※この作品はR-18です。

ZERO ~格闘ゲームに翻弄される者達~   作:夜月光介

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ノストラダムスの予言に引っ掛けて遊んでみました。
恐怖の大王→戦場希望
アンゴルモアの大王→勃起したペニス
火星(マルス)の前後→火曜日の祝日の前後
首尾よく支配→脅迫で言う事を聞かせる

と言うお遊びになっています。


番外編 湯源郷の宴 1999 恐怖の女王

 空から恐怖の大王が来るだろう。

 アンゴルモアの大王を蘇らせ、火星(マルス)の前後に首尾良く支配する為に。

【ノストラダムスの大予言より】

 

【西暦1999年 7月19日 午後3:50 千葉県 公立虹見高校 校庭】

 

 高校の夏休みも目前となった7月19日、虹見高校の校庭では女子陸上部の最終選抜予選が始まろうとしていた。

「県大会に出場する事が出来る選手は1つの高校につき3名までだ。

 1種目で3名、つまり6種目18名が県大会に出場する事となる。

 全国大会に出場する為にも、本気で取り組む様に」

「はい!」

 

 高校1年生から3年生までの生徒50名を擁する女子陸上部は、全国大会に出場する様な選手を輩出した事が一度も無い。

 昨年同校の女子柔道部が全国優勝を果たした事もあり、女子陸上部の顧問は戦える選手の登場を渇望していた。

「事前に行った予選で好成績を出した10名から、3名を選出する。

 1つの種目で選出された3名が他の競技に挑む事は認められていない。

 選ばれた者は自分が挑む競技に対して全力で向き合ってくれ」

 

 110mハードル、400mハードル、砲丸投げ、円盤投げ、槍投げ、ハンマー投げ。

 この6種目で好成績を出せる選手を見つける為に顧問は女子陸上部に所属している全ての生徒にそれぞれの種目を試させた。

 誰が何が得意で、何が下手なのか。

 選手の良い部分を伸ばす事を最優先に考え育て続ける。

 その結果、顧問は3年間かけて1つの蕾を開花させる事に成功したのだ。

 

「まずは400mハードルからだ。

 鶴野、頼んだぞ」

「任せてください。

 他の選手をやる気にさせる為にも全力を尽くします」

 

 虹見高校の男性教諭千輪(ちわ)孝駿(たかとし)が3年と言う時間をかけて作り上げた『最高傑作』、鶴野(つるの)椿(つばき)。

 走力もさる事ながらその跳躍力と持久力が抜群に優れていた為、高校1年の頃から400mハードルに的を絞って練習をさせてきた。

 高校2年生の時に全国大会への切符をあと一歩の所で取り逃がし、彼女自身がそのリベンジに燃えている。

 (今まで様々な生徒を育ててきたが、鶴野レベルの陸上選手に成長した者は1人としていない。

 間違いなく今年は県大会優勝、鍛え続ければ全国での優勝も狙える逸材だ)

 

 千輪も選手を育成する手腕を買われて虹見高校からのオファーに応じていた為、結果を出す事に拘っていた。

 彼女なら絶対に大丈夫。

 歴史を塗り替える可能性すら秘めた選手。

 千輪は椿が成功の階段を上っていくであろう事を疑わなかった。

 

 足にバネが付いているのではないかと思う程のしなやかな跳躍。

 機械の様に洗練された一定の動き。

 彼女自身の美貌も相まってまさしく芸術と呼べる様な走りが誕生する。

 

「とんでもないタイムが出たぞ。

 60秒45。

 全国大会優勝を狙える記録だ。

 皆、鶴野の記録を目指して頑張ってくれ。

 いや、よくやってくれた」

 

「先生、はしゃぎ過ぎですよ。

 まだ私は何も成せていないじゃないですか。

 全てはコレからでしょう。

 県大会、期待していてください」

 驚異的なタイムを目の当たりにして涙すら流しそうになっている千輪。

 

 教師を生徒が諌めると言う逆転現象が起こる程、椿は『大人の品格』を備えていた。

「椿先輩、コレどうぞ!」

「暑い中走ってるんですから水分補給は大事ですよ」

 勿論、優秀な選手に対して憧れを抱き彼女の様になりたいと考える後輩達も多い。

 椿は熱中症対策としてポリタンクの中に蓄えられていた清涼飲料水を勢い良く飲み干した。

 

「あー、やっぱこういう暑い日にはグラディウス一択でしょ」

「ホントホント。

 大量に用意してくれてるのは助かるよね。

 紙コップも大きいのを用意してくれてるし」

 

 コップの中に入った淡い水色の飲料をがぶ飲みした女生徒はそう言った後コップをゴミ箱に放り投げる。

 椿の次に走る選手のぎこちない走りを見ながら、彼女達は露骨に不機嫌そうな表情を見せた。

「でもさぁ、困っちゃうよね。

 アタシ等そんな才能無いのに椿がいるだけで練習の強度が上がっちゃってさ」

 

