若いきつねと三十路のたぬき 作:負けた社畜
───アーリエ・ネー・スランプ(1919~4545)
青い空と白い雲、ああ一面のクソ大海原。こうして
「あー、痛え」
「もう……!無茶するから」
ナンパ野郎共の
「いや、ほらあーいう場面はアレがアレでアレじゃん」
「何?」
「何でもないです」
圧やめて圧。あなたの圧シャレにならないぐらい怖いので。
まったく……U美の言った通りそのまんまの展開になってもうびっくり。なんだろう、彼女はエスパーなのだろうか。
それは置いといて、いやこう、こういうのって華麗に助けに入ってバシーンとやっつけるのが主人公じゃん。なのに俺ときたら防戦一方。そりゃあ戦闘経験なんぞてんで無いし。どころか逆に何回かパンチもらって、それだけでもうダメージで体がデロデロである。強がっても仕方ないけど、痛いものは痛い。全く情けない限りだ。
「今からでも警察に行こう?」
「後から通報しても現行犯じゃないってあしらわれるだけだし、暴行を受けていた現場を離れているから被害届だしたって変わらないよ。監視カメラとかも無さそうだしな」
「そんなの……」
「それに、アイツらには天罰が下ってたし」
確かに、本来なら暴行で刑事罰でも受けさせるべきだが、奴らは浜辺の
ともすれば、俺がああなってたと考えると戦慄するな。逆だったかもしれねェ────。
「それに……私の為に傷ついてくれたんだから、さ」
「……まあ、それは」
ここで「誰でもそうしてたよ」とは口をついて出てこなかった。
まあ痛がってたくせに、こうして隣に並ぶと痛みも忘れてアホみたいな肌の白さとか、べらぼうに長い脚とかに目を奪われる。
努めてそちらは見ないようにして、腹に当てていた缶をプシュりと開けた。ベンチに並ぶ缶と缶の距離。誤魔化すように一度、二度。呷ってはまた、海を見た。
「また、助けてくれたね」
波の音にかき消されるぐらいの声。隣に居る俺だけに聞こえた心。
意図してそうしたわけじゃない。成り行きでそうなっただけで。それはこれまでと同じで。だけれど、彼女から向けられた微笑みには、感謝とそれ以上の何かが混じっているようにも感じた。
「んじゃ…そろそろ戻…」
いざ、立ち上がろうとしてベンチに置いた手に、白い指先が重ねられた。
「…………ねぇ、君にとって私はどう写ってるの?」
どう、どうか……。
偉大な同期。バリキャリ女。ただ、新入社員歓迎会のいざこざで一夜を共にしてしまってから、なんだかんだと数回肌を重ねてしまった
「どう答えてほしい?」
「……正直に」
質問に質問を返すのはマナー違反だという。なら俺の漠然とした思いには、どう名前をつければいい?
無責任だとか、浅はかだとか、そう言われても仕方がない行為。共犯とか軽薄とか、そんな言葉が似合うかもしれない。
「いつも助かってるよ。
「……」
「………
寄せては返す白波が何回か青に染まった頃、ずっと向けられていた
「高嶺の花」
率直に、思いついたのはその一言。あっという間にその辣腕を振るい出世して、重要ポストについて、今となっては俺と天と地の差ほどもある奴らからアプローチをかけられている彼女。
延々とヒラに這いつくばる俺とは違う世界へと行ってしまったのだから。いや、元々が一夜の戯れなのだから、その感想もまた違うだろう。
彼女は視線を下げる。髪に隠れその表情は分からないが、重ねられていた指が強く、強く握られていく。
───突然、彼女は俺の手を引いて立ち上がった。
「おい」
そのまま、ぐいっと全体重でもかけたぐらいの力で引っ張られ、二人して砂浜を駆け出した。恥もクソもなにもないような、子供のような全速力。
「うおぃ!ちょ、ま!何で!」
「ふっ、あはは!」
たなびく髪は止まらない。混乱した俺をよそに、砂浜を飛び越えて、波打ち際を飛び越えて、二人して青に飛び込んだ。
視界は泡一色に染まって、口の中に海水特有の塩っ辛い味が広がって、体全体が揺られる浮遊感に包まれて、何回か波に揉まれてからようやく足を着くことができた。鼓膜が震えを取り戻した時には、彼女の抱腹絶倒した笑い声が響く。
「あはははははは!!」
「お前なあ!メイク落ちちゃうし、髪型も崩れちゃうだろ!」
「それ、私のセリフ!」
特に海水なんてダメージ酷いんだぞ!めっちゃ目染みるし髪ガサガサになるやろ!
