性技の指揮官:ORE NIKKEがえちえちで困る 作:もみにい
包み込むような柔らかさを感じ……意識を取り戻した。冷えた身体を暖めるように抱きついていたのは、幼くも美しい可愛らしい少女だった。
「あっ、起きた!」
花が咲くように笑った少女は、薄くピンクがかった銀髪を二つ結びにしており……ヘッドホンに付属した耳がぴくぴくと動いた。……この技術の無駄遣い感、またテトラなのか。
「もう、そんなところで寝ちゃダメですよ〜、風邪ひいちゃ大変ですから!」
苦笑いに表情を変えた少女が、メッと言いながら額に指を当ててくる。どうやら目覚め早々に叱られているらしい。
「……ああ、すまん……ここは?」
状況を整理しなければ、バンカーを発見し……雪崩に巻き込まれ―――思い出した。……この少女に助けられたのか。
「ここは、悪いハートの女王のせいで、凍りついてしまった世界です」
身体を起こした少女はよく分からない事を呟き……ッ、ハァー、なんて格好してんだ。
「……あれっ、また硬くなった……不思議です!」
またって何だ―――確かに少女の格好……薄いピンク色のボディースーツはぴっちりと身体に張り付き、色々とはっきりと見える……ボディーラインとか……動きにあわせて揺れる果実とか……熱を持った事は否定しない。
「おお〜〜、カチカチです!」
……何で、何で下乳の隙間にまでピッチリ吸い付いてんだ。最早、脳が理解を拒んでいる。……これは良いものだとしか思えない。
「……ッッお、おい、触るな」
「??どうしてですか?硬くて不思議です!もっと触ります!」
「やめっ、ッ!」
ガッシリと握り込まれ、スリスリと擦る指が快楽を生む。
「不思議、不思議です!身体は冷たいのに熱を感じます!ドクドク聞こえます!!」
なんで扱かれてんだよッ!しかも分かってねぇ!……確か二人居たはずッ、こんな所見られたら終わる!
「ッ……上から退いてくれないか?」
「ダメです。女王様から許可を貰ってません!」
幼い顔立ちに似合わぬ、肉感的な肢体は非常に目の毒である。
「何で硬くなって大きくなるんですか〜!教えてください!」
「……不可抗力だ」
「ふかこうりょく?……人間さんは不思議ですね!」
「手貸してくれ……手袋外すぞ」
扱く手を止める為、手首を掴み手袋を外していく。両手の指を絡ませ、ぎゅっと握り込むと少女は微笑みを零した。良かった。これでどうにか誘導できそうッッ。
「……ふわぁ♥ これ、何だか幸せです〜〜」
馬乗りになった肢体が硬さを味わうようにスリスリと擦り寄せられ始めた。―――こ、これは予想していなかったッ。
「!?ッ――ど、どうすれば降りてくれるんだ?」
「女王様が許可をくれれば、おります!……んぅ、あ、あれっ、ぴりってしたぁ〜♥」
「……なぁ、もう一人は何処行ったんだ?」
「……んぅ……ぴりっ……ぴりっって、な、なんですか〜、これ〜」
オナニーだよ。言えるわけねぇだろッ!。
「……はあ」
「んっ、溜息をはくと、幸せが逃げていきますよ〜」
にこにこと無邪気に笑う少女の瞳が蕩けていき……なんとか降ろそうと悪戦苦闘していると、鋭く外を睨む金髪の女性が姿を見せた。
「アリス、準備しなさい」
「ふぇ……は、はは、はい!!女王様?」
た、助かった。金髪の女性は此方を見ること無く、アリスと呼ばれた少女は跳ね退き、女性の元に走っていった。
「ん?……ここが見つかってしまったわ。早く移動しましょう」
「!!、はい!」
立ち退いた少女の代わりに金髪の女性が近づいてくる。極寒の地に関わらず肌を露出した格好から恐らくニケだと分かった。この寒空で肌を露出するとか自殺行為でしか無い。
「あなた、名前と所属を言いなさい」
「――――、指揮官だ」
「聞こえないわ。何と言った?」
そうか……切り口を変えるか。
