※この作品はR-18です。

カクリヨ村のTSっ娘   作:四号戦車

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カクリヨ村楽しすぎて気付いたら書いてました


第01話:迷家~マヨイガ~

「困りました……この村では男か女か、客人様か村人か……それだけの序列で全てが決まるのです……」

 

俺の肢体を見回しながら困惑する美少女。

 

(かすか)。そう名乗る和装の美少女はオレを見て困惑するばかりだ。

だが、頭をこてんとかしげて惑うこの娘以上に困惑しているのは何を隠そうこのオレだ。

 

オレは男だ。男に間違いないはずだった。

だが少女が見つめる今のオレの肢体は――――どこからどう見ても、メスのそれだった。

丸みを帯びたボディラインに、ぷっくりと膨らんだ胸。

股間の一物は影も形もなくなり、キレイな一筋の割れ目に変わってしまっていた。

 

あまりにも立て続けに起こるこの異常な事態に、オレは今にも頭が狂いそうだ。

 

(一体、どうしてこんなことに……)

 

いかん。冷静にならなければ。

まずは最初から振り返っていくとしよう……

 

  *  *  *  *  *

 

「俊!どこ行くつもりなんだよ!」

「へへ……この先にいい穴場があるんだよ!オレは秘密基地にしてんだ。見てみたいだろ?」

「お前……ホントそういうの好きだよな」

 

藪を掻き分け進むオレの後を苦笑しながらも追いかける親友(ダチ)

 

オレの名前は星野(ほしの)(しゅん)。今年高校に入ったばかりの16歳。

そんなオレを追いかけてるのがガキの頃からの幼馴染みで親友の(りょう)

同い年だけど、誕生日は5月に迎えたばかりのオレの方が早くて、10月のコイツはまだ15歳。

親父さんの仕事の都合とやらで中学卒業と同時に引っ越してしまった亮だが、夏休みには里帰りだからと俺達の街に戻ってきていた。

 

中学時代には髪も脱色(ブリーチ)してガタイに任せて喧嘩に明け暮れるヤンキーのオレと違い、デキのいい亮は地元の高校に通う俺とは中学卒業と同時に離ればなれになってしまったから、実に数ヶ月ぶりの再会だ。

久しぶりの亮との日々ににテンションが上がったオレは、亮がまた都会に行ってしまう前に裏山の麓にコツコツ作っていた秘密基地を見せびらかしたくて仕方なかったのだ。

 

誰かが捨てた車の車内を改造して作ったオレの秘密基地。

ガキ臭ぇって言われるかもしんねーし、実際他のヤンキー共に知られたら馬鹿にされそうだが、俺はこういうのが大好きなのだ。

まぁ頭ごなしに馬鹿にするヤツにはヤキ入れてやりゃあいいだけだけどな。

 

親にバレたら高校に入ってまでなにやってんだって怒られそうだから誰にも言えないオレだけの場所だが、亮なら特別だ。

 

だが……いつもならこの藪を越えた先に見えるはずの廃車(目印)がいつまでたっても見えてこない。

不安になる気持ちを抑えて進んだオレ達だったが、藪を抜けた先には見慣れぬ道があるだけだった。

 

(道……間違えたか?いや、そんなはずは……)

 

「なぁ亮、ここがお前の言ってた場所か?」

「いや……スマン。道間違えたかも」

「はぁ……お前らしいっちゃらしいけどさ、ここどこだよ?帰り道わかんの?」

 

今年の春までこの街にいた亮にとって、知ってる場所ならわざわざオレに聞いたりはしない。

つまり――――ここはオレも亮も完全に知らない場所だということだ。

 

(まいったな……)

 

実にまいった。

もし道に迷って帰れないなんてことになったら母ちゃんにぶっ飛ばされちまう。

 

「ワリぃ亮。オレもさっぱりだわ」

「どーすんだ俊?オレ明日帰るんだぜ?朝までには家に戻してくれよな」

 

『帰る』と言う単語にチクリと一抹の寂しさを感じてしまう。

亮にとってここは、この街は”訪れる場所”であってもう地元ではないということだ。

だがそんな干渉に浸ってる暇はない。

とにかく場所を確認しようとスマホを開いて地図アプリを確認しようとしたが、まさかの圏外。

マジかよ。この山基本的には電波あるはずなのに……

 

さぁて困った……

 

「おや、おやおやおや。そこにおられるのは客人(まろうど)様ですか」

 

そんなオレ達の前に、一人の少女が姿を現す。

近づいてくるにつれて見えてきたのは、和装を身に纏うとびきりの美少女。

まるで物語のエルフのように長く伸びた耳がやや不釣り合いだったが、そんなことを気にさせないほどの圧倒的な美貌だった。

 

お淑やかな見目に時折混じる男を誘う蠱惑的な仕草。

耳にやけに残る透き通ったよく通る声。

こんな山道に不釣り合いな明らかにおかしい黒白の和装。

なのに、この少女の圧倒的な美貌にオレも亮も思わず見とれてしまっていた。

 

「あの……すんません。オレ達道に迷ったみたいで……」

「まだ若いとは言え、丈夫(ますらお)様がお二人も……喜ばしいことでございます」

 

(まろうど?ますらお?って……一体なんだ?)

