いつも通り多くは後書きで語るとしましょう。
「……ふはっ!?」
最近、寝覚めが悪かった。低血圧のように起ききれないというわけではなく、夜中に何度も悪夢で目が覚めるのだ。
もっとも、現実も悪夢とは対して変わらないのだが。
「ああ……」
かれんは喪失感に身を包まれていた。乙女の純潔。それを無理矢理奪われたのだ、それもよく見知ったかつての仲間に。
それと同時に得たものもある。それを本当に望んでいたかは別として。
「んっ……」
はだけた胸元から覗く双乳の先端が、牢屋の壁に擦れた。たったそれだけで、双肩がビクッと反応する。
無駄な感度。少し前、とある人物に一昼夜犯し尽くされた。その時に純潔を奪われただけでなく、徹底的に双乳もなぶられた。
その感触は今でも身体が覚えており、ことあるごとにうずき求めてくる。
(抑えなきゃ……負けたら……いけないっ……!)
人間の三大欲求である性欲を強靭な精神力で押さえつけるかれん。
まだ彼女は負けていない。
薄暗い廊下の奥から音がする。何者かの足元だ。
正体は小柄な女性社員だった。絶望の仮面の下の表情は伺い知ることはできないが、それもいつものことだった。
「相変わらず律儀ね……見回りかしら?」
「……違う」
「そう」
いつも通りの会話を切り上げて……いや待て。本当にいつも通りか?
ナイトメアの社員は命令を自分の能力の範囲内で忠実に実行する下僕だ。そこに自分の意思などなく、当然口を開くこともない。だとすればこの社員は……、
「待ちなさい」
何事もなかったように立ち去ろうとする社員をかれんは呼び止める。
「……」
そこで立ち止まること事態、この女性が社員であれば取りえない行動なのだ。
「あなた、ナイトメアじゃないわね?仮面を取りなさい」
「くくく……」
仮面の奥からこもった笑い声が聞こえる。今まで見馴れた無口無表情の社員とは違い、喋りはするし笑いもする。
「……あはっ、バレちゃいましたぁ?」
「……どうせそんな所だろうとは思っていたけど……!」
ナイトメアのスーツ……といっても普通のスーツだが……を纏い、絶望の仮面を舌足らずな口調と共に外す。その下の顔はかれんもよく知った顔だった。
「うらら……っ」
春日野うらら。かつてキュアレモネードとしてプリキュア5の一角を彩り、ピンキー確保に奔走した頼もしい仲間のはずだった。
それが今はどうだろう。プリキュアの衣装すら脱ぎ捨て、名残といえば手首に巻いた変身アイテム『ピンキーキャッチュ』くらいなものだ。
「身も心も売ったかうらら!誇りはどうした!答えろ!」
「もう……キンキンわめかないでくださいよ」
鬱陶しそうにうららは顔をしかめる。明らかに人を下に見た態度……こんな姿は見たことがなかった。
「私はぁ、今ナイトメアでそれなりの地位を得たんです。当然部下もできました。上司ですよ上司、わかります?」
「質問の答えになっていない!」
髪を振り乱すかれんの姿はさながら山姥もかくやというほどである。かれんの知るうららならば目尻に涙のひとつでも浮かべていただろうが、今は違う。
怖がるどころか逆に前進し、かれんの真正面に立った。
「私がここにきた理由、わかります?」
意味ありげに微笑み、可愛らしく小首をかしげる。だがそれすらかれんの怒りを買った。
「知るか!ナイトメアのすることなど私の知ったことじゃない!」
「あー怖い怖い。わからないんなら教えてあげますけどね」
そういうとうららは仰々しくかれんの前で直立し、
「今日からかれんさんの拷問を担当させていただきますっ、ナイトメア尋問部部長、春日野うららですっ。てへっ」
小さく敬礼しながらいたずらっ子のように舌を見せるうらら。
絶句してもはや声も出ないかれんに構わずうららは続ける。
「私が担当になったからには絶対に吐かせてみせます。どれだけ我慢できるか見物ですねっ」
楽しそうに話すうららだが、内容は最悪だ。かれんはもう何も言い返さなかった。
「というわけで……かもーん」
