少しずつ勇気を出していく過程を丁寧に描きました。
タリスマンも残酷でどうしようも無い人物ですが
参事官なので頭が悪いワケでは無いんですよね。
ちゃんと相手の勇気や度胸を感じ取る事が出来る。
その辺りはしっかりと書いておきたかった所です。
【2005年6月26日 午前4:50 東京都豊島区池袋 ラブホテル『FIG』店内】
ミアは、空を飛んでいた。
雲1つ無い真っ青な空を、何処までも高く、遠く。
背中から生えた白い翼はミアの意思に従う様に羽ばたいて彼女を彼のもとへと連れていく。
彼は子供の様な無邪気な笑顔をしたまま、ミアと同じ様に翼をはためかせていた。
「一緒に行きましょう」
そう呼びかけ、彼の手を握ったままさらに高度を上げていくミア。
青空は何時の間にか宇宙空間となり、2人は強い光を放っている星を目指して飛んでいった。
青い星に行けば、ずっと子供のままでいられるんだ。
誰も叱られたり、傷付いたりしない夢の国だよ。
僕と一緒に、あの星へ行こう。
絶対に君を離したりしないから……
身体が重い。
とにかくだるくて仕方が無い。
ミアは夢から覚めた瞬間、そう思いながら視線を窓の方へと向けた。
(少しだけ明るくなってきてるから、少なくとも夜中じゃ無いのかな……)
身体に毛布が被さってはいるが今彼女は何も身に付けていない。
全裸と言うだけでは無く、ミアの体内には肉の槍が根元まで刺さっている状態だった。
(ビックリしたわ、人間って男の人のを入れられていても寝れるものなのね。
おまけに寝ている時ですら大きくなってるだなんて……)
今年最後だからと言う気持ちがあったのか、拓巳は泪とミアを2回ずつ抱くと言う驚異的な頑張りを見せる。
挿入後就寝と言うチャレンジを行おうとする時には肉棒が萎えきっていたが、強精剤で無理やり勃起させた。
『カタクナールΩって、その人間が疲れているかどうかなんて関係無いから。
ほぼ強制的に身体に働きかけておちんちんを硬くさせる効果があるんだって』
3人とも、連続で性行為を行った疲労が効いたのか倒れる様に深い眠りへと誘われていく。
ミアは眠りが浅かったせいかこの時間に目が覚めたが、泪と拓巳はまだグッスリ眠っている様だった。
(それにしても、変な感じ。
ただ奥まで入れられているのって……
中で、ビクビクって男の人のが動いてるだけって言うのは)
カタクナールΩの効能に朝勃ちが加わっているのか、ミアの膣内に埋まっているペニスはガチガチに硬くなっている。
ミアは一旦ベッドから起きたいと思い、刺さっている肉棒に手を伸ばした。
(別にそんな気分じゃ無いハズなのに、少しだけ呼吸が荒くなってる気がする……
横向きの状態で入っているんだし、触った状態で上に移動すれば抜けるかな?)
ミアはゆっくりと枕の向こう側を目指して身体を移動させ、ベッドの端にある木枠を掴む。
真上と言うより斜め上に這う様に移動した結果、ぬるんと肉棒が抜けた。
(ううんッ……
えッ!?嘘でしょ)
ベッドの端に座り、そこで休憩しようと思ったミアだったが、股間からだらだらと白濁液が零れている事に気付く。
シーツを汚すワケにはいかないと思った彼女は反射的に立ち上がり、机の上にあるティッシュを手に取った。
(うわぁ、コレって……
寝ながら私の中に射精したって事?