 

「ここは人がよく迷い込む場所。『カクリヨ村』などと呼ばれております。客人様もお疲れのことでしょう。お休みになられる場所はございますので、さあ、どうぞこちらへ……」

 

翻って有無を言わせずオレ達についてこいと言うこの少女に、亮は大分不審がっている。

 

「なぁ俊。こんなとこに集落なんてなかったよな?」

「ああ……」

 

テクテクと歩いて行こうとする少女の肩を亮が掴み止める。

 

「客人様、いかがなされましたか?」

「いや、お気遣いはありがたいんですがね。俺……俺達は明日には帰らないといけないんですよ。折角ですけどとにかく帰る道を教えてくれませんかね?」

 

亮の言葉にクスリと笑う少女。

そんな仕草すら絵になるほど実に美しい少女だった。

 

「心配ございません客人様。全てご説明させていただきますので、とにかくこちらへ……」

「いやだから……」

「大丈夫ですよ。お二人は丈夫(ますらお)様で客人(まろうど)様。お二人のご都合に悪いことはこの村にはございませんので……」

 

亮の言葉を遮りながらまた歩を進める少女。

決して無理強いしてるわけではないというのに、その気勢に飲まれたオレと亮は黙って少女の後ろを付いていくことしか出来なかった。

 

「お二人様のお名前はなんと申されるのですか?」

 

前を歩く少女がオレ達に問いかける。

 

「俺は秦谷(はたや)(りょう)。こっちは連れの星野(ほしの)(しゅん)

「亮様に俊様ですか。私は(かすか)、と申します。犬のように幽とでもお呼び頂ければ。ふふ、逞しい丈夫様が来られたことは大変に喜ばしい……村の皆も歓迎することでしょう」

「幽……さん、オレ達、明日の朝には帰れるんですよね?」

「まぁ。敬語など不要でございますのに。この村には永劫の刻が流れております故、俗世の時間のことは一時お忘れになられるのがよいでしょう」

 

亮の問いかけにもイマイチ要領の得ない答えが返ってくる。

 

「なあ俊、スマホ……繋がるか?」

「いや、さっきからずっと圏外」

「それじゃあ……とにかくついていくしかないか」

 

そう言ったきり黙り込む亮。

正直俺も不安で仕方が無かったが、普段よく出入りする夏の裏山とは言え、電波の通じない状況でこの真夜中に帰れる自身はオレにもない。

亮もそれがわかっているからこそなのだろう。

 

いつの間にか灯籠で照らされるようになった一本道を行く少女の後をついていくことしかできない状況に、オレ達の不安は募るばかりだった。

 

  *  *  *  *  *

 

「亮様。俊様。どうぞこちらをお使い下さい」

 

幽と名乗る少女に案内されたのは一見の古民家だった。

一見古そうに見える家だったけど、戸を開けて入ってみると中は新築の様にキレイな内装で誂えられている。

 

「こちら……って、もしかしてこの家全部か!?」

 

亮が思わず驚いて少女に問うが、少女はニコニコと微笑むばかりだ。

オレは頭の中を総動員して必死に考える。

こんな場所にこんな集落があるなんて聞いたことがない。

 

たとえ訪れたことがなくても、この裏山のあたりはオレの地元でガキの頃から遊び回ってたオレと亮にとっては庭みたいなものだ。

歩いて行けるようなこんな近くに集落があれば知らないはずはない。

 

それに……そうだ。

さっきまでの山道と違いここは人の住む集落。

ということは電波が来ているはず……とスマホを見るが、相変わらずの圏外。

 

(人が住んでて……電波が通じないなんて……)

 

都会と比べりゃド田舎と言われるオレ達の街だが、住んでるところくらいは流石にスマホは使える。

奥深いところに行けば電波の通じない場所だって沢山あるけども、人里に行けば流石に電波くらい通じると思ったのに……

 

「か、幽さん、電話……とか借りれませんかね?スマホが圏外みたいで……」

「でんわ?に、すまほ……で、ございますか。生憎そのようなものはこの村には……」

 

困ったように首をかしげる幽。

黒白の着物から伸びるうなじが酷くエロく見えてしまって目がはなせない。

 

スマホどころか電話も知らない?そんなことあり得るのか?