パチンと指を鳴らすと、廊下の闇から社員が二名姿を表す。胸には『拷問部』とのバッジがある。
「手塩にかけて育てた部下です♪……それじゃあよろしくね」
「……」
無言で社員は頷くと、二人はかれんの牢屋に遠慮なく侵入する。その手には……手錠と鎖。
「な……何を……放しなさい!」
力でかれんを押さえつけ、両手を手錠で拘束する。そしてそれに繋がれた鎖を上部の突起に引っかけた。
「……っ……っ!」
いくら力を込めても外れないことを確認すると、万歳の状態でうららを睨み付ける。
「……悪趣味ね」
「あは♪私の拷問を受けて耐えきれるとか思ってます?」
そういうと、うららは何事か部下に指示する。忠実な下僕はすぐさま行動に移した。
「うふふ……もうちょっとですからね」
社員が持ってきたのはおもちゃ箱のような箱だった。それぞれ四十センチほどの立方体だが、二人ががりで運んでいることからそれなりの重量があるようだ。
「……それが拷問道具かしら」
「やだなあ、かれんさん。道具とかそんな無骨な言い方はよしてください。玩具ですよ玩具」
嫌な予感しかしなかった。『玩具』という響きはここ幾度かの拷問を味わったかれんにとって、別の意味の想像をさせた。
「えっと……これもいいけど……やっぱり……」
ごそごそと箱の中を漁るうらら。なかなか目当てのものが見つからないようで、ああでもないこうでもないと言いながらしばらく経った。
「……あ、見っけ!」
腕を箱の底まで突っ込んで、なにやら紐状の機材を引っ張り出した。
ひとつの四角い小さなスイッチから、二本の黒いコードが伸びている。コードの先端は金属製の洗濯バサミのような形状をしており、何かを挟めるようになっていた。
「それじゃあ始めますねー」
うららはハサミの部分を開くと、露になっているかれんの双乳の先端を挟み込んだ。
「くっ……」
挟む力は最低限で痛みはまったく感じない。だが金属独特の冷たさに、ビクッと身体が反応してしまった。
「かれんさん、こんなので感じてたらあとがもちませんよ?」
「うるさい……!」
あくまでも気丈に反抗するかれんに、うららは呆れたようにため息をつき、
「まあいいですけどね……じゃあ、スイッチ入れますよ」
グイッとレバー式のスイッチが一気に最大まで倒された。それと同時にかれんの身体に文字通り電流が走る。
「くっはあぁぁぁぁ……」
電流といってもかなり微弱で、苦痛などは一切ない。むしろ全身の肌を敏感にさせられていくような感覚。
「さーて、まずはこれで盛り上げていきますよー。意外と気持ちイイんじゃないですか?身体に電気を流されるって。かれんさんってばドMですもんねー」
「……っ!黙れ!」
「そろそろいいかな?」
かれんの激昂を受け流し、電流バサミを取り外す。すっかりできあがったかれんの身体はじっとりと汗ばみ、双乳の先端が固く自己主張していた。
「節操のない身体ですね。こんなので準備万端ですか」
「……くそっ」
否定できないかれんは、悔しさと恥ずかしさが入り交じった表情で目を逸らす。
「じゃあまずは自慢の部下の愛撫受けてください。声は遠慮なくどうぞ」
「くっ、やめろ!触るな!」
かれんの気迫に動揺した様子もなく、さわさわとしなやかな指が身体中を這い回る。よく見れば二人とも女性だ。
「んっ……んんっ……」
女性ならではのなめらかな手つきがかれんを追い詰める。だが愛撫は大事な部分には決して触れず、双乳の裾野や内腿を撫でるように刺激する。忘れた頃に双乳の先端を擦るように弾かれ、甘い吐息と共に喘ぎ声が漏れる。
「もどかしいですよね?全身まさぐられて、それでも性感体には触れてくれなくて……」
「……黙りなさいっ……!」
徹底した焦らし責めに、かれんの身体は火照り始めていた。絹のような肌にはうっすらと汗が浮かび、乱れた呼吸はえもいわれぬ色気を感じさせる。
かれんは言い返すがうららは涼しい顔だ。抵抗できないことをいいことに、その手が素早くスカートの中をまさぐった。
「ひゃあ!?……あうっ……」
