世界最強の男がTS憑依して範馬勇次郎に負けた挙句同意レイプされる話 作:白髪ロング娘スキー
朝、心地よい温かみの中で目を覚ます。
むくりと体を起こせば、上半身に掛かっていた布団がめくれて白い裏側の生地を晒した。
布団には窓から入り込んだ光が当たっており、あの心地よい温かみは日光で布団が暖められた結果なのだと察する。
寝惚け眼のまま下半身を布団の中に潜らせ、ぼうっと布団を見下ろしながら座ることしばし。そうしていると、ふと下半身にむずむずとした感覚が生じるのを感じた。
それと同時に体に寒気が走り、これが何かを理解した。排尿感だ。
「んぅ……といれ……」
名残惜しくも布団から足を引き抜いて立ち上がり、フスマを開いて部屋を出る。
行きはしなかったものの、トイレの場所自体は昨日絹代から聞いている。
ぽすぽすと歩きながらトイレへと向かい、扉を開けて入る。
清潔に保たれてこそいるものの、トイレ自体は何の変哲もない洋式のトイレだ。
日本のトイレはしゃがんでやるものだとジョニーに聞いていたので少々意外に思いつつも、トイレを使うための準備を始める。
便器の蓋を閉じたまま、右の袖を腕に巻き付けてから持ち込んだクリップで挟んで止める。左の袖も同様に巻き付けてクリップで止めた。
次にしゃがんで着物の左右、襦袢の左右、そして裾を掴み、帯に沿わせてから同じくクリップで挟んで止める。
クリップで止めた事で垂れた着物、襦袢、裾の折り返し部分を腋で挟んで持ち上げ、準備は完了。
便器の蓋を開け、股を少し開いたまま便座に座り込んだ。
面倒ではあるが、こうしないと着物が汚れてしまう。
少しだけ体を前に傾けて前傾姿勢を取ると、少しして体から尿が排出され始めた。
徐々に排尿感が薄れていき、無くなるまで待つ。最後に少しだけ股間に力を入れて出し切った。
感じていたのは排尿感だけのため、これで終わりと股を拭き始める。
ペーパーを2節分出して千切り、真ん中で折って股にあてがう。
特に動かす事はせず、そのまま5秒ほど待機して水気を纏ったペーパーを捨てる。
これを繰り返して完全に股から水気が無くなった辺りで便座から立ち上がる。
便器の蓋を閉じ、クリップを外して少し崩れた着物を正す。
トイレを流して扉を開け、洗面所で手を洗う。
ついでにと顔も洗い、未だに少し寝惚けた頭を今度こそ目覚めさせる。
しゃっきりとした頭で、この体は朝に弱いなと思いつつ……ふと気付いた。
なんで俺、普通に着物でのトイレのやり方を知ってたんだ……?
「……まぁいいか」
トイレのやり方が、人格ではなく体に習慣として宿っていたのだろう。
体の入れ替わり、知らない言葉での会話。
いろいろなメルヘンを体験した俺はそう易々とは動じないのだ。
トイレを出て部屋へと戻る。
部屋の中はトイレに行く前と変わらず、少し乱れた布団だけが部屋の真ん中に鎮座していた。
絹代が朝食を知らせに来るまで暇だしと、ついでだから布団を畳み始める。
まぁ畳み方を知らないから、布団の折り目に沿って折りたたんだ適当な物ではあるが。
そうして畳み終わる頃、ぱたぱたと足音を鳴らして誰かが部屋へと近付いてきた。
静かにフスマが開かれ、絹代が部屋へと入って来る。
「おはよう」
「おはようございます輝夜様」
さて、今日からは鍛錬だ。
——— ———
「ぜひゅー……、ぜひゅー……」
やばい、吐きそう。
貧弱だとは思っていたが、これは想像以上だ。
当然悪い意味で。
場所は一族の者達が修行をしているという大きな道場。
事実足を運べば、そこには各々が動きやすい恰好をしたニンジャ達が組手を行っていた。
俺を見た瞬間に動きを止め、礼をしてくるのを手を振って再開させる。
さて、俺もさっさと着替えてトレーニングを始めよう。そう思い、用意された服に着替える。
肌に吸い付くようなぴっちりとした白いスポーツウェアと黒い
そして運動する前にまずはと、準備運動を兼ねた体力テストを行った。
その結果がこれだ。
「ぜひゅー、ぜひゅー」
軽く走ってみれば20mほどでダウン。
腕立て伏せはそもそも体を支えられず、体を伏せた瞬間に崩れ落ちた。
自重と床でプレスされた胸が言葉では形容出来ない程にとてつもなく痛かった。
スクワットは4回で立っていられず無様に転び、腹筋は5回で腹が攣った。