「びっくりした顔おもしろ!」
青と白と。海と白い入道雲を背景に、彼女は髪をかき上げた。濡れた肌が眩しくて、思わず見惚れてしまった。その一枚はオレの脳内へ眩いまでに刻まれ、記憶という一
きっと、きっと彼女は走り出した時点でもう笑ってたんだろう。何気ないふとした瞬間に思い出す笑顔となって。
「お前!なんでこんなこと!」
「だってこんなじゃじゃ馬のこと、高嶺の花なんて言うんだもん!」
それが悔しくて俺は水をぶっかけて抗議した。
海に飛び込まされたことと、俺の言ったことがすぐに否定されたことが妙に悔しくて。いや、悔しいのかどうかも分からない。
よく分からない羞恥心のような感情が俺を支配している。それが悔しくて俺は水をぶっかけて抗議した。
「うひぇぁっぷ!あははは!」
「くくくっ……なんつー声だよ!」
気づけば俺も笑っていて、また彼女もつられて笑って、投げ返した水に打たれる。互いが互いに思う存分水をぶっかけあい、ひとしきり笑い転げた後、波打ち際に二人して並んで座った。
海の向こう、水平線から生まれた入道雲の息吹を感じて目を細めて。熱い風が彼女の髪を攫い、それを押さえる仕草にまた視線を奪われてしまう。
純情、というにはお互い濁り過ぎてしまった。この青い海のような澄んだ煌めきは持ち得ない。いつの間にか押し付けられた大人という歪み。
「まったく……
「まあ?顔良し、スタイル良し、性格良しの私だし?悪い所なくない?」
「え、男の趣味悪いじゃん」
痛い痛い。無言で叩くな。
「ノンデリめ。私ぐらいの
「無理やり力で高めてくストロングスタイル」
だけど今は、何かを追い求めていた学生の時のように。二人して語らう。取り留めのない話を。
「そろそろ戻ろうぜ」
「ん、そんな経ってる?」
「だいぶ」
騒動があったからなおさらだ。俺の体感では1時間はいってないだろうが、30分は確実に過ぎている。そろそろU美やI子も心配し出す頃ではなかろうか。
それに、このまま彼女の姿を目に入れ続けるのも毒だ。
丸められた肩とそれによって寄せられた胸。いつもよりずっと布面積の少ない水着は惜しげもなく谷間をさらして、食い込むトップの紐がその柔らかさを物語る。
無駄な肉というものがないウエストと、彼女が身を動かすたびに形を変え様々な表情を見せる
(………)
ほんとうにどうして、男というものは節操無しなのだろうか。それが生物の摂理と言えばそれまでだが、少しは空気を読んでくれと言いたい。
……それだけ、彼女に魅力を感じているということかもしれないが。
また、俺が身につけているのも良くなかった。薄手の素材で競泳チックな水着は濡れることでピッチリと貼り付き、俺に言い訳もさせてくれないほどラインを浮き上がらせる。つまるところ、形態変化が丸わかりなわけで。
「よし!」
彼女は立ち上がり、身体についた砂をはたいて落とした。アッ……食い込みを直すために指でぺちっとした。その隙間ユートピア。いかんいかん……。
これアレだ。「○○、立ちなさい」「先生、○○は勃ってるんでムリです」的なアレ。違う所は元気に起立中であるってオチ。男の先生は察してくれるけど女の先生はダメですって言うやつ。
「……どうしたの?」
「いや、海綺麗だなって思って」
真っ青な海につく真っ赤な嘘。如何ともし難い。こういう時に限って元気いっぱいになった暴れん棒将軍はなかなかその威容を治めてくれないし。
「次こそいい波が来る気がするんだ」
「何言ってんの?」
「何言ってんだろうな」
焦りの限りを尽くした俺は何かを口走った。目の前ににゅっと現れた端整な顔からジトッとした視線が瞳を射抜く。その角度は大変よろしくない。胸が強調されてよろしくないったらない。頼むからそれ以上、下を見ないでくれよな!お兄さんとの約束だぞ!
「ねぇ……時間が経ったって言ったのはそっちだよ」
「まて、今動くと爆発する!」
「無駄に渋い声出そうとしたって無駄だから」
いやそれはそうなんですけれども!やめて腕掴んで引っ張らないで!
