自分の身体を使って幾らでも性犯罪が起こせるワケです。
さらに男性からは普通拒絶される。極端な言い方をすれば
化け物扱いされる人々が救われるにはどうすればいいのか。
湯姫は『ふたなりだけの楽園を作る』事で偽りの安寧を、
あかりは『寄り添って少しずつ皆の意識を変えていければ』と
前向きな安寧を求めました。
どちらが正しいのかは私にも解らないのです。
【2011年1月16日 千葉県宮本市本郷 アパート貧荘 火村あかりの自宅】
「じゃあ、早速始めましょうか」
あかりは下着を外し、生まれたままの姿で葵の肩に手を置く。
「とりあえず最初は私と葵ちゃん、比呂ちゃんと周防さんって事で良いかしら?」
「宜しくお願いします」
葵の下着の中で眠っていた『性欲』は、あかりの裸を見た事で目覚め、抑制出来なくなっていた。
葵も下着を取り去った後股間を覆っているサポーターを剥がし、肉棒をあかりの前に晒す。
「あら、かなり立派な……
大きさは沙織ちゃんと同じ位かしら。
顔と胸の大きさ以外は本当によく似てるわね、葵ちゃんと沙織ちゃんは」
あかりの視線の先には、同じ様に勃起した肉棒を隠さずに見せる沙織の姿があった。
(うう……
葵はん、確かにウチより胸が大きいみたいや。
羨ましいわ)
沙織が視線を移すと、比呂子がベッドの上で幸枝の肉棒を咥えている。
(いきなりシックスナインなんて大胆やなぁ。
お互いに性器を刺激すればセックスが可能な状態になるのが早まるのは確かやけど)
僅かな胸の膨らみを持つ比呂子が、殆ど平らに近い幸枝の相手を務めている。
見た目が幼い者同士の淫らな行為は、背徳感に満ち溢れている光景だった。
あかりの方は葵を壁によりかからせ、片方の手で膣をまさぐりながらもう片方の手で肉棒を扱いている。
「どう?
初めてって事は、人にこうやって扱いてもらうのも初めてなんでしょう」
「はい、普段は自分で慰めてるばかりで。
誰かに擦ってもらったり、お口でしてもらう事を妄想してました……
あッ、凄い。
自分でしてる時より断然興奮しますぅ」
与えられている快感自体は自慰行為の時とそれ程変わらないのだが、あかりに扱いてもらっていると言う事実が葵を興奮させていた。
肉棒が漲りビクビクと震え、先端から透明な汁が滴り落ちている。
まともに立っていられなくなる程の刺激を受けた葵は、思わずあかりの身体にしがみついた。
「手で射精させちゃうのも勿体無いし、そろそろ『卒業式』を始めちゃいましょうか」
今度はあかりの方が壁に手を付き、自分の尻を斜め上に突き出して葵を快楽の園へと誘う。
「まずは私の腰に両手を添えて。
私が導いてあげるからおちんちんを私の膣の中に入れるのよ」
葵は今まで体験した事も無い興奮と己の肉棒の猛りで余裕が殆ど無くなっていた。
(ホ、ホントにセックスしちゃうんだ。私……
こんな身体で、成人になっても自分を受け入れてそういう事をさせてくれるノーマルな人が現れるワケが無いって半ば諦めかけていたのに。
しかも私が有名人である事を慮って身体の事を黙っててくれるなんて、夢みたい)
勃起する様になってから、ネット通販であらゆる『大人の玩具』を使って欲望を満たそうと努力してきた。
様々な種類のオナホールを購入して片っ端から試し、欲望のままに肉棒を扱き上げる。
何度射精しても、心の奥底では『実際の女体』に対する憧れが消える事は無かった。
そして、今目の前に女体があり、オナホールでは味わえない未知の快楽に身を投じる事が出来る。
葵は既に、自身の股間で己の存在を主張しているモノの滾りを抑えられなくなっていた。
「じゃあ、いきますよ……」
流石に親族でも無い女性の裸を見るのが初めてとは言え、菊穴と膣口の区別位は出来ている。
それでもあかりが自身の股を潜らせる様な形で手を伸ばし、位置を合わせた。
「葵ちゃんの、それだけカチカチになっていればすぐ入っちゃうわよ。
今亀頭が膣口に当たってるから、腰を前に突き出すだけで根元まで入ると思うわ」
とびきりの『御馳走』を目の前にして、お預けもくらっていないのに大人しく待つ者などいない。
あかりがその言葉を言い終わらない内に、彼女の肉槍はあかりの奥まで貫入していた。
(あー、聞いてはいたけど本当にあったかいんだぁ。
私のオチンチンが、柔らかいお肉に包まれてる。
これ、凄い……)
蕩けそうな程の快感に再びまともに立っている事が出来なくなり、繋がったままあかりを抱き締めよりかかる葵。
「あ、あはッ……
コレが、ずっと知りたかったおまんこの中の感触なのね」
「あらあら、よりかかっちゃ腰を前後に動かせないでしょ。
いいわ、そのまま1回射精しちゃいなさい」
葵は恍惚の表情で膣が与える心地良さに身を委ねていたが、突然膣壁が波打つ様に肉棒を刺激し始める。
(えッ!?
