バカと恋と友情~もう一つの現実ともう一つの恋 作:ハラミハラ
毎回恒例になってる感があるのですが言わせてください。
遅くなってすみませんんんんんん!!!!
形は結構前にできてたんですけど、上手くいかないのと色々忙しくって...すんません言い訳です。
もう遅くなりすぎて読んでくれる人いないんじゃないかな?って思う中でもお気に入り登録が増えたりして本当励みになります。
さて今回で最後の中くらい。次で最後の最後(になったらいいな)になると思います。
時間が空いてキャラがブレたり回収しない伏線が増えたりして、ほんともう何してんだ?って思いはありますが最後まで責任を果たしたいと思います。
それでは本編、タマゴよりグデグデですがよろしくお願いします!
雄二が気絶する少し前。
「はぁっはっ。やりますね、木下さんっ」
「そちら、こそっ!」
まさか召喚獣を扱うだけでこんなにしんどいなんて...!
感覚がフィードバックするということは、自分の武器の重たさや攻撃を受け流しただけの衝撃も全部返ってくる。
(明久君、普段からこんなことしてたんだ....)
彼の召喚獣はいつもこの状況にあった。つまり試召戦争の時、アタシたちがゲーム感覚でやっていた中で独り、本物の戦争をやっていたのと同じだ。
それを対戦中に理解してしまうなんて、気が散っちゃうじゃないのまったく。
「そんなの―――もっと好きになっちゃうじゃない!」
一刻も早く目の前の敵を倒そう。彼の元へ走りたい。彼が好きで好きで大好きなんだ。彼が誰を愛そうと、彼が誰を愛したとしてもアタシはもう彼しか愛せない。
無垢な心がこもった斬撃はどんどん淡い色を帯びていく。
「「!!?」」
しかしその剣は甲高い音と衝撃と共に彼方へと飛ばされる。
(今の...召喚獣の腕!?)
腕の飛んできた方向に目をやると明久君が坂本君の召喚獣を切り捨てていた。
(何がどうなってそうなるのよ...)
そして坂本雄二退場後―――
「それで、なにがあったの?坂本君が運ばれていったのは見たんだけど...」
隣に並んだ優子が敢えて本質に触れないように聞いてくる。
ある程度察してるくせに。全くどこまでもこの子は。
「雄二が喝をくれたんだ。また僕が迷わないように」
「そ。ならもう迷わないように最後まで走らないとね」
短く答えると彼女は正面に向き直る。その横顔は凛としていて『美しい』という文字だけが僕の頭に浮かぶ。
「それで、さっき言ってたヤバいってなんのこと?」
優子はその美しいまま、体育館の壁に貼り付けられたバスケットボールの籠を指さす。
「OH.....」
なんとそこには優子の召喚獣が持っている筈の剣が刺さっていた。
「どうしてああなったのかは聞かないけど、どうしようか...」
「流石に素手で戦うのも無理があるわよね...」
「さっきからなにをしているんですか?これは大事な決闘だということをお忘れでしょう」
「うわっ!」
突如、高城の攻撃が二人の間に入る。二人というのは召喚獣ではなく僕ら本人だった。
「ちょっ!何するんですか!?」
「何するもなにも、今回の戦争はダメージがあるということは当然、物理干渉もあると踏んだまでですよ」
さも自分に間違いなんてないと言ってのけるそいつの顔は酷薄な笑みを浮かべていた。
だけど、ここで乗せられちゃ...負けちゃだめだ。
「ふーっ」
静かに息を吐いて頭をリセットする。
雄二が身を挺して恨みに呑まれそうな僕を止めてくれた。
霧島さんが悔しさを僕に預けていった。
美波は歪みながらも再交をしてくれた(ような気がする)。
鉄人は迷ったとき人を頼る術を教えてくれた。
優子はずっと僕のことを見てそばにいて、支えてくれていた。それは今も尚。
報いらなければならない。僕を再び目の前で笑う男と戦う機会をくれた皆に。
守らなければならない。隣に立つ最愛の女の子の笑顔を。
戦わなければならない。毒々しい自分の本能と。
「.....よし。優子」
「ん?」
「僕が今からあの二人を相手にするから、その間に剣を」
「ん、わかった」
優子と短く作戦会議をするとそれはすぐ実行に移される。
相手の二体の召喚獣めがけて全力で駆ける。
「葵小暮嬢。分かっていますね?」
「ええ、もちろん」
「.......」
「あの、葵小暮嬢?」
「なんでしょうか」
「なぜ動いてくれないんでしょうか?」
「あら。好きな人の為に色々な葛藤を乗り越えた男女が二人、それを邪魔する義務も責任も私は持ち合わせていませんわ」
「...!あなたは!」
「ほら、起きてしまった獅子がもうそこに」
「!!」
「高城ぉ―――!!!」
咆哮と共に放たれた剣は寸前のところで止められる。くそ!
