ずっと前に超昂大戦のレイド戦ランキング眺めてたら「ルーイ君を要求する」って名前を見かけた。そういえばそんな子いたなと思って旧作を起動、書いた
(エロ前の戦闘シーンなんでこのお話にエロはないです)
「フラックスプロージョン・リリース!」
人工的な丸い月明かりの下、静かな廃墟の映像空間に響く掛け声と共に高円寺沙由香のバイオボディが淡く明滅する。艶めかしい裸体が胸の谷間から放たれた光を浴び、変わる。
少し大きくなったお尻と、お尻より大きくなった胸を桃と白のレオタードが包む。髪が闇にも映える美しい赤に輝き、超昂天使エスカレイヤー。ここ閂市から日本と世界を守る変身ヒロインの姿が現れた。
今この時は姿だけだ、バイオボディの動力源たるD2エナジーの限定開放(リリース)でDDDを軽く空転させたメンテナンス用の形態である。この状態では愛剣パルシオンは顕現せず、各種スキルは機能停止し、いつものような超パワーは抑えられている。しかし長年かけて自主的に更新を続けた強化バイオボディの基本性能と、エスカレイヤーとして蓄積された経験は存分に発揮することが可能だ。
手足をゆらゆらと動かし、胸を張り、背筋を伸ばし、お尻を突き出しながら屈伸し、ストレッチで全身をほぐしていく。
基地と連動しないスタンドアローンで起動した体の具合に支障はなく、五感も良好だ。その耳は集中すれば針の音さえ拾い、青い瞳は常人なら一寸先も見えない夜闇の中をまるで昼のように見通す事ができる。
「……待たせてごめんねルーイくん。じゃあ、今日も始めよっか」
「は、はい。よろしくお願いします」
エスカレイヤーの視界の中で、犬耳の少年が初々しく会釈する。短パンにDDD入りの首輪、本物の尻尾に肉球付きの手袋。いつもはそこに犬耳が垂れた大きい帽子・海兵のような服・普通のブーツだが、それは“変身”により白い肌と鎖骨がちらりと見える薄手の服と肉球付きのブーツに変化している。
彼の名はルーイという。かつてエスカレイヤーが戦ったダイラストという組織に飼われていた異星人。今は青い星の平和を共に守る仲間、そしてひそかにエスカレイヤーの恋人になりたがっている少年だ。
ダイラストと地底帝国コンロンが滅んでなお、この星を狙う侵略者は今も断続的に襲来している。
沙由香を取り巻く状況は昔とは変わった。性的興奮以外でも動く完成型ダイナモで少しずつ量産された超昂戦士たち、敵を裏切って自分たちの味方をしてくれる亡命組。
悲しいかな、侵略というものに慣れてしまったせいでちょっぴり余裕が出来た日常は、新たな人間関係を築く時節をもたらした。
父がミストレーヌ改め遼子と再婚したように、アンドロイドのマドカがバイオボディを得て恭平と正式に付き合い出したように――ななかは変わらずに慕ってくれているが――自分も何か新しい出会いを見繕えないかと周りを見回してみたものの、自分は父とともに文科省指定の資料集にさえ名前が載ってしまった初代超昂戦士で、大学や研究室の狭い人付き合いの中では高嶺の花らしく、ついぞ機会に恵まれる事はなかった。
そんな中でエスカレイヤー、いや沙由香にとって身近な存在になっていったのがルーイだった。
プライベートでは一人暮らしを支える家政夫として、戦場では肩を並べる仲間として、ルーイと過ごす時間は自然に増え、日が過ぎゆくほど段々と心の距離が近づいていくことを自覚した。
訓練を頼むようになったのはルーイからだった。
