※この作品はR-18です。

若いきつねと三十路のたぬき   作:負けた社畜

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もう5月マ?家のカレンダー3月なんだけど





黒ギャルと大華火

 

 

 

今日も今日とて労働の義務を果たし、あとは愛しの我が家へ帰るだけとなった僥倖。定時。素晴らしい。

 

“僥倖”とは“偶然得る幸せ”のことで、今この場合(とき)は取引先と話が纏まり出先から直帰できる事を指す。俺はルンルンで改札を(くぐ)った。おかしいな。今日休みだったはずなんだけどな。

 

もう済んだことはもう思い出さない主義だ。過去を振り返ったって、恥と意地を塗り重ねた現代アートにもなり切れない何かが転がっているだけで、目も当てられない。この場所から可及的速やかに帰宅を致す事こそが最重要命題なのだ。

 

かくいう俺は取引先から駅まで辿り着き、電車を待っている。同じ関東といえども、県をまたいで2時間そこそこの長い道のりである。マイホームタウンまでは最低でも複数回乗換しなければならない。

 

そういえば陽が短くなったなんて、ビルの向こうに沈む夕日を見て思う。ようやく()だる夏が終わったと思えば、秋の日は釣瓶(つるべ)落としと言うように陽光も季節も高速で過ぎ去り、待つ暇もなく冬へと至ってしまうのだろう。

 

ふと思う。『夏らしい事してねぇな』と。

 

夏らしい事が何なんだと問われれば答え辛いが、パッと思いつく限り“海水浴”や“花火大会”だろうか。

 

暑いのになんでわざわざ人が集まって更に暑い所に行かねばならんのやと思ってしまうあたり俺には向いてない。それほど体が夏になってない。拘束具のような服を着て踊るには風が足りない。近年浸透したクールビズのおかげでジャケットとネクタイは免除されているが、むしろ冷房と外の寒暖差で風邪をひきそうだ。

 

そう、風邪。まだ残暑厳しいこの時期にインフルエンザを患った奴が我が部署に1名。上司(ハゲ)である。

 

勘違いしないように言っておくとインフルエンザは冬の乾燥した時期に流行(はや)るイメージが強いが、実は年間通して感染者が出ている。だから決して本人を責められたわけではない。

butだがしかし、サーフィンをエンジョイしに行って(わずら)い、仕事を割り振られ休日出勤するハメになったこちらとしては、お気持ち表明の一つや二つしたくなるわけで。

 

手洗いうがいを···サボるんじゃねぇぞ······その先に(オレ)はいるからよ·········。

 

うん。そしてなぜ夏らしいことをしていないと思ったのかは、周りを見渡せば浴衣の少女淑女、甚平の優男をよくよく見るからである。

ビジネススタイルの兄弟達は隅に追いやられ、はしゃいで浮ついた若く幼い空気感が電車を待っていた。

 

警笛一発。駅へと入ってきた快速の車内もこれまた浴衣甚平が目についた。おそらく、沿線のどこかで花火大会でもあるのだろう。

 

乗り込んだ涼しい車内のおかげで汗が引いていくが、ちょっと服が臭ってないだろうかと気にもなる。なにせ周りはティーンエイジャーばかりだ。そういうのは特に気に障るかもしれない。

後で「隣のリーマンめっちゃ臭かったわ」とか言われようものなら俺のメンタルブレイクは免れないし、スメル痴漢とか言われても俺は負けである。なんとか乗換駅までもってくれよ。

 

「あーいた!」「良かった~!」なんてやり取りを見たのは何度目か。駅へ停まるたびにそんな景色がちらほら起こり、混雑率は軽くラッシュアワーに近いところまで上がってきた。

違うのは空気が若いこと。平日朝のような厳かな静寂ではなくガヤガヤと会話が聞こえる程だ。おじ様たちのお高い整髪剤ではなく、フレッシュな制汗剤の香りが漂う。肩身がどんどん狭くなるし、窓ガラスの反射には目の死んだ社畜が1匹。周りの若人達は喜色満面。電車はまもなく乗換駅に入ろうとしていた。

 

 

ここまで快速に乗ってきたが、この路線は都心に向かうにつれ各駅停車と快速が別の方面へ行ってしまう。複数回乗換をしなければならないのはこの為で、涼しい車内から地獄の釜へと降り立った。やだ、降りたくない。行かないで冷房。

 

思うに、イベント事が開催される時は電車が遅れやすい。鉄道会社だって休日に臨時をぼんぼこ出せるほどリソースなんかないだろうし、そういったことを想定していない時間帯(ダイヤ)にキャパシティを超えた乗客が集中するため乗降に時間が掛かる。

えてして()()()()()()は電車に()()()()()()()()()であり、あれ?次はどれに乗るんだっけ?とワンクッション挟まって滞留してしまう。

 

······つまり乗降が遅い。その上浴衣や甚平などで下駄を履いていれば慣れない足元で余計行動は遅くなる。

 

「目論見が外れたな······」

 

ホームの様子で察したが、予想通りコンコースはごっちゃごちゃだ。

乗換客と待ち合わせ客と、様々な目的を持った人で溢れかえっていた。まだ混み出す前に通過できるだろうと考えていたが、実際はイベントラッシュのド真っ只中に突っ込んでしまったらしい。

人混みマジ無理。これを大学の時に話したら『陰キャやん』と言われたが、不特定多数の人間と同じ空間に居なきゃいけないという状況は大変にストレスを感じないだろうか?

 

以下社畜的経験則だが、駅であれば客同士の喧嘩や急病人といったもの、痴漢トラブルやスリなど犯罪行為まで、人が多ければ多いほど何らかのトラブルに巻き込まれる可能性は上がっていく。

 

 

 

「いいじゃん俺らと行こうぜ」

「ずっと待ってるじゃん君、すっぽかされたんだっぺよ」

 

 

 

そう。ああいうのね。

 

コンコースにある柱に身体を預けスマホを弄っている女性に、ツーブロックゴリラとチリ毛パーマキノコがナンパを行っていた。

 

彼らは祭りの浮ついた空気にかこつけて、今晩のオカズ調達に夢中なようだ。浴衣姿の女性についうっかり目を奪われる気持ちは分からなくもないが、そこへベタベタと触りに行くのは無しだろう。お相手の方は待ち人が居るのかフルシカトして顔を上げないし。

 

女性には申し訳ないが、ここで颯爽と助けに行けるようなイケメンマインドを備えていたら、俺は社畜なんてやってない。未だ姿を見せないヒーローに後を任せ各駅停車のホームへ足を向けようとした。

 

 

そこで心底鬱陶しいという表情を顔に貼り付けた浴衣の女性が顔を上げ······なんか、見た事ある···ような······ご尊顔、ですね······?

