※この作品はR-18です。

世界最強の男がTS憑依して範馬勇次郎に負けた挙句同意レイプされる話   作:白髪ロング娘スキー

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第二十二話 初潮

 

 朝目が覚めた時、私の股間は血塗れだった。

 妙に股間だけが暖かかった時は焦ったけど、それがおねしょではなかった事に私は安堵の息を吐いた。

 いやまぁ良くはないんだけど。

 おねしょよりは精神的にまだマシだった。

 直後、目を覚ました勇次郎に見られている事に気付いて硬直したけど。

 

 夜中勝手に布団に忍び込んで、朝起きたら勇次郎まで巻き込んだ赤い世界地図。

 まず間違いなく怒られると身を竦ませ、されど勇次郎の反応は特に無く。

 勇次郎はそうか、とだけ言って私の頭に手を乗せて。

 血塗れのカンフー着を着替えた後、絹代に私が生理である事を告げ、何処かへと出掛けて、それっきり。

 日が昇り切った今になっても帰ってこない。

 

「……生理、来てませんでしたっけ?」

「……完全に忘れてたけど、来てなかったわね」

 

 血塗れの着物を手洗いしながら、絹代が静かに口を開いた。

 それに合わせて、勇次郎の部屋の窓枠に寄り掛かりながら答える。

 この体に憑依してから初めての生理は、かなり重い物だった。

 全身がダルくて、胎から激痛が襲って来ている。

 鏡を見れば真っ青を通り越して真っ白な顔をしていた。

 

 これは歌姫から聞いた事だけど、生理が軽い人はメンタルが強くて、生理が重い人はメンタルが弱いらしい。

 別にそういう医学的根拠がある訳じゃなくて、単純に経験則なんだそう。

 正確には生理の重さ云々ってよりも、生理にどうやって向き合うかの方が重要らしいけど。

 それでストレスをどうやって処理するかが見れるのだとか。

 

 加えて、これに関しては、男にも当てはまるらしい。

 いや、男には生理無いじゃんって思ったんだけど、結局見てるのは生理云々より、ストレス解消法の方。

 そこから生理の重さ云々の話に繋がるから、別に生理が無くてもこれは当て嵌まるんだそうな。

 

 そして、歌姫の私への見立ては生理激重タイプ。

 薬が切れてる時に生理が来たら、生理が重くて気絶しそうな癖に、周りに薬をくれと言えない。

 生理が辛いアピールすら、周りに変に弱っている所を見せたら、何をされるか不安で怖くて出来ない。

 自分が我慢するのが当然で、自分が我慢していればそれでいいと考える。

 無駄に頑固な臆病者。

 いつか、ストレスに押し潰されて死にそうって。

 実際に自殺してる身からすると笑えない話だけどさ。

 だから、その時までは私が愛して支えてあげるって、そう言ってその話は終わったんだけど。

 

 あれ、本当だったよ歌姫。

 生理、マジで辛いです。 

 

「まぁ、その、屋敷から離れてストレスが無くなったんじゃないですか?」

「……」

「御屋形様に対してイライラされておられましたし……」

「……」

「それに……鍛錬も……その……」

「いいわよ、絹代」

 

 気を使って、生理が始まった事への言い訳を用意してくれる絹代を止める。

 確かに屋敷にいる頃は、常にクソ野郎へのイラつきがあった。

 病弱な癖に、無理をして体を鍛えていた事も、多分関係してる。

 でも、本当の理由は恐らく其処には無い。

 

「あぁー、私ホントに女になっちゃったんだなー……」

 

 私が、私は男だと強く認識していたからだ。

 体は女、でも確かに私は男なんだと。そう強く思い込んでいたから、ホルモンバランスが崩れて、今まで生理が来なかった。

 でも勇次郎に負けて、抱かれて、抱き着いて、安堵して。

 本当に心の底まで女に堕ちた。

 だから、生理が来た。

 

 股間に手をやれば、着物越しにふわふわとした感触を感じられた。

 絹代に渡されたナプキンの感触だ。

 ごわごわしていて慣れない。

 