「あんなの突然変異でしか無いじゃん。

 チワワも全国大会だなんだって張り切っちゃってるし。

 そもそも椿以外に才能がある選手はいないんだからアタシ達を巻き込まないでもらいたいわ」

 椿を慕う後輩が多くいるのと比例するかの様に、それをよく思わない生徒も一定数存在する。

 陸上に対する『熱』が殆ど無い彼女達にとって、鶴野椿の存在は邪魔なものでしか無かった。

 

「椿、いなくなってくれないかなぁ。

 チワワとセットで」

「そもそもウチは柔道は強いけど陸上はずっと弱小だったんだし、今更本気になられてもって感じ。

 あの2人がいなくなればあのゆるーい部活動に戻るのにね。

 マジ迷惑」

 

 今年で卒業する事もあり、3年生は部活動に対して本気で向き合おうとは考えていない。

 無所属だと困るのでとりあえず陸上部に入部したと言う女生徒も多かった。

「そういえばさ、さっき戦場さん見たんだけど何しに来たのかな」

 

「えッ、戦場さん?

 どっちの方、御兄さんの方?」

「ううん、妹の方。

 さっきあっちの方でアタシ達の事をじっと見てた」

 1人の女生徒が校舎の裏手に近い壁を指差すと、他の生徒達は幽霊でも見た様な表情を浮かべる。

 

「嘘、怖い。

 誰か特定の人見てたとか無かった?」

「あの人に睨まれたりしたら洒落にならないもんね。

 触らぬ神に祟りなしでしょ」

 女生徒達は一斉に騒ぎ出し、彼女がいないかどうかワザワザ辺りを見回す程だった。

 

 戦場(いくさば)希望(のぞみ)。

 公立虹見高校3年生。

 女子陸上部に限らず高校の生徒及び保護者、関係者全員が彼女の事を知っており腫物の様に扱っている。

 彼女の肩書と彼の兄や両親の事を考えれば、それも仕方の無い話だった。

 

 希望の兄、渡(わたる)は千葉県一帯を縄張りとしている暴走族『金剛仁王隊』のヘッド。

 子供の頃に父親を殺害した事から『親殺しの戦場』の名で知られ恐れられている。

 希望自身もその下部組織にあたる『ゴールドクイーン』と言うレディースのトップを務めている超問題児だった。

 

 そしてそんな彼女達が社会の屑として排除されない理由として、強烈な『バック』の存在がある。

 戦場(いくさば)倫世(ともよ)。

 天武日本の政治を担う国会議員にして『道路族』の一員。

 織田信虎総理大臣からの信頼も厚い国土交通大臣、生駒玲子の懐刀として辣腕を振るっている。

 

 生駒玲子の頼れる右腕が彼女達の母親ともなれば、手出しする者がいないのも当然だった。

 万が一彼女に近付こうとする者がいたならば、渡が『制裁』を加え倫世が綺麗に揉み消すだろう。

 そう思われていたからこそ、女子陸上部の練習を希望が見ていたと言う事実だけで女生徒が震えあがるのも当たり前だった。

「もしかして、アタシ達を見て品定めとかしてたのかも。

 あの人レズだって噂もあるし」

 

「えッ、そうなの?」

「うん。

 凄い男嫌いなんだって。

 御兄さん以外に男と話してる所を誰も見た事が無いし、近寄らせない様にしてるらしいよ。

 男子生徒が話しかけただけで彼女の御兄さんがその男の人を病院送りにしたなんて話も聞いたから」

 

 彼女の事を知れば知る程、恐ろしくて近寄る気にもならない。

 向こうから近寄ってくればそれは最早『災害』に近い為、誰もが戦々恐々としていた。

 

「うわぁ、ヤダヤダ。

 好きでも無いのにレズの相手を強要されたりしたらたまんないわ。

 もしそうするつもりだったら椿にしてよ。

 アタシ達は勘弁してもらえないかなぁ」

 

「シッ。

 誰が聞き耳立ててるのか解らないんだから軽率な発言はしないの。

 知ってるでしょ。

 戦場さんの近くには大抵『御兄さん』がいるって事を」

 

 女生徒の1人がそう言った瞬間、もうこの話は終わりだとばかりに全員が静まり返る。

 暫く経ってから彼女達は何事も無かったかの様に別の話をし始めるのだった。

 

 午後5時になろうかと言う頃、校庭では女子砲丸投げの最終予選が行われていた。

 全ての種目が終わるまで帰る事は出来ず、既に選出されなかった部員達は暇そうにそれを眺めている。

「チワワ超元気。

 あの無駄なパワーを他の分野に活かせないのかな」

 

「だよねぇ。

 付き合わされるアタシ達の事を考えろっての。

 こんなに暑いのに。

 ……それにしてもなーんか変。

 妙に身体が火照ると言うかだるいって言うか」

 

「あ、アタシもそう。

 グラディウス飲んでからずっと風邪ひいたみたいになってるんだよね。

 ポリタンクの中に誰かが何か入れたんじゃないの?