 

目と目が合う瞬間、終わったと気づいた。

 

 

「彼ピく~ん!!!」

 

 

信じられねぇくらいブリッブリな声。ハマチ。

野郎共を突き飛ばしカロンカロンッと弾んだ足音を鳴らしながら走ってきた件の女性···もとい黒ギャル様ががっしりと俺の腕を捕らえると、空いていた指の股を包むように指が通される。

 

勇者ロボットの合体のようにブッピガンと固定され、圧に耐えられない関節からボキボキッと小気味よい音が鳴った。

 

「おい!なにすん」

「ごめんねっ!?お仕事大変だったっしょ!」

 

目線が合わせろと伝えてくる。もうこの時点で俺は傍観者から舞台へ引っ張り上げられてしまったのだ。

 

「············あちらの方々は?」

あぁ、さっきから蚊がいはりますなぁ

 

 

絶句。

 

甘々角砂糖から突然絶対零度まで降下した声音に、聞こえたのだろうかツーブロックゴリラとチリ毛パーマキノコもポカンとした。ここだけ音が無くなったようだ。

しかしよくよく考えれば、彼女は導火線に火炎放射器で放火した大変マズイ状況である。適当にあしらうのかと思えばとんだクレイジーサイコだ。

 

「ほらいこ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~助かったわぁ~」

 

すぐさまホームへ逃げ、各駅停車へ乗り換え、脱出を果たした···はず。隣にはいつものグダグダテンションに戻った黒ギャルが並んでいた。

 

「ほんとやめろよ俺のガラスの心臓(ハート)がもたねぇって」

「あはは!ごめんじゃん!」

 

手を合わせて申し訳なさそうにする黒ギャル。いや全然欠片も思ってねえわこれ。しかし、彼女の格好も相まって仕方ないかと溜息を吐いた。

黒を基調として白と赤の花が散らされた浴衣は、ひと房に(くく)られた金髪によく映え、さらけ出されたうなじが色気を醸していた。なんというか、普段は快活さを感じる彼女だが、今日に限ってはしっとりとした雰囲気も併せ持っていて直視し辛い。

 

「ところでなんで浴衣着てんの?」

「あーそれ?友子から『制服ディズニーいみじううらやまし浴衣花火大会せむぞ』って来たから『おけまる』って返したんよ」

「ほーん、で?友子さんとやらは?」

「いや、集合までは決めたけど昨日の『夜勤休めぬ事いとつらしみに暮れりけり』ってメッセから既読つかん」

「あなや。ねおちとはいとかなしけり」

 

おそらく、友子さんとやらは99.9%の確率で寝落ちなさっている事だろう。

 

「んで一人寂しく花火大会行こうとしてたらおにーさんがいたってわけよ」

「強っ。俺だったら家帰るわ」

「せっかく盛ったんだからちょっとは人に見てもらわないとメイクに失礼っしょ」

 

強い。もう強々(つよつよ)である。俺だったら心折れてるわ。そとそも花火大会の人混みという状況で心折れる。アンコール沸かず。Dance Dance Dance。

 

そうこうしているうちに電車は二つ目の駅へアプローチを始めた。ここがちょうど県境であり、名の知れた大きな川を渡って駅へ入る。座っていた浴衣甚平たちも立ち上がり準備していて、どうやらここが花火大会の最寄り駅なようだ。

 

 

「んじゃ、ここまでで」

「んじゃ、ここ降りよ」

 

 

 

「えっ?」

「えっ?」

 

 

 

「いや、ここ会場だって」

「うん。行ってらっしゃい」

 

 

 

「え?」

「え?」

 

 

いや、俺帰るし。花火大会なんて行くまでに混んでる、会場混んでる、帰り道混んでるの三重苦じゃないか。

 

「は?意味わからんし。今の完全に一緒に行く流れじゃん」

「見てよ俺ビジネススタイル、花火大会行く格好じゃない、人混みマジ無理寄りの無理」

「浴衣美人が誘ってるんぞ?据え膳食わぬは男の恥ぞ」

「ちよっとォ~そもそも据え膳じゃなくなぁ~い?」

「オネェやめろしwww」

 

わちゃわちゃしていたら電車は駅へと着弾し、扉が開くとドパァーンと人が吐き出されていく。風船の空気が吹き出していくかのように車内の人が減っていく様は見ていてなかなか壮観な光景だ。

 

「ほ、ら!」

 

腕を組むどころか腕をハグした黒ギャルに全体重をかけられて俺は引っ張り出された。

 

「屋台食べ放題!花火大会観覧ツアー!浴衣美人付き!これでどうよ!今なら基本無料!」

「ソシャゲか!ツアーなら旅行業約款(やっかん)見せろ!」

「えー標準でいい?主催旅行契約の部 第一章 総則」

「あー!いい!やめろ!条文聞いただけで体調悪くなるわ!」

 

マジで詠唱を続けそうな勢いで口が回り始めたので慌てて止めた。このまま第八章まで説明されたら発狂する。渡航手続代行と相談契約まで持ち出されたら俺は天に召されるだろう。

 

「またナンパされるかもじゃん。あーし」

「あっ、あー······」

 

それを出されると非常に弱い。確かにこのまま見送ったら、また先程のような事態になりかねないのは確かだ。ワンチャン猿達は狡猾で「どしたん?話聞こうか?」という鳴き声で女を誘う。複数個体で囲い込み狩りを行う生態もあり、特に群体は危険である。彼女ならメンタルは大丈夫だと思うが、浴衣という動きづらい服装な為に逃げる事もできない。

 

俺が居てもどうにかできるわけでもないが、虫除けぐらいにはなれるだろう。そんな言い訳をして、俺は彼女に手を引かれるまま改札を出た。

 

 

 

日も完全に落ち、しかし暗くなっても暑さが気怠げに体を包み、こっちまで気怠く汗をかく。人の熱気と屋台の熱気で、いつもは静かなはずの河原は喧騒に満ちていた。てか人多いって!思ってたよりも全然人多いって!

