過去へ回帰する事に成功した詩織はまず初めに過去の両親に出会った。
「ハッ!」
詩織は目を覚ました。感触からして今寝ているのは自宅のベッドの上らしい‥‥。
汗なのかそれともあの湖の水なのか身体はびっしょり濡れていた。
壁に立て掛けてあるカレンダーには2016年と書かれてあった。
(私が小6の頃‥‥って事は過去に戻る事に成功したのか!)
奈落の不可思議な湖に落ちた恐怖は吹き飛び彼女は思わず「よしっ!」と声を出しガッツポーズを挙げた。
あの呪組事件が起きるまで後3年も時間がある。
うまく行けば呪組事件自体起こさない事も可能かも知れない。
彩菜や真莉を救える。藤沢総一郎の魔の手から。
(けど、なんで小6の時なんだろ?。別にこの時は藤沢総一郎の魔の手は何も‥‥)
そこまで考え彼女はハッとした!。
魔の手は伸びていたのだ。詩織ではなく真莉の家族に‥‥。
「こうしちゃいられない!」
詩織が自室の扉を開けると両親が驚いた様子でこちらを見てきた。
「し、詩織。いきなりドアを開けるものだから母さん驚いちゃったわ‥‥」
「‥‥俺もだよ。まぁ何にせよ元気になって良かった」
母の
(あの本には真に信頼しあえた関係の人物に私の記憶を見せる事が出来る事が可能になると書いてあった‥‥。父さんと母さんにその足り得る信頼があるなら可能な筈ね‥‥‥)
「お父さん。お母さん。未来を見せるね」
「え。どうしたんだ?」
「詩織?」
詩織は目を閉じ二人に自分の記憶を伝えた。
「な、なんだこれは!?」
「詩織がこんな恐ろしい事を!?」
次々見せられる記憶に二人は驚きを隠せないようだった。当然だろう。
やがてその記憶はこれから訪れた『未来』の跡として本人達も―――――。
「ハァハァハァハァ‥‥。どうなってるのなんで私達は若くあの悲劇が起きる前の時代に戻ってるの‥?」
「分からんが‥‥。君の仕業だな詩織」
「うん‥‥」
両親の目つきが子を心配する目つきから軽蔑の目つきへと変貌した。
詩織はあれだけの事を仕出かした自分は殴られるとばかり思ったが飛んできたのは意外な言葉だった。
「全くこの子は無茶ばかりして!」
「え‥‥?」
泣きながら詩歌に抱きしめられ詩織は思わず呆然となる。
「急に私達の前から姿を消したかと思えば‥‥人殺しなんかに手を染めて挙げ句の果てに死にかけるなんて!」
「そうだぞ」
詩歌が抱きしめる中、一織は詩織の目を見て真剣な眼差しで語りだす。
「なんで俺達を頼らず仲間達の復讐に出ようとしたんだ。親に迷惑を掛けたくなかったんだろうがそれで親より先に死んだらどうするんだ‥‥」
最後の方は嗚咽交じりの声だった。
詩織は混乱していた。なぜ二人が自分を責めないのか。
両親からすれば娘はある男の元につき命令さえ下れば人を殺すコマに変貌して居たのに両親はそんな詩織に未だに愛情を向けてくれているのだ。
「ど、どうして怒らないの……?。私はあんな事を仕出かした上にお父さんとお母さんの元から急にいなくなってこの手を血で染めたのに‥‥」
「貴女がいくら人を傷つけ殺そうと貴女は私達の娘なのよ。愛さないわけがないじゃない‥‥!」
「それにこの時代では君はまだまっさらな子供だからな。もう人を殺させたりはしないぞ」
「お母さん。お父さん‥‥‥ありがとう」
泣きながら詩織は言う。
参ったな。と思った。
未来の記憶を持ち過去に回帰した程度ではとても敵わない。
流石は自分の両親だ。
そんな互いを信頼しあえた両親だからこそ頼み事があった。
「お願い車を出して真莉のお父さんが危ないの!」
「あぁ!。君のおかげで私達も記憶を取り戻した!今すぐ結城さんを助けに行こう」
「そうね。早く行きましょう!」
(待っててね真莉‥‥!)
奥井家3人を乗せた車は出発した。