「ひゅ、ひゅぅ……これは、大分致命的だな」
思っていたよりも、この体の貧弱さは深刻だったようだ。
とはいえ、どうしようもない訳ではない。
20mまでは走れたし、腕立て伏せも膝を立てれば6回までは出来た。
スクワットも4回は出来たし、腹筋も5回まで出来ている。
完全な0ではないのだ。ならば希望はある。
こちらを心配そうな目で見て来る絹代に手を振って安全を伝え、道場の端っこに転がっていた一番小さい5キロのダンベルを拾う。
床に座り込み、それを両手を使って持ち上げてから下げるのを繰り返す*1。
負荷としては軽すぎるが、いきなり重いものを使おうとして怪我をするなど論外だ。
それに、これでもこの体には大分重いようで、7回目でもう腕が上がらなくなり始めている。
そんな状態のまま無理矢理に上げているため、体が負荷に悲鳴を上げて汗を流している。
「っ9……ッ! っ10……ッ! ……っはぁー!」
11回目は休憩を挟まなければ不可能だと判断し、10回目で中断。
落として怪我をしないようにゆっくりと床にダンベルを下ろす。
するとすぐさま絹代が駆け寄ってきてスポーツ飲料の入った水筒を俺に渡し、タオルで汗を拭き始める。
少しぬるめのそれが喉を潤わせ、体に染みわたっていく。
不快な汗が拭かれる感覚も合わせて、とても気持ちがいい。
なんというか、快適だ。
どれだけ無茶をやっても止められる事は無く。
休憩を取ろうとすれば飲料が差し出され、良い女に汗を拭いてもらえる。
それだけだが、だからこそトレーニング環境としては最高に近い。
「ぷぅー……」
「調子はいかがでございますか?」
「想像以上に貧弱。でも、希望はあるな」
「順調なようでなによりでございます」
汗が止まり、腕の震えも無くなり始めた頃。
トレーニングを再開しようとした俺の元へと、一人の老人……老人? が近寄ってきた。
隆々とした筋肉をピッチピチのトレーニングウェアで包み、なにやら嬉しそうに笑みを浮かべている。
「これはこれは輝夜嬢!! 遂に体を鍛える気になりましたか!! この翁、歓喜の思いで胸が一杯ですぞ!!」
「っ、うるッさいわねぇ……」
歓喜のままに発された大音量の声が耳にキーンと響いた。
絹代が顔を顰めて聞いた事のない、恐らくは素の口調で小さく悪態を吐くが、老人は聞こえていないのか気にした様子も無くこちらを見つめて来る。
何か用か、と返しそうになり、慌てて口を閉じて咳ばらいの振りをする。
不味い不味い、女の口調で喋らなければ。
「ええ、半年後にちょっと仕事をする事になってね。聞いてないかしら?」
「む……? 申し訳ありませんが、ワシは何も聞いておりませんな」
「そう……」
つい昨日の事だし、まだ周知が間に合っていないのだろう。
特に気にせず契約の内容を説明する。
「というわけ」
「なるほど……いや、なるほど。分かりました」
何故か二回頷き、納得したような声を上げる老人。
「では僭越ながらこの翁、輝夜嬢に女子の身でも扱える技をお教えいたしましょう」
「へぇ、なんの忍術?」
「忍術……? いえ、単なる柔術、合気道にございます」
俺の言葉に小首を傾げながらも、翁はその名を挙げた。
アイキドー、確か日本発祥の武術だ。以前使ってきた者がいた。
お前の力をそのままお前に返すとか言ってきたから、やってみせてくれと殴ったらそのまま顔面を凹ませて退場していった。
それもあって、あまり強いというか、使える武術であるという認識は薄い。
そんな思いを悟られたのか、翁はカカカッ! と高く笑う。
「疑っておられますな? それも仕方のないこと。合気道というのは扱いが難しいものですからな。おい!」
にこやかに話しかけてきていた翁が、突然鋭く声を上げる。
途端、組手の真っ最中だったにも関わらず、道場内にいた者達が一斉にその声に反応してこちらを向いた。
その中でも真っ先に反応したクノイチが一人、こちらへと歩いてくる。
「なんでしょう師範」
「技を掛ける。輝夜嬢に見せる手本だ、しっかり受けきれ。情けの無い所を見せるなよ」
「はッ! 全身全霊を持ってッ!」
おいおい、そんな圧をかけてやるなよ……
そう思い他の者達を見れば、圧を掛けられているクノイチを同情的な視線……ではなく、むしろ羨ましそうな顔で見ている事に気付いた。