昨日出された時よりも多く垂れてきてる気がするんだけど)
ティッシュを取りに向かう間にも、膣口から白い液体がボタボタと落ちる。
何とか股間にティッシュを当て精液を全て拭えたと思ったミアは溜息をつきながら椅子に座りこんだ。
(男の人って、こんなに出るものなんだ。
昨日の夜も飲んだけど、万が一の事があったら不味いからもう1回避妊薬を飲んでおこう)
机の上にはミネラルウォーターが入ったペットボトルと紙コップも置かれている。
錠剤を掌の上に置き、口の中に含んだ後ミアは水で薬を喉の奥へと流し込んだ。
カタクナールΩは、男性器を強制的に勃起させるだけで無く、性的快感に関して敏感になると言う効果を併せ持っている。
身体は寝ている間でも僅かに動き、それに伴う膣と肉棒の擦れによって拓巳は無意識に2回も射精していた。
奥まで差し込まれたままの肉棒が蓋の役割を果たし、抜けた後一気に溢れ出てきたのである。
ミアはまだ寝ている拓巳と泪の方を見たが、はだけた毛布から亀頭が顔を覗かせていた。
(あれだけ出しておいて、元気なままって……
私には付き合いきれないわ)
射精しても小さくなる事無く硬度を保ち続けている立派な男根から目を逸らし、ミアは窓の外に視線を移す。
外はまだ暗かったが都会と言う事もあり車の往来も始まっている様だった。
(全然、今が現実だとは思えない。
まだ夢の中にいるんじゃないかって疑ってしまう。
ホテルの一室で、何も着ていない状態で椅子に座って窓の外を眺めているなんて……)
悪戯に髪を弄りながらぼんやりとそう考えていたミアであったが、唐突に立ち上がると窓のすぐ前まで移動した。
部屋の窓は開ける事こそ出来ないがかなり大きく、窓の近くに寄った人間の上半身をしっかりと映し出す。
見られれば、年端もいかない少女が上半身裸で佇んでいる事はすぐに解ってしまうだろう。
(ああ、見られてしまったら私どうなるの。
未成年だと咎められてしまうのかな。
流石に成人しているとは思われない。
万が一私の素性を知っている人間が見ようものなら……)
ガラスに手を触れ、そんな事を考えるミア。
止めれば良いハズなのに、身体が僅かに震えながらもその行為をもっとしたいと思ってしまう。
露出狂では無いと自分に言い聞かせるが、ちょっとしたスリルを追い求めたい気持ちが諌める自分より勝っていた。
(でも、パパを破滅させる事が出来るのは私だけなんだよね。
20歳の男性と『援助交際』してるなんて事がバレたら、間違いなくパパの首が飛ぶ。
拓巳さんの人生も滅茶苦茶になっちゃうけど……
ああ、私ったら何でこんな事を考えているの)
自嘲する様な笑顔を作り、街を見下ろしている裸の自分。
全てを曝け出していると、危険や恐怖に対して鈍感になってしまうのだろうか。
窓に両手を当てながらじっと外の景色を見ていたミアの背後に、大きな影が近寄ってきていた。
突然後ろから両腕を掴まれ、上に持ち上げられるミア。
「えッ、何!?」
驚いて足をバタバタさせている彼女の股間に、異物が容赦無く侵入してくる。
「拓巳さ……ひぐッ」
宙に浮いている様な感覚を覚えつつ、熱い滾りの出入りに身体を震わせていた。
「ガチガチになってたものだからつい……
君とまたしたくなったんだ」
「やぁ、こんな……
こんな格好でするなんてぇ」
窓の外からは上半身しか見えないだろうが、セックスしている事は誰が見てもすぐに解るだろう。
誰かに見られたらと言う恐怖と昂ぶりが、2人の身体の火照りをさらに強くさせていた。
「ついさっきまで入ってたから、俺のも結構簡単に受け入れちゃうんだね」
「嫌、そんな……
そんな事言わないで」
下から上に突き上げられる衝動と、重力で身体の奥へと潜り込んでいく肉棒。
昨日セックスした時よりも強烈な体験に、ミアは抗う事が出来ずただ流されるままになっていた。
先端近くまで姿を現した熱い欲望の塊が、すぐさま彼女の膣内に飲み込まれていく。
勃起した砲身が無理やり身体を貫いてくる衝撃が、ミアにとっては新鮮だった。
(めりこんでくると言うより、棒で思いっきり奥を突かれてる感じ……
泪は何回かしていれば気持ち良くなるって言ってたけど、私はそうでも無いかな)
確かに息が荒くなり、欲情していると言えるのだが、奥に侵入される痛みも感じている。
自分が気持ち良くなる事より、拓巳が自分の身体で興奮し快感を得ている喜びの方が大きかった。
「奥がキュッと締まって、凄く良いよ」
「拓巳さん……
好きです。
大好きですぅ」
興奮と痛みの中で無意識に発した本音。
異性を愛する事等永遠に無いのではないかと思っていた自分が、初めて人を愛している。
ミアは熱に浮かれた様に喘ぎ、拓巳のモノをさらに強く締め付けた。
「くッ、コレはヤバイな。
慣れているつもりだったけど、もう出そうだ」
カタクナールΩの効果と朝勃ちによって射精を求めていた肉棒が、我慢の限界だと叫んでいる。
拓巳は背中によりかかってくる人間の気配を感じて射精のタイミングを逃した。
「ミア、手伝ってあげるねぇ」
窓に近付いていた拓巳がミアを担いだまま振り返り、泪はしゃがんだ状態で彼女のクリトリスに舌を這わす。
(なッ!?