「俺を知らないのか?結構有名らしいぞ」
「ふぅん、あなたが■■■■?」
「ッ――そうだ。あまり名前は呼ぶな。嫌いなんだ」
何時も通りの―――酷い雑音だ。
「そう。では、あなたはこれから私のしもべよ」
「は?下僕……」
「一つ聞くわ。女王と指揮官、どちらが偉いと思う?」
そういう趣味でもあるのか?少女にも女王様と呼ばせていたな。
「女王だな」
だが、敢えて乗ろう。命を助けて貰った。……敵では無いと思いたい。出来れば仲間にもなって欲しい。
「よろしい。だからあなたは、女王である私のしもべになるの」
「わあー!女王様、おめでとうございます!」
「話がそれたわね。急ぐわよ……それと、アリスには礼を言うことね。しもべをずっと温めていたんだから」
「わくわく!」
「……アリス、助かった。ありがとう」
「わぁ!女王様!!お礼を言ってくれました!」
笑顔が眩しい……煩悩を抱いた事が恥ずかしく……ならないな。そんな格好して身体を擦りつけてくる方が悪いだろ。
「……そう。良かったわねアリス―――変わった人ね」
全身で喜びを表現するアリスは、見た目より随分と幼く見えた。
俺を救ってくれた金髪の女性とアリス。まだ何も知らないが……女王様がはしゃぐアリスを見詰める瞳は、娘を見るかのように優しい目をしていた。
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急場を凌いだ俺達は、戦闘を避け真っ白な雪の上を歩いていた。吹雪が収まり日差しが差し込んだ事により、幾分か寒さもマシになっていた。
女王はルドミラと名乗った。話し方、佇まい……そして女王様発言から、貴意が高いニケなのか……あるいは唯の変態か。どちらにせよ俺を助けてくれた美女である事には代わり無く、下僕にされた事は腑に落ちないが、アリスとの会話を聞く限り、悪い奴では無いらしい。
「しもべ、聞きたいことが多いようね。いいわ、私が説明してあげましょう」
俺の視線を感じ取ったルドミラは、ペースを緩め俺の隣に陣取った。
「私たちは『アンリミテッド』邪悪なハートの女王を倒すために旅をしている!」
「うん、分からん」
決め顔でそう言い切ったルドミラは、俺の発言に目をぱちくりさせ、ちょこちょこと近寄ったアリスが話を補足した。
「元々ここは、緑豊かな世界だったんですけど、ハートの女王が吹雪を起こして……今は不幸な世界になってしまいました……だから私たちは、仲間を集めてるんです。ハートの女王を倒すため!幸せな世界を作るため!」
「うん、わからん」
そういう設定でラプチャーと戦ってるのか?
「ところで、しもべは誰ですか?何でここまで来たんですか?」
「俺か?……研究―――?」
ルドミラからの熱い視線と握られた手から、空気を読めと言われている気が……徐々に力も強くなっている。
「……ハートの女王を倒して、幸せな世界を作るために来たんだ」
「……ふっ」
薄く笑ったルドミラに対し、アリスは瞳を輝かせ、全身で喜びを表現した。何がとは言わないが……揺れる揺れる。激しく揺れる。
「!!じょ、女王様!仲間です!仲間が現れました!」
……うん、普通に目のやり場に困る。えっちな身体してやがる。
「騒がないで、アリス……実はね、私がしもべをここへ呼んだのよ」
「女王様がですか?」
「ええ、そろそろハートの女王に奪われた私たちの家を取り戻す時が来たの」
「わあー!」
無知であることが救いなのだろうか?視線には何も疑問に思わないらしい。
「しかし、しもべ。どうして一人で来たりしたの?」
「雪崩に巻き込まれたんだ、仲間がいる。俺を探してるはずだ」
「!!しもべには、仲間がもっといるんですか?」
ええい!抱きつくな!!無邪気過ぎるだろッ!持て余すだろうがッ!!
