※この作品はR-18です。

カラミざかり 紅い青春   作:みやびまい

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こちらはもし山岸高成と茜谷優里がもっと早くに出会い、同盟を組んでいたら?
というifストーリーとなります

作品独自の設定も出てきます。苦手な方はブラウザバック推奨


Vol.1前編 

 好きな人とエッチすることが出来た。

 だけどその好きな人は、他の男子ともしてた。

 なあ…これ…どういう事よ…?

 

「はあ…」

 

 日が落ち行く帰り道。男子高校生の山岸高成は1人とぼとぼと帰宅している最中である。

 彼には飯田里帆という名前の想い人がいる。黒いさらさらとしたロングヘアとおっとりとした性格の持ち主でいつも穏やかな表情を浮かべている清楚な見た目の女子高生だ。

 なんやかんやあってそんな里帆と「初体験」を経験した高成だったのだが、その直後高成の目の前で里帆は高成の友人である吉野貴史とも行為をした事で、高成は混乱のるつぼに落とされる事となった。

 

「女子ってさー…誰とでもやれんのか?いや、もしかして飯田だけ?」

「そんな良い子で天使な飯田がまさか…はあ…」

 

 肩を落としながら歩いていく高成の目の前にある光景が映し出される。

 

「ん?!!」

 

 どうやら道端に1人の女性がふらふら~と千鳥足で歩いているようだ。その女性の後ろ姿は里帆と瓜二つである。その女性の体調が良くないのは高成の目にも明らかだ。

 

(なんかやばい気がする!声かけた方がいいかも…!)

 

 意を決して高成はその女性に声をかけるとその女性は高成へ振り返る。顔つきも里帆とそっくりだが顔色は悪い。

 

「あのっ…!大丈夫ですか?!!」

 

 その女性はついにふらふらと力なく倒れてしまう。高成は抱きかかえるようにして受け止めるとゆっくりと歩道の脇へと座らせる。

 女性は気を失いかけているのかはあーっはあーっという力ない呼吸音だけが聞えてくる。

 

「まずい…救急車呼ばないと…!」

 

 高成はスマホを取り出して救急車を呼ぶと、数分後救急隊がかけつけて女性をストレッチャーに乗せた。

 彼女はとても聞き取りが出来る様子では無く高成の他に彼女の様子を知る人物もいなかったので、高成も救急車に乗って病院へ向かう事となった。ストレッチャーに乗せられている彼女の顔を見るとやはり里帆とそっくりに見える。

 

(この人、飯田の姉ちゃんか親戚か誰かかな?すんごい似てる…)

 

 病院に到着するとなにやら検査や処置が始まる。しばらくして点滴をつけた彼女はベッドに乗せられて入院病棟へと向かっていった。高成も彼女の荷物を持って向かう。

 そして入院病棟の入り口へと到着した時、ゆっくりと彼女の瞳が開いた。

 

「うん…?ここは…?」

「気づきましたか?良かった…!」

 

 起き上がろうとする彼女を看護師が制すると、そのまま入院病棟の個室へと向かった。そこで彼女は看護師から情報の聞き取りを受ける事となる。

 

「すみませんがお名前は…?」

「私ですか?茜谷 栞(しおり)って言います。…あ!これからマネージャーさんと夕食会なのにっ…!!スマホどこいったっけ…?」

 

 栞の声を聞いた高成はバッグを彼女に渡す。栞はありがとうと言って自身のバッグを受け取ると慌ててスマホを取り出しながら看護師に先にスマホで電話してもいいかと聞く。

 どうやらマネージャーと電話しているようだ。その後マネージャーも栞のいる病院へと向かうようだった。

 栞は看護師から住所や電話番号などの個人情報を書く書類の挟まったバインダーを受け取ると、ゆっくりではあるが書きだして看護師へと渡す。

 高成は近くの椅子に座って彼女の様子を見守っていた。

 

(さっきよりかは大丈夫そうかな?)

 

 栞はその後医師の診察を受け、2.3日は入院する事となった。原因はどうやらかなりの貧血のようで栞曰く元々貧血気味だったのが仕事が忙しく中々病院へ行けなかったとの事だった。

 

(マネージャーって言ってたな。モデルとかかな?)

 

 高成がそう考えていると、栞から話しかけられる。

 

「さっきはありがとうございました。ほんと助かりました…」

「いえいえ!良かったです…」

「…失礼します!栞ちゃん!大丈夫なの?!」

 

 そこへ眼鏡をかけた中年の男性がやってきた。どうやら彼が栞のマネージャーのようだ。

 

「すみません。栞ちゃんを助けてくださりありがとうございます。」

「いえいえ…!」

「これ良かったら受け取ってください。また後日栞ちゃんと共にお礼の品をお送りさせていただきます。」

 

 栞のマネージャーはそう言って高成に栞の写っている写真を3枚渡した。それぞれ水着姿に今どきの私服姿の栞が映されている。

 

(すごい可愛い…あれ、でもなんかどっかで見たような…)

「ありがとうございます…あの、茜谷さん?は普段モデルか何かをやられているんですか?」

「あー…えーと…」

 

