元旦から早々ツイてない!
桃瀬カレンは、明るい金髪に染めた艷やかな髪をふわっふわの巻き髪にして、この上なく可愛い晴れ着を着付けてもらったのに、友達との待ち合わせ時間に遅れて初詣に行けなかった。
「あーもうアユミのやつ! もうちょっとくらい待ってくれてもいいのに!」
正月の人がごった返す中で、時間にルーズなるカレン一人を待って待ち合わせに遅れては大変なことになるので友達の判断は正しい。
「あーあ、三年の妻夫木先輩も来るって言ってたから見せたかったし、ついでにブランドの福袋も一緒に買って交換しようと思ったのに!」
せっかくイケメンで優しくて、それでいて全然遊んでなくてめっちゃ頭がいいカレンの好みにピッタリのちょっといいなと思ってた妻夫木先輩と正月から会えるはずだったのに。
着物可愛いって、褒めてもらえるはずだったのに。
それらの予定が台無しである。
今更、街に一人で買い物に行こうとも思えない。
「あーもう、ぶつくさ言っててもしょうがないし」
しかし、そこは立ち直りの早いカレン。
せっかくの晴れ着なのだからどこにも行かないというのもつまらないので、近所の神社を見つけて一応お参りにすることにした。
「五円……いや、賽銭に五円はなんか迷惑とかネットで言ってたよね。厄払いに奮発して百円くらい入れちゃおうかな。あっ! あぁあああああ!」
マニキュアのついたほっそりとした指で、財布の小銭を漁ってたら親にお年玉でもらった一万円がひらりひらりと賽銭箱に吸い込まれていく。
これは元旦から、どこまでもツイていない。
「フザケンナ! なけなしの一万円だったのに!」
一万円のもとを取ろうと、怨念を込めてやけくそのようにパンパンと柏手を打つカレン。
「はぁ、入ったもんはもうしょうがねっか。どうか私を見捨てていった薄情なアユミたちより、私にめでたい春がすぐ来ますように! いますぐね!」
明るい金髪で入念なメイクを施した女子高生のカレンは、いわゆるギャルというやつだ。
しかも、そんじょそこらのギャルではなくティーン向けファッション雑誌の読者モデルとしても活躍しているカレンは、いわばぷち芸能人と言っても過言ではない。
華やかな着物からちらりと覗くつやつやの白い肌。
公称九十センチのドカンと飛び出たロケットおっぱい。
お尻だって大きいし、それでいてがんばって節制してるおかげで凹んだお腹。
プロポーションはかなりののものだ。
日々の努力も怠らず、全力で磨き上げてきているのだから相当な美少女に見えるのはずなのだが、なぜか十六歳のこの歳まで彼氏なしだ。
だから、今日のおでかけは、もしかしたら彼氏を造るチャンスだと思ったのに……。
「絶対、最高の彼氏をお願いね! こっちも気持ち切り替えていくし!」
カレンが美人なのに彼氏がいないのは、どうやらキツイ性格に原因ありそうだ。
イケメンでお金持ちの上に好みのタイプの妻夫木先輩ならともかく、普通の男子なんて歯牙にもかけないカレンの垢抜けた雰囲気は、クラスの男子を遠ざけている。
いわゆる高めの女子ってやつで、カレンの方も自分を安売りするつもりは毛頭ない。
なので、男がいないのは当然といえた。
こんな子に彼氏を作れとか無茶振りされたって、神様も困るだろう。
「こっちに出会いがありそうな気がするなあ。お賽銭一万円も奮発したんだから、すげーお金持ちのイケメン。もちろん、遊びじゃなくて結婚前提の男ね。あーし、失敗したくねーし」
あえてギャル風な口調でそんなアホなことを言いながら、カレンはふんふん鼻歌を歌って、小さな神社の裏口から出て路地を行く。
このあたりは、家の近所だというのに生まれて始めて通る路地だ。
