「いたた!‥‥‥んで真央の様子はどうなの?」
「まだ彩菜の事を怖がってるわ。いった!思いっきり引っ張りすぎ!」
彩菜と真莉は近場の白咲公園でストレッチをしていた。現在取り組んでるのは後ろ向きに腕を組み合い相手を背中に乗せ引っ張り合うと言うものだ。
あまり二人共運動してなかった為か相手を持ち上げる度にバキバキと骨が鳴った。
何故二人がストレッチに取り組んでるのか‥‥‥そもそもこのストレッチ自体は準備運動だ。
本命は今はこの場にいない詩織が教えてくれた『体術』を身に着けるに他ならない。
―――数日前。
「来たよ詩織」
「お待たせー」
「おう!。ありがとう来てくれて‥‥‥彩菜!、真莉!」
当時の復讐劇中の邪気がこもった表情はなく三人共皆、活き活きとした顔だ。
彩菜とコンタクトを取った次の日にあたるこの日、彩菜と真莉は詩織に白咲公園に呼び出された。
この日は土曜日であり、午前10時と言ういい塩梅の時間で3人は集合していた。
(詩織に悪気はないんだろうけど‥‥‥この公園は‥‥‥)
今では別の
『昨日?あぁ…塾と家でゴタゴタして忘れてたわ…』
『家で友達と電話なんてしたらママがヒステリー起こすわ…!』
『じゃあもぅ友達やめましょ!』
消えた未来の記憶に彩菜の眼から涙が零れ出た。
人とは何なのか。集団になれば狂う事もあり互いに作用しあい……その人物自体を追い詰め激変させてしまう。
ウイルスのように、あの復讐劇が起きた時皆狂い壊れかけていたのだと彩菜は切に思った。
泣く彩菜を詩織は抱きしめてくれた。
「どうしたんだ?何か辛い事があったか……?」
「前の時間軸の未来で私はここで結子と待ち合わせしたけど来なかった……内容は貴女達の私に対するイジメの相談だよ」
詩織も真莉も何処か申し訳なさそうな眼でこちらを見てきた。
「ごめんな‥‥。そんな大切なこと知らずに私ただ皆が集まりやすいかなって理由でここ選んじまった‥‥」
「‥‥場所変える?」
優しく尋ねる二人に彩菜は首を横に振り、口を開いた。
「確かにこの場所は悲しい場所なのは事実。だったら――――」
彩菜の熱意を帯びた目を見開かせた。
「ここから今度は未来を切り開く!貴女達と一緒にね」
意を決した彩菜の台詞に真莉と詩織は笑いながらそれぞれ頷いた。
「当然よ!クソッタレな未来をぶち壊してやりましょう!」
「あぁ!その為に強くろう!」
場のボルテージは申し分なく三人のテンションも充分過ぎる程だ。
この日から詩織は自己流の『体術』を二人に教え始めた。
空手をベースに詩織がアレンジしたもので、拳や蹴りで敵を蹴散らすメレー。
武器(ナイフ、棒など)を用いて敵の攻撃を防ぐパリィ。
「まぁ。こんな感じかな?」
「す、凄い‥‥」 「ちょっと人外じみて無い?」
詩織が動きを実践して見せたが、到底二人には難易度が高すぎる。
「大丈夫さ。彩菜と真莉ならきっと出来る‥‥‥あの苦しみを己の力に変えて存分に暴れ回った二人なら」
「そう言われても‥‥。詩織みたいなレベルにまでなれるかしら?」
「同感ね‥」
「私がコーチするから心配すんな!さぁやるぞ彩菜!真莉!」
「うん!」 「分かったわ」
こうして訓練の日々が始まったのだ――――。
そして現在に至る。
「拳で相手を怯まして、よろけてる隙に更に蹴りで追撃か」
「今の私達の動作速度じゃまだまだその域に達しそうにないわね‥」
「でもやるしかないよ。あいつら二人から身を守るのと、強くなる為にもね」
「そうだけど今日肝心の詩織コーチは真央の元に行っていないのよねぇ。イメージトレーニングじゃいまいちどう相手が動くか思い浮かばないし‥‥」
「けどやらなきゃ」と彩菜が口にする前に大きな声が響いて来た。
「
「
「黙りなさい!貴女の日本古武!敵ながら天晴です!しかーし私の中国武術も負けてないですよ!」
カチューシャをしたショートヘアーの彩菜達と同じぐらいの女子がこれまた同じぐらいの歳のお団子ヘアの女子に絡まれていた。
「なんか会話の内容が中々物騒何だけど‥‥」
「あっちの子は中国人?とにかく止めに‥‥!」
「そこの貴女。こっちに来たら危ないわ。この子の対処は私に任せて」
珠璃碧と呼ばれていた少女は彩菜にそれだけ告げると蘭麗の方を向いた。
「ふっふっふっふっふ!覚悟を決めたですか珠璃碧!」
「えぇ。二度と色んな場所で貴女が戦いを挑めないようにきっちり教えて上げるわ」
「なめんなですー!
珠璃碧と蘭麗の戦いの幕が切って落とされた。