 栞のマネージャーは高成の服を見ながら言葉を濁すも栞ははっきりと答える。

 

「AV女優やってます。」

 

 

ーーーーー

 

 

 その頃。あるアパートにて…

 

「ああっ…んっ…」

「挿入れるぞ、優里…」

「うんっ…」

 

 2人の男女がまさに今結ばれようとしていた。夕日が差し込み暗さと明るさが入り混じった、少し散らかった部屋のベッドの上に2人の若いカップルがいた。ベッドの下には2人の下着にTシャツとズボン、赤いセーラー服にグレーのプリーツスカートが乱雑に置かれている。

 ずぽっと若い男のいきりたったそれが若い女のそれにねじりこまれると辺りから血がにじむ。

 

 この初めてのセックスを経験する事になった若い女の名前は茜谷優里と言う。高成と同い年である女子高生で、脱ぎ捨てられた赤いセーラー服とグレーのプリーツスカートも彼女のものである。

 彼女はクラスでは成績優秀で学級委員長も務める優等生であるが、そんな彼女にもつい先日恋人ができた。それが若い男である。

 

「やっ…痛いっ…」

「我慢しとけ。皆痛いもんだ。」

「んんっ…」

「動くぞ」

 

 優里の彼氏はそう言って腰を動かし始める。優里はぎゅっと彼の背中に腕を回す

 

(…思ったより痛いな…)

 

 こうして優里の初体験が幕を閉じた。

 

(これがエッチ…?何かこれじゃないような気がする…)

 

「はあ…はあ…」

 

 優里が息を切らしていると、優里の彼氏は2回戦をしようとしてきた。

 

「ほら、こっち」

「え、うん…」

 

 優里の彼氏が優里の手を引っ張った時。優里のスマホが鳴る。

 

「ごめん…!電話出るね…!」

 

 電話の主は優里の姉…栞であった。彼女は道端で倒れ病院で運ばれた事や、入院治療が必要になった事を話す。

 

「ごめん…入院する事になって」

「え…大丈夫なの?」

「さっき両親にも電話したけど繋がらなくて…で、優里に電話したの」

「分かった…!一旦切るね!」

 

 優里は慌てて電話を切ると、優里の彼氏に続きはまた今度でいいかな?と尋ねた。彼は了承した後早く姉の元へ行くよう優里に促した。優里は急いで着替えると家を飛び出して、途中自宅へと戻り栞の下着や荷物をまとめると彼女のいる病院へと向かった。

 病院の受付で栞のいる病棟へと向かいナースステーションで看護師に言われるままに面会手続きを済ませると早足で栞のいる部屋へ入る。

 

「失礼しますっ…大丈夫?!」

 

 部屋の中には栞と看護師、そして高成がいた。優里は看護師と栞と短く会話を交わすと高成に対しどちら様?と聞いた。

 

「あ…栞さんが道端で倒れているの見つけて…それで救急車を…」

「そうだったんですか…ありがとうございました。感謝します。」

「えーと…もしかして姉妹、ですか?」

 

 高成がそう2人に尋ねるとそうです。と返事が返ってきた。そのタイミングで一旦退出していた栞のマネージャーが部屋へ戻って来る。

 

「お待たせ…スケジュールだけど明日の撮影は延期になったからまた詳しい事はラインで送るね」

 

 栞が頷くとマネージャーが優里の方へ向いた。

 

「えっと…ご家族さんかな?」

「はい。そうです。」

「そうですか。すみませんが今回のこの事は内密にお願いしますね。昨今は色々ありますし」

「分かりました。」

「では君のお名前は…」

 

 栞のマネージャーが高成の名前と住所を尋ねる。後日お手紙とお礼の菓子折りを送らさせて頂きます。と言って彼はこの場を去っていった。

 看護師もまた来ますと言って部屋から出ていくと部屋の中は3人に数が減った。優里は高成の制服をじっと見つめた後こう質問する。

 

「…高校生?」

「はい。そうですけど…」

「何年生で…?」

「2年です」

 

 高成がそう言うと優里はほんと?!と嬉しそうに言った。

 

「私と一緒だ…!あのさ、タメ口で話してもいい?」

「うん。いいよ。こっちもいい?」

「やった!勿論!」

 

 その後栞の体調も一旦少し落ち着いた所で優里と栞と高成は互いに自己紹介をしていく。

 栞は普段花野しおりと言う名前で活動をしていたのだった。その名前を聞いて高成はやっぱり!と心の中で叫ぶ。なぜなら貴史が数日前に高成に紹介した「飯田里帆と似ているAV女優」だったからである。

 

(なんか見た事あるな、と思ったらやっぱり…)

 

 そして優里もまた里帆とよく似た容姿を持っていた。あちらと比べて目つきははっきりとしており髪も鎖骨につくほどの長さと里帆よりも短い。そして紅いセーラー服とグレーのプリーツスカートに右側頭部はヘアピンをつけている。

 

(2人とも飯田に似てる…)

(いやばか、他人なのに…)

 

