ーーー王国解放軍 野戦陣地ーーー
偵察と、その際に発生した公爵軍との小競り合いの顛末の報告を終えた俺は、鎧を従卒に預けた後、司令官用の天幕を訪れていた。
「お疲れ様でした」
「有難うな、シェーラ」
その天幕の主であるシェーラが改めて俺を労う。
現在はプライベートの時間のため、彼女は軍服の上着を脱いでいる。その下の白いシャツも、大きすぎる胸が苦しいのか大きく胸元までのボタンを開けているのだが、そこから見えるみっちり詰まった瑞々しい果実と深すぎる谷間は、男所帯の戦場では目に毒だ。
「公爵軍も大したことないわね。いくらテンガがいるとはいえ倍の数で襲ってきたのに簡単に撃退されるなんて!」
「おいおい、俺が負ければよかったのか? 酷いやつだな…」
「ち、違うわよ! 貴方の実力は知ってるし、心配してたわよ!」
俺が泣き真似をすると、フレイアが慌てて首を振る。彼女も上着は脱いでいるが、シェーラ程苦しくないのかシャツのボタンは首元まで止めているので谷間は見えない。だが彼女の巨乳が、シャツを大きく押し上げている様子もまた、十分に目に毒だ。
フレイアはこの解放軍の名目上の総指揮官だが、軍の実際の運用はシェーラが差配している。だが武芸に天賦の才を持つフレイアは、俺とともに最前線で戦い時には敵の指揮官をその剣で打ち取るなど、この戦争で大活躍している。
そのためいつしか共に戦う兵士たちからは、シェーラは“智慧の女神”、フレイアは“炎の女神”と呼ばれ敬われるようになっていた。
そして二人とともに常に最前線で戦い続ける俺も、仲間の兵士たちからは“女神の守護騎士”、敵からは“悪魔騎士”と呼ばれるようになっていた。
下手に兵士達の輪の中に入ると周りが萎縮してしまうため、こうして3人で集まる一時が、唯一気の休まる時間だ。
今では立場があるため公の場では言葉遣いに気をつけないといけないが、この場では昔のように気安く話せる。
「テンガのお陰で敵の斥候は撃退できた訳だし、明日の決戦も余裕ね!」
「おいおい、戦う前から油断すると足元を掬われるぞ?」
「大丈夫よ! わたしがいてテンガがいて、シェーラが指揮をするんだもの。質も数もこっちが勝ってるのに負けるはずがないわ!」
そう言ってフレイアが胸を張る。
そうすると豊かな胸が強調され、眼福だが今は目に毒だな…。
「ふふ、そう言って下さると嬉しいです。でも、軍を指揮する当代のゴドフリー公爵、レオは若いですが曲者です。たとえ数で勝っていても油断はできませんよ?」
「ほら、シェーラもこう言ってるぞ?」
「ぐぬぬ、あんなやつ私が速攻で首を刎ねてやるんだから!」
シェーラに釘を刺されたフレイアは悔しそうにしながら、お姫様とは思えない物騒な台詞を吐く。
その様子を楽しげに眺めていたシェーラは表情を引き締める。
「頼りにしてますよ? 勿論テンガも」
「当たり前よ!」
「ああ、任せろ!」
頼れる幼馴染の激励を受けた俺達は改めて、明日の決戦に向けて気合を入れた。
ーーー王国軍 宿営地ーーー
「公爵閣下! 偵察部隊が帰還しました!」
「ああ、報告を聞くとしよう」
解放軍の陣地から決戦予定地の平野を挟んだ丘の上に設営された宿営地で、王国軍を率いる司令官レオ・ゴドフリー公爵は事前に偵察任務を与えていた部隊から報告を受けていた。
「なるほど、悪魔騎士か」
「は! 倍の数で攻撃しましたが力及ばず敗走してしまい、誠に申し訳ありません…」
「問題ない。それに任務は果たしたのだろう?」
「は!ご命令通りの問題なく!」
「ならば良い、敗走の不名誉は明日の決戦で雪げ。」
「ありがたく!」
斥候部隊の隊長は背筋を伸ばし、どこかホッとした雰囲気をさせながら司令部の天幕を出ていった。本人は任務を果たしたはいいが、敵に敗走したのも事実なので罰が与えられるかもと恐れていたため、特に懲罰もなく労われたことで安心したのだろう。
