世界最強の男がTS憑依して範馬勇次郎に負けた挙句同意レイプされる話 作:白髪ロング娘スキー
一瞬とはいえ、R‐18日間ランキングで一位になっていたみたいですね。
腰抜かすかと思いました。
評価ありがとうございます!
場所はとある山の深部。
屋敷の門を潜って現れたその姿を見て、男衆は目を見開いた。
絹代に肩を貸されながら、松葉杖を突いている輝夜。
指や足には、過剰なほどに包帯が巻かれており、その怪我の深刻さを窺わせる。
慌てて駆け寄り、絹代から輝夜を奪い取った。
「お嬢!?」
「おかえりなさいませお嬢ッ!」
「この怪我はいったい……!?」
「第五課題で負った傷よ。ただいま、貴方達」
輝夜にとっては三日ぶり、実際には六日ぶりの屋敷への帰還。
男衆は、傷だらけで、松葉杖が無ければまともに立つ事すらもおぼつかぬ輝夜を、丁重に温かく迎え入れた。
質素な黄色のグラデーションのみの無地の着物から、牡丹と藤の花が華やかな黒の着物へと着せ替え。
そのままでは寒かろうと、養殖のミューテーションではない、最高級の天然ミンクを使用した分厚いファーを首に巻く。
傍には常に、絹代以外にも3人の女中を付け、万が一にも怪我が痛まないように配慮。
細かい気配りなども手厚く、輝夜は屋敷に帰還してから、一度も怪我が痛いと思う事は無かった。
その事に輝夜は有り難さを覚えつつも、一つ疑問に思った。
やたらと男衆のテンションが高いのだ。
確かに輝夜は護衛も付けずに第五課題へと赴き、六日も帰らなかった。
だが、それにしたって男衆のテンションが高すぎる。
もはやほとんどお祭り騒ぎに近い。
輝夜が丁度近くにいた男に事情を聞いてみると、彼はポリポリと頭を掻きながら答えた。
実は輝夜が第五の課題、勇次郎の部位欠損に赴いた時、男衆は誰一人として屋敷にいなかったらしい。
幹部格である男衆。その全員を導入するほどに規模がデカい割りに、報酬はたったの1500万円という、あまりにもリターンの少ない依頼を熟していたのだとか。
別にこれを熟したからと、裏の連中に顔が売れるといった、そういう副次的な旨味すらも無いゴミのような依頼。
まさしく骨折り損のくたびれ儲け。
されど、組織のトップである直哉が受けてしまったために、暗殺に行かないという選択肢も無い。
なんだこれと少々の怒りを覚えつつも、暗殺に出向いた。
疲労困憊で帰還した男衆は、まず輝夜の居場所を尋ねたという。
別に用事があるとか、話がしたいとかではなく、ただ輝夜の姿を見て癒されようとしたと。
だが男衆に告げられたのは、輝夜が護衛どころか、監視の一人も付けずに、第五の課題へと赴いてしまったという情報。
当然ながら、男衆は慌てに慌てた。
急いで輝夜を探し出し、
しかし、それを直哉が止めた。
たとえ情報の伝達ミスがあったとはいえ、輝夜が第四課題を失敗したのは事実。
第五課題を受けさせてあげただけでも、温情としては十分。
この上、更に輝夜を助けに行くのは、温情の与えすぎである。
一週間経っても輝夜が帰還しない場合のみ、捜索・救出に出る事を許可すると。
