世界最強の男がTS憑依して範馬勇次郎に負けた挙句同意レイプされる話 作:白髪ロング娘スキー
「ッぎィ……ッ!」
うつ伏せに倒れ伏しながら、痛みに呻く。
輝夜の四肢に空いた穴からは、とめどなく血が溢れ出しており、辺り一帯を鮮血に染めていた。
両手両足、揃って力は入らず。
輝夜は地を這っていた。
「さ~て、圧倒的格下に負けた気分はどうだい?」
「ッ、相手がアンタってのが最悪よッ!」
「言い訳を言ってもいいよ? 怪我をしていて、万全の動きが出来なかったから負けましたって」
「誰がッ……!」
顔を歪め、悪態を吐く。
そんな輝夜に、まず直哉は放り捨てたリボルバーを回収。
リローディングゲートを開き、袖から弾丸を6発零して、弾倉へと流し込んだ。
撃鉄は引き上げず、そのまま懐へと仕舞い込む。
もう片方のリボルバーも同様に行う。
今度は仕舞うことなく、手に持ったまま。
ニヤニヤと笑いつつ、輝夜へと歩み寄る。
「それじゃあ、早速捕縛させてもらうよ。変に放置すると、キミは痛みを我慢しながら、無理矢理に立ち上がってきそうだからね」
輝夜は思わず舌打ちを漏らしかけた。
事実、輝夜は無理矢理に脳を活発化させる事で、四肢を襲う痛みに適応しようとしていた。
両手右足は複雑骨折しているため、痛みに慣れたとしても、ロクに扱えはしない。
しかし、今回の被弾以外には怪我の無い左足だけなら、痛みを我慢すれば動かせなくもない。
あと少しすれば、痛みを感じながらも、十分左足を思い通りに動かせるようになる。
そうすれば、自分を拘束しに近付いて来た直哉を瞬殺出来る。
そんな輝夜の思考を見透かした上で、直哉は銃をもう一度構えた。
「はい、バーンバーン」
「ッッギィ……、っぁッッ!?」
再度輝夜の左足へと放たれる二発の銃弾。
巨大な弾丸が、輝夜の太ももとふくらはぎを食いちぎる。
感覚が死滅する程の痛みに、生理的な涙が浮かぶ。
起死回生の一手が断たれた。
「キミの魂胆くらい理解してるよ。僕は弱い。弱いからこそ、キミみたいに油断したりはしない」
「っぅ……、っそがァ……ッ!」
「お、お嬢!?」
「オジキィッ!!」
漏れる悪態。
輝夜へと行われる死体撃ちに、ようやく男衆のフリーズが解けた。
その復帰の遅さに、直哉が舌打ちをする。
とはいえ、唐突に始まった、輝夜による直哉への下剋上という名の殺し合い。
加えて、オジキだってなんだかんだで輝夜を想ってるという、ある種の固定観念の崩壊。
あまりにも衝撃的なそれらを突きつけられた衝撃から立ち直るという意味では、むしろ速い方だとも言えた。
咄嗟に立ち上がり、輝夜を守りに動こうとする男衆。
そんな彼らの足元へと、牽制のために一発発砲してから、直哉は輝夜に銃を向けた。
男衆の動きが止まる。
「はいはい動くなよー、お前ら。一歩でも近づいたら撃つぞー」
「ッ……マジ、なんすねオジキ」
「マジだよ。大マジのマジ。輝夜を捕縛し終えたらお前等殺すから、覚悟決めといてー?」
直哉が自身の着物の襟を開き、体に巻き付けていた縄を解く。
第一の課題の時にも見た、ブタを拘束していた縄だ。
グニグニとほぐしてから、ピンと横に引っ張って伸ばす。
「さて、拘束させてもらおうか」
「……いい、やらなくていい」
「ん?」
ポツリと、輝夜が小さく言葉を漏らした。
掠れた声。戦意喪失した者に共通するそれ。
あー、心折れちゃったか。少し詰まらなそうにしながら、直哉がため息を吐く。
そんな直哉に構わず、輝夜が続ける。
「分かったから。もう逆らわないから。アンタの言う事、何でも聞くから。だから……彼らを見逃して」
「うーん、ダメ」
「……おねがい」
「あのさぁ、反逆者風情が何言ってんの。キミが僕の言う事を聞くなんて当然でしょ? 交渉になってないよ」
「おねがい……だから」