「そういえばスパッツ破かれたままでしたね。それにしても……うわぁ、直に触られてもないのにこの濡れようですか」
まるで気味の悪い虫でも見るかのような目付きで自分の手を見るうらら。その手にはかれんの愛液がたっぷりと付着していた。
「ほらほら、わかりますか~?かれんさんのえっちなお汁ですよ~」
自分の愛液を顔に塗りたくられ、恥と怒りにかれんは一瞬我を忘れた。
「……ぺっ」
人に向けて唾を飛ばす。普段のかれんからは想像もつかない低俗な振る舞いだった。
さらに幸か不幸か唾はうららの頬を汚し、その楽しむような顔から一気に表情が消える。
しまった、とかれんは思った。下手にここで怒りを買うと拷問が私刑になりかねない。あくまでも自分は囚人、立場は向こうが上なのだ。
スッ……とうららの手が振り上げられる。かれんは観念し、歯を食いしばって目を瞑った。
だがいつまで経ってもくるはずの張り手がこない。恐る恐る目を開くと、先ほどまでの冷たい表情が嘘のように柔和な笑顔を浮かべるうららがいた。
「もう……はしたない行動は慎んでください、かれんさん?」
「……」
毒気を抜かれたようにかれんは口を閉じた。だが未だに愛撫は続いており、全身の性感体が疼きをやめない。
「そろそろできあがりましたか?」
うららはそういうとあの箱に手を突っ込み、あらかじめ決めていたであろうモノを取り出す。
「どうですかれんさん。これなんかぶちこまれたら最高だと思いませんか?」
「なによ……それ……」
「もう……わかってる癖にぃ。バイブですよバイブ。これがかれんさんの中に入って滅茶苦茶に掻き回すんです。想像しただけでイっちゃいそうですか?」
うららは手に持ったバイブを揺らしながら面白そうに聞いた。かれんの目の前でピンク色のバイブがゆらゆらと動く。
その瞳にあるのは恐怖、嫌悪、そして……わずかな期待。
「入れられたらどうなるのかな……とか思っちゃったりしてます?」
「……っ!そんなわけないでしょう……!」
図星をつかれ、しどろもどろに返すかれん。慌ててバイブから目を逸らし、気持ちを落ち着かせようと努力する。
だがそんな時間うららが待つはずがなかった。
「じゃあ入れますねー」
「ちょ……やめ……はあぁん!」
すっかり濡れていたかれんの秘裂は抵抗なくバイブを受け入れた。異物を挿入されるという恐怖心があったが、徐々にはしたなくも快感が芽生え始めている。
「っ……くっ……」
「あれれ!挿入だけで凄い感じようですね。じゃあスイッチを入れたらどうなるでしょうね?」
「スイッチ……って何のこと……はあああぁぁ!」
ヴゥゥゥン……とバイブが低い振動音をたててかれんを蹂躙した。
「はあっ!あんっ!くああああぁ!」
「ああ、処女も失ってましたね。じゃあ何にでも反応するビッチですか」
うららはさらに捻りも加え、かれんの快楽中枢を破壊するが如く追い詰める。暴れるかれんを社員が二人で押さえ込み、より股を開かせようと足を絡ませた。
「ああっ!だめっ!あっ!イ……くっ……」
もう限界だった。以前受けたピストンに加えて強烈な振動も組み合わされては、イくのを我慢しろという方が無理だった。
(くっ…恥ずかしいけど……我慢なんて……無理っ……)
事務的に送り込まれる快感に、ついには屈しようとした時だった。
「おっと……まさか自分だけ満足にイけるとか思ってませんよね?」
バイブを引き抜き、勝ち誇った表情を浮かべるうらら。バイブからはかれんの愛液が糸を引いている。
「ぐっ……くっ……」
絶頂ギリギリでの寸止め。肉体の悦びを刷り込まれた身体は高みへ持ち上げられたまま、ふわふわと周辺を漂っている。
「それじゃあもう一度……えいっ」
「くあっ!んああああ!」
今度は最初から振動付きだ。つい先ほど絶頂寸前を漂わされた身体が歓喜の雄叫びをあげ、かれんの意思とは無関係に急速に押し上げる。
「ふああぁぁ……!もう……イくっ……」
身体を丸め、これからくるであろう性絶頂に身構えた。
だが、
