春。それは生命の萌え出ずる季節。
新年が明けてからのオレ達は、頻度こそ変わらないもののそのセックスは特別なモノになりつつあった。
小夜には情欲を叩きつけるようなセックスを、オレには甘えて蕩ける様なセックスを求めるようになった亮。
オレと亮は互いに弱さをさらけ出せるようになったからか、以前よりもずっと相棒である親友としての存在を強く感じることができる。
そんな関係が心地よくて仕方が無い。
小夜はしつこくオレの事を「お姉様」なんて呼ぶもんだから、最近ではとうとう根負けしてそう呼ばれる事を受け入れてしまっている。
小夜は小夜で、最初はからかいのつもりだったのが何度も呼ぶうちに本当にオレの事を姉の様に感じるようになってしまったのか、以前よりも素直に甘えてくるようになった気がする。
結局なんだかんだ肉欲に爛れた生活を送っていると言われればそれまでなのだが、それでもオレ達は今まで以上に深く
「もう桜の咲く季節かぁ……」
縁側で桜の花を見ながら亮と小夜、3人で茶をすする。
オレの横で微笑みながら桜を見つめる亮と、オレのヒザに頭を置いて甘える小夜。
穏やかな時の流れが、オレ達3人の間には流れている。
「お姉様、アタシお団子食べたい」
「うーん、花見かぁ……それも楽しそうだなぁ」
そうオレが呟くと亮が乗ってくる。
「折角だから河原にでも行くか?」
「あ、それパス。河原は花見する人いっぱいいるけど、村の花見はそう言うんじゃ無いし」
河原に行こうかと提案する亮に、それをすぐにパスする小夜。
小夜は淫紋を彫ったあたりから、亮以外とはセックスしたがらなくなった。
それでも村の風物詩のように行われるセックスイベントには乗り気の小夜だったのに、最近ではオレ達と一緒に穏やかに過ごす方を好むようになった。
村娘である小夜は本来不変の存在で、老いることも死ぬことも無い変わりに変わることも無い存在……巫女に言わせればそう言う存在のはずらしい。
そんな小夜がオレ達の家族として変わってきたことも、少しだけ嬉しい出来事だった。
(こんな毎日がずっと続いたら…………)
そう途中まで思ったところでふと気付く。
オレ達のこの日常は……もうすぐ終わる。
この春が過ぎれば……オレ達がここに来てちょうど一年。
それはつまり、現世との扉がもう一度繋がると言うことでもあり、オレ達が現世に帰る最初で最後のチャンスが来るということ。
そしてオレ達が現世に帰ると言うことは、小夜とは永遠にお別れすると言うことでもある。
(いや――――小夜だけじゃない)
かつて巫女は言った。
オレ達がカミサマに魅入られてこの村に誘われたのは、裏を返せば現世ではオレ達が引き裂かれる運命にあるということだと。
そうなれば、今が親友として……最高の相棒として亮と過ごせる最後の瞬間でもあるということだ。
あの時のオレは亮に『その時の事はその時考えれば良い』と言った。
そしてもうすぐ――――その時が来るのだ。
「お姉様どうしたの?顔が暗いよ?」
「ん?あ、ああイヤなんでもない!……なんでもないんだ」
「それならいいけど」
「お団子だよな!前に米挽いて作った粉があるから作れるぜ!」
心配そうにオレを見つめる小夜から逃げるようにキッチンに駆け込む。
小夜のために団子をこしらえながら、オレはこの先の事に想いを巡らせるのだった。
* * * * *
その日の夜。
今日の亮の相手は小夜の予定だから、オレはのんびり寝れるなと布団の準備をする。