 

さっきから俺の手を引いて人混みをかき分けていく黒ギャル氏のパワーに感心しきりだ。俺はと言えば熱気に晒されそろそろ軟体動物になりそうなのに。そしてたこ焼きの具にされて食われてしまうんだ。あんまりだァ······。

 

焼きもろこし、たこ焼き、フランクフルト、唐揚げ、ポップコーン、ケバブと目についた屋台のものを片っ端からかっ攫っては身体に収めていく彼女を見てるだけで胃がもたれる。

小麦粉と炭水化物と炭水化物と見事に茶色いグルメしかなく、圧倒的な栄養(カロリー)は一体どこへ蓄えられているんでしょうかね?最初は付き合っていたものの、その食事ペースにどんどん腹がキツくなってきた。

 

「おにーさん体調悪いの?」

「いや普通」

「全然食べないじゃん」

「君が食べるのを見てるだけでお腹いっぱいだよ」

「おっぱい?いきなりなんだしスケベ」

「理不尽」

 

自分の身体を隠すようにかき抱いた彼女はたいへん立派なモノをお持ちで、本来身体のラインが出にくい浴衣にも関わらず帯の上にボリューミーな膨らみが見て取れる。これじゃあ着付に苦労したことは想像に難くない。その襟元から覗く素肌が街灯に照らされ艶めかしく輝く。

 

そういえば浴衣は下着をつけないって言うけど、どうなんでしょうね。当然着用してるだろうが、肌襦袢と裾除けを着てインナー着るとなかなか暑そうだけれども······あっちゃこっちゃ結ぶだけの男と違って女の子のお洒落は大変ですわな。

まあでも花火大会でワイシャツ&スラックスに革靴とかいう奇特な人間は俺しかいませんわガハハ。

 

更に焼きそばとお好み焼きとじゃがバターを購入しメジャーな屋台飯をあらかた制覇した頃、ようやく彼女は腹八分目と言い出した。末恐ろしい女だ。

 

「お祭りグルメとか普段食えんしこーゆー時ガッツリいかんと」

「なーほーね」

 

ぶっちゃけ一つ一つはチープなものだが、こういった祭りの雰囲気の中食べるとまた違った味に感じるのも面白い。深夜の高速道路で食べるラーメンとかそんな感じ。

 

しかし、そろそろ目的の花火が打ち上げられる時間ではなかろうか。花より団子、もとい花火より出店(でみせ)もいいが、せっかく花火大会に来たのなら花火を観なければ風情もない。手のひらクルッ。

そう伝えたら「これで最後だから」とわたあめを購入した彼女···まだ食うんかと思って呆れていたところ、引っ張られ河原の石階段にやってきた。

 

男女のペアや家族連れが石階段を椅子がわりに使っており、丁度よく空いていた端のスペースへ腰を下ろす···前に。

 

「ほれ」

「え?······タオルいいの?」

「予備だから構わん。あ、まだ使ってないから安心していいぞ。綺麗な浴衣に土つけるわけにもいかんしな」

「···ありがと」

 

野郎?野郎のケツなんぞどうでもいいのだ。『幸せになるのは女と子供だけでいい!男なら死ねい!』と教育を頂いている。

 

「ほれ」

「なに?」

「口開けて?」

 

言われるがままに口を開くと舌の上に雲をのせられた。解けていくように無くなる甘い呟きは久しく感じることのなかったザラメの味。次いで口の中が揚げ物の如くバチバチと音を立て始めた。これ味変わたあめじゃん。

 

「あっっっっま」

「凄ッ。めっちゃパチパチする」

 

二人揃ってぱちぱち。からから。ふと鼻を抜ける、彼女がいつもつけている柑橘系の香水。汗と混じってセンセーショナルに感じる夏の香り。

 

そんな香りに誘われて空を見上げたその時だった。間の抜けた笛のような呼び声に振り向き、俺も、黒ギャルも、周りの人間さえも、そいつの最期の勇姿を観た。一心不乱に脇目も振らず天空へと舞い上がる長い、永い、蛇尾のような閃光。歓声をもって送り出す子供、驚きで泣き出してしまう赤子、大人たちはみな無言で墨染の暗闇へと顔を向ける。

 

刹那の静寂、無音。やがて大きな大きな光輪が開花した。身を包む衝撃と、身を貫く音響。

 

(そら)を彩った一輪は大きく輝くと、すぐに(ほど)けて消えていった。儚い。そう、儚い。人の夢と書いてそう読む。(わず)か一秒、ともすればそれにすら満たない(まばた)きの合間に見る夢。そんな夢が見たくて、みんな来るのかもしれない。

 

別に、花火に抱く感情は何だっていいのだ。綺麗だなとか、煩いなとか、怖いなとか“その時どう感じたか”なんてそんなの人の自由だ。だけど、そういう時の感情が似た人というのは、本当に居ない。大人という俗世に染まれば染まるほど、見つけるのが難しくなる。

 

「寂しいな」

「······?」

「いやさ、一瞬じゃん。人に見てもらうために作られてさ。なのにその時間は1時間でもなく1分でもなく一瞬。終わっちゃう感じがずっとしてて。これ見るとなんか夏も終わりか~みたいな。終わりの象徴」

 

寂しい···寂しいか。

花火大会の後に抱くなんとも言えない寂寞(せきばく)にも似た思い。今までもやもやと感じていた事は、彼女の言葉で初めて胸に落ちた。一年に一回、花火に別れを感じてやるぐらいなら、来てもいいかもしれないな。

 

 

さすさす♡

 

 

内ももに感じる擽ったさ。先程までわたあめを摘んでいた彼女の手が大腿筋に沿うように太腿を撫で上げた。

 

「何してんの?」

「え?··········お礼?」

 

ちょっといい感じに浸ってた俺のサンチマンタリスムを返せよ。

 

「花火大会ソロプとかマジ勘弁だったしナンパにも絡まれるしさぁフツーにガチ萎えしてたんよねぇ」

 

シームレスに内腿を撫で上げた長いネイルが、スラックスのファスナーの上からかりかり♡と引っ掻く。わざとファスナーを掻いて、細かでありながら芯に響く強さで与えられる微振動。それはスラックスの中でしなっていた肉槍の裏筋へ容赦なく浴びせられた。

 

先端から根元まで、更に腰の奥まで届く振動が情動となって、否応なく肉槍へと流れ込む。むくむくっと情けなく持ち上がっていくスラックスの山。

しかしファスナーに沿って肉槍が膨らめば膨らむほど、彼女がかりかり♡と奏でる振動は強く伝ってきた。

 

「お前···周りに人がいるんだぞ······!」

「だいじょーぶ、みーんな花火観てるよ······だからおにーさんが騒がなきゃバレないって♡」

 

きゃっきゃとはしゃぐ家族連れが、仲睦まじく身を寄せるカップルが、初々しい学生同士が、長い年月を歩んだであろう熟年夫婦が、すぐ、ほんのすぐそこに居るのに。

 

ニマッと、唇に指を当て「しーっ」というジェスチャーをした彼女。花火の閃光によって彩られた微笑みは、笑顔と言うにはあまりにも淫靡だった。

 

 

 

幾つか大輪が咲いた頃、スラックスの山はすっかり(たぎ)ってファスナーをブチ破らんばかりに(みなぎ)り散らかしてしまった。どくどくと脈を打ち、鉄芯が通ったように硬く、しかして敏感に刺激を感じ取る生殖器官が躍起になって解放しろと暴れ立てている。

 

あまりのイキりっぷりと空気の読めなさに持ち主ですら呆れ返ってしまう。その肉槍の先端へ、黒ギャルは爪を立て擽るように(おだ)て続ける。煽ったところで木になんて登らないし何も出ないって言うのに······いや、何か射精()はするかもしれないが、とにかくこんな所で無様に漏らすわけにはいかない。

