャの朝食とは一体どのようなものだろうか。
同じジムのジョニーは、日本の
そこまで思った所で、ハッと気づいた。
朝食の場を知らない、と。
このクノイチが朝起きた時に、特に何も反応せずおはようと挨拶をしてきたという事は、この体は確かにこれまで普通にこの家で生活をしていたという事になる。
当然朝食の場も知っていただろう。
だが俺は知らない。
何処に行けば朝食を食えるのか知らないし分からない。
場所などこのクノイチに聞けばいい。だが昨日まで普通に生活をしていた者が唐突に忘れたから案内しろなど、違和感しかないだろう。
しかし、ならばどうする……
正直、今はいじめへの絶望感よりも、ジャパニーズニンジャメシに興味があり過ぎてそっちにしか意識が向かない。
憑依したこの体がまるで強そうには見えない女であるからというのもあるのだろうが。
兎も角、そんな中場所が分からないからと朝食を諦めるなど出来るものか。
ぐるぐると意識を回し、そして怪訝を通り越して困惑の域に至り始めたクノイチを見て答えを得た。
「なあ、クノイチ」
「クノ……? ……はい、なんでございましょう」
「俺の先を歩いてくれ」
「おれ!?」
案内してくれだと違和感がある。
ならば案内ではなく、ただ自分の先を歩いてもらえばいい。
この体が今までこの家で生活をしてきたように、このクノイチもこの家で生活をしてきた筈なのだから。
うむ、中々に良い案である。
だが、クノイチは良い顔をせずに否定する。
「とんでもございません! お付きである私が輝夜様の前を歩くなど!」
「俺が先を歩いてくれと言っているんだしいいだろうに」
「で、ですが主の先を行くなどと……」
主の先を歩くことを躊躇う……
ふむ、確かジョニーが言っていた。
日本の女は男の3歩後ろを歩かないと恥ずかしくて死んじまう可愛い生き物だと。
これがジョニーの言っていたオクユカシイというやつか。
なるほど、顔を赤らめて必死に否定する姿は確かに可愛らしい。
だが今の俺は腹が減っている。
可愛い女よりもニンジャメシを食いたいのだ。
「いいから、頼む」
「っ、分かり……ました……」
諦めたように肩を落とし、何処か絶望したような顔を浮かべながら歩き始めるクノイチ。
そんなクノイチを見て、思わず首を傾げた。
男の3歩後ろ、この場合は主である輝夜に憑依した俺の後ろか。
そこを歩けず恥ずかしいのは分かる。
だが絶望までするか?
そこまで行くとオクユカシイを通り越していると思うんだが。
疑問に思いつつも聞くことは出来ず、大人しくクノイチの後をついていく。
途中、他のクノイチらしき人間ともすれ違ったが、皆一様にこちらを見て目を見開き、どこか憐みの表情を浮かべては足早に去っていく。
そんな視線を受けるたび、クノイチの顔はどんどん暗くなっていった。
流石に違和感が強すぎて、そしてクノイチの顔色が段々と青くなり始めているのを見て、ニンジャメシよりも先にこの違和感の究明を優先した方がいいのでは? と考え始めた時、前を歩いていたクノイチの足が止まった。
傍には巨大なフスマ……ショウジだったか? が幾重にも並んでおり、中の部屋の巨大さを伺わせる。
なるほど、ここが朝食の場か。
そんな事をぼうっと考える俺の前で、クノイチは床に膝をついた。
そして3本の指でショウジを引き、ショウジとショウジの間に小さく隙間を開けると、次に開いた隙間に手を入れてショウジを自身の体の中心辺りまで開き、最後に左手でショウジを開け切った。
「ど、どうぞ……」
「ありがとう」
「あり!? ……い、いえ」
部屋の中に入ると、食器の載った小さな机が大量に並べられており、それぞれの前にスーツ姿の男たちが両足を組んで座っており、こちらを見ていた。
そんな彼らを余所に、空いている席を探す。
見た所、空いている席は2つ。
