※この作品はR-18です。

ZERO ~格闘ゲームに翻弄される者達~   作:夜月光介

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これまでふたなりで『男性を好きになる』ってのを
あんまりやってこなかったんですよね。モノが付いてるから
必然的に女体に夢中になると考えてたんですけど、
素体は女性で性自認も女性なので、男性を好きになるのは
ある意味当然なんですよね。


番外編 湯源郷の宴 成就せぬ思い

【2011年2月27日 午前10時20分 東京都大田区 カフェ北野大茶店内】

 

 今までの事とこれからの事を、岬と椿は話し合った。

 椿がどういった道を歩み、成功者となったのか。

 12店舗の経営を継続し、自分と同じ身体的苦悩を抱えている人達の力になりたい。

 一方岬の方は、眠っていたアスリートとしての血が騒ぎ、ステイヤーとして世界を飛び回るつもりでいた。

 

「自動車メーカーの『アラタ』さんがスポンサーになってくれるって。

 これから私、色々な鉄人レースに挑戦してその全てを動画サイトにアップしてもらうの。

 新しい挑戦を止めない、走り続けるって言う意思を表明する為に」

 自動車会社としてBIG4への返り咲きを狙っていたアラタ。

 黒沢グループの子会社として買収され、漆黒の高級車のみを作らされる事に社員達は苛立っていた。

 

 自立して離脱する為の資本金を手に入れる為には、多くの客に自分達の存在を認知してもらう必要がある。

 そこで彼等が目を付けたのが鶴野岬だった。

 岬の溌剌としたイメージは、『黒』とは真逆であり映えない。

 そして高級車では無く、どんな荒地でも走れるスポーツカーを前面に押し出すべきだ。

 彼女に肩入れする事で美香への抵抗を試みた社員達であったが、そこに白鳥が現れ提言を行う。

 

『黒に近い紫や青なら、美香様も納得して頂けるでしょう。

 スポーツカーは『自由』の象徴。

 旧綾小路財閥の桜華御嬢様もきっと喜んでおられるはずです』

 

 そこからは、どれだけ黒から離れられるかの過酷なチキンレースだった。

 動画映えする為だと言い訳を続け、美香に激怒されないギリギリのラインまで黒から離れる。

 岬はアラタの復活劇に利用された形となったが、お互いにメリットがある事を理解していたので不満は一切無かった。

 

「引き続き、私も岬のサポートと指導を続けていくつもりだ。

 記録も大事だが、鉄人レースでは完走する事そのものが重要になってくる。

 無尽蔵のスタミナが手に入る様に、生活習慣や食事にも気を遣っていかなければ」

 

「天武日本にいない時もあると思うけど、スマホで出来るだけ連絡を取り合いたいの。

 世界の何処にいてもお姉ちゃんと繋がっている時間を大切にしたいから。

 天武日本に帰ってきたら必ず時間を作るわ。

 実際に会って話が出来る様に」

 

 椿の心配は杞憂に終わった。

 岬は、自分の足でしっかりと一歩を踏み出していたのだ。

 きっと自分の人生と同じ様に、多くの苦難や障害があったに違いない。

 

 それを努力と確固たる意志で乗り越えてきた。

 恐らく、妹は自分の助けをもう必要としていない。

 輝かしい栄光の道を歩いていけるのだ。

 彼女はそう思った。

 

「……岬、私も自分のすべき事が終わったとは思っていないわ。

 私と同じ苦しみを抱えている人達から貰ったお金で、施設をより良いものへと変えていきたい。

 両性具有の人々が、最後に辿り着ける楽園(エデン)を失わない様に。

 お互いに信じる道を貫き通しましょう。

 私達にはそれぞれ与えられた役割があるのよ」

 

 神や仏を信じているとは言わない。

 本当にそんな人ならぬ存在があったとしたら、今の自分はこの場所に立っていないだろう。

 また別の道を進み、岬もまた違った道へ進んでいたに違いない。

 

 自分達がしている事は、『今の自分』が出来るベストな選択。

 正解とは言い難いけれど、間違ってもいない。

 椿は岬と己自身にそう言い聞かせ、戦い続ける事を心に誓った。

 

 喫茶店で少しの間だけ会話をしただけであったが、椿も岬も会えずにいた数年間の空白を埋める事が出来た様な気がしていた。

「また会いましょう。

 絶対よ」

 

「勿論。

 どんなに離れていても、私達が姉妹である事は誰にも否定出来ない。

 お父さんにも、お母さんにも、どんな人にも。

 帰ったらすぐにメールを送っておくね」

 駅で抱擁を交わし、改札を通って消えていく妹の姿を見えなくなるまで見送り続ける椿。

 

 恩師と妹なら、どんな『ハードル』も飛び越えていけるだろう。

 人並み以上の幸せを掴み、相応しい相手を見つけて幸福な家庭を築いていける。

 目に涙を滲ませながらそう思った椿であったが、一方でまた寂しさも感じていた。

 