亮の方を見ると亮も大分訝しんでいる様子だった。

 

「わかった。とにかく今日は疲れたし話は明日にしてくれ」

「おっ……おい亮?」

「承知いたしました。明日には村の者もやってまいります。それでは……」

 

亮の言葉にぺこりと一礼して少女はいなくなってしまった。

消えゆく少女の後ろ姿を眺めながら、オレは亮の肩を掴む。

 

「なぁ亮?どういうつもりだよ」

「あの女のいないとこで話がしたくてな。どうもここは怪しすぎる」

「怪しいって……そりゃあおかしいことばかりだけどさ」

「今時電波が通じない集落なんてのも怪しいが、地元の人間も知らないような集落があるなんてそもそもありえない。それにあの女の耳……いや、どこに耳があるかわからないし、とにかく一度中に入ろう」

 

そう言って亮は古民家の中へ入っていく。

純和風の造りかと思えばキッチンはフローリングで割と今風のしつらえで作られている。

電話の存在すらしらないような口ぶりの割に家電製品は一通り揃ってるし、電気もしっかりと通っている。

 

寝室とおぼしき立派な布団の敷かれた畳敷きの部屋の横には居間があり、そこに向かい合わせで置かれたソファに座る亮にあわせて俺も反対側に座る。

 

「それで?幽……だっけ?あの子がどうしたって?」

アレ(・・)の耳を見たか?あれは人間じゃない」

「人間じゃない……って、じゃあなんだってんだよ?」

「多分だけど……アレは鬼だ。人を喰うかどうかはわからんけどな」

 

鬼。それも――――人喰い鬼だって?

確かに人間離れした美貌ではあったし、あの耳は人間ではあり得ないと言われれば確かにそんな気もする。

だがそれだけで人喰い鬼だというのは飛躍しすぎなんじゃないだろうか?

 

「あとはこの場所……『カクリヨ』って言ってたよな?」

「あ、ああ」

「カクリヨってのは隠世(かくりよ)。昔の言葉で『あの世』って意味だぞ」

「ちょっ……ちょっと待て!?じゃあオレ達……死んでるってコトか!?」

 

突拍子もない亮の言葉にビックリしてしまう。

 

「そこまでは言ってないけどさ、とにかくここは現世とは少し違った不思議な場所ってことじゃねえかなと思うんだよ」

「そんで、その不思議な世界でオレ達あの子に喰われるってのか?」

「さぁな。まぁここが本当に隠世(カクリヨ)だとすればオレ達既に死んでるわけで、死んだ人間喰ってどうするんだって話もあるしな」

 

亮はまるでここが本当にこの世のものではない場所であることを確信しているかのような物言いだった。

 

「んでここがこの世のもんじゃない……異世界みたいなもんだとして、オレ達そこに来ちまったってことか?」

「とりあえずはそう考えた方が良いだろうな。まぁ、万が一そうじゃなくて俺達が紛れ込んだのが単なる知らないド田舎の集落だったとしたら、そんときは親父達には俺達の代わりにあの幽って娘に説明してもらうさ」

 

ふぅ……とソファに身を預ける亮。

そっか……まずはそう考えるしかないか。

しかし異世界か……

 

そんなものラノベとかアニメでしかないと思っていたが、そう思うと意外とテンションも上がってくる。

異世界転生……ってヤツだろ?聞いたことあるぜ。

 

「なんかさ、俺達チートとか貰えんのかな?ステータスオープン!なんちって」

 

手のひらをかざしてみても当然ながら虚空にステータスが表示されたりはしない。

亮の前で厨二病っぽくはしゃいでしまったことについ恥ずかしくなってしまう。

だが、亮はそんなオレを笑うどころかいたって真剣に見つめている。

 

「ステータスはでない……か」

「お……おいおいマジに受け取んなよ亮!」

 

冗談のつもりで行ってみただけなのに、やたら真面目に頷く亮におどろいてしまう。

 

「なにがあるかわからんしな。ただ俊忘れるな?俺達喰い殺されるかもしれないんだぞ?逃げ出せる準備だけは忘れんなよ?」

「お、おぅ……」

 

亮の真剣な雰囲気に気圧されてつい生返事をしてしまう。

 

「とにかく今日は寝よう。明日のことは明日考えるのが良さそうだ。それに……いざ逃げるって時に寝不足で体力使えなくなっても困るしな」

「そうだな……風呂使えねぇか見てくるわ」

「ああ。俺は先に寝かせてもらうぞ」

 

そう言って亮は布団に潜り込んでしまった。

俺と違って頭のデキがいい亮は色々考えを巡らせていた分疲れていたのかもしれない。

 

俺は風呂を見つけると今日1日の汗を流すことにした。

風呂はデカいガラス張りで外の景色が丸見えだ。

うーん、これ今は夜で真っ暗だから良いものの、昼間は外から覗き放題じゃねぇのかな?