いつの間にかオレ達は当番ではない方が別室に布団を敷いて、寝室を亮と当番だけで過ごすようになっていた。
小夜が言い出したのか、オレが言い出したのかはもう覚えていないが、いつの間にかそういう風になっていたのだ。
おかげさまで亮の相手をしないときは1人でのんびり寝れるようになったので、小夜がどう思ってるかはわからないがオレとしてはありがたい取り決めだった。
だが、そんな布団の準備をするオレに小夜が話しかけてきた。
「ねぇお姉様」
「ん?どうした小夜?」
「今日ね……一緒に、亮様と3人一緒で寝るの……だめかな?」
珍しいこともあるものだと軽く驚く。
小夜はなんだかんだ言いつつ、亮とのセックスを大事にしている。
普段は自分が当番の日は亮を独り占めする勢いでヤリまくるので、むしろオレの存在は邪魔者だと言わんがばかりに避けている。
まぁオレとしては逆に亮の相手をせずにゆっくり出来る日と言うことなのでありがたかったりするのではあるが。
だと言うのに、今日は一体どういう風の吹き回しだろうと気になる。
「別に構わないけどさ、今日は小夜が当番の日だろ?」
「うん……そうなんだけどさ、今日はお姉様も一緒がいいかなって」
「オレも一緒?つまり……3人でプレイしたいってことか?」
コクリと頷く小夜。
マンネリ防止にいつもと違ったプレイがしたい……ってワケじゃ無さそうだ。
「なぁ小夜、なんか悩んでたりするのか?」
そう聞くが小夜は首をフルフルと横に振る。
「じゃあなんで突然?」
「悩んでるのは……お姉様の方だから」
「オレが?」
「うん……今日縁側でお花見してたとき、お姉様悩んでたでしょ?多分……アタシの事で」
どうやら、小夜はずっとオレの顔を見てオレが小夜の事で悩んでると思い至ったらしい。
それで思いついた解決策が3Pと言うあたりは小夜らしいが。
まぁ一体小夜が何を思ってるのかはわからないが、こうやって普段はすました顔の小夜に甘えられるとどうしても弱い。
「わかったわかった。じゃあ一緒に寝室に行くか」
「うん……」
小夜を連れて寝室に向かう。
寝室には既に全裸の亮が布団の上でスタンバイしていた。
「俊……どうしたんだ今日は?」
「ああ、小夜が今日は一緒に寝たいんだと」
「そ、そうか……」
どうも歯切れの悪い亮。
今日は小夜だけじゃなく、亮のヘンな日なのかな?
しっかし、小夜の当番の日はいつも小夜が忙しそうに寝室をセットアップしてるからどういう事なのか不思議だったが、初めて小夜の当番の日の寝室に入って謎が解けた。
そこにあったのは山ほどの淫具にローション。
ディルドやローターみたいなものから、縄にロウソクなんかのちょっと特殊なプレイに使うものまで。
ピンク色のライトを照らしているせいでいつもの寝室がまるで別の空間になってしまったかのように感じる。
完全にヤリ部屋と化した寝室は亮と小夜のプレイの激しさを否が応でもわからせるもので、オレと亮がしているような甘えるセックスとは違う完全に性欲を処理するためのセックスをしていると言うことを示唆していた。
「ほほう、随分激しいプレイをしているようで」
「さっ、小夜がそういうの好きだからさ……」
まるで言い訳をするような態度の亮。
別に浮気現場に踏み込まれたってわけでもなかろうに、所在なさげにしてる亮に可笑しさを覚えてしまう。
「そんで?小夜は今日はオレと3人でプレイしたいってことでいいのか?」
「うん……なんていうか、普段のアタシと亮様のセックスをお姉様にも見て貰いたいなって」
小夜とのセックスを?