おおよその方向はわかっているつもりだけど、自分の街にこんな裏路地があったのかとびっくりするほど雰囲気が変わる。
普段、こんな場所に用もないから当然かもしれない。
突然、どこからともなく声がかかった。
「お、可愛い子だな。一緒に羽子板で遊ばない?」
かかった野太い声に、またナンパかと思いつつ。
でも可愛いって、もちろんあーしのことでしょと振り向いたカレンだが、ちょっと疑問に思う。
「ハゴイタってなに?」
「羽子板だよ、ほらこれ羽子板。見たことないの?」
声をかけてきた四十がらみの怪しげな中年のおっさんは、長方形で柄のある板と、羽根をかかげる。
「はっ、ハゴイタでしょ。ハゴイタくらい見たことあるし、バカにすんなし」
しかし、やったことはない。
今どきの子供は正月にハゴイタなどしない。ましてや、カレンのようなギャルが子供の遊びをするわけもない。
「それは話が早い。この羽子板で、一緒に羽根突きして遊ぼうよ」
「はぁ、まったく。どこのイケメンが声をかけてきたのかと思ったのに、クッサイおっさんに用はないの。まして、ハゴイタぁ? ふざけてると警察呼ぶわよ?」
「そんな事言わないでよ。一緒に羽子板で羽根突きしてくれたら、お年玉あげるから」
「あーしは……」
その時、おっさんが掲げていた羽子板をマジマジと見つめて、カレンの頭はくらくらする。
何やらカラフルな目玉のような、奇妙なグルグルの文様が描かれている。
その奇妙な羽子板をカレンの目の前でクルクルと回しながらおっさんは言う。
「ね、一緒に羽子板してくれたらお年玉あげるから」
「はぁ、お年玉って十万? 二十万?」
「怖いこと言うなあ。一万円じゃダメなの?」
「まあ、あんたならその程度が関の山っしょ。悪いけどさあ……」
あーしは、そんなに安くないと断ろうとしたカレン。
出会って一瞬で、おっさんの値踏みは終了している。
おっさんの服はそこいらの量販店の服だ。
だから、相手にする必要なしという判断だったのだが……まてよ、一万円。
先程お賽銭で失ったのと、ちょうど同額だ。
「ね、ちょっとゲームするだけだから」
「ふん、しょうがないわね。じゃあ、ちょっと付き合うだけよ」
これが本当に十万円出してきたら逆に怖いところだったけど、頭の弱そうなおっさんの相手をちょっとしてお年玉もらうくらいは悪くないのではないかと考え直した。
それに考えたら、自分はいま振り袖でお正月らしい服装だし、羽子板でも持ったらインスタ映えするんじゃないだろうか。
ぶさいくなおっさんはともかく、綺羅びやかにデコられた羽子板はなかなかのものだ。
「じゃあ、そこが俺の家だから庭でやろうよ」
「あーしに似合ってる、もっと可愛い羽子板はないの?」
そうすると、おっさんはさらに色鮮で綺麗な華の飾りのついた羽子板を持ってきてくれた。
「これでいいかな」
「なんだ、気が利くじゃない。めっちゃデコってて可愛い板じゃん」
おじさんの庭に入ると、意外と綺麗に片付いた芝生だった。
羽根突きをやろうというだけあって、そこそこ広い。
「それは良かった」
「ちょっとおっさんのその板は可愛くないよ。チラチラして、なんかさっきからうぜーんだけど」
さっきからおじさんが手に持っている子供の落書きのような丸が書かれた羽子板を目の前でぐるぐるされるのが気になる。
そのぐるぐるの中央に書かれた点を、自然に目で追ってしまうのだ。
なんだか、頭がくらくらとしてくる。
おじさんは小声でカレンに話しかけてきて、それにこっくりこっくりとうなずく。
「ああ、これはもうかかったかな。じゃ、さっそく羽子板を始めようか」
えっ、とカレンは思った。
なんだろう、一瞬寝てた?