ただ単に童心で好きと言った自分ではなく、英雄エスカレイヤーに相応しい恋人になるために、エスカレイヤーに勝てるくらい強くなりたいと告白された。
気持ちはとても嬉しかったし、叶うなら今すぐにでも色よい返事をしたかった。でも一介の亡命宇宙人であるルーイの身の上を考えると、その決意は現実として正しく、一方でこのままでは不可能に等しい。
エスカレイヤーのバイオボディは戦いの渦中、そして平和という小休止の中で常に更新され続けてきた。大学から生体工学の道に入って自分の体を自分で改造するようになった今、元が非戦闘用の人工生命体である彼がどこまで性能と経験に追随出来るかは火を見るよりも明らかだ。
だからお互いに条件を決めた。場所は自宅に拵えてある訓練室。自分は一度負けるまでメンテナンス用形態で戦う。ルーイは愛用の外付けDDDを使って自分を強化、更に時間が出来たら自衛隊のビートブレイカーたちにも頼んでいつも以上のトレーニングなどをひたすら重ねていく。
そして一度でも負けたら自分はまず恋人に、ダイナモフル稼働のエスカレイヤーと同じくらい強くなったらお嫁さんになると約束した。
数歩では届かない距離を空けて、エスカレイヤーは体を開いて平手のままに構えをとる。少し膝を曲げて足も開き、腰を落とす。
ルーイは身を伏せて犬のようにうなり、四足全てに力を加える。
先手はエスカレイヤーだった。
投射されたアスファルトのビジョンが歪むほど強く床を蹴り、一気にルーイに向けて走る。姿勢の低いルーイを勢いを乗せたローキックで仕留める算段だ。
――初日は初撃で決着がついた。動きに反応出来ず立ち尽くすルーイのお腹に膝を入れて、一撃で気絶させた。
――戦場で倒れた戦士の末路は決まっている、自分も何度かひどい目にあった。
――ベッドに連れ込み、怯える彼をフェラチオとパイズリで陵辱した。精子の無駄撃ちで興奮させられるルーイはとても可愛らしかった。
――どういうわけか、沙由香はルーイに対してはお姉さんぶったいじめっこになる。
ルーイがいた場所を強烈な蹴りが通り過ぎる。紙一重、ルーイは蹴撃を見切っていた。訓練の中で発達し始めた反応力が正直な攻撃への対応を可能にした。
左腕を軸に体を捻って避けたルーイは間髪入れずエスカレイヤーの軸足に飛びかかる。
――次の突撃のさばき方は幾つかある。例えば高い位置なら腕をとって一本背負い、中ごろなら真正面から受け止める。
――初めての時はまだ力が弱いから胸で受け止め、そのままブレストスムーザーで失神させて勝ち。
――そのまま胸の感触だけでオナニーさせてあげた。正直楽しかった。
過去の経験からルーイは地面スレスレの低空で突撃した。今のエスカレイヤーでは受け止められない低さだ。
迎撃するにも今の状態では伝達速度が足りない、不用意に上へ飛べばルーイも四肢をバネに飛び上がって空中で迎撃される。初めて有効打を与えた攻撃だ、そのことはお互いに覚えている。
――あの時は、空中から落下した自分を不用意に追撃しようとしたルーイを落ち着いて対処した。
――くるりと転がって回避し、太ももで首を挟み、そのまま余裕ができたから股間を顔に押し付けて窒息寸前でギブアップさせた。
――頑張ったご褒美に、シックスナインの体制になって互いの性器を舐めあった。気持ちよかったまる。
――ほんの少し、自分を陵辱してくる怪人の気持ちが理解できた瞬間だった。