正直、オレは小夜と亮のセックスについては意図的に聞かないようにしていた。
亮はいつもオレに遠慮して激しすぎるプレイは避けているから、その分小夜相手には激しく性欲を叩きつけるようなセックスになることは容易に想像がついていたからだ。
そういう自分の醜い情欲をオレに見せるのは亮だって恥ずかしいだろうし、あえて聞かないでいてやることがオレなりの優しさだと思っていたのだが、どうして小夜がそれを今日は見せる気になったのかは少し気になった。
「じゃあオレはどうすればいいのかな?」
小夜に優しく問いかける。
だが小夜はまるで怯えるようにオレを上目遣いで見上げる。
「その……お姉様はアタシと亮様を見てて欲しくて……も、もちろんお姉様が良ければ一緒にするのもいいかなって思うんだけど……」
一体何に遠慮してるのか、随分と言い淀む様子の小夜を訝しむ。
(ふぅむ……こればっかりは見てみないとわからないかもな)
「わかった。オレは横で見てるから、いつも通り寮の相手してやってくれよ」
「…………うん」
コクリと頷いた小夜が服を脱ぐ。
シュルシュルという衣擦れの音と共に小夜が一糸纏わぬ姿になる。
亮はそんな小夜の裸身とオレを交互に見てどうしようかと悩んでいる様子だった。
「亮、いいからオレの事は気にせず小夜をいつも通り可愛がってやれよ」
「お……おう。それじゃあ……小夜」
すっくと立ち上がる亮。
股間の一物は既にビンビンに勃起している。
「亮様……それでは、はじめさせて頂きます」
亮の声がけに応えるようにそう言って亮の前で跪く小夜。
恭しく亮のチンポを両手で持つと、その先端に唇を重ねてキスをする。
「亮様、今宵もこの端女にお慈悲をくださいませ」
「好きにしろ」
そう言って亮のチンポを咥え始める小夜。
亮に頭を掴まれて強引に口の中を犯される。
「んぶぅっ♡んじゅっ♡ん゛じゅるっ♡はぁ……今日もおチンポ様、ありがとうございます♡」
乱暴に口内を犯されているかのようなフェラに歓喜の表情を浮かべる小夜。
普段オレや亮に軽口を叩くクールながらも意外とおてんばな少女の姿はそこには無かった。
そこにいたのは、亮というオスに完全に支配された『牝』の姿だった。
(つうか……亮もおかしくねぇか……?)
まるで小夜をモノのように扱うことが当たり前であるように振る舞う亮。
小夜をかしずかせて性欲処理のための道具として使う事に一切の躊躇が無い。
そこにはオレに甘える少年の姿も、普段の頼りがいのある相棒でも無い、ただ女を道具のように扱う『
「じゅぼ♡じゅぼぼ♡んじゅぼ♡おぼっ♡……っはぁ♡はぁ♡……んじゅっぽ♡」
「受け止めろ」
「じゅぼじゅぼ♡じゅっぼ♡……っはい♡いつでも下さいませ♡」
びゅりゅーっ!ビュクン!ドクドクドクッ!
小夜が口を離した途端亮の先端から大量の白濁が吐き出される。
んべぇ♡と舌を出した小夜に、まるでシャワーの様に精液を浴びせる亮。
小夜は小夜で小さな両手を口元に添えてできるだけ多くのザーメンを受け取って口に流し込もうとしている。
「ああ……こんなに沢山の御精……ありがとうございます♡」
恍惚とした表情で亮の吐き出す精液をこくこくと飲み込む小夜。
全身に大量の精液を浴びて真っ白に染まっていく小夜の姿に、オレは目がはなせないでいる。
「上に乗れ」
布団の上に腰掛けた亮が素っ気なくそう言うと、精液まみれの小夜がいそいそとその股間に向けてスクワットのように腰を下ろす。
背面座位の格好で亮のチンポを幼いマンコで飲み込んで行く小夜。
「ああ……♡亮様のモノが小夜の膣内に……♡」
ズブズブと小夜のオマンコに沈み込んでいく亮のチンポ。
オレですら毎度挿入のたびにえづきそうになるほどの極太凶悪チンポをもっと小さい体格の小夜が飲み込むのは大変だろうに、紗夜の瞳はその快楽に蕩けきっている。
「遅い」
ゆっくりと味わうように腰を落としていた小夜の腰を亮が掴むやいなや、ドスン!と音がしそうなほど一気に小夜の腰を落とす。
「んぎゅうぅっ!♡」
一気に膣奥まで突き立てられた衝撃に小夜の目がぐるんっ!と白目になる。
口をパクパクさせながら全身を痙攣させて絶頂する小夜。
そんな様子の小夜の事などお構いなしに手を添えた腰を強引に上下させて小夜の肢体を揺らす亮。
まるで亮には小夜が本当にオナホにしか見えていないような錯覚を覚える。
オレの眼前で性処理を行う2匹の牡と牝。
―――――――違う。違いすぎる。
2人がまるでオレの知っている亮と小夜とは違う人間なのでは無いかと思うほどに違う。
それに、亮とオレが普段やっているセックスとも違う。
こんなえげつないセックス見たことが無い。
(なんだ…………これは…………?)