 優里はライン交換をしようと高成に持ちかけ、高成は優里とラインを交換したのだった。栞はベッドの上で2人のやり取りをどこか楽しそうに眺めていたのだった。

 

「じゃあ、よろしくね。山岸くん!」

「こちらこそよろしく!」

 

 病室を出る高成は脳内でまさかこんな出会いがあるとは…と感じていた。里帆と初体験を終えて、里帆は自身の目の前で貴史ともして、そして栞を助け優里とも知り合う…この流れが全て1日で終わった事に対し中々実感が湧いてこなかった。

 自宅へ戻り母親に事の顛末を話すと高成らしいわね、と笑って人助けをした息子をほめたたえてくれた。

 

(茜谷さん、か…また会って話したいな)

 

 その後病院では夕食の時間が来たため優里は帰宅する事になった。病室で栞と両親と話すと両親と共に帰宅したのだった。

 自宅で夕食を済ませてシャワーを浴びる。パンツには血が少しついていた。まだひりひりと痛みが残っている。

 

(痛いな…)

 

 シャワーを浴び終え着替えて自室で課題と向き合うも痛みは引かない。

 

(集中できない…)

 

 スマホを持ってベッドで横になったタイミングでテレビ電話が鳴る。優里の同級生、永瀬雄也からだった。どうやら課題の内容を教えてほしいというものだった。

 優里はベッドから起き上がり机に再度座ると、雄也の質問に答えていく。

 

「ここは…こうで…」

「ここは?」

「多分これじゃない?」

「さんきゅー…なあ茜谷さあ、ちょっと良い?」

「え、何?」

 

 優里の異変を察知した雄也は優里の顔色が変な気がする、と呟いた。優里はそんな事無いよと取り繕うも破瓜と性交時の痛みは雄也には隠せなかったようだ。

 

「お前さ、今日帰り彼氏が迎え来てたよな?」

「え…まあ、うん」

「やったの?」

 

 真実を捉えたその質問を受けた優里は観念したのか、包み隠さず雄也に全て漏らしてしまった。優里の初体験を聞いた雄也はしばらく間を置いてこう切り出す。

 

「…なんか茜谷変わったよな」

「え?」

「下ネタ苦手って言ってたけど、やっぱするんだなって」

「ま、まあね…断り切れなかったって言うか…」

 

 優里がはは…と誰にでも分かるような作り笑いをしてその場の空気をごまかそうとするも、雄也には全てお見通しだった。

 

「無理すんなよ。嫌なら断っとけ」

「うん…」

「まあ大丈夫だとは思うけど、無理やりするようなやつだったら別れた方が良いと思うよ」

「分かった…」

 

 優里は自身の課題を片付けながらも、雄也の質問に答え続けた。電話し終えると残った課題をなんとか終わらせベッドへ倒れ込むようにして横になる。

 

「はあ…これが初めてなのかあ…」

 

 優里の表情は冴えない。初めての経験に対し、自身が想像していた事とどこか違うようなもやもやした感情を抱えていた。

 

(もっと恋人っぽいイチャイチャした雰囲気になるかと思ってたけど、なーんかあっさりしてたな…)

(でもあの人口数少ないタイプだしそこまで求めるのも酷か…)

 

 彼氏をかばう気持ちと「これじゃない」という感情が湧き出る。優里は痛みとその2つの感情を抱えたまま就寝するのだった。

 

(もやもやするなあ…てか、まだ痛い…)

 

 翌日。高成は登校すると下駄箱で貴史に遭遇した。

 

「こーせーおっすー」

「貴史…おはよ」

「昨日は楽しかったな。またやろうぜ」

「は?」 

 

 貴史は今日もまた昨日と同じように4人でやらないかと尋ねてきた。勿論彼のその表情には悪気は一切無いのだが、高成は複雑そうに貴史を見る。するとそのタイミングで声がデカい…と昨日あの場にいた同級生の女子である新山智乃が飯田里帆を連れてやってきた。

 

「ほんとアンタデリカシーなさすぎて引くわ…」

「なっ…言い出しっぺはお前だろ?!」

「いやいやこの場で言う~?」

 

 智乃と貴史が言い争いをしてる様子をちらっと見ながら、里帆は高成におはようと挨拶をした。

 

「お、おはよう…」

「今日も1日頑張ろうね」

 

 里帆はそう微笑むと、よかったら連絡先交換する?と高成に提案してきた。

 

「お、おう…」

 

 そこへ話を聞きつけたのか先ほどまで言い争いをしていた貴史と智乃もやってきて4人はラインを交換する。交換後里帆は早速高成へ可愛らしいキャラクターが描かれたスタンプを送ってきたのだった。

 

『よろしくお願いします!』

(可愛いな…)

 

 そんな里帆のアイコンも可愛らしいうさぎのイラストだった。

 

「これ自分で描いたの?」

「うん。」

「可愛い…」

 

 里帆はそう言って智乃と教室へ向かっていく。高成はその背中を眺めていたのだった。

 放課後。4人は貴史の机に集まり、今日はどこでやるのかという話になる。高成はまたか…と内心思いながら話に加わっていた。

 