そう考えると少し恥ずかしいような気もするが、今は湯の熱さが心地よくてそれ以上のことを考えるのが億劫だった。

そんなだから亮には『お前は考えが足らなすぎる』なんて怒られてしまうのだが、そういうことは昔から亮に任せて暴れるのがオレの性分なのだ。

そういう役割分担でオレ達は昔からやってきた。

 

風呂から上がってキッチンに据え付けられた冷蔵庫を開ける。

別に喉が渇いているわけではない。風呂上がりには牛乳を飲むのがオレの日課と言うだけだ。

冷蔵庫には瓶入りの牛乳だけでなくフルーツ牛乳やコーヒー牛乳も何本か入っていて、用意の良さについ笑ってしまう。

まるでオレの習慣を知ってたみたいなラインナップだ。

 

オレはふとそんな牛乳瓶達の中にふと一本見慣れぬ瓶があるのを見つける。

手に取ってみると中の液体は桃色がかった乳白色だった。

 

「これ……何味だ?桃味とか?」

 

瓶のラベルにもキャップのフタにもそれらしき記述はない。

うーん、考えても仕方ないか。

怖いもの見たさでその桃色の牛乳を飲んでみる。

口につけると桃の良い香りと酸味にほのかな甘さを感じる味で、飲んだことは無いもののオレはこの味が一発で好きになった。

 

「んぐ……予想通りピーチ牛乳ってことか。こりゃうめぇ」

 

グビグビとそれを飲み干して、オレもその日は寝る事にした。

 

  *  *  *  *  *

 

「亮様。俊様――――おはようございます♡」

 

目覚めると、オレの枕元に幽が立っている。

優しげに微笑む幽だが、オレは昨日の亮の話――――人喰い鬼――――を思い出して、つい身構えてしまう。

ていうか、いつの間に入って来たんだ?

 

「俊もいい加減起きろ」

「あ、あぁ……」

 

気付けば亮は既に準備を整えている様子。

オレも慌てて布団を這い出して着替える。

タンスの中から適当に服を見繕って来てみたが、まるでオレのために誂えたかのようにぴったりのサイズだったことに軽く驚いてしまう。

 

「村の集会場で歓迎の催しを設けさせていただいたので、是非主賓のお二方様にもお越し頂きたくおむかえに上がりました」

 

そう言ってすっくと立つ幽さん。

付いていくと、入り組んだ道を行った先に大勢の集まれる建物が見えてくる。

これが集会場ってやつか。

 

言われるがままに座らされるオレ達だったが、そこに用意されていたのはいかにもご馳走と言った膳で囲まれた宴席。

 

「ささ、こちらへどうぞ♡」

 

幽さんに腕を引かれ主賓席とおぼしき真ん中の席に案内される。

ふわりと香る少女のニオイに思わずドキリとしてしまうが、隣で油断なく周囲を窺う亮の顔を見て素知らぬ風に装って席に座る。

オレと亮の隣には幽と同じように耳のとんがった娘達が座り酌をしてくれる。

どの娘も幽ほどでは無いとは言え、アイドルでもやっていけそうな美少女達ばかりだ。

 

「さて、お二方様にはこの村についてご説明差し上げなければなりませんね」

「ああ。それを聞きたくてやってきたんだ」

 

冷静に言葉を返す亮だったが、その言葉には長年の付き合いのオレにしかわからない冷たい棘がある。

まだ信用してはいないからな……そんな含みを言外に持たせるかのような棘だ。

 

「この村は『カクリヨ』……神様によって作られた永遠の楽園。老いることも死ぬ事も無く、おなごしか産まれない。ただただ男女が愛を結び合う場所にございます」

「つまり……ここは天国ってことか?」

「村で生まれ育った私ども村人にはあまりそのような感覚は乏しいのでございますが……客人様にとってはまさにそのような場所でしょう」

 

やっぱりここは亮の言うとおり隠世(異世界)ってことなんだろうか。

でも、男女が愛を結び合うって言われてもな……

 

「とはいえ、ルールというものもございます。まず殿方は牝……女性に絶対的に優越すること。客人様には牝であっても村の牝は敬意を払うこと」

 

……なんだそりゃ?つまり――――男が絶対に偉くて、次は村産まれじゃない女、最後が村人……ってことか。

 

「そして『婚姻儀式』を他者と結んだ牝にはたとえ客人様が丈夫様でも同意無しに手を出してはいけないこと」

 

他人の女に手をだすなってことか。

逆に言えば、そうじゃない女はレイプし放題……ってことなのか?