「もちろん。一人だけ呼ぶわけないじゃない。ハートの女王は手強いもの」
「さすが女王様!……ひぅ」
引っ付いてくるアリスを引き剥がし、何とか平穏を手に入れた。
「……おほんっ、それにしても雪崩なんて。面倒な事になったわね。しもべの仲間は同じ種族なの?もしそうなら、残念ながら諦めた方がいいわ」
「少し違うから大丈夫だろう」
「……ふぅん。なら、生きているわね。よし、アリス。これからしもべの仲間を探すわよ」
「ま、またっ、ぴりって……」
「アリス?」
「はっ、はい!女王様!」
「幸い吹雪はやんだようだし、探索はそう難しくないはず。動きましょう」
移動の最中、周囲の警戒が必要ない状況の場合、必ずと言っていいほどアリスが抱きついてくる。ルドミラは少し呆れた顔で『懐かれたわね』と零し、『しもべしもべ』と連呼してくるアリスを可愛いと思いつつ、背筋が薄ら寒くなる。まぁ、アリスは体温が高いようで、暖かいし柔らかいから最高なんだが……。
「片足がおかしいですね?珍しいしもべです」
「……外骨格か……折れたの?」
アリスの性格は凡そ理解した。何と言えば喜ぶのかも大体分かる。ルドミラもアリスに合わせて付き合っているようだ。ならば俺が取る行動は一つ。
「……これはな……伝説の武器だ」
「……まぁ」
嬉しげな表情を見せたルドミラに、選択が間違っていないことを確信した。
「じょ、女王様!!私たち、ハートの女王に勝てそうです!で、伝説の武器を持っているしもべなんて!」
伝説の武器を持っている下僕とかいう可怪しな存在を受け入れてくれて良かったよ。
「もちろんよ。私が普通のしもべを呼ぶわけないでしょう?」
そして当然のように乗っかかるルドミラ。あんた本当にアリス大好きなんだな。本当に親子みたいだ。
「……ん〜っ、女王様、もしかして……しもべは、ウサギさんですか?」
「何故そう思うの?」
「なんとなくそんな感じがします。伝説の武器を持った人と、偶然出会うわけないですから」
「ふふ、しもべに聞いたら?」
ウサギ?あんまり知らないんだが……?さん付けという事は重要ポジションのキャラか?
「……しもべ、あなたはもしかして、ウサギさんですか?」
不安の入り混じる瞳で見つめられる。
「一緒にハートの女王を倒して、私を幸せな世界に連れて行ってくれる、ウサギさんですか?」
幸せな世界……か。幼い少女の期待を裏切る事など俺には出来ない。
「そうだな」
俺が始めた物語だ。最後まで責任を持つようにそう告げた。
「!!やっと会えましたね!私、ずっと待ってたんですよ!」
飛び込んできたアリスを受け止め、支えきれず雪に身体を埋める事となった。
「!?おい、アリス」
ユニと言いアリスと言い、どうして幼いニケはこうもパーソナルスペースが狭いのか……アリスの場合、身体が大人なのが辛い所だ。
「一緒に行きましょう!幸せな世界へ!」
馬乗りにされ、顔が近づく。ルドミラは微笑ましい物を見るように俺達を見ていた。
「そうだな。一緒に行くか、幸せな世界に」
「はい!」
……まぁ、こんな笑顔が見れるなら、そう悪いことでも無い。
「やったわ。むこうにバンカーが見えるわね。しもべのために、少し休んで行きましょう。ほら、掴まって」
差し伸べられた手を掴み、起き上がった俺は付着した雪を落とし……って痛ぇよ。雪を払ってくれるアリスの力が地味に強い。
「わあ、こんな所にも……休む?ウサギさん、何処か悪いんですか!?」
「しもべは異世界を旅してきたらか、かなり疲れが溜まっているの。だから休む必要があるのよ」
「ふへ〜……やっぱり、女王様は何でも知ってますね!」
「ふっふふ、当たり前じゃない。さあ、少しだけ移動しましょう。この先はロード級がよく現れるから、油断しないことね」
ロード級って……乳繰り合ってる場合じゃねだろソレ。