「はい残念でした。イカせてあげません」
二度目の、寸止め。
以前の責めは、大好物の甘いお菓子を無理矢理口に詰め込むような拷問だった。もういらないと言っても聞き入れられず、いつ終わるやも知れぬ無限の快楽責めだった。
今回はその逆。全身をがんじがらめに縛り上げ、目の前に大好物のお菓子を置いておく。首を伸ばしていざ食べようとした瞬間にさっと皿が引かれる……そんな気分だった。
「うっ……んっ……どう、して……」
「なんでイカせてくれないの?って顔してますね。勘違いしないでくださいよ?これは拷問です。それも意思を持った人間の、ね」
そこで一旦言葉を切る。その間に三度バイブを挿入した。
「かれんさんが経験したのは獣です。性交に飢えた獣……ですけど、私は違います。拷問なんですからちゃんと目的を聞き出さないと」
そういう片手間に、うららはまたも絶頂寸前でバイブを引き抜いた。間隔が狭くなっているのは、ひとえにかれんの身体がそれだけ求めているということだろう。
「んん……っ!うらら……あなたが求めているものって……何?」
「決まってるじゃないですか。なぜ今もプリキュアの姿でいられるのかという疑問の答えと、残りのピンキーの居場所。まだドリームコレットは完成してませんから」
「ドリーム……コレットですって……!?」
それはかれん達が必死に守ってきた秘宝。それに属するピンキーと呼ばれる精霊を集めることにより、どんな願いでもひとつだけ叶えられるというものだ。
だがかれんの驚きはドリームコレットが敵の手にあることによるものではなく、まだピンキーが集まりきっていないということへの安心だった。
つまり、自分さえ何も言わなければドリームコレットが完成することはない。
「あは♪まさか我慢できるとでも?」
「うあああっ!ああっ!イくっ……」
「はいイカせません」
再三の寸止めに、身体は悲鳴を上げはじめた。その反動はもろにかれんへ還元される。
「だいぶ憔悴しちゃってますね。じゃあかれんさんにチャンスをあげましょう」
上から目線でうららが言う。下から見下ろされているような、妙な気分に晒される。
「チャン……ス?」
「そうです。ここでかれんさんが素直に話してくれたらすぐにイカせてあげます。ですが話さないとあれば……まあ、これが続くだけですね」
「う……んっ……」
「どうです?話す気になりましたか?」
嬉々として問うのはうらら。笑顔のわりに、目は笑っていなかった。
「誰が……話すもんですか……!」
「はぁ……ま、それくらいないと張り合いないですけど」
この程度では応えないとばかりにかれんは鋭く見返す。うららは一瞬頭を抱えたが、すぐに普段の調子に戻りバイブ責めを再開した。
「はあっ!あんっ!ああっ!」
「ほらほら、早く喋った方が身のためですよ~?」
「だ……誰が……くひっ……話す……あっ!……か……」
「強情ですねえ」
始めて生物を解剖する子供が目を輝かせるように、バイブの振動を変えたりして楽しむうらら。だが決してイカようとはせず、寸前で止めるのは相変わらずだった。
もどかしい、イカせて欲しい。そんな欲望が渦巻きかれんを苦しめる。ふと気を抜けば懇願の言葉が出そうなほどに。
―数十分後―
「あぅ……ぐ……んっ!」
「凄い顔になってますよ?涎なんか垂らして……」
何かしら言い返そうとしたかれんだったが、新たな快感が上塗りされそれは叶わなかった。
この数十分間、かれんは一度たりともイっていない。毎回寸前まで高められるのだが、あと一歩のところで止められる。
「辛いですか?そりゃあ辛いですよね。これだけ寸止めされてるんですし……」
他人事のようにうららは言う。その間にも手は休まずかれんを責め立てる。
最早寸止め責めが苦痛となりはじめたか、口からは呂律の回らない言葉しか出なくなっていた。
そんなかれんに、うららは耳元で悪魔のように囁く。
「イカせてあげましょうか?」
「はぁ……はぁ……え?」
イカせてもらえる?この苦痛から、逃れられる?