何これ、オチンチンがにゅるにゅるって、にゅるにゅるってぇ……
優しく包まれながら、かなりのスピードで擦られてるぅ。
無理無理、こんなの耐えられない)
蠕動する膣内で脈動するペニス。
血が集まり、膨らんで射精の時が近付いているのが感じられた。
「どう、私のマンコ扱きは。
手で扱かれるのよりずっと気持ち良いでしょう。
沙織ちゃんはこの快楽を『麻薬並みの快感』って言うの。
一度体験してしまうと病みつきになって、離れられなくなるからですって」
雄々しく反り立つ肉棒は大きくなる事でさらにその刺激を強く感じ、腰が抜ける程の快感が襲い掛かってくる。
(やぁぁ、もう我慢出来ない。
弾けちゃう、出ちゃうぅぅぅ)
驚異的な快楽のシャワーを浴び、葵は口から涎を垂らし涙を流しながら射精した。
「だ、駄目……
止まらないの、止まらないのぉ」
薄桃色の肉棒の先端から欲望の塊が噴き出し、あかりの膣の中を満たしていく。
相当興奮し、焦らされていた事もあり射精量はかなりのものだった。
あかりが本気を出してから葵が射精するまで僅か20秒。
セックスの経験が皆無であった『童貞』があかりの膣内に入ったのだから、そこまで不思議な事でも無い。
(は、跳ねてる……
オチンチンがビクンビクンって震えながら、精液出してるぅ。
こんなに気持ち良く出したの、生まれて初めてかも……)
葵は後ろからあかりを強く抱き締め、もたれかかりながら残っていた欲望を出し切った。
「こんなものじゃないでしょう?
もっと気持ち良くしてあげちゃうんだから。
私が持っているテクニックを最大限駆使して、貴方が味わった事の無い世界に連れていってあげるわ」
あかりがそう言いながらまた軽く葵の肉棒を膣で擦ると、萎えかけていた性欲の塊が先程の勢いを取り戻し始める。
「あかりはん、ウチもこれ以上『待て』されたらかなわんわ。
もう限界やって」
完全に勃起した肉棒を晒しながら荒い息を吐いている咲が、葵の背後に回っていた。
「……先輩、私ので良ければ使ってください。
初めての相手は、沙織先輩がいいってずっと思ってました。
自分と同じ身体を持つ憧れの人に貫いてもらいたい。
貴方に純潔を捧げたいんです」
葵はセックスする相手が出来たとしてもそれは自分と同じ両性具有者で、『天女の湯』の客になるだろうと思っていた。
そこに足を踏み入れれば、童貞を捨てる事が出来る代わりに処女も捨てる事になる。
彼女にとって『双葉沙織』と言う存在はあまりにも大きく、沙織に貫いてほしいとずっと願っていた。
双葉沙織……遠藤咲が両性具有者であると言う噂が広まってから、その思いを抱き続けてきたのだ。
叶うと思っていなかった夢が両方実現する。
葵はとてつもない幸運に心から感謝していた。
「さっき派手に射精したせいか、オメコの方はもう準備万端やな。
あかりはんの『チンポ殺し』を味わいながらウチが入れれば、大分痛みも軽減されると思うで」
咲はそう言いながら『天女の湯』で初体験した『連結』を再び実践しようと試みる。
濡れた葵の膣に勃起した肉棒の先端を這わせ、ゆっくりと奥へ侵入していった。
「痛ッ」
熱を持った物体が、自分の身体の中を無理やり押し広げて入ってくる感覚。
初めて『女性の方』でセックスを行った葵は、その未知の痛みに悶えていた。
(痛い、けど……嬉しい。
夢なら一生覚めないで。
私はずっと、この人に憧れて生きてきた。
この人になら、全てを捧げても絶対に後悔しないって決めていた)
最初から全力で動くワケにはいかないと、葵の身体を気遣いながら動こうとする咲。
大出みゆるとした時にはかなぐり捨てていた理性が、葵とのセックスではまだ少し残っている。
「葵はんのオメコ、きついわ……
ウチのを結構な力で締め上げてくるで。
それが気持ちええんやけどな。
あかりはんは楽しんどるんか?」
「これからよこれから。
葵ちゃん、1回出せば今度はさっきよりは硬い状態を保てるでしょう。
気持ちよくなるだけじゃなくて、私の方も気持ちよくしてくれないとね」
蕩けた肉の中に欲望を差し込み、抜いては再び深く突き入れる行為が悪戯に繰り返された。
(ああ、沙織先輩のが私の中で逞しく脈打って……
感じてくれているんだ。
私の方は、楽しむ余裕なんて無いです。
勃起を保っているだけでも精一杯で……)
あかりの膣内が葵の肉槍を優しく愛撫し、先端から根元まで絡み付きながら快感を与えてくる。
手淫では感じた事が無い痛みと快楽で、葵もまた理性を失い『獣』になろうとしていた。
「あッ、はぁ……
くううんッ。
凄い、何度も出し入れされてぇ」
咲と同じ様にあかりの中で動き出そうものなら、簡単に絶頂を迎えてしまいそうだった。
葵はあかりに悪いと感じなるべく耐えようとはしていたが、咲が与えてくる快感がそれを上回る。
「葵はんの中、ええよ……
熱くて、ウチのを気持ちようしてくれるわ」
あかりはなるべく長い間快楽を味わってもらおうと思い抑えめな動きをしていたが、彼女が唐突に弾けたのが解った。
「我慢出来ない。
また出ちゃう……
沙織先輩のが突いてくるからぁ」
立てなくなり、そのまま膝をついてしまう葵。
急に身体が動いた為、咲の肉棒も葵の肉棒も膣から抜けてしまう。
「ウチのチンポを満足させてもらわんと」
まだ射精が止まらずフローリングの床に精液を放っている葵の膣に、再び熱の凶器が侵入してきた。
(セックス、セックス凄い。
1人でするのと全然違う。
ちょっと乱暴に入れられて、オチンチン抜き差しされるの好きかも……)
咲も葵が既に痛みよりも快楽の方が勝っていると解釈し先程よりも強く、激しく暴れ回る。
「やッ、あ、ああ……
へ、へぇぇぇ」
肉を叩き付ける様な音が部屋中に響き渡った。
あかりは射精直後の肉棒を手で扱き、葵の快感をさらに高めようとする。
「そろそろ、射精量も少なくなるかしら?