エスカレイヤーは完全に足を取らせるより早く自分から姿勢を崩した。予想通り足が払われ前傾姿勢で倒れこみ、流れるような動きでルーイの背中に狙いをつけて肘を向ける。体重を乗せたエルボードロップ、これが命中すれば今日の訓練は終わり、エスカレイヤーがルーイをイジメる時間になる。
しかしエスカレイヤーの攻撃はまたしてもすんでのところで避けられた。よく見ると足をさらったのはルーイの腕や足ではない、自在に動く尻尾がかぎ爪のように曲がり、駆ける勢いに任せて足を刈り取った。そうして手足がフリーになったルーイはエスカレイヤーの肘から逃れる場所へ自由に動くことが出来たのだ。
「ゲホッ」
慌てて引こうとしたが、思考に体が追い付かない。体重を載せた肘、そして床で潰れ柔らかく変形した胸のダメージに負けて肺の空気を吐き出してしまう。
(尻尾をあんな器用に動かせるようになっていたなんて)
慌てて立ち上がろうとしたエスカレイヤーの体が逆に沈み込む。態勢を整えたルーイが倒れたエスカレイヤーの背中目掛けて宙返りしながら落下した圧力だった。
次の挙動への転じ方にスキがない。動きだけでなく思考も早くなっている。
仲間になった頃、実践前の特訓を初めて数日間はパンチの迫力で思わず目をつぶってしまいそうになっていたルーイが、エスカレイヤーの攻撃を見極めて対処している。
次は無理やりうつ伏せにされたエスカレイヤーがうめき声を上げて耐える側になった。起き上がろうとすると腰に体重をかけられ、無防備な膝裏を殴られ軽い痛みが走る。さらに片エビ固めのように締め上げられた足のアキレス腱を腕全体を使った重い手刀が叩いた。
「くうう……どいて!」
三度目の攻撃は許さなかった。逆エビの姿勢のまま足裏で顔を蹴られて姿勢を崩したルーイをはね除け、落ちた場所にあたりをつけて更に蹴り飛ばす。
手応えがあった。まだ殴ろうとしていたルーイの体がボールのように床を跳ねる。
距離が空いた、仕切り直しだ――立ち上がれるのなら。
前回までのルーイならこれでダウンしていた。しかし今日は違う。
軸にした腕は肘を地面に叩きつけていたため痺れていた。蹴った足はダメージを受けて十分な力を込められていない。
そういった好条件が重ならなかったとしても、今のルーイは立ち上がれるだけの力があった。
「強くなったんだね、ルーイくん」
「次はこっちからいきます!」
二足歩行に切り替えて一足飛びで距離を狭めるルーイを、エスカレイヤーも闘志をあらわに迎え撃つ。間髪入れず打撃の応酬が始まった。
高速で撃ち出されるルーイのジャブや裏拳を腕だけで防ぎながら、攻撃の隙を見つけてはルーイにダメージを与えていく。
「……そこっ!」
「がふゅ!?」
応酬の中で生じた刹那の隙に放たれたローキックがルーイの足を浅く削る。ルーイは思わず苦痛で嗚咽と涙を漏らしながら、それでも戦う姿勢を崩さずにエスカレイヤーへと向かい、諦めること無く拳を繰り出す。
息をする間も惜しい殴り合いが続く中、エスカレイヤーは戦いを通じて伝わるルーイの成長を感じ取っていた。タイミングと間合いの見極めはまだまだだが、スピードとパワーが備わってきている。
嬉しかった。自分のためにこんな可愛い子が頑張って強くなってくれることは女戦士としての幸せだ。
世界の平和を守るためではなく、自分のために戦うその姿に情欲を燃やす。ドキドキダイナモが久々の感覚に歓喜しているのが伝わってくる。
そして異変は起こった。
――まずい、抑えが効かない……!
