「はぁ……めっちゃいてぇ…」
上半身下着姿で詩織はベッドに横たわる。
詩織は医務室に入り腰に湿布と包帯を巻いて、応急救護をして身体を休ませていた。
幸いにも嶺臣に突進された腰は赤くミミズ晴れしてるが出血はしていない。
スマホで当時の日本で流行ったグループ『ジェネラルエイジ』の曲を聞きながら詩織は頭を整理する。
……望亜曰くここはノアの手中らしい。当然あちらも自分の動きを把握してると見た方が確実だ…。
「横文字がうぜぇガキ共だったな。ゾルダートとか……」
『後はノア先生のゾルダートが相手してくれるよ』
詩織は興味本位でゾルダートと検索すると、ドイツ語で兵士、軍人の意味らしい。
これ事実だとしたら私勝ち目無くね?。
兵士、軍人と来ればやはり銃を持って軍服に身を包み勇ましく進軍する男性を思い浮かべる(ってかそれ以外にあるんだろうか?)。
無理ゲーだし引くべきかと考えてる時スマホが鳴った。
敵地で見たことが無い電話番号の羅列……9割の不安と1割の好奇心から詩織は通話ボタンをタップする。
「もしもし」
『やぁセニョリータ!。元気そうな声が聞けて安心したよ!』
「お前!、晴人か?」
『正解さ。寂しかったかい詩織』
「……馬鹿じゃねーの。でもまぁお前のアホ面思い浮かべたら少し気が楽になった。で、私が『こんな所』にいるの分かって電話してるのか」
『勿論。時に君はノア・ベルガー先生の病院に忍び込むなんて。大胆にも程がある』
「……救わなければならない親友達がいる。その為なら私は…どうなっても構わない」
『何を言ってるんだ。俺からすれば君だって既に大切な友人だ。俺の友達二人が君のスマホの発する電波の反響からデータを分析し君に降りかかる脅威を事前に伝える。スマホの通話は繋げたままにしてくれ』
「マジか!。そりゃ助かる!ありがとう!」
『友なら当たり前さ。君の目的の為に力を貸そう。その代わり上手く行った暁には僕とデートを―――』
「分かったわよ。前向きに検討するから……」
溜め息を尽き、詩織は苦笑した。
『良かった。さてその部屋だが中々物騒な場所だ。掃除ロッカーと一番手前にある机の引き出しを開けてみたまえ』
「掃除ロッカーと引き出しね。分かった」
急ぎ上着を着て言われるがままに先ずは一番近い掃除ロッカーを開けた。
「これは……」
『面白いだろう』
箒に紛れショットガンのレミントンM870が入っていた。
球は入って無くリロード出来るか確認すると問題無く動く。
続いて机の引き出しだ。
開けるとショットガンの弾10発とハンドガンSG-09R、ハンドガンの弾20発が入っていた。
「晴人一体この病院はどうなってるの?。ライオンか虎でも飼育してるの?」
『普通の病院じゃないことは確かだな。早速その銃達を扱う事になりそうだ詩織』
ブゥゥゥン……!。と唸る刃の音が詩織のいる医務室に近づく。
音だけで嫌悪感を示しそうになる。
下水道の後狂った翔太にこれを振り回され危うく身を斬られそうになった。
「チェーンソーか!」
呼応するようにバァンと医務室の扉が開かれ、麻袋を被り目の部分だけ穴が開けられた大男が飛び込んできた。
「小娘が切り刻んでやる!」
「さぁ……どうだかな」
詩織は躊躇いなくレミントンM870を構えた。