「真莉……真央……彩菜……」
意識がないのに背負ってる少女は、他の人物の名前を呪文のように呟いていた。
「こんな小さな身体で…親友の為と言うのは分かるけど、何が彼女を突き動かすのかしら……」
詩織は恐らく友を救い自分が得られる恩恵等何も思っていないのだろう。とディアナは考えた。
かつて
ジャンヌ・ダルク……ナポレオン……ヨーロッパに名を残した偉人達……。
もっとも今の彼女をその英雄達に喩えてよいかは分からぬが……。
ガチャリとディアナはとあるドアを開いた。
「
ディアナの前には苦虫を噛み潰したような顔をしたノアが座っていた。
そのまま詩織をベッドに寝かせる。
「あの地獄を耐えるとは……只者ではない。何者なのだ…」
「分からないわ。こうして見る分には可愛らしいプリンツェッスィンなんだけど。少しその黒衣は血なまぐさいわね。先生少し目を瞑って」
「分かったよ。どうやら君の興味はその子に釘付けのようだな」
ディアナは尋常ならざる速度で詩織の服を黒衣の衣装から青いドレスに変えた。
頭に真っ赤な薔薇を添えて。
「もういいわよ先生」
「………うむ。君のお洒落のセンスには脱帽するよ」
「伊達に150年以上生きていないわよ……今は眠りなさい
眠る詩織の側にディアナは居続けた。
―――――
「……うぅ……私……」
カーテンの日差しで詩織は目を覚ます。
……何してたんだっけ?。………真央を治すために病院にノア・ベルガーが経営してる病院に行って……。
「そうよ……そして変な吸血鬼やチェーンソーを振り回すおっさんやおばさんと戦って!」
「最後に吸血鬼の親玉である私に会って貴女を助けたのよ。フロイライン♪」
「わっ!」
ディアナの姿を見て驚きベッドのギリギリまで下がり詩織は落ちそうになる。
「お、お前……!」
「あら?。私は貴女の命の恩人よ。嶺臣と望愛の事は謝るわごめんなさいね」
「……そうだったな。あんたが血を分け与えてくれたおかげで私は生きてるんだもんね」
お仕置きされた嶺臣が彼女を『ディアナ』と呼んでたのを思い出した。
「あんたの名前はディアナでいいの?」
「えぇ。フロイライン。貴女の名前も教えてくださる?」
「私は奥井詩織。昨日も話したが友を助ける為に来たんだ……そうだ!ノア先生に会わせてくれるって言ったよな!。会えるか!?」
「ごめんなさいね。貴女昨日あの後意識を失ったのよ。ノア先生の所には連れてはいったけど…」
「そっか……」
意識不明で伝えられなかったのなら仕方ない。
「分かった。連れてってくれてありがとうディアナ」
「ノア先生は午後5時迄の診察が終わったら貴女と会うそうよ。それまで自分が伝えたい事を考えておくといいわ」
「本当に助かる!ありがとな!」
「……いいのよ。私いつも暇してるのまた会いましょう」
「あぁ勿論だ」
ディアナは詩織にバスとトイレの場所を伝え部屋を出て行った。
「吸血鬼にもいい奴もいるんだな」
一人詩織は苦笑する。
「ってかなんだよこの格好。まるでいい家育ちのお嬢様みたいね……」
青いドレスと頭の薔薇に超違和感を感じながら彼女は診察が終わる時刻を待った。
そして待ちに待った午後5時過ぎ――――。
ガチャリとドアを開け一人の老いた医師が部屋に入ってきた。
警戒心を抱く詩織に「楽にしたまえ」とノアは言う。
「君の名前と大まかな目的はディアナから聞いたよ。フロイライン詩織。私はあの地獄を跳ね除け此処に辿り着いた君に称賛を表し、君の言う事を聞こう」
「あんたがノア先生。お願いです!。私の親友渋谷真央を苦しみから開放してください!。彼女は存在しない未来に苦しんでいるの……!」
「存在しない未来……中々興味の沸く話しだ。続け給え」
「はい……」
詩織は自分とその周り亜種人間達に起きた出来事を話した。
「ふむ…思春期の子供の作り話にしては出来過ぎだし、君のあの異常な身体能力を鑑みれば……明らかに君は『戦闘経験』がある。銃器やナイフの扱い特にパリアンは小学6年生の少女の動きとは思えぬ。信じよう君を。渋谷真央さんは私が治そう」
「本当に……やった……!やったぁ!」
暫くしたことのない嬉し泣きを最高の場面で迎えられたのを詩織は最高に思った。
「フロイライン詩織。君は少々活発なようだから何か怪我を……君だけでなく周りの友人がしたら私の病院に来なさい。君の勇気に免じて私も医師として答えよう」
「本当にありがとうございます……ノア先生」
詩織は深々とノアに頭を下げた。
詩織「因みになんですけど……あのチェーンソーのおっさんやおばさん達は何だったんですか?」
ノア「あぁ。私の実験対象さロボトミー手術を受けさせ身体能力の向上に成功させたんだ。いやよくくぐり抜けたねフロイライン詩織。ハッハッハッハッハッハッハッ。安心したまえあの程度では奴等は死なん」
詩織「あ、なら良かったです」
この爺怖すぎと詩織は思った。