 

かり♡かり♡くり♡ぐり♡ぐり♡ぐりゅ♡ぐりゅ♡ぐりゅ♡

 

そんな俺の決意を嘲笑(あざわら)うかのように、黒ギャルの指はエスカレートしていく。

 

「ッ······」

「♡」

 

挟み込んで撫で上げ、わざとカリ首に爪を立て鈴口をほじくる。少しでも萎える事を許さない指先がねちっこく捏ね回すせいで、肉槍がじんじんとした疼痛を感じるほど勃起し続ける。緩くもキツい悪戯だ。

 

······苦しい。放出を許されずスラックスの布に押さえつけられ、俺はただひたすらに浴びせられる愛撫に耐えるしかない。

 

だが少しでも妙な声を上げようものなら、この行為が周りにバレかねない。どう考えてもそれはまずい状況であり、あまりに良くない。もしこの状態で逃げ出そうにも、股間に聳えるバベルの塔で俺が通報される事態(悲劇)が起こるのは容易に想像できてしまう。

 

不意に肩がぶるりと震えた。赤、青、黄、緑等工夫を凝らした華美な光が夜空を彩り人々を照らしていく。

 

······まるで集中できない。

 

ぐり♡ぐり♡ぐり♡ぐり♡♡ぐり♡♡ぐり♡♡

 

───こんなんでマトモに花火なんて見てられるか!!

 

目で止めてくれと訴えてもお構いなし。竿を(しご)いていた指は次第に玉までもを弄び始め、股間生殺与奪権は全て彼女に委ねられてしまった。いつの間にやら身体同士も距離がなくなり、しっとりとした体温が半身から伝わってくる。そちら側だけが汗をかき、服がじっとりとして少々不快だ。

 

その時、天啓が頭の中へふっと湧いた。

 

攻防一如。つまり『攻撃は最大の防御なり』。

 

古代中国の軍略家孫子が説いた兵法が出典とされていて、一般的には『反撃する隙なく殴り続ければ防御は要らない』とか『先に攻撃を仕掛けて相手に防御姿勢を続けさせる』みたいな意味でよく聞かれる。

それはちょっと違っており、孫子は防御の大切さも説いていて『昔の善く戦ふ者は、先づ勝つ可からざるを爲して』という一文がある。これは『機を見極めて相手が隙を晒す時を待つ』的な意味合いを持っていて、これを成すためにはしっかりとした防御面が必要であり、戦で勝つ人間は好機を逃さない。そう書かれていた。

 

 

そして、ひたすら耐え忍んだ俺に訪れたチャンス。

 

───()()()()()()()()()()()()()()()少し身を動かした為に()()()()()()()()()()()

 

スリットのように肌蹴(はだけ)た浴衣から伸びる瑞々しい褐色むっちり太腿。そんなものが手を伸ばせばすぐ届く距離にある。なら、手を伸ばさない理由などないだろ!

 

「───!?」

 

びくり♡と肩を震わせた黒ギャル氏。太腿の奥に隠された薄布の護る魅惑の鼠径部。その手触りの良い布は、汗か、はたまた違う汁の影響でじっとりと湿っていた。言い訳するには些か疑わしいムワッ♡と具合だが、それを尋ねるのは野暮ってもんだろう。

 

柔らかく、(なだ)らかな弧線の先、薄布越しに不自然な硬さを感じる。指先がなぞっていけば、そこだけがツンッ♡と持ち上がって存在を主張した。

 

───勃起したクリトリス

 

彼女も、こんなにも硬く肉豆を漲らせていて、言い訳できない程に興奮が漏れ出す。その突起に指を引っ掛け、下から上へ弾いてみた。

 

ぴんッ♡

 

ッッッ♡♡゛♡゛!!!

 

電流を通されたようにつま先が跳ね上がり、内腿に筋が浮き上がる。一瞬だけ身体が硬直した彼女はと言えば、唇を噛み締めて必死に嬌声を噛み殺したようで。

 

ビキッ♡ビキビキッ♡♡♡♡

 

薄布に浮いていた突起(クリトリス)は、嬌声を我慢して血圧が上がったせいか更に激しく膨張。甘勃ちからガチ勃起へと相成った。ショーツに浮くように突っ張り、なんとも弄り回したくなる肉豆は再びの刺激を今か今かと待ち望む。

 

 

『撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ』

 

これもかつて、救国の英雄となるべく詐欺師が発した言葉だ。自らの覚悟を示し、レジスタンス達をまとめる為に使われたものだが、今この状況に当てはめると俺は一方的に撃たれていた側である。雉も鳴かずば撃たれまい。

 

「声出したら周りにバレるぞ」

 

こす♡こすこすこす♡クニュ♡クニュ♡グリュ♡

 

指を鉤爪(かぎづめ)状にして、ショーツの上から肉豆をすり潰すように引っ掻く。肌触りの良かった薄布は段々と重みを増し、吸いきれない水気が指に纏わりつくようになってきた。

 

「ふっ゛…ん♡……ああ゛あ…゛ん…゛♡んっあ♡んん゛ん゛」

 

指で蛇口を塞いでも水は(あふ)れ出るように、喉元から(こぼ)れ出るか細い艶声。彼女がいかによわよわクリトリスなのかを物語る。花火を連続で打ち上げるプログラム、いわゆるスターマインで彼女の声はかき消され、周りの人達は気づいてないだろう。その証拠にこちらに視線を向ける人間は居なかった。

 

 

「······ぐッ」

「······ィ゛♡」

 

どのくらい経っただろうか。ポーカーフェイスを貼り付けたままお互いの秘部を(いじく)り回し、色とりどりの花火が散っていくのを見送った。何度も。何度も、何度も。

 

 

ぐつぐつ♡

 

 

俺のモノは既に治まりのつかない所まで来てしまったし、彼女のショーツはフローラルフォーム(生け花用スポンジ)もかくや押せばグチュリ♡と汁が(したた)る感触がした。

 

もはやどちらも下着としての用を成しておらず、表面張力がごとく何か一つ切っ掛けがあれば容易(たやす)く崩壊するだろう。

 

 

どくどく♡

 

 

また、夢が舞い上がり、儚く咲いて、溶けていった。

 

ふと彼女の柑橘系のフレグランスを感じた。光に照らされて浮かび上がった横顔は、弱々しく快感に歪んでおり──それがひどく興奮をもたらした。彼女の中に発情した雌を感じてしまったからだ。

 

 

じくじく♡

 

 

「ねぇ······早抜けしよー?おにーさん······♡」

 

 

 

 

河川敷を行く道を外れ、喧騒から隠れるように移動した。お揃いで内股になってしまっていたかもしれないが、できる限り多くの人間に気づかれていないことを祈ろう。今はもう、そんな人目(もの)を気にしていられないほど俺達は切羽詰まっていたのだから。