「ほら君も立………」
あ……詰んだ。
「………変態」
一閃。
彼女のジト目はより深いものになり、なぜ俺が拒んでいたのか察されてしまった。ちら、ちらと彼女の視線がそっちに向いているのが分かる。なるほど、女性が胸を見られた瞬間が分かるというのはこういう事なのね。
「……」
もういっそ殺してくれ。こんな時に限ってバーストしたモノは一向に治まる気配はないどころか、今にも水着をブチ破りそうな勢いでエレクチオン。こういう時の勃起ってなかなか治まらないのなんなんでしょうか。お願いしますマジで。
寄せては返す波もあきれ返って白波をぶつけてくる始末。いやホントごめんなさい。
「ま、まぁ…しょうがない…よね?」
優しさが痛い……。
たぶん
「あ、あのさ……あそこのシャワー室で治まるまで待つのは………?」
「ヤバくないそれ……?」
「その状態で外に居る方がやばいと思う」
確かにそうだ。冷水でもぶっかければちょっとは治まってくれるんじゃなかろうか。
「えっと、ほら……今なら人も居ないし私も壁になってあげるから」
「すまん……」
がちゃり。
彼女に協力してもらい無事に移動してシャワー室へと入る事ができた。タイルや設備は年代を感じるがここは鍵さえかければ個室になってくれるありがたい設計で、こんなに海岸のシャワー室に感謝したことも初めてである。ここで速やかに水をかぶり、体を冷やし、落ち着きを取り戻すことが最優先事項。
錆びついたバルブを捻り、頭から水をぶっ被る。屋外に居たことでいつの間にか熱をため込んでた体に心地よく流れる水。このままクールダウンすれば……イケる!
「んっ…つめた……」
は?
「あの……なんで、あなたまでここに……?」
「えっと、その隠さなきゃって思ってたら…つい」
一人でも手狭な個室に二人で入ってしまったらギッチギチになるじゃないですかバリキャリ女さん。もしかしてあなたも炎天下で頭茹だっちゃった感じですか。タイルに反響する吐息が鼓膜に絡みついてきて、よけい悩ましげに聞こえてきてしまう。
「……すぐに治めるからちょっと待っててくれ」
ビキッビキビキッ!!!
冷水をいくら浴びせようとも鉄芯が腰の裏から貫通したように突き上がった山は治まらない。それどころか根元から幹を通り先端まで全てが脈打って疼く。おかしいだろお前、普通冷たくて縮こまるじゃないか!
「……」
焼け石に水って言葉は、普通もっと違うものに使うはずなんだけどな……。
例えるなら捻挫をした後のような、ズキズキとした痛みを伴う熱感だろうか。それが水をかけたところで冷やそうとすればするほど、まさしく焼けた石の如く、煮立つ肉槍が強烈に脈打ち熱を持つ。
「一人よりも二人でした方が手っ取り早くない?」
誰のせいでこうなっとる思っとんねん!!心の中でエセ関西人がツッコミをぶっ込んだところで現状は変わらず。
それを見かねたのか、バリキャリ女は正面に立つと水着を下ろしていきり立つ肉槍に
「……聞こえちゃうから、シャワー出しといて」
彼女の細くしなやかな指が、赤黒い肉槍との対比をありありと写す。シャワーの水がタイルを叩く音に混じって、耳をすませば粘ついた音が鳴る。それは狭いシャワールームだからなのか、それとも全体に響いてしまっているのか。もしそうならとんでもないと羞恥に染まるが、彼女の指先が段々とストロークを増すにつれ、薄らぼやけていった。
ぬ゛ち♡゛にゅち゛♡ぬ゛ち♡゛ぬ゛ち…♡に゛ちゅ♡
母指球が鈴口を捏ねる。掌が裏筋を捏ねる。小指が、薬指が、中指がくびれを捏ねる。人差し指と親指が幹を捏ねる。
自らの骨ばった手と違う柔らかな指先。彼女はもう片方の手に唾液を溜め、シャワーの水とは違うぬめりを足して、根元から先までを包んでいった。水だけだと突っ張っていた肌が途端に馴染み、腰から上がってくる快感は段違いに高まっていく。
「ん……」
しかも、視界が良くない。なにせシャワー室という狭い空間で、水着姿のバリキャリ女と向かい合ってるのだから。
閉じられた両の腕に押されて寄せ上げられた果実がふるふる♡と揺れ、少し肩から浮いた水着の紐がその度張り詰める。息のかかりそうな距離でそんな光景が広がっているのだ。大きさがあるわけではないが、とにかく形の綺麗な彼女の果実が放つ毒はとにかく雄によく効く。