自己診断システムが慌ただしく異常を知らせる。
今でこそ食事や睡眠の喜びでも回る優しいダイナモに換装したが、エスカレイヤーとしての根幹は性愛の歓びに弄ばれながら研ぎ澄まされていったのだ。メンテナンスモードであるがゆえ、普段は常設型スキルでダイナモの力に還元している開発された淫乱さ、替えの効かない魂に刻まれてしまった雌の本能が鎌首をもたげていた。
恭平と別れて暇になった時間を勉強と肉体改造(文字通り)に費やす様になって数年、実益以上に親譲りの趣味と凝り性で強化し続けたその性能に助けられ、いかなる敵と戦っても苦戦はあれど敗北し乱暴に犯されることがなかった。たまにななかへのご褒美で交わっては発散していた性欲が、必死に戦うルーイの姿と、このところエッチないじめっこになってしまった時の痴態とのギャップで刺激されている。
このまま戦い続ければばどうなるかは目に見えて明らかだ。ここまで激しく戦闘したことがないメンテモードの思わぬ欠点に驚きならも、情けなさで臍を噛んだ。
エスカレイヤーにはこんな状態でも誇りがある。発情したと言い訳して、頼むから再起動(リブート)させてくれと懇願するのはあまりにも恥ずかしい。
(かといって長期戦はできない)
一気に畳み掛けることに決め、ごく自然な動きでガードを小さく下ろす。ルーイは当然そこを狙って力いっぱいの攻撃を打ち込んでくる。
「あ……」
エスカレイヤーの狙い通り、ストレートを肩のみで受け流され、腕を伸ばしきって次の動きまでが遠いルーイは格好の獲物だ。
そのまま伸ばされた腕を極めて飛び、腕の関節をひしいで破壊することさえできる。人間の技ではなく、より強大な力で対処しなければならない怪人たちを主な敵として戦う超昂戦士たちもそういった対人戦の心得はある。
しかしエスカレイヤーはその戦法を選べなかった。発情した今の体が、異性とそこまで触れ合う選択を許さなかった。
最低限の接触で済むようにと、脇腹目掛けて爪先を立てた右のミドルキックを放った。
「……!」
ルーイの眼から涙が漏れる。骨に異常は無いようだが、旧型のフーマン程度ならそのまま胴を裂く威力で差し込んだ爪先から伝わる震えがダメージを教えてくれる。
それでもなおルーイは動いた。苦痛をこらえ腕を持ち上げ狙いを定める。
見え見えの遅い打撃だ、拳が届くより早く、このまま体を傾けながら足を振り切って地面に押し倒すことさえできる。だが打点をずらせばいいとエスカレイヤーは冷静に足と体を引こうとして――その動きがピタリと止まる。ミドルの後に引っこめるつもりだった右足はルーイの左腕全体で掴まれ、左足は次の瞬間柔らかく吸着性のある肉球付きブーツでがっしりと踏まれ足の甲を掴まれていた。
あっと思ったときにはもう遅く、ルーイ渾身の反撃がエスカレイヤーの胸に突き刺さった。
「あううっ!?」
ルーイのストレートはエスカレイヤーの胸を激しく揺らした。
立ったまま両足を封じられて殴られた反動で上半身が前後に振り子のように揺さぶられて目眩を起こす。思わず目に入った天上の月の輝きではっと正気を取り戻したその時、先程以上の攻撃が容赦なくエスカレイヤーを襲った。柔らかな脇腹目掛けた力任せのフィストハンマーだ。
「ええいっ!」
「ぐぅっ! やああっ!?」
ルーイは必死に逃れようともがく足を離そうとしなかった。ここが正念場だと覚悟してフラフラな意識に活を入れる、更にあらん限りの力でエスカレイヤーを何度も殴りつけた。
二の腕に、下腹部に、肉球グローブに包まれた腕がエスカレイヤーを抉るたび、新しい傷がじわりと体に刻まれていく。
(このままじゃいけない、けど)
ルーイの連撃に押され、体を支えきれず腰砕けになる。足から力が抜けて思わず尻もちをつきそうになったところを綱引きのように引き寄せられて太ももを取られ、更にルーイに主導権を奪われてしまう。
「はぁっ……!」