 

花火の音は、まだ聞こえる。人の音も、まだ聞こえる。街の声も、まだ聞こえる。少し足を向ければ、まだ夥しい人の群れ。

それを背に、道を確かめもせず駅へ向かう。たぶん、駅へ向かってる。何とか駅前まで辿り着ければ()()()()()のひとつぐらいはあるはずと。そんな希望的観測を胸に抱き、熱に浮いたふたつの足音。

 

しばし街灯の下を歩き、住宅街の外れ、暗く人気のない公園を見つけた。申し訳程度の遊具と、数本の木。身を隠すには些か心許(こころもと)ないが夜闇なら紛れられそうなぐらいの茂み。

 

 

はー……♡ はー………♡

 

 

さっきからずっと聞こえる(あつ)い呼吸。

 

俺の口から漏れ出た獣欲か、それとも彼女の唇から(あふ)れ出た期待か。静けさの転がる公園はいやによく音が反響した。

 

そのままアテもないからと公園を過ぎさろうとした時、横でカロンカロンと音を立てていた桐下駄がふと歩みを止めたから、先に進んだ俺は振り返る。

 

「ね、おにーさん······♡」

 

彼女の背後には夜空を彩る大輪の華が咲き、その表情と仕草をありありと浮かび上がらせた。たくし上げられた浴衣の裾から露わになった彼女の下半身。顕わになった彼女の欲望。

 

「あーし、もう我慢とか無理だから、ここで(サカ)ろ······?」

 

「お前こんな公園で」なんて言葉が喉元まで浮かび上がって来たが終ぞ俺はそれを口にする事はできなかった。

彼女の太ももと太ももの間に糸引く粘液。膝下までずうっと(つた)っていったふしだらな誘いは、俺から同意以外の選択肢を奪うのには充分すぎたから。

 

2人で公園の茂みへと身を隠し、男は木を背にして立ち、黒ギャルはその前へとしゃがみこむ。蹲踞の姿勢によって開かれた両足と、少し(はだ)けた浴衣を上から見る絶景。彼女の事だから、きっと下着までバッチリとキメていることだろう。彼女は浴衣の上から自らの胸を乱暴に掴み、もう片方の手は下へと···恐らく秘所へと伸ばしていた。

 

「······バッキバキじゃん♡」

「誰かさんに散々焦らされたせいでな」

「お互い様っしょ」

 

スラックスを突き上げる雄の獣欲に雌は頬擦りし、頬肉が柔らかく歪んだ。口元に浮かんだままのニマッとした笑みは途端に意味が変わりだし、妖しい色を帯びる。

 

ぐちゅ♡くちゅ♡くちゅ♡ぐりゅ♡ぐぷっ♡

 

下の方から聞こえる粘っこい水音。黒ギャルの秘所へ伸びた腕の方から断続的に鳴るそれは彼女自身の指が奏でていた。下着へと潜り込みはしたなく蠢き、手指は未だにお預けされ続けている自らを慰めていく。

 

「あ~♡マンコほじり止まらんわ♡······れるぅ♡」

 

かちっ♡

 

二股の舌(スプタン)がファスナーのタブを持ち上げ、白い八重歯が輪を引っ掛ける。

生暖かい吐息が触れたような気がして、ぎしりと腰が軋んだ気がした。実際にはようやく自身を解き放ってくれそうな状況になったことで、肉槍が大暴れしているせいだろう。

 

······ぢぢぢぢぢ♡

 

顔の動きと共にファスナーが下ろされていく。彼女の長舌がそのまま差し込まれゴソゴソとパンツのボタンが弄られているようだ。今度こそ肉槍の裏筋へ熱い吐息を感じ、より一層むずむずとしたものが焚き付けられる。

 

ろうひょっと(もうちょっと)···♡♡♡」

 

ぷつんっという感触と共にボタンとファスナーが解放されたことで、押さえつけるものが無くなってしまった。途端に根元から海綿へ塊のような血流が一気に流れ込み、ジンジンと疼きを感じる程に硬く激しく勃起を強めていく。

 

 

ぼるんッ!!♡♡!♡

 

 

 

ベッチン!!!!

 

 

 

あろう事か······いや、これは不可抗力だ。

 

肉槍が押さえ付けられていた角度が良くなかったし、まさか自らの息子がここまで暴れん棒将軍だったなんて想像もしていなかった。

 

一気に解放された肉槍は重雪を背負って長らくしなっていた枝が雪を下ろしたかの如く、弾みのつけて彼女の頬を張ってしまった。気まずい静寂がしばし降り立ち俺は悲観に暮れる。やってしまった。見せ槍どころの話ではないし、愚息は調子に乗ってなおビキビキ♡と膨れようとする。

 

いや、全ては息子のした事なんだ!俺は悪くない!

 

「うっ······」

「は?チンポビンタとか······ナメたマネしてくれるじゃん···?」

 

ギラリと輝いた瞳に、燃え盛る何かを幻視した気がする······。

 

彼女の薄い唇から紅い赤い二股の舌(スプタン)がずるり♡と這い出し、糸引きながら左右にぐぱぁ♡と分かれカリ首を包み込んできた。生温かく唾液で(ひた)った粘膜が、辛うじて届く街灯を反射しキラキラと光る。

そして溶け落ちそうなほど熱い唇が、こんどは亀頭へとキスをした。唇はOの形に開いて被せられ媚熱がじわりと伝わってきて。

 

 

ぞるるる゛る゛る゛!!♡♡

 

 

───呑み込まれた。

 

亀頭が味わっていた熱い口付け(チンキス)が、瞬時に根元まで広がって、モノだけを湯に浸したような灼熱感がこみ上がってくる。見れば黒ギャルは喉奥まで肉槍を呑み込み、頬が(すぼ)むほどに吸い付いていた。

驚きに圧倒され視線を向けた俺へ、そんな性欲を込めた顔でピースを向けてくる。

 

 

ぞるっ♡!じゅぷっ♡!じゅぶっ♡!じゅぽっ♡!ぐぽっ♡!ぐっぽ♡!

 

 

纏わりつく唾液と、隙間から漏れ出る空気とが合わさり白く泡立つ。二股に分かたれた舌が(もたら)す圧と、唇の熱さ、喉壁の柔らかさに俺の脳内が白く粟立つ。

喉輪がカリ首に引っかかって苦しいはずなのに、()せたとしても、嘔吐(えず)いたとしても、彼女は頭を振るのを止めない。

 

「待て···!待てって·····!!」

 

彼女の金髪が広がるほど激しく振り乱され、本気(マジ)だということが伝わってくる。

 

タマの中身ごとぶっこ抜かれそうな強烈バキューム。海綿にどんどん吸い上げられた血液が溜まっていき、亀頭が破裂するんじゃないかと不安になりそうなぐらい勃起に勃起が重ねがけされる。

 

どうなってんだよコイツの喉···!普通こんなの喉に突っ込まれたら吐くだろ······!?