オレは今何を見させられているのだろう。
まるで現実感の無い光景にオレは困惑していた。
親友が、妹のように可愛がる娘をその尊厳の一切を否定するように犯している。
亮と小夜のセックスを見るのは別に始めてってわけじゃない。
こうやって当番制になって寝る場所をわける前は、オレの寝てる横で2人がセックスするのを何度も見てた。
でもその時のセックスはこんな暴力的で陵辱的なモノじゃ無かった。
それからたった半年足らずで、2人のセックスはまるでオレの知らないモノへと変貌していた。
「おぶぇっ♡おごぇっ♡お゛ぁぁ♡あ゛ぁ゛……っ♡」
亮の強引な
そんな小夜の尻穴に、亮はおもむろに手にとったディルドを無理矢理ねじ込む。
オマンコを蹂躙するチンポと同じくらいデッカい極太のディルドがきゅっ♡と締まった小夜の菊門を無理矢理こじ開けて
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ♡あ゛がぁ……っ♡お゛ぁ゛っ♡あ゛がががっ♡」
その口はだらしなく舌を出して開き、その目は完全に焦点が合わぬまま虚空に向けてぐりんと白目を回している。
手脚をぶらりと力なく垂らしてただただ一切の抵抗なく亮に弄ばれる小夜。
ただ
――――――止めるべきか?
一瞬思い悩む。
だが、2人はまるでオレを拒むようにオレの存在を無視してまぐわい続け、2人だけの世界を構築している。
果たして、オレが声をかければ止まるようなモノなのだろうか。
「りょ、亮……そんな……そんなセックス……小夜が死んじゃうよ……」
オレの声に気付いた亮がビクンとオレの方を振り向く。
その時の亮の目はゾッとするほど仄暗くて、まるでオレを次の穴としか見ていないような、そんな視線だった。
――――亮が怖い。
それは初めて亮に覚える感情だった。
「俊……これは小夜が望んでいるんだ」
地獄の底から絞り出したような亮の低い声。
オレにはまるで今の亮に悪鬼が取り憑いているようにしか見えない。
「望んでるって……小夜は意識を失ってるじゃ無いか!?」
「なら……小夜に聞いてみよう……おい、小夜」
亮が小夜の肩をガクガクと揺らす。
かろうじて焦点が戻った小夜の瞳がオレの姿を捉える。
「お゛っ……♡お゛姉様ァ゛……♡」
「小夜!」
意識を取り戻した小夜に思わず駆け寄る。
だが恍惚とした小夜はうわごとの様に同じ台詞を繰り返すばかりだった。
「お゛姉様ァ゛♡ア゛ダシ……幸せ……♡」
「小夜もこう言ってるだろ。これは小夜が望んだことなんだ」
ゾッとするほど冷たい亮の声。
あまりにも普段と違う様子に、今話している
「もうすぐ終わる。少し待ってろ」
そう言い放つ亮が一段と強く小夜の肢体を揺さぶる。
ぐじゅぐちゅどちゅどじゅぶぴゅぐちゅぐりゅずぶ……っ!
「あ゛ー……♡あ゛ぁ゛……♡」
ぶぴゅ!どびゅるっ!どびゅどびゅっ!びゅりゅりゅう……っ!