 そんな気がする」

 

 女生徒同士でも言い出せなかったが、彼女達の下腹部が妙に熱かった。

 クリトリスに熱が集まり包皮から顔を出して擦れ、刺激による痛みすら感じられる。

 さらに気分が悪くなる程の倦怠感に襲われ、彼女達のやる気は完全に失われていた。

「あれ、そういえば椿は?」

 

「お腹が痛くなったって言ってトイレに行ってる。

 やっぱりグラディウスのせいじゃない?

 チワワに言って調べてもらおうよ。

 アタシ達の体調が悪くなったのどう考えてもアレを飲んでからだもん」

 

 女生徒の1人がそう言って顧問の近くに駆け寄っていく中、他の者達の脳裏に戦場希望の顔が浮かぶ。

 確信は無いが、『犯人』がいるとすれば彼女なのではないか。

 女生徒達は直接声には出さなかったが誰もがそんな事を考えていた。

 

 校舎内は他の部活動が行われている事もあり生徒の姿もあったが授業中程の賑やかさは感じられない。

 3年生の教室が並ぶフロアの奥には女子トイレがあるが、この時間帯に利用する者は殆どいなかった。

 (最悪。

 どうして、こんな……

 朝起きた後空っぽになるまで出したハズなのに)

 

 女子トイレの個室に篭もり、便座に腰を下ろした椿は完全に勃起した肉棒に触れる。

 火傷しそうな程に熱くなったそれは別の生き物の様に激しく脈を打ち、己の存在を主張していた。

 (早く戻らないと怪しまれる。

 お願いだから早く萎えて)

 

 ガチガチに硬くなったモノを右手で扱きつつ、声が漏れない様に左手で口を覆う椿。

 サポーターが勃起で剥がれ、大惨事になるのではないかと危惧した位彼女の股間は暴走していた。

 身体中の血液が肉棒に集まっているのではないかと感じる程大きくなった陰茎。

 何時もより一回りは膨れ上がっていると思われる薄桃色の円柱を一心不乱に刺激する。

 

 だがどんなに手で上下に擦っても全く射精の気配が感じられない。

 快感を得ているのは自分自身よく解っているのだが、ますます硬くなるばかりで絶頂を迎える事が出来なかった。

 (ああ、神様……

 何でこんな事に。

 誰か助けて)

 

 声を殺しながら無様な自慰行為を続ける椿であったが、先端から噴き出てくるのは我慢汁だけ。

 精液と同じ透明な粘液が出てくる事は無く、痛みと身体を包む熱だけが悪戯に増していく。

 (いやぁ、おかしくなっちゃう。

 イキたいのに、何で出ないのぉ)

 

 何時もなら、数分はかかるが難なく射精出来ていたハズの肉棒が絶頂を封じられている。

 椿は硬くなった砲身を扱けば扱く程快感だけが上昇していき射精は出来ないと言う底無し沼にはまり込んでいた。

 (オチンチンが完全におかしくなってる。

 射精して、何でも良いから早く射精……)

 

 痛みと快感で頭がおかしくなりそうだ。

 椿はそう思いながら必死に肉棒を扱くが虚しい空振りが続く。

 精液だけが無駄に溜まっているのか、肉棒がさらに膨張し激しく脈打っている様にも感じられた。

 

 (いッ、いい加減にして!

 早く射精しなさいよこの馬鹿チンポ!

 普段から私の足を引っ張ってばかりで何の役にも立ってない癖に。

 これ以上私を苦しめないで!)

 

 激痛に耐え切れず、自分の股間に対して八つ当たり気味に憤る椿。

 人とは違う身体のせいで必要の無い苦労を強いられてきた。

 この肉棒を何度恨めしく思った事か。

 だがこの肉棒こそが彼女のアスリートとしての能力を開花させたと言う事実を彼女は知らなかった。

 

「随分苦しそうだなぁ。

 助けてやろうか?」

 突然自分の頭上から聞こえてきた声に対して動揺し、反射的に上を見る椿。

 そこにはニヤニヤ笑いを浮かべている戦場(いくさば)希望(のぞみ)の姿があった。

 

 (なッ、何で戦場さんが!?

 み、見られた。

 見られちゃった私のオチンチン……

 どうするの私。

 バレたらこの高校にいられなくなる。

 御父さんとお母さん、岬にも迷惑がかかって……

 駄目、それだけは絶対に駄目!)