 (悔しいけれど、私には人並みの人生を送る事は出来ない。

 恋がしたいと思っても、この身体では男の人と恋愛する事すら……

 だから、せめて貴方にはそういう道を歩んでほしい。

 貴方が私の希望なのよ、岬)

 

 全てを勝手に託す事が、妹にとって重荷になってしまう事は重々承知している。

 それでも、呪われた身体を持つ椿にしてみれば、そう思ってしまう事も仕方の無い事であった。

 

「どれだけ逃げても過去は追ってくるし、塗り潰しても過去は消えない。

 アンタにとっては地獄かもしれないけど、アタシも望んでいるものを得る為なら何だってするからな」

 感傷に浸っていた椿の背後から声が聞こえ、彼女は思わず振り向いた。

 カジュアルな私服を身に纏った戦場希望が、ニヤニヤ笑いを浮かべながら立っている。

 見えかけた青空が黒い雲によって覆われていく様な気がして、椿は思わず俯いた。

 

「どうしてココが……?」

「アタシの元部下を動員して情報収集すりゃ、何時かは辿り着くさ。

 アンタが今日妹と会う事も知ってた。

 鶴野岬のスケジュールも調べさせてる」

 

 希望は暴走族のレディースが解散に追い込まれた後も求心力を保っており、化粧品会社で働き始めた後も大勢の部下を抱えていた。

 鶴野椿が『黒薔薇館』を辞めたと言う情報を聞いた後、希望は鶴野岬の行動を監視する様指令を出す。

 

 スポンサーのアラタが鶴野岬をサポートする為に送り込んだ女性スタッフ。

 彼女達の中に希望の部下を潜り込ませるのはそれ程難しい事では無かった。

 走らずとも鉄人レースに挑戦する彼女の支援を行うのは大変な苦労を伴う為、頻繁に募集がかけられていたからだ。

 そしてそれとは別に『両性具有者のみが入れる銭湯』の情報も彼女の耳に入ってきていた。

 

「アタシの恐ろしさがよく解っただろ?

 執念深さは誰にも負けねぇよ。

 アンタだって自分の置かれた状況が飲み込めているハズだ。

 アタシが一言喋っただけでアンタの妹の未来を潰す事が出来るんだからな」

 

 (ああ、この人がいたんだった)

 晴れ晴れとしていたハズの椿の感情がどす黒いものに塗り潰されていく。

 

 立場のある人間として、そう簡単には彼女の口を封じる事など出来ない。

 血生会と関わりのある雲雀に頼めば『排除』してくれるだろうが、完全に全てが片付く前に自分が誰かに刺されるだろう。

 岬の姉が両性具有者である事が世間に知られれば、容易く今の地位は失われる。

 彼女の兄である戦場渡も恐らく遠くから自分を監視しているものと思われた。

 

「……それで?

 何がお望みなんです」

 

 事実上の敗北宣言だった。

 大勢の部下から慕われている希望に逆らっても、自分1人ではどうする事も出来ない。

 黒薔薇館で彼女を屈服させた様に見えたのは幻だったのだ。

 何を言われても受け入れるしか無い。

 そう思って椿は涙を流しながら彼女を見た。

 

「そんなに無茶な事は頼まねぇよ。

 アタシとセックスしてくれって言いたいだけだ」

 正直、とんでもない条件が突き付けられる事も覚悟していた椿であったが、希望にそう言われ目が点になる。

 

「前に言っただろ。

 友達になってくれって。

 アタシのセックスフレンドになってほしいんだ。

 男となんかしたくねぇし、他のふたなりの女とするのだってアンタが嫌がるじゃねえか。

 疼くんだよアタシの身体が……

 アンタにだってメリットがある話だと思うんだがな」

 

 希望の言う通り、椿にとっても損な話では無かった。

 黒薔薇館を辞め、『天女の湯』のオーナーとなった椿であったが新たな枷が彼女の足にはめられてしまう。

 

 オーナーである自分が客と交わる事は出来ない。

 スタッフに頼むなど言語道断。

 成功者となった代わりにその立場が性の自由を許してはくれない。

 当然、手淫か器具を使って自ら慰める日々へと戻った椿であったが、正直不満を感じていた。

 

 (毎日毎日男に突かれたり、女性の膣内にモノを潜り込ませるのが当たり前になっていた。

 辛い日々ではあったけれど、いざ完全に無くなってしまうと滾った欲望が抑えられなくなる。

 自分からは口が裂けても言えなかった。

 セックスしたい!!だなんて……

 でも希望さんになら私の欲望を幾らでも吐き出せる。

 心が痛む相手じゃない)

 

 ノーマルとは言え、かつて自分を地獄に突き落とした女性。

 肉棒を突き入れる事に躊躇いは無い。

 椿としても後腐れの無い相手が出来る事は歓迎だった。

 