ガクン!と小夜の肢体が弓なりに沿って痙攣したかと思うと、結合部から白濁が泡を立ててこぼれていく。
亮が逃げ場の無い子宮に大量の精液を注いでいるのだ。
結合部のすぐ下ではこれほどまでかと思うほど金玉が収縮を繰り返し、その度に漏れ出る白濁の量が増していく。
完全に意識を失った小夜を串刺しにしながら、亮はただ無表情に幼い子宮に精を注ぎ続ける。
俺はただその様子を呆然と眺めていることしか出来なかった。
「まだ……まだ足りない……」
そう言いながら、射精の終わった亮はまたおもむろに小夜の腰を掴んでチンポ扱きを再開させようとする。
だが、その腕をオレが掴む。
「やめろ亮!!小夜は意識を失ってんだぞ!?」
「だがまだ足りないんだ……小夜も喜んでいる……」
「何を言ってんだお前は!コレのどこが喜んでるんだよ!?」
頭を上げて茫洋と天井を見つめる小夜。
いや、見つめると言うよりもただ力なく頭をだらんと上に向けてるだけといった方が近い。
「はへぇ……♡え゛ぇ……♡」
口から漏れる喘ぎが無ければ死んでしまったようにも見えるその姿。
そこに小夜の意思があるなどとは到底思えなかった。
「こんな……こんなことをオレに見せたかったのか?」
「俺が望んだわけじゃない。小夜が望んだことだ」
冷たく言い放つ亮。
たとえ小夜が死んでしまったとしてもなんの痛痒も感じないといいたげなその表情に苛立ちがつのる。
「いいからこんなことはもうやめろ亮。小夜が可哀想だ」
「断る」
「断るだぁ!?」
「それとも……お前が代わりになってくれるか?俊?」
まるで目の前のオレを小夜のスペアの性欲処理肉穴としか見ていないような亮の台詞。
その台詞にオレの中で感情が爆発する。
「テメェは……なに馬鹿なこと言ってやがんだぁあああっ!!」
右フックを亮のアゴにブチ込む。
まさかオレがそんなことをするとは思っていなかったであろう亮はそれをモロに受けてガクンと崩れ落ちる。
布団の上にバタンと倒れ込んで失神する亮を尻目に、小夜に声をかける。
「小夜……!小夜……!大丈夫か!?」
反応の無い小夜。
精液まみれの小夜の肢体を亮の下半身から無理矢理引き抜き、尻穴に埋まったディルドも抜くと、オレは小夜を布団に横たわらせる。
気付けば俺以外の2人が布団の上で失神して伸びているというこの有様。
この惨状をどうするか……それが問題だ。
「まぁ……とりあえず2人が目を覚ますのを待つか」
俺はしばらく、寝室に立ちつくしているしか出来なかった。
* * * * *
「それじゃあ……この乱痴気騒ぎについて説明して貰おうか?」
胡座をかいて寝室に座る俺の前に、並んで正座する亮と小夜。
2人とも恥ずかしいやら申し訳ないやらと言った表情で所在なさげにしている。
しばらく待ったが2人とも口を開かないので、俺から直接問いただすことにする。
「まずは亮」
「は……はひ……」
俺に殴られたアゴ先を手で撫でながら返事をする亮。
非力な女になった俺に殴られた程度ではたいしたダメージにはなってないはずなので、そんなに痛がる必要は無いと思うのだが。
ただ思い切りアゴ先をぶん殴る事によって脳を揺らして失神させただけだ。
自分よりガタイのデカい相手を倒す喧嘩テクはこのカラダになっても不意打ちくらいは出来る言うことである。
ともあれ、今の亮には先程の別人かと思うような様子は見られない。
いつもの亮だ。
「小夜が小夜が……って言ってるけどな、あんなセックスふっつうにダメだからな?あと、なんだあの態度は?悪いもんでも喰ったんじゃねーか?」
「……………………すまん」
それだけ言って押し黙る亮を睨み付けるが、黙ったままで答えようとしない。
「おっ……お姉様!アタシから説明させて……!亮様は……亮様は悪くないの……!」
今にも泣きそうな悲痛な様子で俺に縋る小夜。
そんな小夜の頭を優しく抱きとめて撫でる。
「小夜。別に怒ってるワケじゃねぇよ。ただなんであんなだったか……それとなんでそれをオレに見せたかったのか教えてくれないか?」
オレの問いにコクリと頷く小夜。
「亮様の言うとおり、あれはアタシが求めたの。もっと強く……もっと家畜を犯すように……って。でも亮様は優しかったからそれが出来なくて、そのために亮様の欲望が抑えられなくなる村の香を使ったの」