スーツ集団の中で唯一ユカタを着ている男の隣の席、コメの入った食器に二本の棒が突き立てられている席。
正直どちらに座ればいいか分からない。
再びクノイチに聞こうと思い振り返るが、クノイチは最早絶望しきった顔でふるふると震えていた。
質問をしても答えられる状態ではなさそうだし、ここは自分の判断で良いだろう。
流石に心配になってきたのもあり、クノイチの手を掴んで立ち上がらせる。
瞬間、男たちがざわっと動いたのを感じた。
見れば、皆が一様に何処か困惑した様子でこちらを見ている。
……この体に憑依してから疑問だらけだ。
もういい、考えるのもめんどくさい。
俺は早くジャパニーズニンジャメシを食いたいのだ。
クノイチの手を引いて近かった方、棒がコメに刺さっている席に座り、周りの男たちと同じように足を組む。
席に座った瞬間に近くの男たちがザザザッと身を引き、足を組んだ瞬間にクノイチが悲痛な悲鳴を上げた。
だが知らない。
今の俺には目の前にあるニンジャメシしか目に入らない*2。
「お、お嬢……何故こちらの席に?」
「お嬢の席はあちらですぜ?」
そう言って手の平で示された場所はユカタ男の隣。
しかし、見た所並べられた料理に差は無く、場所の違いしかなさそうに思える。
既に座ってしまったのを再度立ち上がるのも億劫であるし、別にこのままでいいだろう。
「ここで構わない」
「し、しかしそこは昨日死んだ弥助の席で縁起が悪く……」
「いいよ、気にすんな」
「ですがオジキ……」
「好きにやらせてやれ。お前らも冷める前に食えよ」
スーツ男の声を、ユカタ男が遮った。
見ればユカタ男は既にニンジャメシに手をつけており、二本の棒を巧みに操って料理を食べていた。
すると男たちも困惑しつつも棒を持ち、こちらを気にしながらも食事を始めた。
なるほど、この二本の棒はそう使うのか。
コメに刺さっていた棒を抜き取り、見様見真似で構える。
食器に乗せられた料理は、
他にもスクランブルエッグと似た色合いの
そう言えば、自分は日本語など扱えないのに、普通にクノイチや男たちと会話が成立しているな、と思いはしたが、それも含めて後で良いだろうとニンジャメシに心を躍らせる。
まずはヤキザカナだ。
一匹の魚を開いたような見た目のそれに棒を刺し……刺し……
……ここからどうするんだ?
周りの男たちは巧みに棒を操って骨を取り除いて食べているようだが、流石に初めて握った棒をそこまで上手く扱う事など出来ない。
恐らくすぐに慣れはするだろうが、慣れるまでにこのヤキザカナはぐちゃぐちゃになるだろう。
困ってしまい、どうすることも出来ず取り敢えずクノイチに助けを求めてみる。
俺の座る席の左前で、ハラハラとした様子でこちらを見ていたクノイチを無言で見つめる。
「……? ……あ、骨ですね。少々お待ちください、今取り除きます。お箸をお借りしてもよろしいでしょうか?」
はし……? ああ、この棒の事か。
箸をクノイチに渡すと、明らかに周りの男たちよりも良い手際でヤキザカナを解体していく。
30秒も経つ頃には骨は綺麗に取り除かれており、加えて食べやすいよう一口大に整えられたヤキザカナが其処にあった。
「おお……ありがとう」
「いえ「あり!?」」
「お嬢が料理長以外に礼を言った!?」
「ほぉ……?」
返してもらった箸を使い、ヤキザカナを一口。
「ん!」
仄かな甘みに加えて、薄い塩の味がする。
少し味が濃いな。
ただ、美味しいは美味しいが……思ったほどではない、というか……
周りの男たちを見れば、何故か固まっている。
ユカタ男が気にせず食事をしているのを見ると、のろのろと食事を再開したが……
兎も角、味に少し疑問を覚える自分とは違い、彼らは薄く笑みを浮かべて美味しそうに食べている。
もしや味付けからして他の者達のものと何か違うのか?