 

「そうそう。性別を偽ってはならないというものもございます。ただしお二人は立派な丈夫様。あまり気になさらなくても結構でございます」

 

性別を偽る……女なのに男のフリ、みたいなことか。

 

「男か女か。客人様か村人か。それだけがこの村の秩序でございます。破ればもちろん厳しい罰がございますが……客人様で雄であるお二人様方にはあまり関係の無いお話しですね」

 

フフ、と笑みを浮かべる幽。

 

「絶対的に優越と言うけどな。それならこの子に裸になれって言ったらなるのか?」

「お、おい亮……」

「もちろんでございます♡」

 

隣に座る村の娘の腕を掴んで無茶な注文をする亮に対して、まるでそれが当たり前の事であるかのように答える幽。

そして同時にそれが当然の要求であると言わんがばかりに服を脱ぎ一糸纏わぬ姿になる娘。

 

「おい……マジかよ……」

「こちらの客人様も、私が相手ではご不満でございますか?」

 

オレの隣で酌をついでいた娘がオレを見つめ潤んだ瞳で問いかける。

 

「至らぬメス穴ではございますが……ご自由にお使い下さいませ♡」

 

スルスルと衣擦れの音を立てながらオレの隣の娘も服を脱ぐ。

白い肌に朱く染まる乳首の色がやけに映える。

 

「さぁさぁ客人様♡服など脱いでこの賤しきメス穴にお情けを下さい♡」

 

そう言ってオレにケツを向けてフリフリと振る娘。

当然本来隠すべき女陰はオレの眼前に突き出されるように露わになっている。

 

(うっわ……初めて見たかも……これが……お、オマンコか……)

 

亮の方を見ると、まるでオレと亮の間に鏡があるかのように向かい合わせで亮にケツを振る娘。

両サイドから裸の美少女に迫られるオレと亮。

そんな誘惑に、亮がおもむろにズボンを脱ぐ。

 

「お、おい亮!?どうしたんだよ?」

「俊、お前こそ大丈夫なのかよ?」

「は、ハァ?……って、お前それ……!?」

 

ズボンを脱いだ亮の股間には、まるで太い杭の様にそそり立つチンポがギンギンに勃起してしまっている。

 

「さっきから股間が爆発しそうなんだ……!」

 

慌ててオレもズボンを脱いで見るが、異常とは言え淫靡なこの状況にチンポは全開で勃起しているものの、あくまでも見慣れた普通サイズだ。

亮のそれはオレより二回りも三周りもデカくてギラギラと肉欲を滾らせている。

 

「ああ、亮様には早速現われたのですね。この村の殿方にはこのように男根にカミが宿る病があるのです」

「つまり……亮のチンポは病気にかかってるって事か!?」

「多少であれば問題ございません。それはむしろ殿方にとって病と言うより祝福、男根に力が宿り牝を狂わす『おんななかせ』とも言うべきものになるだけです。ですが―――」

 

ですが……なんだ?

 

「それは同時にセックスのためのカミからの促し。定期的に精を吐かねば性欲が膨れ上がり、内臓は作り換えられ、暴走して牝を喰い荒らす人外になる―――と伝えられております」

 

なんだよそれ……!?

定期的に抜かないとヤベェことになる……病気?呪い?みたいなもんにオレ達かかってるってことかよ……!

 

「ですがご安心下さい、我々がいる限りそのようなことにはさせませんので……♡たっぷりとご奉仕させていただきます……♡」

 

幽が語るあまりにも恐ろしい『呪い』。

定期的に精を吐き出さねば人ならざるバケモノにされてしまう、悪意に満ちたセックスの強制。

 

(とんでもねぇところに来ちまったもんだぜ……)

 

「俊様にはまだ兆候は現われていないご様子。ですがすぐ現われるでしょう♡余興には別の催しをと考えておりましたが……これはこれで歓迎の宴としてふさわしい……さ、ご存分にお楽しみ下さいませ♡」

 

そう言って幽が席を外す。

宴席に残されたのはオレと亮。そして……

 

「「「客人様♡お情け……下さいませ♡」」」

 

オレと亮にケツを振る二人だけではなく、オレ達の股間に視線を釘付けにされた村の娘達。

あまりにも扇情的なその誘いに、思わずゴクリと喉が鳴る。

 

(この娘達を……好きにして……いいのか……?)

 

「りょ、亮……」

「と、とにかくこれをなんとかしなきゃどうしようもない……!」

 

そう言って右手の娘のケツを掴んで無遠慮に挿入する亮。

 

「ん゛ぉぉぉぉお♡客人様の……おっきぃ……っ♡」

 

それを聞いて、左手でオレにケツを振る娘は切なそうにオマンコをヒクヒクとさせてオレを誘う。

亮が右手の牝に耽溺している様子を見て……オレの理性もプチンと切れる。

 

むにゅう♡と左の娘の尻を掴むと、柔らかく指が沈みながらも適度なハリで押し返してくる。

左右にぐいぃ……♡と尻肉を開くと、オマンコとキレイなケツ穴がオレの眼前でぱっくりと大写しになる。

これから行われる行為に期待してか、既にテロテロと淫液で濡れたオマンコにチンポの先端をあてがうと、後背位の姿勢で思い切り腰を打ちつけてチンポを深くまで挿入する。

 

「んあああっ♡」

 

娘の甘い声が耳朶に響いて、一層チンポに血を持って行かれそうになる。

初めてのオマンコは温かいヒダヒダがオレのチンポをギュウギュウに締め付けてきてキツいくらいなのに、愛液で濡れそぼったそれはヌルヌルとオレのチンポを摩擦無く受け入れて飲み込んで行く。