「アンタの家で良くない?」

「えー…」

「どしたの?もしかして親に怒られた感じ?」

 

 智乃に聞かれると貴史は切り出しにくそうにこう答える。

 

「昨日あの後ベッドに血が付いててさ…鼻血って言い訳したら親が心配するもんだから」

「そっか。じゃあ違う所でしよっか。…山岸の家は?」

「別に構わないけど…」

「はい決まり。山岸の家ね。」

 

 結果、4人は高成の家へ向かう事になった。高成はふうと息を吐くと面倒そうな表情を浮かべる。そんな高成を里帆はじっと見ていたのだった。

 その頃。優里は荷物を片付けながら窓越しに外の景色を見ていると優里の彼氏が迎えに来ているのを見つける。

 

「茜谷ーこれ教えてー」

「ごめん!明日でもいい?」

「いいけど…もしかして彼氏?!!」

 

 その言葉に一瞬でクラス中がざわめいた。

 

「え、茜谷さん彼氏いるんだ…」

「あ、なんか外誰かいるね。もしかしてあの人?」

「ちょっ…!!」

 

 優里が困惑すると雄也が声を挙げた。

 

「まあまあ一旦落ち着こう。こういうのは黙って見守るもんじゃね?」

 

 雄也の言葉にクラスメイト達は確かにそうだ…永瀬の言う通りかも…と頷き、ようやくその場は静かになった。優里は雄也に会釈すると急いで教室を出ていった。

 

「…」

 

 その様子を1人の女子生徒が見ていたのだった。

 高成ら一行は高成の自宅へ行く前に近くのドラッグストアへ向かっていた。お菓子や避妊具を買う為だ。目的地へとたどり着くとそこには先に同じクラスの男子が3人やってきており、4人を見るや否やどうしたお前らと騒ぎ出す。

 

「お前らひょっとして付き合ってんの?」

 

 高成がはあ?ちげーよと返すと里帆はすっと高成の背中に身を隠す。智乃がそれを見て察すると高成と貴史にさっさといこ。と呼びかけた。

 高成が一瞬クラスの男子が持っているレジ袋に視線を落とすと中には避妊具が数箱入っていた。

 

(あいつらもやんのか…)

 

 店内へ入りお目当てのものを購入すると智乃に言われるままに店を出ていこうとしたその時。

 

(茜谷さん…?)

 

 優里とその彼氏がドラッグストアに入店してきた。優里は床に視線を落としており、高成からは気づいていないように見えた。優里の彼氏は貴史が購入したものと同じメーカーの避妊具を購入すると、優里に早く行くぞと言って駐車場へ去っていった。

 

(彼氏いたんだ…でもちょっと見た目怖そう…大丈夫かな)

 

 まさにザ・不良といった見た目である優里の彼氏。優里の持つ雰囲気とはあまりにもかけ離れた容姿をした優里の彼氏に、高成は心配の感情を抱いたのであった。

 

「山岸どうしたの?ほら行くよ?」

「う、うん」

 

 智乃に促されて店を出た高成はそのまま自宅へと向かっていった。この日両親はそれぞれ仕事や用事で出かけており今は不在である。

 

(今日いなくて良かった…)

 

 高成は自室に3人をどうぞ、と入れる。

 

「へーこんな感じなんか」

「シックな感じだね」

 

 里帆は部屋の中をきょろきょろと物珍しそうに見渡していた。高成は3人へ麦茶を用意すると受け取った貴史は一気に飲み干す。そして早速昨日の続きをやろうぜと言いながらこんな事も言い出した。

 

「あと今日はさ、じゃんけんで組み分けしねえか?」

「え?」  

 

 高成がそう返した瞬間智乃は反対ー!と嫌そうに声を挙げる。

 

「とりま吉野はうちとしよ」

「は?えっ…ちょ、」

 

 貴史が言い終わらないうちに智乃は貴史の唇を奪って押し倒した。2人が床でもつれあうように抱き合っていると、里帆も高成の元へ顔を赤らめながら近づいてくる

 

「しよっか。」

 

 里帆は高成をベッドの上で仰向けにさせると、その上からぎゅっと抱き付いてキスをしてきた。彼女の体温が直に高成の身体へと伝わってくるが、どこか芯が冷え切っているように高成は感じ取っていた。これは昨日里帆と初めてした時も同じだった。

 

(…もしかして冷え性なのか?)