「アタシは、アンタが良いんだよ。

 そりゃ黒薔薇館にはアンタみたいなふたなり女が常駐してる。

 でもアンタが良いんだ。

 アンタになら、その意味が解るだろ」

 

 女が見惚れる程の肉棒。

 そそり立つ巨根。

 黒薔薇館で希望の相手をしている時、彼女は何時も口癖の様にそう言っていた。

 それは女を泣かせる凶器で、多くの女が椿の肉棒の前に跪くだろうと。

 事実、黒薔薇館に在籍している時に彼女を指名する『女性』の数は歴代トップだったのだ。

 

 (結局、人は誰かを利用する事でしか生きていけない生き物。

 私も雲雀さんの助けが無ければ今こうして裕福な生活を送る事は出来なかったし、岬がいなければ途中で壊れてしまっていたかもしれない。

 そして今、希望さんは私の身体を使って性欲を満たそうとしている。

 私もそれに乗れば良い。

 私の性欲を満たす為に……

 そして、妹の未来を守る為に)

 

 ココに来るまでに、多くの人々を踏み台にして成り上がってきたのだ。

 今更憎い相手とセックスをする事に何の問題があるのだろう。

 高校生の頃の椿は右も左も解らない迷える子羊であったが、彼女は確実に成長していた。

 

 より狡猾に、より強かに。

 自分の私情を挟む事無く目の前の利益だけを追求する。

 それが出来るからこそ椿はオーナーになれたのだ。

 それは彼女自身が一番よく理解していた。

 

「宜しくお願いします」

 椿は自分から手を差し出し握手を求めた。

 本当ならば、助走をつけて思い切り頬を殴りたい相手と、形だけでも和解する。

 心の奥では激しい嵐が発生していたが、それをおくびにも出さず笑顔を見せた。

 

「これからも長い付き合いになると思うが、悪く思わないでくれよな。

 アタシが味方になれば他にも恩恵がある。

 アンタを守る様部下に伝えておくぜ」

 

 見えない場所からの監視。

 お前は常に見張られているのだと言う脅迫でもある。

 希望と真っ向から対立しても勝ち目は無い。

 ならば開き直って利用するだけ利用しよう。

 椿は大切なものを守る為にどんな苦痛にも耐えなければならないと思っていた。

 

【2011年7月17日 午後7時30分 千葉県宮本市 アパート貧荘 火村あかりの部屋】

 

 火村あかりの『闘戦興』編集部員としての活動は、コラム執筆・取材・雑用と多岐に渡る。

 ZERO SECONDの『第3世代』の登場に伴い彼等へのインタビューや大会の内容報告等忙しくなってはいたが、僅かな休息を利用して快楽に溺れていた。

 この日も電脳皇帝で行われた『店舗大会』に参加し、ネタを集め帰宅。

 その後セックスに励んでいたのである。

 

「あかり先輩、冷蔵庫の中にビールしか入ってないんですけど」

「あー、緑茶のペットボトル入れるの忘れてたわ。

 氷はあるからコップに入れて飲んで頂戴」

 

 店舗大会に顔を出していた雨宮比呂子は、最寄り駅で遠藤咲を拾った後アパート貧荘に到着。

 火村あかりは店舗大会に呼ばれていた芹沢葵を引っ張り、部屋の中へ連れ込んでいた。

「最高や、あかりはんのオメコ……

 癖になるわぁ」

 

「師匠、私ともしましょうよ。

 私のオチンチン、まだ満足してないですよ」

 誰に見られるワケでも無いとは言え、部屋の中で全員服を着ておらずそのうち2人が両性具有者と言う異様な状況。

 

 既にあかりとのセックスを済ませた咲は座り込み萎えかけたモノを床に乗せていたが、葵は元気な様子だった。

「こうも性欲が強いと、私達だけじゃ処理し切れませんね……」

「うーん、もっと人がいれば2人1組になって御互いに発散し合えるんでしょうけどね。

 そもそも広さが足りないわ。

 今の状態でも4人って結構ギリギリよ?」

 

 あかりが住んでいる部屋は御世辞にも『広い』とは言えない。

 居間と風呂場をフルに使えば若干人は増やせるかもしれないが、二桁となると絶対に無理な話だった。

 未成年と言う事もあり、性欲真っ盛りである葵。

 彼女が心から望んでいるのが『天女の湯』への入店であったが、その壁は高い。

 

「大勢のふたなりの人と、思う存分性行為が出来るなんて……

 考えただけで興奮しちゃいます」

 勃起した肉棒を晒しながら、紛う事の無い本音を吐露する葵。

 

「飢えた狼の群れに突撃する様なもんやからなぁ。

 ウチだけで行くのはもうしんどいわ。

 せめてウチ以上に性欲が強いあかりはんを連れていきたいんやけど、無理なのは解っとるしな」

 