立ったままの交差位のようになった姿勢が不安定で、腕を必死に上げて防御することしか出来ない。しかもダメージの蓄積でダイナモの抑えが外れ、体の痛みが増すたびにルーイのズボンと擦れる股間が濡れて、甘い声が漏れる。
心は陵辱を拒んでいる。しかしルーイの放った渾身の一撃で敗北の古傷が浮かび上がった体が、徐々に陵辱を自然と受け入れ楽になろうとして、エスカレイヤーの心を裏切り始めていた。
エスカレイヤーの変容はルーイにも伝わっていた。
地球の動物でいう犬に似た性質を備えたルーイは、嗅覚でエスカレイヤーの発情を察知していた。
他の人にも、動物にも、ただの怪人でさえ嗅ぎ分けることのできないとても甘く刺激的な匂いが胸の谷間、腋、首筋、耳の裏、尻の穴、女性器、膝の裏、足首から徐々に吹き出し始めている。
(お姉ちゃん、殴られてるのにエッチなコトしたくなったんだ)
その度に少しずつ、自分の力が嗜虐の興奮と連動してとめどなく上昇していく実感がある。
首輪のDDDが興奮をエネルギーに変換してくれているのか、あるいはダイラストに居た時に船内外活動のため最低限の処置として施された改造の成果がいまさら発揮されようというのか。
あの伝説の戦士エスカレイヤーを、ハンデ付きとはいえこうして自分のような未熟者が追い詰めるというシチュエーションがエナジーを生成し、ルーイに秘められた力を刺激し始めた。
「ああっ!」
時間が経つほど攻撃の鋭さは増し、とうとう必死に敗北への欲求、犯される歓喜を抑え込んでいるエスカレイヤーの衣服が乱れきった。グローブとタイツは見る影もない。全身のそこかしこがビリビリと破れ、覗く肌には切り傷と痣が浮かぶ。はちきれそうな胸を支える白いブレストパーツのみが最も服としての形を残していた。
(そこが邪魔だなあ)
邪念に駆られたルーイはためらうことなくその布切れをがしりと掴み、あらん限りの力でエスカレイヤーの装束を引き千切ってしまった。
「えっ……!?」
思いもよらぬ行動に驚き、混乱してとっさに胸を抑えてしまったエスカレイヤーを尻目にルーイはすかさず動く。
がら空きになったエスカレイヤーのみぞおちに、ルーイ渾身の打ち下ろすフックが沈み込んだ。
「ひぐうぅ!?」
「まだまだ!」
苦しさのあまり胸とお腹を抑えて倒れかかったエスカレイヤーを引っ張り、左腕の拘束はそのままに延髄から左の脇へと手を伸ばし、力任せに身長と体重で勝るエスカレイヤーの体を持ち上げる。
「このおお!」
(え、な、何を……)
嚥下しそうな痛みと酸素不足で思考がまとまらない。視界の天地が逆転し、体中の血が重力に圧され脳へと落ちていく嫌悪感で混乱する。
そんなエスカレイヤーを頭上へと持ち上げ、ルーイは力いっぱい床へと投げ飛ばした!
「きゃああああ!?」
手が離れる一瞬の浮遊感の後、エスカレイヤーの体が床に叩きつけられる。今度はエスカレイヤーが床を跳ねる番だった。
(痛い、痛い、痛い。でも……)
体中を殴られ、胸は露出し、全身を強かに打ち付けてなお、エスカレイヤーの心は微塵も挫けていなかった。
地面に落ちる寸前、エスカレイヤーは歯を食いしばった辛そうなルーイの顔を見た。投げ飛ばされる瞬間、自然に力が抜ける感触を察した。
現にこうして数秒だけど偽りの夜空を見つめているのに、ルーイの次の攻撃が来ない。自分だけではない、ルーイだって限界なんだ。
負けそうな心を叱咤し、体を起こすため必死に四つん這いになる。なんてざまだろう、簡単な訓練だったはずなのだが、それこそ本気のミストレーヌと命がけの決闘に望んだ時のような必死の戦いになっている。
ふらふらになりながらも膝に手を置いて立ち上がったエスカレイヤーの前に、ルーイは居なかった。
「たあっ!」
「ひゃんっ!?」
エスカレイヤーが振り返るよりも早く衝撃が走る。背後に回りこんでいたルーイがサッカーボールを蹴飛ばすようにお尻を蹴りつけた痛みだった。
