深夜、私のプライベートな寝室にて。
私、ヨル・ブライアは、生まれて初めてセックスの予感に心を躍らせていました。
「……! ば、ばらされたくなかったら……!」
「そう、それです……!」
ああ──ゾクゾクします。この官能は、決して薬物の後遺症だけではないと信じたいです。
課長も血走った目で私のあちこちを見ながら、「ふん、ふん」と息を荒げています。眼鏡をはずした彼の瞳は、私への愛欲でギラついていました。
……彼? 私、いま課長のこと「彼」って……
カレ……?
……いつだか、カミラさんが言っていました。
『ヨル先輩モトがいいんだから、お洒落すればカレシくらいすぐできると思うんですよぉ!』
い、いけませんよヨル。私たちは恋人ではないのですから。
私はただ……その……そう、セックスしてみたいだけ。冴えない殺し屋女を本気で好きになってしまったおバカで可愛い男の人と、気持ちいいことをしてみたくなっただけなのです!
(浮かれて「カレシ」なんて思わないようにしないと……)
「ヨルくん、僕の隣に来いっ、命令だ、脅迫だぞっ」
「あ、はい、わかりましたっ」
言われた通り、課長の右隣で横になります。彼は……違う、課長は、嬉しそうに鼻息を荒くしました。きっと自分が優位に立っていると感じ、興奮していらっしゃるのでしょう。
「さ、触ってもいいかな」
「あの、脅迫……」
「あ、そうだ、さ、触らせろ! その大きなおっぱいに触りたいんだ!」
「……ふふ」
すっかり欲望に塗れた顔に吹き出してしまいました。鼻の穴を膨らませて必死に叫ぶ様子が、たまらなくおかしいのです。
「あはっ、いいですよっ、うふふ、私の身体、好きなだけ凌辱してくださってかまいませんよっ」
「ほ、本当か!?」
「はい。課長のしたいこと、ぜーんぶ叶えてあげます」
横を向いて、誘うように手を差し伸べます。何しろ乳房が大きいもので、こういう姿勢では右のおっぱいが左のおっぱいに乗っかって重いのですけれど……。
「おおっ、右のおっぱいが左のおっぱいに乗っかってっ、すごっ、で、でかいッ」
……もう、そんなにはしゃいで。
熱い視線がおっぱいの歪んだ輪郭を撫でまわして、むずがゆいです。
「大きいねぇ、大きい、いつ見ても、素晴らしいおっぱいだぁ……!」
乳房に顔をうずめてきました。それぞれメロンほどもある脂肪の間に、男性の頭がすっぽり収まっています。むにゅり、と形を変える自分の胸を見て、私は恍惚のため息を吐きました。
そのまましばらく、まるで赤ちゃんのように甘えてきた後、不意に頭をもたげたかと思うと……唇が、突然乳首に吸い付いてっ。
「んああっ♡」
ビクンッと体が跳ねてしまいます。
左の乳首を、ちゅううっ♡ と音が立つくらい強く吸われ、舌で転がされていきます。
もう片方は手のひらに包まれて揉まれていました。指が乳肉の中に沈み込んできます。
「あはぁ……やだぁ、はずかしぃ……ひゃぁん、そこダメェ、乳首噛んじゃだめぇっ、あんっ、やぁあん……♡」
課長はうっとりとしながら両胸を楽しんでいました。その仕草は無垢な赤子のようであり、同時にもう若くない男性の粘っこい性欲を表すものでもありました。
相反する二つの感触、とっても楽しそうで、んんっ、見ているだけで、あ、んぅ、気持ち、いい……。
「うふふ、本当に好きなんですねぇ……。あっ、んんっ、ふぁんっ、きゃうん、ちくびカリカリしちゃ、いやぁ……」
「はぁ、あぁ……す、すごい、柔らかいよ、すごいよ……」
すごいすごいと褒められると、嬉しいやら恥ずかしいやら。
ふんふん、指が沈み込むほどのボリュームがありながら張りもあって? 柔らかくて形も良い?
ふふ、そうですね、そうでしょうとも!
手前味噌だけど、だって立派な男性がこんなに夢中になるくらいなんだから。私のおっぱいは素敵なんですっ。ええ、間違いありません。
「もっと好きにして良いんですよ? ほらぁ……」
「え、あ、あう……」
ついついサービスしちゃいます。頭を抱きかかえてあげると嬉しそうな声を出しました。ふふっ、かわいいです……♪
「ふん、ふんっ、ほうっ」
鼻息が荒いです。まるでケダモノみたい。
でも仕方ないですよね。だってヨル・ブライアは課長好みの女。手を握っただけで恋してしまうくらい、理想の異性像だったんですからっ♪
「はあぁ……あったかい……汗のいい匂いがする……癒されるなぁ……」
「課長は消毒液の臭いですね」
「……すまん」
「うふ、いいんですよ。私のために傷つき、私のために泣いてくださった証ですから」
「ううっ……! 好きだヨルくん……! 好きだよっ!」
「……ありがとうございます」
私も自分の体が好きになれそう。胸が大きくて良かったと思えるのは初めてです。
「うふふ、可愛い」
「むぐ?」
私は、胸の間に課長の顔を挟み込んでぎゅっと押しつぶしました。窒息寸前まで追い込んだところで解放して、また挟んでを繰り返します。
「うぷっ、もご、ぶぐっ、うぼぁ……おぶっ……ううっ」
「苦しいですか? 気持ち良いですか? どっちも? どっちなんでしょう? ちゃんと教えてくださーい」
私は今、ものすごく嗜虐的な気分になっていました。ちょっと力を入れれば、彼は窒息して死んでしまいます。なのに逃げようとせず、私に身を委ねて乳房の間で悶えるばかりなのです。
それは、信頼と好意の証……♡
「ふふふっ♪ かわいい♪」
「もご、はあ~っ……うぅ~」
そろそろ楽にしてあげましょう。口を離してあげると、大きく深呼吸し始めました。
「すーはーっ、すうぅぅ~~っ! あ~いい匂いだあ~!」
「……あはっ♡」
離れてもなお、私の匂いを、体臭を、夢中になって嗅いでいるのです。体臭とは分泌物の匂いで、分泌物とは細胞の代謝産物……つまり生きている証、人間の証明、肉体の個性そのもの。そんなものを愛しそうに吸い込んでいるのです。
それってすごく嬉しいことじゃありませんか? 私は、彼に必要とされている。そう感じることができて、とても幸せ……だから、もっともっと求めて欲しい!