 咲は火村あかりならばあの獣の群れに放り込んだとしても余裕で勝てると思っていた。

 名器であるだけで無く、ひたすらにタフで何人もの相手とセックスを継続する事が出来る。

 もし彼女が『天女の湯』に足を運べたら、どういう結果が待っているのかと言う興味もあった。

 

「普通の方法で、葵さんとあかり先輩が『天女の湯』に入るのは無理と言う事ですか」

 比呂子はべたついた身体を濡れたタオルで拭いた後、緑茶を飲みながら要点をまとめる。

「イレギュラーな方法を模索しなきゃいけないって事ね。

 相手が納得する様な方法で、尚且つある程度の人を集める必要があると」

 

「人に関しては、ウチが店で知り合いになった人らでええやん。

 流石に数十人もいたら収拾が付かなくなるで。

 精々おって十数名やろ」

 メモ帳に書き込みを続けながら、『上手くいく方法』を模索し続ける。

 やがてあかりの発した一言が、向かうべき方向を如実に示す事となった。

 

「お金の問題を気にしなければ、1日貸し切りにしてもらうって手もあるんじゃない?」

 比呂子も咲も葵も、その言葉に反応してあかりの顔をまじまじと見つめる。

 

「どれ位かかるんやろ。

 北馬篭の店は会員数が200位やった。

 その全てが来店するとは言わんでも、多く見積もれば100は有り得るやろ。

 入湯料5000円だけで納得するとは思えへんから、乗せて1万位か。

 100万円……

 それに色を付ければ何とかなるんかなぁ」

 

 簡単に出せる様な額にはならない。

 大事な稼ぎが1日分失われるとなれば、オーナーである湯姫も良い顔はしないだろう。

 全員が1日ずっと時間を作れる日で無ければならないとすれば、休日を選ぶしか無い。

 

「私が出しましょうか?

 アークラインズの運営側から結構お金貰ってますし。

 100万円なら出せますよ。

 元々、天女の湯に行きたいって言い出したのは私ですから……」

 

 葵はそう言ってあかりの反応を伺ったが、あかりはさらに強気な発言をした。

「私に伝手があるから、そこから引っ張ってみるわ。

 300万なら流石に文句を言われる事は無いでしょ。

 1日の売り上げがふいになっても、充分補填出来る額だと思うわ」

 あかりは簡単に言ったが、300万円は大金である。

 

 ゲーマーアイドルとして稼いでいる葵ですら容易に払えるものでは無い。

「そんな大金、誰が用意してくれるって言うんですか?

 それに、お金があったとしてもそれだけでオーナーさんが首を縦に振ってくれるとは限りませんよ」

 比呂子も心配そうな表情で他の者達の心情を汲み取る様な発言をしたが、あかりは勝算があると思っていた。

 

【2011年7月31日 午前8時 茨城県水戸市 天女の湯水戸本店前】

 

「いやぁ、随分晴れたわね」

 周囲の山からは蝉の声が聞こえ、雲も殆ど見えない快晴の空。

 うだる様な暑さの中、あかりは送迎バスから下車した。

 新鮮な空気が美味いとばかりに深呼吸しながら、思い切り両手を上に伸ばす。

「それにしても、結構無茶なお願いがあったのによくオーナーさんが了承してくれましたね」

 

 あかりの次にバスから降り、あかりの隣に移動した比呂子はこの暑さに苦戦している様子だった。

「メンバーの予定が全員合う日を見つけるのが大変だったわね。

 特に8月は多忙になるから厳しいって言う人もいて、今日位しか空いてないって事になったし」

 送迎バスから火村あかりが集めたメンバー全員が下車し、店の中へと入っていく。

 

 総勢8名。

 その中には月山新二の姿もあった。

 

『新二君、300万円出してくれない?』

 唐突にそう言われた時の事を、新二はハッキリと覚えている。

 樽酒桃子と結婚を前提にした付き合いをしていながら、新二はあかりとの肉体関係を捨て切れなかった。

 他では味わえない快感と、あかりの驚異的な名器の虜になってしまっていたのだ。

 

 薄々桃子も新二があかりとの繋がりを切っていない事に気付いていたが、あくまで見ないふりをしているだけ。

 それがあかりの口から漏れる様な事になれば、新二は己の全てを失う恐れすらあった。

『右から左にポンって出る様な金額じゃないですよ』

 

『これからの名声と儲けをドブに捨てるより遥かにマシじゃない。

 新二君だって私とは『良好な関係』を築いておきたいとは思ってるでしょ』

 あかりから弱みを握られている新二としては、金を出さないと言う選択肢は最初から存在しなかった。

 天才ゲーマーとしての地位を守る為には、『不倫』と言う事実が暴露される事だけは避けなければならない。

 あかりと言う『沼』に首まで浸かっている新二は、素直に金を吐き出すしか無かった。

 