「だぁーめ。拘束しまー……あ?」
まぁ、心の折れた強者の姿ってのも、これはこれで面白いか。
そんな浮ついた気持ちで、直哉が踏み込んだ。
輝夜の腕を取ろうとしゃがみ、ようやく直哉は気付いた。
輝夜の顔は、絶念に沈んでも、痛みに歪んでもいなかった。
激痛によって、際限なく溢れ出している生理的な涙。
その奥にある潤んだ瞳は、冷たい光を湛えながら、未だに真っ直ぐに直哉を見つめていた。
まだ諦めてなどおらず、断たれた筈の起死回生の一手に、全てを賭けている目であった。
背筋に冷たい物が走り、直哉は咄嗟に後ろに退こうと足に力を入れ……その軸足が刈られた。
下へと向かって流れていく景色。
咄嗟に下を見る。
そこには、鎌のように直哉の足を引っ掛けている輝夜の右腕があった。
「ッ!?」
宙に浮かばされ、着地を待つしかない直哉。
そこに輝夜が追撃を掛ける。
両手足が使えない筈の輝夜が上体を起こし、未だに中空にいる直哉の腹へと目掛け、頭から全力のタックルをかます。
発射された輝夜の体が直哉を穿ち、ブッ飛ばした。
障子を突き破り、部屋の奥から真反対にある庭の真ん中まで、勢いよく直哉がカッ飛んで行く。
砂利に顔から突っ込み、少しの間顔面をヤスリのように削られながら滑り続け……止まった。
まるでシャチホコのように反った直哉の体が、ぽとりと倒れる。
「っ、げほっ、ゴホッ」
動けない筈の体を無理矢理動かした反動で、輝夜が咳き込む。
事実、輝夜の右腕はピクリとも動きはしなかった。
では何故輝夜の右腕が直哉の足を刈っていたのか。
答えは、全身を駆動させ、無理矢理振るったのだ。
腰を反時計回りに回転させて体全体を捻り、肩を横薙ぎに振るう事で、鞭のように右腕を飛ばした。
直哉の踵へと叩きつけられる右腕。
ただでさえ、後ろに退こうと後方へと重心を寄せていた直哉だ。
追加で与えられた足への衝撃には耐えきれず、体勢を崩された。
直後、即座に腹筋と大胸筋を限界以上に駆動。
背筋の要領で無理矢理に上体を起こし、振り子のように持ち上げた上体を前へと発射。
四肢が破損しているために不完全ながらも、消力を使用した、もはや頭突きに近いタックルを直哉へとかましたのだ。
相手の体勢の崩し方を教えてくれた翁に感謝である。
「格闘家から四肢を奪った程度で勝ったと思ってんじゃないわよ、クソ野郎」
とはいえ、今度こそ輝夜は行動不能。
もう戦う事は出来ない。
四肢を潰されてなお反撃してのける輝夜に、直哉はもう警戒して近寄ってはこないだろう。
これで倒せていなかったら、輝夜の敗北だ。
どうかこれで終わってちょうだい。
そう願う輝夜の思いは、されど裏切られた。
「ゲホッ、ゲホッ、おええぇぇ……ッっ、あァ……はぁ、はぁ……」
庭園の真ん中。
直哉がフラフラと血を吐きながらも立ち上がる。
顔は血だらけで、ガクガクと足を震わせながらも、ゆっくりとリボルバーへと弾丸を込めていく。
先ほどまでは、一切目を向ける事無く正確に込められていたそれが、何度も外れては手からポロポロと零れ落ちていた。
時間を掛け、何とかリロードを終えたリボルバーを、倒れ伏す輝夜へと向けて構える。
「ふぅ、ふぅぅ……全く、油断を誘うなんて小手先の技に引っかかるとは。僕も焼きが回ったね。……でも、もう終わりだ。もう僕はお前に近寄らない。そして、お前ももう要らない。ここで死ね、輝夜」
居合ではなく、ただ腕を伸ばしただけの体勢。
しかし、今の輝夜にそれを躱すすべはない。
男衆が盾になろうとしてくれてはいるが、恐らくは無駄に終わるだろう。
怪我で消力が不完全だったのが原因か、はたまた空中で食らわせたのが駄目だったか。
……どちらでもいい。
結局、私は自分の手でクソ野郎を仕留められなかった。
我儘言ってやらせてもらったのに、ダメだったわ。