 

 涙を流しながら無意識に手で肉棒を覆い隠そうとするものの、ひくつくモノを隠す事等出来ない。

 そもそも扱いている所を見られていたのだから今更隠しても何の意味も無いのだ。

 椿は上手く働いてくれない脳味噌を何とかフル稼働させ、何か対策を考えなければと思っていた。

「それにしてもフタナリってそういう形してるのか。

 先端部分がぷっくり膨らんで、根元まで綺麗なピンク色してやがる」

 

 希望はそう言った後椿の視界から消え、次の瞬間ワザと彼女が篭もっている個室のドアをノックする。

 まともな考えが浮かばない椿でも、扉を開けなければもっと酷い状況に陥りそうだと思った。

 (もし大声を出されたらそれで終わり……

 黙ってもらう様交渉する為にも彼女を招き入れないと)

 

 自分を無視すればもっと酷い事になるぞと言う、無言の圧力。

 椿はドアを開け、個室の中に希望を入れる。

 希望はトイレのドアを内側から閉めた後、椿の肉棒に手を伸ばし握り締めた。

 

「へぇ、勃起してても外側は意外と柔らかいのか。

 熱を帯びて凄い勢いで脈打ってるし、硬い鉄の棒が中に入ってるみてぇだ」

 射精したいと言う欲望に負け、椿自身が制御する事も出来ない暴れ馬と化した肉の槍。

 その槍を他人に触られ、緩めに扱かれただけで彼女の理性は飛びそうになる。

「やッ、止めて……」

 

「良いのか?

 本当に止めても。

 お前のチンポはザーメン出したくてウズウズしてる様に見えるけどな。

 それにこんなバッキバキに硬くなった状態で外に出ていけるのかよ」

 意地の悪そうな笑みを浮かべ、金色の長い髪を左右に揺らす希望。

 

 椿をからかいおちょくっている様にしか見えなかったが、今の彼女には反論する余裕すら無かった。

「それは……」

 

「アタシの命令に従うって言うのならしゃぶってやるよ。

 もし嫌だと言うのなら皆にお前の身体の事を言いふらして、お前の人生はめでたく終了だ。

 2つに1つ。

 さぁ、どちらの道を選ぶ?」

 

 椿に拒否権は無い。

 この恫喝に近い選択を無視する道など最初から用意されていなかった。

 仮にココで彼女の申し出を跳ね除けたとしても、猛る肉棒が鎮められないと言う問題を解決する事は出来ないのだ。

 この個室内で希望に大声を出されただけでも椿は全てを失う。

 椿は希望の言う通りにするしか無いと言う現実を受け入れなければならなかった。

 

「もうちょっと腰を前に突き出せよ。

 このままだとしゃぶりにくいだろ」

 酷薄な笑みが椿の肉棒の眼前に浮かんでいる。

 椿は便座に腰をかけた状態で希望の前に勃起した状態の陰茎を晒し、両手で顔を覆っていた。

 

 (何で、こんな事に……)

 見られたくもないモノを相手に見せなければならないと言う羞恥心と、誰かに舐められた事も無い竿が他人の口の中に入ると言う恐怖が同時に襲い掛かってくる。

「チッ、泣くんじゃねぇよ。

 こっちはお前の悦ぶ顔が見てみたいってのに」

 

「そ、そんな事を言われても……」

 理性を失って喘ぎまくり、絶頂を迎える姿を見て嗤ってやりたい。

 相手側のそういった思惑が透けて見えるが、椿は快感を与えられて踏み止まれるとも思っていなかった。

 

 (この人は、私を嬲って嘲笑う事が目的なんだ。

 だとしても、彼女に舐めてもらわないと射精出来ない。

 反抗しても無意味……)

 

 蛇の様な舌が、椿の先端を舐め回し、その度に肉棒がビクビクと跳ねる。

「ハハッ、チンポはお前の態度とは違って正直だな。

 刺激を受けていちいち反応してやがる」

 腹に先端が付きそうな程膨張したピンク色の柱に希望の舌が触れ、そのまま這う様に移動した。

 

「ふぐッ、ふううう」

 肉棒全体に電流が流れたかの様な快感がもたらされ、無意識に喘ぎ声が漏れてしまう。

 椿は咄嗟に両手で口を塞ぎ他の人間に聞かれない様努めたが、個室の外に誰かがいれば間違いなく聞こえていただろう。

「何だよ、舐められただけでギブアップすんのか?

 もっとアタシを楽しませろよ」

 

 虐めを受けている様な状況であるにも関わらず心がもっと刺激を与えてくれ、射精させてくれと叫んでいる。

 椿は逆らう事も抗う事も出来ない自分が恨めしかったが、希望が先端を咥え込んだ瞬間理性の糸が勢い良く切れた。

「んおッ、おごおおおおッ!?」

 

 性欲に忠実な獣としての顔を露わにした椿は、相手が危険人物である事も忘れ彼女の頭を両手で掴む。

「もっと根元まで、もっと舌を使って。

 イキたいの、早くイカせてぇ」

 イマラチオを強制し、喉の奥深くまで肉棒を叩き付ける様にグイグイと押し付けた。

 

 (コイツ、恐れってモノが無ぇのか!?

 ま、射精の事しか考えられない馬鹿になってるだけか……)

 希望の方は頭を掴まれた瞬間こそ動揺したものの、深くペニスを咥え込まされた時には冷静さを取り戻している。

 口の中で跳ね回り、出したいともがき続けている肉棒に舌を絡ませさらなる刺激を与えた。

 

 (あッ、来る、来てるッ!

