自分はそう思いません。両性具有者の方が数多い平行世界でも
無い限り、彼女達は迫害されるでしょう。
普通の生活を送る事すら難しくなるかもしれません。
そういった『基本』に立ち返って、この話を書きました。
当たり前の事。そして露見する事に対しての怯えが
さらなる憎悪と悲劇を生むと言う末路。
現実はただ淫らで幸せと言うワケにはいかないのです。
天武日本国憲法 『信国人についての扱い』
信国人は天武日本国においても『二等臣民』として扱う。
公共施設においては全て『信国人用』のものを使用する事。
背いた場合は3年間の禁固または200万円の罰金。
信国人は天武日本国の国営企業に正社員として入社する事は許されない。
身分を偽って働いていた者は5年間の懲役。
天武日本の国防情報を信国に流す等、天武日本国に対して著しい不利益を与えた者は内乱罪として死刑のみ。
信国人が天武日本人と結婚する事は許されない。
背いた場合死刑。
万が一信国人と天武日本人のハーフが生まれてしまった場合は、国家が運営している『更生施設』に入る事が義務付けられている
天武日本人が信国人を殺害した場合、無罪にはならないがその罪は減刑される。
【1995年 大阪府法王寺区 北里ニュータウン 横田秀行の家】
横田(よこた)秀行(ひでゆき)は、東京の『天武ND』と言う情報管理会社で働く父親の横田(よこた)秀樹(ひでき)と、専業主婦である母親の横田(よこた)幸恵(さちえ)の間に生まれた。
元々頭が良かった父親の才能を受け継いだ秀行は、名門の中の名門と呼ばれる彗星小学校に入学する事になる。
約束された将来と希望が、彼に溌剌とした笑顔を与えていた。
「ただいま、母さん!
僕またテストで100点を取ったんだよ。凄いでしょ!」
小学校に入学してから数ヶ月が経過したある日の事。
秀行は何時もの様に自宅に戻ってきた。
右手には花丸が描かれた答案用紙が握られている。
だが、秀行は僅かな異変を敏感に感じ取った。
(あれ、変だな。
母さん、何時もこの時間には家にいるハズなのに)
母親を呼ぶが返事が無い。
もう一度母親を呼ぼうとした瞬間、彼の身体は恐怖で凍り付いた。
廊下にふらりと現れたのは、東京で仕事をしているハズの父親の姿だった。
何故父親がここに?と秀行が考える前に、その父親の見た目と様子が明らかにおかしな事に気付く。
「おお、秀行。帰ってきたのか」
横田秀樹の手には血まみれの包丁が握られ、またワイシャツにも大量の血が付着していた。
目は狂気の光を宿しており、けらけらと笑っている。
秀行は思わずその場に倒れ、その異様な状況に恐れを感じて失禁した。
「……お前も死ぬか?」
ゆっくりと包丁を振り上げ、ゾンビの様にゆらゆらと秀行のいる方へ向かってくる。
「うわぁぁぁぁぁぁッ!!」
秀行は弾かれた様に立ち上がると、涙を流しながら駆け出した。
秀樹はそれを虚ろな瞳のまま見つめていたが、やがて邪悪な笑みを浮かべるとそのまま表へ出ていった。
『……横田秀樹容疑者が起こした通り魔事件により、5名もの尊い命が奪われました。
横田容疑者は東京から大阪へ新幹線を使い移動。
自宅に戻り、妻の幸恵さんを包丁で何回も刺し殺害。
さらに商店街に出向き突然奇声を発しながら5人もの天武日本人を殺害した後、最後は駆けつけた警官の前で自殺した模様です。
横田秀樹容疑者は天武日本国自衛軍の情報を管理する会社に勤めており、事件の数日前に会社を解雇されています。
警察では解雇された事が動機に繋がったのではないかと見ており、さらに詳しい捜査を……』
警察に保護された秀行は、虚ろな瞳のままテレビ画面を見つめていた。
警察署で助けを求めた後、秀行は心理的なダメージがあるのではないかと言う考慮があり病院の一室に送られていたのだ。
(何で、こんな事に……どうして……)
壊れたカセットテープの様に何度も何度も心の中で秀行は自問自答を繰り返す。
仕事熱心な父親と、優しく慈愛に満ちた母親。
何故父親が突然母親を殺すと言う暴挙に出たのか、全く理由が解らなかった。
「大変だったね。
君に怪我が無かったのは不幸中の幸いだった」
病室に入ってきた刑事はそう言うと、秀行の近くに寄り、肩を叩いた。
「君に色々と聞きたい事がある。
最近、君のお父さんやお母さんの様子に普段と違う所が無かったか知りたいんだ。
お父さんから何か話を聞いた事はあるかい?」
「いえ、父は家に帰ってきた時もあまり僕と話をしない人でしたから」
涙を流しながら、絞り出す様に言葉を発する。
秀行の身体は時折小刻みに震えていた。
「そうか、うーん……何か食べるかい?
ココに来てから何も口にしていないだろう」
「いえ、結構です」
秀行の傍らには炭酸飲料である『スパークネオン』の缶が置かれていた。
正直、今の彼には食欲が無かったのだ。
憔悴しきった様子を見せる秀行に、刑事が声をかける。
「何かあったらすぐに看護師を呼びなさい。いいね?」
この場所で秀行に話を聞いても『収穫無し』に終わるだろうと判断した刑事は部屋から外に出ようとした。
「あ、あの……!」
背中を向けた刑事に対して、秀行は今自分が思っている率直な疑問を口にする。
「どうして、こんな事になってしまったんでしょうか……?」
それは、疑問だけでは無く、秀行の訴え、心の叫びでもあった。
悲痛に満ちた感情に対して、軽率な発言は出来ない。
そう考えた刑事はゆっくりと、言葉を選んで彼を諭した。
「物事には必ず、原因と結果がある。
私は警察の一員として、その原因を突き止めなければならない。
今は何も解らないが、必ずその原因を暴くよ。
そして、それが解ったら必ず君に教えよう」
彼の両肩に両手を乗せ、嘘偽りない感情を彼に見せた。
秀行は曇りの無いその瞳に一筋の光を見たかもしれない。
だが、結果的にこの人物は彼を救ってはくれなかった。
それどころか、秀行はさらなる地獄を味わう事になる。
病院のロビーにやってきた若い刑事は、横田秀行の病室を後にした壮年の刑事と合流した。
「どうだ。
横田秀樹について何か解った事はあるか?」
「それが……」
若い刑事は眉をひそめると、周りの人間に聞き取られまいと小声で耳打ちする。
「どうもおかしいんですよ。
DNA鑑定の結果、横田秀樹は『天武日本国人』であると断定されたんですが、その鑑定を行ったのが天武日本総合病院の医師なんです」
「ちょっと待て。
東京まで遺体をわざわざ移送したのか?何の為に」
「天武日本総合病院の院長を務めている菊池(きくち)賢雄(たかお)と言う人物が、DNA鑑定はこちらで行うと我々に強く要望してきたんですよ。
さらに、天武NDで横田秀樹の解雇の理由を聞いたのですが、誰もが口を濁して何も語りたがらないと言う有様です」
「随分と妙な話だな。
上は何か言ってるのか?」
「……捜査を打ち切ると、上層部からの鶴の一声がかかりました。
間違いなく、何処かから圧力がかかっています」
中年の刑事は顔を歪ませ、明らかに不機嫌そうな表情を見せた。
「ふざけるな。
天武日本人が6人も死んでいるんだぞ?
何も解らないまま終わりにすべきじゃない」
「しかし、捜査を独断で続ければ我々の命が危険に晒される可能性が高いです。
ココは一旦諦めて……」
「冗談じゃない。俺はやるぞ。
間違いなくこの事件には『あの国』が絡んでいる。
二等臣民の『暴虐』を黙って見ていられるか。
奴等が近年力をつけてきているのは解っているが、後には引けない」
若い刑事の制止を振り切って、中年の刑事は病院から外へと飛び出していく。
若い刑事はそれを止める事も出来ず、ただ拳を握り締めながら俯く事しか出来なかった。
横田秀樹が引き起こした『通り魔事件』は、会社を解雇された事で精神に変調をきたした『天武日本人の暴走』と言う形で幕を閉じた。
それが真実なのか嘘なのかは誰にも解らぬまま、国民にはその様な形で『捜査の結果』が伝えられたのである。
その裏で、1人の年老いた刑事が溺死した状態で発見されたが、その事実は報道もされなかった。
横田秀行は真実も解らぬまま、幸恵の父親にあたる古橋家に引き取られる事となる。
「君が儂の孫か。
なかなか利発そうな顔をしとるやないか。
なぁ妙子(たえこ)」
「そうやねぇ。
両方いなくなって大変やと思うけど、挫けたらあかんよ」
古橋家は元々祖先が堺の豪商として名を馳せており、広大な土地と立派な日本家屋を所有している。
北里ニュータウンからは少し離れた郊外の場所に移る事になった秀行であったが、彗星小学校に通い続ける事を希望していた。
「宜しくお願いします」
しっかりと頭を下げる秀行。
彼は内心の動揺を押し隠し、心を強く持とうと懸命だった。
転校と言う道を選ばなかったのも、弱い自分を曝け出したくなかったからである。
(僕が今ココで弱気になっていても、母さんは喜ばない。
自分の力で頑張らないと)
母親の優しい笑顔が秀行の脳裏に浮かんだ。
死んでしまった母親の為にも自分は生きる。彼はそう誓った。
「ほな、儂が案内しよか。
部屋まで連れてったるわ」
秀行の祖父にあたる古橋(ふるはし)幸吉(こうきち)は背が高く、和服を着ている上からでも筋肉質な身体をしている事が解る。
昔の裕福な家庭にありがちな、武道と学問を極めた長男坊と言った風体で、総白髪ではあったが瞳はギラギラ光っていた。
顔の下半分が髭で覆われており、髪は肩まで届く程に長く伸びている。
幸吉の後ろに秀行、その後ろに妙子がつき、秀行をじっと見つめていた。
(まるで、僕が逃げ出さない様に監視しているみたいだ。
いや、まさかな……)
長い廊下の奥に下へと降りる階段があり、幸吉はその階段を降りていく。
秀行に用意された自室が地下室であると言う事実に、秀行の心臓が凍り付きそうになったが、もう逃げられない。
妙子に睨まれ、秀行は追い立てられる様にそのまま下へと降りて行った。
そこはまさに、地下に用意された『座敷牢』だった。
広い畳の部屋に、場違いな感すら漂う勉強机とベッド。
本棚が置かれ、その部屋に入る為の扉には鍵がかけられる様になっている。
「入れ」
先程まで好々爺の様だった幸吉の声が、地の底から響く様な恐ろしい声へと変化していた。
「入るんや、さっさとせぇ」
恐怖に怯え、立ち竦む彼の身体を妙子が蹴り倒し、強引にその部屋へと押し込むと幸吉が部屋に鍵をかける。
「用を足す時、風呂に入る時以外はこの部屋で過ごすんや。
食事はココに持ってきたる。ええな」
有無を言わせぬ口調で怒鳴りつける様に言葉を発する幸吉。
あまりの剣幕に秀行は何も言う事が出来ないでいた。
「お前の様な『呪われた子』にはこれ位の扱いでも充分過ぎる位やろ。
出たい時は絹に申し出るんやな」
幸吉と妙子の背後に、何時の間にか着物を着た女性が立っていた。
前時代的としか思えない状況に秀行は混乱し、咄嗟に言葉が出る。
「ど、どうして僕がこんな仕打ちを……」
その言葉が幸吉の気に障ったのか、彼の顔が歪んだ。
「不満か?お前の様な者が不満を口にするんか?