そんなものを見てしまえば否応なしに興奮を高められていく。視覚、聴覚、嗅覚、触覚と、ほとんど全てに近い感覚器が彼女に埋め尽くされている。染められている。
「……っあ」
肉槍を包む手は滑らかさを増していき、ついには震える陰嚢にまで伸びた。胸板に押し付けられた乳房からは、自らのものか、彼女のものか分からない鼓動が伝わってくる。それはひどく早鐘を打っていて、緊張かはたまた興奮か、区別をつけることなどできない。
互いの吐息が絡む距離。互いの視線が絡みつく距離。互いの体温が混ぜ合わざる距離。ただの手淫のはずが、熱を伴う愛撫へと変化していく。浮き上がる血管を撫でる指は、丁寧にひとつひとつをなぞっていく。
に゛ちゅ♡゛…にゅち゛♡…に゛ち♡゛に゛ち…♡に゛ちゅ♡
押しのけることもできるはずだ。言葉で拒否することもできるはずだ。
けれども、しない。いや、できない。
欲しいから。もっと、感じていたいから。どうしてもそれを手放すことは惜しいと思ってしまったから。ネイルの先が僅かに陰嚢を擽る浮遊感と、包まれた掌から肉槍全体へ与えられる高揚感。
融解して、融合して、融和して、限界点は溶融する。制御のできない震えが背筋を上がってきて臓を掴む
「……、我慢しなくていいから」
激しく振れる脈動に合わせて動く掌に促され、こみ上がってくる欲望。俺がもう耐えられないのは、直に触れる彼女には明け透けになっていることだろう。その証拠に裏筋をほんの少し圧迫する彼女の指が少しずつ、少しずつ速くなっていく。
に゛ちゅ♡゛!にゅち゛♡!に゛ち♡゛!に゛ち♡!に゛ちゅ♡!
上がってくるのがやけに遅い粘ついた精の奔流が、会陰の堰を壊しこれでもかと内側から管を押し広げる。塊じみた濃度のそれがもう間近まで迫ろうというのに、彼女は腕を止める気配がない。
「出、る……!避け……ッ!」
ブッッビュ!!どぶゅっ!!!どぷっ!!!ぶゅッ!!どぐんっっ!!…ドクッ!!
先端から噴出すたび、音でもなってるんじゃないかと思うような粘つきを伴って、スライム状の黄ばんだ白濁液が彼女の太ももへとぶちまけられていった。えらく濃いらしいそれは、線状に付着してしまって、全く垂れていく様子がない。
「あっつ……♡」
我慢できずに
───否、脈は落ち着きこそすれ肉槍の硬度が落ちない。
彼女がおもむろに指で掬ってみると、太腿にぶちまけられた精液がにぢゃぁ♡と伸びる。それは胸元まで持ってこられてようやくプツリと途切れた。落とすのが大変そうだと、どこか冷静になった思考が他人事のような感想を漏らす。
俺としてはさっさと治まって欲しいのに呆れるほど元気いっぱいだ。元気なのはいい事だが、さすがに空気を読んで欲しい。
「やっぱり、君のは1回じゃ気が済むはずないよね」
意外性よりも、確信をもって呟かれた言葉。狭いシャワールームの中で歪んでいく関係。そもそも、彼女とはもうとっくに歪んでいるのか。湿気を浴びるようなことをしていたから汗で肌が照り、妖しい光を帯びていて。それもまた艶やかに感じて仕方ない。
どうしてそうなったのかも気付かぬうちに、にゅるり♡と肉槍は捕らえられていた。太ももコキと言えばいいのか、はたまた素股と思えばいいのか。どこからともなく男の腰は自らの肉欲を塗り込むように動き、どろどろ♡と伸びた濁液が潤滑を助ける。とにかく、赤黒い肉と白磁の肌のコントラストは犯罪的に溶け合って。
彼女の魅力のひとつに、その美脚がある。俺とそう身長は変わらないのにアホみたいな高さの腰の位置。腰が高ければ当然、長く美しい弧を描く脚線。スレンダーだがしなやかな肉付き。絹のように滑らかさを感じる肌。しなやかな腿は見なくても分かるほど、手よりも厚い肉の感触を伝えていた。
「動いていいよ」
惜しげも無く晒け出されたその脚線美を汚した自らの欲望。もっともっと汚したいと望む渇望。彼女はそれすら慈愛の笑みで包む。
「野良犬くん気持ちいい?私の太ももは」
「誰が野良犬だ……!」
腰が動くたび、粘着質な擦過音が転がっていく。彼女の言葉は言い得て妙で、俯瞰して見れば浅ましく腰を振る俺は、野良犬と大差ないのかもしれない。
にゅりゅ♡!にゅる♡!ぐにゅる♡!にゅぢ♡!にゅぢ♡!