なるほどな。あの亮のヘンな様子はそれが原因か。
オレだってバカになって本音をダダ漏らすキノコを小夜に喰わされたこともあるし、言われてみりゃあ一服盛るのは小夜の十八番だ。
ただ、どうしてそんな自分を痛めつけるようなセックスを欲しがったのか、そっちの方が気になる。
「村の女はね……みんな『牝』なの。殿方に乱暴に
まぁ幽の様子などからして、そういう感じではあるのは確かだ。
この村の異常な淫習、特に『男が絶対的に優越する』なんてのはそう言う趣向とはとても相性がいい。
しっかし、乗り気じゃない亮に一服盛ってまでそうさせるってのは少しばかりやり過ぎな気もする。
「あと……お姉様のため」
「オレの……ためだって?」
「亮様も殿方である以上牝を組み敷いて好き放題したい欲は必ずあるの。だけど亮様はそれをお姉様に向けてしまうことを恐れていたの」
男がいつだって女をメチャクチャにしたいと思ってるかどうかってのはちと異論もあるが、亮がオレに対してそう言った情欲を叩きつけるのを怖がってたってのはなんとなく腑に落ちる。
「だから……アタシはそんな亮様の欲望が自分に向かうように……アタシからお願いしたの。もちろん、お姉様のためだけってわけじゃない。そうされるのを独り占めしたいって気持ちも……結構あったと思う」
要するに、小夜としては亮に乱暴に扱ってもらうことで自分の欲求を満たしつつオレを亮のレイプ願望の対象から遠ざけたってことか。
まぁ……だったら言って欲しかったという気持ちもあるが、ともかくどうしてこうなったかと言うことはわかった。
「小夜……それで、どうして今日はそれをオレに見せようと?」
「だって……お姉様も亮様もこのカクリヨ村をじきに去るのでしょう?」
小夜の答えにドキリとする。
そう。それは小夜とは永遠の別れを告げると言うこと。
小夜もわかっていたこととは言え、改めてそれを小夜に言うのをオレも亮も躊躇っていたのは確かだ。
「お姉様……俊様はもとは殿方とのこと。でももし牝のままで亮様と2人私のいない世界に旅立つのであれば、私の代わりに誰かが亮様をお鎮めしなければいけない……」
それはつまり……オレの役目になる。そう小夜は言っているのだ。
だから、亮の奥底に眠る仄暗い情欲をどうやって解消しているのか、それをオレに見せたかったと言うことか。
道理で小夜との行為を見られることに対して亮がよそよそしい態度だったのもコレでわかった。
今夜のことは要するに、小夜にとってはオレへの引き継ぎだったのだ。
そして、同時にもうすぐ別れることになるオレ達2人への餞別。
「だから……全ての責はこのアタシ小夜にあります。お姉様……どうか許して……」
「ばぁか。許すもなにも怒ってねぇって言ったろ?説明してくれてありがとうな小夜」
小夜を抱きしめながら頭を撫で続ける。
結局のところ、少し過激ではあったが小夜なりの優しさの発露だったのだ。
それがわかったので、オレとしては小夜を責めるつもりなんて欠片ほどもない。
「俊……すまん……」
――――――が、コイツはちょいと話は別だ。
「亮?お前なぁ、こんな幼い娘の献身におんぶに抱っこしてんじゃねぇよ」
「仰るとおり……」
頭を垂れてうなだれる亮。
男であればほぼなんでも許されるこの村の特殊な淫習にどっぷりとはまりこんでしまったことを反省しているのだろう。
オレがあれこれ言わなくても聡い亮の事だ。そのくらいの事はわかっているだろう。
「まったく……とりあえず小夜?もう亮に一服盛るのはやめてくれ。危うくオレまで犯されるかと思った」
「うん……わかった」
「あと亮、お前もお前でそう言う事をして後ろめたい気持ちがあるなら言えっつうの!」
「スマン……反省する……」
オレはしばらく亮を睨んでいたが、それも馬鹿らしくなってきたので双眸を緩めて亮の肩に腕を回す。
亮と小夜、2人を抱きかかえたオレはニシシと口角を上げる。
「小夜が乱暴にされたいってのはわかったから、それはちゃんと亮が自分の意思でやってやれよ。小夜はクスリに頼らない!これからはそうしてくれ」
コクコクと頷く2人にもう一度笑いかける。
「よっし!じゃあ仲直りだ。亮も小夜も……大好きだぜ!」
「うん……ありがとう……お姉様」