『呪われた子』がようほざきよるわ」
幸吉は今にも腸が煮えくり返ると言った様な表情を見せ、絹と呼ばれた女性から鞭を受け取ると鍵を開けて室内へ入ってきた。
「今日はええやろと思っとったが、気が変わった。
お前のその腐った根性、叩き直したる」
老人とは言え、鍛え抜かれた身体を持つ巨体を前にしては全く逆らえない。
秀行は一歩も動く事が出来ずただ震えていた。
「万が一外で助けを呼ぼうとしても無駄やで。
この一帯は昔から儂の領分や。
何があろうが全部揉み消せる。
助けを呼んだ分だけ鞭で叩く量が増えるだけやぞ」
背中に振り下ろされた鞭。
当たる度に激痛が走る。
秀行はあまりの痛みに悶絶し、倒れたまま転げ回った。
「お前はただ黙って儂の言う通りにしておればええんや。
外に出てもその日の内には帰ってくるんやで。
もし禁を破ったら……解っとるな?
もっと痛みを与える事が出来る道具はなんぼでもある」
何回か鞭を振るった後、激痛の為にその場から動けずにいる秀行を残して幸吉と妙子はその場から立ち去った。
残った着物姿の女性は秀行に対して頭を下げる。
「私は、秀行様の見張り役を仰せつかりました絹(きぬ)と申します。
秀行様が屋敷に戻ってきた際、夜間の行動は逐一私めが見張らせて頂きます故」
そう言うと、絹は鍵がかかった扉の横にある隙間から部屋に長方形の黒い箱の様なものを置いた。
「通信機です。
私と連絡が取れる様になっています。
御用のある時だけ連絡してくださいませ」
再びお辞儀をすると、絹もまたその場を去っていく。
秀行は涙を流しながら、己に降りかかった運命を呪った。
その日から始まった『地獄』は、秀行の想像を遥かに超えるものだった。
学校に通っている時間だけが僅かな救いで、家に帰れば座敷牢に放り込まれる。
極端に帰りが遅くなると鞭のペナルティが課せられる為、恐怖によって秀行は生活を大いに縛られていた。
暴力を受けている事が悟られない様に、秀行は夏場の授業を全て欠席した。
幸吉にそう命じられたからだ。
圧倒的な暴力と恐怖の前では何もかもが無意味であり、従うしか道は無い。
用を足す時間と風呂に入る時間はあるものの、背中が痛む為長い間風呂には入っていられない。
流石に朝食と夕食はそこまで粗末なものでは無かったが、毎日変わらないメニューが出され、文句を言えばまた鞭が飛ぶ。
(どうして僕がここまで苦しまなくちゃいけないんだ。
どうして……)
父親と母親の死の疑問に加え、この状況に対する疑問も生まれた。
だが、その真実は解らないままだった。
【1998年 大阪府法王寺区 北里ニュータウン 遠藤家】
遠藤(えんどう)和枝(かずえ)と遠藤(えんどう)咲(さき)。
遠藤(えんどう)和馬(かずま)と遠藤(えんどう)聡子(さとこ)の間に生まれた双子の姉妹は、普通の生活を送っていた。
決して裕福では無いけれども満ち足りた幸せの中で、彼女達はすくすくと成長していく。
遠藤和馬は関西では有名な『パルテノン銀行』で働いており、それなりの稼ぎを得ていた。
聡子は元々頭が良く、娘達にも立派になってほしいと思い幼い頃から2人に勉強を教える。
家計を支える財力と多くの知識。
この2つの力が実を結び、和枝と咲は名門校と謳われる『彗星小学校』に入学する事が出来た。
和枝も咲も頭の回転が非常に早く、愛嬌があり人を楽しませる魅力に溢れていた為すぐに多くの友達が集まってくる。
「ウチな、将来はええトコで働きたいと思っとるんや。
お父んと同じトコでも構わへんけど」
「姉やんはすぐそういう調子のええ事言うんやから。
みぃやんも何か言ったり」
教室の休み時間に場を和ませる2人。
その2人の側に長い黒髪を持つ美少女が座っていた。
「大きな夢を持つ事は良い事よ。
私は和枝ちゃんの考え方、好きだけどなぁ」
「そんな事言わんと……姉やんを調子に乗らせるだけやで。
ウチは楽しければそれでええわ」
大出(おおいで)みゆる。
遠藤姉妹と同じ北里ニュータウンに住んでおり、家も近い。
親が東京から転勤してきた事で彼女もこの彗星小学校に転校。
遠藤姉妹とは小学校2年生の時からの幼馴染だった。
「私はね、イラストレーターになるのが夢なの。
私が大人になった時に、子供達に喜んでもらえる様な絵が描きたい。
だからもっと大きくなったら、そういう系統の学校に通いたいわ」
遠くを見つめる様なその瞳は、未来への希望に溢れキラキラと輝いていた。
「みぃやんなら出来ると思うで。
絵、めっちゃ上手いもん」
遠藤咲もその夢を応援したいと本気で思っていた。
3人の仲はずっと変わらないハズだった。
2人が小学4年生になった年の夏、和枝はうだる様な暑さの中目を覚ました。
(なんや、この感じ……股間が痛い)
夏休みの中頃。深夜だった為両親は共に眠りについている。
和枝も眠っていたのだが、痛みを感じて目を覚ました。
パジャマ姿のままベッドから降り、痛む箇所を確認する。
(な……なッ!?)
彼女の股間部分が盛り上がり、熱を持って脈動している。
慌ててズボンを降ろすと、それは既にパンツからはみ出ていた。
(こ、これは……何なんや)
薄桃色の肉棒が地面でのたうち回る魚の様に時折ビクビクと痙攣している。
その形状は男性の肉棒とよく似ており、先端には尿道に該当する部分があった。
(くうッ……痛い。
硬くなって、脈打ってめっちゃ痛い)
彼女はこの歳に至るまで、クリトリスがこの様に勃起して陰茎程に巨大化する事は無かった。
両親も生まれてきた双子の『娘』に何ら問題は無いと思っており、女性の身体の事をよく知らない和枝や咲は『尿はクリトリスから出てくるのが当たり前』だとすら思っていたのだ。
だがこの変化によって和枝は自分が他の女性とは明らかに違う身体である事を理解した。
(と、とにかくこのままやとあかん。
寝る前は小さかったんやから、小さくする方法はあるハズや)
痛む肉棒に手が触れる。
何気なくそれを握った瞬間に、全身に電撃の様な快感が走った。
「おふッ」
気持ち良さに思わず声が漏れる。
和枝は左手で口を塞ぎながら、右手で肉棒を扱き始めた。
(おおおお……何やこれ。気持ちええ。
こうすると身体が勝手に動いてまう)
扱けば扱く程に肉棒の熱が高まり、硬くなっていく。
ビクビクと己の存在を主張するそれに刺激を与えると、先端から透明な汁が出てきた。
(くうううッ!)
理性の糸が切れ、和枝は最早滾る剛直を上下に扱く事しか考えられなくなっていた。
あまりの快感に立つ事すら困難になった為、ベッドに横になった状態で一心不乱に右手を使って刺激を与え続ける。
(ひッ!?)