「2-F 吉井 明久 VS 3-A 高城 雅春
日本史 170点 345点 」
「ふははっ!いくら果敢に飛んで来ようとも貴方と私の点数は二倍!勝てるとお思いですか!?」
「思ってなきゃこんなとこにいるわけないだろ!!」
何度も何度も交わる木刀と西剣。普通ならここで隙を見せた方がやられる。だけど―――
「おやおや、木刀が削れてきましたね。鉛筆削りでもお貸ししましょうか?」
「――――!」
高い点数を持っていたとしても所詮は木刀。しかも向こうが圧倒的に点数が高い。
(このままだとジリ貧...!)
「
叫ぶと僕の召喚獣が二つに分かれる。
「その腕輪は大したものです。しかしそれで、避け切れますか?」
「うっ!ぐっ!」
点数が上がってるわけでもないのにどんどん斬撃の速さが増してくる。
「負けて...たまるかー!」
「その咆哮も聞き飽きましたね」
「ぐあっ!?」
二体が縦に並んでしまった瞬間に刃は召喚獣の首筋を刈る。
ギリギリのところで戦死はしていないけど、文字通り首の皮一枚だ。
「2-F 吉井 明久 VS 3-A 高城 雅春
日本史 25点 322点 」
「勝負ありましたね」
「くっそっ....!!」
「木下優子嬢。止まりなさい。さもないと愛しい方の首が飛びますよ。残念ながら召喚獣ですがね」
「優子!僕のことはいいから早く武器を!」
代表さえ生き残ってくれればまだ勝機はある。僕のミスなんかで全てを台無しにするなんてできない!
「.....っ!」
こんな状況ですぐに選択できるはずもなく、優子はその場で動きを止めてしまう。
「木下さん、名前の通りあなたは優しい子ですね。でもそれで彼の決心を無駄にするのも良くないですよ」
ただ一人、自由に行動を取れる小暮先輩は召喚獣をゆっくりと優子の召喚獣へ近づける。万事休すか...!
「それでも想い人を助け合うあなた達の心はとても美しいものでした。そこの勝ち誇ってるクズにも見習ってほしいものです」
思ってたけどこの人キャラブレてない?何を考えてるか分からない。
そんな僕の不理解はお構いなしに彼女は事を進める。
「小暮先輩...さっきからなにを...?」
「私はあなた達の応援をすることに決めました」
二人の召喚獣が並ぶ。一体は何も手に持たず立ち尽くし、もう一体は剣を差し出す。
「え....」
「守りたいんでしょう?なら、そうしなさい」
「させません!!」
その行為を阻止せんと全力で召喚獣を飛ばされる召喚獣。だけどそれは少し遅い。
本当に遅かった。
「高城先輩。ここまでです」
「くっ!」
この剣が届くまで、本当に。
「これでっ!最後だ!!」
「くそがあああああ!」
高城の怨嗟は、二本の剣と体育館中に沸いた歓声にかき消された。