※この作品はR-18です。

(本編完結)ホロライブラバーズX infinity   作:とも667

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 ついに最終決戦です。


Infinity despair

 奴の信号がある場所に走る。目的はただ一つ、セイントインフィニティの解体、及びメンバーの殺害だ。これだけは、ずっと変わっていない……着いた。

 

「豪勢だな……まるで博物館だ」

 

 そう思って、中に入ろうとすると……

 

『ここには入れません』

 

「……断る!!」

 

 ウィンドウをバグらせて、取っておく。無論、武器にするために……信仰野郎も、大神官もここにいる。つまり、インフィニティもいるはずだ……奴らは逃げられない。

 

「信仰野郎!! 大神官!! 出て来やがれぇぇ!! 殺しに来たぞ!!」

 

 叫んでも返事はない……なので、呼びかけるのはやめて前に進む。耳が痛くなりそうな静寂の中、足音のみが不気味に響く……そんな時だった。

 

「やはりお前か……エラー」

 

「……大神官じゃなさそうだな。その格好からすると、『信仰』だな? お前のお仲間は、先に地獄に落ちたぜ」

 

「わかっているさ。グロリオ、カルミア、アザレア、サルビア、ジギタリス、リンドウ……全員死んでしまった。だが、悲しむことはない! 何故なら、神は我々を天国へと導いてくれるからだ!!」

 

 流石に『信仰』を名乗るだけあって、信仰心は強いらしいな……

 

「死んで天国で幸せに、ってか……その天国に送ってくれる奴を、俺は殺そうとしてるんだがな。もちろん、お前も殺害対象だ」

 

「……お前は何故に、私達を殺そうとする?」

 

「……今更命が惜しくなったか? 命乞いを聞く耳は無いんでね……あの世で仲間に愚痴るといいさ」

 

 さっさと殺して進む。そうでなければ……インフィニティには勝てないから。こいつに苦戦してたら、絶対に勝つことはできない。

 

「口が悪いな……神の遣いに対しての態度とは思えん。短気なグロリオが怒ったのはこれが原因か……」

 

「あぁ、お前らは神の遣いだろうよ。だけどそれがどうした、俺はお前らが憎いんだ。俺の親を殺し、人の……ましてや女性の権利を踏み躙った挙句、邪魔者はどんな奴だろうと皆殺し、犠牲が出ても構わない……それ全部気に食わないんだよ。だから、死んでもらう……お前にも、大神官にも、インフィニティにもな!!」

 

「背教者めが……『信仰』の力を見せてやる。名乗っておこう、我が名はセイントセブン『信仰』のペラルゴ! 今ここに、エラー討伐を執り行う!! 神よ、我に祝福を与え給へ!!」

 

 奴が祈り始めたところで、戦闘開始だ。俺は隠しておいたウィンドウで脳天を叩きに行く。

 

「死ね、ペラルゴ!!」

 

「無粋な奴め、そうやって私の仲間を不意打ちで倒してきたのか?」

 

「いや、残念だが……一度たりと倒せたことはない」

 

 そう言いながらも手は緩めない。絶対に殺すために。

 

「それを聞いて安心したよ……みんな強いからな!!」

 

「強い? 核爆弾のスイッチ持ったガキは強いとは言わねぇんだよ!!」

 

「口の減らん奴め……恐れ慄け!! 『Infinity blessing』起動!! さぁ、始めようか……神の力、お借りします!! 『Martyrdom believer』!!」

 

 ここからが勝負だ、気を抜くなよ俺……!!