太もものもっちりとした肉は確かな抵抗と圧迫感を生み出し、濁液が肌のひきつりを包む。少し、ひやりとしていたそこも、幾度となく擦られじわりと熱を持ち始めた。今はまだ僅かな熱でも、続けば大いに身を焦がすだろうと、女はうっすらと感じ取る。
「……んッ…♡」
だんだんと激しくなっていく男の腰使い。ときたま水着越しに秘部を擦りあげていく肉槍につられ、自らの中心にも火が灯り始めていることに気づいたのは、陰核を掠るピリッとした刺突が背筋を撫ぜたから。
段々と勢いに押され、背中が壁につく。冷たい硬質なタイルの感触が自らの内、身体の火照りを自覚させた。男の手は肩から下がり、今や腰骨を押さえて雌を逃げられなくするために握られている。
そんなことをしなくても逃げないのに……♡
ばちゅっ!バぷっ!ぢゅぷ!じゅっぷ!にちゅ!にちゅ!
肉槍の硬さに押され撓む太ももの肉。にゅるにゅる♡と泡立ち糸を引く粘液。狭く密閉された半密室に転がる吐息は不規則に漏れ、限界はもうすぐそこにある。
必死に声を噛み殺し腰を震わせる男。ざぁざぁと覆い尽くすシャワーを掬い、女の手は冷たさをもって男の顔を上げさせる。互いの瞳に輪郭が映るほどの近く。
「こんな近くに居るのに、まだ、私は高嶺の花?」
たぶん、呆けた顔をしているのだろう。きっとそうだ。意外な事をされたこと。意外な事を言われたこと。意外な事をしていること。脳は、言われたことの半分も理解する前に下半身から湧き上がる波に飲まれた。
ドクッ!!ドプッ!!!どぷっ!!びゅりゅ!!…どくんっ!!どびゅ!!
彼女の瞳に俺はどう映ったのか。きっと情けなく頼りないものだったと思う。彼女の太ももを感じながら、その後ろの壁にぶっかけ、ただ自らの欲を満たしたなんの意味もない射精。
吹き込む隙間風が急速に湯だった頭を冷やしていく。その証拠に頬に添えられていた彼女の手は離れ、下りていった。
「まだ、できる?」
咎めるような、拗ねるような───普段仕事中の彼女なら決して見せない表情。茹だる暑さにやられたのは、どうやら俺だけではなかった。
「君が太もも使ってる時さ……たまに当たって、焦らされてるんだよねこっちも」
どうやら時たま感じていた肌触りのいい感触は彼女の水着……それもクロッチ部だったらしい。太ももコキといいながら、贅沢にも素股まで頂いてしまったということか。汚してしまっていたらどうしよう……女性用ってお高いんでしょう?