その快楽の終着点は唐突に訪れた。
頭が一瞬真っ白になる程の快感が肉棒を中心に全身を駆け巡り、先端から透明な汁が噴出する。
(あ……あは……)
その欲望の化身から放たれる透明な粘液は、脈動する肉棒の動きに合わせて何度か発射され、やがて止まった。
「はぁ……はぁ……」
射精の余韻に浸っていた和枝であったが、肉棒は萎えるどころかベッドの上でまだ垂直な状態を保っている。
(これ、1回出しただけじゃあかんのか……
でもこれを出したら痛みが少し引いたわ。
もっと出せば小さくなるんやろ)
少々の時間が経過した後再び肉棒を扱こうとした時、ドアをノックする音が小さく響いた。
「姉やん。開けて……」
小声でそうせがむ妹の声を聞いた為和枝はズボンを履き、布団で膨らんだ股間を隠すとドアを開ける。
ドアの向こうに立っていた咲は和枝と同じ様に股間を膨らませ、それを片手で抑えている状態だった。
「これ、どないしよ……」
涙を流しながら助けを求める咲に対して、和枝も同じ状態である事を見せると、部屋のドアを閉める。
ズボンを降ろすと、咲の股間も和枝と全く同じ様に勃起した肉棒が痙攣していた。
「出すんや。出せば小さくなるハズや。
この事はウチと咲だけの秘密やで。
お父んとお母んにも内緒にするんや。
墓場まで持っていかなあかん秘密になるやろ」
咲を抱き締め、落ち着かせようとする和枝。
咲は泣き喚きたい衝動を必死に抑え、口を真一文字に結んでいた。
咲と和枝の2人だけの戦いが始まった。
親に隠れてサポーターを購入し、夏場のプール授業は体調不良を理由に不参加。
朝起きて学校へ出向く前に肉棒の中身が空になるまで自慰行為を続け、万が一もよおしてくる様な事があればトイレに駆け込む。
そんな生活を続けたが、2人の身体の秘密が露見する事は無かった。
元々他の女生徒もまさか咲と和枝の2人が両性具有者だとは思わず、そこまで姉妹の態度が不自然でもなかった為だ。
それでも和枝は用心には用心を重ね、あまり他のクラスメイトと話をしなくなった。
何がきっかけで露見するか解らない。
和枝は咲と違いかなり臆病だった為、自然と自分の殻に閉じ篭もる様になっていく。
秘密を知られてしまうかもしれないと言う恐怖から、和枝は自然と大出みゆるとも距離を置く様になった。
咲は変わらず大出と明るく接していたが、大出は和枝の変化に対して戸惑いを見せる。
(私、何かしたかしら……)
大出は人からの評価を気にする性格だった為、和枝が自分を避ける様になったのが嫌で仕方が無かった。
「ねぇ、さっちゃん。
お姉さん、何かあったの?」
「色々思う所があると思うんよ。
みぃやんも、そっとしてやってほしいんや」
咲も当然、その理由を言う事は出来ない。
大出は和枝が自分から離れる理由が解らないと言う事実に対して苛立ちを募らせていった。
【1999年 大阪府彗星小学校 5-B教室内】
それは、神によって与えられた運命の悪戯であったのだろうか。
菊池(きくち)貴弘(たかひろ)、横田秀行、遠藤咲、遠藤和枝、大出みゆる。
5人の小学生が、5年生のクラス替えで一緒のクラスとなった。
「僕の父親は天武日本総合病院の院長なんだ。
エリートの中のエリートさ。僕もいずれは医者になるのが夢って所かな」
菊池貴弘は父親が優秀であると言う事を鼻にかけており、多くのクラスメイトから嫌われていた。
だが医者の息子であると言う理由から、ゴロツキの様な生徒が彼の周りに集まってくる。
横田秀行もそういったメンバーに加わりつつあった。
眩しく光り輝いていた瞳はドス黒い感情のせいで濁り、笑顔を見せず荒んだ顔を見せる。
まるで蛇の様に相手を睨み付ける為、菊池貴弘よりも嫌われていると言っても過言では無かった。
「ホンマ気持ち悪いわ。
あんな目ぇしおってからに」
「聞こえるで、姉やん」
汚物を見るかの様な目をしながらそう吐き捨てた和枝の言葉に、秀行は激しい憤りを感じた。
「何だと、おい……
もう1回言ってみろ」
「何度でも言うたるわ。
気持ち悪いって言ったんやウチは。
近付かんといてや。吐く息が臭い」
「てめぇ!」
昼休みに発生した一幕。
他の女生徒は怯えて彼に近付く事も出来ず、男子生徒達は囃し立てている。
「殴っちまえよ、ヒデ!」
「和枝の奴最近生意気だよなぁ」
今にも怒りが爆発しそうな秀行の肩に、大出みゆるの手が触れた。
「それ以上の行為に走ったら、ただじゃすまないわよ。
先生に言いつけるからね」
「コイツが俺を挑発してきたんだろうが!」
「事実じゃないの。
アンタがそんな気持ち悪い目で周りの人達を睨んでるから、皆怖がってるのよ」
大出みゆるはクラスの女子委員長を務めており、周囲からの信頼も厚い。
徐々にその声は大きくなり、遂にはクラスの女子生徒全員が大出の味方についた。
「大出さんの言う通りよ。
私達が楽しく授業を行う事が出来ないのは事実だわ」
「気持ち悪いのを気持ち悪いって言って何が悪いのよ」
「和枝ちゃんが正しいわ。
もっと大人しくしてくれていればいいのに」
女子全員が秀行を睨みつけている。
大出の一言によって風向きが変わり、秀行は胸を掴んでいた手を思わず離した。
「なんだよ……俺が悪いってのかよ」
「もう昼休みも終わるわ。
そう思われたくないのなら、アンタのその腐った性根から変える事ね」
大出の言葉に対して感情が弾けそうになった瞬間、屈強な男性教師が教室に入ってきた。
「お前達、何をしているんだ」
「ちょっと横田君がヒートアップしていたもので。
私が諭して落ち着かせたので安心してください、先生」
大出は教師からも信頼されていた為、彼はその言葉を鵜呑みにし秀行に対して席に戻る様に命じた。
(畜生、クラス委員長である事を良い事に好き放題言いやがって。
ぶっ殺してやりてぇ)
怒りが収まらない秀行は身体を震わせていたが、和枝は何事も無かったかの様に席についた。
(遠藤和枝もだ。俺の事が気持ち悪いだと!?
俺の生き地獄を奴にもプレゼントしてやりたい位だぜ)
怒りや恨みは、家に帰れば哀しみと苦痛に変わる。
小学校5年生になっても鞭での体罰は続いていた。
逆らえない理不尽さと絶望が、自然と他の者達への怒りや恨みに変わっていく。
秀行の遠藤和枝と大出みゆるに対する憎悪はピークに達しつつあった。
下校時刻。
生徒達が自宅へと戻る中、教室内で横田秀行は俯いたまま動こうともしなかった。
(ああ嫌だ……帰ればまたあの代わり映えのしねぇ食事と鞭だ。
帰りたくねぇよ)
秀行の絶望は、自身の顔つきすら変えてしまっていた。
怒りや悲しみを己の中に閉じ込めておけず、常に身体の外へと放出しているかの様な状態だった。
(何でなんだ。
遠藤和枝も大出みゆるも、幸せな毎日を送ってるんだろう。
なのにどうして!
どうして俺だけが不幸な日々を送らなければならねぇんだ。何故!)
自分の祖父から『呪われた子』と呼ばれ、虐待を受け続けてきた。
これからの事を思うと気が狂いそうだった。
頬に涙が伝い、秀行は思わず嗚咽を漏らす。
「横田……」
何時の間にか、誰もいなかったハズの教室内に遠藤咲がいた。
双子が同じ教室で授業を受けていた為、見分けがつく様にとリボンの色を変えていたのだ。
遠藤和枝は赤いリボン、遠藤咲は青いリボンを付けている。
「ホンマ、堪忍な。
姉やんも横田の事を怖がってるだけやと思うんや。
何をされるか解らへん思うて、それが結果的にあんな言葉になってもうたと思うんよ」
咲は涙を流していた秀行の右手をギュッと握り締める。
その顔は天使の様に優しかった。
「ウチには、横田の心の中は見えへんけどへこたれたらあかんで。
自分の心の中の闇を払えば、必ず皆が受け入れてくれるわ。
頑張りや、横田」
心からの励ましと笑顔。
隠し続けていた感情が我慢の限界を迎え、弾けた。
「咲ぃ……」
暖かい手だった。
昔、泣いて帰ってきた秀行の手を握り締めてくれた母親の手と同じ位暖かい手。
険が消え、子供の様に泣き続けた。
そこに和枝が訪れ、その状況に驚き2人を強引に引き剥がす。
「アホか。コイツに構うなっちゅうたやろ咲。
何されるか解らへんって何度言えば解るんや」
「ね、姉やん……」
涙を流していた秀行の姿ですら、病的に怯えていた和枝には恐ろしいものに見えたのだ。
そのまま咲を引き摺り、教室から去っていく。
秀行の心の中の闇は最早消えない程に大きくなっていた。
(遠藤、和枝ッ……!!)