 弾けそう……

 オチンチンイク、イクぅぅぅぅぅぅ)

 涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔を隠す余裕も、声を出さない様にするだけの理性も無い。

 頭の中が一瞬真っ白になる程の強烈な快感に身を委ねながら、椿は己の欲望を希望の口内に思う存分ぶちまける。

 

 (こ、コイツ……

 遠慮ってモノを知らな、ゲボ、うえぇッ……)

 出された希望の方は飲む事等不可能な程の精液を受け入れる事が出来ず、悶絶しながら床に汚液を吐き出した。

「あ、あははは……

 信じられない位出た。

 射精しちゃったぁ……」

 

 人格が壊れてしまったかの様にけらけら笑う椿であったが、肉棒の滾りは全く衰えていない。

 先程と同じ様に雄々しく立ち上がり、痛みと疼きを与えていた。

「ッたく、とんでもねぇ量出しやがって。

 しかも硬くなったまんまかよ」

 多くの女生徒にとって恐怖の対象でしか無い希望相手でも容赦する事無く乱暴な振る舞いをする。

 

 本能を剥き出しにした両性具有者の態度は、彼女ですら恐怖を感じるものだった。

 (やべぇな……

 盛った薬の量が多過ぎたか。

 今度飲ませる時は縛って動きを封じておくべきだな)

 

 希望は軽率な行動を取った事を反省したが、まだ目の前の獣を抑え込めたワケでは無い。

 鎖に繋がれていた獰猛な番犬が、唸り声を上げ希望に対して牙を向けている。

「ま、まだ全然足りない……

 私のオチンチン、もっと出したいって叫んでるのぉ」

 

 もう、外にいる誰かに聞こえてしまうかもしれないと言う配慮は微塵も感じられない。

 スイッチが入ってしまった椿は、再び彼女の口の中に肉棒を突っ込むと腰を前後に動かし始めた。

 最早、客観的に見れば肉棒を突っ込んでいる箇所の違いでしか無い。

 口の中に肉棒を無理やり差し込み、滑稽に見える程激しく腰を振り続ける。

 

 間違いなく希望は犯されており、この瞬間だけを切り取れば彼女が気の毒にすら思えただろう。

 (テ、テメ……

 クソッ、この後の事を考えなくていいなら噛み千切ってやりてぇ)

 涙を流しながら希望は彼女の顔を睨み付けたが、椿にはその眼光すら目に入っていなかった。

 

「いいよぉ、もっと喉で私のを擦って。

 もう一度ビュルビュル出させてぇ」

 陸上部の後輩達が憧れるクールで知的な女性の姿はもう何処にも無い。

 そこにいるのは股間の痛みに白旗を上げ、快感を得る為に希望の口を『玩具』として使う一匹の雌だった。

 

 全身が火照って熱い。

 とにかく射精したい。

 原始的な欲が身体を操り、椿は目の前にいる女性を蹂躙する事で快楽を得る。

 希望の口の中で脈動する肉棒が射精間近とばかりに膨らみ、硬度を増していった。

 

「出るッ。

 またせーえき出るッ、出ちゃ、ああああああああ……」

 先程射精した事で刺激に対して敏感になっていた陰茎が、再び先端から透明な粘液を噴き出す。

 肉の砲身は力強く脈動するのと同時に精液を吐き出し、希望の口の中に容赦無く欲望を注ぎ込んでいった。

 

 (また、コイツ……

 駄目だ、気持ち悪ぃ。

 こんなの飲む奴がいるって本当かよ。

 頭おかしいだろ)

 

 粘り気の強い液体が喉の奥に無理やり流し込まれ、希望はそれを少量飲んでしまう。

 再び殆どの精液は床に吐き出したが、喉全体に纏わりつく強烈な違和感は暫くの間拭えなかった。

「はぁ、はぁ……

 せーえき、出たぁ。

 いっぱい出ちゃった……」

 

 射精の余韻に浸り恍惚の表情を浮かべていた椿であったが、立ち上がった希望に頬を打たれ正気を取り戻す。

「ふざけんなテメェ!

 アタシが誰だか解ってるのか、このサルがッ!!」

 憤怒の表情を浮かべる彼女の姿を見て、恐れと怯えが彼女の心を支配していった。

 

 (な、なんて事を。

 この人はレディースのトップで、父親を殺したと言う男の人の妹さんなのに)

 陰茎が萎んで形を失っていくのと同時に、理性が戻り彼女に対する恐怖も蘇る。

 まだ完全には縮んでいない垂れた肉棒をぶら下げながら、椿は希望に対して許しを乞うた。

 

「すいません。

 わッ悪気は無かったんです。

 私の身体が性欲に負けてしまって」

 

「フン……

 出すモン出して正気に戻ったか。

 コレだけの事をしでかしたんだから、当然アタシが言う事は素直に聞くよな?