「悪い……いや、ありがとう俊」
涙目ながらもオレに微笑む小夜。
亮もようやく表情が和らぐ。
こうして、小夜と亮の夜伽の一件は解決したのであった。
* * * * *
あれだけ咲き誇った桜の花も、1週間も経つ頃には全て舞い落ちて消えていた。
残されたのは青々とした葉を茂らせる桜の木。
それはもうすぐ訪れる初夏の足音と――――春の終わり。
そしてそれは同時に、オレ達のこの村での生活の終わりを意味している。
なんだかんだ言いつつも、オレと亮と小夜の3人は同じ屋根の下仲良く生活をしている。
最初に会った頃はつっけんどんな態度も目立つ小夜だったが、今ではまるで本当の兄妹のように素直になった。
元々根っこは優しい娘なのだ。今は亮もオレもこの幼い娘が可愛くて仕方がない。
今日は亮と小夜が一緒に出かけている。
たまには2人で野外で楽しみたい日もあるのだろう。
それにあれこれ文句を言うつもりはない。
オレに取っても小夜は可愛い妹のようなものだ。亮とも仲良くしてくれてありがたい限りだ。
だが――――そんな彼女との別れも近づいている。
この村にいられるのもあと数日。
そしてそれまでに――――オレは亮との別れも覚悟しなければならない。
元々違う高校に行ってしまった事で疎遠になっていたオレと亮。
夏休みを利用して帰省した亮の親父さんのおかげでこうして再会することが出来たものの、来年以降もそうなるかはわからない。
そうなってしまえば、オレと亮は会うことも出来なくなってしまうだろう。
――――『引き裂かれる運命』。
確かに、そう言ってしまえばそうなのかもしれない。
でも、今のオレに取って亮は別れることが出来る相手なのだろうか。
今の亮にとって、オレは別れることが…………できるのだろうか。
ずっと先送りにしていた答えを出さなければならない日が刻一刻と近づいている。
オレが女体化した原因についても、結局はわからずじまいだ。
あとは巫女の予想――――現世に戻る際に戻れるかも知れないという可能性にかけなければいけない。
オレに取ってはそれももう一つの悩みのタネだ。
もし…………男に戻ることが出来ずに現世に戻ることになったら。
そのとき、オレはどうやって生きていくべきなのか。
それも頭の痛い問題だった。
ひとり縁側で外を眺めながらボーッとそんなことを考えていると、ふと久々に見る顔が家の縁側に入ってくる。
美少女揃いの村娘達の間でも、特に一段飛び抜けた絶世の美貌。
「ごきげんようございます、俊様」
「――――――幽」
ずっと姿を現さなかった女が、オレ達の前に現われた。
村と言いながらも統べる者のいないこの村において、村生まれの娘達を束ねる女。
慇懃な態度の裏に、村の淫習への盲信を潜ませた狂気の女。
優しげに微笑むこの女が、オレはこの村で一番恐ろしい。
「少し――――お話ししても?」
幽はそう言って微笑んだ。
* * * * *
縁側に座る幽にお茶を出す。
「まぁ俊様。そんなお気遣いなどなさらなくて結構ですのに」
「一応お客だからな」
「私のようなものに……過分なご配慮、傷み入ります」
そう言って謙遜する幽ではあるが、出された茶には手をつけない。
幽がオレに対してへりくだるのは『牝であっても
『絶対的に優越する』と言う男に対してのそれと違い、オレに対する幽の態度はあくまでも『掟を守る
もしオレがこの村の掟を破っているとなれば、この女は躊躇無くオレの人権を剥奪して『厳しい罰』とやらを下すのだろう。
そんな凄みがこの女の視線には感じられた。
「それで……用件はなんだい幽さん?」
「ええ、もうすぐ亮様と俊様がこちらに来て一年……亮様はいつ俊様を娶られるのか……気になったものですから」
――――これだ。
要するに、いつオレが亮の牝に正式になるかを探りに来たのだ。
どうしてここまでそれにこだわるのか。
それもまた村の掟――――『婚姻儀式を結んだ牝に手を出してはいけない』と言うことの裏返し。
婚姻儀式を結んでいる以上手が出せないと言うことは、結んでいなければ手を出すことが出来ると言うこと。
実際、オレは何度か村の男達の情欲のはけ口にされかけた。
それを押しとどめているのは亮がオレの事を娶るつもりだと言っているから。
要するに、仮押さえの特例措置に過ぎないのだ。