拳を作り、机を破壊しかねない程の勢いで叩く。
鬼の形相で歯ぎしりをする秀行の前に、菊池貴弘が現れた。
「おーおー、荒れてるねぇ。
何があったのかは知らないけど、今相当苦しいんじゃないのかい?」
作り笑いを浮かべながら近付いてくる貴弘の姿が秀行には我慢ならなかった。
「消えろ。テメェに用は無ぇ」
「まぁそう邪険にしないでくれよ。
君のその苦痛を、ちょっとは和らげてあげようって言うんだからさ」
ニヤニヤ笑いながら、向かい側の空いている席に座った貴弘。
その不気味な笑顔に、秀行は少しだけ気圧された。
「復讐したいんだろう?あの生意気な女2人に。
大出みゆると遠藤和枝……
君の事をさんざん馬鹿にしたからねぇ。
好き放題言っちゃってまぁ」
歌を歌う様に喋る貴弘の声は相当に耳障りだったが、秀行は貴弘の言葉に耳を傾ける。
「僕なら君の復讐の手伝いが出来るよ。
僕の父親は医者だからね。
自宅には防音構造の地下室がある。
薬だってある。武器もある。
あの女達の顔を苦痛の表情に変えてみたいだろう?」
「何故俺に手を貸すんだ」
「遊びだよ。
僕が自分自身の手を汚すのは嫌だけど、君があの2人を奈落の底に突き落とす瞬間は間近で見てみたい。
それに、人生は面白い事が無いと退屈じゃないか。退屈しのぎさ」
秀行は貴弘の『提案』に対して激しく心を揺さぶられた。
己に唾を吐きかけてくるあの2人を地獄の底へ落とす。
そう考えただけで邪悪な笑みがこぼれてきた。
「具体的に、用意出来るものはあるか」
「そうだね。脅迫と強姦に必要なものは全て揃ってるね。
僕が改造したスタンガン、2時間は目を覚まさない強力な麻酔薬。
何度も相手を犯せる様になる強精剤、地下室には拘束器具もある。
ビデオカメラを使って撮影して、データを動画にしてネットに流すと言う脅迫が出来る。
完璧だろう?」
貴弘は秀行に『犯罪』の実行を促した。
彼1人だけではとても出来ない事に手を貸すと宣言したのだ。
「……良いだろう。テメェの『お遊び』に乗ってやるよ」
秀行は一時の怒りに身を任せて貴弘と手を結んでしまう。
それは、彼が底無しの闇に堕ちる事を意味していた。
全てが、悪い方向に進んでしまった。
遠藤和枝は、横田秀行の存在そのものが怖かった。
相手を邪険にする『嫌な女』を演じる事で『私に関わるな』と釘を刺そうとしたのだ。
そして大出みゆるは、自分が遠藤和枝に避けられている事実が気に食わず、『横田秀行』にその責任を押し付けた。
彼がいるから自分は避けられてしまっているのだと短絡的に考え、彼を和枝の側から排除しようとした。
そして横田秀行は『嫌われているのだから無視』と言う考えに至る事無く、復讐に走ってしまった。
勿論菊池貴弘の協力が無ければ無理な事だった。
1つでも運命の歯車が違っていれば悲劇は防げたのかもしれない。
だが、歯車は噛み合ってしまった。
絶望と言う名のゴールに向かって彼等は一直線に突き進んでいく。
数日後、遠藤和枝は普段通りに登校した。
(ああ嫌や……あの何もかもを見透かす様な恐ろしい目。
ウチは横田のあの目が嫌いなんや。
小学校卒業まで耐えなアカンのか。
あと大体1年と半年。長過ぎるわ)
そんな事を考えながら下駄箱で運動靴から室内用の靴に履き替えようとした時、下駄箱の中に手紙が入っているのが解った。
「何やコレ」
その日はたまたま咲が支度に手間取っておりしびれを切らした和枝が先に到着していた為、隣に妹の姿は無い。
周囲にあまり人がいない状況下で手紙の中身を見た和枝は、その内容に驚き身体が硬直した。
『お前の秘密を知っている。
もし暴露されたくないと思っているのならば、放課後、校舎の裏手にある体育倉庫に来い。
誰かに相談すれば即座にお前の周りの連中はその秘密を知る事になると思え』
悪戯とは思えない脅迫文を読んだ時、和枝は背筋が寒くなるのを感じていた。
自分の秘密を知られたくないと言う一心で生きてきた。
自分と妹を守る為ならば、何でもする。
そんな思いを抱いてきた和枝にとって秘密を暴露されると言う事は人生の終わりを意味していた。
(冗談やない。
ただ単に逃げればええとのはワケが違う。
お父んとお母んにウチらの身体の事がバレれば、今までと接し方が明らかに違ってくるやろ。
下手をすれば腫物に触れる様な扱いをされるかもしれへん。
駄目や。絶対に隠し通さな……)
和枝は手紙を粉々になるまで破くと、近くにあったゴミ箱に捨ててその場から去った。
その日の放課後、和枝は咲が家に帰った事を確認すると、校舎の裏手にある体育倉庫に足を運んだ。
彗星小学校の校舎の裏側に大きな体育館がありさらにその裏側、木々に囲まれて周囲から見えにくい所に体育倉庫がある。
「誰かいるんか?
ウチの他には誰もおらんで」
和枝が体育倉庫の入口から奥を覗き込むと、奥の暗がりに人が座っているのが見えた。
「……話を聞かせてもらおか」
その人物が誰かも解らぬまま入口から奥へと歩いていこうとした瞬間、背中に何かを押し当てられ即座に意識が途絶える。
「やっぱり僕の改造スタンガンの威力は抜群だねぇ。
あとは目を覚まさない様に注射を打っておけば暫くは寝たままだ」
スタンガンで和枝を気絶させたのは菊池貴弘だった。
奥の暗がりから横田秀行が顔を出す。
「それで、これからどうするんだ?」
「僕の家に運ぼう。なぁに。僕達は小学生だ。
眠っている妹をおぶっているみたいに見えるさ」
小学5年生とは言え、秀行の身長は大分伸び160cm近くにも達していた。
菊池貴弘の身長は140cm程度の為、一緒にあるいていれば弟と勘違いする者もいただろう。
そこまで軽くは無い和枝の身体を秀行が背負うと、2人は北里ニュータウンにある貴弘の自宅に向かった。
菊池貴弘の自宅には誰もいなかった。
鍵を開けて中に入ると家の中は静まり返っている。
「母さんは遅くまで帰ってこないし、父さんは東京でずっと仕事さ。
数ヶ月に1度帰ってくれば良い方だよ」
意識を失っている和枝を背負いながら、秀行は貴弘の後について地下室へと降りていく。
「父さんが自宅で実験をする為に作ったらしいんだけど、今は殆ど使われていない場所だよ。
この部屋は凄いんだ。
防音構造ってだけじゃない。
毒ガスや放射能、ミサイルの直撃だって防げる。
ドアを閉めれば何も外には漏れ出さない。
彼女に乱暴するにはうってつけってワケさ」
部屋の外側と内側にそれぞれカードキーを照合する為の機械が付いており、一度スキャンすれば開きもう一度スキャンすると閉まる構造になっていた。
「じゃあ準備をするとしよう」
黄色いカードキーでシャッターと同じ様に開閉する扉を開くと、貴弘と秀行は中に入り、扉を閉める。
部屋の中には手術台が置かれており、その台には手足を拘束する為の枷が設置されていた。
「君はこれを飲んでくれ。精力剤だ。
僕はその間にビデオカメラの準備をしておくよ。
飲んだら彼女の服を全部脱がせて、そのベッドに寝かせて手枷と足枷をはめておいてくれ。
枷の鍵はコレだ」
ドリンク剤の様な小瓶とキーホルダーの付いた鍵を渡された秀行は、貴弘が言った通りに行動し彼女を台の上に寝かせる。
30分が経過した辺りで、和枝は意識を取り戻した。
彼女がまず最初に感じたのは、背中に触れる冷たい鉄の感触だった。
起き上がろうとしても全く起き上がれない。
彼女は自分が拘束されている事を悟った。
「御目覚めの様だね。
良い夢は見れたかい?
もっとも、これから現実で悪夢を見る事になるんだけどね」
貴弘の声が聞こえ、和枝は何とか身体を横にして相手の顔を見る。
部屋の隅にある机の上にはパソコンが置かれ、撮影機材が床の上に置かれていた。
「まだ一般にはそこまで流通していないから、珍しいだろう?
最高クラスのパソコンだよ。
ビデオカメラと繋げれば、動画をネットにばらまく事だって出来る。
良い時代になったよね」
和枝は自分が服を着ていない状態である事に気付いていた。
そして、これから何をされるのかと言う事もある程度予測がついていた。
「こ、こんな事許されるワケ無いやろ!
犯罪やでこんなん」
身体を仰向けの状態に戻すとズボンとトランクスを履いていない状態の秀行が、硬く滾った肉棒を握っているのが見える。
「君が強姦されている所を撮影する。
そして、もし君が今回の一件について騒ごうと言うのならその撮影した動画をばらまくだけだよ。
じゃあさっさと始めちゃって」
小学生の未成熟なペニスは、精力剤の効果により大きく変貌を遂げていた。
勃起した際の直径が一回り大きくなり、皮が剥けて完全に亀頭が露出している。
激しく脈を打っている亀頭の先端が膣口に触れると、和枝は涙を流して懇願した。
「嘘やろ!?
ちょ、ちょっと待ってーな!
なぁ横田。考え直すんや。や、止め……」
全裸の状態で身体を拘束されている和枝が抵抗する事など出来るハズが無い。
秀行が無理やり腰を突き出すと、剛直の先端から根元までの全てが和枝の中に飲み込まれていった。
「あッぎィィィィィィ!?」
今まで全く感じた事の無い激痛。
股が裂けるのではないかと思う程の痛みが和枝を襲う。
「気持ち悪い奴に犯された気分はどうだ?
なぁ、どうだって聞いてんだよ」
邪悪な笑みを浮かべながら秀行は一心不乱に腰を振る。
和枝は肉棒で膣壁を擦られる度に痛みを感じて身体を震わせた。
そして、そんな激痛を感じているにも関わらず、彼女のクリトリスはむくむくと大きくなり、完全に勃起する。
「あれ?クリトリスがおちんちんみたいに大きくなったね。
形がそのものだ。ふたなりって奴なのかな?」
激痛が続いている状態であるにも関わらず、和枝は手枷がはめられている状態で必死に暴れた。
「嫌や!!
見んなやぁぁぁぁ!」
大粒の涙を流しながら懸命に隠してきたそれを手で隠そうともがいたが、どうする事も出来ない。
「お前の方が化け物じゃねぇか!
まさかこれ、射精したりするのか?」
秀行は彼女の膣内を往復しながら、彼女の股間にあるペニス状のクリトリスを片手で扱く。
「き、汚い手でウチのチンポに触んなや!
もう、終わりに……」
口を閉じ、痛みと悔しさで涙を流し続ける和枝が発した言葉は、完全に逆効果だった。
「五月蠅ぇ!
気持ち悪いだの汚いだの言いたい放題言いやがって、この出来損ないが!
ぶっ壊してやる!」
怒りと憎悪に支配された秀行は何度も乱暴に肉棒を彼女の膣奥へとぶつけ、勃起している和枝のペニスを潰さんばかりに握り締めた。
「がぁぁぁぁ……ひ、ひだいッ。
いだ……もうやめ……」
気絶してしまいそうな程の痛みが全身を駆け抜けたが、和枝は気絶する事は出来ずただ涙を流しながら言葉にならぬ言葉を発し続ける事しか出来なかった。
「オラ、射精しろ!