俺が動けないでいる間にも彼女は進む。降りていった手はアンダーの布地を繋いでいる金のリングへと掛かった。
───ぬぱっ♡
貼り付いていた水着が肌から離れる。引き下ろされた布の奥地、海水ともシャワーとも違う、銀糸が糸を引いた。仄暗いシャワー室の中で、何故か光って見えるそれがプツリと切れた時気づいた。
先ほど彼女は「できる?」と聞いてきた。「まだ、する?」ではなくて「まだ、できる?」だ。それが意味するもの。
片方ずつ脚を抜き、下ろされた水着はシャワーのハンドル部へと掛けられた。潮で少しパーマがかった髪から覗くうなじ。首筋から流麗に伸びる肩甲骨。腰を折ると臍周りには横に伸びるシワができた。どうしようもなく感じるフェティッシュな光景。
「うん、いい子だね」
彼女の手が肉槍の裏筋をなぞる。そうされるまで俺は自らのモノが怒髪天を衝く程に反り上がっている事など気付けなかった。全くどころか先ほどよりも硬度が増し、脈動に合わせて先端が振れる。それを確認すると壁に手をつき、くるりと背を向けた彼女。
「自分だけ良くなって、お終い?」
「ゴム……無いぞ」
「──いいよ、大丈夫な日だから」
煮え滾った肉槍に、形の良い尻が押し付けられふにょり♡と撓んだ。柔らかく滑らかで、しかし弾力があり思わず手を伸ばしてしまいそうになる魔性の器官。少し横に浮いた腰骨が、彼女が
───たらり♡
芸術品のように続く尻たぶの、内側。俺ではないものの興奮が溢れ出ていた。赤く充血を携えた陰裂と、びん♡と皮を脱ぎかけた
にゅぢ♡
シャワーのハンドルを限界まで捻って水の勢いを強くした。床や壁に当たって流れる音で、ちょっとの物音はかき消されるはずだ。これから彼女を犯すという、表明を。
「声、我慢してくれ」
大暴れする肉槍を押さえつけ、先端で陰裂を割るとシャワーの水とも俺の興奮とも違う、熱く
にゅる…るる、ずにゅるるるる♡
「ッ♡……っん♡、あ♡…あぁあ♡♡」
熱い。
思っていたより、ずっと熱い。
「ふっ…♡う、ぁ♡」
彼女の尻たぶが肉槍の根元に押されて歪む。ぞりぞり♡と肉槍が蹂躙した膣襞が起き上がって、浮いた血管を刮ぐようにまとわりつき、しゃぶりつき、締めつけてくる。このままでも果てそうなほどに具合がいい。
けれども、それでは彼女を満足させられない。俺は満たされるだろうが彼女は満たされない。
ぬろろろろろろろろ♡
「…うっ♡!……んぅ♡、ふっ……ふっ……♡」
腰を引くと、彼女の鴇色をした粘膜から、膣液に塗れた赤黒く醜悪な肉槍がずるりと出てくる。彼女の媚肉が縋り付いてきて、ほんの少し捲れてしまう陰唇。たぱたぱと糸引いては切れていく愛液。
ゆっくりと馴染ませるように再び腰を沈めていく。膣の腹側を擦り、彼女の弱いところを探っていくように。
「ねぇ……んっ♡わざと?もっと、ぁ♡……激しく…してもいいよ……?」
ダメになりそうだ。鼻を通って上擦った嬌声混じりのボイスでそんな事を言わないでくれ。このまま膣襞を味わいもしたいし、思いっきり叩きつけて悦楽を享受したくもある。そう思いながら彼女の腰を持ってゆっくりとかき混ぜていく。
ぐりゅっ♡
「いっんあ!!!んむっ!!?!?」
膣襞の内にぷくりと張った感触を感じ、肉槍を押し付ける。途端に彼女の喉から大きな声が出そうになって思わず口を塞いでしまう。ちょっと無理やりチックな感じになってしまったが、このまま彼女に嬌声を上げさせる方がよっぽどまずい。
けれども、ようやく見つけたのだ。彼女の
再びずるり♡と肉槍を引き出し、振りかぶって、張っている部位を先端で殴りつけた。
びくっ♡びくっ♡と引き攣るように膣の締めつけが強くなり、溢れ出る愛液が白く濁って粘度を増していく。強くなる結合感に比例して肉槍に蓄積していく射精欲求。
「あぅっ♡!あぁ♡…んっあ♡!…っあぁん!あっ゛♡!んっ♡!」
「声我慢しろって!」
「む、無理よぉ♡♡♡!!…ごめ、んっ声、無理♡!!…我慢むりッ♡♡♡!!!」
手のひらで浴びる、彼女のまろび出る嬌声。手をよけてしまったら外まで響いてしまうだろう声を出させるわけにいかない。
ばちゅっ♡!ずちゅっ♡!ぶちゅっ♡!ごりゅっ♡!ばちゅん♡!ずちゅ♡!