不満を漏らしながらも、組織のトップである直哉には逆らえない。
男衆は武器や装備の準備を進めながら、その時を待ち続けた。
1日目。
朝になっても輝夜が帰還しない事から、課題の失敗を悟る。
直哉に進言し、されど帰ってくるのは却下の首振り。
歯嚙みしながらも、装備の点検を始めた。
二日目。
輝夜は帰還しない。
一部の者がそわそわとし始める。
既に点検を終えた装備を、意味も無く再度点検する。
三日目。
輝夜が帰還しない。
こっそりと出ようとする者を、高齢の落ち着いた者達でなんとか説得する。
再度直哉に進言するも、返事はつれない。
せめて課題の内容だけでもと思うが、それすらも閉口。
不満が溜まる。
四日目。
それでも輝夜は帰還しない。
オジキの命令だからと、なんとか説得していた者達までそわそわとし始める。
まさか死んだんじゃと不安を漏らした者を、不謹慎なと怒鳴る。
朝から晩まで、少しでも空いた時間があれば、門の前に座り込み、ひたすらに輝夜の帰還を待ち続けた。
五日目。
もう我慢できないと、一部の者がキレた。
そもそもの話、輝夜が出発したのと依頼があったタイミングが良過ぎる。
あのクソみたいな依頼も、輝夜を守れない様に、俺達を屋敷から追い出すための口実だったんじゃないのかと、気付き始めた。
高齢組もそれに気付いて額に青筋を浮かべ、それでも待てと告げた。
明日になって、それでも輝夜が帰還しないようであれば、直哉を問い詰めて課題の内容を吐かせる。
場合によっては、無理矢理にでも救出に行くと。
殺意すら含まれたその言葉に、溜飲が下がった。
そして、六日目。
輝夜が帰還した。
張り詰めていた空気が一気に弛緩。
怪我こそ酷いが、肩を貸されれば歩けるという事に、今まで帰還しなかったのは、怪我が原因で動けなかったのだと解釈。
加えて自力で帰還出来たという事は、課題も達成したのだろうと。
あの病弱で軟弱だった輝夜様が、一端の暗殺者になられた。
祝わねば。褒めて差し上げなくては。
歳など関係なく、男衆は揃ってウッキウキ。
結果、このお祭り騒ぎ。
輝夜はそれを聞いて、心から申し訳ない気分になった。
ごめん、盛大に喜んでもらってる所悪いけど、課題失敗してるんだ。
しかも、大事な大事なお嬢様の処女まで奪われてるんだ。
ごめん……いやマジでほんっとごめん。
つぅーっと冷や汗を垂らしながら、目を逸らす。
そんな輝夜に、事情を説明してくれた男は首を傾げながら告げた。
「そろそろ報告会がありますので、準備をお願いしますね、お嬢」
「ん……え、報告会?」
「ええ、第五課題の達成報告をする会です。オジキの前でお嬢に報告をしていただきたく」
「あ、あー……分かった。分かったわ」
「それでは」
ぺこりと頭を下げてから、歩き去っていく男。
無表情のまま男を見送った輝夜。
しかし、その脳内は盛大に混乱していた。
マジで? 今までそんな会なかったじゃない。なんで今回だけ? 最後の第五課題だから? 私今日クソ野郎を殺しに来ただけなんだけど? パパッと殺してササッと帰るつもりだったんだけど?