俺もお前の中にたっぷり出してやるからよ!」
「そ、それだけは……それだけはぁ……」
和枝は声を震わせながら必死に首を横に振るが、秀行はさらにピストン運動を続けながら勃起した和枝の陰茎を扱く。
「うッ」
膨らんだ肉棒の先端が膣の奥に密着し、そこから大量の精液を和枝の中にぶちまけた。
「ひッ、嫌ァァァァァァ!!」
それとほぼ同時に、刺激を与えられた和枝のペニスが弾け、先端から粘り気のある透明な液体を放出する。
身体を痙攣させながら放心状態に陥った和枝を横目に、秀行は勃起した状態のままの肉棒を引き抜いた。
「とりあえず、万が一って事があるとこっちも面倒だから飲んでもらおっか」
和枝が犯された一部始終を撮影していた貴弘は、ビデオカメラを三脚の上に置き直すと机の上にあった瓶から薬を取り出す。
「錠剤だから水が必要だね。
僕は優しいからちゃんと用意してあげたんだ……
ハイ、これ飲んで。避妊薬だよ」
カプセルを涙を流したまま口を開けている彼女の口の中に入れ、水の入っているコップを彼女の口に近付けた。
「これで妊娠しないで済むよ。
良かったね。
横田君もまだおさまんないだろうから空っぽになるまで彼女を使えばいい」
貴弘はそう言うと、和枝と秀行が映る様にビデオカメラをセットしなおし、パソコンの前に座った。
「僕は編集作業をするから、後はお好きにどうぞ」
「ああ、言われなくてもそうするつもりだ」
強精剤の効果により滾りがまるで静まらない秀行は、和枝がカプセルを水で飲み込んだ事を確認した後彼女の足首を手で掴んだ。
「もっと遊ぼうぜ。
俺のペニスをテメェの中で動かす遊びだがな。オラッ!!」
全く抵抗出来ない和枝の身体を弄ぶ秀行。
反り返る程の硬さと熱を持つ肉棒を再び彼女の膣内に挿入すると、和枝は悲鳴を上げる。
「もう止めてぇ。犯さんといてぇ……」
痛みや苦しみとは無関係に、身体は興奮状態に移行し、和枝のクリトリスは再び熱を取り戻すと脈をうち始めた。
「お前のはもっとやってくれって言ってるじゃねぇか。
身体は正直だなぁ!」
いきり立つその肉棒を再び片手で握り締め、扱き始める。
絶望の宴はその後秀行が2回彼女の膣内に射精するまで続いた。
「あ……あぁ……」
声にならない声が部屋の中に響く。
和枝は口をだらしなく開け、口の端からは涎が垂れていた。
涙はずっと流していたが、感情は哀しみ以外にも様々なものが巡っていた。
怒り・恐怖・苦痛・憎しみ……
目まぐるしく変わる感情の中で、貴弘が発した一言が和枝を覚醒させる。
「編集終了っと……。
一部始終を撮らせてもらったよ。
君がレイプされている所が全部撮影されたワケだ。
さっきも言ったけどこの事を誰かに話せば君も終わりだし、君の妹だって無事に済むかどうか……」
「な、何やと!?
咲に手ェ出すっちゅうんか?
そんな事絶対に許さへんで。
咲を汚そうっちゅうんならアンタと刺し違えたる!」
歯を食いしばりながら、何とか言葉を絞り出す和枝。
全裸の状態のまま、まだ膣の上にある陰茎はひくひくと痙攣していた。
「君次第だよ。
僕達にはそれだけの力がある。
君が僕達の玩具になると宣言するのならば、君の妹の純潔は保証してあげよう。
君の秘密も守られるし、僕達も楽しめる。
お互いに得になる事があるじゃないか。
ねぇ?横田君」
ニヤニヤ笑いを浮かべながら振り向く貴弘の言葉に対して、秀行もズボンを履きながら頷いた。
「ああ、そうだな……
咲に手を出されなくないって言うんなら、それなりの誠意を見せてくれねぇとな」
「今すぐ君の妹をココに呼び出して、君の目の前で地獄絵図を見せ付ける事だって出来るんだよ?
さぁ、この契約書にサインをした後に宣言してもらおうか。
『私は貴方達2人の性奴隷になります』ってね」
貴弘は机の引き出しから文字が書かれた紙を取り出した。
『この契約書にサインした者は小学校卒業まで菊池貴弘と横田秀行の性奴隷となる事を受け入れたとみなす』
ボールペンと母印を押す為の朱肉まで丁寧に用意されている様子を見て、和枝は俯き嗚咽を漏らした。
(ココでもし逆らったら、咲まで犠牲に……
全裸で拘束されとる今の状態で、奴等の申し出を蹴る事は不可能や。
それに、ウチ等の身体の秘密をばらされれば全てが終わってまう。
受け入れる他あらへん)
妹の身体と人生を守る為に、和枝は己を犠牲にする覚悟を決めた。
名前を書く欄に震える手で苗字と名前を記入すると、親指で母印も押す。
「……ウチは、暫くの間アンタ等の玩具になる。
これでええか」
「ハハハハハハ!最高に良い気分だ!
俺を散々罵った女が、生まれたままの姿で俺達に跪いたんだからな!
これからたっぷり犯し抜いてやろうじゃねぇか。
卒業まで、まだまだたっぷり時間はあるぜ」
「小学校卒業までって言うのは互いの為さ。
何処までも君を縛り付けておけるとは思っちゃいない。
それに、君の他にも色々な女の子を捕まえて遊んでみたいからねぇ」
高笑いを行う2人の姿が、和枝にはこれ以上無い程に醜悪なものとして映った。
「下衆がぁ……
この代償は、何時か必ず払わせたるからな!
覚悟しぃや、2人とも!!」
彼等を射貫かんばかりに睨み付ける和枝。
彼女がどれだけ己の中に芽生えた憎悪をぶつけても、2人は怯みもしなかった。
和枝が体育倉庫で拉致され、貴弘の自宅に監禁・性的暴行を受けてから既に1時間が経過していた。
服を着て、帰路につく和枝。
腕時計の針は既に夜の7時を回っている。
しっかり前を向いて歩く事が出来なかった。
そして歩く度に股間に鈍い痛みが走った。
サポーターの中に隠れている陰茎は痛みを刺激と捉えたのか膨れ上がり、また形を成そうとしている。
「何で……ウチはこんな身体で生まれてきてしもうたんや」
和枝は自分の人生と身体を心から呪った。
己が両性具有者で無ければ、あの脅迫文を見ても気にしなかったハズだ。
そして両性具有者で無ければ、ここまで弱みを握られる事は無かった。
自分でも説明しようの無い感情に彼女は包まれていた。
(あんなに痛かったのに、あんなに心が痛んだのにチンポだけは元気で……
横田の目の前で射精までしてもうた。
こんなモン、必要無いわ……
墓場まで持っていかなアカン程の恥を晒してもうたんや)
犯されたと言う事実よりも、情けない姿を憎むべき者達に見せてしまったと言う事実の方がより屈辱的だった。
そして、彼等の言いなりになるしか無かった己の不甲斐なさを呪った。
妹だけは守り抜かなければならないと言う使命感だけが、壊れそうな彼女の心を支えていた。
(ココでウチが潰れてもうたら、咲が……
それだけは絶対に駄目や。
ウチの身体を犠牲にしてでも……)
溢れる涙を止める事が出来なかった。
己の中から噴き出してくる負の感情を何処にもぶつける事が出来ない。
心の中で膨らむ破壊衝動を止める事がどうしても出来なかった。
彼女は我慢を放棄して一線を越えようとしていたのだ。
「ただいま」
涙を拭き取っても、赤く腫れた目の周りだけは隠しようが無い。
玄関で姉を出迎えた咲は、彼女の異変を敏感に察知していた。
「姉やん、随分帰りが遅かったけど……
何があったん?」
心配そうに聞いてくる妹の姿が、今の和枝の姿と重なる。
「お父んとお母んは?」
「今日は帰りが遅くなるって……
2人とも、明日の朝になるかもしれないって言うてたわ」
その言葉を聞いた瞬間、和枝は咲の腕をしっかりと握り締めていた。
「ああ、それはええな……好都合や」
咲の手を取り、和枝は自室に彼女を連れていく。
咲を部屋の中に入れると、部屋の鍵をかけ彼女の前で服を脱ぎ始めた。
「ね、姉やん……?」
「咲も脱ぐんや。今すぐ」
強い口調に逆らう事が出来ず、咲は言う通りに服を脱ぐ。
やがて、同じ顔と身体を持つ2人が全裸の状態で向き合った。
「綺麗やで……」
和枝は既に勃起していた陰茎を咲の腹に擦り付ける様に密着させながら、彼女の頬にキスをする。
そのまま咲の肩を両手で掴んだまま、和枝は彼女をベッドに押し倒した。
薄暗い部屋の中で、咲の裸体が月の光に照らされていた。
細い腕、触り心地の良い金色の髪、僅かに膨らんだ胸、毛も生えていない陰部……
その全てが自分と同じだった。
だが、2人の間には違いが生まれている。
(ウチは、汚れてもうた……
咲は、まだ綺麗なまんまや。
汚したい……ウチが、愛したい)
矛盾した感情が入り乱れていた。
咲を守りたいと言う気持ちに嘘は無かった。
だがそれ以上に、和枝は咲だけが綺麗である事に不満を感じ、己で彼女を貫きたいと思っていたのだ。
自分が犯されたと言う現実を忘れたいと言う逃避の一面もあったのかもしれない。
「姉やん、ウチと……するんか?