状況もわきまえず期待に胸がおどり、秘裂から愛液が溢れ出す。
「でも」
だがやはり、悪魔はしたたかだ。
「話してくれたら、ですけどね」
「ぐっ……!」
「さあさあ、どっちを選びますか?」
商売人が自慢の商品を売る時のように決断を催促するうらら。かれんはわずかに迷ったあと、
「……イカ、せて」
「ええ?なんですか?なんて言ったんですか?」
本当は聞こえているだろうに、あえてかれんの羞恥心を煽るためだけに聞き返す。しかしその行動はかれんの予想の範囲内だった。
「……なんて言うと思った?お馬鹿さん?」
「……」
うららから表情が『死ぬ』。無言で距離を取ると片手をあげて部下に指示した。
「アレ持ってきて」
冷たく、重い声。
普段は感情というものを一切見せないナイトメアの社員だが、うららの声に怯えたように身をすくめると急いで牢屋から出る。
「覚悟してくださいよぉ……」
うららの目は、怒りに燃えていた。
「この春日野うららに逆らったこと……後悔させてあげますから」
部下が持ってきたのは、なにやらベルト状の紐からコードが伸び、ヘルメットのような装置に回帰する形状のものだった。
「つけてあげて」
事務的にうららは告げる。部下二人は間髪入れず行動を開始した。
まずヘルメットをかれんの頭部に装着される。首を振って抵抗するかれんだったが、両腕が動かない状態ではそう長くも続かない。ヘルメットの中は金属的な冷たさで包まれていた。
次にベルトが腰に巻かれた。よく見ればそのベルトにはかれんを徹底的に追い詰めたバイブと……それに形状は似ているが、随分と短く細いものがついていた。
「まっ……まさか……嫌あああ!」
嫌がるかれんを押さえつけ、まずはバイブが挿入された。濡れに濡れたかれんの秘裂はいとも簡単に受け入れる。
そしてもう一方の小さなバイブを……後ろの方へ。
「待って!そっちはちがっ……んんっ!」
ぬぷっ……と、挿入された深さ自体はそこまでなかったが、普段誰も触らない部分への異物挿入はそれだけで十分な刺激だった。
さらに、最初に使われたあの電流挟みまでもが乳頭にあてがわれる。
「じゃあかれんさん……地獄を味わってください」
手にしたスイッチをうららは躊躇いなく押す。
「あうっ!……ああっ!」
再び乳頭を微弱な電流が刺激し、前後のバイブがそれぞれタイミングを違えて律動する。特に後ろの方を責めるバイブからは未知の快楽が生まれ始める。
「んひっ……ひゃ、ああっ!」
苛烈を極める三所責めに加え、元から寸止めを繰り返された身体は節操なく反応し、無理矢理喘ぎ声を引きずり出される。
「感じてくれているようでなによりです……まあ、地獄はそこからですけど」
うららの意味深な発言も届かない。ただ与えられる快感を甘受し、やがてくる絶頂に心を震わせる。
(だめ……恥ずかしいけど……イク……!)