せっかく起き上がったのに前に倒れこみ、Oバックになったパンツから零れる尻をさすってエスカレイヤーは怒った。戦うどころかこんな風に尻を叩かれるのはただの恥辱だと感じて頬が紅潮した。
「も、もう許しませんよルーイくん。そんなことするならお仕置きしてあげます!」
「その態勢で言ってもぜんぜん怖くないもん!」
言われてエスカレイヤーははっとした。胸を抑え、お尻を突き出してかばう仕草はあまりにも屈辱的な格好だった。
その姿を見て、ルーイは股間が熱くなるのを感じた。エスカレイヤーも服の上から分かるほど興奮したルーイを横目で見て驚く。
首輪のドキドキダイナモに注がれた性欲は、今までルーイに眠っていた怪人としての性能、そして闘争心と征服欲を完全に目覚めさせていた。
「今日こそお姉ちゃんをやっつけてやる!」
「まだです! エスカレイヤーは怪人になんて負けません!」
最後の力を振り絞って、エスカレイヤーは立ち上がった。
全身が軋む、性欲が昂ぶる。平時のトレーニングであればいっそ今ここで負けを認めていた。しかしそれでも、このまま怪人のような様子のルーイに降参することは矜持が許さなかった。
「コール・エスカレーション!」
音声を受け、稼働のためダイナモに注がれていたエナジーが攻撃用に変換されて四肢の先に収束し、残されていた布の破片が放たれる光で消し飛ぶ。この単純な技こそがエスカレイヤーが今使える最大の攻撃だ。
「ルーイくん! これで決めてみせます!」
「勝負だ!」
対するルーイはエスカレイヤーも見たことのない構えだった。天に向けられた肉球から放たれたエネルギーが凝固し、まるでトレーかフリスビーのような円盤形となって具象化している。
あれが本当に覚醒した超昂戦士、あるいは怪人としてのルーイの必殺技なのだろうか。
(近距離なら近づくのを待って紙一重の見切り、遠距離ならすれ違うように一気に近寄る、それ以外は……その瞬間にならないと分からない)
ルーイが近づくのを待つか、ルーイに近づくか。いずれにせよ、今のエネルギー残量ではルーイの首輪を狙い機能不全を起こさせるしか勝ち筋はない。後手に回るしかないのならと、覚悟を決めたエスカレイヤーは右手を後ろに振り絞って体に隠し、いつでも動ける準備を整えた。
ルーイもエスカレイヤーを必死に観察していた。この技は練習こそしていたが通じるか、考えている手順は正しいのか、それだけが不安だった。
意を決してディスクを手に収める、投擲の構え。
それだけで十分だった。瞬間、エスカレイヤーは弾かれたように動いた。
「たああ!!」
声を上げ、初速から全開で一気に駆け出す。髪が紅い閃光のように流れていく。
慌てて投擲されたディスクに髪留めを砕かれるも止まらない、ルーイの喉元に喰らいつかんと電光石火の踏み込みを見せる。
あと一歩で届く距離、束ねた指の光が強まる、必殺の一撃を起動する叫び声が響く。
「ハイパービート・スティング!」
投擲した姿勢を戻そうとするルーイの首輪目掛け、エスカレイヤーの一刺が放たれ――
「――今だっ!」
この短期間でルーイは一つの事を学習した。攻撃の出だしと終わりに僅かでも隙が生じれば、エスカレイヤーは絶対に間隙を縫う。だからルーイも後手を狙うしか無かった。先手を貰っても、たとえ今のコンディションであろうが対応されるのがエスカレイヤーだ。
最初の一撃はいっそ外れてもいいくらいの気持ちで投げた。そして、尻尾で掴んだ本命のディスクは絶対に外すつもりはなかった。
エスカレイヤーが驚いたのは隠していたことではない。
今のルーイならトドメをさすその時まではまだ“何か”があると確信していた。だから全力疾走であっても二の太刀を必ず避けるだけの余力を残していた。
疑問点は投擲されたその場所だった。
ルーイの股をくぐってエスカレイヤーの足元目掛けて投げられたディスクは最初から床を狙っていた。
(足を崩すつもり?)