「あーし、としたことが……恥ず」
じゅるりと、口によだれまで垂らして。
子供じゃあるまいし。
「どうしたの?」
「な、なんでもないし! 羽突きってバトミントンみたいなもんでしょ。あーしから先にやらせてよ」
カレンは、ごまかすように手を振ると。
意気揚々と羽根を持ち上げてバトミントンみたいに飛ばそうとするが、スカッと空振りする。
バトミントンなら体育でやっているが、そこは運動からっきしのドジなカレンである。
「はーい失敗」
「ちち、違うし! さっきのは練習でこっからが本番だから! それに振り袖を着てるから動きにくいだけだし。って、人の話を聞きけおっさん! 何を持ってきてんだし」
「何って、罰ゲームの墨汁だよ」
「ぎゃぁああ!」
きっちりメイクを決めた顔面に筆でベトベトと墨を塗りたくられて、カレンはぎゃあぎゃあと絶叫した。
「墨くらいで大げさだな」
「冷た! なな、何なのこれ! 人の顔に何しちゃってくれてんの! このメイクに何時間かかったと思ってんだ!」
そこまで凝る必要がないメイクに何時間もかけているから遅刻するのだ。
「そんなこと俺は知らないよ。羽突きで負けたら、顔に墨を塗るのは常識だよ。日本の伝統行事だから知ってるよね」
羽突きなんてやったことないから、知らないけど。
そういえばそんなシーンを何処かで見たことがあるような気もする。
見栄っ張りなカレンは、知らないなんて言えない。
「そんな事は、当然知ってるし! そうだし、羽突きなら常識だし……ただ、いきなりだったから、びっくりしただし……」
すっかり術中にハマッているカレンの様子に、おじさんはニヤリと笑う。
「じゃあ、続きをやろう。今度は俺から打つね」
おじさんはそう言うなり、ポーンと羽子板でムクロジの種子でできた羽子を跳ね上げる。
「今度は負けないし! ああ……何よこの板。全然跳ねない、こんなのズルぐぎゃぁああ!」
今度は目の周りに墨で丸を書かれて、悲鳴を上げるカレン。
独特な空気抵抗のある羽根突きにはコツがあって、それを知ってるおじさんとカレンとでは勝負にならない。
結局、五回勝負してカレンは一度もまともに羽子を打てなかった。
「あらら、もう顔に墨を塗るところがないね」
「ハァ、ハァ……もう最低」
メイクを墨で台無しにされて、泥棒ヒゲまで書かれて、これではインスタ映えどころではない。
「じゃあ、罰ゲームに脱いでもらおっか」
「はぁ、おっさんなに言ってんだ?」
いきなり妙なことを言われるのでキョトンとするカレン。
「何って、もう顔に墨を塗るところがないから、今度は身体に墨を塗ろうかと」
「えーもう終わりじゃないの?」
「羽根突きに付き合うって言ったのは君じゃん。罰ゲームはきちっとやらなきゃだし、俺はおかしなことを言ってるかな」
「で、でも着物なんて脱いだら、また着るのにめっちゃめんどいし」
……と、言うか。
カレンは着付けできないから、脱いだらもうまともに着られない。
「だから、俺はそんなこと知ったこっちゃないよ」
「こんな寒空の下で裸になれっていうの? おっさん鬼畜すぎない?」
「寒くないならいいのか。じゃあ、屋内に行こうよ」
そう言って庭から中に案内されたのだが、家の中も小汚いおっさんが済んでるにしては綺麗に片付いていた。
ただ、広くて清潔で家具は揃っているのになんか殺風景というか、よく読モをやってる時に見るスタジオに近い感じを受ける。
高級そうなビデオカメラが置いてあったり、テレビモニターなのだろうか。
壁一面に白いスクリーンがかかっていて映写機のような物が設置されているのもスタジオっぽい。
室内はエアコンが効いていてとても暖かく、おそらく下がポカポカと温かいのは床暖房まであるようだ。
それは、いいのだが……。
「ねえ、まじで脱ぐの?」
「当然だろ。さっさと脱いでよ、羽突きの続きをやりたいんだよ」
おっさんに急かされて、仕方なく着物の帯を緩めて、鮮やかな振り袖に長襦袢に、肌襦袢と脱いでいくカレン。
「あれ、下着付けてるの?」
「付けてるに決まってんでしょ! 着物の時に下着つけないとかっておっさんの妄想だからね!」
胸を押さえつけるタイプの和装用の白いブラジャーを付けている。
下は着物の上からラインが見えないように、シームレスの白いショーツを付けている。
振り袖の見栄えを良くするためとはいえ、この不格好な下着姿を見知らぬ男に見られるのは屈辱的だった。
「下着も脱いでよ」
「マジでいってんの?」
下着も辛いが、肌を見せるのはもっと辛い。
実は、カレンは男に肌を見せるのは初めてなのだ。
「マジでだよ。罰ゲームなんだから早くしてよ。羽子板で罰ゲームがあるのは常識だよ。日本の伝統行事なんだから、知らないわけがないよね」
知らないフリして、罰ゲームを逃れようなんてずるいなあと言われると、悔しくてカレンはもだえる。
「もちろん、それは知ってるけど……これでいいんだろ」
何故かカレンは、パンツから脱いでから、ブラを後から外して身を縮こまらせる。
どうやら胸と股を両方の手で隠したいようだ。
「おっぱいでかいね。こんなにでかいと思わなかった、何カップ?」
和装用のブラジャーは、ジッパーで胸を締め付けていたのだ。
その圧力から開放されて、スリムなのに不釣り合いなほど大きいバストがボインボインっと飛び出してくる。
「お、おっさん! 初対面の女の子に、そんなこと聞くぅぅ!?」
「これも罰ゲームなんだから常識でしょ。トップ何センチかも教えてね」
カレンは、舌打ちして答える。
「チッ……Fカップ。トップは90だし」
「ほんとは?」
「本当だよ! おっさんに嘘ついてもしょうがないじゃん!」
意外に鋭い。本当は88で、データ的な公称が90なのだ。
みんなそれくらいのサバは読んでいる。
「ま、そういうことでいいか。桃瀬カレンちゃん、柴咲高校の二年生の十六歳ね」
何やら、おっさんはポチポチとパソコンを弄っている。
名前なんて教えたっけ? 学校の名前まで?