「結局貴方に頼る事になってしまうのね、勇次郎」
それだけを言って、輝夜が咳き込み始めた。
無理矢理に体を動かした反動ではない、発作の症状だ。
発作を抑えるための薬、それを輝夜は飲めていなかった。
薬は何時も直哉が調達して、輝夜へと渡してきていたため、輝夜の手元に無く飲めなかったのだ。
ただでさえ傷だらけの中、発作を抑えるための薬すらも飲めず、繰り広げられてしまった激闘。
発作が起きるのも当然と言える。
咳き込む輝夜を見て、何を言っているのかと、直哉が眉をひそめた。
直後、フッ、と巨大な影が直哉を覆う。
先程の輝夜のセリフ。
加えて、この巨大な影。
その答えに辿り着き、銃を構えながら勢いよく振り返る直哉。
そして……振り返り切る前に、その手が掴まれた。
「いやはや、楽しませてもらったぞ。エンドルフィンを操作しての銃弾弾きなど、実に見事だった。自分の見る目が間違っていないというのは、気分が良い。残飯の処理ではあるが、喜んでしてやってやろう」
嬉しそうに嗤う、範馬勇次郎の姿がそこにあった。
「ッッ、範馬ッ、ゆうじろおおおおおおおッッ!!!」
瞬間、直哉は掴まれていない方の手で、懐からリボルバーを引き抜いた。
その人差し指には、手榴弾のピンが引っ掛かっている。
曲げていた人差し指を伸ばして手榴弾を投げ、そのままトリガーへと指を掛けた。
撃ち抜かれる手榴弾。起こる轟音、発生する極光。
目を閉じようとも、眼前で弾ける火花の白さは瞼を貫く。
そうでなくとも、勇次郎の片手は塞がっており、耳をカバー出来ない。
それは直哉も同様ではあるが、直哉は訓練の末に閃光手榴弾の音と光に対し、慣れる事が出来ていた。
多少感覚は歪むが、動けないほどではない。
不意打ちを食らい、怯んだであろう勇次郎から離れようと後退する。
一歩退き……手にある拘束は解けてはいなかった。
「なっ」
「フッッッ」
閉じていた目を開き、勇次郎を見る直哉。
眼前で弾けた光に目を焼かれたにもかかわらず、勇次郎は目をギンギンに見開きながら、尚も嗤っていた。
思考が固まったが故に生まれた隙、そこへ無造作に振るわれる腕。
掬い上げるかのようにして発射されたそれは、直哉の腹を撃ち抜いた。
掴まれていた腕が引き千切られ、部屋へと叩き返される直哉。
部屋の天井へと体をぶつけ、畳へと叩き落とされ、バウンドした体が再度天井へと張り付く。
ゆっくりと剥がれ、殺虫剤を食らった蚊のごとく、血を撒き散らしながらべしゃりと落ちた。
「……げぇっほっ、ぅおぇぇえええええええ……っ、ごぇぇ……っ、はぁ、はぁ……」
意外な事に、あれを食らってまだ生きているのか、体を起こして滝のように血を吐く直哉。
その様子からして、恐らく内臓の一つや二つは弾けているのだろう。
吐血の量が凄まじい。
手に残った直哉の腕を放り捨て、土足のまま部屋の中へと入る勇次郎。
そんな勇次郎に、直哉が残った手を向けて待ったをかけた。
「ッ、なんでお前がここにッ、いや、輝夜か! 輝夜が狙いかッ! ならくれてやるッ! 好きに連れてけッ! 輝夜はくれてやるから、僕を殺すな!」
「お前の許可なんざ要らねぇ、俺の女だ。そも貴様の狙いは俺だろう? どうした、範馬が来てやったぞ?」
「ッッ、クソがァッ!!」
直哉の提案をにべにもなく断る勇次郎。
苦し紛れに、吹き飛ばされながらも手放していなかったリボルバーを構える。
トリガーに指を掛け、しかし発砲する前に蹴り飛ばされた。
部屋の隅に転がっていくブラックホーク。
残った手に足を乗せ、動けない様に拘束。
打ち下ろそうと、拳が振り上げられた。
慌てて直哉が再び待ったをかける。
「ま、待てッ! 輝夜! 輝夜の秘密! 知りたくないか!?」
「あァ?」
その言葉に興味を引かれたのか、勇次郎の動きが止まる。
私の秘密……まさかアイツ!?