ウチ、怖いんやけど……」
和枝に対して恐怖を感じているのか、咲は身体を小刻みに震わせていた。
「痛いのは最初だけや……多分な」
右手を咲の口に添えた後、和枝は左手で勃起した陰茎の根元を持つと、咲の膣にあてがう。
「咲……」
妹に対して何が言いたかったのか、和枝は自分でもよく解らなかった。
吐き出したい事があるハズなのに、言葉が出てこない。
守りたいと思った相手を、自分の手で汚そうとしている。
むしろ、和枝は自分こそが咲と性交すべき人間だと思い込みたかったのかもしれなかった。
「ん――――ッ!!」
和枝の陰茎が、咲の身体の中へと潜り込んでいく。
狭い膣内を無理やり広げていく様な感覚を体験した後、奥に陰茎の先端が触れた。
(ああ、入った……
さっき、ウチが感じた痛みを、咲も感じとるんやな)
激痛に耐えられず暴れる咲を力で強引に捻じ伏せると、咲の勃起した陰茎を扱きながら抜き差しを開始する。
(い、痛い!
ウチ、姉やんと……姉やんと……)
和枝と咲は、小学生でありながら性に対する知識は豊富だった。
自分達の身体が特殊であると言う事実を知った後、その様な知識を集める事が急務だったからだ。
秘密を隠し通す為には、溜まった欲望を吐き出す方法を知っていなければならない。
当然、性行為に対する知識もついた。
だが咲は、姉に半ば押し倒される形で処女を喪失するとは思っていなかった。
「気持ちええで。咲の中……
後でウチの中にも入れさせたるわ」
皮肉な事に、和枝の中に溜まっていた欲望は秀行に犯された事で完全に弾けてしまっていた。
手淫のみで済ませてきた性欲処理の日々の中で、密かに芽生えた女性との性交に対する渇望。
セックスをしてみたいと言う思いは咲も持っていたが、2人はこの日、遂に一線を越えてしまったのだ。
「あはぁ、ええよ……
気持ちええってこれぇ!!」
和枝の理性は既に吹き飛んでいた。
ただ、己のペニスでもっと多くの快感を味わいたいと言う感情だけが彼女を支配していた。
性欲に忠実な獣と化し、ひたすらに咲を攻め続ける。
咲も激痛と快感が混ざり合った感覚に恐れを抱きつつ、少しずつ情欲に取り込まれていた。
「咲のオメコの中で、ウチのチンポを弾けさせるんよぉッ!
咲も、気持ちええんやろ?
こんなに濡らして感じとるやないか」
身体を震わせ陰茎の先端から透明な粘液を放出させた咲の姿は、和枝にはとても淫靡なものに見える。
人とは違う身体が、この一瞬だけはとても素晴らしいものの様に感じられた。
(ウチらは……天使や。
性欲と言う本能に忠実な両性具有の天使なんやッ!)
秀行から『化け物』と罵られた記憶が頭の中に蘇り、和枝の心を抉る。
だが、目の前で痛みと快感に悶える咲の姿は美しかった。
彼女にとって非の打ち所の無い完璧な肉体。
そう思い込む事で、壊れそうな心を守りたかったのかもしれない。
何が真実で何が嘘なのか解らなくなりつつある彼女の頭の中が、至上の快感により真っ白になる。
「おおおおおお、ふううううううッ!!」
獣の咆哮に似た様な声を発しながら、和枝は咲の膣内に己の欲望を解き放った。
彼女の膣内でいきりたった肉棒が何度も脈動しながら、その度に熱い粘液を注ぎ込んでいく。
「あ、あは……」
強烈な射精による快感に全身が打ち震えていた。
妹を犯してしまった罪悪感が何処かへ行ってしまう程の快楽に、涎が垂れる。
陰茎はまだ萎えていなかったが、和枝の理性はゆっくりと戻ってきていた。
「姉やん、怖いわ……」
両手を交差させ、自分の両肩を掴む様にしている咲は、大粒の涙を流しながら恐怖していた。
怒りや哀しみの感情のままに暴れた和枝の姿が、咲にとっては恐ろしいものに映る。
「うッ……」
言葉が出なかった。
今の咲の姿は、秀行に犯されていた自分の姿そのものだった。
結局、綺麗なままの咲を許せなかっただけと言う和枝自身の醜悪な感情が己の中で浮き彫りになる。
咄嗟に和枝は、咲と繋がったままの状態で涙を流しながらしっかりと彼女を抱き締めた。
「堪忍な、咲……ウチは、ウチはぁ……」
互いに嘘はつかないと約束した自分自身が、咲を守る為に嘘をつかねばならない罪悪感。
そして、己を押し潰さんばかりに襲い掛かってきた絶望を咲に押し付けた心の痛み。
様々な感情が溢れ出てきた。
妹の前でしか素直になれない己がひたすらに恨めしく、情けなかった。
「ええよ……ウチと姉やんは姉妹なんやもん。
しかも双子の姉妹やで?
哀しい事があったら、一緒に乗り越えていこうや。
1人では生きていけんでも、2人ならきっと乗り越えられるて」
秀行の手を握り締めた時と同じ様に、咲は優しかった。
その顔は慈愛に満ち溢れていた。
「うわああああああッ――――!!!」
もう、誰かに聞かれたら大変な事になると言う事も和枝の頭の中には無かった。
彼女を抱き締め、声にならない声を発しながら泣き続けた。
今の彼女にとって妹だけが自身の心の拠り所だった。
「随分遅かったやないか。
外をほっつき歩くのも大概にせぇよ」
和枝が咲を押し倒して繋がっていた頃、秀行は再び古橋幸吉によって暴行を受けていた。
老人とは思えぬ程の巨体に鋼の肉体。
その身体から繰り出される鞭の一撃は秀行を失神寸前に追い込む程の威力がある。
「今日はこれ位にしといたるわ。
明日はさっさと帰ってくるんやで」
「……ふざけるな……」
殆ど裸に近い状態の秀行が掠れた声を発した。
背中や肩は鞭による青痣だらけになっている。
「何で、俺の門限を勝手に決める?
それ位自由にさせろ。
二言目には『呪われた子』とほざきやがって。
俺が何をしたって言うんだ!
言ってみろよジジイ。言ってみろ!」
憎悪に満ちた表情で睨み付ける秀行。
幸吉の顔が怒りによって歪む。
「お前が何をしたかやない。
お前の存在そのものが禁忌なんや。
お前の様な命はこの世に生まれてくるべきやなかった。
それだけの事や!」
鞭を大きく振り上げる幸吉。
秀行は己の死すら覚悟して目を瞑った。
「お、御止めください。
それ以上責め続けたら、死んでしまいます!」
絹が幸吉の背中に抱き付き、秀行を許す様に懇願した。
暫く秀行を睨みつけていた幸吉だったが、その訴えに応じて背を向ける。
「絹に感謝するんやな。
確かに『呪われた子』でも殺せば罪になる。
殺しても無罪にすべきやで、ホンマに」
座敷牢から出て、階段に足を乗せかけた所で幸吉は振り向く事無く言葉を発した。
「ええか。
逃げ出さん様にちゃんと出る時は鍵をかけるんやぞ」
消えていく幸吉の背に向かって、秀行は唾を吐きかけたかった。
(畜生!
今は無理でも、必ず完膚無きまでに叩きのめしてやる。
止めてくれと懇願する程にな)
心の中で毒を吐いたが、あまりの激痛に身体が動かない。
絹はそんな秀行の頭を膝の上に乗せた。
「旦那様を挑発すれば、さらに激しい責め苦を受ける。
何故それが解らないのですか。
今は耐えるしかありません。
私も秀行様が鞭を打たれている所を見るのは辛いのです」
どんなに苦しくても、この場所に帰ってくるしか無いのは秀行にも解っていた。
逃亡すれば捕まり、もっと重い体罰を受ける。
頭では逆らっても無駄と言う事が解っているのに、秀行は衝動に突き動かされて反抗してしまったのだ。
「絹……どうして、俺は『呪われた子』なんだ。
教えてくれ。どんな真実があろうとも俺は受け入れる」
涙を流しながら訴える秀行に対して、絹は俯きながら首を横に振った。
「申し訳ありません。
それを言う事は旦那様に禁じられております。
ですが……1つだけお教えしましょう。
秀行様が虐げられている理由は、『血』にあるのです」
「血……?
俺の血筋って事なのか?」
「それ以上は口が裂けても申し上げる事は出来ません。
禁を破れば、私もまた責め苦を受けます故」
絹は立ち上がると、動けずにいる秀行を見ながら鍵をかけ、足早にその場を立ち去る。
残された秀行は絹の言葉の真意を理解する事が出来ず、朦朧とする意識の中で考え続けていた。
(血って……俺の親父に何かあるって事なのか……?)