みるみる膣襞と肉槍の境界は無くなっていき、がんがん質の悪い征服感が込み上げてくる。雄としての欲望と、男としての葛藤が渦巻いて、そのどちらもが射精という最終地点へと駆り立てていく。
「♡!~~♡゙♡!!…あっ♡!!そこやばッッ♡!!ッ♡♡♡!!!」
しかし今、彼女と俺の境界は0.01でも0.02でも0.03でもない。0だ。雑じり気のない0なのだ。それだけはマズいと理性が警鐘を鳴らす。
けれども、勢いのついた身体は止まらない。
このまま膣襞を蹂躙し、子宮口をこじ開け、自らの全てをぶちまけろと。この
脈動巡り雄々しく猛り狂った肉槍は、もっと腰を打ちつけろと猛烈な衝動で支配する。
どちゅっ♡!!ぼちゅっ♡!!ぼちゅっ♡!!ずりゅっ♡!!ぼちゅん♡!!ずちゅ♡!!ばちゅっ♡!!
彼女へ出入りする間隔はどんどん短くなっていく。なんども振り乱される髪と歪むまで波打つ尻。
もう、いつの間にか外に音が漏れるなど気にする余裕もなく貪る事に夢中になっていた。彼女の手を掴んで、反動を使ってより深く、より強く。ともすれば彼女の下腹部がボコりと浮いてしまうんじゃないかと思うほどに。
「むり♡゙♡!!…ごめん無理♡!!もうイキそッッ♡!!♡♡♡!!!」
背も腹も、筋は余すことなく皮膚に浮き、全身にもたらされる大き過ぎた絶頂の波を逃そうとぶるぶると小刻みに痙攣する。だがそれはまだ小さなもので、より深く大きなものが去来するだろうことも予感させた。
彼女の膣襞が総毛立ち、肉槍には幾重もの折り重なった襞が絡んで強く収縮し始める。とどめを刺すような強烈な締めつけは限界を極めた肉槍に効き過ぎて。
───絶頂が来る。
奥底から、押さえようとも抗い難い奔流がついに溢れ出した。しかし、あまりに膨らみすぎた肉槍の中を通るには苦しく、精液がこれまでより濃いだろうことも相まって全然上がってこない。そのせいで息苦しく、もがくように腰を叩きつけた。
「……イく…♡!イく、イッ……イっく♡!!っあ♡♡♡!!!!」
マズい……!このまま、このまま
どこかから理性に働きかける声が聞こえる。このままぶちまけてしまいたい衝動を押さえつけ、貼りついたと錯覚するような結合を引き剥がし腰を引く。強烈な痙攣で締めつける膣内から、あとちょっとで肉槍が引き抜かれ───
「───あの人たち、ヤバくなかった!?」
「ねー!蟹にタマ挟まれるとかヤバすぎてウケるよね!」
突如、扉の向こうから聞こえてきた声に、俺とバリキャリ女は目を丸くした。そもそも公衆シャワー室で盛ってしまったのは俺たちだ。彼女達は責められるいわれはない。けれども、なにもこんなタイミングで来なくたっていいじゃないか。
その事で思考の止まってしまった俺は、動きまで止めてしまったことが完全なる敗北だったのだろう。
「ッッッ!!!」
「うっ!?」
ずぷんッッッッ!!!
さっきまでとは反対に、こんどは俺の腰へ彼女の尻が叩きつけられる。抜けかけていた肉槍は再び、バリキャリ女の膣奥まで飲み込まれ、その勢いのままに壁へと縫い付けられてしまった。身を捩ろうとも力は入らず、押し退けることも叶わない。ちょっと状況が悪すぎる。
「馬鹿お前ッ……!!」
俺がもうもたないことなんて、とっくに感じているはずなのに。それなのに寸分の隙間なく肉同士を密着させ、粘膜を絡ませ、剥き出しの呼吸を絡ませるなんて……!
ドスンとけっこうな音が立ち、腰裏へと衝撃が走る。そのせいで、煮詰まっていた塊のような精液が一気に輸精管を駆け上がり、尿道を割り、鈴口をかっ開き、滂沱のごとく噴き上がりだした。精液の行き着く場所は……彼女の中しかない。
どぶゅっ!!!どびゅるるるる!!!ドプッ!!!ぼびゅっ!!!どくっ!!!ドビュビュ!!!どびゅっっ!!!
「あはぁ♡」
一瞬見えたバリキャリ女の表情は、ひどく恍惚としたもので。
どぼゅ!!…ドププッッ!!ぶびゅるる!!