現在この丘に宿営している軍団は、王国解放軍を討伐するため、王国軍とゴドフリー公爵家の私兵を中心に組織された。国軍と国内で最大の権力を握る公爵軍では下手な人物が指揮官になると不都合となるため、また連携不足では確実に敵の指揮官“雌狐”シェーラの用兵に絡め取られるため、公爵であるレオが直々に総司令官として着任している。
スラリとした長身に蒼みがかった黒髪をオールバックにまとめ、蛇のような冷たい瞳をした整った顔立ちからは、彼が落ち着いているのか、それとも苛立っているのか読み取ることは難しい。
レオは温くなった黒茶を飲み干し、参謀達と共に翌日の決戦に向けた作戦を確認する。
「解放軍…失礼、反乱軍はリーゼフォン侯爵家直轄軍の5000に加え、侯爵家の傘下の貴族軍が約3000、ここにこの反乱で侯爵派に寝返った貴族達の私兵4000が加わり、合計約12000です。後方支援の人員を加えるともう少し増えますが、戦場に出せる数はこの数から大きく変動はしないでしょう。」
「対してこちらは王国軍5000に公爵家直轄軍が3000、そして周囲の貴族達からかき集めた私兵が2000の約10000ですか。あの雌狐やお転婆姫、それに悪魔騎士がいることを考えるとなんとも心許ないですなあ!」
真面目そうな若い参謀が反乱軍の戦力を報告し、討伐軍の副将を務める王国軍のベテラン将軍が豪快に笑う。
「問題ない。当初の予定通りの陣形でゆく」
「しょ…承知しました」
「…公爵閣下、先代殿は?」
緊張気味に返答する参謀に対して、将軍は上司であるレオに奇妙な問いかけをする。
「あの男なら天幕で休んでいる。“わずわらわしい雑務は任せる”と言って女を連れ込んでいたよ」
「わはは! あの方らしいですなあ!」
レオが表情も変えず、とある人物の動静を伝える。周囲の参謀達や王国軍の指揮官は眉をひそめるが、公爵軍の指揮官達だけはいつものことかと呆れた顔をしていた。
王国軍所属ではあるがレオの父、前公爵グレンと共に戦った経験も持つ将軍だけは愉快そうに笑っている。
その後、部隊の配置の最終確認の終わった後、参謀や指揮官たちは天幕を後にする。
レオもまた司令部の天幕を離れ、宿営地の奥にある、豪奢な天幕の中へ入っていく。
天幕の中は獣のような男の唸り声と女の嬌声、そして汗と情欲の混じった独特の匂いで満ちていた。
「会議は終わりました。 部隊配置は予定通りです。」
レオは表情を変えることなく、目の前で獣のような唸り声を上げながら全裸の女を抱く、同じく全裸の筋骨隆々の大男に語りかける。
「おお、レオか!? 少し待て、もう終わらせる」
「ああ♡っはぁ…♡ぁぁ゛ああ♡♡゛!」
そう言って男は腰の動きを加速させ、彼に組敷かれその剛直で貫かれた美女は抵抗することなどできるはずなく、より甲高い喘ぎ声をあげる。
組敷かれている亜麻色の髪の美女は、豊かな胸を男の無骨な手で揉みしだかれ、舌でその頂きを舐められる度に甘い喘ぎ声を発し、その股間からは愛液を垂れ流し男の剛直を受け入れている。
レオは、男の下で喘ぐ美女が先日討伐軍の協力を拒んだ男爵の妻であり、男爵家が攻め滅ぼされた後に降伏した男爵の目の前で泣きながら犯されていた事を思い出す。
その際は、涙を流しながらも気丈に自分や、現在自分の上で腰を振る男を睨みつけ罵倒していたはずだが、今では男の肉棒を喜んで受け入れ、歓喜の声をあげている。
「さて、名残惜しいがそろそろ時間だ。さあ中に出すぞ!」
「はい! たくさん、わたくしの中に出して下さいグレンさまぁ!」
男が力強く、剛直を美女に突き刺す。
その衝撃が止めとなったのか美女は声にならない声を上げて背中をのけぞらせる。