勃起はしてるみたいだけど」
「だッ、駄目です……
そんな、そんなの。
私の、あかりさんの中で果てたばかりなのに」
咲は射精の予兆を感じ、欲望の全てを吐き出す為さらに滾る剛直を動かした。
(ああ、最高やわ。
オメコにチンポ入れて、出す事しか考えられへん。
あかりはんが手でしてるせいなのか、時折オメコがピクッて動くのがまた……)
あかりは処理能力の限界を超え呆けている葵の顔と、快楽を貪り恍惚の表情を浮かべている咲の顔を交互に見つめる。
「2人共、いやらしい顔してるのが良いわ。
とっても素敵よ。
やっぱり人生は一度きりなんだから、楽しめる時に楽しんでおかないとね。
私がまだ満足してないから、葵ちゃんとのセックスが終わったら私にも入れて頂戴」
絶妙なタイミングで、あかりは手を使いまだ完全には勃起出来ていない葵のペニスを握り締めた。
「ひうッ!?」
根元をきつく締め上げられた事で、肉棒と連動している膣が収縮し咲を絶頂へと導く。
「もうアカン、そんなんされたら……
ああッ、ウチのチンポ出る。
射精しとる」
根元まで突き入れていたピンク色の柔肉が、震えながら幾度も膨張と収縮を繰り返した。
その度に先端から透明な粘液が飛び出し、葵の中へと注がれていく。
ピンと身体を張った状態で、咲は欲望を吐き出す事で感じる心地良さを満喫していた。
一方ベッドの上では雨宮比呂子が周防幸枝の上に跨り、膨張した性欲を受け止めていた。
「ど、どうですか。
気持ちいいですか?」
咲や葵より一回り小さい肉棒ではあるが、その熱さと漲りは決して負けてはいない。
比呂子の狭い膣にとっては、幸枝の大きさは寧ろ丁度良い位であった。
(全然、現実感が無い……
仕事でたまに会話を交わす程度の人と、こうしてセックスしているだなんて。
比呂子さんの中、時折私のをきつく締め上げてきて……
堪らない)
その脈動と、相手が興奮し快感を得ている事は膣を通して比呂子にも伝わる。
(豊さんとセックスした時に、その痛みから逃れる様に沙織さんとセックスしたけれど……
健ちゃんから受けた痛みは、豊さんのとは比べ物にならない。
セックスで受けた傷は、セックスでしか癒やせないから……
忘れられないから)
程度は違えど、比呂子もまた東郷恵の様に自分自身を偽ろうとしていた。
自分が他人に対して簡単に身体を許してしまう淫らな女であれば、実の弟に強姦された事実も薄れる。
比呂子は両性具有者である幸枝とセックスする事で、消えない傷を無理やり黒く塗り潰したかったのだ。
「ノーマルである貴方が……
どうして私としてくれるんですか」
幸枝の質問を、比呂子は微笑みながらはぐらかす。
「あかりさんと同じですよ。
自分を愛してくれて、かけがえの無い存在だった男の人がいなくなってしまった。
性欲は消えない。
でも、その人を裏切れない。
ふたなりの人とする意味は、そこにあるんです」
男性とセックスすれば、女性はその行為を『浮気』であると認識してしまう。
だがそれが肉棒の生えた『女性』であれば、それは自分の中で『浮気』と考えずに済む。
そういった考え方は、幸枝にとって初めて植え付けられた『価値観』だった。
(今まで考えた事も無かった。
若くして愛する人を失った心の痛みを、両性具有者が救済するだなんて。
性欲を満たして身体と心で触れ合っても『浮気』や『不倫』に該当しないと思ってもらう……
私達両性具有者の存在理由は確かにあったんだ。
誰かに求められているんだ)
幸枝は今まで、自分が社会にとって不必要な人間であると思い込んでいた。
迫害され、忌み嫌われるだけの存在。
自分の秘密が露呈すれば即座に破滅。
そういった気持ちが彼女を暗くさせ、自虐的な思考に陥るきっかけとなってしまっていた。
「私は少なくとも、貴方とセックスする事が『裏切り』だなんて思わなくて済むんです。
豊さんが生きていたら、私と貴方がセックスすると言う行為に『愛』を感じたりはしなかったでしょう。
そこには『性欲』しか無いのだと理解してくれたハズですから」
ふたなりは、愛よりも性欲で生きる人間。
そういった認識が世間に広まれば、新しい性欲発散の形が誕生するのかもしれない。
不倫や浮気だと思われない、己の身体を満たす為だけのセックス。
幸枝は世間がふたなりを認め、恋愛のシステムに組み込む未来を想像した。
(嗚呼、そんな世界が本当に来れば良いのに。
私達は相手の身体で性欲を満たし、相手は男からの糾弾に怯える事無く自由に性欲を満たす。
そんな、両方が幸せになる時代が来てくれれば……)
現代社会は叡智と理性によって成り立っている。
この大前提の為に犠牲となったのが性欲だった。
男性も女性も『性欲』を隠し、あたかもそれがタブーであるかの様に振舞う。
淫らな人間だと思われたくない。
その矛盾が歪みとなって先進国は軒並み少子高齢化の状態に陥った。
人間には『性欲』があり、その性欲がたった1人の相手によって全て満たせると断言するのは無理がある。
淡泊な人間もいれば性欲旺盛な人間もいるだろう。