泪、何して……
うあ、ああああぁぁ)
女性の最も敏感な部分は、結合している際に刺激される事は殆ど無い。
舌で舐め回されるのは、拓巳が与える快楽よりもさらに強い快楽を与えてきた。
「止めてッ、ひぐ、ひぐぅぅぅぅ」
犬の様に何度も秘部を舐められ、あまりの快感に頭が真っ白になる。
身体全体をガクガクと激しく震わせるミアを、拓巳は何とか落とさない様持ち上げ続けていた。
「舌の先で刺激されるの、たまんないでしょ。
私も拓巳さんにされた事あるから知ってるんだ。
やり方も何となく掴んだし」
弱点を責められたからか膣内が蠢き、硬くなっている肉棒ににゅるにゅると纏わりつく。
(もう限界だ、出る……)
熱が溜まって放出されそうになるのを感じていた拓巳はその快感によってとどめを刺された。
「や、やだぁぁぁぁ。
あッ、あ――――」
射精される方が先だったのか、自分が弾けるのが先だったのかもう解らない。
ミアは潮を噴きながら精液を膣内に吐き出されると言う、最高レベルの快楽を味わった。
肩で息をしながら、ミアは自分の顔が人に見せられるものでは無くなっている事に薄々気付いていた。
(なッ、何でこんなぁ……
泪、私にこんな事、してぇ……)
涙と涎で顔がグチャグチャになり、頭がボーッとして考えもまとまらない。
そんな中でも、勃起した肉棒の先端から放出される白濁液は容赦無く彼女の膣奥を汚していた。
(コレは今までで一番強烈な射精かもしれない。
出している時でも膣の中が俺のを刺激し続けている。
彼女を離さない様にするのが精一杯だ)
快感に酔いながらもギリギリの所で踏ん張って耐え、ミアを床に落とす様な愚行だけは犯すまいとする拓巳。
一方、殆ど放心状態に近いミアの身体は動く事を放棄しておりその重みも増している。
「ゴメンゴメン。
ちょっとやり過ぎちゃったかな?
私も下ろすの手伝うよ」
泪は立ち上がり、拓巳と共にミアの身体を慎重に下ろすと床の上に横たえた。
(股間が熱い。
勝手に疼いて身体全体がフワフワしてるぅ……)
ミアにとってクリトリスは思っていた以上の『急所』だった。
人にはそれぞれ違った『性感帯』があるが、ミアの場合は普通の女性が体験する快感よりもより強いものとなっている。
涙が止まらず、顔を真っ赤にして荒い呼吸を続けているミアの姿は2人を慌てさせた。
「拓巳さん、汗拭き用のシートって持ってる?
無香料のでも何でも構わないけど」
「バッグの中に入ってる」
ティッシュで膣から零れ落ちる精液を拭き取る拓巳。
一方泪は制汗シートを何枚か取り出すと身体全体と顔を丁寧に拭いていく。
「クールダウンさせる効果もあるから。
私、ミアがここまで弱いとは思ってなくて」
焦りながらも的確にミアの火照りを鎮めていく泪の姿が、何時も以上に頼もしく見えた。
(ああ、私の事を大切な友達だって思ってくれてるんだな……
泪、疑ってゴメンね)
泪や拓巳に対する不信が、今まで全く無かったワケでは無い。
罠にかけられた。
利用されている。
そう考えればキリが無く、また実際そうだと思えた機会は幾らでもある。
それでも、心の底から自分を単なる道具だと思ってはいない事が解ったのはミアにとって大きな救いだった。
「大丈夫?
椅子に座って休めばいいよ。
私が『処理』の続きをしておくから」
汗を拭き取った後、自力では立ち上がれないミアに泪と拓巳が歩み寄って互いに肩を貸す。
「せーの」
再び持ち上げられ、彼女は椅子の背もたれに身体の殆どを預けた。
(でも、クリトリスを舐められるのってこんなに凄いんだ。
身体中に電気が走ってその痺れがずっと気持ち良くさせているみたいな……)
拓巳の収まっていない欲望に舌を這わせる泪。
そのまま口に咥えて刺激している様子を、ミアは呆けたまま眺めていた。
(私、生まれて初めて心から『気持ち良い』って思えた気がする。
セックスって痛みを伴った欠陥行為でしか無いと思っていたけど、急所を突かれただけでこうなるなんて……)
人の身体は千差万別であり、クリトリスが特別弱い人間がいれば泪の様に快感だけを得れる肉体に変わる人間もいる。
一面を覗き見ただけで全体の印象が変わってしまうのは人間と言う生き物の悪癖であるが、ミアには良い方向に作用していた。
(泪もあんなに喘いで……
セックスに依存してる人がいるって聞いた事があるけど、そうなのかな?