 

 しかしそんな事はお構いなしと言わんばかりに里帆は高成の股間をまさぐってきた。ベッドの下の床では、智乃が制服とブラジャーを脱いでパンツだけの姿になっている。

 彼女の胸は里帆のものよりも大きく、黒いレースのついたブラジャーとパンツは女子高生とは思えない程大人っぽく艶めいた印象を与えている。智乃はその胸で貴史の硬くなったそれを挟み込んでパイズリをし始めた。

 

「あっ…やばっ…」

「へへっ…w」

 

 気持ちいいのか時折声を漏らす貴史とは対照的に智乃は余裕そうな笑みを浮かべている。更に智乃はパイズリだけでは足りないと見たのか貴史のそれを咥えながらしごき始めた。

 じゅぽじゅぽっと淫らな音が部屋中に響き渡る。右手で激しくしごきながら貴史のそれを舌でごりごりと舐め上げながら吸い上げるフェラテクニックを智乃は見せる。昨日処女を捨てたばかりの彼女が一体そんなものどこで身につけたのか…と疑いたくはなるそのテクニックはもはやAV女優のそれと遜色ないレベルである。

 

「うあっ…やばいっ…出るっ」

 

 貴史はあっという間に智乃の口の中へ出してしまった。智乃は精液交じりの唾液を自身の掌の上に吐き出すとどう?と言わんばかりに貴史にその液体を見せつける。

 

「…っ」

 

 智乃は笑みを浮かべながらその液体を自身の口に入れて飲み干した。智乃の喉の動きに貴史は思わずごくりとつばを飲み込んだ。

 

「ほら。まだこれで終わりじゃねーし」

「おう…」

 

 智乃は貴史のシャツとズボンを脱がせて行為を続けていくのだった。

 そして里帆は高成のものをしごきながら彼のシャツをめくり上げて乳首を舐めていた。舌の先端を器用に使って舐め上げる姿は智乃とはまた違った印象だ。

 

「っ…」

 

 高成はまだ弱いながらも快楽を感じていた。ふと里帆の頭を撫でると里帆の身体がびくっと跳ね上がる。

 

(?)

 

 その動きは快感とはまた別のようだと高成は感じた。試しにもう2回3回程里帆の頭を撫でるとやはり似たような反応が返って来る。

 

(慣れてないのかな)

 

 高成が手を離す。里帆はうつむいたまま移動すると高成のそれを舐め始めた。先ほどと同じように舌の先端を使ってちろちろと舐める。

 

「んっ…」

 

 高成がちらっとベッド下を見ると、智乃は貴史の上に乗って激しく腰を動かしていた。

 

(…)

 

「はあっ…あっ…」

 

 すると里帆が体制を変えて高成の顔へ自身のお尻を向ける。

 

「そこ…舐めて…」

(シックスナインかな?)

 

 里帆に言われたように濡れたそこを舐めるとどこかしょっぱい味が高成の舌に伝わってくる。

 

「んっ…」

 

 高成が舌を這わせるたびに里帆は身体を震わせていた。そしてしばらく経つと里帆は身体の向きを変えて高成と向き合う。

 

「もう…いいよ…」

「分かった」 

 

 高成は里帆を押し倒すと避妊具をつけて里帆の中へと挿入した。その瞬間里帆はああっ…と喘ぐ。

 

「はあっ…」

「ん…」

「動いて…激しくして、いいから…」

 

 その言葉に高成は一瞬迷いを見せる。しかし想い人である里帆の頼みなので断れる訳もない。そのまま高成は里帆を激しく抱いていくのであった。

 何も疑う事なく快楽に溺れていく里帆とは対照的に高成は少し複雑な心象も抱いていた。

 

(なんか…なんだろ、この気持ち。飯田は…ビッチなのか?)

 

 霧のようになんとも晴れ晴れとしないもやもやする感情を高成は1人感じ取っていたのだった。

 その頃、優里もまた彼氏に激しく抱かれていた。痛みを感じながらも優里は我慢していると、玄関からピンポーンと音がする。

 

「ちょっと出るわ」

「…うん。」

 

 優里の彼氏は上半身裸のまま玄関のドアを開けるとそこには彼の男友達がいた。金髪にピアスだらけの耳と屈強な体つきは優里の彼氏同様どこか不良のイメージが漂う。

 

「おっすー。」

「…何しに来た?」

「ちょっと匿って♡」

「は?」

 

 聞けば女性関係のトラブルに巻き込まれて追いかけられてる途中なのでここでしばらく匿ってほしいという事だった。優里の彼氏はしゃーねーなと半ば面倒そうに呟きながらも、試したい事があったしいっかと言って部屋に通した。

 

「おじゃましまーす!あれ、もしかして彼女とやってた?」

 

 そこには全裸姿の優里がいる。

 

(やだ…なんか怖い…)

 

 そんな優里の反応は彼氏やその友人からすればどこ吹く風、優里の彼氏は彼女にこう言った。

 

「今から3Pしねえ?」

「え…」

(3P?!いやそんないきなり無理だって!)

「っ…!!」

 

 優里は拒否しようとするが優里の彼氏は腕を掴んで自身へ優里を近づけると、それを優里の口の中に押し込んだ。

 

「んっ…」

 

 その光景を見た彼氏の友人がにやにやしながら優里に近づく。

 

「へー「今度の」彼女清楚系なんだー以外ー。もしかしてこれおれもやっていい流れ?」

(今度の、彼女…?)

 

 優里は彼氏が今まで女性経験があった事をここで初めて知ったのだった。年上だしそれくらいはあるよな…と思いつつもちりちりとしたショックを感じていた。

 優里の事など構う事も無く彼氏は避妊具の入った箱を指さしてこう言った。

 

「いいよ。ゴムあるからそれ使え。もうやってるから入ると思う」

「んむっ?!!」

「さんきゅー!じゃ頂きまーす…うわっ締め付けやっばっ…」

(ちょっ!!痛いって!!)