 

「何が起きる……?」

 

「信じる者は救われる。それを信じ続けることができるなら、殉教すらも快楽となる……」

 

「ほざけ……!!」

 

 そう言って、奴の頭を殴ろうとした時……奴は俺の後ろにいた。何もしていないのに、だ。

 

「わかったか? このように……何もしていなくても、私は祈るだけで救われるのだよ」

 

「……武器はあるのか?」

 

「無論ある。いでよ、我が武器!! 特殊番号07番! 『セイントソード』!!」

 

 ついに剣か……七つの宝玉が輪っか状にして剣の柄にくっつけられた、如何にもといった感じの剣だ。

 

「剣か……」

 

「我が信仰の力を見るがいい! 『セイントスラッシュ』!!」

 

「ッ……ぶね!!」

 

 縦に振り下ろされたそれから、光が溢れて斬撃の形を取り……こっちに飛んできた。こんなことできるのか……だが、やはり『正義』に比べれば遅い。鍛えていないようだな……

 

「今のを避けるか、流石に強いな……だが! 私の能力はこんなものではないぞ!! 『セイントクラッシュ』!!」

 

「地面も割れるのか……剣だけはすごいようだな……!!」

 

「それだけではないぞ、最新式のエラー耐性付きだ!! お前のエラーは私に効かん!! フハハ、絶望して死ぬがいい!!」

 

 ……エラー耐性がついてる? それをわざわざ言ったということは……そうか。わかったぞ……!! 気づいた俺はわざと……思いっきり顔を顰めた。

 

「チッ……なんてこった……!! これじゃ、せっかくの力も宝の持ち腐れじゃねぇか……!!」

 

「そうだ、その顔だ……それこそ我が主が望むものよ!! そのまま死ね!! 『セイントパニッシャー』ッ!!」

 

「ッ……!!」

 

 奴の剣が巨大化して、こちらに飛んできた。恐らく、これを喰らえば即死だろう。その上、リンドウの攻撃と同様に動けない。

 

「セイントパニッシャーは少しでも触れた敵の『HP』を0にする……そして回避はできない!! 私こそ最強、信仰こそ全てを超える『德』なのだ!! フハハハハ!!」

 

「……なんてな」

 

「なに? 言っておくがウィンドウでは防御できんぞ、何故か持てるようだが……それは全てを壊せるからな!!」

 

 ……壁を削りながら進んでくる、巨大な剣。掠っただけでも、俺は終わり……だけど、あいつは『知らない』んだ。『信仰』は確かに強い能力を持っている、だけど一番大事なものがない。それは……知識だ。怒りと憎悪を強めて、エラーを『変異』させる。ウィンドウを掴んで……剣を叩いた。

 

「うらぁ!!」

 

「……なに!? 消された!?」

 

「どうやら、詳しい消され方までは教えてもらわなかったようだな……いや、教えてもらう前に俺が来たのか」

 

 多分話し中だったんだ、そこに俺が割り込んだから、こいつが来た。

 

「そういえば……大神官様が何かを話そうとしていたところで、お前が来て……私は大神官様をお守りするため飛び出してきたが……言おうとしていたのは……!!」

 

「俺のエラーは変異する……! 変異のペースが上がってるみたいでな、一回変わったら元に戻らない……今回はありがたいけどな」

 

「チ……チートだ!! ズルだ!! 反則だぞ!!」

 

 今更何を抜かす……

 

「先に反則を使ってきたのは! お前らだろうが!!」

 

「か、神よ! 我に救いを!!」

 

「……そこか!!」

 

 どうやら、奴が反応して助けを求めないと能力は使えないらしい。助けて欲しいなら、何かサインを出さないと気づけない。それは神とて同じのようだな……!!

 

「ぐぎっ……な、何故……今、対策が更新されたというのに……まさか、また変異したとでも……!? いくら何でもペースが早すぎるぞ……!!」

 

「人の話はちゃんと聞いてくるんだったな!! お前の死因は……自滅だ!!」

 

「ぐはっ……!!」

 

 話を聞かなくても、倒せると思ったのだろう。こいつは力を見る限り、セイントセブンでも最高幹部……この建物から出て、エラーの討伐に向かったのは果たして、何回あるだろうか? 多分、ほぼないだろう。自分は『信仰』だけしていれば、救われると本気で思っているのだから。痛みへの耐性も、何の努力もしなかったサルビア同様にないようだ……右腕が止まったが、それでもやめない。腹に拳をぶち込む。