恥ずかしい、というのは本心ではなく、ただイクことへのかれんのプライドを守るための口実に過ぎなかった。
そして本心では望んでいた絶頂が訪れる……はずだった。
「ああっ!イ……ク……?」
確実にイったはずなのに、なぜかあの満足感が得られない。寸止めとはまた違う感覚だった。
(なによ……今私はイったのに……)
そんな思考を上から塗り潰すように、グリュリュリュ!と三所責めが加速する。
「はあああ!ああっ!止めてっ!んんっ!」
「本当はこのまま続けて欲しいくせに。嘘はよくないですよ、この変態」
後輩に蔑まれても、反抗する気力は残っていなかった。
「うあっ!らめっ……イク……!」
再度流れ込む絶頂の予感。もう我慢などせず、そのまま受け入れようとした……のだが。
「はぁ……っ!うあっ……あ?」
またもイクことができなかった。身体はイったはずなのに脳がそれを認識していないような……、
「気付きました?」
うららが笑顔を浮かべて言う。
「そのヘルメット……脳波とか測定して、イク寸前になると特殊な電波飛ばしてそれを抑制するらしいですよ?ま、私は製作に関わってないんで言伝てですが」
「そ……そんな……んんっ!ああっ!」
かれんの言葉はバイブの振動と乳頭への電流で止められた。視界が明滅するほどの快感……だがもう一歩のところで浮遊している感覚。
そしてまた、イったはずなのに満足できない……寸止めとは比べ物にならないほどのもどかしさに襲われる。
(イったのに!私は間違いなくイったのに!こんなの続けられたら私……狂っちゃう……!)
「じゃ、私はこれで。また来ますんで」
気楽な調子でうららはそういうと、部下を従えて牢屋から出ようとする。
「ま、待って!」
「どうしました?まさか喋る気にでもなりました?」
「そ、そうじゃなくて……これって……いつまで続くの?」
「何かと思えば。かれんさんが口を割るまでに決まってるじゃないですか」
「そんな……!私……狂っちゃう……」
「存分に狂ってください。私はそれならそれで構いませんよ」
「い……嫌……ああっ!」
再び始まった地獄の焦らし責め。かれんの悲鳴を尻目に、うららは牢屋を後にした。
―数時間後―
「さーて、そろそろ頃合いですよ、かれんさん」
「……ぅ……ぇ……」
「これ以上やったら本当に狂います。でもそれってお互いに損ですよね?じゃあ喋ってお互い楽になりましょう?」
うららは呼びかけるが、鎖に繋がれた人形のようにぐったりとするかれんの瞳はどんよりと濁り、責めが始まる度に打ち上げられた魚のように全身を痙攣させるだけだった。
だが一応の認識能力はあるようで、近寄ってきたうららにゆっくりと顔を向けた。
「どうします?かれんさん」
「……う……」
もう、辛かった。自分が何のために頑張っているのがわからなくなって、何を我慢しているのかわからなくて。
それだけ、この焦らし責めはかれんにとって相当の苦痛だった。
「……から」
「聞こえませんよ。もっとはっきり」
「言うから……お願い……イカせて……」
その言葉に、うららは心の中で勝利の拳を突き上げた。
(勝った!今まで誰も落とせなかったかれんさんを……落とした!)
心中相当荒ぶっていたが、表面上はいたって冷静に告げる。
「そうですか。賢明な判断です」
そういってうららは部下を呼ぶと、かれんに装着した拷問具を取り外すよう指示した。
的確に素早く器具が外れていく。電流挟み、マシンバイブ、そしてあのヘルメット……。
「さて、手錠も外してあげますけど、自慰でも始めようものなら拷問生活に逆戻りです。しかも今度は泣いてもわめいても絶対に外しません。わかりました?」
「……うん」
地面にへたりこむかれんを上から見下ろし、完全に奴隷でも見るような目付きのうらら。その手には……首輪。
「イカせて欲しかったらまず主従の確認ですね。この首輪を自分でつけて、『私はうらら様の奴隷です。何でも言うことを聞きますからイカせてください』って言ってくださいね」
そういってうららは首輪を放り投げた。革製の首輪にはありがちな棘などはついていなかったが、高級感溢れる艶やかな表面は、真に自分が獣扱いされている気分だった。
「人払いを……恥ずかしいから……」