 

 半ば強引に押し込まれると当然痛いものは痛い。優里はその痛みに思わず歯を立ててしまうと彼氏に怒られてしまう。

 

「おい!痛いって!」

「ふぉ…ふぉめん…」

「あれ、あんま濡れてなくね?てかなんか血出てるけど…もしかして今日やったばっかとか?」

 

 優里の彼氏の友人はそう言うと、優里の彼氏は昨日初めてやったと返す。

 

「そっかあ。じゃあ優しくするわ。」

 

 といっても昨日処女を卒業したばかりで3Pである。優里からすれば慣れてない上に元来こういうジャンルは苦手なだけあって、快楽よりも未経験に対する怖さの気持ちの方が強く感じていた。

 しかし2人は激しく腰を打ち付けていく。

 

「わっすげえっ…」

「んっ…」 

 

 …こうして優里も高成も互いにもやもやした感情を抱えたまま、相手と絡み合う日が続いた。

 ある時は体育館倉庫。ある時は彼氏の家、またある時は車の中や情報処理室で流されるままに。だが決して心の中のもやもやが晴れる事は無かった。

 

(私は夢見過ぎなのかな…)

(でも、こういうのは違う…飯田への感情が…整理つかない)

 

 高成と優里。互いにもやもやを抱えたままオープンキャンパスの日を迎える事になった。

 こうして迎えたオープンキャンパスの日。高成は会場へ到着すると優里と再会した。

 

「山岸くん!久しぶり!」

「茜谷さん!」

 

 そこへ栞もやって来る。実はこのオープンキャンパスの前日にお礼の品が高成の元へ届いていた。その品について会話をすると、いよいよ学内へ進む事になる。

 

「わあ…」

「広い…」

 

 栞が案内してくれているので迷子の心配は無いものの、やはり校内の広さや内装には圧倒されるものがあった。

 その後は体験学習や教授との面談を行った後、昼ご飯の時間に入る。ビュッフェ形式での食事とサークル見学を楽しむと時間はあっという間に過ぎていった。

 

「いや~すごかった…」

「また来月と再来月もあるみたいなんだっけ?」

 

 高成がそう呟くと栞はそうだと返した。どうやら来月からAO入試も始まるようだ。

 

(勉強頑張らないと…)

 

 高成は改めて気合いを入れ直す。気づけば時計はもう15時頃を示していた。

 

「山岸くんはこの後どうするの?」

「ああ…家に帰ろうかなって」

「その…良かったらさ、一緒に帰る?色々話したいし。」 

 

 優里が思いもかけず高成にそう提案してきた。高成は勿論行きたいと思ったが脳裏にはあの記憶が思い起こされる。

 

(あれ、彼氏だよな…?)

 

 高成は自分はいいがそっちは大丈夫なのか?と聞くと、優里は笑って大丈夫と反応した。

 

(大丈夫なのかな…)

「じゃあお言葉に甘えて…」

「決まり!じゃあ帰るね!」

 

 優里と高成は栞に挨拶して大学を出ていった。外は夏日がじりじりと2人を照らしつける。しばらく歩いて駅まで到着した時、優里のスマホが鳴った。

 

「もしもしー…ああ空いてるけど。ちょっと待って」

 

 優里は一旦スマホを耳から離すと、高成にこの後空いてる?と聞いてきた。

 

「ああ、空いてるけど…」

「同級生が勉強会しないって。男子と女子何人か来るみたいだって。大丈夫?」

「じゃあ…行こうかな」

 

 高成の意思を聞いた優里はスマホを耳元へ近づけて通話を再開した。通話が終わるとスマホを自身のスカートのポケットに入れた。

 

「山岸くんてさ、勉強熱心なタイプ?」

「いや…むしろある程度追い込まれないとやる気は出ない方かも。計画通りにはやってるんだけど、メンタル?モチベーションが…」

「ああ分かる!モチベ大事だよねえ…うんうん。」

 

 高成が茜谷さんは?と聞くと、やはり優里も精神面で苦労している部分があるようだ。彼女は成績こそ優秀だが、その成績をずっと維持する事が逆に自分にとってプレッシャーを感じたりモチベーションの維持管理等で苦労している事だと語った。

 

「そっかあ…なるほどね…プレッシャー…分かる。」

「なんか理想と現実の剥離っていうの?そういうのがちょっと怖いような気はするかな」

「ああ…」

 

 その言葉に高成は里帆を思い起こしていた。

 

「おれも滅茶苦茶辛いな、それは…」

「…!そっか」

 

 優里が頷くと丁度電車がやって来る。2人は電車に乗って目的地へと向かう。電車を降りて少し歩くとある薄い黄色の外壁を持つ一軒家が見えた。

 

「着いたよ。」

 

 優里はそのままドアを開けて玄関に入る。高成は一瞬大丈夫なのかと疑うも、優里を見て小声で「おじゃましまーす」と呟いて入っていった。

 優里は構わず階段を上って突き辺りの廊下にある部屋のドアに近づいた時だった。

 