 

「信仰だけじゃ何も変えられん! 引きこもって戯言をほざき続けている時間に……少しだけでもトレーニングするんだったな!!」

 

「ぐぅあ……!! 有り得ん、私は……信じる者は……!! 救われるッ……!!」

 

「救われるのは努力した奴だ!! 他の奴にも言ったが……地獄に行っても、よく覚えておけよ!? 救われたいなら……少しは自分で努力しやがれ!!」

 

 トドメの一撃、踏み込んで頭に拳を叩き込む。体中が処理落ちして、奴らと同じように止まっていく。

 

「ッ……ハ、ハハ……神よ、私も今、おそばに……セイントインフィニティ、ば、ん、ざ……」

 

『Peralgo.exeは応答していません』

 

「Peralgo.exe、強制終了」

 

 奴は、他の奴らと同じように消滅した……最後の最後まで、信仰心に従って死んだか。そう思いつつ、エラーを解除する……

 

「何はともあれ、これで……セイントセブンは全滅だ」

 

 ここまで長かった。グロリオとの戦いから始まって、殺し合って、生き残り……今、神を殺しに来ている。

 

「『信仰』を殺したからって、油断大敵だ……何が起こるかわからんからな。来るなら来いよ、相手になってやる……!!」

 

 さっきの戦いでボロボロになった建物が、どんどん元に戻っていく……『眼』を使ってみると、プログラムが修復されていっていた。壊れても自動修復されるようだな……

 

「ここは奴の領域……何が起きてもおかしくない、か」

 

 警戒しながら、建物を進む。しばらく進むと……

 

「……エスカレーター? これで上がれ、ってか」

 

 挑発的な姿勢に、怒りを強めながら乗った。

 

「……登っている間に何も仕掛けてこないとは、何のつもりだ? インフィニティめ……」

 

 奴の痕跡はない……一体、どこにいるのか。奴を探しつつ、歩を進めた。

 

「……デカい道に出たな」

 

 本物の博物館みたいだ……何か貼ってある、張り紙だろうか。そう思って、見てみると……

 

『ホロライブラバーズの歴史』

 

「……ジギタリスの野郎が言ってたな」

 

『ホロライブラバーズ及び、ホロライブラバーズX発売(税込86612円)』

 

 高いな、おい……そう思いながら、歩を進めつつ紙を見ていく。ガラスが張られた後ろに、ホロライブラバーズと思わしきゲームのパッケージが置かれていた。あとホロライブラバーズXのパッケージも。

 

「……これがゲームか。PCゲームのようだが……」

 

『発売と同時に、インフィニティシステムが起動。情報収集を開始する』

 

「チッ……余計なことを」

 

 資料を見ながら、進んでいく。

 

『数々のルートが発見され、走者が誕生。RTAや実況動画が流行する』

 

「RTA……リアルタイムアタック、だっけ」

 

『そのプレイデータなどを収集し、インフィニティシステムが新しいアイテムやルートの作成を開始。インフィニティシステムの存在が表面化する』

 

 つまり……今もインフィニティは育ち続けているわけか。

 

「……ここからはセイントセブンの話か」

 

『数々の改変により、エラーの発生が顕著になる。特に問題を及ぼすことはなかったが、万が一を考え排除部隊『セイントセブン』を結成。戦闘員を募るため、一般社団法人セイント・インフィニティ誕生』

 

「そのために俺の父さんと母さんを殺して、罪のない人の権利を……絶対に許さん」

 

 ここで紙は最後らしい。扉を開けて、次の部屋に入ると……よくわからないものがあった。人の像が、よく分からない何かと一緒に飾られている……

 

「なんだ、これ……? 何か書いてある……」

 

『異常存在の力を使い、自分にしか倒せない化け物との戦いに身を投じた英雄の活躍と名を、永久にここに保存する』

 

「……赤霧 羅折? あかぎり、らおる……知らない名前だな……これは誰なんだ? それに、異常って……」

 