救われたい人は、何にだって手を伸ばしちゃうよね。
私みたいに)
強く断ろうとすれば、最初のホテルの時以外は全て出来たハズだ。
騙されたと嘆く前に、結局最終的には自分が望んでこうなったのではないか。
靄がかかった様な頭の中で、ミアはそんな事を考えていた。
ベッドの上で、泪が股を広げた状態で上下運動を何度も繰り返している。
下の口で肉棒を咥え込みながら、両手を拓巳の胸に添えて喘いでいた。
「拓巳さんすっごぉい。
1回出した位じゃ萎えないんだぁ……
とっても良いよッ!」
ミアは彼女の顔を見る事は出来なかったが、恐らく先程醜態を晒した自分の様な顔をしているのだろう。
拓巳の方は快感を得つつも、まだ『余裕がある』といった表情を浮かべていた。
「物凄い勢いで俺のを刺激してくるね。
昨日のセックスだけじゃ満足出来なかったかな」
「うぅん。
別に満足してないワケじゃないの。
満足はしたけどもっとしたいってだけ。
楽しめる時に楽しもうって言ったのは拓巳さんでしょ?」
荒い息遣い、肉と肉がぶつかり合う音、互いの嬌声。
肉体を貪り尽す様な勢いで腰を振っている泪の姿は、日常で見かけるものとはかけ離れていた。
まだ、股間に……
クリトリスに熱が溜まっている様な感覚が続いている。
こういった快楽を追い求めているから、泪は今拓巳とセックスしているのだろうか。
椅子に座ったまま、ミアは泪に言葉を投げかけた。
「貴方達、元気だね……
私はもう限界。
これ以上は相手出来ないよ」
「あ、大丈夫大丈夫。
この1回で終わりにするから。
拓巳さんだってそのつもりでしょ?」
「すっかり朝だからね。
コレが終わったらサッサとチェックアウトしよう」
泪は立ち上がって一旦肉棒を自分の膣から引き抜くと、自分の物の様に見せびらかした。
「こんなのがさっきまでミアの中に入ってたんだよ。
逞しいオチンチンが」
刺激を受け続けたせいなのか、ビクビクと脈打ちながら真っ直ぐ天井に向かって反り立っている。
剥けている先端部分から透明な液体が零れ落ち、まるで『続き』を期待しているかの様だった。
(あんなのが私の中で暴れていたんだ。
もう、何回も同じ事をされているのに全然慣れない。
泪も、よくあんな体位で……
私だって求められたら応じるかもしれないけど自分からなんて出来ないわよ)
拓巳が彼女に惚れ込んだ理由の1つが、この『生涯処女』の様な振る舞い方だった。
心の中で密かに想っている相手に顔が似ていると言う点も大事だが、こうして何度も肌を重ねていても初心(うぶ)の様に対応されるのはたまらなく興奮する。
顔を真っ赤にして手で目の辺りを覆う仕草は、たった今性交している泪には無い『良さ』だった。
「はい、おかえりなさーい」
泪は先程までとは逆の方向、椅子に座っているミアを見据える様に腰を下ろした。
膣口に触れた亀頭があっと言う間に飲み込まれ、そのまま肉棒全体が見えなくなる。
「泪ちゃん、相当興奮してるんじゃない。
俺のをきつく締め上げてくるよ」
「だって、気持ちいいんだもん……
拓巳さんも出しそうな程硬くなってる癖にぃ」
ミアの瞳にはクリトリスを含めた膣の上側と、拓巳の勃起した肉棒がハッキリと映っていた。
(こんな、抜けそうになる程腰を浮かせても簡単には抜けないんだ……
激しく出し入れしてるけど、拓巳さんのが折れたりしないのかな)
どんなに性行為を経験しても、理解したのは感覚的な事だけで他人のセックスを見ると新たな疑問が沸く。
泪の疲れを知らない様な動きと、それについていく強靭な陰茎の耐久力にミアは驚きを隠せなかった。
「ねぇ、私達……
こういう事してるけどさ、終われば何事も無かったかの様に元の生活へと戻っていくんだよ。
大切なのは、メリハリ。
楽しめる時にはとことん楽しんで、真面目にやる時はしっかりしなきゃね」
目に涙を浮かべ、口から涎を垂らしながら『本気』を出し始めた泪。
淫靡な水音のリズムがさらに早くなり、互いの性器が絶頂前の熱を帯び始める。
「もっと自分に対して素直になれば、幸せになれるんだから……
あはッ。
オチンチン、私の中でビクビクしてるぅ。
イキたいんでしょ、ねぇ拓巳さん」
「ああ、俺もそろそろ出そうだ……」
ラストスパートとばかりに腰を上下に揺らす泪。
大きく上下に動いていたのを止め、シーツに両手を添えると叩き付ける様に肉棒を刺激した。
膣が小刻みに動いて拓巳自身に絡み付き、擦る事で絶頂へと導く。
「イッてぇ、私のオマンコで気持ちよくなってぇ。
私も一緒にイクからぁ」
相手をさらに興奮させる様な言葉をストレートに吐き出した後、泪はミアと視線を合わせた。
自分が一瞬正気を失いかける程の絶頂。
その瞬間を見ていてほしい。
そんな思いを全て理解したワケでは無かったが、ミアはその痴態から目を離す事など出来なかった。
「あッ、あッ、おっきくなってるッ。
きて、私の膣内をいっぱいにしてぇ」
「う、うおッ……
あ、あああ……」
呻き声が聞こえた後ようやく泪は腰を動かすのを止め、舌を出し荒い息を吐き続ける。
膣の中で肉棒が脈動しつつ、先端から白濁液を容赦無く注いでいった。
男性は女性の絶頂を肌で感じ取る事は出来ないが、女性は肉棒の変化でそれを知る事が出来る。
快感による膨張、精液を吐き出している時の激しい痙攣、そして急速に萎えていく感覚。
