※この作品はR-18です。

復讐教室 ーevil must dieー   作:獄華

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 明けましておめでとうございます


救うべき人

 

 

 

 

 

『贅沢な生活(くらし)はいらないけど‥‥毎日食卓に綺麗な花を飾りたい』

 

 

 

 

 

 

一人の男性は曾て妻、愛莉(あいり)に言われ娘に伝えた言葉を思い出しながら寂れた工場に一人立っていた。

彼の名前は結城真(まこと)。

呪組事件で舞台を舞った結城真莉の父親である。

彼は小さな町工場の社長だったが大手の藤沢グループに目を付けられてから、従業員を次々と引っこ抜かれた。

‥‥‥そこからは坂を転がる石のように全てが悪循環となる。

次々と銀行から融資を受けられなくなり資金繰りに行き詰まり‥‥‥そして遂に工場は倒産に追い込まれてしまったのだ。

 

 

 

 「はははは‥‥‥。私も終わりだな。だがこれで愛莉と真莉が私の負の遺産から抜け出せるなら私一人の命など―――」

 

 

 

 

 「安いものだ」

 

 

 覚悟を決め、真は脚立を登った。

 天井から吊るされた縄で自分の首を括ろうとした時だった。

 

「待ってください!!」

 

扉が大きな音を立てて開かれる。

真が振り返るとそこには肩で息をする短髪の少女がいた。

 

「君は‥‥‥真莉の友達の詩織ちゃんだったかな?」

 

 

 

「そうです‥‥!。真莉のお父さん!」

 

詩織の後ろにはもう2つの影があった。

 

「俺達も居ますよ。結城さん」

 

 詩織の両親である。

 

「あぁ。奥井さん。この前の運動会はどうも……。それとこんなみっともない姿を見せてしまい申し訳ありません」

 

「いえ、そんなことはいいんです!それよりどうしてこんなことを!?」

 

「私はもう疲れてしまったのです。藤沢グループに目を付けられたばかりに真莉や愛莉には苦労をかけてしまいました……挙げ句の果てには倒産だ」

 

「だからと言って自殺なんて間違っています!!。お願いします!考え直して下さい!!」

 

必死になって止めようとする詩織を見て、真は笑った。

 

「ありがとう最後に止めてもらえるような暖かい人達に出会えて良かった‥‥もう思い残す事はない。真莉をお願いします」

 

 

 「ダメっ!真莉のお父さんが死んだら真莉や奥さんはもっと苦しむ!」

 

泣き叫ぶ詩織の声を振り切り、真は首に縄を巻き付けようとしたその時だった。

詩織は近くにあった鉄板を放り縄を切断してみせた。当然首を括ろうとした真の体はそのまま地べたに落っこちる。

その人間離れした衝撃的な光景を目の当たりにした3人は絶句する。

 

 実際『それ』を味わった真なら尚更だ。

 

 

「君は何てことをしてくれたんだ!」

 

 

しかし真に湧いた感情は喜びや安堵よりも怒りだ。

 

「私にはもうこれしかなかったんだ!。私さえ死ねば借金はチャラになる!何故その邪魔をしたんだ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「詩織‥‥!」

 

真に何かされるのではないかと、母親の詩歌は止めに入ろうとしたが旦那の一織は詩歌を静止させた。

 

「あの子から強い意志を感じる。あの子に任せよう」

 

「‥‥分かったわあなた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんなの決まってるじゃない‥‥‥。おじさんが死んだら真莉が壊れるからだよ!」

 

 

 「なんだと‥‥?」

 

 

 「真莉は私達と話す時よくおじさんの事を話すの!。とっても楽しそうに‥‥!。あの子の花が好きな理由だっておじさんのおかげなんだよ!」

 

 

 「花?‥‥あぁ、真莉は君や友人達にも花の話をしていたのか‥‥‥」

 

 「うん‥‥‥。だから死なないで‥‥‥!」

 

 泣きながら言う詩織に真は戸惑う。

 

 「だが私が生きていては真莉や愛莉に借金を背負わせてしまう‥‥私のせいで二人を、ひいては真莉の夢を壊してしまうと考えるのが怖いんだ‥‥」

 

 

 「その事なんですが結城さん。良ければ俺が製造課の課長を務めている、塚本製作所で一緒に働きませんか?。貴方のその技術はきっとうちでも役に立つはずだ」

 

 「い、いいのですか‥‥?」

 

 一織の言葉に真は涙を流した。

 

 「もちろんですよ。結城さんもっと早く俺達を頼って下されば良かったのに。一人で思い詰める必要なんてなかったんですよ」

 

 

 「えぇ……。そうですね……。本当にありがたいです」

 

真は立ち上がり深々と頭を下げた。

ここが倒産するのは確かに悲しいが、いつまでも悲しみに明け暮れて居られないことを真は実感した。

今度はその塚本製作所で死ぬ気で働き家族を養えばいいのだ。

 

「ふぅ‥‥」

 

 

 疲弊して痩せ細って今にも死にそうだったがまた新たな目標が出来た事に安堵の息を真は漏らす。

 

「ありがとう詩織ちゃん。君のおかげで私はまた頑張れそうだ。娘だけじゃなく私まで支えられてしまったね」

 

 真莉に何かあったら、『前の時』も詩織や真央が助けていた。その事を真莉から聞いたのだろう。

 最も詩織も真莉に助けられた事は数え切れないが。

 

 「いえ。私も小6なのに偉そうな事言ってごめんなさい。でもおじさんが元気になってくれて良かったです!」

 

 「あぁ‥‥‥ありがとう」

 

 「えへへ!」

 

 実の娘を撫でるように詩織を撫でる真。

嬉しそうにする詩織を見て両親は微笑ましく思った。

そして真と奥井家は工場を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、真莉は嬉しそうに詩織と話していた。

 

 

 「それでね。塚本製作所で働けるようになってお父さんまた元気になったのよ!」

 

 「良かったな真莉」

 

 「立役者がなに謙遜してんのよ!詩織や詩織のお父さんお母さんが私のお父さんを助けてくれたんだから!」

 

 「私達は後押ししただけ立ち上がったのは真莉のお父さんの力だよ」

 

 

 「全く二人共、真莉の親父さんの話しでここ数日めっちゃ盛り上がってんなー。まぁ嬉しい事なんだけど!」

 

 

 そこにもう一人の親友であり同じく舞台を舞い火傷をした真央がやってきた。

 

 

 「そうだな。真莉、真央、今日家に来れる?」

 

 「行けるけど?」

 

 「私もでもどしたの急に?」

 

 

 「ちょっと大事な話しがあるの」

 

 

 神妙そうに言う詩織に二人は少し顔を顰めながらも首を縦に振った。

 

 

 

 (真莉、真央。幼い時からの親友としてのあなた達を信じてるからね‥‥)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ‥‥‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 「俺のピースが少し狂ったか」

 

 

結城真が奥井家に諭され自殺を諦めた一部始終を暗闇の中から一人の少年が呟いていた。

 

 「奥井詩織‥‥。何者だあの女?。小6にしては中々度胸もあるし何よりあの歳にそぐわない身のこなしだ」

 

 

 

 

 真と奥井家が寂れた工場から出てくる姿を見て少年は舌打ちした。

 

 

 「まぁいい。不幸なんて人の数程あるからな」

 

 

 不敵な笑みを浮かべ少年は夜の闇に姿をくらませた‥‥‥‥‥。

 

 

 

 

 





 バイオ4ばりのアクション描写入れようか考え中。
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