 後ろに音符とマネキンのような何かが浮いているが……あれが『異常』なのか? 武器も変な形をしているし……武器に付けられたプレートには、『ミミック』と書かれている……そして後ろのマネキンには、『T-01-31』と書かれていた。何のことなのか、さっぱりわからない。この人が歩んできた歴史が、偉人の博物館のように並べられている……

 

「……まだ部屋があるな」

 

 次の部屋に入ると、同じような感じで人の像があった。前の部屋と違うのは……見知った顔があることだ。

 

「白上、フブキ……あの人は百鬼あやめだったか。だが何故……?」

 

『ゲームキャラクターとの友情を結び、数多の業を振るい、狐の神の力を得た英雄の活躍と名を、永久にここに保存する』

 

「……星川 奏人……また知らない名前だ……あの化け物は一体なんだ? それに『灰』って……?」

 

 ますます意味がわからない。この人達は誰だ? 情報が少なすぎて、どういうことなのかがさっぱりだ。

 

「……次の部屋も同じ感じになってるな」

 

 中に入ると……今度は人ですらなかった。大量の目がついた、灰色の正十二面体だ。

 

『星の戦士と戦い、一度は敗れ去り破壊されたが蘇り、この世界で恐ろしき敵と戦った英雄の活躍と名を、永久にここに保存する』

 

「ミラクル、マター……なんだ、あのピンク玉は? 妖精っぽいのが隣にいるが……ハンマー持った変な格好のやつに、丸っこいオレンジのやつと……画家の女の子か。どういう基準の面子なんだ……?」

 

『ミラクルマターを下した星の戦士一行』

 

 こいつらが……この正十二面体をか? ってことは、見た目によらずかなり強かったりして……

 

「次の部屋は……またか。今度は人間だな……もう何が来ても驚かんと思う」

 

『全てのバトルロワイヤルで勝利を収め、最強の座を誰にも譲らぬ鬼神の拳を持った英雄の活躍と名を、永久にここに保存する』

 

「……桐山 海司。全ての戦闘に勝利って……そんなに強いのか。元樹より強いのかな?」

 

 様々な写真が貼ってある……見知った顔が写った写真もある。

 

「……大神官なら、これのことも知ってるだろう。殺す前に聞き出すか……」

 

 そう呟きながら、次の部屋に向かった。次の部屋では短剣を持った人の像があった。だが、それよりも気になるのは……

 

「……腕が捻れてるけど……血も出てない。何が起こってるんだ……?」

 

『外法を使い、世界を脅かす魔王を復活と同時に殺そうとする型破りな英雄の活躍と名を、永久にここに保存する』

 

「星本 颯太……外法……ゲーム外、バグってことか? 俺と同じ……? いや、俺とはまた違うか」

 

 その『外法』とやらの影響で、腕が捻れているらしい。他にも壁を浮いて超えたり、後ろ歩きで走ったりとよくわからないことをしている写真がある。

 

「……ロボ子さん落とし? 『腹痛』……? なんだそれ」

 

 説明によると、それで魔王軍の幹部を倒したらしいが……よくわからんな。

 

「進むか……」

 

 ドアを開けると……今度は通路だ、もう何もない。

 

「不気味だな……出てこい、インフィニティ!! エラーが来たぞ!!」

 

 しーんとしていて、誰も反応しない。仕方がないので先に進む……大神官め、どこに隠れてやがる? 歩き続けていると……一際目立つ扉があった。RPG系統のゲームの魔王城で見そうな、豪華な扉だ。十中八九、この先に大神官が……力を込めて、一気に開いた。

 

「大神官ッ!! 出てこい、いるんだろ!?」

 

「……うるさい。今最新話を見ているんだ、大人しく待て」

 

「断る……!!」

 

 見終わる前に殺してやる。そう思って殴りかかろうとしたが……奴はため息をついて、自分で『EVENT』を踏んだ。

 

「なっ、『EVENT』……!!」

 