 

じゅろろろろ♡♡♡♡!!ぐっぽ♡!ずじゅるるるるる♡♡♡♡!!! ぐぽっ!!!♡♡

 

驚くべき深さまでセルフイマラチオをキメる彼女は口蓋(こうがい)と肉厚な舌を巧みに動かし、良くキく圧力で締め付けながら扱き上げてくる。

 

舌の器用なヤツめ···!

 

男の喜ぶ角度、向き、力の掛け方全部を()()()()()()。段違いのレベルと言っていい。

腰から下を全て溶かすような凄まじい快楽。それはぐるぐると下腹部で渦巻いて、あっという間にどくどくと脈打ち始めた。まだ彼女にしゃぶられてから5分と経っていないのに、もう既に睾丸は持ち上がり、精の塊を押し出さんとしている。

 

「······ぐッ!······射精()ちまうって!」

 

なんと情けない声だろうか。ちょっとないレベルで早漏しそうな俺は必死に尻へ力を込めるも、彼女のドスケベディープスロートの前には無力。

 

奥底から込み上がる奔流は勝手に輸精管を押し広げながら一気に駆け上がってくる。絶頂(それ)を察知した黒ギャルは再び、喉奥まで肉槍を沈めた。

 

 

 

どぷっっ!!!……ドプッッッ!!!…ドクンッ!!!びゅぶゅぶゅ!!!!

 

 

ごきゅっ♡♡♡……ごくっ♡♡♡♡……ごくゅっ♡♡♡♡

 

 

 

ついに破裂してしまった。陰毛が鼻息でそよいでしまうほどの全てを埋めた口内。粘膜が泡立って、撹拌された口泡が顎先を滴る。それを嬉々として自らの体内へ飲み下していく彼女の喉の動き。それがまた気持ちよくて、肩を震わせた。

 

 

ドクンッ!!…どくっ♡!!…びゅる!びゅるびゅる♡♡♡!!ぶぷっ……♡♡とぷっ…とぷっ………

 

 

じゅるるるる♡♡♡♡♡

 

 

「あぁああ······!!」

 

肉槍が強烈に吸い上げられ、射精後に残っていた汁までたっぷり根こそぎヌキ取られた。

 

腰が抜けそうになる所を必死に堪えるが······いや、後ろの木がなければ尻もちくらいついていただろう。精液だけでなく、筋力とか精神力とか何か別のものまでドレインされている気がしてならない。

 

やがて肉槍の脈動が落ち着いてきた頃、ぬぽんっ♡という小気味よい音と共に、彼女の口が肉槍を解放した。

 

「······♡」

 

 

おかしい······。射精をしたというのに腰奥の脈動が静まっていかない。それどころか煮えたぎった欲望は巡り続けギンギンと肉槍は昂ったままだ。めりめりと幹を蔦う血管は浮き上がり、先端は傘をかっ開いて聳え立っていた。花火を見ている最中から散々っぱら煽られ続けた雄が、たったの一発で満足なんてする訳がなくて。

 

彼女の粘膜と唾液と、俺のぶちまけた種汁やらが撹拌されぐちゃ混ぜになったものが、だらだらと糸を引き肉槍を濡れ光らせる。それは鞘から抜き放たれた日本刀のような、ぬらぬらとした妖しい光を照らし返して止まない。

 

 

「ほら、おにーさん?とぼけてないでさ······あーしのフェラで暴発しちゃったのは不問にしてあげるから♡」

 

 

口を拭って立ち上がった彼女と位置を入れ替えられ、今度は彼女が木に向かって手を付き安産型(むっちむち)な尻をつき出した。

浴衣の薄布に包まれた張りのある肉がふりふりと揺すられ、浴衣の裾が暖簾(のれん)のように(なび)く。

 

そこで、とある事に気づいた。こんな尻の突き出し方をすれば下着のラインが浮き上がってしまうのが普通だろう。女性からすれば悩みの種だろうが、彼女の尻の弧線にはそのような紐の陰影がない。つまり······。

 

「······まさか、下履いてない?」

 

思わず口から出てしまった声。

 

「そんなわけないじゃん。ノーパン浴衣花火大会はさすがに痴女度(レベル)高すぎ」

 

しゅるしゅると衣擦れの音を立てながら捲り上げられていく浴衣の裾。褐色の太ももから繋がりついには尻が姿を現す。確かに彼女はしっかりと下着を着用していた。してはいた、が。

 

猫の額もないほどの、レースで縁取られた紐状のTバックがお目見えしたのだ。必要最低限の布もない。ぶっちゃけ履いてないのと変わらないだろとツッコミたくなるクリーム色のそれは、腰骨あたりで金のリングで結ばれ彼女の褐色肌によく映える。完全な誘う用のものだった。

 

「自分の胸に手を当てて考えてくれないか」

「Hだが?」

物理(サイズ)じゃねーよ心の方に聞いてんだよ!」

「まあ見てなって♡」

 

彼女の爪が尾骶骨辺りにある結び目を解く。するとどうだろう、靴紐のように編まれたクロッチ部分がひらひらと緩んでいき、その下の鮮やかな桃色の粘膜を晒した。スイッチ式オープンクロッチとかどうなってんだよ。頭がおかしくなりそうだ。

 

「·········これでよく痴女度(レベル)云々言えたな」

「ちゃんと履いてるし♡」

「履いてないようなもんじゃねーか」

「いや、フツーのだとライン浮くし」

 

黒ギャルが自らの秘裂をショーツごと指で開くと、とろみのある汁が肉花弁の間で何本も糸引き、膣口からは白く濁った蜜のがこぽり♡と溢れ出してしとどに濡れていた。

 

ひくりひくり♡と(いざな)欲望の境界(浴衣の奥)は今か今かとオスの到来を待ち侘びていて、すました表情と裏腹に身体の方はひどく甘えたがりだ。

 

いつから?さっきイマラした時から?花火を見ながらイタズラし合っていた時から?屋台で買い食いをしていた時から?一体いつから彼女はこんな事になっていたんだ?