どうにも気になる。隣の男に聞いてみるか。
「なあ」
「んくっ!? んぐ、な、何でございやしょうお嬢」
「そっちのヤキザカナ一口くれ」
「「「!?」」」
再び固まった男達。
声を掛けた隣の男は、呆けた様子ながらもおずおずとヤキザカナの乗った皿を差し出してきた。
その皿に乗ったヤキザカナをちょびっと箸で摘まみ、口に入れる。
……うん、同じだな。
これは……あれだな? 食事マナーと同じように、美味しい食べ方みたいなのがあるパターンか。
とはいえ、俺はそれを知らない。
困ってしまい、再び無言でクノイチを見つめてみる。
今度は箸を差し出しながら。
「え……と? あ、ああ……なるほど。はい、あーん」
「「「「「!?!?!?!?」」」」」
少し困惑した様子ではあったが、クノイチは箸を受け取り、ヤキザカナをコメの上に乗せてコメごと掬い取り、此方に差し出す。
なるほど、そうやって食べるのか。
差し出されたものを食いつく様にして口に入れて咀嚼する。
ふむ……コメ、味ないな? けれど何故か先ほどよりもずっとヤキザカナが美味しく感じる。
なるほど、魔法だな。
口の中の物を呑み込んだ瞬間、再び口元に差し出される箸。
その上には黄色い塊の一切れが乗っている。
口に入れてみると、クセになりそうな強い甘味が口の中で弾けた。
これは……なんだ!? 味はスクランブルエッグに似ている。だが決定的に違う!
そうして口の中の味を楽しんでいると、今度はまだ呑み込んでいないというのに箸が差し出された。
箸の上にはコメの塊。
……ふむ、なるほど。
ヤキザカナのおいしさアップがこれにも適応されるのだな?
躊躇いも無く食いつき、共に咀嚼する。
うん、うん……忍術だな。
「んぅ~♪」
「ほぇ……」
「かわ……」
「ふぁ……」
うむ……美味い。
黄色い塊を呑み込み、次を待つ。
クノイチは何やら少し固まっていた様子であったが、すぐに動き出し、次の料理を箸に取った。
うん、うん……うむ。
——— ———
なぁジョニー。
お前の言う通り、日本のメシは最高だった。
あんまりにも大げさに言うから嘘だと思ってた。
今度会う事があったら謝罪の代わりに日本のメシでも奢るよ。
空になった食器が他のクノイチによって下げられていく。
男たちは腹を軽く撫でながら足を崩しており、楽な体勢になっている。
正直俺も同じ格好になりたかったが、同じ事をしようとするとクノイチが悲痛な顔で見つめて来るので、仕方なく足を組んだまま少しだけ背を曲げる事で妥協した。
流石に食事を手ずから食わせてくれた女を無下に扱う気にはなれない。
そのまま少しして、一人また一人と男達が立ち上がり、ユカタ男とこちらに一言挨拶をして何処かへと去っていく。
食事が終わってから約10分、朝食の場には俺、クノイチ、ユカタ男だけが残った。
そのユカタ男はといえば、持っていかれる前に本来座る筈だった俺の席の食器から、なにやら一本だけ箸を回収しており、ヤスリでガリガリと削っている。
下を見たまま箸を削るその姿からは僅かに殺気が漏れ出ており、嫌な予感がするため早くこの場を立ち去りたいのだが、立とうとする度に僅かに漏れていた殺気を直接ぶつけて立つのを邪魔してくる。
何がしたいのか分からないが、箸を削る度、時間が経つ度に漏れ出ている殺気の量が増えていく。
それから追加で約5分。
ユカタ男が手を止め、殺気を収めた。
離脱のチャンスは今しかないだろう。
クノイチの手を掴んで立ち上がろうとして……
咄嗟に飛んできたそれを掴んで止めた。
「え、あ、ひっ……」
飛んできたものは箸。
それもヤスリで削られ、先端を押し付けて押せば大抵のものは抉れるほどに鋭く尖った箸だ。
咄嗟に止めた時、それは既にクノイチの眉間に触れていた。
クノイチの眉間から静かに血が流れていく。とはいえ、止めなかったらそれだけでは済んでいなかった事は一目瞭然で。
「おい……なんのつもりだ」
「いや、少し気になってね」
「何がだ」
「いやさぁ……」
「お前、輝夜じゃないでしょ」
主人公:天津神輝夜
スリーサイズ:B86(D)・W54・H86
身長・体重:157cm 38Kg
座高・股下:76.5cm 86cm
戦闘能力:0.3猫(17親友)