そう思って驚いた。おっさんが持っていたのは、学生証だった。
ギャルのくせに妙なところで律儀なカレンは、きちんと外出の際の校則を守って荷物に写真付きの学生書を入れてしまっていたのだ。
個人情報丸わかりである。
「おいおっさん! 何、人の荷物漁ってんだ!」
「これも罰ゲームだよ。おっぱい見えてるけどいいの?」
「クッ!」
慌てて揺れる胸を隠して、顔を真っ赤にしてプルプルと震えている。
「こんなことで恥ずかしがるんだ。意外にすれてなくて可愛いね」
「うるせー!」
顔を真赤にして怒っているカレンを気にせずに、おっさんは首をひねって言う。
「なかなかエロくていいけど、顔が墨だらけだとちょっと萎えるなあ」
「おっさんが落書きしたんじゃねえか!」
「そこの洗面台で、顔洗ってきていいよ」
「チッ……」
悪態つきながらも顔は洗いたかったので、おっさんからカバンを奪い返して洗面台で顔の墨を洗ってくる。
カバンにクレンジングジェルが入っていてよかった。
メイクも落としてしまうしかない。
戻ってきたすっぴんのカレンを見て、おっさんは目を丸くする。
「おや、カレンちゃんって美少女だったんだな」
「はぁ? おっさん、今頃何言ってやがる!」
「いや、可愛くて驚いたよ。化粧なんかしなきゃいいのに」
「あーもう! おっさんのせいで、メイクも時間かけて整えた髪も無茶苦茶になってんのに……」
すっぴんのほうが可愛いとかいい出すこのおっさんのノリは大嫌いだ。
でも、もうこのおっさんには何を言っても無駄だと、カレンは舌打ちして睨みつけるだけで何も言わなくなった。
「よし、綺麗になったところでおっぱい見せてみようか」
「チッ!」
「罰ゲームだよ。おっぱいに墨を塗るから見せなくてどうするの。ほらちゃんと手を腰に当てて直立して動かないで、ちゃんとやろうよ」
「クソッ……」
さらに顔をりんごのようにまっかっかにして、腰に手を当てて直立するカレン。
「ハハッ、右の乳首は黒乳首だ。遊んでるから乳首黒くなるんだぞ」
「遊んでねえよ!」
憤怒の形相で、頭から湯気が出そうなほど怒っているカレン。
「カレンちゃんの左のおっぱいは、オメコマークだな。知ってるオメコマーク?」
「知ってるよ。おっさんが好きなスケベマークだろ」
おや知ってたか、さすがギャルはエロいなと笑うおっさん。
カレンの巨乳に筆で落書きすると、おっさんは羽子板を取った。
「よし、じゃあ勝負の続きをやるか」
「クソッ! もう絶対負けないからな。今度は、こっちがおっさんに罰ゲームをやってやんよ!」
もはや胸を隠すことすらせず、緊張の面持ちで勝負に挑むカレン。
もともと負けず嫌いなのだ。
今のカレンは一糸まとわぬ姿。
動きにくい振り袖さえ脱げば、中年のおっさんに若い自分が負けるかと勢い込む。
十六歳の若さにそぐわぬ巨乳をぶるんぶるんと回るように揺らして、おっさんが飛ばした羽根を打ち返そうとする。
だが、すぐにあらぬ方向に羽根を飛ばして負けてしまうカレン。
「おっし! またカレンちゃんの負けー!」
「なんだよこの羽子板! 飾りが邪魔で羽根が飛ばねえじゃねえか!」
もうカレンは悔しくて、口調も乱暴になってしまっている。
「その羽子板を選んだのはカレンちゃんでしょ。ゲームが始まってから文句いうなんておかしくない?」
「それはそうだけど、クソッ!」
何で自分はこんな羽子板を選んでしまったのかと、カレンは後悔する
もはや、インスタ映えどころじゃない真剣勝負なのに!