 あかりも新二から300万円を貰ってさよなら、とは考えていない。

 何のメリットも無いまま金だけ取るのは不公平である事は承知していた。

 新二の弱みを握っていると言う事は、周囲に漏らしてはいけない秘密が増えたとしても対応が可能と言う事でもある。

 

『両性具有者だけしか入れない銭湯を貸し切りにする為にお金が必要なのよ。

 貸し切りにするって事は、普段は入れない様な人も入れるかもしれないって事。

 何事も経験って言うし、一緒に来てみない?』

 

 当然オーナーとの交渉が必要である事は当然として、まず新二の予定を確保するあかり。

 遠藤咲に『天女の湯』オーナーとの交渉を頼み、あかりは調整役として動く事にした。

『貸し切り……ですか?』

 

『はい。

 丸1日施設を貸し切らせてほしいんです。

 貸し切り料として300万円を用意させてもらいました。

 予定表と参加するメンバーは全てこの紙にまとめています』

 

 天女の湯に直接乗り込んでオーナーと交渉する事が出来るのは咲しかいない。

 彼女はらいは・のきあ・まるうと言った北馬篭支店の常連客をメンバーに加え、予定日を7月31日と定めていた。

 比呂子・あかり・信二・葵も何とか予定を合わせ、咲自身も大出みゆるから許可を貰っている。

 当然ココまでは順調に進んでいたが、オーナーの湯姫が断れば計画は暗礁に乗り上げてしまうだろう。

 机の上に自分が置いた札束と湯姫の顔を交互に見ながら、咲は何とか彼女が『OK』を出してくれないものかと祈っていた。

 

『ZERO全国大会優勝者の月山新二さんに早速お話を伺ってみたいと思います』

 2010年の大晦日、客の入りもそれ程多くない北馬篭支店のスタッフルーム。

 従業員がたまたま見ていたテレビ画面に映っていた青年の姿が、椿の心を熱くさせた。

『今インタビューを受けている男の方は?』

 

『月山新二さんですよ。

 今丁度表彰式が終わった所です。

 格闘ゲームプレイヤーで、今回の大会で優勝してチャンピオンに。

 1億円が貰えるみたいで……

 羨ましいですよホント』

 

 整った顔立ち、内面から滲み出るワイルドな雰囲気、そして腰の低さ。

 決して驕る事無く自分1人の力では成し遂げられなかったと語る彼の顔を見た瞬間、自然と胸が高鳴った。

 (この人、カッコイイ……)

 男に愛情を抱く事など、自分の人生では無いだろうと思っていた。

 

 どんな男性客に抱かれていても頬が赤くなった事は無い。

 皆椿を玩具の様に扱っていた。

 だから、今更どんな男を見たとしても何かが変わる事は無いと思っていたのに……

 

 椿自身が一番驚いていた。

 一目惚れと言うものがあるとは思っていなかった自分がそれを実際に体験したのだ。

『オーナーも惚れちゃいましたか?

 優しそうですもんね、新二さん。

 でももう彼女がいるみたいですし、オーナーの身体じゃ彼を振り向かせるのは難しいと思いますよ』

 

 従業員の女性が股間を指差しながら遠慮がちに笑ってみせる。

 そうなのだ。

 その現実の前では全てが無意味。

 両性具有者と言うだけで男性と恋愛するにはあまりにもハードルが高過ぎた。

 

 女性と言う認識を持って生まれ、育ってきたのだから男性に対して恋をする。

 しかし『化け物』と罵られるであろう両性具有者が恋を成就させる事は出来ないのだ。

 

 忘れよう。椿はそう思った。

 そもそもたまたまテレビに映っただけの顔。

 今後自分が彼に会う事はありえない。

 お互い遠い世界に住んでいる者同士なのだから。

 そうやって自分で自分を言い聞かせようとした椿であったが、その胸の鼓動を偽りだと思い込む事は出来なかった。

 

『あれ?オーナー、随分新二さんのグッズが増えてきましたね』

『私は気軽には動けないから、全部通販で購入したものよ。

 実らない恋でも良いの。

 私が勝手に想ってさえいれば』

 

 サングラス・ウェア・タオル・ドリンクホルダー・サイン入りのマグカップ……

 九龍拓巳と言う『英雄』を失ったアークラインズにとって、月山新二はまさに『救いの神』だった。

 天武日本一だけで無く、世界一の座まで掴んだ男。

 マスコミはこぞって彼を神格化し、ZEROを牽引していく次世代のニューヒーローとして彼を祭り上げる。

 最早1人の人間と言うより『キャラクター』の様に扱われ、グッズは飛ぶ様に売れていた。

 

 (きっと、天武日本に住んでいる多くの女性が新二さんに惚れているんでしょう。

 私もその1人。

 ただのファン。

 彼を遠くから見つめているだけで充分だわ)