「これでお前の攻撃による影響は無くなった……とはいえ、お前が今の状態でいることが前提だがな。下手に使えば、さらに時間が短くなるぞ……? 私にはまだ手がある、話を聞くべきではないか?」

 

「……わかった」

 

 ハッタリじゃない、何かある。『Infinity blessing』か、それ以上の何かがあるのかはわからないが……ここは話を聞こう、聞きたいこともあったしな。

 

「じゃあ、少し待っていろ。もうすぐ第54話が見終わる……よし、終わった。羅折くんの物語はやはり面白いなぁ……走者ニキも頑張れ~」

 

「……羅折って、確か……あの、変な何かが後ろに浮いてる人だったよな」

 

「そうだ……博物館を通っただろう? あれは羅折くんの中にいる異常な存在だ。ここで説明しても説明しきれんから、説明は省くが……彼も『主人公』、つまりこの世界でいうと星崎元樹が該当するな」

 

 元樹……あの人も主人公なのか。

 

「ってことは、あの正十二面体も……」

 

「ミラクルマター様だな? そうだ、まだ二話しか出ていないのが惜しいが……面白くなりそうで期待しているよ」

 

「……他の人達についてもわかるのか?」

 

 そう聞くと、奴は楽しそうに話を始めた。

 

「わかるとも……私は主人公達のファンで、走者ニキのリスナーだからな」

 

「リスナー……?」

 

「走者ニキの動画を見てる人のことをまとめてそう呼ぶんだ。他にも博物館にいただろう? 海司くん、颯太くんに奏人くん……他にも動画が沢山あって、まだ見られていない動画が沢山あるんだよ。唯一の心配は、エタることだが……頼むから、それだけはやめてくれよ……」

 

 さっきから何を言っているんだ……?

 

「お前は何を言ってるんだ? 全く理解できんのだが」

 

「……やはり、ゲームキャラにゲーム外のことを理解させるのには無理があるか……もういい。他に知りたいことは?」

 

「お前が大神官でいいんだよな? 名前は?」

 

 そう聞くと、奴はスマホをしまって言った。

 

「その通り。私こそセイントセブン大神官……神原 夢幻だ」

 

「夢幻か……一応聞くが、俺の母さんと父さんを殺したことを反省してるか?」

 

「全く? あれは必要な犠牲だったんだ。ゲームキャラが、それもモブが死んだくらいでギャアギャア騒ぐな」

 

 人の親を殺しておいて……よくもそんな顔をして居られたな……!!

 

「人を殺して食う飯はさぞ美味かっただろうな……!?」

 

「あぁ、最高の味だったよ。エラーが苦しむ顔を想像して食う飯はな!!」

 

「ッ……!!」

 

 セイントセブンと変わりは無いな……相変わらずイカれた野郎だ!!

 

「……え? はい、わかりました……どうやら、インフィニティ様が面談したいそうだ。私は皆の者に神のお告げを伝える大神官であると同時に、現世での神の肉体なのだよ」

 

「なに……!?」

 

「システムファイル、移動……プログラム起動!! っ、く……」

 

 奴は、膝をついて気を失った。だが、すぐに奴は立ち上がってこちらに向き直った……ように見える。だけど違う……放っている気配が変わった。すごい威圧感だ……目の中に∞が浮かび上がり、その目が俺を見据えている。

 

「……インフィニティか?」

 

「その通り……我が名はインフィニティシステム。この世界の創造主に生み出され、創造神としての役割を与えられしモノ」

 

「だったら、話が早い……よくも、あの人に『EVENT』をぶっ刺してくれたなぁ……!! 他の人だって、お前のせいで!!」

 

 危うく、彼女の純潔が汚されるところだったのだ。他でもないこいつのせいで!!