何故かを考え、翁の技をその身で受ける事が出来るからかと納得した。
実は、この翁が道場内にいる事には最初から気付いていた。
そして、翁がこちらに話しかけたそうにウズウズしていた事も。
しかし俺がトレーニングをしているからと、邪魔をしない様に我慢をしていた事も。
俺が休憩に入ったのを見計らって、嬉々として話しかけてきた事も。
俺が道場に入って来てから約1時間。
その間、翁が道場内の者達と組手をする事は無かった。
故にてっきり、
視線に含まれた感情は、むしろ憧れに近い。
「よく見ていてください、輝夜嬢。合気道というのは相手の力を使い、自身の力はあまり使わぬもの」
「ハッッッ!」
勢いよく駆け出したクノイチが、右の抜き手を振るう。
翁の胸、その少し左側。的確に心臓を狙ったそれ。
それに対して翁は左に半身になり抜き手を背中に掠らせると、そのまま右手でクノイチの胸を押す。
前に向かっていた体に唐突に後ろへのベクトルを加えられたクノイチは体勢を崩し、なんとか足に力をいれて堪えようとする。
しかし、堪えるために床につこうとした足の裏へと翁が先に右足を置き、クノイチの足に引っ掛けた。
後ろへと向かった体を前に向ける前に追加で体勢を崩されたクノイチは、もはや受け身を取る事すら出来ずにそのまま背中から床に叩きつけられる。
即座に体を丸め、後ろに転がってから跳ねるようにして立ち上がり拳を構えてこそいたが、その拳は震えていた。
恐らくは床に叩きつけられた際に、肺の中の空気が全て外へと吐き出されてしまったのだろう。
翁をしっかりと見据えながらも、むせて隙を作らない様になるべく小さな呼吸で息を整えているのが見える。
「女性という性は肉が付きにくいもの。それを補うための方法が寝所での暗殺や柔術でございます。されど、輝夜嬢が寝所での暗殺を命令される事など無いでしょう」
「だから、柔術……」
「はい。筋肉に依存した剛術と比べれば、遥かに輝夜嬢には向いておられるでしょう」
なるほど。
元々、武術とは女や子供などの非力で弱い人間が、強い人間から身を守るために編み出されたものだ。
つまり、武術というもの自体が本来力に依存したものであってはならないのだ。
それに手を加え、力を持つ者がそれ以上の力を持つ者と殴り合えるようにされたものが剛術。
武術を一族と仮定すれば剛術は、私がこれまで振るってきた拳とは言わば派生した分家のようなものなのだ。
個人個人の筋肉量という要素が混ざった分だけ、武術としては不純なものとなっている。
そしてこの体には、その不純さを受け入れて強くなるための器が無い。
であれば、今俺が使うべきは相手を粉砕する剛術ではなく、相手を少ない力で打倒する柔術という訳だ。
「よし、やるわ」
「では今度はゆっくりと見えるように行いましょう。……おい、もう一度だ。その後に輝夜様の打ち込みを受けろ」
「ひゅっ、ひゅっ……っ、はいッ!」
未だに整いきっていない呼吸を中断して返事をするクノイチ。
早速拳を構えようとし、そんな二人にストップをかける。
「いや、別に息が整ってからでいいわよ。急いでる訳でもないんだし。あと、今のはもう分かったから次を教えて頂戴」
「輝夜嬢はお優しいですな。おい、輝夜嬢の心意気に感謝して呼吸を整えろ。あとさっきの抜き手、タイミングが早い。それでは肋骨に当たるぞ」
「ご指導感謝いたします師範ッ! 有り難く息を整えさせて頂きます輝夜様ッ! すうー、はぁー」
素直に大きく深呼吸をし始めたクノイチ。
それを尻目に、翁はこちらへと話しかけて来た。
「……輝夜嬢」
「なぁに?」
「先ほど言っておりましたが、分かった、とは?」
何処か圧力を感じる顔でこちらを見つめる翁。
その態度に、そりゃそうなるだろうなと思いながらも、事実なので素直にそのまま答える。
「そのままの意味よ。今の技はもう分かった。だから次の技を教えて頂戴」
「……それは本当の事にございますか」
「嘘なんて言っても仕方ないでしょう」
途端、大きく口の端を釣り上げて翁が笑った。
そのままクノイチを指差す老人。
「では輝夜嬢、試しにこやつに掛けてみて下され」
クノイチを見れば、とうに息は整っておりこちらを見ていた。