性欲旺盛な人間を受け入れる『受け皿』が現代社会ではほぼ消滅してしまった。
だが幸枝には、今自分を受け入れてくれる比呂子こそが『受け皿』なのではないかと思っていた。
(私の様な『イレギュラー』を、社会に必要な歯車の1つだと認識してくれる世界が到来してほしい。
今すぐにそれを望んでも実現は出来ないけれど、あかりさんや比呂子さんの様な優しい人が増えてくれれば……
こんな考えを持って実際に動いてくれる人がいるなんて思わなかった)
勿論、受け皿には限界がある。
らいはやのきあの面倒まであかり達が見る事は出来ないだろう。
大切なのは、その受け皿を増やす事。
その考えに賛同してくれるノーマルな女性を見つける事では無いだろうか。
もし自分達が表に出て動こうとすれば、茨の道になるであろう事は解り切っていた。
(安定を望んで今まで通り隠れて生きるのか。
それとも自由と権利を主張する為に立ち上がり、ふたなりの女性達に生きる道を示すのか。
私じゃとても無理。
知名度やカリスマ性を持った『指導者』の様な人間じゃないと……)
大っぴらに動く事が出来ずとも、何か自分に出来る事は無いのか。
自分自身を救済する為に、幸枝はそんな事を考えていた。
「比呂子さん、私達の様な人間が社会に認められる日は来るんでしょうか?」
涙を流しながらそう言った幸枝に対し、比呂子は言葉を選びながら返答した。
「いきなりそうなるのは難しいと思いますよ。
認められるって言うのは、自分の味方を増やす事と同じだと思うんです。
大事なのは、あかりさんみたいな性に対して奔放な人間を見つける事でしょう。
そういった人達が束になって結集して、主張すれば何かが変わるかもしれません。
私には、想像も出来ない話ですけどね……
とにかく」
比呂子は上になった状態のまま両膝を曲げ、激しく上下に動いた。
「今は楽しんでください。
快楽に溺れちゃって良いんですよ。
だって私達、セックスをしているんでしょう?」
彼女に対する感謝の気持ちと感情の高揚が、そのまま股間の漲りに直結する。
「ああ、比呂子さん!
比呂子さぁん!!」
単純に、嬉しかった。
ノーマルである比呂子に受け入れてもらえた事が。
自分が気味悪がられる事無く、人間として扱われている。
その熱情に逆らう事無く、起き上がり比呂子を抱き締めながら下から腰を突き上げる幸枝。
「私、嬉しいんです。
とっても嬉しいんです!
感じてください。
私で満足してください。
もっと気持ち良くなってほしいんです」
与えられた愛情は、それ以上の愛情で返したい。
小さな胸に顔を埋めながら、幸枝は肉棒の先端を子宮口に押し当てた。
性欲を貪る為に、お互いが動いて快楽を求め合う。
「私も、良くなってきましたよ……
全体が震えてますね。
何時でも、射精してください。
妊娠なんてしないんですし」
精液に精子が含まれていないからこそ、気軽にセックスを行い絶頂を迎える事が出来る。
そういう『割り切った関係』を許容出来る女性は決して少なくないハズだ。
比呂子は快感に身を委ねながら、そんな事を考えていた。
「あ、凄い。
硬くなればなる程、比呂子さんの中をハッキリ感じ取れて……
止まらない。
もう、射精するまで他の事なんて考えられないです」
膣の中で膨らんだ欲望が、そのまま弾けようとしている。
比呂子は下から突き上げられるままに動き、幸枝の肉棒をさらに刺激した。
「あううッ、キュッて締まるのがこんなに良いだなんてぇ」
頬が紅潮し目からは涙、口から涎を垂らしてよがり狂っている。
本能のままに動き理性を失った姿こそ、人間の本質なのでは無いか。
比呂子もまた、彼女と同じ様に深い深い快楽と言う海の中に潜り込んでいた。
火村あかりの膣が『凶悪』である理由の1つとして、即座に射精を促せる程性能が高いと言う点が挙げられる。
乱暴な言い方をすれば膣壁の形状、締まり具合、子宮口を中心とした熱のこもり方がどんなオナホールよりも優秀で、非の打ち所が無い。
あまりにも太い肉棒ではそのポテンシャルを全て発揮出来ないと言う欠点こそあるものの、超一級品である事を疑う者等いないだろう。
比呂子の膣はどちらかと言えばその逆で、『相手の射精を阻む膣』であった。
ダイレクトに肉棒が柔肌を感じられる程穴が狭いと言う事は、収縮した時その根元も締め付けてしまうと言う事である。
比呂子が感じれば感じる程その傾向が強まる為、幸枝は気持ち良いのになかなか出せないと言う苦しみを味わう事となった。
「あー、出せない。
出したいのにイケないのぉ」
充分過ぎる程に怒張しているにも関わらず、絶頂に至れない。
焦らされ続けて幸枝も限界を感じ、一旦膣から肉棒を引き抜いた。
「うわッ、凄い事になってますね……」
細くて小さいながらも、その硬度と熱量は既に100%近くにまで達している。
「申し訳ないんですけど、かけちゃいますね。
ああッ、うううう……」
立ち上がり、射精したいと言う自らの欲求を満たす為に手で剛直を扱く幸枝。
限界が近かった事もあり、ものの数秒で先端から透明な粘液が噴出した。
「あくッ!!