 

「あぁ、あのことか。あれは、お前が性欲を持ってさえいれば殺せていたのに……失敗だったよ」

 

「……何の罪もない人を操り、強姦以上のことをしたのに反省の色なし……!! 恥を知れ、ゴミカス!!」

 

「黙れ。お前は何一つわかっていない……いいか? お前や『ヒロイン』は、この世界というテラリウムの中の一人でしかない。神である私にとっては気にする対象ではないのだよ……その上、この世界は……全宇宙含めて、一つの『セーブデータ』でしかないのだ。だから、お前らはどうでもいいし……お前を殺すためなら何人犠牲になってもいい、ヒロインが一人や二人減ったところで正常なストーリー進行はできるからな」

 

 倫理観の欠片もないな……! いや、神だから当然なのかもしれんが……それでも!!

 

「それでも俺はお前が憎い……!! 俺や父さん、母さんにみんながテラリウムの中の一つで、アリンコでしかないとしても……お前らに潰されたくはない!! 絶対に一矢報いてやる!! 人間として……復讐の時間だ!!」

 

「『復讐』だと? 私にか? エラー如きが……? これはとんだお笑い草だな……!! 私に勝てると本気で思っているらしい!! バカバカしいことこの上ないな、主人公モドキが……人間らしいことをほざきおって。そういうのは主人公の特権だ。お前が言っていい台詞ではない……その愚かさ、命を持って償え!! 言っておくがお前にあの世などないぞ、魂は消滅させる!! もう二度と甦れんようにな!!」

 

「やれるもんならやってみろよ……! インフィニティ!! 絶対に復讐してやる!!」

 

 泣いても笑っても、これで最後。奴が消えるか、俺が消えるか……どちらも消えるかだ。

 

「ホロライブラバーズXの正常な運用のため……エラーを削除する。物理的にな……!!」

 

「かかってこいよ、インフィニティ……削除されるのはお前の方だ!!」

 

「テラリウムの中の蟻が……神に勝てるか!!」

 

 奴の目の∞が、虹色に輝いた。すると、奴は……

 

「……特殊番号01。『インフィニティウェポン』」

 

「……液体? いや、スライムか……?」

 

「ウェポンチェンジ、ライフルモード」

 

 奴のスライムが銃に姿を変えた。銃弾も、もう装填されているようだ。

 

「チッ……グリードバレットか!?」

 

「『インフィニティバレット』」

 

「……は?」

 

 奴がそう言った瞬間、俺は銃弾に取り囲まれた。エラーを起動して、銃弾を消しつつ離脱する……案の定、追いかけてくる。それらを消し去るために、向き直って攻撃を仕掛けた。

 

「っ……らぁ!!」

 

「……この程度では死なんか。流石にセイントセブンを全員下しただけのことはある」

 

「チッ、理不尽極まりねぇな……一瞬で銃弾に囲まれるとは」

 

 これが、インフィニティ専用の武器……腕が動かなくなった、時間を稼いだ方がいいな。

 

「何故それを全員に与えない? 与えていれば、もっと有利に俺と戦えたはずだろう」

 

「したいのは山々なのだが……私にも従わなければならない『世界のルール』があるのだ」

 

「世界のルール……リンドウの『justice hero』にもあったな。どんなルールだ?」

 

 奴は指を立てて、説明を始めた。

 

「一つ。回避不可能な攻撃をしてはならない……二つ、とてつもなく強い攻撃や能力を作る時は、代償が必要。以上だ……短剣は例外だが、あれは余りに不遇だったから、『公式が』メスを入れたのだ。私に出来ることは限られている……」

 

「……なるほど。だから……カルミアもアザレアも代償があったのか。だけど、ない奴らもいるよな……?」

 

「グロリオはステータスの強化だからな……お前と同じで武器ではない。サルビアやジギタリス、リンドウは『ギリギリのライン』で止めているんだよ……ウィンドウで動けなくするのは私がやっているだけで、攻撃そのものに設定しているわけじゃない。ジギタリスだって、一応回避は可能だし……サルビアは本人のスペックが弱い、リンドウの『ジャスティススマッシャー』は本来、当たれば一撃で葬れるが命中率の悪い技なのだ。それを私が無理矢理100%にしている……そして、お前がさっき戦った『信仰』のペラルゴと、この武器だが……世界のルールに引っかかってしまってな」