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幸いバンカーに入るまでに戦闘することは無かった。よく現れるとルドミラは言ったが、ラプチャーの気配すらしないのが、少しばかり気味が悪い。考え過ぎならば良いんだが、あの時の状況に少し似ている気がする。トーカティブ……近くにいるとか言わないよな。
「ふぅん、思ったより綺麗ね。このレベルなら休めそうだわ……アリス、私はしもべと大事な話があるの。少し席を外してくれる?」
「はい!ハートの女王の手下が来ないか、監視します!」
「……じゃあ、お願い」
ルドミラの指示に従い、アリスは走って出ていった。
「アリス一人で危険じゃないのか?」
「いや、アリスは強い子よ。私が保証するわ。さあ、改めて紹介するわ」
対面に腰掛けたルドミラは妖艶に脚を組み……こんな時でも目が奪われるのは疲れているのだろうか?……雪の様に純白だったとだけ言っておく。
「アンリミテッド分隊のルドミラよ。あの子はアリス。地上で迷子になったニケを救出して、無事にアークまで送る仕事をしているわ。道しるべのようなものね」
煙草を見せ許可を促す。うなずいたルドミラに対し、火を点け紫煙を吐き出した。……迷子になったニケを救出か。それは随分と大変そうな仕事だ。
「『地上で道に迷ったら北部へ行け』って言葉、聞いたことがあるかしら?」
「……すまんが初耳だ」
「そう……それは、私たちアンリミテッドがいるから出来た言葉よ。まあ……人間を助けたのは初めてだけど」
「初めて人間を助けた感想はどうだ?」
「悪くないわね……とにかく、研究施設へ行きたいのよね」
「そうだな」
「目的が何か知らないけど、現在それは不可能よ。研究施設はラプチャーの手に落ちた。外部はもちろん、内部まで全てが……おかげで私たちは家を失い、放浪するザマよ」
表情を曇らせたルドミラはそう告げ、儚く笑みを作った。
「家を……占領されたのか」
「いや、占領とはちょっと違うわ。言葉の通り、ラプチャーのものになってしまったの。研究施設とは違う『何か』になってしまったわ」
「……そうか、それでも行くがな。ルドミラも一緒に来てくれないか?」
俺の提案は質問により返された。少しばかり鋭くなった瞳を添えて。
「なぜ行きたいの?危険に身を晒すだけだわ」
生半可な理由では手伝ってはくれないだろう雰囲気を、ルドミラから感じる。瞳には強い意志が籠もっており、自殺に手を貸す気はないと言われている気がした……これは、腹を割って話す必要がありそうだ。
「……ピルグリムを探している……ピルグリムにトーカティブ、聞き覚えはあるか?」
さて、どちらに食いつくか。
「……その単語。普通の指揮官が口にする単語かしら?」
「おあいにくだが、俺にとっては普通の単語だ」
「そう……巡礼者たちを探す理由は?」
ピルグリムか……こうなるとトーカティブの情報はかなり厳重に秘匿されているって事か。
「……大切な仲間に関する真実を知るためだ」
目を見開いたルドミラは、それを隠すように冷静な声色で訪ねてきた。
「……ニケなの?」
「そうだ。生きてほしい。死ぬことなんて許さん……俺には彼女を助ける責任がある。まぁ、責任なんて無くても関係ないが」
「あなたは……あなたはニケを仲間と呼ぶのね」
「そりゃそうだ。命を助けて貰ってんだ。人間なんかよりよっぽど良い奴だろ」
人間なんて底を見れば探りあいの騙しあいだ。ニケの方が何百倍も人間らしい。……快楽に弱い所とか特にな。
「……明確な主従関係があるはずよ。ニケと指揮官には。……仲間という型を被せて、分隊をうまく運用するためなのかしら?それとも高い方に位置する者が施す、傲慢な寛容ってとこか」
これは、綺麗事を言われて嫌われたか?それなら……仕方ないか。