「ええわかりました。もうすぐ私の奴隷になるかれんさんの最後の頼み、聞いてあげましょう」
うららは部下に向かって手を振り、下がれという命令を出す。
「さ、これで二人きりです。何を言っても大丈夫。さあどうぞ」
「……ええ」
かれんは首輪の金具を外し、一本の鞭のような形状にする。そして自分の首に―
パチィン!と乾いた音が炸裂した。
一瞬、うららは何が起こったのかわからなかった。やがて自分の頬が焼けるような痛みを発しているのに気付き、ようやく事態を理解する。
「な、何をいきなり……」
「遅いわよ」
振り返った時には自分の腹にかれんの膝がめり込んでいた。ドゴォ!と人体からはおおよそあり得ない音が響き、うららは呼吸困難を引き起こし膝から崩れ落ちる。
「がっ……はあっ……」
「私の両手まで自由にしたのは間違いだったわね。別に拷問に屈した訳でも、あなたに服従する訳でもないわ」
先ほどまでとはうって変わって、はっきりとした口調で話すかれん。
「ぐっ……あの拷問を……耐えきったですって……?」
かれんは想う。確かに自分が何のために頑張っているのかわからなくなりもした。何度拷問に屈しようとしたかもわからない。
だがかれんの脳裏には、常に仲間の姿があった。のぞみ、りん、うらら、こまち……どれだけ凌辱されようと、たとえその相手が、かつての仲間だったとしても。
「ぐっ……う……」
苦しそうに悶えるうららを見て、かれんの心が一切痛まない訳がない。それ以前に、かつての仲間に手をあげることに何も思わないはずがないのだ。
だがそれと同時に、『仕方ない』と割りきれるだけの精神力もまた持ち合わせていた。
騒ぎを聞きつけて、廊下の奥から足音が響く。だがその数一名。
瞬く間に膝を入れて転がすと、追い剥ぎのように社員の服を剥ぎ始める。
「何を……するつもりですか」
「プリキュアとしての力がないとこの衣装は動きにくくてね。それにこんなはしたない格好で出歩けないわ」
瞬く間に服を剥ぎ取ると、素早く互いの服を交換した。これでかれんの服装は立派なナイトメア社員だ。
絶望の仮面には手を伸ばし―やめた。仮面の下の顔など見たくもない。
「じゃあね、うらら……また迎えに来るわ」
そう言い残しかれんは走り去る。残されたうららは立ち上がろうとして、思った以上に足へのダメージが深刻と悟るとポケットから通信機を取り出し、どこかへ連絡を取った。
いざ逃げ出したはいいが右も左もわからぬ社内。階段はどこか、エレベーターはどこか、そもそもここは何階なのか……。
「……ふぅ、見つけた」
幸い誰にも見つかることなく、エレベーターを発見した。使い方は自分達の世界と変わらないようで、横のボタンを押すとまもなくして扉が開いた。
「十五階建て……しかもここは最上階、ね」
パネルの数字を確認すると、かれんは迷わず一階のボタンを押す。エレベーターはすぐに一階へ向けて降下を開始した。
(さて……これからどうしようかしら。まずは外に出て元の世界へ戻る方法を見つけて……)
そう考える間にもエレベーターは降下をやめない。いざ途中で止まろうものなら出会い頭に格闘戦へ持ち込もうと決めていたが、幸いにして一度も止まることなく一階へとたどり着いた。
一刻も早くここから出たい一心で、かれんは扉が開くなり外へ飛び出した。
だが運悪く、かれんの注意力不足も相まって誰かとぶつかってしまった。ここで会う以上全員敵。素早く体制を整えると、真正面から相手に向き合う。
そこに立っていたのは、
「あらあら、どこへ行こうというのかしら」
「そ……そんな……」
それは、かれんのよく知る人物だった。
「どうしてここにいるのよ……こまち!」
今の自分と同じナイトメアの制服を着た秋元こまちが、そこに立っていた。
まずはここまで読んでくださった皆様に感謝を。
さて、順当にうららちゃんの登場です。前回がふたなり、前々回が純粋なレズだったので、同じネタは使えないと考えた結果こんな感じになりました。
今さら後悔してもしょうがないのですが、もう少しうららの小悪魔っぷりを書きたかったのと、なにやら行為の表現がややグダグダな気がするのは改善点です。
最後にはとうとう『四人目』登場。まずはひとつ目の山場ですね。
それでは今回はこの辺りでお別れです。また機会があれば次話でお会いしましょう。