「さあ罰ゲームだよ。今度はなんて書こうかなあ」
「うう……」
そう言いながら、おっさんはカレンの背中にサラサラと筆を走らせる。
「うーむ」
「一体なんて書いたんだよ」
「自分で鏡に映して見てご覧よ」
姿見のところにいって背中を見て叫ぶ。
「誰が『ビッチ』だよ! ビッチって売春婦のことだろ。私は売りなんかやってない、ましてまだ経験も……」
カレンの人気を妬んだ学校の同級生が、「パパ活をやってるから金回りがいいんだ」なんて噂されたことがあって。
カレンは、ビッチって言葉に過剰反応して余計なことまで言ってしまう。
「へーマジで処女なの?」
「う、うるせー! 私に見合うだけのいい男が学校にいないのが悪い!」
「じゃ、しょうがないな。これでよし」
おっさんはカレンの背中に書かれた文字頭に処女を付けて、『処女ビッチ』とした。
「なにがよしなんだよ!」
「まあまあ、そんな怒んないでよ。罰ゲームだよ、罰ゲームだよ」
「クソッ、ほらさっさと続きやるぞ!」
顔を真っ赤にしたカレンは、完全に頭に血が上ってしまっている。
だから四十路のおっさん相手にいいようにあしらわれるのだ。
「よっし!」
「あぁあああああ!」
打ちにくい飾りがゴテゴテした羽子板を使って何度かラリーを続けたのは立派だったが、結局カレンは盛大に空振ってしまった。
明るい金色の長い髪も、でかいおっぱいも振り乱しての攻防に、おっさんは笑いをこらえている。
「罰ゲームは、罰ゲームだからな。ほら気をつけして動くなよ」
今度は、カレンの豊満なお尻に『雌』『豚』と書くおっさん。
「つ、次だ! 次こそは!」
ムキになれば、余計に動きが単調になる。
羽子板に慣れているおっさんにいいように遊ばれて、カレンはまた空振ってしまう。
「はーい、勝ち!」
「ちくしょぉおおおお!」
今度はお腹に『精液便所』を書くおっさん。
「なんだこれ、淫乱女みたいじゃねえか!」
「淫乱じゃないのかよ。あ、カレンちゃんはギャルなのに処女だっけ?」
おっさんにからかわれて涙目になるカレン。
「ど、どうせおっさんも経験ないんだろ。その年で童貞のくせにアタシに言えた義理かよ!」
「ハハッ、どうだかな」
こんな弱そうなおっさんに、大人の余裕を見せつけられるのが腹立つ。
「キー! ムカつく、その顔ムカつく! アタシは淫乱なんかじゃないし、そう言うの人に決めつけられるのが一番キライなんだよ!」
「ふーん、じゃあ次負けたら本当に淫乱にしてやるよ」
「負けるわけないだろ!」
ムキになって立ち向かってくるカレンだが、おっさんの羽子板はとても打ちやすいのでやっぱり負けてしまう。
「はい俺の勝ちー」
「くそー!」
「よしじゃあ次の罰ゲームな。大きく股を開け」
「えっ、股ってなんで」
「もう墨を塗れる場所がないだろ。罰ゲームなんだから、足を開けよ」
「く、くそぉ……」
勝負は勝負だ。
そう言われると、カレンは従わざるを得ない。
「あ、そうだ。手でこうオマンコを開け」
「オマ……なんてこと言うんだよ!」
羞恥に頬を赤らめるカレン。
隠語攻めに弱いとは、ギャルのくせに可愛いところがあるとおっさんは笑う。
「エッチになる墨汁をマンコに塗ってやるから、ほら罰ゲームなんだからちゃんとしろ」
エッチになる墨汁って、そんなものあるわけがない。
カレンはそう思いつつも、これは羽根突きに負けた罰ゲームだから従うしかない。
言われた通り、指でオマンコを開くカレン。
さっきから羞恥に晒されて刺激されていたせいか、カレンの中はしっとりと濡れていた。
墨汁といいつつ、透明の液体を筆に付けてチャプチャプとかき混ぜるおっさん。
「は、早くしろ。恥ずかしいんだよ!」
羞恥にカレンの足が震えている。