「どうとでも、好きに取ればいい。俺にとって仲間は仲間だ。それ以上も以下もねぇ……一緒に来てくれって言葉は忘れてくれて良い、こっちでどうにかする」
瞑目したルドミラは、少し考え小さく零した。
「……これはどうやら、本物を拾ってしまったようだわ」
「本物?」
「そうよ、本物……しもべは本物の馬鹿ね。でも、嫌いじゃない、協力するわ」
瞳を開けたルドミラは、そう言いながら美しく微笑みを浮かべた。
「ピルグリムに関する資料は全て研究施設にあるわよ。貴方の仲間と合流した後に研究基地を奪還すれば、全て解決するわ」
「―――そいつはなんとも……
その笑顔に少しばかり見惚れたのを感じ取ったのか、冗談交じりの笑顔が向けられた。
「ふふっ、そうね……ところで、あなたの仲間は強いかしら?」
「……俺なんか必要無いくらいには、最強だな」
「いい答えね……そしてもう一つ、アリスは……」
言い辛そうに瞳を落とした姿に言葉を被せる。
「ハートの女王を一緒に倒す……仲間だ」
アリス。今までの言動の数々から、少なからず抱えていることは分かった。直接本人が言わない限り、知るつもりは無い。
「……あっはは、もしこれが演技なら、しもべはすごい悪者ね」
……悪者だよ?あんな幼い子に対して、少しでも性的な目を向けてしまったんだ。誰がどう見ても悪者だろ。
「アリスよ!出発する!」
「はぁつ!はい?……わ、分かり、じゅる、分かりました!」
涎を垂らしたアリスが扉から勢い良く入ってきた。誤魔化すように瞳を輝かせ笑顔を見せるアリスは、純粋に可愛らしい。
「……寝ていたのね」
これぐらい緩くてもいいのかもな。
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「ウサギさん、ウサギさん!どうしてウサギさんはウサギさんなんですか?」
時々、哲学的な質問が来るのはどうしてだ。俺にも分からんぞ、それは。
「アリスはどう思うんだ?」
「私、ですか〜?ウサギさんはウサギさんだからウサギさんです!」
「なら、そういう事だろ。アリスは天才だな」
「わあ〜!天才ですか!凄いです私!!ウサギさんはウサギさんだからウサギさんなんですね!」
いつかウサギがゲシュタルト崩壊する気がする。
「女王様!あの上に、誰かいます!」
ぴょんぴょんと俺の周りを跳ね回るアリスを見て、最早どちらがウサギか分からないな、などと思っていると、アリスが斜面を指差し大きな声をあげた。
「ふぅん。二人……ね。どう?しもべ。あなたの仲間で間違いない?」
目を凝らすも、遠すぎてよく見えない。
「どお、見える」
近づいてきたルドミラに耳元で囁かれ息がこそばゆい。何かバンカーを出てから妙に距離が近い。
「……いや、遠すぎてよく見えないな」
「……そう。分かったわ、もうすこし近づいてみましょう」
周囲を警戒しつつ歩を進めると、徐々に豆粒が見え始め……空に銃を構えた姿が見えた。
「師匠ーー!!どこですかーー!!」
「指揮官様ぁーーー!!」
「聞こえたら返事してくださーーい!!」
「指揮官っ様ぁあーーーー!!」
……ネオンが空に向かって銃を乱射した。……俺は顔に手を当て少しばかり考え込む。ラプチャーが現れなかったのは、そう云う事なのか?
「師匠ーー!!私たちはここですー!!」
……さらに発砲音が木霊した。
「……どう?」
呆れた様に笑うルドミラに言葉が詰まる。
「……すまん、俺の仲間だ」
「ふふっ、面白い人たちね」
「女王様!ハートの女王が手下を送りつけてきました!」
だろうな……幸い、大きな個体は居ない。十二分に対処出来るだろう。
「でしょうね。あんなに騒いでいるのに、来ないほうがおかしいわ」
「なんか……すまんな」
「いいのよ。片付けるわよ、アリス」
「はい、女王様!」
構えたアリスの狙撃銃から轟音が響き……一撃で数体のラプチャーが爆散した。……その構え方はちょっとお兄さん的にどうかと思うぞ?