はぁ、はぁ……
すいません、どうしても我慢出来なくて」
びゅるびゅると飛び出た精液が比呂子の胸に浴びせられる。
比呂子はそれを不快に思う事無く、逆に彼女を満足させてやれなかった事を悔いた。
「私こそごめんなさい。
膣内で射精させてあげられれば良かったのに」
射精した幸枝の肉棒は欲望を吐き出した直後であったが、勃起を保っている。
射精特有の疲労感から気が抜けたのか、幸枝はそのまま膝をついて比呂子の肩を両手で掴んだ。
「でも、凄かったです。
射精出来なかった分、濃縮されたものが出た様な気がします」
「喜んでもらえたのなら良いんですけど……
あかり先輩もまだ楽しんでますね」
ベッドの横では、さらに強烈な痴態が繰り広げられていた。
「ああ、すっごぉい!!
先輩のも、私のもこんなに気持ちいいだなんて」
「あー、姉やんともした事が無いわこんなん。
こういう事、ホンマに出来るんやな……」
フローリングの床の上で、咲が馬乗りになった状態で葵に対して背を向けている。
勃起した肉棒を騎乗位の状態で受け入れながら、自分の肉棒も葵の膣内に入れていたのだ。
お互いの膣の感触と、膣内で快感を味わい脈動している肉棒の感触が同時に伝わってくる。
「ああん、こんなの見せられたら私だって興奮しちゃうじゃない。
思いっきり指を使って見せてあげるから、沙織ちゃん達も私をオカズにしてね」
ソファに裸のまま座ったあかりが、股を広げて堂々と自慰行為を行っていた。
(あかりはんが、あんなに乱れて……
ウチのチンポ、我慢出来なくなるやろ)
咲の目の前であかりが指を使って膣をいじくり、快感に身悶えている。
あかりとのセックスの記憶が生々しく蘇り、股間がさらに熱くなった。
「沙織先輩のが、膨れて……
私の中でビクビクしてるぅ」
「葵はんのもウチの中でカチカチになっとるやないか。
我慢出来んから、早く動くで」
ふたなり同士の両結合。
体験した事の無い快楽を味わった事により葵はリミッターが外れていた。
なるべく気持ち良くなる様に腰を動かし、咲の腰の動きと合わさって強い快楽を生み出す。
(こ、コレ……
多分殆ど同時にイクと思うわ。
ウチのもそろそろ限界やし)
(先輩の膣内に出しながら私の中で射精してもらえるなんて、夢みたい……)
殆ど言葉を発さず、獣の様な喘ぎ声を出しながら互いの肉体を貪る咲と葵。
汗だくの状態で出し入れする事だけを考え、最早あかりの姿も視界から消えている。
(やっぱりふたなりってこの獣じみた性欲を隠さない所に魅力を感じるわ。
セックスしてる時まで遠慮する必要なんて無いのよ。
この2人みたいにいやらしい事に対して正直になるのが正しい姿。
だから、沙織ちゃんとセックスしてる時は私も彼女を悦ばせたくなっちゃう)
犬の様に時折舌を出し、肩で息をしながら2人は性行為を続けていた。
結合部がにちゃにちゃと淫靡な音を発し、肉同士を叩き付ける様な音だけが部屋中に響き渡る。
(もう、我慢出来ない……
出る、出ちゃう)
(こ、これ……
きっついの来るわ。
量が多そうやな)
あかりはベッドの方に移動し、後ろから幸枝の肉棒を掴むと上下に扱き始めた。
「そ、そんな……
射精した直後は、私のモノが凄く敏感に」
「空っぽになるまで出しちゃいなさい。
この時間を、今を思いっきり楽しむ事。
人生って言うのはそういうものよ。
次が何時あるか解らないんだから」
あかりの美しい指が優しく、激しく情熱的に勃起した陰茎を刺激する。
(信じられない。
ついさっき自分の手でした時と全然違う。
この人は快感を与える事に関しては天才的な才能を持っている……
そういう人が、セックスの申し子みたいな人が現実に存在するなんて思ってなかった)
強烈な快楽に包まれ、膝どころかベッドに両手をついて成すがままにされる幸枝。
3人の両性具有者はその数秒後、ほぼ同時に絶頂を迎えた。
(ビ、ビクンビクンしてるぅ。
沙織先輩の中でぇ……)
(ウチのチンポから、考えられへん量の精液が出とるよぉ)
「ひぐッ!?