「ふーん、本当に処女なんだな」
まだ産毛しか生え揃ってない、ぴっちりと閉じている可愛らしい子供マンコを見てそう言う。
「ふざけんな! いいから一思いにやれよ」
嫌そうに目をぎゅっとつぶって、カレンは叫ぶ。
そう言う覚悟ならと、おじさんは野太い指でクリトリスを剥いて、そこに媚薬をたっぷりと塗りたくる。
「ひやぁ!」
一番敏感なところに、冷たい液体を塗られて、カレンは震え上がった。
「ほら、罰ゲームなんだから足を閉じるな」
「くそっ! くそっ! なんだこれキモい! キモい!」
媚薬を塗りたくられた途端、カレンのぴっちりと閉じた割れ目からよだれのようにダラダラと愛液が溢れだした。
それくらい、感じてしまっているのだ。
「さあ、勝負の続きをやろうか」
「こ、こんなので戦えるか!」
肩を震わせて、手で自分の身体を抱きしめて媚薬の衝動に震えるカレン。
「俺の知ったことじゃない、ほらまたお前の負け」
カレンが震えているのに、羽子板で羽根を飛ばして勝ちを宣言するおっさん。
「くっ、くぅ、これなんなんだ! 一体何を塗りやがった!」
「だからエッチになる墨汁だって、もうオナニーしたくてたまらないだろ」
「バカなことばっか言うなあ。あーしが、誰が知らないおっさんの前でオナニーなんてするわけないだろ!」
カレンは身悶えしながら、ゾクゾクする感覚に耐える。
「ほーん。じゃあ、オナニー禁止を罰ゲームにしようかな」
「どういうこと!」
「俺が許可を出すまで、オナニーを禁止するんだ」
「そんなの卑怯だし!」
「え、オナニーしないんじゃなかったの? それともオナニーしたくなった?」
「うう、したくなんかないけど……」
禁止さられれば余計にやりたくなって、カレンはモジモジしている。
「さて、いつまで我慢できるか見ものだな」
「見世物じゃないし!」
「今のお前は見世物なんだよ。ほら、あそこのカメラでお前の様子は全部撮影してるからな」
いつのまにか、ビデオカメラが回っている。
同時に映写もされているのか、壁にかけられているスクリーンいっぱいにカレンの痴態が映っているのだから、恥ずかしくてたまらなかった。
「嘘やだ! なんでぇ! こんなぁ! あううっ!」
カレンは、胸と股間を隠そうとする。
それが、敏感なところに触れてしまうことになってさらに我慢ができなくなる。
カレンの股間からは、だらだらと愛液が垂れて太ももまでびっしょりだ。
「ほら、オナニーしたいならビデオカメラの前で『私は性欲に負けた淫乱処女ビッチです、オナニーを見てください』とお願いしてやるんだな」
「だ、だれがぁ、そんなこと……はぁはぁ……ううう、嘘だろ……うぐ!」
絶対に嫌と思うのに、カレンの手は乳首や股間を擦っていた。
「おいおい、それはもうオナニーだろ」
「してない! してないから!」
「もうオナニーしてるって、ほらズルは良くない。お前は負けたんだから、ちゃんと言うとおりに罰を受けろ」
そう言われてしまっては、カレンも負けを認めざる得ない。
ビデオカメラの前で、悔しそうに敗北宣言をした。
「ちくしょう……あーしは性欲に負けた淫乱ビッチです! こう言えば、満足なんだろ」
性欲に負けたカレンは、自ら激しく自らの股をまさぐりクリトリスをしこりだしている。
もはや、完全にオナニーだった。
「処女が抜けてたが、まあすぐ処女でなくなるんだからいいか。ほら、足を開いてオナニーを見てくださいだろ」
おじさんが後ろからカレンのたわわな胸を揉んでくるが、手を振り払う余裕すらない。
カレンはもう限界だった。
「カレンのオナニー見てください! あはぁああああ!」
剥き出しの充血したクリトリスを指でひねりあげると、もう必死でオナニー!