 

「こっ……これヤバ……」

 

ゆっくりと腰を動かすと娘の膣肉がオレのチンポに恋しい恋しいと吸い付くように絡みつき、抽挿のたびにオレのチンポの気持ちいいところをぐにゅぐにゅ♡と刺激してくる。

気を抜けばすぐにでも射精してしまいそうになるのをグッとこらえ、やや乱暴に腰を動かすと娘はそれにあわせて腰を上下左右に動かしてくる。

標的が動くせいで抽挿のたびにチンポの締め付けられるポイントが変わり、グネグネと蠢く膣肉とあいまってまるで意思を持った生物であるかのようにオレのチンポを扱き上げていく。

 

「んあ♡あは♡いつでもすきなときにびゅーびゅー♡して下さっていいんですよ♡」

「いや……そんなこと言われたら……!」

 

必死に耐えるオレを嘲笑うかのように娘が煽る。

その煽りでオレの睾丸から大量の精子が娘を孕ませろとぐんぐん上がってくるのを感じる。

 

「ほぉら♡ほら♡いっぱい射精()してくださいませ♡客人様の素敵なおチンポで私をボテ腹にしてくださいませ♡」

 

ぎゅうっ♡とマンコがキツく締め上げられたショックで、オレの我慢はあっけなく限界を超えてしまった。

 

びゅくっ、びゅくん、ぴゅるるるるぅ~っ!

 

避妊具など着けない生挿入のまま娘の膣奥にちんぽをズップリ突っ込んだ状態で吐精してしまう。

頭では抜かなければということはわかっていても、あまりの気持ちよさに咥え込まれたチンポを引き抜く力がはいらない。

 

けっきょくとぷとぷ……♡と持てる精液をすべて膣内射精(なかだし)してしまったオレは、へたり込むようにその場に腰を下ろす。

ちょうど俺の眼前に突き出されたオマンコからは、どろりとオレが吐いたザーメンがきれいな一筋のオマンコから漏れてぽとぽとと糸を引いて垂れてきていた。

 

「んふ♡客人様の精液、とってもおいしかったです♡」

 

その甘い娘の声に、先程射精したばかりのオレのチンポがまたムクムクと元気を取り戻していく。

 

「客人様はまだまだ元気なご様子♡さぁ、すぐ次と参りましょう♡私をハメ潰してもすぐに次が参りますよ♡」

 

そう言われてオレは一も二もなく立ち上がり、また娘のオマンコを貪り始めた―――

もはや亮の姿を確認するまでもない。

 

オレ達のために用意された宴席は一転、オレ達のチンポを歓迎する乱交場と化していた。

パンッ!パンッ!と強く肉がぶつかり合う音がどこかで聞こえる。

きっと亮があの凶悪チンポで牝を喰い漁っているのだろう。

まだ変化のないオレも、いずれはあんなデカいチンポに変わってしまうのだろう。

その時が楽しみだ……そんなことを不意に思ってしまいながらも、とにかく今は目の前に差し出された牝達を味わうことにオレも溺れていった……

 

  *  *  *  *  *

 

「はぁ……はぁ……」

 

結局それからどれほどの間、牝達を抱いただろうか。

気付けば空は赤く焼けて夕暮れ時になってしまっていた。

見渡せば宴席中白濁でドロドロになった村娘達が幸せそうに寝そべっている。

 

そしてその中心で最後の一人をハメ潰している亮。

 

「も……もぅ限界ですぅ……♡」

 

ドクドクと亮から子宮へ放たれているのであろう精を受けて失神する娘。

そして無造作に娘からチンポを引き抜いて立つ亮。

 

「そっちは満足か?」

「不本意だけどな……」

 

あれだけ散々村娘達を犯し抜いたというのにイマイチ浮かない顔の亮。

その顔には女体を知った喜びより、望まぬ形で肢体を交えてしまった事に対する怒りのようなものすら感じられた。

 

「とりあえず……帰るか?」

「そうする」

 

俺の提案に素っ気なく返答して服を着る亮。

オレも慌てて服を着て雄と雌のニオイが充満した集会場を後にした。

 

来たときには幽に手を引かれてだったから道を覚えているか不安だったが、亮がしっかりと記憶していたらしく、危なげなく道を行く亮にオレが付いていく形になった。

 

「なんつうか……こんな形で童貞捨てることになるとはなぁ」

「なんだ?俊はこれが初めてか?」

「これが……って、亮まさか初めてじゃねえの!?」

「ま、色々あってな……」

「マジかよ。相手誰だよ?」

「言いたくねぇ。お前も聞くな」

 

まさか亮が既に卒業済みだったとは……

だがまぁ亮が言いたくないって言うならそこはそれ以上追求するわけにも行かない。

 

「つうか、オレはまだだけどさ、そんなに我慢できなくなる感じか?」

「ああ、これか?」

 