「あっ…んっ…」

 

 漏れてくるのは女性の喘ぎ声だ。優里は思わず躊躇してしまう。

 

「…」

「…大丈夫?代わりに開けようか?」

 

 高成がそう言うと優里はお願い…と呟いた。高成がノックして失礼しまーすと言いながらドアを開けると中には裸の男女がいた。

 男の上に女がまたがっている。やはり行為中だったようだ。優里は男女を見てああー…と気まずそうに声をかける

 

「塚ちゃん、永瀬…お待たせー…」

「あかねちん来たー。ごめーん我慢できずにやってたとこ。その人は、あかねちんが連れてくるって言ってた子?」

「そう。…着替えてきたら?」

 

 優里はそっけなく言うと床に座ってバッグから教科書を取り出す。その視線はテーブルにしか向けられていなかった。裸の男女ー永瀬雄也と塚原日向は優里に言われた通りに静かに服を着る。

 

「えーと…」

「初めまして、山岸高成です。」

「どうぞ座って。…お茶持ってくるわ」

「私はあるから大丈夫」

 

 優里は教科書への目線を変える事なくそう言った。雄也がお茶を持ってくるとようやく勉強会が始まる。

 

「これはどうすればいいんだっけ」

「これは…ここの公式でしょ…ここをこうして…」

 

優里の説明は分かりやすかった。その後も優里は3人にアドバイスをしていく。

 

「おお~すごい!」

「いえいえ」

 

 そんな優里を高成は尊敬のまなざしで見つめていた。

 

(すごいなあ…)

 

 課題が3分の2程終了した地点。高成は英語の参考書とノートを開いていると、ふと太ももに何かが当たった感覚を覚えた。

 

(?)

 

 一瞬の事かと高成はそのまま参考書を開いて優里に質問しようとするとまた何かが太ももの付け根付近に当たる。どうやら日向の手のようだ。

 

(…?なんだ?)

 

 日向ははにかんだままだ。高成へ視線を向けてすらいない。しかしその手は高成の太ももの付け根を撫でるように触れている。

 

(…?!)

 

 すると股間へ日向の手が伸びた。それをなぞるように扱き出す

 

(っ…!)

 その時高成は日向と目線があった。日向はにやっと微笑むと立ち上がってトイレに行きたいと言い出した。

 

「え?ああ…」

 

 そんな日向を見て優里も自分もトイレに行こうかなと言ってその場から立ち上がる。2人は雄也からトイレの位置を聞いて部屋を出ようとすると、日向はあっこれ!と棚にある何かを指さして立ち止まった。

 

「これあれじゃん!エロいやつ!」

「っておい!勝手にさわんなって…!」

 

 慌てて雄也が制するも日向はまるで聞く耳持たず。その紅白模様の何かを手に取って優里にこれみよがしに見せつける。

 

「塚ちゃんそれなに?」

「あかねちん知らないの?男子がシコるやつだよ。オナニー。分かる?」

「へぇっ?!!」

 

 日向の口から繰り出された言葉に優里は思わず顔を赤くしながら震え出した。

 

「あっ…」

「おい…もういいだろって…」

「え~…あっ良い事思いついた・永瀬と…山岸くんだっけ?これ使ってみてよ」

 

 日向からの突然の提案。当然ながら雄也は激しくうろたえながら拒否し、高成も半ば引いた眼で日向を見ていた。

 

(ここでシコれとか…バカじゃん…!もしかしてこの女子…所謂変態ってやつ?)

 

 雄也はふざけるな、するわけないだろと大きな声で叫ぶと日向はまあまあ落ち着いてとなだめるが優里は日向に向けてそう言うのはやめてと半ば怒りを含んだ語気で言った。

 

「んん~…じゃあ仕方ないなあ…一旦ベッドで休憩しようかな」

 

 日向はベッドに視線を移し移動していった。雄也が止めようとするも彼女はさっさと布団をめくってその中へと入る。

 

 そして更に驚きの言葉を繰り出した。

 

「2人とも…ベッド来なよ」

「はあっ?!!」

 

 日向は高成と雄也にそう誘う。

 

(何よこれ…意味わからん)

 

 優里の胸の内は日向に対する怒りとこの場の雰囲気への戸惑いにあふれていた。そんな優里はもう一度日向を説得する。

 

「ねえもうそろそろ勉強会に戻ろうよ。時間無いよ。」

「えー…もう疲れた。それより2人とも来ないの?」

 

 高成と雄也はどうする?とでも言うように互いに目を合わせる。

 

(どうする…?)

 

 すると日向が高成に近づいて手を取った。

 

「じゃあ永瀬はさっきしたし、次は山岸くんとしたいなー」

「はっはあ?!!」

 

 そのまま日向は優里の目の前でベッドへ高成を連れていこうとした。

 

(なっ…!)

(どうして止めようか…!えーと…うーん…そうだ!)