 

 従業員の1人が月山新二とのツーショット写真を撮り、自分に見せてきた時椿は彼女に対して嫉妬した。

 そこまででも無いと思っていた彼への思いが、ますます深まっている事が自分でも信じられない。

 もし彼の隣に立って、実際に話を聞く事が出来たら……

 そんな実現するハズの無い夢を椿は心の中に抱き続けていた。

 

『……あの、貸し切りの参加者リストの中にある月山新二さんと言うのは?』

『今回300万円を出してくれた方なんです。

 発案者がノーマルの人や男性がこの場所に来れるのはこの機会を逃したら二度と無いだろうって……

 勿論、秘密を守る旨の誓約書は用意してます。

 違約金の額はそちらが決めてください』

 

 咲は不信感を持たれたと思い懸命にフォローしようとしていたが、椿は全く別の事を考える。

 

 (いや、えッ……

 同姓同名?

 でも流石にこの同姓同名はありえないんじゃない?

 同一人物?

 でもどうして彼がこの『天女の湯』に?

 落ち着くのよ、私)

 

 そんな馬鹿な話があるものかと椿は思った。

 密かに恋い焦がれていた相手が、向こうから店に足を運ぼうとしているなんて。

 話が美味すぎる。

 何処かから情報が漏れたのだろうか。

 戦場希望経由?

 

 突然の事態に現実を受け入れる事が出来ず、完全にフリーズしてしまう椿。

 咲は固まってしまった椿を心配して声をかける。

『あ、あの……

 何か不都合な事がありましたら遠慮なく仰ってくださいね?』

 変に回りくどく聞くのも不審がられると思い、椿は素直に尋ねた。

 

『月山新二さんって、ZEROの全国大会と世界大会で優勝されている……?』

『あ、御存じでしたか?

 発案者の方がZEROプレイヤーなんですよ。

 新二さんとは少し前に知り合って、御友達に。

 もうココまで話して隠すのもおかしいので言いますけど、私も昔は大阪府代表の認定ZEROゲーマーだったもので』

 

 運命と言うものがあるとするならば、今まで辛い仕打ちばかり受けてきた反動が来たのだろうか。

 呆然としながら、椿はそんな事を考えていた。

 

『新二さんしかお金持ちの人もいないので、300万円は彼のポケットマネーから出してもらいました。

 ただお金を出させるだけではあんまりだと思い、こういう形に……

 このお店の事やお店に関わる全ての秘密を口外しない事を御約束致します!

 勿論参加者全員この約束を徹底するつもりです。

 どうかこのお店を1日貸し切らせてください!!』

 

 咲は腹を括った。

 ココまで言って、断られたのならば諦めるしか無いだろう。

 寧ろ普通の女性や男性を参加させろと言う条件で断られてしまう可能性の方が遥かに高い。

 しかし、椿の口から出たのは想定していない言葉だった。

 

『……解りました。

 秘密を守ってくださるのならば、そちらの条件を呑みましょう。

 ただし、こちらも条件を付けさせてもらいますが宜しいですか?』

 咲は正直オーナーである湯姫が貸し切りを認めるとは思っていなかったので驚く。

 

 少しの間呆気に取られていた咲であったが、すぐにその申し出を受け入れた。

『どの様な条件でしょうか』

『貸し切りの日に文句はありませんが、この北馬篭支店は駅からのアクセスも良く多くの客が毎日来店しています。

 いわば全12店舗の中でも最大の稼ぎ頭であり憩いの場でもあるこの店を貸し切りにする事は出来ません。

 ですが、茨城県にある水戸本店の貸し切りならば認めましょう』

 

 送迎バスか自家用車での来店しかアクセスする方法が無い水戸本店はそこまでの集客力が無い。

 そこに通っている常連客に1日だけ我慢して北馬篭支店に来てもらえば充分だと椿は考えていた。

 

『それと、もう1つ。

 オーナーである私と戦場希望さんの参加を認めてください。

 こちら側からの条件は以上です。

 了承してもらえますか?』

 椿の思惑としては、戦場希望の耳にこの貸し切りの情報が入った場合『何故言わなかった』と難癖を付けられる可能性が高い。

 

 それならばいっそ招き入れて、恩を売っておいた方が何かと得だろうと考えたのだ。

 この貸し切りイベントの内容も『そういうもの』になるであろうが、希望が彼女達の性欲を全て受け止め切れるとは思えない。

 自分から『参加する』とは言うだろうが恐らく痛い目を見る事になるだろう。

 彼女が自分の行いを反省する材料になってくれれば……

 そんな僅かな期待もあった。

 

 月山新二と会話して、もしかしたらそれ以上の事が出来るかもしれない。

 そんなチャンスは絶対に逃せない。

 椿もまた、この条件を絶対に通したいと思っていた。

 (水戸本店は早く出発すれば問題は無い。

 それにあかりはんは人数が多い方が盛り上がると思っとるやろうから、別にええか)