おお、あへッ……」
幸枝は四つん這いになった状態のままベッドに向かって精液をばら撒く。
咲と葵は互いの膣内で絶頂を迎え、欲望の全てを相手の身体の中に注ぎ込んでいった。
濃厚な時間が流れていく。
気が付けば午後1時頃から始まった宴は、午後4時近くまで続いていた。
体位を変え、相手を変え何度も何度も膣内射精と絶頂を繰り返す。
あかりは全裸の状態でソファに座りぐったりしていたが、他の者達も同じ様なものだった。
「後先考えずにしちゃったけど、後片付けが大変そうね……
コレは」
透明な粘液がベッドだけで無く、床のあちらこちらを汚している。
汚した本人達はベッドに倒れ込み、気絶に近い状態で眠っていた。
「なんか、夢だった気しかしませんね。
沙織さんの股間、見てくださいよ。
さっきまであったおちんちんが綺麗さっぱり消え失せたみたいじゃないですか」
比呂子が何とかよろけながらも立ち上がり、全裸の状態で寝ている沙織を指差す。
肉棒の中に溜まっていた欲望を全て吐き出したのか、それはクリトリス大の大きさに萎んでいた。
「本当よね。
興奮さえしなければ見た目が普通の女性と何ら変わらないって言うのが……
現実感があんまり無いのはそのせいなのかしら」
沙織の横で寝息を立てている幸枝。
床に寝そべり醜態を晒している葵。
「えへへ、先輩……
喜んでもらえて嬉しいです……」
寝ながら笑みを浮かべ、寝言をぶつぶつと呟いている。
「比呂ちゃん、ふたなりの女の子って言うのはとにかく性欲が強いのよ。
その強い性欲をちゃんと受け止めてあげられる女性がいればいいけど、全員が満足しているワケじゃない。
寧ろ殆どの女性が性欲を満たしてくれる相手がいなくて苦しんでいると思わない?」
あかりはそう言って寝ている咲の方へと近付き、その頭を優しく撫でた。
「だから、全ての女性が両性具有者を許容出来るワケじゃ無いけれど……
少なくとも私は、出来る限り受け止めてあげたい。
私は相手を絶頂に導いて楽にさせてあげられる力を持っていると思うし」
真面目な表情であかりはそう言った後、頬に手を当てにこやかに笑ってみせる。
「私も満足出来るって言う相互に利益の有る事だからって言うのもあるけどね」
比呂子はあかりの屈託の無い笑顔を見て、涙腺が緩んだ。
(前からそう思ってはいたけれど、今もう一度ちゃんと誓おう。
私はあかり先輩に一生ついていく。
この人ほど、人の痛みと向き合って解決しようと努力する人はいない)
高校生の頃に虐められ、高校での居場所を失っていた比呂子を救ったあかり。
それ以後彼女はあかりを心から慕い、尊敬してきた。
そして今、比呂子はあかりの『博愛精神』が一段高いレベルに来たのだと感じた。
「沙織ちゃんと出会って感じたのは、世間が持つふたなりへの不信感・恐怖だった。
ただそれは、宇宙人に対する漠然とした恐怖みたいなものと一緒。
理解と認識が深まれば、解り合える事なのよ。
天武日本と信国が最後まで解り合う事が出来なかったのと違ってね」
お互いを理解し合おうと努力しても、天武日本は信国への不信と恐怖を拭いきれず信国も同じだった。
憎しみと恨みの積み重ねにより両国の関係は完全に決裂し、信国は崩壊の道を辿る事となる。
あかりはそういった不信や恐怖が、ふたなりと一般人の間でも起こるのではないかと言う不安を感じていた。
「女性なのにおちんちんが付いていると言う事は、女性の振りをして強姦事件を起こす事も可能であると言う事。
性欲の強さも、その疑惑に拍車をかけてしまっている。
そして男性からしてみれば、女性の見た目なのにペニスが生えている気味の悪い存在だと感じるでしょう」
「そ、そんな……」
比呂子は大抵の両性具有者が後ろ向きな性格をしており社会に隠れて暮らしていると言う事実を知っている為に擁護する事が出来る。
しかし実際に相手が両性具有者と判明した後親しい関係を続けている者は稀だ。
「両性具有者が社会に認められる様にするには、その疑惑そのものが間違っている事を主張しなければならない。
両性具有者はその正体が露見する事を恐れて隠れており、自分で慰めて発散する分別を持っている。
でも、女性との性行為に憧れを抱いている。
中には男性と恋愛をしたいと願う両性具有者だっているでしょう。
その実態を正しく伝えられる人がいれば、両性具有者への対応は変わってくると思うわ」
あかりはソファから立ち上がると、右手で比呂子についてこいとサインを送る。
「とても困難で痛みを伴う道かもしれないけれど、そういう時代が来ると良いわね。
普通の男性・普通の女性・両性具有者がお互いの身体の秘密を知っていても仲良く出来る様な時代が。
誰かが動かなければならない。
その熱意が国を変える結果になれば、きっと変わるでしょう。
でもまずは草の根、私や比呂ちゃんが沙織ちゃん達と仲良くする所から始めてもいいんじゃない?
比呂ちゃんもシャワー浴びるでしょ。
着替えたら雑巾を持って水拭きする所からね」
「はい」
様々な感情が入り混じった一言を発した後、比呂子はあかりの後について風呂場へと向かった。
誰もが入るとは予想しておらず、苦し紛れに放ったとしか思えなかった一撃だった。
だがそのボールは綺麗な弧を描き、ゴールリングの中に収まるとネットを通って下に抜ける。
『やりました!
天武日本が世界に誇るPG、チームの司令塔である長崎が大きな大きな3ポイントを決めました!
現在、第4ピリオドの2分前間近。
スコアは80対75。
先程まで相手側のスリーポイントシュートで逆転される可能性があると言う厳しい状況でしたが、コレで試合の勝敗を決定付けたと言って構わないでしょう!
時計が2分を切るまで残り5秒。
相手チームとしては何としてもその5秒の間にシュートを決めるしかありません!』
残り時間が2分を切った場合、シュート→スローイン→プレイヤーがボールに触れた瞬間に試合が終了する。
対戦相手であるロシア連邦は5ポイント差を覆す必要があった。
「何秒だろうが関係無い。
最後まで気を抜く事無く自陣のゴールを守るよ」
「はい、リーダー」
ゴールを決めた余韻に浸る暇も無い。
天武日本代表を率いるリーダーである長崎(ながさき)蛍(ほたる)は、他の選手との連携を確認していた。
『試合終了!
完璧に仕事をこなして逃げ切り。
ゴールを脅かされる事無く、長崎を中心とした守備陣が身体を張ってゴールを守り切りました!
80対75のまま、天武日本代表の勝利です!