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どうやら俺の力はアリスに適応されたらしい。自分の力に戸惑っているアリスをルドミラがサポートし、付近のラプチャーを殲滅した頃、斜面から下ってきた二人が物凄い速さで近づいてくる。
「師匠!」
「指揮官様ぁぁ!!」
「うわぁ!私はてっきり師匠が冷凍人間になったかと……!?」
「―――ネ、アニッッ、ぐばぁっ!!」
勢いそのままに飛び込んできたアニスを受け止められず。雪の上を二人で転がる。
「指揮官様ぁ!しきかんさまぁあ!!雪を!雪を全部掘って探してたのよっ!!」
今日は、馬乗りにされることが多いな。雪に感謝することも多いような。
「―――ありがとな、アニスも無事で良かった」
「ううん、指揮官様こそ、本当に無事でよかったっ!」
「アニスは師匠が大好きですからね〜」
揶揄うようなネオンの言葉にも反応せず、抱き締めてくるアニスを三人が眺めていた。
「……ラピは?」
「あ……ラピは」
ネオンが小さく呟き、顔をあげたアニスが視線を逸した。
「……死んだの、ラピは。雪崩に巻き込まれてしまって……」
「指揮官。私は無事です」
「チェッ……きゃぅ!」
瞳を伏せたアニスの顔にラピの声と共に雪玉がぶつかり、俺の上からアニスが消えた。め、めちゃくちゃ速く無かったか?
「縁起でもねぇ冗談は、あんま言うなよ」
「ぺっぺっ、ぅ……ごめん。でも一発は一発よ!」
雪を払ったアニスは、しょんぼりしているように見せかけ、ラピに雪玉を投げつけた。
「あっ、避けたっ!!」
迫る雪玉を首を傾げるだけで避けたラピは俺に手を差し伸べる。
「申し訳ありません。私がもっと早く来ていれば……」
「気にすんな、俺は生きてる。それに仲間も増えた。結果オーライだ」
手を掴み立ち上がり、尚も暗い顔をしているラピを軽く抱き締め、背中を擦る。
「気にします……また、守れっ……んっ、守れませんでした」
「助けようとしてくれただろ、それだけで十分だ」
「指揮官……助かります」
「何かいい雰囲気です。どう思いますかアニス」
「うん、ずるいよね。私たちも必死に探してたのに!」
「アニスは飛び付いたじゃないですか!」
「……ネオンもすれば」
「!?そ、それは……恥ずかしいです」
ラピと離れ、座り込んでにこにこと此方を見る二人と目が合った。
「うわあ〜、お熱いですね〜!」
「そうね。こんな愛の形もあるのね。知らなかったわ」
「でも、さすがは師匠です!雪崩に巻き込まれても生きてるなんて!やっぱり私、人間を見る目が……どちら様ですか?」
離れたラピと対象的に近寄ってきたネオンが俺を労い……今更二人に気づいたネオンの眼鏡が曇る。
「アンリミテッドよ。あなたたちが下僕の仲間ね。挨拶は後にしましょう。とりあえず移動するわよ。誰かさんが大騒ぎしたおかげで、やつらが群がってくるでしょうから」
「まあ、誰ですか?こんな所で大騒ぎするなんて!」
「非常識な奴らね!」
「……そうね、誰だろう」
三者三様、関係ないと言わんばかりの言葉に、ルドミラは吹き出した。
「あははっ。しもべ、あなたの仲間はすごく愉快なのね」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
吹雪が吹く気配もなく、仲間も増えた。順調に行軍を進めていると、先頭を歩いていたルドミラとラピが小休止を提案した。時間の浪費を考え情報の共有を歩きながら行っていたが、統制が必要になったのだろう。
「―――話は分かった?」
ルドミラから聞いたであろう情報を告げたラピは、アニスとネオンに確認する。
「要は、研究基地を奪還するってことね?」
「また、潜入するのですか?」
「え……じゃぁ、今度は指揮官様が私の前に立ってね」
「俺の定位置はお前の後ろだ」
「ええぇっ……も、もぅ♥」
次はどんな悪戯をしようか……少しばかり楽しみだ。
「残念ながら潜入は不可能よ。外部ルートは全部塞がっているもの」
ルドミラの言葉に野望は儚く消え去る。カウンターズのリーダーであるラピが代表し、ルドミラと今後の擦り合わせを始め、手持ち無沙汰な俺はアリスとじゃれて遊んでいた……神に誓ってえろい事はしていない。