その場で絶叫してぷしゅ! ぷしゅ! と潮まで噴き出した。
ガックリとその場に崩れ落ちそうになるが、後ろから身体をささえたおじさんがそれを許さない。
「ほれ、まだ終わりじゃないだろ」
「やめろ! もうイッてる! イッてるから……ああっ、乳首引っ張るな! やめろ、引っ張るなって! あーしの乳首伸びちゃう! 乳首伸びちゃうから! やだ、またぁああ、イグッ! イグッウウゥゥ……」
おっさんが一度イッて敏感になったカレンの両方の乳首を乱暴にグリグリつまみ上げて、ぎゅぎゅっと引っ張り上げるので、また絶頂に達してしまう。
カレンは、あまりのことに泣き出してしまった。
「よーし、じゃあこんどは俺のちんぽでオマンコ突きしようかな」
「なっ、なにをいって……」
普段の気の強いカレンも、二回も絶頂を味わって泣いてしまったあとで、ぐったりして抵抗できない。
後ろからグイグイッと突き上げてくるおっさんのちんぽを、敏感でびしょびしょになったオマンコの入り口がキュッキュと吸い取ろうとしてるほどだ。
「羽根突きに負けて、淫乱オナニーまでしちゃったんだから、もうオマンコ突きやるのは常識だろ」
「羽根突きの罰ゲームで、オマンコ突きをやるのは常識って……それは、そうだけど……待って、だって生で!」
部屋中、若いカレンのエッチな匂いで充満している。
おっさんの興奮は、否が応でも高まる。
「だーめ。もう挿れるから、もう辛抱たまらん」
ズボッとおっさんのちんぽがカレンの処女膜を貫く。
あっけないほどの、処女喪失。
「ああっ! ひぎぃ!」
「思ったより痛くないだろ。ガハハハッ、媚薬が効いてるから気持ちいいんじゃないか」
「気持ちいいけど! やだ、ほんと待って! おっさん避妊具つけてねえ!」
「はあ? 生中出しが常識に決まってんだろ! 日本の伝統だぞ」
「うそ! ヤダ! ダメッ! 妊娠だけはやばいって! いやぁあああ!」
カレンが止めるまもなく、ヌレヌレのオマンコを乱暴に突きまくったおじさんは、ためらいもなくドピュッ! ドピュ! とカレンに中出しする。
情け容赦ない、中出し。
「おお、気持ちよかった」
抱きすくめられたまま、おっさんにドクッドクッと、精液を膣奥に注ぎ込まれてカレンは目を白黒させる。
「あっ、ああ……うそ! やだぁ! 妊娠やだぁ!」
「ハハハッ、何焦ってんだよ。羽突きで妊娠するわけないだろ?」
「えっ、だって生で中でドピュって……」
「俺たちがやったのは、あくまで羽根突きだぞ。ただのゲームだ。それで妊娠するわけない、常識だろ?」
それを聞いて、カレンはその場に崩れ落ちる。
「そっか、よかったあ……」
オマンコからは、中出しされた精液と破瓜の証である血が混じり合ったピンク色の液体がフローリングの床にこぼれていた。
「ああ、でも作法通りにやってないから、羽根突きにならなくてセックスになっちゃって妊娠するかもな」
「えっ、ヤダ! おっさんの子供を妊娠とか冗談じゃねーし」
「じゃ、作法通りにもう一回おまんこ突きやっとくか」
「わかった! どうしたらいいんだ?」
おじさんは、ゴニョゴニョと長い耳打ちする。
そんなことをやらなければならないのかと、カレンは眉根を寄せる。
「嫌ならいいんだけど」
「やるだろ! やるに決まってんじゃん!」
万が一にも、名前も知らない今日初めて会ったばかりのおっさんの子を妊娠なんてことになったら困る。
そう言うおじさんの説明にもカレンは納得していた。
それにこれは羽根突きだから、セックスにはならないのだ。
初めてのセックスがこんな男が相手となっては、カレンの沽券にも関わる。
「じゃあ、カメラの前で宣言してもらおうか!」
「はーい! 『二千二十三年! 新春特別企画! 催眠羽子板』のコーナーだよ☆(ゝω・)vキャピ」
一体何なんだそれはと自分で決めポーズしながら思うけど、おっさんがそう言えと指示してるのだから仕方がない。
カレンは、将来的に読者モデルから役者へと華麗なる転身を果たす夢を持っているのでレッスンにも通っている。
