「あれ?リト、モモさんたちって今日どうしたの?姿が見えないけど…」
「ん?あぁ、今日は宇宙の王族同士の懇親会なんだってさ。明日の朝までには帰ってくるって言ってたぞ。」
「ふ〜んまぁいいけど。じゃ、言ってたと思うけど私今日お泊まりだから。お昼は適当に済ませちゃっていいからね。それじゃいってきまーす。」
今日、デビルークの三姉妹はパーティーでいない。普段は第一王女と第二王女であるララとナナだけがパーティー事には出席するそうだが、今回はデビルーク星が主催したためにモモまでも出席されられたそうだ。「せっかくリトさんとふたりっきりだったのに…」と愚痴を零していた。
「はぁ〜今日はどうすっかなー。猿山達も今日は用事があるみたいだし…」
「はぁ〜まったく今日は何をして過ごせばよろしいのでしょう…」
深くため息をついていると、似たような悩みを抱えてるであろう声が聞こえる。
「あれペケ?どうしてララたちについて行かなかったんだ?」
「あぁリト殿…それは簡単なことです。ララ様は宇宙を統べるデビルーク王の娘。そのような身分の女性が軽い衝撃だけですっぽんぽんになってしまうのを避けるためにお留守番という訳です。」
「でも、似たようなことは前にもあったんだろ?そういう時はいつも何してたんだ?」
「いつもはモモ様のお持ちしている書物をお借りして読んで見たりしているのですが…」
「その在庫も尽きてしまったと…」
「はい…」
「…なぁペケ。今日は俺と付き合ってくれないか?」
「リト殿とですか?」
「うん。ペケにも趣味があればいいんじゃないかって思ってさ。」
「趣味、ですか…はい。ではお願いします。リト殿」
「あぁ!そうと決まれば…ちょっと待っててくれ!着替えてくるから!」
まさかペケと休日を過ごすことになるとは…ペケって丸っこくい頭とか足がちょうどいいくらいに大きくて…結構可愛いんだよな…
◆
時は流れて数十分。俺とペケはひとまず彩南町第二公民館に向かった。ギターやピアノ、ドラムなど幅広い楽器を1時間一部屋分借りて体験出来ると話題のイベントがあると言うのだ。ペケいわく、「楽器を習得するのは王族お付きロボットとしてステータスなのです」だそうだ。
「1時間一部屋コースでよろしいですね。はい。はい。分かりました。学生の方であればご住所と電話番号の記入をお願い致します。」
係りの人に言われるまま少しのサインをして公民館の中へと入っていく。係りの人にやたらとペケのことを見られたが、男子高校生が抱えるサイズのぬいぐるみを抱いて現れたんだ。驚いたことだろう。
「ほぅ…意外と種類が多いですね…おっ、これはいい。リト殿、これはどうでしょう?」
「バイオリンか。いいんじゃないか?高貴な感じがしてペケのイメージにも合ってる。まぁ時間は延長してもいいんだから、いろんなのに挑戦してみようぜ」
「ええリト殿。ワタクシ挑戦してみます。」
「あぁ!その意気だ!まっひとまず引いてようぜ。」
「えぇ、ですがその前にやらなければいけないことがあるのを忘れていました。」
「えっ?それって一体…」
その時、ぺけの身体がぼうっと膨れ上がる。一瞬光が放たれたと思えば、そこには白とも銀ともとれる透き通った髪の色をした美少年が……なんか胸が膨らんでないか?この感じは…Bか。いや、男は女性の胸の大きさのイメージがおかしいと聞いたことがある。恐らくこれはA程なのだろう。
「さっ、これでバイオリンが引けますね」
ペケが弓に松脂を添付されていた説明書を読みながら丁寧に塗っていく。そしてバイオリンをその小さい肩に乗せ弓で弦を垂直に撫でていく。キーッ…と高い音が鳴る。説明書を何度も読み直し、細く長い整った眉を八の字に曲げる。
「んー難しいですねー。チューニング?というのも一体どこをきつく締めればいいのか…」
15分か20分ほどたった頃、ついにペケが根を上げた。
「まぁバイオリンだしな…そりゃ簡単には習得できないよ。」
「リト殿は何もしなくていいのですか?先程からずっとニマニマとこちらを見てはいますが…」
「え?俺、そんなふうになってた?」
「えぇ…それはもう優しいご表情でしたねぇ。」
どうやら俺のせいで気が散ってしまっていたようだ。今のペケの様な絵になる美少年……美少女が頑張っている姿を見るとそれだけで幸せな気持ちになれるんだ。
「俺は見ているだけで本当に楽しいんだよ。ほっこりする…みたいな?気にせずやってくれよ、ペケ。」
「地中人は不思議な感性をお持ちなのですね。」
㌧㌧…ガチャッ
「お楽しみ中失礼いたしまーす!アンケートへのご記入お願い致しまーす!」
いきなり扉が開かれたかと思ったら聞いたことのある声だ。その声の主は『沢田未央』だ。西園寺春奈や籾岡里紗の親友である。あまりToLOVEるではヒロイン的な扱いはされていないキャラだ。
「えっ?!結城がどうしてここに!?」
「そっちこそ…バイトでもしてるのか?」
「あったり〜!このイベントなぜか時給いいんだよね〜……っと。」
じろじろとペケのことを『沢田未央』が凝視する。見たことの無い子がいたので気になるのだろう。ちなみにいまペケは原作のような奇抜な服は着ておらず、クリーム色のセーターにワイドデニム、汚れ一つない白いスニーカーと白を基調とした服装だ。その容姿も相まって妖精のような風貌。こんなかわいい存在が目の前で頑張っているんだ。俺がニヤついてしまうのも無理もない。
「じゃ、じゃあね結城!えっと…あー楽しんでね!」
「あぁ、またな」
『沢田未央』がなにか言おうとしてたが、結局焦って出ていってしまった。一体どうしたのだろう。よく分からないが、お言葉通り楽しませてもらおう。
「ねぇ里沙!」
『はーいもしもし。どうし「至急援軍を求む!!」…た?』
「今春奈と一緒に公民館の近くいるんでしょ!?」
『う、うん…そうだけど。』
「結城が見たことないカワイイ子となんかいい雰囲気!今すぐ来て!私もすぐシフト終わるから!」
『わかった。じゃあ春菜に聞いてみ…『ゆっ、結城くんが女の子と!?』うん。大丈夫そう。ちょっとまってて。急いでいくから。』
『ちょっと里沙!?まだ私なんにも…』
ブチッ ピ-ッピ-ッピッ-
「よし、私もさっさと上がっちゃお」
〜後編に続く。
〜細かい設定
主人公(結城リト)以外でペケの擬人化した姿を見たことがあるor知っているのは、本編でその姿を見た美柑、ヤミ。そして小説版でモモとナナ、ララがペケの変身を見ても驚かなかったことから、既に知っていたこととさせて頂きました。