負の連鎖は遠藤和枝と遠藤咲の関係すら変え、輪廻の様に繰り返されていた。
秀行が暴行を受け、その絶望を振り払うかの様に秀行が和枝に性的暴行を行い、その絶望を和枝が咲に押し付ける様に性交を繰り返す。
そんな1つのサイクルに変化が訪れたのは、和枝が秀行に犯されてから数週間後の事だった。
「やぁ、よく来てくれたね。
とっても嬉しいよ」
菊池貴弘の自宅に足を踏み入れた和枝は、ニヤニヤ笑いを浮かべている貴弘と秀行を一瞥し、睨み付ける。
「さっさと済ませようや。
お父んとお母んが最近ウチの帰りだけが遅いゆうて訝しんどる。
咲に心配されとるのも嫌やしな。
ウチの身体で遊びたいなら好きにすればええ」
和枝は咲と違い、人に見下されたり舐められたりする事が我慢ならない性格だった。
玄関の鍵が閉まった事が解ると、廊下ですぐに服を脱ぎ始める。
貴弘がそれを制した。
「まぁまぁ落ち着いて。のんびりいこうよ。
僕達だって人に怪しまれるのは御免だからね。
今日は特別な趣向を凝らしているんだ。
まずはこれを飲んで。避妊薬だから」
秀行が持ってきたコップには、無色透明な液体が入っている。
コップと錠剤を受け取ると、和枝は錠剤を飲む為にその液体を全て飲み干した。
「これで妊娠する心配は無いっちゅう事か。
至れり尽くせりやな!」
憎しみに満ちた目を向け、怒りに全身を震わせる和枝。
秀行はその顔に覚えがあった。
(俺と同じ顔をする様になってきたじゃねぇか。
嬲り甲斐があるってモンだ)
「手早く済ませたいと言う御要望もあった事だし、地下室に行こう。
君に素敵なプレゼントも用意している事だしね」
けらけら笑いながら貴弘は和枝を地下室へと案内する。
服を全て脱ぎ捨て、全裸の状態になった和枝は2人を睨み付けながらその後についていった。
冷たい石の様な感触の床が、生まれたままの姿の和枝を震えさせる。
「さ、入って入って。
僕達は後から入るよ……カードキーを使って施錠しなくちゃいけないからね」
何時もと違い明かりがついていない地下室の様子に和枝は彼等の企みを感じたが、逆らう事も出来ない。
追い立てられる様に地下室の中に入ると、秀行と貴弘が入っていないのにも関わらず、扉が閉まった。
「な、何なんや一体!」
『焦る必要なんて無い。
ショーが終わり次第、解放してあげるよ』
地下室の壁に設置されている装置から貴弘の声がした。
防音構造になっているこの部屋で連絡を取る為には、専用の無線機が必要になる。
真っ暗な部屋に突然明かりがつくと、和枝は目の前の光景に対してさっと血の気が引いた。
そこには、かつて自分がされた様に全裸の状態で台に乗せられ手枷と足枷をはめられている女性の姿があった。
顔は判別が付かない様に紙袋の様なものを被せられている。
だが年の頃は自分と同じ様に見えた。
「こ、これは……どういう事なんや、菊池!」
『簡単な事さ。
お前がその女を犯せばいいんだよ。
そうすれば、この扉を開けてやるって話だ』
下品な笑い声を発しながら秀行が和枝に話しかける。
貴弘も扉の向こうで嬉しそうな表情を浮かべていた。
『さっき君に飲ませたあの薬、あの錠剤は避妊薬なんだけどコップの中に入っていた水には秘密があってねぇ。
あれは水じゃない。無味無臭の強精剤なんだよ。
強気な態度を常に見せる君なら全部飲むとは思っていたけど、本当に全部飲んでくれるとは……
僕達の思い通りに踊ってくれて嬉しい限りさ。
あとは、君が彼女を犯せばミッション・コンプリートって事になる』
全裸のまま、向かい合っていた和枝と女性。
我に返った和枝は地下室の扉を力いっぱい叩く。
「ふ、ふざけんな!
誰がそないな事をすると思うとるんや。
ウチはそんな事絶対せえへんで!」
『無駄だよ。
この扉は白犀が力の限り突進して激突しても壊れない様になってるんだ。
僕がカードキーをかざさない限り、扉は開かない。
君に残された道は1つ。彼女を犯す事だけさ』
叩いても全く揺れもしない扉。
手が痛くなり、和枝はその扉からの脱出を諦めた。
(ああ……想像がつく。
解っとるんや。あれが誰なのかは……)
自分と同じ位の背丈。膨らみかけた胸。華奢な身体。
秀行と貴弘が連れて来る女性と言えば、1人しかいない。
だがそれを口に出す事が恐ろしかった。
自分が彼女を汚してしまうのではないかと言う恐怖が彼女を包み込む。
(あ……そんな……)
和枝の身体は、強精剤を摂取した事で性欲へと舵を切っていた。
クリトリスが瞬く間に膨らみ、陰茎の形状へと変貌する。
強精剤の効果なのか通常よりも硬く、一回り大きくなっていた。
「痛った……」
激しく脈打つ肉棒が、彼女の理性を奪う。
激痛を感じる程に勃起した陰茎を扱くと、先端から透明な液体が零れ落ちてきた。
『強精剤の効果は抜群の様だね。
自慰行為程度じゃ射精する事は出来ないよ。
強烈な快楽を感じない限り君のそれは弾けやしない。
それに、君が犯す相手にも薬を投与してある』
顔が解らない女性の身体が熱を帯び、膣がぱっくりと開いて愛液を分泌し始めている。
『男性のペニスを逞しくさせるのが強精剤だとすれば、女性の肉体を無理やり淫らにするのが催淫剤さ。
女性の肉体に無理やり性的興奮を促し、性交に適した状態を作り出す。
彼女はもう、狂いそうな程に君を求めているんだよ』
貴弘の手には『カタクナールΩ』と書かれた茶色の小瓶と、桃色の液体が入った注射器が握られていた。
『さぁ、やれよ。
俺達に楽しい強姦ショーを見せてもらおうじゃねぇか。
ハハハハハハッ!!』
その声に抗う様に陰茎を扱き続ける和枝であったが、いくら肉棒に性的刺激を与えても射精に至らない。
『それに、君が我慢していると彼女の方もおかしくなってしまう。
言っただろう?彼女も君を求めていると。
君達はセックスをしないと精神が崩壊してしまう病気にかかった様なものさ。
治療する方法は簡単だけどね』
狂いそうな程の激痛が和枝に襲い掛かっていた。
射精に至るどころか陰茎はさらに硬さを増し、大きくなっている様に感じられる。
(嫌や……それだけは。
ウチが汚す様な事だけは……)
最早彼女を犯したくないと言う気持ちが、人間としての尊厳すら奪い取っていた。
和枝は冷たい床に己の肉棒を這わせ、何とか射精させようとする。
その顔は涙でグチャグチャになっていた。
『何だアイツ、床を使ってオナニーなんか始めやがったぞ。
必死になりやがって、笑わせてくれるじゃねぇか』
『そんな事をしたって無駄だって事がまだ解らないみたいだね。
ま、いずれ彼女の理性も弾けるさ』
激痛と射精したいと言う欲望が、和枝の僅かに残っていた理性を削り取っていく。
(絶対に……それ、だけはぁ……)
己の股間で存在を主張し続ける反り返った剛直が、和枝自身の精神を汚染していった。
射精したい。
セックスをしたいと言う本能が、和枝に残っていた彼女を犯したくないと言う願望を綺麗に摘み取る。
「う、うあああ……」
それは、和枝が実の妹である咲を押し倒した時と何ら変わりが無かったのかもしれない。
むくりと身体を起こすと、和枝は夢遊病の患者の様にふらふらと女性に近付いていく。
『負けたねぇ、彼女も。
所詮ふたなりなんてこんなものさ。
生み出される凄まじい性欲には逆らえない』
嘲笑う貴弘の声も、今の和枝には全く聞こえていなかった。
「あ……ああ……」
和枝の前で全てを見せている彼女の膣に勃起した肉棒の先端をあてがうと、腰を入れて肉壁の中へと潜り込んでいく。
「ん――――ッ!!ん――――ッ!!」
紙袋を被らされた女性の口から、激痛にのたうちまわる声が聞こえた。
膣から鮮血が滴り落ちる。
それは和枝も、咲も経験した事だった。
「ええよぉ……チンポ、チンポ気持ちええ!!」
壊れた様な笑顔に、溢れる涙。
人間としての理性と尊厳をかなぐり捨て、再び獣と化した和枝はひたすらにピストン運動を繰り返す。
『ちなみに、この一部始終も動画として撮影しているからね……
もう聞いてないか』
『下品な女だ。
やっぱりお前の方が気持ち悪い化け物なんじゃねぇかよ。
サルみたいに腰を振りやがって』
和枝を蔑む声も、最早彼女の耳には届いていなかった。
ただただ、欲望を弾けさせたいと言う一心で相手を犯し続けた。
肉の壁に包まれた肉棒が快感に震え、唐突に弾ける。
彼女の奥に何度も射精を繰り返すと、和枝の意識が少しだけ戻ってきた。
「う、嘘や……こんな事……」
『苦しんでいる暇なんて無いよ。
君に投与した強精剤の威力はそんなもんじゃないからね。
何回出せばおさまるか僕にも解らない。
何せ、ふたなりは元々性欲が強いって話だし……』
彼女を犯してしまったと言う罪悪感も、また著しい硬さを取り戻した肉棒の前に黒く塗り潰されていく。
最早自分の身体を自分で制御する事すら出来ず、和枝はまた彼女の身体を貪り始めた。
淫らな肉と肉を叩き付ける音だけが、冷たい地下室に響き渡る。
「あ、ああ……ウチ、もう……」
数回射精しても萎える事の無い肉棒を、女性の肉体にぶつけていた和枝は現実逃避をした状態のままでセックスを続けていた。
彼女を犯してしまったと言う事実を、懸命に頭の中から追い出そうとする。
それは全て、自分の心とは無関係に性欲を貪ろうとする己の肉体を操る事が出来なかったせいだった。
「うあああッ!!」
がくがくと身体を震わせ、欲望が具現化したかの様な透明な粘液を相手の女性の膣内に放出する。
根元まで差し入れている肉棒が射精の快感に打ち震え、膣の中で脈を打っていた。
「は―――ッ……は――――ッ……」
やがて、強精剤によって凄まじい性欲を与えられていた肉棒が膣から抜け、空気の抜けた風船の様にしぼんでいく。
5回にも及ぶ膣内射精によって、和枝はようやく完全に理性を取り戻した。
「ウチは……ああ、何て事を……
こんな、嘘や……」
壊れたテープレコーダーの様に同じ言葉をぶつぶつと呟く和枝。
相手の女性の膣内からだらだらと流れ落ちている精液が、今起こった出来事の全てを表していた。
『さぁ、君の手で彼女の顔を見なよ。
彼女も初めての相手が君ならきっと喜んでくれるって』
貴弘の嘲笑う声を聞きながら完全に腰が抜けてしまっていた和枝は、女性が拘束されている台にしがみつく。
(そんな、嘘やろ。
ま、まさか……)
止まらぬ涙を拭う事もせず和枝は台に掴まったまま何とか身体を起こすと、右手で身体を支えながら左手で彼女の頭に被さっている袋に手を伸ばした。
手が小刻みに震えて止まらない。
彼女が誰であるのかは薄々感付いていたが、和枝はそれを現実として認める事を拒否していた。
「うッ!?」
紙袋の様なものを取り去った瞬間、和枝の全身が恐怖と後悔によってガクガクと震える。
(みぃ……やん……)
そこにいたのは、大出みゆるだった。
長く美しい黒髪は、袋の中に無理やり詰め込まれていたせいか、ボサボサになってしまっている。
口に猿轡(さるぐつわ)の様な器具を付けられていた為、声が出せない。
その顔は涙まみれになっていた。
『ハハハハ!