「ウサギさんは不思議ですね。なんだかぽかぽかします!」
「そっか、アリスの事が好きだからだろうな」
「わあ〜〜、嬉しいです!私もウサギさんが大好きになりました!」
なんだか、幼気な少女を誑かしているようにしか見えないような。
「師匠はロリコンでしたね」
「違うわ、ロリもイケたのよ……思わぬ
……二人してそんな目で見るんじゃねぇよ。
「私ってロリ枠でしょうか?」
「……違うと思うわよ、ネタ枠じゃないかしら」
「!?アニスに言われたくありません!」
「はあ?なんでよ私がネタ枠なのよー!」
なんて会話してんだ。丸聞こえなんだが。……いや、聞こえるように言ってるのか。
それにしても緊張感が無い。真面目なのはラピとルドミラだけ……まぁ、俺が指揮官なんてやってんだ、こうなるわな。ありがとうラピ。何時も助かってる。てか、ラピが居なければ俺の部隊は潰れるような気がする。……愛想を尽かされないよう頑張らねば。
「内部にピルグリムに関する資料があるのは確かなのね?」
「それは保証できるわ」
「そう、なら出発しよう」
「あの〜、みなさんはウサギさんの仲間ですよね?」
合流してから、俺を壁にし話しかけようとしなかったアリスがおずおずと切り出した。娘の成長に思わず目頭が熱くなる。
「……ウサギ?」
「は、はい!女王様のしもべで、私を幸せな世界へ連れて行ってくれるウサギさん」
「……いや、私たちは指揮官の部……そう、私たちはウサギさんの仲間よ」
俺の視線を的確に読み取ってくれたようで安心した。ラピは出来る子だと信じていたぞ。
「わあー!じゃあ、みなさんも伝説の武器を持ってるんですか?」
伝説の武器は多少の人見知りを凌駕するらしい。途端にきらきらと輝いたアリスに浄化されそうだ。
「持って……いるけど」
「どれ、どれ!?私にも見せてください!」
「「「……」」」
お前がどうにかしろと六つの瞳が物語っている。どんどん俺の威厳が無くなっていく中、ルドミラだけはこの光景をニヤニヤと眺めていた。
「伝説の武器……か、この脚を最後に使ったのは何時だったかなー」
さあ、読み取れ!お前たちなら出来るはずだ!!
「!この眼鏡は私の伝説の武器です。すべてを焼き尽くすビームが発射されます!」
流石はネオン。こういうのを読み取る力はずば抜けているが……なんだ、ラプラスにでも憧れてんのか?
「うわぁー!」
アリスにはストライクらしい。
「私の伝説の武器……は、この手袋よ。急所を七箇所押すと、相手は必ず倒れる」
戸惑いつつも言い切ったアニス。いつから格闘家になったんだ。その豊満な身体で格闘家は……色々と捗るな。
「うわ、うわぁー!……そっちの仲間さんは?どんな伝説の武器を??」
キラキラした瞳を向けるアリスに、手袋という選択肢を奪われたラピの瞳が揺れる。
「……私は……」
俺が助け舟を出す前に、アニスがニヤニヤと笑みを浮かべた。
「ラピの伝説の武器は、強すぎるから封印しているの」
「はっ……!封印する必要があるほど強力なんですね!」
純粋なアリスは、ニヤニヤと笑みを深めるアニスを疑いもしない。
「そうよ。胸の中に封印しているの」
調子に乗り始めたアニスがラピの胸を指さした。
「そしてその封印は指揮……ウサギさんだけが解除できるの!」
「見せてください!ウサギさん!」
……こんな純粋な子の前で、胸を揉めと?
「ウサギさん、ラピの封印を。ボタンを押すとすぐに、封印が解除されるのよ」
ボタンという単語に反応し、ラピは頬を染め抵抗を示した。
「んっ……今封印を解除しては、この一帯がめちゃくちゃになる。それだけ強力な伝説の武器よ」
「す、すんごく強い伝説の武器なんですね……!」
「……そう、だから本当に危険な時にしか使えない」
少し残念なような……良かったような。アリスは納得したように笑みを深めた。
「分かりました!仲間のみなさんも、すごい方々でしたね!」
「ふふ……あはっ、あははははっ」
ラピの反応を見たルドミラが、腹を抱えて笑っていた。
アリス……可愛いけど、持ってないんだよね。何時になったら来てくれるんだ?