「亮様のお心はまだお決まりにならない様子。そうなると、俊様のお身体は殿方達にとっては誰のモノでも無いと言うことになりますでしょう?この村に来てそろそろ一年も経とうというのに今だ亮様に娶られることのない俊様――――もう、お諦めになってはいかがですか?」
そういうことか。
幽としては男である亮には村の掟がある以上逆らうことは出来ない。
亮がそうだと言ってる以上幽にはどうしようも無い。
だが、牝であるオレは話が別だ。
オレが『亮との婚姻儀式を諦める』と言えば、亮の了解を取らずともオレの肢体を村の所有物として男共に差し出すことが出来る。
幽にとって今のオレはあくまでも『仮予約』なのだ。
本来村の掟を厳密に守るのであれば誰のものでもないオレを1年以上も亮のモノのように特別扱いすることが幽に取っては気にくわないのかも知れない。
だから、あえて亮のいないこのタイミングでオレに通告しに来たのだ。
『お前に自由を許すのは、一年が限度だぞ』と。
「どうしてもオレと亮を引き離したいのか?」
「まさか……そんな滅相もない……。ただ、殿方達からはお美しい俊様のお噂がいつも上がるものですから」
なるほどな……いつになったらオレに手が出せるのかと、幽に迫る男達がいるわけだ。
そんな手ぐすね引いて待つ男達へオレを捧げようとこの女はやってきたのだ。
いや……ただ忠告に来ただけじゃない。
オレ達の
そうすれば堂々と掟破りのオレの身柄を嬉々として拘束するつもりだろう。
まぁ……それだって全部亮の受け売りではあるのだが。
正直亮無しでこんな隠された悪意に気がつけるほどオレは賢くねぇんだって。
だから、答えも亮との打ち合わせ通りに答えることにする。
「さぁ、オレが諦めるとか諦めないとかそう言う問題じゃない。全ては亮が決めることだ。言いたいことは亮に言ってくれ」
一瞬目を細めて口角の下がる幽。
だがすぐにいつもの涼やかな微笑みに戻る。
「そうでしたか。それはそれは結構なこと……亮様にもよろしくお伝えくださいませ。それではお手間を取らせました。私はお暇いたします」
そう言って立ち上がる幽。
そんな幽が見えなくなるまで、オレは幽の背中を視線で追い続けた。
(ふぅ……なんとか行ってくれたみたいだな……)
全身からどっと汗が噴き出す。
春が訪れ初夏に近づいて気温が高くなったからじゃない。
薄氷を踏むような幽とのやりとりに心底緊張してようやく解放された安堵からだ。
これから幽からの圧力はどんどん強まっていくだろう。
それは同時に幽の背後にいる男達の劣情でもある。
亮にも話してないことではあるのだが――――今のオレ達には2つの選択肢がある。
ひとつは計画通り現世に戻るというもの。
小夜とは永遠に別れなければならないし、オレと亮すら『運命として』別々の道を歩まねばならない。
つまり、この村での生活を最後に、オレ達の関係は消滅する覚悟がいると言うことだ。
だが、この村でのどうこうということとは綺麗さっぱりお別れできる。
いろいろな意味で――――別れの道だ。
もうひとつは……この村に残るというもの。
小夜と、亮と、この生活をずっとずっと続ける――――それも永遠に。
だが、その場合障害になるのが先程の幽だ。
亮曰く、もしかしたら男達にオレを襲わせて無理矢理にでも亮から引き剥がそうとするかも知れない……らしい。
流石に考えすぎではと俺も思うが、それをするかも知れないと思わせるだけの凄みが幽にはある。
それを避けるための道はひとつしかない。
オレが亮と『婚姻儀式』を結び、正式にオレが亮の牝になることだ。
そうすればオレは晴れて亮の牝として安全が確保される。
先程の幽の様子を見る限り、もしこの村に残るつもりなら可能な限り早く『婚姻儀式』しなければオレは村の男達の慰みモノにされてしまうだろう。
ただし……それはオレの男としての終わりを意味する。
亮とのセックスは気持ちいいし忌避感も大分減ってきた。
それでも――――それでもオレは男だ。男なんだ。
全てを失って『男』を取り戻すか、『男』を失って今のこのモラトリアムを続けるか。
これが――――オレ達の選択肢。
どちらを取っても、オレは大事なものを失う。
悩めるのも、あと数日だ。
次回、最終回です