 

 咲もそこまで強く反対する理由は何処にも無いと考え、椿の訴えを聞き入れる。

『解りました。

 双方合意があったと言う事で宜しいですね?』

『はい。

 皆様にお会い出来る日を心待ちにしていますよ』

 

 椿は内心気分が高揚していたが、それを悟られぬ様あくまで平静を装っていた。

 

 紆余曲折を経て、ようやく実現した今回の『1日貸し切り』と言う初の試み。

 そもそも300万と言う大金を払ってまで貸し切ろうと考える客がいなかった為当然とも言える。

 その為店側も難色を示したが、『月山新二の参加』と言う駄目押しにより実現する事となった。

「しっかし、水戸なんて初めて来たぜ。

 こんな山奥に『天女の湯』の支店があるとはなぁ」

 

「いずれ機会があれば、通常営業している時にもお邪魔させてもらいたいですね」

「フフ……

 その時が来たらこの店の常連客と心ゆくまで楽しみたいわ」

 バスから降りたらいは、のきあ、まるうの3名は今回の貸し切り参加にあたり本名を明かしている。

 元々あかりや咲は彼女達の名前を知っていたが、オーナーである椿が彼女達の名前を知るのは初めての事だった。

 

「あの人達が、全員ふたなりなんですか?」

 

「ええそうよ。

 それに今回参加する咲ちゃん……

 私は何時も沙織ちゃんって呼んでるけど。

 葵ちゃんもふたなり。

 ノーマルなのは私と比呂ちゃんだけね」

 

 ポーターの様な扱いを受けている月山新二の姿は、力関係を知らない第三者から見れば訝しがられる事だろう。

 世界一になった格闘ゲームプレイヤーでも、古参であるあかりや比呂子には頭が上がらない。

 今回どんな真実が明らかになっても動揺するまいと心に決めていた新二であったが、芹沢葵が両性具有者であると言う事実を知り内心ショックを受けていた。

 

 (……師匠に内緒で集めてたせりちゃんのグッズ、いっそ捨てた方が心が楽になるのかな?

 いやいや、俺はそういう人間じゃないぞ。

 中身を知って幻滅する様なファンは真のファンとは言えない)

 

 鶴野椿が月山新二に見惚れた様に、月山新二にもまた追いかけたいと思う『偶像』がある。

 青葉せりとは新二が天武日本一に輝いた頃からテレビや大会で共演する機会が増え、その可愛さが彼にとっては堪らなかった。

 流石に『恋愛』を意識する事は無かったがアイドルを応援するオタクの様に少しずつグッズを買い集めていたのである。

 

「皆様、本日は『天女の湯』水戸本店に足を運んでくださり誠に有難うございます」

 入口で着物姿の椿があかり達に対して深く頭を下げたが、隣にいた希望がそれを茶化した。

「随分気取ってんなぁ」

「客に対する最低限の礼儀ですよ。

 希望さんも頭位下げたらどうです」

 

 フン、と鼻を鳴らしてそっぽを向く希望。

 彼女の方はあかりと同じ様なシャツとジーンズと言う恰好をしている。

 あかりの方も彼女に歩み寄り、椿に対して握手を求めた。

 

「初めまして、闘戦興編集部員の火村あかりと申します。

 今回の『貸し切り』を承認してくださった事、そしてこの『パーティ』に参加してくださる事に心から感謝しています」

 形式的な挨拶ではあったが、失礼があってはいけないと思い椿も差し出された手をしっかりと握る。

 

「私もノーマルの方や男性を『天女の湯』にお招きするのは初めての事なので緊張しています。

 もしかしたら最初で最後の出来事になるかもしれないので、誠心誠意対応させて頂く所存です」

 椿はこの貸し切りイベントを『アンケート』として利用しようと考えていた。

 普通の女性から、男性から見てこの施設が魅力的な場所として映るのか。

 満足してもらえるのかと言う調査が出来る。

 

 勿論、今後そういった客が来る事は無いのだが何らかの参考にはなるだろう。

 彼女はあらゆるイベントを今後の経営に活かそうとしていた。

「皆様、こちらが当銭湯のロビーになります」

 高級ホテルかと見紛うばかりの眩い光景は、施設内に入った者達全員を驚嘆させるものだった。

 

「明るい。

 竹を使った照明かぁ……

 シャンデリアより良いかもな」

 

「まさに『和風』って感じね。

 フロントも御洒落で。

 何時もはあそこで応対してるんでしょうね」

 足を踏み入れた瞬間、遊園地に来た子供の様に何かが起こる事を期待してもらえる様な空間。

 程良い格調の高さと清潔さを守り、常に一定以上の満足度を誇っていた。

 