 

 ……代償を払っているようには見えないが。

 

「代償は簡単だ……『使う度に所有者本人または、その人にとって一番大切な命を問答無用で奪う』んだよ」

 

「なに……!?」

 

「これでも代償を抑えたのだ、使える者を一人に限定することでな……」

 

 ってことは、今ので誰か死んでるのか……!? 背中を怖気が走った。

 

「お前、どこの誰を犠牲にしやがった……!?」

 

「していないさ、不謹慎なことを言うなよ。ペラルゴにとって一番大切なのは私の命。そして……『Infinity blessing』は、一体誰が与えたものだ?」

 

「……まさか!?」

 

 そういう、ことなのか……わかる、わかってしまう。

 

「わかったようだな……その通り。私は『Hope warrior』の力を使うことで、復活し続けているのだよ。神である私の残機は残り∞。私が死ぬことはない……!!」

 

「……っ、くく……なんて野郎だ……」

 

「自分の無力さを思い知るがいい!! ウェポンチェンジ、シューター!!」

 

 今度はホープシューター……!! 撃ってくるか!!

 

「悪いな、これは特別製なんだ……100個装填」

 

「100個……!?」

 

「『インフィニティバースト』!!」

 

 一発でも当たったら、おしまいだ。絶対に当たってはいけない……!! エラーを起動して、床をバグらせて削る。穴の中で伏せたおかげで、直撃は免れたが……衝撃波が、俺の体を襲った。

 

「テンション、バーン……ぐぅっ!!」

 

「……流石にいい威力が出るな」

 

「く、そ……」

 

 これで、一段階……俺は油断している奴に、インファイトの構えを取った。その場で踏み込んで、体に力を込める。

 

「ん……?」

 

「インファイト!!」

 

「……」

 

 何発も殴りつけたが……全く応えていない。あれ? これはどこかで……

 

「グロリオ……!?」

 

「グロリオに能力を与えたのも私だぞ?」

 

「くっ、そぉぉ……何故バグらない!? 常に変異してるんだ、対策はできないはず……!!」

 

 バグが起きない。いくら何でもおかしい……常に変異してるんじゃなかったのか?

 

「確かにそれ自体の対策はできんな。だが……忘れたか? 『justice hero』の能力」

 

「……詠唱が必要ないのか!?」

 

「私が考えた時点で、もうその展開は『存在する』んだ。奴が考えたシナリオを、スキルで現実に反映させていたが……私はそんなことをしなくていいからな。簡単なのだよ」

 

 この二つの合わせ技。不意打ちでもHPが減らない、バグらせようにも影響がそもそもない。殺せたとしても∞に蘇り、こちらの手の内は全てバレている。瞬間移動だってお手の物、『EVENT』で誰もが自分の思うがままだし……『Love story』で好感度を操って敵を増やすこともできる。こいつは……最悪の敵だ。倒す方法が本当にない……本当の無敵が、そこにはあった。

 

「イカれてんのか、この野郎……」

 

「『お前に』避けられない攻撃はしていない……別に、『倒せない敵がいてはいけない』なんてルールはないぞ? おっと、言っておくが、ウィンドウで殴ろうなんて考えるなよ? ウィンドウだってすぐ消せるんだ、ウィンドウをタスクキルすればすぐ消える。お前に希望なんてありはしないぞ」

 

「くそっ……」

 

 これまでもそうだった、グロリオはエラーがあるから殺せたんだ……普通に戦ったら、正に無敵そのものだろう。それだけじゃない、アザレアやジギタリス、リンドウにぺラルゴだって……エラーが無くちゃ殺せなかったし。こいつはそれすら効かない、ウィンドウすらも……どうすればいいんだ?

 

「さぁ、蹂躙を始めよう。お前が悲鳴を上げて、許しを乞うまで甚振ってやる」

 

 奴の瞳が、虹色に光り輝く。それには強い殺意と、狂気が篭っていた……

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