美女の絶頂に合わせて、男を腰を震わせ、己の欲望を美女の膣内へと余すところなく注ぎ込む。
「いぃい♡くぅう…♡」
「っ…ふう、なかなかいい身体だ。この戦が終わってから改めて可愛がってやるぞ」
「はいぃ♡」
男は美女から逸物を引き抜き立ち上がる。
全裸の彼に、天幕に控えていた侍女が彼の肩にガウンをかけ、まだまともに体を動かせず荒い息を吐く美女に毛布を掛けた後、天幕の奥へと移動させた。
「…明日は決戦なのだが?」
「俺が抱きたいときに女を抱かせる、それが今回の戦争でお前に従う条件だろう? 」
悪びれる様子をかけらも見せない男、先代公爵グレン・ゴドフリーは豪快に笑った。
レオは父であり、7年前に自らが公爵位を奪い田舎の屋敷に幽閉した男に向かってため息をつく。
「幽閉されて頭が冷えたと思ったが、思い違いだったようだな」「お前にあてがって貰った女達を抱きながらの引退生活も悪くなかったが、やはり他人から奪った女を抱くのは格別だ。」
「貴方のその悪趣味のせいで私がどれだけ苦労したと思っている?」
「だからお前に公爵位をくれてやったし、大人しく幽閉されてやってただろう?」
ゲラゲラと笑いながらグレンは息子の肩を叩く。
相変わらずの父の様子にため息をつき、この女好きで身勝手な、だが戦争に
「この配置なら、あのお転婆姫と悪魔騎士さえ抑え込めば勝てるでしょう」
「ふん、手堅く穴は無いな。俺にお姫様とその腰巾着を抑え込めと?」
「ああ、できれば相打ちで死んでくれれば尚良だ」
レオが冷たく言い放つ。
グレンはそれに気を悪くすることなく、だが真面目すぎる息子に提案する。
「言うようになったな! だが、俺はそいつらと戦うつもりは無いぞ?」
「…命令違反をすると?」
「いいや、あの二人なら俺がいなくてもなんとかなるだろ?
俺は欲しい女を手に入れに行く」
「…女? ……おいまさか!」
グレンの言葉に首を傾げたレオは、彼の言葉を理解しその顔を驚愕に歪める。
「なーに、お前達は予定通り戦っておけばいい」
「……」
レオは頭を抱えながらも、こと戦いに関する限りこの男を自由にしたほうが勝率が良いことを知っているため渋々承諾する。
「私が殺されたら、公爵家は弟に継がる。貴方はその後見を。弟と家臣達には3年程で貴方を元のように幽閉するように伝えてある。」
「おう、せいぜい殺されるなよ!」
レオは再び溜息をつき、明日に備えてさっさと休むために天幕を出る。
「あの男が本気で戦ってくれるなら、我々は勝てる…。
哀れなのは、あの男に目をつけられた雌狐か…」
レオは、他家の妻を何人も寝取り恨みを買いすぎた父親から公爵位を剥奪し、幽閉した過去を思い出し、敵手であるシェーラ達に同情の言葉を口にした。
次回は戦争回。
簡易人物紹介
④レオ・ゴドフリー 26歳
現ゴドフリー公爵であり、宰相と共に前王を弑逆し幼い新王を傀儡とする極悪人と敵対派閥からは忌み嫌われている。ただし、破天荒かつ傍若無人な父親を見て育った為、生真面目で堅物な性格になった苦労人。あまりにも素行不良な父に家臣すら辟易したため彼らに懇願され父を幽閉し若くして公爵となった。
見た目はインテリヤクザだが父親に鍛えられたため戦うと普通に強い。
⑤グレン・ゴドフリー 44歳
前ゴドフリー公爵にして戦の天才。王国最強の武人であり指揮官としてもほぼ負け知らず。ただし女好きで無駄に権力も知恵もあるため政敵の妻を寝取りまくり、それでは飽き足らず自派閥の貴族の妻も寝取り始めたため息子に幽閉された。本人も流石にやりすぎたのと、政治なら長男のレオのほうが優秀だと理解しているため大人しく隠棲していた。親子仲はそこまで悪くない。
認知している息子が8人に娘が5人、その他にも隠し子が大量にいた。幽閉される際に隠し子の後見を長男に頼んだらマジギレされ危うく処刑されかけた。