「新二君、用意してきたでしょ。

 アレ出して」

「了解です」

 あかりに呼ばれた新二は持っていた旅行鞄の中から箱を取り出し、それを椿に手渡す。

 

「古都・満月堂の月餅煎餅です。

 真国でも人気なんですよ」

「あら、お気遣いしてもらってすみません。

 スタッフの皆で分けさせてもらいますね」

 

 一箱1万円はする高級菓子。

 良い物を貰って喜ばない人間などいない。

 運営側の機嫌を取り、良好な関係を継続する事。

 あかりは何よりもそれを望んでいた。

 

 新二から箱を渡され心の中ではすっかり舞い上がっていた椿であったが、鋼の自制心で何とか耐える。

 常連客から思われている『イメージ』を崩さない事も経営者としての大切な条件だった。

 

「まずは館内を案内させて頂きます。

 ……ですが、その前に手荷物の類を持ったまま移動するのは億劫でしょう。

 今日は貸し切りですので、スタッフルームに荷物を置いてもらって結構です。

 バスタオル等は向こうに用意しておりますので手ぶらでも問題はありません」

 

 客に負担をかけさせない。

 コレも『天女の湯』に何度も足を運んでもらう為の思いやりである。

 ロビーから奥へと進んだ所にあるスタッフルームはロッカーと机、パイプ椅子が置かれた質素なものだった。

 

 (成程、客に見えない部分は極力お金をかけない様にしてるのね。

 それでも綺麗な所を見ると、頻繁に掃除をしているみたい)

 バックヤードにこそ経営者側の本音が出る。

 偉ぶりたい経営者はこういう所で威厳を出そうと装飾品で飾り立てたりするものだが、社長用の部屋内も最低限の家具しか置かれていなかった。

 

「まずは浴室以外の所から御覧いただきましょう。

 当銭湯では御客様に様々な娯楽を提供しています。

 開業当初はそこまで多くのものを提供出来なかったのですが、最近は大きく向上しました」

 10名は2階に移動し娯楽室と飲食スペース、仮眠室を見て回った。

 

 仮眠室と飲食スペースは、立ち上げ当初と比べるとそこまで大きくは変わっていない。

 調理場を設けるのは無駄であるし従業員の負担も増える。

 仮眠室も大幅に手を加える必要が無いのは解っていた。

 人間、一番拘るのは結局の所『暇潰し』である。

「ボードゲーム、雑誌等の充実に加え新たにゲームセンターの筐体を設置しました」

 

 スペースを阻害しない様そこまで多くの筐体を設置する事は出来なかったが、古い銭湯ではお馴染みの脱衣麻雀。

 落ちものパズル、シューティングゲーム、格闘ゲームを一通り揃えていた。

「すげぇ、ゲームセンターから姿を消した初代ZEROの筐体が稼働してる」

「チーズのある台所も、無敵艦隊安土城も、恋する点棒も……

 一昔前の名作が勢揃いだわ」

 

 ゲーマーとしては垂涎のゲームが用意されており、新二の目がキラキラ輝いている。

 元々は『捨てる事になった昔の筐体を安い値段で買い取る』と言う節約経営術でしか無いのだが、椿は彼が喜ぶ姿を見てホッと胸を撫で下ろした。

 (正直ゲームは触った事も無い門外漢だったからゲームの内容が良いか悪いかなんて解らなかったけど、新二さんがこう言うのなら大丈夫ね)

 ゲームとはほぼ無縁の人生を歩んできた椿であったが、子供の様な笑顔を見せる新二を見て自分の判断が間違っていなかった事を確信した。

「それでは皆さん、当銭湯の目玉である露天風呂付きの大浴場を御紹介致しましょう」

 

 大浴場は元々立ち上げ当初から作っていたものだったが、露天風呂は改築して作り上げた。

 北馬篭支店では人の目がどうしても気になるので露天風呂を作る事は出来なかったが、人里離れた山奥でなら容易に作れる。

 勿論万が一の事態を想定し、露天風呂の周囲を竹で作った柵で囲むと言う徹底ぶりだった。

 

「脱いだ服は脱衣場のロッカーに入れておいてください。

 バスタオルや浴衣もそこに入っています。

 ただ……

 申し訳ないのですが男性用の浴衣は無いので新二さんが浴衣を着るのは難しいかと」

 

 俯きながら謝る椿に対して、新二は両手を胸の前に出して前後に振る。

「お気持ちだけで充分ですよ。

 それに今日は裸でいる時間の方が長いみたいですし」

 そう言いながら彼は嬉々として服を脱いでいる女性達の姿を横目で見た。

 

 (うわ、すげぇ。

 もう何人かは勃起しちゃってるじゃん。

 しかも俺のより大きい……)

 薄桃色の肉棒が談笑している女性の股間で己の存在を強く主張している。

 怒張した性器をあまりにも堂々と晒しているので、新二は逆にこのグループの中に入っていくのが恥ずかしかった。

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