 聞かなかったら、ココでお前を八つ裂きにしてやってもいいんだぜ」

 ドスの効いた声を発しながら、ポケットの中に手を突っ込んで威嚇する希望。

 

 ポケットの中に入っているものがメリケンサックであろうがナイフであろうが、悪い結果が訪れる事は火を見るよりも明らかだった。

「……き、聞きます。

 何でも聞きます。

 だから物騒なモノを取り出さないでください」

 

「物騒なモノ持ってるのはお前の方だろ。

 遠慮なくアタシの口を犯しやがって……

 いいか、明日の午後1時に虹見の体育館に来い。

 他の奴を連れてくるんじゃねぇぞ。

 1人で来るんだ、良いな。

 もし来なかったらお前の身体の事を学校の奴等全員にバラす」

 

 慌てて彼女の腕を掴み、懇願する椿。

 希望は嫌そうにその手を振り払い、そう言った後内鍵を開けトイレの外へと出ていった。

 1人残された椿は僅かに残る快楽の余韻が吹き飛ぶ程の恐怖に慄き、便座に座り込んで頭を抱える。

 

 (どうしよう。

 脅迫に対抗する手段なんて何も無い。

 誰かに相談しても警察に駆け込んでも同じ。

 私がふたなりだと言う事はお父さんもお母さんも知らないのに、それが露見したら……)

 

 そもそも脅迫の罪で希望が逮捕されたとしても、椿が社会的に抹殺される事に変わりは無かった。

 自分よりも可愛い妹を溺愛している両親が椿の身体の事を知ったら、どうなってしまうのか。

 家族から捨てられてしまうかもしれないと言う事実に怯え、彼女は涙を流した。

 

 (ああ、神様!!

 どうして私をこんな身体にしたの。

 私が何か悪い事をしたって言うの!?

 見た目は女の子なのにオチンチンが生えてるなんて、化け物扱いされてもしょうがないのに)

 

 中学生の頃まで、椿は自分が他の女性と何ら変わらない身体であると信じていた。

 ある朝突然勃起している肉棒に気付き、泣きながら扱いて射精したあの時まで。

 そしてさらに状況を整理するだけの心の余裕が生まれてくると、このままでは不味いと言う事が解ってきた。

 

 (床に散らばった精液を掃除して、すぐに皆の所に戻らないと怪しまれる。

 今はとにかく取り繕う努力をしないと……

 コレで私の身体の秘密がバレてしまったら本末転倒だわ)

 

 希望の命令を素直に聞くしか無いと言う事実に絶望しつつ、椿はやるべき事を迅速に済ませる。

 モップを使って床を掃除し、元通りにサポーターとズボンを履くと部員達がいる校庭へと戻っていった。

「あ、椿。

 皆帰りが遅いからアンタの事心配してたんだよ」

 

「ごめんなさい。

 なんか体調がおかしくなっちゃって」

 校庭からいなくなった後戻ってくるのに45分もかかれば、流石に何かあったのかと疑われる。

 

 椿はその理由を適当に誤魔化しつつ、希望と共にいた時間が自分が思っていたものより相当長かった事に驚きを隠せなかった。

 (せいぜい30分位だと思っていたのに。

 時間の感覚もおかしくなる位我を忘れていたのね)

 

 獣になっていた時の自分を思い出し、戦慄する椿。

 快楽を得ようとして他人にその意識を向けると自分が自分で無くなってしまう事への恐怖。

 妹に何かしてしまう可能性を感じ、そうなってはいけないと言う思いがより強くなる。

 (この強過ぎる性欲を制御出来る様になる。

 言うだけなら簡単だけど、実行するのはとても……)

 

 あの醜態を思い出すと、ハッキリ断言する自信は無い。

 舌の根も乾かぬ内に萎えたハズのモノが何かを主張し始めているのを感じ、椿は溜息をついた。

 (ああ、いっそ切り落とせるものなら切り落としてしまいたい)

 そしてそう言ってはみたもののその度胸も無い事は自分でも解っている為、ますます惨めな気持ちになるのだった。

 

「化学の先生にポリタンクの中の清涼飲料水を調べてもらったが、何らかの薬が混入されている事は間違いないそうだ。

 その薬がどんな薬なのかはもっと詳しく解析してみないと解らないと言っていたが……

 とにかくあの飲み物は一切口にしない様に。

 今日は早く帰って明日はゆっくり休んでくれ」

 

 陸上部の顧問である千輪もそれ以上何か出来る事があるワケでも無かった為、生徒の健康状態を気にして部員に帰宅を促す。

 風邪を引いた様な症状を多くの女生徒が訴えていた為、その措置も当然だと言えた。

「あー、頭がボーッとしてだるいよ。

 早く帰って寝よっと」

 

「どんな薬が混ざってたのか解らないってのが怖いよね。

 毒じゃないと良いけど」

 飲んでから時間が経過しており、カタクナールΩに対する解毒薬があるワケでも無い為薬が抜けるのを待つしか無い。

 生徒達の多くがクリトリスの疼きを感じていたが、それを口に出す者は1人もいなかった。

 

「椿、災難だったね。

 明後日にはお互い元気な姿で会おう」

「そうね……

 じゃあ、私家はこっちだから」

 

 強精剤の効果は絶大で、大量に2回も射精した椿にまたもや下腹部の熱が襲ってきている。

 それを必死に誤魔化しながら、椿は何とか自宅に辿り着いた。

 

 黒い感情に全てが塗り潰されていく。

 全国大会の優勝を狙えるタイムを叩き出した事も、千輪から褒められた時の喜びも闇の中へと吸い込まれていった。

「お姉ちゃん、大丈夫?