輝夜は止めろッ! と声を上げようとするも、咳が止まらず声を上げられない。
ほんっとにこの体はッッ!!
病弱が過ぎる肉体に憤りを覚える。
だが、いくら輝夜が内心で怒ろうと、直哉は止まらない。
そして、それが放たれてしまった。
「輝夜、アイツの中身は男だッ!」
「その程度知っている、あいつの性自認は男だった」
「そうじゃないッ! あいつの中身が男なんだッッ! 本物の輝夜は、アイツととある手段を使って肉体を入れ替えた! 今のアイツの中身は、誰ともしれない見ず知らずの男だッッ!」
はなたれた。
はなたれてしまった。
輝夜の秘密、輝夜の中身。
それが、勇次郎に知られてしまった。
輝夜の目に浮かんでいた涙が零れる。
四肢を動かせない為、それを拭う事も出来ない。
静かに輝夜の頬を涙が伝う。
これは痛みで浮かんだものだ。
痛みで浮かんだもの……その筈だ。
輝夜の身を狙っているのは、直哉だけ。
加えてこのままであれば、腕を失った直哉は、順当に失血で死ぬだろう。
もう、輝夜と絹代を狙うものはいない。
つまり、もう勇次郎に守ってもらう必要も無い
勇次郎に好ましく思われる必要も、無い。
……なのに、何故こんなにも胸が苦しいのか。
上がりそうになる嗚咽を噛み殺し、輝夜は俯いて畳を睨みつける。
そして……勇次郎が、小さくため息を吐いた。
「それで、この俺にどうしろと…………?」
「中身が男の女なんて気持ち悪いだろッ!? 見た目は劣るかもしれないが、中身も含めて生粋の女をやるッ! 望むだけだッ! 輝夜がいいなら心を殺してやるッ! 人形になれば男も女も変わらないだろッッ!? だから、だからその手を下ろせェッッ!!」
「……そうか」
再び、勇次郎がため息を吐く。
そして、怒髪が天を衝いた。
「貴様はァッッ!! 男や女の違い如きで、この俺が認めたものを否定すると思うのかァッッ!! この俺を、俺の女を愚弄するというのかァッッッ!!!」
「えっ、あ、やっ、」
「答えるぉおおッッッ!!!」
核爆弾が、落ちた。
…………否、落ちたのは勇次郎の拳だ。
直哉の顔面を撃ち抜いた拳。
それは畳どころか、その下にある木板すらをも叩き割り、部屋中の畳が衝撃波に浮いた。
切り裂かれそうな程に空間が歪み、地震を思わせる程に地は揺れ、障子に張られた和紙が障子枠ごと一片たりとも残らずに壊れ、破れて飛んでいく。
風も無いのに木々が葉を震わせ、鳥や動物、昆虫は襲い来る根源的な恐怖に、尻尾を巻いて逃げていく。
辺りに静寂が広がり、輝夜がゆっくりと顔を上げた。
そこにあったのは、揃って冷や汗を掻きながら顔色を真っ白にして尻もちを突いた男衆と、拳を振り抜いた体勢の勇次郎の姿だった。
拳の先にある直哉の頭は畳に埋もれており、その体は重力に逆らって斜め上に向けてピンッと伸びている。
まず、生きてはいないだろう。
「チッ、折角良い気分だったってのに台無しだぜ」
舌打ちを打ちながら、勇次郎が腕を引き抜く。