「……これ、いつまで続くのかしら」

「大体三日から一週間といったところです。輝夜様は重いようなので、多分……」

「一週間くらいって事ね」

 

 憂鬱だわ。

 早く勇次郎帰ってこないかしら。

 無性に彼の匂いを嗅ぎたい気分。

 ……こういう思考をしてしまう所も、女に堕ちた証拠よねぇ……

 

 窓の仕切りを跨ぐようにしてもたれかかる。

 干された布団みたいに窓枠から垂れたまま、壊れた蓄音機の様に、特に意味も無く勇次郎の名を呼ぶ。

 

「ゆーじろぉー」

「なんだ」

「ゆぅーじろぉー」

「だからなんだ」

「ぃゆぅーじぃろぉー」

「チッ……だからなんなんだ?」

「ゆぅ……え、勇次郎!?」

 

 バッ、と身体を起こして振り向く。

 声のする方向を見れば、そこには呆れたような顔をして、勇次郎が立っていた。

 手には何やら様々な物が入った袋を持っている。

 

「そら、土産だ。受け取れ」

「っとと……」

 

 投げ渡されたそれを、体全体を使って受け止める。

 袋の中身を見てみれば、袋に入っていたのは食材であった。

 鶏のレバー。

 鶏むね肉。

 ホウレン草。

 カボチャ。

 キュウリ。

 ショウガ。

 しらす。

 牡蠣(カキ)。

 その他にも豆などの色々な食材が入っていた。

 どれもこれも、血を増やしたり体を暖める作用のある食材たちである。

 

「これ、どこで?」

「徳川の爺に用意させた。肉類は俺が手ずから捕えて〆(シメ)てきたものだ」

「もしかして、私の為に……?」

「生理の時には血が不足して、情緒不安定になりやすいからな。性自認が乱れたばかりのお前には、特に必要なものだ。たらふく食って補え」

 

 ポケットに手を突っ込み、ぶっきらぼうに言う勇次郎。

 けれどその言葉には、確かな優しさを感じて。

 私は静かに袋を抱きしめて頷いた。

 

「うん、ありがとう、勇次郎。……絹代!」

「はい、これを用いて昼食をお作りいたします」

「お願いね」

 

 着物を干し終えた絹代に袋を渡す。

 絹代は受け取った袋を持って、玄関までパタパタと駆けて行った。

 それを見届けてから、再度勇次郎の方を向く。

 勇次郎は既にこちらを向いておらず、ただ目を瞑って胡坐を掻いていた。

 体を引きずりながら移動して、勇次郎の組んだ足の上に座り込む。

 チラリと見られはしたが、勇次郎は鼻を鳴らすだけで特に止めない。

 ……そう油断していた所で、勇次郎が口を開いた。

 

「……おい」

「っ、」

 

 低い声に、体が硬直する。

 元々、私は勝手に布団に潜り込んだ挙句、経血を勇次郎にブチまけている身だ。

 勇次郎が気遣ってくれたからと、流石に調子に乗り過ぎたかもしれない。

 ビクビクと震えながら勇次郎を見上げれば、勇次郎は無表情のままこちらを見下ろしていた。

 

「お前は自分達を守ってほしいと言ったな。あれは誰からだ」

「あ、あぁ……そっち……」

「フンッ、自分の女にじゃれつかれようが別に咎めはせん。鬱陶しくなったら退かすがな」

「ぅ……」

 

 甘えるどころか、怯えている事までバレていたらしい。

 呆れたように見て来る勇次郎に、体を縮こまらせた。

 とはいえ、実質甘えてもいいと許可を貰った様なもの。

 勇次郎の胸板に顔を押し付ける。

 

 真冬とはいえ、昼間はそこそこ暖かいものだ。

 加えて、鶏を〆るために走り回ったのもあるのだろう。

 勇次郎からは、ほんのり汗と血の匂いが漂っていた。

 私のために動いたが故についた匂いだ。

 もっと匂いを取り込もうと鼻が動く。

 

「それよりも質問に答えろ。誰だ。お前の体を開発した連中か」

 