泪は拓巳の上に跨ったまま絶頂の余韻を味わっていたが、立ち上がり肉棒を膣から抜いた。
「うわぁ、凄い。
拓巳さん頑張ったねぇ……
偉い偉い」
「子供扱いは止めてくれよ……
いや、それにしても思ったより出たな。
ミアちゃんの中で1回出したからそこまでは出ないと思ってたんだけど」
泪は笑いながら膣を両手で左右に広げ、膣口からボタボタと落ちる精液を眺める。
髪は乱れに乱れており、まるで妖怪が男性から精を搾り取った姿の様だとミアは思った。
「ミア、こんなに出してもらったよぉ。
羨ましくない?」
「羨ましくなんか無いわよ。
終わったのならシャワーを浴びて服を着ましょ……
拓巳さんも満足したのなら早く。
私、家に帰ったら親に怒鳴られる事確定なんですから」
愚痴をこぼし、いじけた態度を取るミアの背中に泪の身体が触れた。
「いやいやぁ、ピンチをチャンスに変えるのが人生を楽しくするコツだってば。
自分が悪くても、逆に開き直っちゃいなよ。
勇気を出して」
能天気に毎日を過ごしている泪は、私の境遇を解っていないから簡単に言えるのだ。
そう思って溜息をつくミアであったが、ある意味それは正しい事だとも思えた。
(結局、私は臆病で弱かったからパパの言いなりになっていたのかもしれない。
泪の言う通り、必死に食い下がれば何かは変わる。
こんな事を受け入れているのも、もしかしたら心の底で生まれ変わりたいと思っていたからかも……)
本当に嫌だったら、今私はこの場所にはいない。
何度も言い聞かせてきたその思いに、別の考え方が加わった。
大切なのは、一歩踏み出す勇気。
前を向いて、自分を信じ抜く事。
時間が無いからと3人でバスルームに入り、汗を流している間もミアはずっと考え込んでいた。
「ミア、どうしたの?
さっきからずっと黙ったままで」
沈黙や静寂が嫌いな泪はミアにそう尋ね、顔を上げたミアは拓巳の方に視線を向ける。
「拓巳さんは、全国大会で優勝出来た。
その理由は何だと思いますか?」
アドバイスが欲しい。
今の自分には縋るものが必要なのだ。
そう考えている様に見えるミアの姿を見て、拓巳は偽りの無い本音を口にした。
「単なる努力だけじゃ、無理だったかな。
勿論何時間も、いや何十時間も何百時間も筐体と向き合って練習していたよ。
でもそれだけじゃ独りよがりの感情しか生まれなくて、勝つ為の原動力にはならないんだ。
大切なのは、誰かの為に頑張ろうって言う素直な気持ちだと思う」
ミアの濡れた肩に、拓巳の手が優しく添えられる。
「妹の為に、ライバルの為に、想い人の為に。
そして俺を応援してくれた沢山のファンの為に。
陳腐な台詞かもしれないけど、『皆の為に勝ちたい』と思ったんだ。
そういう当たり前だけど大切な事を、信じ続けられるかどうかじゃないかな」
ミアに語りながら、拓巳の脳裏に様々な記憶が現れては消えていった。
サッカーボールを追いかけていた少年時代。
そのサッカーボールが、母親の死と言う悲劇を招く事になってしまった。
自分を突き飛ばして、身代わりとなってトラックに撥ね飛ばされた母親の姿。
それは彼の心に巣食うトラウマとなり、サッカーを捨てざるを得なくなってしまった。
自分を責めた。
感情が暴発して妹に八つ当たりした事もあった。
どう生きればいいのか解らなくなり、引きこもっていた事さえ……
そんな時、『格闘ゲーム』が天武日本で大流行し始める。
レバーとボタン3つと言う単純な操作でありながら奥深い世界。
気分転換にどうかと勧められた『ZERO』のソフトが、彼を暗闇から救ったのだ。
最初は家で携帯機を弄っていただけだったが、対人戦で勝たなければ意味が無いと思い外に出た。
煌びやかな電脳皇帝の店内と、そこで自分の到来を待っていたかの様なライバルの出現。
雨の日も雪の日もひたすら通い続けた。
筐体の前に座る度に新しい発見があった。
ただがむしゃらに、懸命に戦い続けていたら東京都認定ZEROゲーマーになっていた。
振り返ってみれば、全国大会での優勝もその積み重ねの1つでしか無かったのかもしれない。
家に帰った時、妹が泣きながら抱き付いてきた。
久しぶりに見る妹の笑顔だった。
「拓巳さん、泣いているんですか?」
ミアの言葉が、拓巳の心を過去の記憶から現実へと引き戻す。
何時の間にか、嫌な事もあの時の感動も鮮明に思い出していた様だ。
「いや、泣いてないよ。
ミアちゃん、背中流そうか」
濡れた水の一部だと偽り、何事も無かったかの様に笑う拓巳。
ミアは彼が成功者であるのと同時に、心の傷を抱えている事を悟った。
(私は甘えていたのかな……
何か辛い事があって、苦しんでいるのは私だけじゃない。
皆色々な悩みを抱えているんだ。
その中で拓巳さんは前を向ける強さを持っている。
拓巳さんの様に、私も強くならなくちゃ)
問題と真摯に向き合わずに避けていた今までの自分を変えたい。
彼の勇気は、ミアに大きな影響を与えていた。
ある意味、まともな出会い方では無かっただろう。
金を貰って男に抱かれると言う、不純過ぎる関係だった。
だが今のミアにとって拓巳の存在は大きくなっており、金もそこまで必要としていない。
彼が別の女性に告白したがっていると言う現実を知りつつも、彼への思いを捨てる事が出来なかった。
「拓巳さん、暫くの間お別れですね。
全国大会、テレビで応援しますよ!