 顔色が悪いよ」

 椿の妹である鶴野(つるの)岬(みさき)が声をかけたが、彼女はあくまで平静を装った。

 

「ちょっと風邪を引いちゃったみたいでね。

 横になればすぐに治るわ。

 夕飯は後で食べるってお父さんとお母さんに言っておいて」

 

 また、欲望が騒ぎ始めている。

 肌の感覚が鋭敏になって、理性が削り取られていく。

 自分の部屋に篭もった後、椿は涙を流しながら自慰行為を行わなければならなかった。

 

 (ぐうううううッ……

 出る、出てるッ)

 両親や妹に知られる事無く購入した男性用のオナホール。

 性欲を満たすと言う目的の為だけに購入していた代物。

 こんなものに頼らなければならない己が心の底から情けなかった。

 

 (もう、勘弁してよ!大馬鹿チンポ……

 もう3回も出してるんだから早く縮んで)

 あさましい。

 みっともない。

 こんな自分が嫌い。

 

 肉棒の先端から透明な粘液を吐き出し、荒い息を吐く姿。

 下半身に何も付けていない憐れな身体が姿見に映っている。

 

 (明日……

 明日の事なんか無かった事にしてしまいたい。

 逃げたい。

 でも逃げられない。

 希望さんに目を付けられてしまうなんて)

 

 何故の堂々巡り。そしてその疑問に対して答えが返ってくる事は無い。

 自分が両性具有者である事を知った時から部屋に置いた姿見。

 鏡に映る自分が答えを返してくれたら。そんな無意味な考えすら脳裏に浮かぶ。

「明日、午後1時、体育館……」

 

 うわ言の様にそんな言葉を繰り返しながら、ベッドに倒れ込んでうつ伏せの状態になる椿。

 流石に強精剤によって生成された精液も空になったのか、肉棒はあっと言う間に縮み通常のクリトリスと変わらぬ程小さくなった。

 

「今日は椿に精を付けてもらおうと思ってステーキを焼いたのよ。

 美味しそうでしょう」

「おお、コレは美味そうだ。

 お前達も早く席に着きなさい」

 

 両親及び妹と共に食べる夕食。

 何処にでもある平和な風景。

 だが数年前からこの家族の関係に亀裂が生まれている事を椿は肌で感じていた。

 両親の態度が明らかによそよそしくなり、妹にその分の愛を注ぐ様になる。

 

 勿論直接指摘しても否定するだろうが、何時の間にかそうなってしまったのだ。

 (私が陸上選手として鍛えられていく中で、お父さんとお母さんがそれを望んでいないのは何となく解っていた。

 余計な筋肉は要らない。

 お人形でいれば良い。

 そんな思いすら感じられる)

 

 岬はまさにそんなお人形タイプの女子で、どんな可愛らしい服を着せても似合うであろう美貌と愛嬌を備えている。

 クールビューティに変化しつつある椿が避けられ始めているのも、仕方の無い事だった。

 半ば諦めていた椿であったが、ただ1つ譲れない事がある。

 

 (絶対に、この亀裂を崩壊へと変えてはならない。

 岬が大人になるまでは、何としてもこの状態を維持しないと)

 不協和音を幼い岬に感じさせたくない。

 もし解っていたとしても、それが表面化する事だけは避けたい。

 

「お姉ちゃん、美味しいね!」

「そうね。

 コレで私も元気が出るよ。

 有難う、お父さんお母さん」

 

 何も言わずただ笑顔を浮かべる母。

 勘の良い人間なら、それが作り笑いである事は容易に解るだろう。

 父親は気まずそうに咳をして、黙々と食事を取る。

 まるで妻に対して『あからさまな態度を取るな』と釘を刺しているかの様だった。

 

 食事の後も、機械じみた『作業』が続く。

 後片付けを手伝い、シャワーを浴び、パジャマを来てベッドに潜り込むまでの時間が短い様にも長い様にも感じられた。

 現実味の無いふわふわとした感覚の中で、希望の言葉だけが頭の中で何度も再生される。

 

『いいか、明日の午後1時に虹見の体育館に来い。

 他の奴を連れてくるんじゃねぇぞ。

 1人で来るんだ、良いな。

 もし来なかったらお前の身体の事を学校の奴等全員にバラす』

 

 バラされたら、全てを失うのだ。

 陸上部のエースとしての地位も、校内での立場も、家庭内での居場所も。

 引っ越せば、や高校を変えれば……と言う問題では無い。

 

 相手は関東圏に強大な勢力を持つ暴走族の関係者であり、彼女の母親は国会議員なのだ。

 何処へ逃げても周囲に秘密を吹聴され、破滅させられてしまうかもしれない。

 常に『最悪』が心を侵食し、彼女を蝕んでいく。

 助かる方法も解らなかった。

 

 (こんな、こんな身体のせいで……

 大嫌い、大嫌い、大嫌いッ!!)