状況的にも心情的にもやりづらい。
眉を下げ、全力で困ったという表情を浮かべる輝夜。
女中達は、そんな輝夜を見て違和感を感じ、絹代を見る。
全ての事情を知っているであろう絹代に、何があったのかと目線で尋ねた。
突き刺さる様な熱い視線に、絹代も輝夜と同じく困ったような顔をしながら、ふるふると首を横に振る。
すぐに分かるから、と。
女中達は首を傾げつつも、茶菓子とお茶を輝夜の前へと用意する。
その様子に、緊張したような気配は無い。
暫くして、一人の男が報告会の準備が出来ましたと、輝夜を呼びに来た。
先程、お祭り騒ぎの理由を説明してくれた男だ。
分かったわと告げ、立ち上がって先導する男の後を付いていく。
その更に後を女中たちが歩く。
場所は何時も食事をしている大広間。
男が障子を開け、輝夜を先に通した。
大広間には、左右に箸だけが載った膳が等間隔に並んでおり、その前に男衆が正座で座っている。
部屋の奥には直哉が足を崩して座っており、その5メートルほど前に、ポツンと一つ膳が置かれていた。
輝夜は特に迷うことなく、松葉杖を突きながら歩き、ポツンと置かれた膳の前に右足を庇う様にして座る。
絹代を含めた女中たちは、入り口近くの部屋の隅へと待機、案内をした男は自分の席であろう場所へと座った。
それを見届けてから、薄く笑いながら、直哉が輝夜へと問う。
「それじゃあ、報告を聞こうかな? と言っても、何も持ってないようだし、結果は察せるけどね」
男衆がざわついた。
何も持っていない、結果は察せる。
それではまるで、輝夜が課題に失敗したかのようではないかと。
ざわめきの中、輝夜が何度か深呼吸し、覚悟を決めたように顔を上げ、静かに口を開いた。
「そうね。お察しの通り、課題には失敗したわ。私は課題を達成出来なかった」
輝夜が、それを肯定した。
男衆は信じたくないと眉を顰めるも、特に動揺した様子もなく、凛と座して直哉を見つめる輝夜に何も言えない。
反応からして、理解させられてしまうのだ。
輝夜は何一つ嘘はついていないと。
そして、課題に失敗した時の輝夜の処遇も。
男衆が顔を顰め、悔し気に俯く。
ざわめきが静まりだしたのを見て、直哉が嗤った。
「おやおや、困ったね。それじゃあ結婚してもらうしかないか」
「それは無理ね」
「……なんで?」
「私にもう処女膜は無いもの」
再度、男衆がざわめく。
やはり、恐れていた事が起きてしまっていたのかと。
それを手を上げて握り締め、指揮者の様に空中で横に引くことで直哉が黙らせた。
「あらら……そりゃ困ったね……相手方は、処女の輝夜をお望みなんだよねぇ」
ポリポリと頭を掻き、再度直哉が輝夜に問う。
「……因みに、孕みそうかい?」
「目論見が外れて残念だったわね。犯された後に、初めて生理が来たわ」
「うぅーん。困ったなぁ……」
政略に使えなくなっちゃった。
言葉には出さないが、直哉がそう思っているのであろう事は察せた。
処女を無くし、その上で地上最強の生物たる範馬勇次郎の子を孕むでもなく、再起可能な状態で帰還。
間違いなく直哉の計画の上で、かなり悪い結果となっただろう。
割と本気で困った顔をしている。
そんな直哉に、輝夜が何でもないかのように話しかけた。
「大丈夫よ、困る事は無いわ」
「なんで?」
「貴方にはここで死んでもらうから」
膳の上に載せられた箸を、指で引っかけて投擲。
輝夜の手によって、目に見えぬ程の速さで射出されたそれは、真っ直ぐに直哉の顔面を目指して飛んで行く。
直哉の顔に当たる……その一歩手前で、真っ直ぐに飛行していた箸が跳ね上げられた。
くるくると回転して、トスッと畳に突き刺さる。
直哉の手には、同じく自身の前に置かれた膳から取った箸が握られていた。
それを振り上げ、箸を弾いたのだろう。
「一応聞いておこうか。これはどういう意味だい?」
「下剋上。貴方を殺して私が頭首になり、契約を無かった事にするの」
「……契約の意味、知ってる?」
「複数の者の合意によって、当事者間に法律上の権利義務を発生させる制度。合意のうち法的な拘束力を持つもの。私たちの契約に法的な拘束があって?」
「無いね。でも普通守るもんでしょ。旨味だけを吸いつくして、裏切るのは最上の時だけ」
「大丈夫よ、今が最上の時だから。……それにね」
すぅっ、と輝夜が息を吸う。
左足を前に出し、膳を押し潰しながら勢いよく畳を蹴った。
「アンタの計略にはもうウンザリよ」
天津神直哉=1.3親友