地方予選で負ける事が無い様に祈ってます」
「縁起でも無い事を言わないでくれよ。
いや、勿論慢心してると足元を掬われる。
一歩一歩確実に進めていかないとね……
ミアちゃんも身体に気を付けて」
ホテルを後にした3人は拓巳を見送る為駅前に移動していた。
「はい、お互い頑張りましょう」
本当はまたすぐに会いたい。
喉まで出かかった言葉をギリギリの所で抑え込んだ。
拓巳の夢を邪魔してはならない。
見守る事も1つの愛なのだ。
ミアは自分にそう言い聞かせながら遠ざかっていく拓巳の姿を見送っていた。
「じゃあ私達も帰ろっか。
私とミアは明日学校でね」
「うん、遅刻しない様にしよう」
僅か数分でたった1人になり、自宅に寂しく帰ると言う現実を突き付けられるミア。
朝の情事が遥か昔に起こった出来事の様にすら感じられる。
(あ、もう11時。
朝帰りどころか昼帰りか……)
携帯の電源を切り、両親に無断で外泊したと言う事実は揺るがない。
父親に殴られる事を覚悟しつつも、やられるだけで終わりにはしないと彼女は心に決めていた。
(自由に生きたいと叫ばない限り、パパの束縛から解放される事は無い。
ママを助ける為にも、私が率先して道を切り開かないと)
もう迷わない。
立ち止まらない。
強い決意を胸に、ミアは大きな一歩を踏み出した。
九龍拓巳が、来栖泪が、自分の背中を押してくれている。
そう思う事で恐怖を克服しようとしたミアであったが、やはり自宅の前に立つと足が震えた。
(絶対に怒られる。
それは間違いない。
開き直れるのかな、私……)
学校から帰る事無く私服に着替えてホテルに直行。
制服姿に戻っているとは言え鞄の中を確認されれば激しく問い詰められる未来しか見えない。
プライバシーを盾にして誤魔化し通す。
そう決心して玄関の鍵を開け、扉を開けた瞬間居間の方から怒鳴り声が聞こえてきた。
「アレはどういう事なんだ!
私は全幅の信頼を置いてお前と結婚したんだぞ。
あんな問題を起こしたら会社の信用に関わるではないか!!」
「貴方、そんな事を私に言っても仕方ないでしょう。
御父さんに電話しようとしても繋がらないし、私がどうにか出来る事じゃないわ」
怯えた母親の声、明らかに苛立っている父親の声。
居間に入ると、白一色の部屋の中でタリスマンが伸枝と何かを話し合っていた。
全身で怒りの感情を露わにしているタリスマンとは対照的に、伸枝は怯え切っている。
「パパ、何があったの」
ミアの声に気が付いたタリスマンは机の上に置いてあった新聞を彼女に向かって投げつけた。
『アラタ、ハンドルの可動部分に欠陥!』
大きく書かれた見出しは、自動車会社に大きな問題が発生した事を示している。
ミアは新聞の中身を読み、事件の内容を全て把握した。
『アラタが新商品として売り出していた車『ジーザス』に大きな欠陥。
ハンドルの可動部分に異常がありカーブを曲がり切れず大事故に直結!