だから声に張りがあるし、台本を覚えるのも得意だ。
隣でおっさんが、「よし次」と言っている。
「あーしは柴咲高校二年の現役女子高生、桃瀬カレン十六歳! バストサイズは九十……いや、正直に言うと八十八のFカップ! こんだけ大きけりゃ十分だろ!」
ちょっと怒りながら、カレンはカメラを睨みつけて言う。
「さっきおっさんに一万円で羽子板の勝負をしないかって連れてこられて、まんまと催眠術にかけられてハメ撮りセックスで処女失ったところでーす!」
現役女子高生なんて、JKは絶対言わないし嘘くさいアダルトビデオみたいだし、催眠っていうのは一体何だ。
催眠術なんてあるわけねーし、いちいち設定がAVくさくてたまらない。
しかし、おっさんがそう言えと指示しているのだからしかたがない。
「さっきは恥ずかしがったり嫌がったりしてたのに、やけに堂々としてるじゃねえか」
だって、これちゃんとやったらノーカンになるんしょ。
だったら恥ずかしがる必要ないではないかと、カレンは思う。
「どうせやんなきゃなんねーんだし、さっさと終わらせたほうが得っしょ。ほらほら、見てよあーしの処女膜破られてこんなに中出しされてんだから、ヤバすぎっしょ」
ビデオカメラの前でオマンコをくぱぁと開いて、おっさんの精子と愛液と処女の鮮血が入り混じった粘液をドロッと垂れ流して見せる。
妊娠しないとわかっていても、中におっさん精子入れてんの気持ち悪いし、出せるのはありがたい。
でも、またすぐ入れられちゃうんだろうなと思うとため息が出る。
「おしっこできる?」
「はいはい。どうせこんなビデオ、キモい変態のおっさんが見てるんでしょ。あーしのおしっこみて、新年初シコシコしたらいいんじゃない」
形の良い眉をしかめて、心底嫌そうな顔をしながら、おっさんが差し出したタライに向かってカレンはシャアアアアッと、おしっこを撒き散らす。
ちょっと床にこぼれちゃったりしたが、どうせこれもノーカンなんだから知ったこっちゃない。
「うわあ、盛大に撒き散らしたなあ。いつも、こんななのかよ」
「知らないし!」
おっさんが飲みかけのお茶を渡してきたので、ひったくるようにして飲む。
ちょうど喉が渇いてたし、もう間接キスとか気にしててもしかたがない。
どうせ全部ノーカンだし……。
本気でやってるわけじゃない。
だって、部屋でおまんこから精液垂れ流して、おしっこまでした映像が流出したらカレンのカリスマ読者モデルとしての地位は終わりだ。
あのさ、大丈夫なんでしょうねと、少し冷静になったカレンはおっさんに目配せする。
「ああ、大丈夫だよ。絶対孕ませてやっから」
「そっちじゃねーし!」
もうおっさんに言ってもしゃーないと諦める。
どうせ、全部ノーカンになるんだし、大丈夫だし。
「お茶と一緒にこれも飲んどけよ」
「なにこれ」
「排卵促進剤」
「なっ!」
「お前も俺の子を孕みたいんだろ。それとも、嫌なのか」
これは罠だ。
嫌がったら、ほんとのセックスになってしまう。
そうなったらノーカンにならずに終わりだ。
「そんなわけないし、よこせよ。飲んでやっから」
排卵促進剤を、お茶の残りと一緒にゴクリと飲み干す。
こんなに早く効いてくるものだろうか。
お腹が凄く熱くなってきた。
「それ、媚薬作用もあるからな。もっと気持ちよくなれるぞ」
「ハァハァ……なんか、キツイんだけど」
妙なハイテンションでこれまでやってきたが、カレンは先程処女を貫かれたばかりなのだ。
動くたびに股が痛くて、足を引きずってるし、立ってるのが辛い。
「大丈夫だ。ちゃんとベッドを用意してあるから」
おっさんはこういう準備だけは本当にいい。
さっと、ソファーベッドを倒してカレンを座らせる。
そして、ビデオカメラのセッティングも終えて言う。
「ここからは有料版だな」
おっさんの口ぶりだと、どうやらカレンの動画を売るつもりらしい。
もちろん、それもノーカンになるんだよね。
ならなきゃ困るぞと思いつつ、排卵促進剤のせいかお腹がどんどん熱くなってきて、だんだんカレンは不安になってきたのだった……。