 

「······どったの?シないの?」

「えっ、あぁゴム······」

「んー?無くていいよ♡ それともフェラ一発で限界?そのおっきなタマタマは飾りなのかな♡?」

「後悔すんなよ······」

 

呆気にとられて思考の止まった俺へ、わざと挑発を繰り返す彼女の言動にカァッと身体が熱くなる。

夜と言えどまだまだ冷めやらぬ季節。髪も額に貼り付くほど発汗し身体は熱いのに、永延と燃え盛る何かが腰奥から突き上げてきて、ギンギンと反り返った肉槍へ更に流れ込む血流。内側からぶっ叩かれてるかのようにびきりびきりと飛び跳ね、雌を寄越せと大暴れするそれに少し恐怖もしていた。

 

しかし、そこに雌穴がある。犯して、蹂躙し、カリ首で引っ掻いて、自らを刻み込み、己の欲望を注ぐ為の穴が。

 

この穴なら、(これ)受け入れて(楽にして)くれる。暴れるそれを何とか手で押さえつけ、鈴口と膣口をキスさせた。腰に少し体重を掛け彼女の肉花弁を割開く。

 

 

「あっつ······♡」

 

 

ずぷっ……にゅるるるるるるるるる♡♡♡♡♡

 

 

「あ、ヤバッ······何これッ、過去イチ(カッタ)い······♡♡」

 

 

柔らかな女の肉はその脈動を刻みつけられ、ひくひく♡と震えるしかなかった。危機感を覚えた子宮は「このままじゃ足りない!まだ足りない!」と愛液を吐き続け必死に自らを守ろうとするが、哀れにもそれは間に合わず。

 

ゆっくりとした動きで幾重にも折り重なった膣襞を割広げ、肉槍が自らの存在を顕示していく。あまりにも鋭利、あまりにも剛直。規格外。予想外。想定外。それを必死に伝えようとするも暑さで茹だった頭には届かなくて。

 

 

ぶちゅッ♡

 

 

「───あッ゛」

 

 

たったそれだけで子宮(メス)は理解した。

優しく優しく、お腹の奥で押しつぶされたとろとろ♡の気持ちいいスイッチ(ポルチオスポット)。詰められるように、積まれるように、剛直から伝わってくる圧が最奥を押し広げて、あっという間に埋め尽くしてしまった。

 

 

どん、ぱらぱら。

 

 

咲いては消える火花が目の奥で散る。奥から奥から打ち上げられる尺玉は背筋を駆け上って、思考の暗闇を何度も弾けさせた。同じように河川敷で打ち上げられる色とりどりの花火に照らされて彼女の髪が、耳の裏が、乱れたうなじが、首筋を浮び上がらせる。

 

ぐりゅ♡ぐりゅ♡ぐりゅ♡ぐりゅ♡

 

「ちょっ···♡や、奥っ♡······ぐりぐりすんの······♡ 禁止ぃ♡!」

「誰かのせいで治まらないんだよ」

 

おそらく、さっきのフェラチオで細工されたせいだ。

黒ギャルは思いっきり肉槍をバキュームして吸い上げたが、その時に根元の血管を押さえ血を貯まらせたんだ。おかげで普段よりもバキバキに感じるほど勃起した肉槍は、それだけ容易に彼女の奥底まで届いてしまった。俺の勘違いじゃなければ、だいぶ彼女の雌穴も吸い付いてきてると思うが。

 

太さに慣れてきた膣襞は更にトロけ、ほんの少し身を揺するだけで結構な刺激が伝わる。息遣い、身動(みじろ)ぎ、きゅっ♡と蠕動(ぜんどう)する彼女の膣穴。

 

「ちょ、待っ······!」

 

薄い肩を鷲掴みして上体を起こさせた。彼女のボリューミーな胸元を支えるには驚くほど頼りないと思うし、首元に浮く鎖骨や肩甲骨のラインはそれだけで煽情的に思う。こりゃ肩凝るわ。

 

 

ごりごりごり♡♡♡♡

 

 

「あ···ぉッ♡ この角度っ♡ヤバいトコ当たるっ······♡」

 

──そして浴衣。涼を感じる装いの、更に奥にある「もっともっと」と熱を求める部分。渦巻いた欲望。非日常の陽炎。その特別感がなおのこと俺の中の何かを燃え上がらせて。

 

『肩掴みバック』と言えばいいのか。上体を起こした事で、肉槍は抉る角度を変えて突き刺さる。膣内の痙攣(ビクつき)が増し、自ら弱い所を教えてくれていた。浴衣の女を後ろから攻めるというシチュエーションに、自分でも想像していなかったぐらい興奮している自分がいる。

 

「悪戯っ子にはお仕置しなきゃな」

 

ずるるるるるるる♡♡♡♡

 

纏わりついていた膣襞へカリ首が強かに爪を立てる。盛り上がる鴇色の膣肉とべったりと白濁した本気汁が引きずり出され、肉槍の根元とぷっくり恥丘にだらだらと架かった()は程なくしてぱたぱたと地面へ散っていく。結合した部分の上にある尻穴が、締めつけに併せてひくひく♡と盛り上がっては窄まった。

 

 

あ゛!ああ♡♡♡♡♡♡♡

 

 

ちょっと待ってくれ、さすがにそんな声上げて通報されたら言い訳できないぞそれは······!

 

悲鳴のような嬌声が夜の公園に飛び散る。慌てて片方の手のひらで口を押さえたが、なおもくぐもった声が手に伝わる。

 

つい焦ってやってしまったものの第三者から見たら余計にまずい状況であろう。だが、涙ぐんだ彼女の目元はとろっとろの視線を俺に向けた。

 

それを見て、ありったけの力で彼女の尻へ腰を打ちつけた。

 

 

ばちゅんッ♡♡♡♡!!!!

 

 

♡ッ!!!!!

 

 

声にならない声、吐息混じり。節榑(ふしくれ)だった指を(くすぐ)る鼻息と手のひらに感じる柔らかな唇。指の隙間を通る彼女の吐息は酷く熱く、合間をしっとりと湿らせた。

 

どちゅっ♡!ごちゅっ♡!どちゅんッ♡!ばちゅんッ♡!ズチュッ♡!

 

「ぁ♡゛!お♡゛!ッッ♡゛深ッ♡゛······深いってェ゛♡!!♡゛···♡······いっ!♡♡······♡♡゛···う゛!♡゛♡あっ♡!」

 

雄を叩きつけた彼女の尻肉が波打つ。引き抜けるギリギリまで持っていき、また根元が飲み込まれるまで深く突き刺す。繰り返す。

 

強く、長く、ストロークで膣襞を削るように、繰り返す。

 

亀頭で子宮を殴打するように、繰り返す。

 

奥底で象徴を擦り付けるように、繰り返す。

 

「ん゛っ♡!···あ゛あぁ♡!あ゛っぁ゛♡!あ♡!ぁあ···♡゛♡゛あ♡゛!」

 

鼻を通って自然と高くなる嬌声。男の腰の動きに併せて打ち出される声が何度も何度も、何度も。公園という空間にはあまりにも不釣り合いなそれ、肉と肉のぶつかる音。

 

ぐちゅっ♡!ずちゅっ♡!ぼちゅッ♡!ぱちゅん♡!ずりゅん♡!