ジーザスは全て回収。
株価への影響避けられず』
「玉突き事故で10人もの人間が死んだのだぞ。
ジーザスはデザインが優秀だった事もあって既に400万台以上の売り上げを達成している。
それを全て回収、及び巨額の賠償金。
株価はジェットコースターの如く下落。
打ち出の小槌は消滅したと言う事だ!!」
タリスマンにとって、伸枝は愛する妻でも何でも無かった。
金を吐き出す機械の様な扱いだった。
参事官と言う職業柄、世間体もあり天武日本人と結婚したと言う経緯こそあれど金だけで繋がっていた様なもの。
その金すら消えた今、伸枝の存在価値はタリスマンの中で完全に消滅していた。
「倒産こそ無いにせよ、ベスト4どころかベスト10からも陥落するのは確実だろう。
技術力だけを買われて何処かの会社に吸収される可能性すらある。
私の完璧な人生プランを狂わせた貴様の父親の罪は重いぞ!」
タリスマンが恐れていたのは、彼女の父親が参事官である自分に泣きついてくる事だった。
そんな事になれば突き放す事も出来ない。
さらなる昇進を狙う彼にとって外面を良くするのは至上命題であった。
「パパ、ママには何の罪も無いでしょ。
ママを責めないで」
ミアは伸枝を庇おうとしたが、タリスマンの前に立った瞬間頬を思い切りはたかれる。
「お前もお前だ。
全く連絡も入れずに無断で外泊なぞしおって。
何処に泊まったのだ。
もしお前がそうやって遊び呆けている事が世間に知れたら私の立場が危うくなるのだぞ。
お前達の生活は私が支えなければならなくなったと言うのに、イエローは足を引っ張ってばかりだ」
タリスマンは憤怒の表情を浮かべ、歯軋りしながらミアの腹に前蹴りを入れた。
「貴方、自分の娘に何て事を」
「所詮はイエローとのハーフだ。
大した事じゃない。
いいか、今後私に逆らう様な行動は一切取るな。
私の命令は絶対だ」
柱に向かって突き飛ばされたミアは、起き上がった後もう我慢出来ないとばかりに口調を強める。
「馬鹿じゃないの?」
「何だと」
侮蔑的な言葉を吐かれたタリスマンはミアを思い切り睨み付けた。
「自分の思い通りにならないと癇癪を起こして、ママにイライラをぶつけるなんて子供より劣ってる行為よ。
ママがパパに何か酷い事をしたの!?
毎朝弁当を作って、家の中の事を全部して、パパや私の事を笑って出迎えているじゃない。
こんなにママが頑張っているのにパパはその頑張りすら認めない。
縁の下で一生懸命家を支えている人間の努力が解らないなら馬鹿としか言えないでしょ」
今まで我慢してきた言葉を、ミアは遠慮する事無く全て吐き出した。
自分にも至らない部分がある事は承知している。
だが母親が苦しむ姿を見る事だけは許せなかった。
「それに、もう私は16歳なの。
時には外泊する事だってある。
しっかり勉強して結果を出せば、パパだって文句は無いでしょ。
私は自分で自分の管理が出来るって信じるわ。
パパみたいに怒りで問題を解決しようとする人間じゃないんだから」
言えなかった事を、ミアはオブラートに包む事無く全て相手に伝える。
何をされるか解らないと言う恐怖に怯え逃げていた自分。
迷わずに立ち向かう強さを知った彼女は、臆する事無くタリスマンと対峙していた。
「黄色い鼠の雌如きが、私にそんな口の利き方をすると言うのか」
合衆国の大使館関係者、参事官クラスともなると拳銃の携帯が特例として認められている。
懐から取り出した銀色に光る『それ』を偽物と思う者等誰もいなかった。
「貴方!」
しがみつこうとした伸枝は蹴り飛ばされ、タリスマンはミアの心臓に狙いを定める。
「撃てるワケが無いとでも思っているのか。
私程の権力があれば幾らでも揉み消せる。
ココで2人を撃ち殺したとしても、押し込み強盗の仕業と嘯く事は簡単なんだぞ」
微動だにせず向き合っている相手に向かって、そう言いながら彼は嘲りを含んだ笑みを浮かべた。
「それとも、撃たれた所で急所は外れるとでも?
私の腕を舐めるなよ。
射撃の訓練は本国で嫌と言う程受けたんだ。
脳味噌を狙う事だって造作も無い」
引き金に指をかけ、動けば即撃つとでも言わんばかりの態度を見せるタリスマン。
ミアは逆に両腕を左右に広げ、撃ちたいのなら撃てばいいと言う自らの意思を示した。
「合衆国の政治家は、敬虔な教徒によって構成されているんでしょう。
人を殺める事は、万が一罪にならなくても教義に反する事になる。
それでも撃ちたいのならどうぞ。
パパはその瞬間、地獄に落ちる事になるわ」
「イエローが人間に該当するとでも言いたい様だな。
それが間違いである事を、ココで証明してやろう」
本気で撃つつもりだ。
ミアにもそれが解った。
ならば、じたばたせずにそのまま撃たれよう。
逃げて背中を撃たれるよりそちらの方が良いと彼女は思った。
(コイツ、まさか本当に死んでも構わないとでも思っているのか?
私は今までイエローと多く接してきたが、ココまで肝の据わっている奴はいなかった)
目を瞑り、覚悟を決めるミア。
その数秒後に銃声が鳴った。
タリスマンは、自分の娘を撃ち殺さなかった。
情が邪魔したワケでも無い。自らの保身を優先したのでも無い。
ただ、相手の矜持に感銘を受けて命を奪うには惜しいと判断したのだ。
「お前の中に半分流れている白い血が、臆病者のイエローとは違う道を選ばせたのか?