やはり2010年に行われた女子世界選手権で優勝した実力は伊達ではありません。
2014年にカダル連合王国で開催される第17回女子世界選手権での活躍も充分期待出来ます!』
バスケットボール強豪国として知られているロシア連邦との親善試合で手に入れた勝利。
勿論、一度は世界一に輝いた『朱雀ジャパン』がココで立ち止まるワケにはいかなかった。
「長崎、最後のシュートは見事だった。
あれだけ遠くから投げて綺麗に決められるのはお前位のものだよ。
次の試合に向けて弾みを付けたと言う意味でも大きな価値のある一勝だった。
試合中の統率は引き続きお前に任せる。
全幅の信頼を置いているぞ」
「有難うございます」
多くのファンが声援を送る中、蛍は笑顔を見せる事無く試合会場を後にした。
2010年に合衆国で開催された世界選手権での優勝。
当時優勝候補として挙げられていた合衆国・EU諸国連合・カダル連合王国・ロシア連邦と言った国々の影に隠れ、ダークホースとも思われていなかった。
16か国の国が参加したグループステージでは、グループCでの3位抜け。
薄氷を踏む様な通過であった為決勝トーナメントではあっと言う間に玉砕するだろうと人々は思った。
だがそこから試合が行われる度に驚異的な進化と修正力を見せ、女王の座を勝ち取ったのだ。
長崎を含めたチームメンバーと監督は織田信鷹総理大臣から国民栄誉賞を授与され、彼女達はまさに人生の絶頂を体験していた。
(アタシ達は常勝軍団である事を求められている。
世界選手権での優勝は正直運もあった。
でも一度でも優勝すると、国民はもっと勝つ事を要求してくる。
あの大会前は期待すらしていなかった事も忘れて。
冗談じゃない)
東京都内にあるタワーマンションの最上階。
質素なアパートの一室で暮らしていた1年前から、全てが変わった。
国民栄誉賞を授与された選手達のリーダーであった蛍は様々な企業の広告塔として抜擢される。
CM起用、テレビ番組への出演、合衆国の大手メーカーが金になると睨み大量の資金を提供。
一市民からセレブへの転身。
端から見れば羨ましいだろうが、受けるストレスは何倍にも膨れ上がっていた。
(そりゃアタシ達だって、2014年の世界選手権では勝ちたい。
絶対に優勝したい。
でも大会優勝を経て周りの国は私達を危険視する様になった。
歯車が奇跡的に噛み合った結果として優勝したと言う事実を国民は認めず、責任ばかり押し付けてくる。
こっちの苦しさと怯えは、それだけじゃ無いって言うのに……)
この生活が永遠に続くとは最初から彼女も思ってはいなかった。
選手として一番脂が乗っていた2010年大会から考えると、選手として試合に出れるのは2018年までだろう。
その中で『どう勝つべきなのか、そして負けるとしてもどう負けるべきなのか』と考え続けていたのだ。
「ああもう……解ってるから。
今は大人しくしててくれ」
生まれたままの姿でシャワーを浴びていた蛍は、己の存在を主張してくる股間の肉棒を見て溜息をつく。
彼女は両性具有者だった。
試合中の興奮や疲労、ストレスは全て股間の漲りへと蓄積されていく。
先程の試合後も、サポーターを圧迫する程の勃起から生じる痛みを我慢していた為全く余裕が無かった。
(コレも、アタシのストレスの種。
人々にふたなりだとバレれば、一発で全てを失う。
両性具有者と言う『女性と定義すべきなのか疑わしい人物』である事が判明すれば、世間は一転して攻撃を始めるハズだ。
築き上げてきた地位も名誉も一瞬で奪われるだろう。
嫌な世の中だよ……本当に)
両性具有者は見た目は女性でも中身はほぼ男性。
男性ホルモンの量が桁違い。
そんなまことしやかな噂がネットの世界で囁かれている。
その噂の真偽など関係無い。
彼女が両性具有者である事が露見した瞬間に愛するバスケットボールを続ける資格さえ失うのだ。
蛍は日々そういったストレスから来る肉棒の滾りに悩まされていた。
「また、天女の湯かな……
今日は自分の手で済ませるけどそれだけじゃいずれ爆発するのは目に見えている。
そういえばまるうの奴、騙されたりしてないと良いけど。
ノーマルがアタシ達を受け入れるだなんて、何回聞いても真実だとは思えない」
欲望を吐き出すのに、手淫だけでは限界が来る。
蛍は最低2週間に1回は天女の湯に足を運ぶ常連客だった。
【2011年 2月6日 千葉県宮本市本郷 一橋駅前】
長崎蛍は唐沢(からさわ)妙子(たえこ)、周防幸枝の2名と共に駅前で火村あかりと待ち合わせをしていた。
「あの写真を見るまではとても信用出来なかったけど……
本当に私達とセックスしたがっているノーマルの人がいるのね。
驚いたわ」
妙子は、天女の湯では『のきあ』と名乗っている30代のOLだった。
天女の湯の常連である幸枝が彼女達に見せた写真が、2人をこの場所へと誘う決定打となる。
(勃起した状態のまるうと、青葉せり。
そして『きつね』が全裸で笑顔を見せている写真。
そこにノーマルの女2人……
少なくとも、この2人に『覚悟』がある事は解った。
不信を抱く必要は無い。
会う事を過度に恐れる必要は無くなったと言える。
勿論、この2人が両性具有者である可能性はまだ残っているが)
幸枝が蛍と妙子の2人を信用させる為、あかりに頼み込んだ写真撮影を、あかりは快く受け入れた。
『貴方に負い目がある以上、貴方がこの集合写真を悪用するとは思えないわ。
沙織ちゃんが信頼してくれって言ってきた人だもの。