裏筋を膨らませながら何度も、何度も、何度も、精液の濁流が通り、彼女の奥底へと注がれる。一度堰を切った射精は今までした事もない激しさで続き、呼応するように膣襞は奥へ奥へと揉み込むように肉槍を吸い上げ、ぎゅうと膨らんで子宮が降りてきていた。
鈴口と深く口付けた子宮口が噛み締めるように咀嚼する。
明滅する意識の中、ぐりぐり♡と執拗に彼女の腰がグラインドする記憶だけが鮮明にあった。
「へ!?だ、大丈夫ですか!!?」
どこか遠くから呼ばれているような声。どうやら離れた個室を使っていた人達にも今のぶつかる音が響いたらしい。どうにか返答しようにも射精に喉を縛られ、俺は喘鳴の如く掠れた声しか出せない。
「ごめんなさい。ぁ♡…ちょっとフラついちゃったから」
「ひ、人呼んできましょうか!?」
「大丈夫よ。
「そうですか?なら私たち行きますね」
「ごめんなさいね。ありがとう」
足音が去っていく。バリキャリ女が機転を利かせてくれたおかげで、個室で何をしてたかバレずに済んだ。済んだのは良かったが、それは置いといて、俺のしてしまった所業は全く褒められたものではない。
自らを貫いていた鉄芯が抜け、満足いくまで出し切って元気のなくなった肉槍は膣内から吐き出されボトリと下を向く。整ってきた呼吸と、少し冷えた頭が動き始めた時、現状が脅しを掛けてくる。
「凄い量……♡」
「なんて事しやがる……!」
栓の抜けたバリキャリ女の膣口からは、ところどころダマになった糊のような精液がぼぷり♡と音を立てて吐き出された。言い訳できない完全なる
「あん♡!ちょっと……!?」
「いやいや、これはまずいだろ……!」
急ぎ指を入れて掻き出すも、たんまりと注ぎ込まれた膣内からは次から次へと精液が溢れてくる。我ながら、どんな量を出してしまったのかと戦慄するほどに。それもそうで、根元まで飲まれて射精したのだから、ありったけの量が彼女の中に有ることだろう。
「もう、本当にこれ以上は怪しまれちゃうよ?」
「分かってるけど……!」
まだまだ彼女の中には残滓が残り過ぎている。しかしいつまた他の人が入ってきてしまうか分からないし、いい加減、向こうに合流しなければマズい。
「さっきも言ったけど、今日は大丈夫な日だから……たぶん」
「信用していいんだよな?」
「まあ、その時は責任取ってね?」
「マジで大丈夫???」
ちょっと洒落にならないお茶目を振りまくバリキャリ女様に戦々恐々。ざっと汚れと汗を流し辺りを警戒しながらシャワー室を後にする。一応シャワー室は兼用だった事に安堵しつつ、しばらくは違う重圧に恐れおののく事になるだろう。
「おせーですよ!どこで何やってたんですか!!?ナニしてたんですか!?!!?許さねーですよ!!!!!」
「いや、そうじゃなくて本当に見てこの痣ほらU美さん」
「あぁ、何やら揉めていた奴らが居たっていうのは君だったのか」
「被害者側ですからね?ちょっとは労わって??腹パンはやめて????」
ガヤガヤとした空間に戻ってきたら、あっという間に酔っぱらい達に絡まれた俺。パスタ食ってたお前。砂まみれ。肩を組まれ、U美さまの拳がドスドスと脇腹に刺さる。ちょっと結構地味に痛い。
「課長!!!このおたんこんちんに何もされなかったですか!!?」
「おたん……何?」
謎ワードを発するU美はだいぶ目が据わっていて、コミュニケーションが怪しい。会話のデッドボールをバンバン投げてくる。そろそろ危険球退場を宣告しても許されるべきであると強く宣言したい。
「大丈夫よ。
「……ふぅん」
I子がめちゃくちゃ訝しんだ目線を投げかけてきている。あいつバカスカ飲んでるのに全くアルコールの影響が見られない。ザルザル過ぎるだろ。
「ま、そういう事にしておくよ」
なにやら向けられる超、生暖かい目。全部察したみたいな表情をしないでいただきたいんだなI子さん。見透かされているようで気が気じゃないんよ。
こぽぉ……♡
「んっ……♡」
やめてよして艶めかしい声出さないでバリキャリ女さんU美とI子がぐりんってこっち向いたから。
「なんか湿っぽいんだよね。ちょっと話聞かせておくれよ」
「おい、てめえちょっとツラ貸せや。スイカ割りのスイカ役な?」
「アッ、スゥー……」
この後めちゃくちゃ