「…っ山岸くん!」 

 

 優里は高成の名前を呼び、彼の腕を掴んだ。

 

「…ほらっ!いこっ…!」

「え?う、うん…!」

「塚ちゃん永瀬、ごめん!この後皆で約束があるから…!」

「?お、おう…」

 

 優里と高成は急いで片付けるとその場から立ち去ったのだった。

 バタバタっと2人がその場を立ち去ると部屋には雄也と日向だけが残される。雄也は立ったまま動かないでいた。

 

「あー…行ったか…」

 

 その口調はどこか寂しかった。傍で聞いていた日向も黙ったままだ。しばらくすると雄也は重い口を開ける。

 

「そういやお前さ、彼氏いたんじゃなかったの?」

「ああ、もうとっくに別れてるよ…束縛酷いしエッチ下手くそだったし」

 

 日向はめんどくさそうに答えるとベッドから出てきた。

 

「…続きする?」

「…いいけど」

 

 日向は雄也の首に腕を回して抱き付く。雄也の表情は少しこわばっていた。

 …その頃高成と優里は外で歩いていた。

 

「茜谷さん…」

「ああ、そのぉ…大丈夫?」

 

 高成は大丈夫だと答えると優里にも同じように問うた。

 

「まあ、…大丈夫。」

(…ほんとはそんな事ないんだけど、強がっちゃった…)

 

 そんな優里に高成はもう一度大丈夫か?と尋ねる。

 

「震えてない?」

(え?)

 

 優里の身体はほんのわずかながら震えていた。高成は心配そうに優里を案じている。

 

「さっきも怒ってたからさ、そのー…大丈夫かなって。おれもすごく驚いたけど」

「…」

 

 高成と優里の間に沈黙が流れる。しかし互いの脳内では想いが複雑に絡まり合っていた。

 

(うーん…茜谷さん大丈夫かな…)

(山岸くん…)

「あのさっ…!」

 

 優里が話しかけた

 

「近くにマックあるんだけどよってかない?もう少し話したい」

「うん…!」

(でも待てよ、そういやこの間男の人と…)

 

 高成はその…と言い出しづらそうに切り出した

 

「あのさ…こないだ茜谷さん男の人と一緒にいるの見てさ」

「おれと一緒に行っても大丈夫かなって」

「ああ…」

 

 優里は見てたんだ…とたどたどしく返す

 

(もしかして3Pする前の…)

「山岸くんもさ、来てたの?」

「…うん」

「そっか…」

 

 そう歩いていくと目的地へと到着した。2人はポテトとシェイク、ナゲットを注文する

 

「結構食べるの?」

「まあね。山岸くんは?」

「おれは…あんま食べない方かも」

(へえ…)

 

 2人は角の人気の少ない席に座る。

 

(どうしよう…私から切り出すべきか…)

「あのさ、山岸くん…」

「?」

 

 優里は思い切って高成へある話を打ち明けてみる事に決めた。

 

「男の人ってやっぱ…エッチな女子興味あったりする?」

「へ?」

(どうゆうこと?)

 

 優里は高成の反応を見ながら話を続ける。

 

「私さ、ああいうの苦手なんだよね…」

「山岸くんが見た人、あれ私の彼氏でこれまで何度かしてきたんだけど、その…解釈違いってわかる?」

「!」

(もしかして…)

 

 高成には勿論思い当たる節がある。それは里帆の事だった。

 里帆の事は好きだし初めて里帆とした時はもちろんうれしかった。しかし里帆はその後高成の目の前で貴史ともやった。

 高成はそんな里帆に「どこか違う」感情を抱いていた。その後も里帆と交わるたびに里帆への感情の整理がつかなくなってきた。

 もしかしてこれが所謂「解釈違い」なのか。優里の言葉を受けて高成はふと思ったのだった。

 

「わかる、かも…」

「実はさ…聞いてくれる?」

(もしかしたら…)

(分かってくれるかも?)

 

 高成は一縷の望みを抱きながら、優里に自身と里帆の事を全て打ち明けた。

 …全て打ち明け終わった後、優里もまた自身と彼氏の事について打ち明ける。2人のカミングアウトが終わると静寂が流れた

 

「…」

(私たちは)

(同じなのかもしれない?)

 

 私・おれたちは同じかもしれない。この瞬間。2人は初めて通じ合った。

 

「…しんどかった、よね?」

「しんどかった…茜谷さんは?」

「私も…しんどかった」

 

 2人の頬からは自然と涙がこぼれ落ちる。それは2人が真なる理解者を得たと感じた記念すべき時だったからだ。その後も2人は互いに辛い事や思っている事などを吐き出していった。そのたびに心が軽くなるのを感じていったのだった。

 

「長くなって、ごめん」

「ううん。大丈夫」

「色々吐き出せて良かった」

「私も」

(もっと話したいな…もっとこう、色々打ち明けられる仲になりたいというかなんというか)

 

 しかし時計はもう17時を過ぎていた。注文したものを食べ終えてトレイを片付けると2人は店内を後にする。

 

(…何か、ないかな)

 

 そんな優里にある提案が閃く。

 

「あのさ、山岸くん。同盟、組まない?」

 

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