私は貴方を信じる』
彼女の優しい言葉を思い出し、幸枝の目に涙が滲む。
(私も、あかりさんの事を信用しています。
大好きです)
初めて自分を信用してくれた『普通の女性』に対する感謝の気持ちは、簡単には忘れられない。
幸枝はらいはとのきあの2人が自分を救ってくれた様に、彼女達にも『救い』がある事を知ってもらいたかったのだ。
「アタシ、結構街中だと目立つからさ……
早く迎えに来てほしいんだよね」
蛍はニット帽を被りサングラスをかけ、マフラーで口元を隠していた。
185cmと言う高身長はどうしても目立つ。
3人は駅の改札付近に設置されている時計を見ながら、あかりの到着を待っていた。
「ごめんなさい、支度に手間がかかっちゃって」
火村あかりは膝に手をつきながら荒い息を吐き、待ち合わせの時間に遅れた事を詫びる。
「い、いえいえ。
5分なら許容範囲ですよ。
それじゃあ行きましょうか」
「この2人が、あの時貴方が呼びたいって言ってた……?」
あかりが手を差し出すと、ぶすっとした顔のまま蛍は握手に応じた。
「どうも。
今日は宜しく」
「初めまして。
今日は御相手して頂けると聞いてワクワクしています」
妙子もあかりと握手を行い、挨拶を簡単に済ませた後移動を開始する。
商店街は幸枝と葵が通った時と同じ様に閑散としていた。
「ちょっと散らかってるけど、入って入って」
あかりの自宅に足を踏み入れた蛍は、写真に写っていた女性がソファに座っている事に気付く。
「初めまして。
雨宮比呂子と申します。
あかり先輩とは高校からの付き合いです」
まるうと同じ様な『傷』を感じさせる、何処か影のある笑顔だった。
ドアの鍵を閉めた後、あかりは冷蔵庫からジュースが入ったペットボトルを取り出し全員に振舞う。
「本当は温かいのが良いとは思ったんですけど、時間に余裕が無かったので……」
コップに注がれたジュースを見つめていた蛍は、あかりの顔に視線を移した。
「……アンタが『ノーマル』だと言うのなら、何故アタシ達とのセックスを望むんだ。
両性具有者だぞ。
気味が悪いとは思わないのか」
ストレートな質問に対して、あかりは視線を逸らす事無く答える。
「だって、気持ち良い事は皆で共有した方が楽しいじゃない。
セックスなんて遊びと同じよ。
私は貴方達みたいなふたなりと遊びたいの。
それに……
私はふたなりを気持ち悪いと思った事なんて一度も無いわ」
蛍と視線だけで無く、心で向き合いたい。
あかりの真剣さは、側で聞いていた妙子と幸枝にも伝わっていた。
「もっと自信を持つべきよ、貴方達は。
本当は貴方だって本当の自分を見てもらいたい、社会に受け入れてもらいたいと思っているんでしょう?
だったら、自虐的になっては駄目。
自分が気持ち悪い存在だとか、そう思われていると言う前提で考えるからマイナスな方向に気持ちが傾いてしまう。
1人1人の意識が変われば、時間はかかるかもしれないけれどきっと皆の意識も変わっていくわ」
「アンタは『ノーマル』だからそんな事が平気で言えるんだ!!」
蛍はサングラスを外し、素顔の状態であかりと対峙する。
「アタシ達がどれだけ苦しんでいるか、アンタ達には解らない。
親にも自分の身体の秘密を打ち明ける事が出来ず、ずっと秘密を抱えて生きてきた。
自分達を異端扱いする社会を見返したくて、バスケットボールに打ち込んできた。
どれだけ上に行っても、アタシが両性具有者だと言う事が露見すれば世間は一斉に掌を返す。
他人を信用する事が出来ず、自慰行為を繰り返すしかなかった。
そんなアタシ達の気持ちなんて」
涙を流しながら歯を食いしばる蛍の頬に、あかりの手が優しく触れた。
「確かに……
私は貴方じゃない。
そして両性具有じゃない。
貴方の気持ちを完全に理解する事は出来ないし、痛みを共有出来るとは思わない。
でも貴方達の心に寄り添って、慰めてあげる事は出来るハズよ」
あかりの全く邪気の感じられない満面の笑みに、蛍は心を激しく揺さぶられる。
「私はこの世の全ての両性具有者を救済出来るとは思ってないし、そんな事は出来ないわ。
でも、繋がりが出来た人には、なるべく優しくしてあげたい。
もし私とセックスする事で少しでも心の闇が晴れるのなら、そうしてあげたいの」
幸枝や妙子の目からも、涙が溢れていた。
「ホント、私みたいな人がもっと増えたらいいのにね。
気持ち良い事がしたいから、ふたなりの人とセックスをするって言う単純な理由。
差別や拒絶の無い、素敵な世界を作る為には楽しい事が必要なのよ」
裏の無い、透き通った瞳。
今までかけられた事が無い思いやり。
蛍は感情を抑えきれなくなり、思わずあかりを抱き締める。
「そうだよ、アンタみたいな人が増えればアタシ達も救われる。
アンタの言う通りだ。
アタシは、『本当の自分』を認めてもらいたくて……」
泣きじゃくる蛍の身体を、あかりはギュッと抱き締め返した。
「楽しい事をしましょうよ。
今だけは何もかも忘れて、ね。
かかる重圧も、押し寄せる不安も、セックスの時位は考えないで。
さぁ、準備して頂戴。
とは言っても、服を脱いでもらう位だけど」
蛍はこの瞬間、あかりに身を委ねる事を素直に認めた。
あかりを中心にして作られた輪は、強固な絆となって今日も彼女達の心の支えとなっている。
ありのままの自分を認めてくれる人がいると思うだけで、生きる力が沸いてくるものだ。
両性具有者の女性達とあかり・比呂子の関係は、今後も末永く続いていくだろう。