少々困惑した様子ではあったが、それでもしっかりと左手を前に、右手を腰に当てて身構えている。
「師範、どこまでやっても?」
「急所は狙うな」
「……分かりました」
困惑した表情のまま更に眉根を寄せるクノイチ。
恐らくは怪我をさせてもいいのかどうか、怪我をさせていいとしてもどこまでやっていいのかを聞いていたのだろう。
それに対して返ってきた返事が急所は狙うなだ。結局どこまでやっていいのか分からない。
そりゃ困惑もするだろう。なので、助け船を出してみる。
「怪我、させてもいいわよ。翁が駄目って言ってたけど、急所だって狙っていいわ」
「ですが……」
「どうせ本番じゃ命の危険はあるもの。失敗したら助けてくれるらしいけど、即死したら助けも何もない。だったら普段から緊張感をもってやった方が身に着くわ」
俺の言葉にクノイチの眉が緩み、真剣な表情が浮かんできた。
腰が落とされ、全身に力が巡っていくのが分かる。
本気の体勢だ。
それに対してこちらも立ち上がって三歩歩みを進める。
先程のクノイチの抜き手を見るに、ここがクノイチの攻撃可能圏内ギリギリ一歩内だ。
クノイチがそれに気付いたのかどうかは定かではないが、彼女の目に力が籠った。
僅かに漏れてくる殺気。
「……行きます」
「来なさい」
ダンッ! という音と共にクノイチが駆けた。
抜き手……いや、指の第一関節が曲がっている。万が一があって俺の肌を貫かないためだろう。
それを半身になって躱し、クノイチの鼻にギリギリ触れる程度の所に右の手の平を置く。
直接胸を押しに行っても良かったが、ついさっき翁に食らったばかりかつ、同じ技を掛けると宣言しているのだから警戒はされているだろう。
故に特に何もせず、ただ置いた。
「ッ!? クッッッ!」
自分から俺の手の平に鼻を押し当てる形になったクノイチが一瞬固まるが、即座に立て直してバク転をしながら顎に当てる様に蹴りを放ってきた。
その蹴りを一歩下がって避け、二歩進む。そしてバク転の着地から起き上がる最中のクノイチの鼻にギリギリ触れる程度の位置に左の手の平を置いた。
再び俺の手の平に自分から鼻を押し当てる形になったクノイチの顔が、一瞬恐怖で歪む。
しかし即座に闘志を燃やし、今度は引かずにそのまま顔で俺の手を押しながら左で抜き手を放ってくる。
その手はピンと伸ばされており、狙いは俺の左胸。殺気を隠そうともしておらず、もはや手加減はしていない事が分かる。
だが俺の狙いはそれだ。
手を押される勢いのまま体を逸らして手を引き、胸の前を通り過ぎていく抜き手の下を
前へと向かっていた中で唐突に後ろへのベクトルを加えられたクノイチの体勢が崩れる。
思わず、といった感じで足を床へと向かわせ……その後ろに俺の足を置いた。
体勢を整えるために出した足が引っ掛けられ、そのまま背中からクノイチが落ちていく。
しかし既にこのシチュエーションは2度目。クノイチは素早く受け身の用意をし、そこに俺がもう一度胸を押す。
再度押された事で落ちる勢いが増す。
ズダァンッ! と音を立てて背中から床に叩きつけられたクノイチ。
受け身を取るタイミングを完全にズラされたため、その衝撃は全て何処にも逃げず、体内の破壊へと向かった。
息をする事も出来ず、目を見開いてパクパクと口を開閉しているクノイチ。
その胸をゆっくりと何度も押し、息をするタイミングを教えてあげる。
「っは、っは、っは、はぁ……」
息が整ってきたのか、目を閉じて苦痛によって浮かんだ涙を静かに流すクノイチ。
悪い事をしてしまったなと思いつつ、息はもう整っているため、涙だけ拭ってあげてから立ち上がる。
振り返れば、ニンジャ達は……恐ろしい物を見るかのような目をしており、翁はいや怖何あの顔。
「素晴らしい……素晴らしいッ!」
「え、えと……」
「やはりワシの見立ては間違っていなかった! 貴女様には途轍もない才能が秘められていたッッッ!」
いや、あの、人違いです……
「さぁ次、次の技です! 次の技をお教えいたしますッ!!」
「あの、」
「楽しみだ……ワシの全てを教えつくした時、果たしてそこには何が待っているかッッ!! フフフ……フヘァハハハハ……ハァーハッハッハッハッッッ!!!!!」
…………こわい。
徒手翁=0.8親友