 それをやったのは輝夜です。

 ……なんて事を言える筈も無い。

 私がオナニー狂いみたいになってしまう。

 けど私は元男で、私がこの体に入る前の輝夜がオナニー狂いでしたとも言えない。

 こればっかりはクソ野郎に同意するが、どれだけ見た目が美しい女でも、中身が男と知れれば多少は萎えるというもの。

 私の性自認が男だった事は、勇次郎も承知の上だ。

 けど、性自認が男の女と、精神が本当に男の女とでは、天と地ほどに差がある。

 レズの女を抱くのと、女にしか見えない男を抱くレベルに違う。

 

 勇次郎と私がした約束は、私が勇次郎の子供を産む代わりに、絹代と私を守ってくれるというもの。

 つまり、勇次郎が萎えてアレやっぱ無しだと言えば、それだけで私たちは詰んでしまう。

 勇次郎がそんな事を言うとは到底思えないが、何事にも万が一という物がある。

 あーだのうーだのと、どうやってそこら辺の事情を誤魔化すかを悩む。

 答えに迷えば迷うほど、どんどん勇次郎が不機嫌そうに表情を歪ませていく。

 

 いや、割とホントにこれどうしよう。

 殺したい相手はクソ野郎だけなんだよね。

 とはいえ、流石に輝夜がやらかしたオナニー開発の責任まで押し付けるのは、なんだか違う気がするし……

 

「チッ、お前ほどの女が……」

 

 思考を回していると、小さく舌打ちをしながら勇次郎が呟いた。

 実は私は、なんとなく勇次郎が勘違いをしている事を察していた。

 恐らく勇次郎は政略結婚の為、クソ野郎などの下種が嫌がる私を抑えつけ、無理矢理性感帯を開発したと思っているのだ。

 だから私があそこまでに絶頂を嫌がったし、無理矢理絶頂させられた時に、思わずと言った風に泣いてしまったのだと。

 あの夜のセックスで、勇次郎が開幕のディープキスは兎も角、途中から苛立ったように私をイカせ続けた理由は、多分それだ。

 

 自分とそれなりの戦いが出来る強い人間が、クソ野郎に無理矢理体を改造させられていた。

 そして改造された本人は、そこを弄られるとみっともなく泣き出してしまう程に、それを嫌がっている。

 私が勇次郎の立場でも、同じことを思っただろう。

 ぶちころす。

 

 結果、苛立ちを抑えきれなかった勇次郎が、誤って被害者である私にまで当たり散らしてしまった。

 あの精神的凌辱は、そういう事だと思われる。

 もちろん、他人の手で汚されている私を、自分の色に染め直すという目的もあったのだとは思うけど。

 嫌がっていたのに、無理矢理絶頂させられ続けたのは私。

 なのに、何故か悪い事をしたのが私であるかのような、そんな不思議な気分になって来る。

 ごめんなさいね、うちの輝夜が……

 

「守って欲しいというか、殺したい奴がいるのよ」

 

 取り敢えず、このまま私がうんうん呻っていても仕方がない。

 相手は一人、場合によってはクソ野郎に味方する連中の鎮圧もお願いしたいという事を伝える。

 

「あん? 相手は一人なのか? ならなんでそいつを殺さない。お前なら大抵の奴は殺せるだろう」

「生存特化型なのよ……ぶっちゃけ、今の左足一本の私でも制空権に入れば瞬殺は出来るわ。でも逃げ足が異常に速くて」

「加えて持病の発作と。なるほど、相性の問題か」

「そういうこと」

 

 顎に手を当て、納得したように頷く勇次郎。

 意外にも奇襲しろ、とかそういった事を言う事も無く、勇次郎はそのまま何かを考えだし、無言になる。

 まぁ実際に奇襲を仕掛けて、仕留めきれずに逃げられた事もあるので、奇襲しろと言われても既にしたとしか言えないけど。

 私だってこの三ヶ月近く、盲目的に奴に従ってきた訳ではない。今私が此処に居る事からして、その結果はお察しではあるけどね。

 