どうだ、お前とお前の妹の幼馴染をお前自身の手で汚した気分は!
感慨深いか、え?』
『脆いもんだねぇ、絆なんてものは。
君の性欲が理性を破壊して、大切な人の処女膜まで破ってしまった。
性欲は友情を超越すると言う良い教訓を見させてもらったよ。有難う』
大出みゆるも当初何があったのか把握出来ていない様子だったが、和枝の股間でまだ完全には縮まらずにブラブラと揺れているものを見て全てを悟った。
(わ、私は……和枝ちゃんに、犯され……)
「うわあああああああああ――――ッ!!」
和枝は崩れ落ち、床に手をついた状態のままで絶叫した。
何度も何度も叫び、床に涙の粒を何滴も落とす。
「あああああ、ああああああああッ――――!!!」
頭を抱え、何度も何度も振り回した。
いっそ狂ってしまいたいとすら思ったが、咲の存在がそれを食い止めていた。
自分がおかしくなってしまえば、今度は咲が襲われてしまう。
その思いだけが、壊れそうな和枝の精神を支えていた。
『おうおう、みゆるの膣からお前が出した精液が出てきてるぞ。
随分沢山出したもんなぁ』
『いや、実に素晴らしいショーを見せてもらった。
正直、どれだけ金を払ったとしてもなかなか見れない光景だよ』
2人の罵倒が、さらに和枝を苦しめる。
彼等が仕掛けた事とは言え、和枝が大出みゆるを犯してしまったと言う事実は覆らない。
その事実はあまりにも重く、立ち直れない程のショックを和枝に与えていた。
「ふうううう、ふうううううううう――――ッ!!」
不意に聞こえてきたみゆるの声が、和枝の頭を上げさせる。
大出みゆるは、憎悪に満ちた表情で扉の向こうにいた2人を睨み付けていた。
『誰が悪いのか』、彼女はしっかりと理解していたのだ。
『おっと、まだお楽しみはこれからだよ。
横田君の性欲は和枝ちゃんと違ってまだ解消されていないからね。
今開けるから、たっぷり楽しむと良い。
どうせ和枝ちゃんは腰が抜けて逃げる事も抗う事も出来ないだろうし』
悪夢の時間は、まだ過ぎ去ってはいなかった。
勃起した陰茎を露わにした秀行が、部屋の中に入ってくる。
罵倒を浴びせる気力も残っていない和枝は、ただただ打ちひしがれその場にうずくまる事しか出来なかった。
真っ暗になった夜の路地を、大出みゆると遠藤和枝は身体を引き摺りながら歩いていた。
街灯が僅かに照らす道を、なるべく人に見つからない様に注意しながら進む。
誰かに見つかればその姿から心配され、人を呼ばれるのは明らかだったからだ。
2人はそれを望んではいなかった。
『僕達のどちらかに大変な事があった時は、動画を即座にばらまくからね。
和枝ちゃんがみゆるちゃんを犯した一部始終もそうだし、横田君がみゆるちゃんとした動画もこちらの手にある。
共倒れ覚悟で警察に駆け込むって言うんなら止めはしないけど、君達の人生も粉々に砕けちゃうから考えた方が良いんじゃない?』
菊池貴弘の耳障りな声が頭の中で再生され、和枝の肩が怒りに震える。
泣き喚きたい衝動をギリギリの所で抑えながら歩いていた。
大出みゆるもそれは全く同じだった。
「……ねぇ、私にした事を……謝りたいと思ってる?」
涙を流しながら、焦点の合わない瞳を漂わせていたみゆるは、和枝の耳元でそう呟く。
「当たり前やろ」
思わず和枝はみゆるの方を見て言葉を発した。
その口調や態度に不審な点が見られない事を確認したみゆるは、再び視線を前に向ける。
「……殺そう」
ぼそっと呟いたその一言に横田秀行と菊池貴弘に対する怒り、そして憎悪が凝縮されていた。
和枝は息を呑んでみゆるの横顔を覗き見る。
氷の様に冷たい目。その目の奥にはある種の狂気が感じられた。
「今は無理かもしれないけど、大人になって姿を変えさえすれば必ずチャンスは来る。
私達のどちらかが2人を見つけて、両方この世から消すの。
残された方が……咲の面倒を全部見ればいい」
歯を食いしばりながら、涙を流して訴えるみゆる。
歩く度に痛いと言われた為、和枝は彼女に肩を貸していた。
「もし、私に対して負い目を感じているのなら……
何かの形で償いたいと思っているのなら、約束して。
いずれあの2人を殺すって。
探し出して、息の根を止める為に全力を尽くすと誓って」
和枝にその約束を迫っているというよりは、懇願に近い口調だった。
着ていた服には傷や汚れは無いものの、みゆるの心は嫌と言う程傷付きその身体は汚されている。
和枝は自分が彼女を汚してしまった事を承知しており、そうする事が当然だとも思った為しっかりと頷いた。
「約束する。
ウチは大人になったら名前と姿を変えてアイツ等を探すわ。
そして、見つけ次第殺す。
その時は、咲の事をみぃやんに託すで」
「派手な殺し方をして、新聞の一面を飾るニュースにしなくちゃね」
みゆるは和枝の方に顔を向けて笑顔を見せようとしたが、その笑顔は乾き切っている。
涙を流しながら笑うみゆるの姿は、和枝にはとても惨めに見えた。
(ウチも、同じ思いを味わった……
でも、みぃやんの場合は別の思いがあるハズなんや。
少なからず、ウチに裏切られた様な気がしとるやろ。
ウチは、命をかけてでも償わなアカン)
2人は思いを1つにして、これから訪れるであろうさらなる災厄に対して立ち向かう事を決意した。
そして、自分達を辱めた相手に必ず代償を払わせようとも誓い合ったのだ。
横田秀行が体罰を受ければ受ける程、遠藤和枝と大出みゆるが味わう苦痛はどんどんと増していった。
秀行にレイプされるだけでは無く、和枝とみゆるのセックスを何度も強制され地下室以外でそれを強要される事すらあった。
深夜の公園で全裸になり、ロープの付いた首輪をはめさせられた後四つん這いで歩かされ、『交尾』をさせられる。
屈辱の極みとも思える行為にも2人は懸命に耐えた。
自分の人生を守る為と言う部分もあったが、遠藤咲の人生を守る為に我慢したと言う方が正しいのかもしれない。
自分達にとって大切な人間まで壊されたくない。
その思いが、2人に驚異的な忍耐力を与えていた。
(遠藤咲は、俺達にとって大事なカードだ。
切り札としては最後のカードだと言って差し支えは無い。
もし彼女を傷付ければ、和枝とみゆるは相討ち覚悟で俺達に牙を剥いてくるだろう。
殺しにかかってくる。
だが、彼女が平穏無事でさえいれば、奴等にはストッパーがかかるんだ。
今、何も考えずに暴走すれば取り返しのつかない事になる。
だからこそ、俺は咲には手を出さない)
秀行は貴弘に何度もそう進言し、貴弘もその提案に対して了承する。
だが貴弘が保身として咲に手を出さないと決めたのに対し、秀行にはそれ以外の思い入れがあった。
(咲は、俺に対して優しくしてくれた……
俺の心に入ってきて、励ましてくれた。
絶対に傷付けたくない。
それだけは出来ない。彼女は天使だ。
そんな咲にもきっと、和枝と同じ様なものが生えているんだろうな。
嫌な話だ)
秀行は、誰にも言わなかったが遠藤咲に恋をしていた。
許されるのならば、彼女に愛していると伝えたい程だった。
勿論、そんな事は口が裂けても言えない。
秀行にとって咲は神聖な存在として映っていた。
姉とは違い、丁寧に愛して肉体関係を結びたいとすら思っていた。
だがそれは出来ない。
ならば、双子の姉を咲だと思って汚せば良い。
密かな恋心をひた隠しにして、秀行は和枝を凌辱する。
和枝と性交に及んだ回数は最早数え切れない程であった。
一方、横田秀行が古橋幸吉から受けている体罰も徐々にエスカレートしていった。
秀行が日をまたいで帰ってくる事も多くなった為、その内容はどんどん苛烈になっていく。
「……人を殺しても、ばれねぇ方法って無ぇのかな」
ある日の夜、遠藤和枝と大出みゆるを帰宅させた後、貴弘の自宅内にいた秀行はそう言った。
最早耐えられなくなっていたのだ。
幸吉を殺せば、少なくとも体罰からは逃れる事が出来る。
和枝とみゆるを犯して憂さ晴らしこそしていたが、彼の精神と肉体は限界に近付きつつあった。
「まぁ……無い事は無いけど」
貴弘は椅子から立ち上がると、地下室へと降り、やがて緑色の薬瓶を持って戻ってきた。
「この薬を毎日一定量、相手がスプーン一杯分飲めば心臓に関わる筋肉……つまり心筋を弱らせる事が出来る。
身体の筋肉も本人が気付かない間に少しずつ衰えていって、最後は心臓の鼓動が止まるってワケ」
貴弘は机の上にその薬瓶を置くと、秀行に対して念を押した。
「正直、露見した時の責任は取れないよ。
と言うか、僕は取らないと宣言しておく。
あくまでも自己責任だからね。
それでもいいと言うんなら、持って行けばいい」
だがそう言われても、秀行の心の中にそれを持って行かないと言う選択肢は無かった。
彼はそこまで追い詰められていたのだ。
自分が死ぬか幸吉が死ぬか。
そんな次元にまで事態は悪化していた。
「俺はやるよ」
秀行はそう言うと、躊躇う事無くその薬瓶を手にした。
だがその手は僅かに震えていた。