 怒りや恨みをぶつける相手が不在である中、ただただ自分の身体が普通とは違う事を呪う事しか出来ない。

 どうしようも無い焦燥の中、時間だけが悪戯に過ぎていった。

 

【西暦1999年 7月20日 午後12:50 千葉県 公立虹見高校 体育館内】

 

 火曜日(マルス)の祝日。

 校内には何名かの教師しかおらず、体育館の中は静まり返っている。

 椿は眠い目を擦りながら、既に来ているであろう希望の姿を探した。

「流石に来るか。

 来ないとは思ってなかったけどな」

 

 背後から声をかけられ、椿は慌てて後ろを振り向く。

 入口の所に私服姿の希望が薄い笑みを浮かべながら立っていた。

「何をしたいのかは知りませんけど、早く終わらせてください。

 先生がこの場所に来るかもしれませんから……」

 

「ああ、その心配をする必要は無ぇよ。

 今日はアタシの貸し切りだから。

 職員室にいる先公どもにはそう伝えてある。

 鼻薬もしっかり嗅がせたしな」

 周囲を警戒する椿に対して、希望は当たり前の様にそう言ってみせる。

 

 金を渡して相手を思いのままに操る彼女の姿が目に見える様だった。

 (この人に逆らえば、私の首が物理的に飛んでもおかしくない。

 もう、言いなりになって黙っていてもらう事を祈るしか無いわ)

 結局、不安が勝り昨夜は上手く眠る事が出来なかった。

 睡魔と戦いながら身体を無理やり引き摺ってこの場所へとやってきたのだ。

 

 そんな事を考えている椿を尻目に、彼女はポケットから小瓶を取り出すとその中身を取り出す。

「強精剤だ。

 今度はアタシを本気で満足させる為のな」

 ピンク色の錠剤と、もう片方の手に握られている水の入ったペットボトル。

 その2つを差し出され、椿はそれを嫌々ながら受け取った。

 

「解るだろ?

 今度はフェラじゃねぇ。

 アタシとセックスをするんだよ。

 その為に体育館を貸し切った。

 アタシとお前じゃラブホに入れねぇしな」

 

 どうして自分に執着するのか、そして何故自分とのセックスを望むのか。

 希望の考えが理解出来ぬまま、椿は渡された錠剤をじっと見つめる。

 

「なに見てんだよ。

 水も渡してやったんだから飲むに決まってるだろ。

 飲んだら服を脱げ。

 裸になったらマットの上で横になるんだ」

 

 きつい口調で脅され、椿は慌てて錠剤をペットボトルの中に入っている『水』で喉の奥へと流し込んだ。

 ペットボトルを床の上に置いた後、彼女はせがむ様に入口の方を見る。

「人の目が気になるってか?

 しょうがねぇな……

 アタシが入口を閉めてマットを敷いておいてやるから、お前は服を脱ぎな」

 

 有無を言わさぬ口調でそう言われ、椿は着てきた私服を一枚一枚床の上に置いていった。

 生まれたままの姿になる間に、希望は入口を閉め体育館内の電気を点けると備品室からマットを取り出す。

 跳び箱を飛んだ後に使用する為のもので、ベッドの代わりとしては充分過ぎる程の大きさだった。

「何胸とか股間を隠してんだよ。

 アタシとお前しかいねぇだろ」

 

「そ、そんな事言ったって……」

 見ている人間が1人であっても、他人に裸を見られるのは恥ずかしい。

 そう思っていた椿であったが、突如猛烈な眠気に襲われた。

 

 (な、何!?

 頭がグラグラする。

 コレは、単なる眠気じゃ、無い……)

 立っている事すら出来ぬ程の睡魔に抵抗する事すら出来ず、椿は膝をついた後床に倒れ込む。

 

「さっき飲ませたピンク色の錠剤は睡眠薬さ。

 強力なモンで、兄貴が用意してくれた。

 ペットボトルの水が『カタクナールΩ』って言う強精剤でね。

 って、もう聞こえねぇか。

 今はグッスリ寝てな……

 たっぷり後で遊んでやるよ」

 

 眠ると言うよりも昏倒する様な形で意識を失った椿をマットの上に運び、用意していた縄で縛りあげる。

 希望がその作業をしている最中に入口が開き、背の高い男性が無言のまま部屋の中に入ってきた。

「兄貴、待ってたぜ」

 男は裸の状態でマットに寝かされた椿を一瞥すると、何を言うでも無く部屋の隅の柱によりかかる。

 彼女にとっての地獄の門が、彼女自身が放つ炎と共に開かれようとしていた。

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