 

今この時に感じている熱さは、いったい何をや()いているのか。やにわに打ち上がる花火だけが、その背を浮かび上がらせた。知らず知らず、俺の手は彼女の柔肌に食い込むほど強く握られていて、自分が思っていたよりもずっとずっと限界が近いのだと知る。

 

「あぅ♡!イきそ···ッ!♡!······ッお゛♡!ヤバいヤバい···ヤバッ!?あ♡♡゛!っあ♡゛!!あっうそ···っあ♡♡!」

 

肉槍を包む膣襞の痙攣が、小刻みなものから全体を揉み込む程に強くなり、伝播した波が腰や腹まで跳ねさせる。腰から下が融けていきそうな熱感。舞い上がってしまいそうな浮遊感。奥底からは再び塊のような何かがこみ上がってきていた。

 

もうこちらも限界だ······!押し出された奔流は堰を割りどんどんと決壊点へ迫っていく。どうしようもなく沸騰しているのに獣欲の火は強火から落ちない。

 

「ぐっ···!いッ♡!ぁっ!イくイくイぐ······!!♡♡♡♡♡♡!」

 

ひぐんっ♡と一際大きく彼女の腰が飛び、強かに締め付けられた膣襞で、亀頭から、カリ首から、幹から全てがずちゅずちゅ♡と磨かれる。あまりに強い刺激で膝がガクガク震えて崩れてしまいそうだ。

 

このまま膣内(なか)にぶちまけるのはマズい·····!

 

辛うじて残っていた理性が、灰と化す前に脳へ警告を発する。『いま上がってきている精液は特段濃いぞ』と。

 

その証拠に肉槍は大きくえずき、腰奥でどろどろとへばりついた精の塊を必死に吐き出そうと狂ったように脈を打っている。なんとか股下へ力を入れ押さえつけているが、爆発するのは時間の問題だ。

 

彼女の肩から手を離し、急いで抜こうと腰を引いた。

 

「なか♡!···なかぁ♡!膣内(なか)がいい♡!!」

 

懇願とも熱望ともとれる叫びに呼応して、膣内が、子宮が隙間なく吸い付く。抜かないでと。行かないでと。もっともっと······そんなんじゃ、ちょっと止まる事はできない。

 

 

「······いいの?うッぁ♡···浴衣姿······の、女に、種付け······ん♡···できんだよ···♡?」

 

 

(かす)れた吐息混じりの声でそんな事を言うな···!あと少し、もう少しで引き抜けたのに、その言葉は俺の(しぼ)(かす)のような理性を欠片も残さず消し飛ばした。

 

気づけば俺の手は彼女の腰を掴み、浴衣にシワが寄ってしまうのもいたわれないほど、その下の肉までを握り込む。下手をすれば痣になってしまいそうなほど、強く、強く握り締める。そうしないと全身で彼女に圧し掛かってしまいそうだからだ。

 

怒りにも似た、衝動。

それはオスとしての本能で、抗えないほどの焦燥をもたらした。

 

中へぶち撒けてしまいたい。

 

膣から抜けかけていた肉槍はどぐどぐと、もはや幾許(いくばく)もない射精までの猶予を少しでも延ばそうと爆発的に脈打つ。硬さ、反り、太さ、歪み、全てが(メス)の中へ己を刻みつける為の刀身。その肉鞘には少し、余るかもしれない。

 

 

───()じ込んだ。

 

 

んぁ゛♡ッ!!!!!

 

 

Gスポットは鋭利な刀身にゴリゴリと抉られ、子宮(ポルチオ)は無惨にも押しつぶされ、折り重なっていた膣壁はまとめて貫かれ、膣穴は肉槍で目一杯に埋められた。

女の身体には耐え難いほどの快感が突き抜け、流れ出したはずの快楽の波が再び寄せてくる。

 

よもやこの一突きだけで自分がイくなんて思いもしなかった、花火に照らされる、そんな顔。

 

 

 

……ドグンッッッ!!!…どびゅぅッ!!!…びゅりゅっ!!!!

 

 

「ぁ♡···しゃせーつよぃ······♡♡」

 

 

びゅるる!!…ぶびゅっ♡!!…どくどくどく♡♡♡!!どぴゅ……♡♡びゅるっ…びゅっ………

 

 

上がってきた奔流は理性も何もかも押し流して、彼女の最奥へ叩きつけられた。とろとろに溶けた子宮に降り注ぐ、塊のような精液。それは肉槍の脈動と共に何度も何度も、何度も。

ぶるりと、排尿を我慢していた時のような震えを1度して、男は肉槍を引き抜いた。

 

ぼぷっ!♡

 

「ッ···あんっ♡」

 

膣内に収まりきらないほど注ぎ込まれた精液が爛れた水音と共に吐き出され、地面へぱたぱたと垂れ落ちていく。地面に全く染みていかないことから、男が射精()したものはずいぶんと濃いらしい。

 

暗闇に解ける2人の吐息。女の腰にある手は、未だ強く握られていた。射精して大人しくなるはずの雄はまだ硬いままで、再び膣口に合わされる。

 

程なくして、女のネイルが割れてしまいそうなほど、木の幹に爪が立てられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あーし次で降りるわ」

「うい」

 

身体に貼り付いたシャツが不快で仕方ない。

 

日が暮れてずいぶん経つのに、まだまだ暑い気温はこれ以上涼しくならないだろう。電車の中だからクーラーが効いているが、駅から家までの帰り道はさぞしんどいに違いない。

 

こんな汗をかいたのに他人と密着するとか拷問でしかないからな。しかし、車内にいる乗客がまばらなのが幸い······そりゃそうだ。もう終電も近い時間だもん。

 

大変お恥ずかしい話だが、あれから公園で数発盛ってしまった俺たちが気づいた時には既に花火が終わっていた。今年の夏の思い出はまさかの青姦という、最後にして盛大な爆弾となって炸裂してしまったのだ。彼女は駅へ向かう道すがらも「やば、タレてきた」と数度お手洗いに駆け込む始末。俺はターミナル駅での乗換をかなり頑張らないといけなくなった。

 

 

電車はゆっくりと減速していき、ホームへと滑り込む。黒ギャルとはここでおさらばだ。下駄をならして立ち上がった彼女は、小さく手を振ると扉の前へ歩いていく。

 

チャイムと一緒に開いた扉。降りていくかと思えば「あっ」と小さく声を上げ振り向いて近づいてくる。

 

 

「また、夏らしいことしようね♡」

 

 

耳元で、一言。ニマッと笑みを浮かべ、彼女は浴衣を(ひるがえ)し降りていった。かろんかろんと遠ざかっていく下駄の音。少しだけ感じる柑橘系の香水の匂い。囁かれた耳に残る、暑さとは違う熱さ。

 

 

もう少しだけ、今年の夏は暑いかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 






黒ギャル
海派


夏バテで死ぬ派

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