だとすれば、それは実に素晴らしい事だ。
私は生まれて初めて、心の底から感動した」
「もう、ママを虐めないで。
私が言いたいのはそれだけ」
自分の顔の近くを弾丸が掠めていったと言うのに、動揺すらしていないミア。
覚悟を決めて自分の命すら軽く見るその姿は、悟りを開いた修行僧の様だった。
「……命を賭けて、そんなちっぽけな事しか望まぬのか。
まぁ良い。
私は離婚等考えていない。
自由になりたいなら勝手にやるがいい」
タリスマンは相手をするのも面倒だと言わんばかりに溜息をつくと、拳銃を懐にしまい自室に戻る。
彼を本気にさせ、その本気を受け止めた時点で既に決着は付いていた。
(パパがどう言い繕っても、この戦いにおいては私が勝った)
合衆国の人間が評価するのは『勇気』であり、ミアはタリスマンに己の勇気を見せ付けたのだ。
自分の娘を『人間』であると感じた瞬間に、彼は撃ち殺す事が出来なくなっていた。
「やったー……」
恐怖よりも脱力感、怯まずにやり遂げたと言う満足感の方が勝る。
柱にもたれかかり、そのままゆっくりとしゃがみこむミアの手に、母親の手が触れた。
「無謀な事をして。
死んだら何にもならないのよ」
「ママの為にもなる事だもん。
私は後悔してない」
娘への思いが溢れたのか、座ったまま動けないミアを伸枝はしっかりと抱き締める。
頬に大粒の涙が流れ、その涙が娘への揺るがぬ愛を表現していた。
「……でも、私も愚かなの。
ずっと夢を見続けているのよ。
あの人が昔の様に私に微笑み、頭を優しく撫ででくれると言う夢を」
母親の告白は、何故暴言を吐かれても暴力を振るわれても健気にタリスマンに尽くすのかと言う謎を解き明かしていく。
「初めてあの人と出会った時から結婚するまで、あの人は私に優しくしてくれたわ。
出かければ私の分まで荷物を持って、お金の心配はしないでも良いと力強く言ってくれる。
何よりも底抜けに明るい笑顔と誰にでも好かれる社交性の高さがあった。
それが『仮面』である事に私は気付けなかった。
気付いた時にはもう手遅れだった」
タリスマンは狡猾な男だった。
伸枝の父親から金を吐き出させる為に彼女に接近し、言葉巧みに取り入って信用を得る。
現に今でも発地新からは大きな信頼と男同士の友情を勝ち取っている程だった。
「あの人にとって、私は金づるでしか無かった。
その現実を認める事がなかなか出来なかった。
毎朝目が覚めると全部今までの生活は嘘で、あの人が優しく私の手を取ってエスコートしてくれるんじゃないかって。
交際中のあまりにも綺麗な思い出から離れられなかったの……」
非力な伸枝には、タリスマンに逆らう度胸など持っていなかった。
それ故に虐げられると夢の世界に逃げこんだ。
幸せだった過去に執着するのだった。
「パパがああいう人なんだって、ママも充分過ぎる程解っているでしょう。
逃げずに立ち向かわなくちゃ。
私も今まではママと同じ様に逃げてばかりだったけど……
自分を信じたら世界は変わる。
大きくなったら、私がママを支えるからね」
ミアは伸枝とタリスマンの離婚を望んでいた。
離婚したら当然伸枝についていくつもりであった。
それが大きな望みであり前へ進む為の夢であったが、そのハードルが高い事も解っている。
(パパは自分の経歴に傷が付く事を望んでいない。
離婚には絶対に応じないでしょう。
病的なまでに世間からどう見られているのか気にする人だから……)
大使館で全てを暴露する方法も考えはしたが、それは恐らく最悪の結果を生む。
被るべき仮面を失ったタリスマンは激昂し、今度こそ自分と母親を容赦無く殺すだろう。
常に相手を殺害出来る凶器を手にしている男を相手にして、彼女達が対抗するのは非常に難しい事だった。
「もう無茶な事は二度としないって、私に約束して頂戴。
あの人への愛が時々信じられなくなる時があるけど、貴方への愛は本物なのよ」
娘を失う事は耐えられない。
伸枝の肩は僅かに震えていた。
ミアも母親を泣かせたくは無かったし、自分が死ねば母親が後を追う可能性が高いと思い気が重くなる。
(啖呵を切っても、結局現状維持がベストかぁ。
パパが刑務所に入って私達が死ぬって言う最悪の終わり方は避けなきゃね。
でも、何かは変わったと思うんです。
拓巳さん)
本音でぶつかって、憎い父親の暴虐を封じた。
出来る事はやったのだ。
最善を尽くして栄冠を掴み取った九龍拓巳の様に。
少し前まで知りもしなかった彼の存在が、彼女の中でどんどん大きくなっているのをミアは認識していた。
(貴方に会いたい。
また、私を抱いてください……
強く、もっと激しく)
彼との一時の別れが、数年に渡る別れになる事を彼女はまだ知らない。
そしてミアが嫌っている父親との『別れ』も、確実に近付いていた。