 私がクソ野郎を殺せたタイミングは、ただ一つだけ。

 憑依して初日、クソ野郎がフスマに頭から突っ込んで気絶した、あのタイミングだけだ。

 今思うと、契約とか発作の苦しみとか全部丸っと無視して、さっさと殺しに行けばよかった。

 詮無き事ではあるけど。

 

 勇次郎が何を考えているのかは知らない。

 けど、考え事をしている時に話しかけて、邪魔をしたくはない。

 私もまた黙り、目を閉じて、静かに勇次郎の胸板に顔を寄せる。

 耳からはドクンッ、ドクンッという力強い鼓動を感じ、鼻からは男らしい獣臭を嗅ぎ取る。

 はしたなくならないよう、鼻息を抑えつつも、ウサギのように鼻をヒクヒク揺らす。

 

 二人して何も言わず。大きく動く事も無く。

 ただ黙って座り込む。

 どれくらい経ったか、暫くすると台所にいた絹代が声を上げた。

 

「昼食のご用意が出来ましたよー!」

「今行くわー!」

 

 絹代の言葉に返事を返し、立ち上がろうと足を動かす。

 左足を床に突いて、起点にしたそこから体を起こ……そうとして、勇次郎に抱え上げられた。

 唐突に、私を横抱きにしたまま立ち上がる勇次郎に、首に手を回して引っ掛ける事で、なんとか落ちない様にしがみ付く。

 

「ひゃっ、ゆ、勇次郎?」

「……」

 

 いきなり何? と問うも返事は無い。

 ただ、もう何かを思考しているという様子ではなかった。

 既に答えは出ていて、されど口には出していない。

 その答えが何かは分からないけれど、それだけは分かった。

 

 食事の載ったテーブルまで、私を抱えたまま移動。

 私用の茶碗が置かれた場所の前へと、静かに私を降ろす。

 

「あ、ありがとう……」

「フンッ」

 

 わざわざ運んでくれたのだ、という事にお礼を言う。

 勇次郎は特に何かを言うでもなく、鼻を鳴らしてポケットに手を突っ込み、自らもテーブルの前へと胡坐を掻いて座り込んだ。

 

 テーブルの上には、大量の料理が並べられていた。

 仄かにウッディな匂いの香る、刻んだショウガがたっぷりと乗せられた鶏レバーの煮物。

 三日月型に切られたかぼちゃと鶏むね肉を炒めた照り焼き。

 カットされたキュウリが埋まる程に、大量のしらすを使用された和え物。

 牡蠣とホウレン草を使用した、温かいお吸い物。

 そして最後に、豆が大量に入った赤い米。

 昼食にしてはやけに種類が多い。

 

「ホッピン・ジョン*1……かしら?」

「赤飯だ。それの日本版といったところか」

「赤飯?」

 

 見覚えのない米に、見慣れたソウルフードの名前を挙げれば、勇次郎がそれを訂正した。

 聞けば、赤飯とは、もち米にアズキやササゲといった豆類を混ぜ、蒸して作る米料理なのだとか。

 アズキやササゲの色が茹で汁に移り、それがもち米に吸収されるため、赤色を帯びた色になるらしい。

 

 なんでも、日本では古代より赤い色には邪気を祓う力があるとされてきたのだとか。

 加えて米は貴重だったため、何か良い事があった際には神に赤米を捧げ、感謝を示してきたらしい。

 そのお供えのお下がりとして、人間も赤米を食べたと。

 とはいえ、時代が移るにつれて、米も珍しいほどでは無い世になっていき。

 加えて、そのまま食すには赤米はあまりにも不味すぎたため、米をアズキやササゲといった豆類で染色した、美味しい赤米を作り上げたのだとか。

 要は、祝い事があった際に好んで食される料理という事らしい。

 祝い事……生理か。

 

「朝の様子からして、あれが初めてだろう」

「そう、だけど……何で分かったの?」

「呆然としていたからな。お前は強い癖に、妙に臆病だ。俺に経血をブッ掛けた事に怯えているのかとも思ったが、それにしては硬直が長い。生理という現象に頭が辿り着いていなかった。19でそれはあまりに遅い。恐らくは肉体と性自認の違いによるものだろう。違うか」