ぐぬっじゅという、名状しがたき音と共に、勇次郎の手に出来た血の橋が零れ落ちた。
どこか冷めた表情の勇次郎が、輝夜の元へと歩み寄る。
「おい、帰るぞ輝夜。お前もだ女」
絹代を指差してから、輝夜を横抱きにする勇次郎。
そんな勇次郎に、輝夜が恐る恐る声を掛ける。
「……気持ち悪くないの?」
「あん? なにが」
「私の中身、男だったこと」
「ハンッ!」
堪えるように口をひん曲げ、怯えた目つきで勇次郎を見上げる輝夜。
そんな輝夜に、勇次郎が呆れたように言った。
「俺はジェンダーレスだぜ、男も女も関係あるか。俺がお前を俺の女と言ったら、お前は俺の女になるんだ」
あまりにも横暴な、乱暴極まるその言葉。
人権など無視した、自己中心的なその発言。
しかし、確かにその言葉に、輝夜は救われた。
何と言えばいいのかは分からない。
お礼を言うのは違うだろうし、謝るのも違うだろう。
だから、輝夜は黙って勇次郎の胸板に顔を押し付けた。
もう勇次郎に隠している事も無い。
例えあっても、さほど勇次郎は気にしないだろう。
輝夜が勇次郎の女である事に、変わりは無いのだから。
そんな輝夜の様子に、絹代が笑みを浮かべた。
勇次郎の胸板に顔を寄せる輝夜。その隙間から、輝夜の口元が安堵したように緩んでいるのが見えたから。
初めて輝夜と会って以来、常に輝夜の内に張り詰めていた何かが、緩んだのに気付いたから。
絹代は静かに、勇次郎の後に続く。
「いやちょっと待てやァッ!?」
そんな一行を、男衆が遮った。
殺していいか? と勇次郎が輝夜に視線で聞き、横に首を振られて、面倒臭そうにため息を吐く。
男衆へと顔を向け、輝夜が口を開いた。
「その……驚いたでしょ? ごめんなさい、今まで騙してて……」
「いやその事は知ってましたよッ! お嬢がお嬢じゃない事くらい!」
「え"っ」
輝夜が固まった。
この約四ヶ月の間、輝夜は全力で輝夜を全うした。
翁以外に正体を問われた事は無く、またそれを匂わせるように聞く者もいなかった。
それなりに、輝夜らしい輝夜を演じられていたと、輝夜は思っていたのだ。
なのに、返事はそんな事知っとるわの一言。
そりゃ固まりもする。
「そもそも突然性格が変わり過ぎなんすよ!」
「俺達に優しいお嬢なんざお嬢じゃねェッ!」
「俺達に怯えるお嬢なんざお嬢じゃねェッ!」
「これじゃただの絶世の美少女じゃねェか!」
「でも、そんなお嬢も良いよな……」
「良い……」
「あ、アンタたち……」
輝夜は、自分の口元がヒク付いているのが分かった。あと額に青筋が浮かんでいるのも。
つまりこいつらはこう言っているのだ。
必死に輝夜を演じる輝夜は、とても可愛かったですと。
私の努力をなんだと思ってんだこの変態どもがァッッッ!!!
「で、何の用だ?」
用が無いのなら、さっさと退け。
対応するのも面倒そうにそう告げる勇次郎に、男衆が懐をまさぐった。
取り出されるのは、包帯にナイフに瓶に入った透明な液体。
「……まず、お嬢を手当させろ、オーガ」