亮が股間を指さす。

オレはコクコクと頷く。

時を置かずオレにも起きる話だから、先にそうなってしまった亮には聞いておきたかった。

 

「我慢できないかって言われたら根性次第じゃねえかな。でもだんだんと強くなってきてるのは感じてた。幽のヤツが言ってたろ?我慢しすぎると大変な事になるって」

「大変……って、具体的にどうなっちまうんだろうな?」

「わからん。でも多分理性を失ってそこらの女を手当たり次第に犯そうとするとか、そう言うヤツじゃねえかな。その感覚は……ちょっとだけあったしな」

 

そうなのか……

 

「しかたないさ。要するにここはセックスフリーの強制乱交村ってこった。多分この村……っつうか隠世か、それを作った神ってのは淫蕩を司る邪神かなにかだぜきっと」

「邪神かよ。鬼よりひでぇや」

「どっちにしたってなんとか抜け出す事を考えねえとな」

 

そう言ってニヤリと笑う亮。

その目はまだまだ諦めて無いって目だ。

それを見てオレも安心する。

ぐちゃぐちゃ余計な事を考えるのは苦手なオレだけど、亮がこうして自信満々でいるうちは怖いもんはなんもねぇ。

俺はただ身体を動かすだけでいい。

 

だけど……

――――亮はオレの知らない間に童貞を卒業してた。

中学までの亮のことで、オレが知らないことは何も無い。

てことは、亮は高校で都会に行って、そこで誰かと……ってことだ。

 

オレの知らない亮の初体験。

まぁ、そんなもんオレだってそうそう誰かに言ったりはしないけどさ。

それでも言い合えると思っていた亮との距離に、また少しだけ寂しさを感じてしまう。

 

だが、今のオレにはそれを亮に聞く勇気が……どうしてもない。

 

オレは少し気まずい雰囲気の中、用意された家に戻るのであった。

 

  *  *  *  *  *

 

家に戻る頃には外はすっかり暗くなっていた。

オレは愛液と汗でベトベトになった身体をすぐ洗い流したかったが、俺以上にベトベトに汚れたであろう亮をチラリと見る。

 

「風呂に先に入りてぇって顔に書いてあるぜ?良いから先に入ってきな」

「いや……でも亮も相当に汚れただろ?」

「こんだけ汚れりゃどっちだって変わんねぇよ。良いから入って来いって」

「なんか……ワリぃな」

 

そんなオレの頭を亮がわしゃわしゃと撫でる。

 

「オメェは昔っから頭が悪い癖に気にしぃなんだよな。帰りの道中ずっと黙ってたのもどーせオレの童貞喪失話聞きそびれて気まずくなったんだろ?違うか?」

「ばっ……そ、そんなんじゃねぇよ」

 

そんなんだよ。

亮に図星を突かれて咄嗟に否定してしまったが、やはり長い付き合いの亮にはお見通しだったらしい。

だが、そんなオレの気持ちを汲んでくれる亮はやっぱり……オレにとってはかげがえのない親友なんだよな。

 

「くそ……なんかさ、中学でて別々の学校に行くことになってから、お前とだんだん疎遠になるのが……なんつうかな」

「まあ大方そんなこったろうと思ったぜ」

 

ニッコリと笑う亮。

 

「良いか俊。帰ってからのことは帰ってから考えろ。思考をシンプルに保て」

「帰ってからのことは……帰ってから……か」

「とにかくここに居るうちは脱出に専念しよう。下半身の――――セックスのことは定期的にあの娘達を呼んでヤるしかねえかもしれねえが、それも追々だな。とにかくしばらく滞在することになるんだ。明日から村を回って脱出のヒントになりそうなもんを探すしかねぇよ」

 

要点をパッと押さえて問題を切り分ける亮。

こういう時のコイツは誰よりも役に立つ。

 

「あーなんつうか、やっぱお前にはかなわねぇや。頭使うことは亮に任せるしかねぇな」

「その分お前が身体を使う……だろ?喧嘩に荒事なんでもござれの地元イチのゴンタクレ(暴れ者)の俊さんよw」

「別に好き好んで暴れてるわけじゃねぇっつうの!いっつも向こうが絡んでくるんだよ」

「そうだったそうだったw」

 

そう言って笑い合う。

 

「そんじゃワリぃけど風呂は先にもらうぜ?」

「おーおー行ってこい行ってこい」

 

手をヒラヒラとさせる亮を背中に、先に風呂に向かう。

風呂に入ったオレは思ってた以上にベトベトだった全身を湯で流し洗う。

夏の暑さの中でも、湯の熱さが肌を流れると心地よい。

 

「なぁ俊……聞こえるか?」

「亮か?どうした?」

 

突然聞こえる亮の声。

この家を建てたヤツにはプライバシーって概念がねえのか、風呂は部屋からも透明なガラス越しなので戸の前に亮が立てばお互い丸見えではあるのだが、亮はオレに気を使ってか風呂場入口の壁に背を立てかけているのかこちらからその姿は見えない。