だがそれにしては妙だ。床に接触したディスクは粉々に砕けて、元の粒子に戻ってしまった。もしこれがフェイントだとするならルーイの判断は誤りだ。
足を狙っていると思い反射的に跳躍した体はルーイの目前に迫っている。あとは貫手を首輪に叩き込めばいい。
しかしルーイは迫りくるエスカレイヤーを前に瞳の輝きを失っていない、それどころか一杯に空気を吸い込んで爆発せんばかりに唸っている。
何をするのか――一瞬の疑念、そこ目掛けてルーイ渾身の雄叫びが解き放たれた。
「ううううううう………ワンッ!!!!」
「え、きゃあ!?」
その雄々しくも可愛らしい叫びが空気を揺らした瞬間、ゴムクッションのような感触がエスカレイヤーの体を弾く。気がつけばまるでトランポリンで跳ねるようにして無防備な姿勢で空中へと投げ出されていた。
センサーログがエスカレイヤーに何が起こったかを伝える。床へ投げて霧散したディスクのエネルギーが、ルーイの声に反応し散弾のように弾けてエスカレイヤーを打ち上げた。光翼のない今のエスカレイヤーは、まさに鳥猟犬に追い立てられ空へ上がったカモそのものだった。
(エネルギーに弾力を与えられるの!?)
気づけば背後からはさっき躱した大きなディスクがボヨンと壁で跳ね返ってエスカレイヤーへ迫る。そして、残された全エネルギーを解放したルーイはエスカレイヤーを挟み込むように跳躍した。先程までとは違う、もはやトドメを待つしかない獲物に牙をむく猟犬の如き姿だった。
(嘘、ウソ!?)
とうとう訪れた絶望的な光景を前に、エスカレイヤーの体と心は恐怖で震えだした。それでもなお最後の瞬間まで逆転のすべは残されていないかと必死に足掻こうとする。
だがもうどうすることも出来ない。背後からのディスク、前方のルーイ。二つの攻撃が同時にエスカレイヤーを襲う。
「バードハント・エスカレーション!」
「いやあっ!?」
エスカレイヤーの体を階段のように蹴り上がってディスクに叩きつけると、胸に数発ジャブを放って、更にお腹を膝で抉る。何度殴ろうが、エスカレイヤーの背中を強襲したディスクが凶暴なクッションとなってエスカレイヤーとルーイを地面へと帰還させない。ディスクとルーイの攻撃で空中に貼り付けられたエスカレイヤーの体はサンドバック同然だ。
更にそこへ数度ストンピングを容赦なく叩き込んで踏み台のように跳躍すると、ようやくディスクから剥がされた互いの体が重力を取り戻す。
「捕らえた! やあああ!」
自由落下していくエスカレイヤー目掛け、ルーイは空を蹴って掴みかかる。
地上の敵を打ち上げ、無防備な空中で連続攻撃を繰り出し、最後にトドメを差す。蹴り飛ばすか投げつけるか、選んだ決定打は共に落ちることだった。
「ああっ――」
胴を羽交い締めにされたエスカレイヤーが激しく錐揉み回転しながら落下し、訓練室に響き渡る重底音を立てて床に叩きつけられた。
後頭部から踵まで、余すこと無く全身を痛めつけられたエスカレイヤーの口が短く苦痛を吐き出す。
「もう、だめ……」
「や、やったの? 勝てたの?」
力尽き気を失う寸前、おぼろに歪むエスカレイヤーの視界の中でルーイはただ呆けていた。
(ルート分岐)
月光ではなく照明に照らされながら、四肢を投げ出し大の字で倒れ伏すエスカレイヤーは完全に気を失っており、全身が痣と裂傷で化粧されたその姿は痛ましくも艶美でさえある。
そのエスカレイヤーを見下ろしながら、激闘を終えたルーイはぼんやりと思考を巡らせていた。
(やった、勝ったんだ)
思い返すのは――
>訓練に付き合ってくれたお姉さんたち
>ダイラストでの日々
後は陵辱と和姦でエロシーン書けばいいだけなのに、衝動的だからここまで書いて何か疲れてきたので自分を追い込むため投稿
>バードハント・エスカレーション
ルーイの必殺技(オリジナル)
弾けるディスクで相手を浮かばせてコンボを叩き込み、相手によってフィニッシュを変化させる
犬=猟犬=ダックハ◯ト(スマブラの持ちキャラ)的な発想で考案。現実に実装されたら書き換える予定