「多分、違わないわ……」

 

 自分でもそうなんだろうな、と思っていた推測を、勇次郎もまた下していた。

 それも、朝の私の反応と、性自認の前情報だけで。

 赤飯関連の知識には、絹代もそうだったんですねぇと感心した様子だった。

 おそらく、祝い事には赤飯、初潮には赤飯という恒例だけが広まり、何故そうなのかという情報はあまり知られていないのだろう。

 そこら辺の機敏といい、知識といい、想像以上に勇次郎の頭が良い。

 ホッピン・ジョンの名前を出した瞬間、それの日本版だと訂正された辺りからも、それが窺える。

 

 というか、これ私よりも遥かに頭良くない?

 私より雄として優れてて、頭も良くて、尚且つ強いとか私の立つ瀬が無くない?

 一応私、元世界最強だったんだけどな……

 

「ゴマ塩を掛けて食え」

「ゴマ塩?」

「神に白飯を赤く染めた事をご(・)ま(・)かす為だ。加えて、単純に味が薄い」

 

 そう言って用意されていた瓶を赤飯の上で振る勇次郎。

 瓶からは黒と透明な2色の粒が撒かれ、赤飯を更に彩り豊かに染め上げた。

 軽く会釈。お吸い物を一啜りしてから、食事に手をつける。

 神なんて一切敬っちゃいないだろうにと思いつつ、私も頂きます、と告げて食事を始めた。

 

 といっても、私の両手で無事な指は、左右あわせて4本。

 左の人差し指と薬指、右の親指と中指の4本。

 まともに箸も持てないので、食事は憑依したての頃同様に、絹代の手による餌やり。

 料理の味は、やはり可もなく不可もなく。

 なんというか、仕込まれたものを、そのままの通りに作っているといったような、そんな無機質な旨さだ。

 まぁ美味い事に変わりは無いから、特に何も言わずに食べるが。

 

 食事を続けながら、ふと勇次郎が目に入った。

 無表情のまま、されど料理の一つ一つと向き合って食べているその姿。

 そんな姿を見て、私はまだ勇次郎の顔を、この無表情と呆れたような眉下げ、後は戦闘時の嗤い顔しか知らないな、と思った。

 

「……ねぇ、絹代」

「次はこれを……何でしょう、輝夜様」

「私に、料理を教えてくれないかしら」

 

 なんだか癪(しゃく)だった。

 嫌がる私を無理矢理イカせて、抱き潰して、女にして。

 隠そうとしていた顔すらも一片残らず暴いて。

 なのに貴方は、私に全然自分を見せてくれないのかと。

 知らない知識を教えてくれるとか、箸の持ち方が綺麗とか。

 そういうのも、一応勇次郎が素を見せてくれていると言えば、見せてくれてはいるのだろう。

 でも、私はもっと深い所を知りたかった。

 自分の女にくらい、もう少し色んな表情を見せてくれてもいいじゃないと。

 

 私も、勇次郎に中身が本当の男であった事とか、色々と隠している事がある身の癖して。

 まだ出会ってから、3日も経っていないというのに。

 理不尽な思考だとは分かっている上で。

 ちょっとだけ、イラッとした。

 無性に体が勇次郎を求めている事といい、少し精神が不安定だ。

 もしかして、これが生理の影響なのだろうか。

 

 少しだけ自己嫌悪に陥りながら、絹代を見る。

 絹代は目をぱちくりと瞬かせ、にっこりと笑みを浮かべた。

 

「では、今日のお夕飯は私と一緒に作りましょうか」

「ええ、ありがとう絹代」

 

 餌やりのような食事を続け、お腹一杯になって。

 絹代は食器やフライパンなどを洗い始め、勇次郎は壁に寄り掛かって胡坐。

 私はする事も無いため、その組まれた足の上に座って勇次郎に体を寄せる。

 

「……輝夜」

 

 暫く経って、唐突に。

 本当に唐突に、勇次郎が口を開いた。

 

 

「そいつ、殺しに行くぞ」

 

 

 

*1:
豆と米を使用したアメリカの伝統料理

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