 

「気になってんだろ?オレの童貞喪失」

「もうその話はいいって」

「そうは言っても気になるのがお前だからな。あれな、奪われたんだよ」

「奪われた?どういうことだよ?」

 

それから亮はオレに『はじめて』のエピソードを話はじめる。

 

田舎から出てきた入学直後の亮に、上級生である3年の女子が目をつけたのがきっかけだったらしい。

はじめは物珍しさからだったらしいが、事も無げにあしらう亮に興味をもったその女はだんだんと亮に惹かれていき、ひと月もしない内にベタ惚れだったそうだ。

3年の中でもグループのリーダーのような立ち位置だったその女子は取り巻きも使って亮に猛アタックをかけたらしい。

 

だがその時の亮は偏差値の高い高校の勉強に付いていくために勉強勉強の毎日で、正直うざったいからとあしらい続けていた。

それでも諦めない3年の先輩女子だったが、事態が変わったのはその女のクラスメイトで、ライバルのような関係の別の女子が亮の存在に気がついたからだった。

 

別にそのライバル女子にとっちゃ亮はどうでもよかったらしいが、仲が悪い先輩女子が亮に熱を上げてることに気付いて亮を寝取ってしまおうと画策したらしい。

ある日、突然そのライバル女子に声をかけられた亮はいぶかしがりながらも付いていき、そこで飲み物を奢って貰ったそうだ。

 

だがその飲み物には薬が混ぜられていたらしい。

薬と言っても市販の睡眠薬かなにかだろうと亮は言っていたが、とにかく薬入りの飲み物を飲まされた亮は昏倒。

そのままライバル女子にラブホテルに連れ込まれてしまう。

 

そのライバル女子にとっちゃ一緒にラブホで裸の写真の1つも撮れれば……って事だったんだろうけど、それを察知した先輩女子がラブホ直前で亮とそのライバル女子を確保。

そこまでなら危機一髪……って話になりそうなのだが、その先輩女子は何をとち狂ったのか意識が朦朧としたままの亮を連れてそのまま自分がラブホテルに入る。

 

そんで、亮が気付いたときには両手両脚を縛られたまま逆レイプ完了……って状態だったらしい。

 

「その女にとっちゃ誰かに奪われるくらいなら自分が……ってことだったのかもしれねぇけどな」

「そんな……マジかよ……」

「マジもマジ、大マジだって。だから、俺にとっちゃ女なんてみぃんなクソだらけだよ。ここの村の娘達は隠さねぇからマシなくらいだ」

 

……要するに、女性不信と言うことだろう。

実際世の中の女の全てがそうだとはオレは思わない。

だけど、亮に取っちゃ一皮剥ければ自分たちの欲望に忠実で他者の尊厳をいとも容易く踏みにじる。

そういう風に映ってしまうのだろう。

 

「オレが最初に聞いた時答えたがらなかったのは……そういうことかよ」

「まぁな。そんな良い思い出じゃねぇってこった。結局その女どもは俺が誘ったとかなんだとかギャーギャー言い訳してたけど、最後は警察沙汰にするのしねーので面倒になったのか関わった奴等全員転校しちまったけどな」

「なんか……スマン」

 

オレは亮になんて言っていいかわからずに、それだけしか返すことができなかった。

 

「別に良いよ。知らなかったんだし。それより、とっとと風呂代わってくんねぇ?オレもそろそろ汗が気持ち悪い」

「おっ……おう!すぐ上がるわ!」

 

明るい声音で無理矢理雰囲気を変えようとする亮に、オレは手早く身体を拭いて外に出た。

 

「サンキュ。先寝てていいぜ」

 

亮はそう言って入れ替わりで風呂に入っていく。

オレは亮の他人に言いたくない心の闇を暴いてしまった後悔で、その顔を見ることができなかった。

 

「……聞かなきゃよかったぜ」

 

無意識にオレの足はキッチンに向かう。

冷蔵庫を開けて、昨日飲んだ桃色のピーチ牛乳を取り出して飲む。

ゴクゴクと喉を通る酸味と甘味が火照った身体を心地よく通っていく。

亮にも飲ませてやろうと2本取り出したのだが……今のオレは亮になんて声をかけて良いかわからなかった。

 

冷蔵庫に戻すのも億劫になって、結局渡せそうにない2本目の牛乳瓶も開けて飲み干す。

とにかく、明日だ。明日になったら亮と今まで通り笑い合って、それでこの状況をどうにかする方法を考えることにしよう。

 

オレは亮が風呂から上がってくるのを待たずに布団に入る。

大丈夫。まだ時間はある。

 

――――明日亮に謝ろう。言いたくないことを言わせちまってごめんなって。

 

疲れていたのか、オレの意識はそれを最後に深い眠りに落ちていった。

 

 

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