「……ねえ、こっちも触ってくださいませんか?」
そう言って課長の手を取り、秘密の部位をアピールします。そこは熱く湿り気を帯びていて、指先が触れるたびネチョリと湿った音を奏でていました。
「おお……!」
二つの目がぎらりと輝きます。身を起こして、視線は私の下半身を舐めるように這い回り、太もも、ふくらはぎ、膝裏、くるぶし……足先に至るまで観察されていきます。
比例するように、私の呼吸も荒くなり、ああ、見られるだけでこんなに興奮するだなんてっ。
「なんてエッチな脚なんだろう。しっかりと筋肉がついてしなやかで、それでいてむっちりして実にいやらしい。最高だよ、本当に最高だ……!」
そう言いながら私の脚を持ち上げて広げさせます。私の肉体に対する賛美の言葉が次々と溢れ、それがあんまりにも嬉しくて身をよじります。
彼が私の身体に性欲を露わにしてくれていると思うと、それだけで、もう!
ヨル、『あなた』ったらどれだけ淫乱な女なのですか……!
「さあ、さあ、ここを開いて見せてくれっ」
「はい」
私は自らの指先で陰毛をかき分け、割れ目を広げました。そこはもうドロドロに蕩けてしまっていて、充血した粘膜がヒクついています。
「はあうぅっ……♡」
軽くイッてしまいそうになりました。愛液がトロッと溢れてシーツに垂れ落ちていきます。それをすくい取って口に含むと、苦いようなしょっぱいような。
きっとこれは官能の味。ヨル・ブライアが興奮を感じている証拠なのです。
「……ッ」
彼の喉がゴクリと鳴る音が聞こえます。視線はソコに釘付けでした。
「な、舐め、舐めっ」
声を上ずらせておねだりしてくるので、えっと、脅迫されている私としては、応えてあげなければいけないのですけど……。
「お、お口ではちょっと……く、臭いと思うので……その、シャワー浴びてからじゃダメですか……?」
私、仕事上がりにお酒を飲んで、おまけに薬物を飲まされて、ついでに人の首をへし折ったそのままなのです。でも課長は許してくれそうにありません。
「そんな! ダメだ! 今すぐ舐めさせてくれなきゃ嫌だ!!」
「そ、そんなに叫ばなくてもぉ……」
あまりの必死さに呆れちゃいますが、そ、そこまで私の恥ずかしい所が舐めたいのですね……? そんなに、そんなに、そんなに……っ!
「わ、わかりました、わかりましたから、あの、落ち着いてくださいね?」
ベッドに座り直すと、脚をM字にしてぱっくりと開帳しました。
「……っ!」
課長の視線が局部に突き刺さります。そんなに見つめないでくださいよぉ……。恥ずかしくて死んじゃいますぅ……。
「で、では、どうぞお好きになさって下さい」
課長がゆっくりと顔を近づけます。時折舌なめずりするような音を漏らしながら近づいてくるその様子は獲物を狙う蛇のようでもあり、一方でご馳走を前にした犬のようにも見えました。
「へっ、へっ、ニオイが濃いぃい……!! ヨルくん、ヨルくんのおまんこ……! はぁっ、あぁっ、んくっ」
息がかかるくらい近い距離で匂いを嗅いでいます。鼻息が陰毛を揺らしてくすぐったくて、でもそのゾクゾクが癖になりそうでした。
(私の匂いを嗅いでるんだ……おま、おま、おまんこの……!)
そう考えると、火照りきった女陰はますます熱を帯びて、中からトロリとした液体を垂れ流してしまうのです。
「ああっ……」
鼻息が肌に触れるたび、そこから熱が広がり全身が甘く痺れていくような錯覚を覚えます。
早く触れて欲しい──期待感から、私の呼吸がどんどん荒くなって。やがてついに舌先が到達し──クチュリと音を立ててクリトリスに触れます。
「ひぅっ!?」
熱く濡れたものが敏感な部分を圧迫しました。舌が上下に動くたび、腰が浮いてしまいます。ぞわぞわとした感覚が背筋を駆け上って、モヤがかかったように思考が鈍ります。
「あっ……あっ……あぁっ……!」
私はただ喘ぎ声を上げることしかできませんでした。課長の唾液と混ざり合った粘液が音を立ててかき回され、ぴちゃぴちゃと卑猥な音を奏でています。その音がまた私を興奮させるのです。
「あっ♡ すごいぃ♡ これしゅごいぃ……!」
「くちゅくちゅ……じゅるるるっ……ちゅっ……れろ……っ」
クリトリスの根元から先端まで舐め上げられ、吸われ、転がされ、甘噛みされます。私はぎゅっと目を閉じて快感に耐えようとしました。すると彼は更に強く陰部に顔を押し付け、激しく動かし始めたのです。
「あ、すごいぃ♡ すごすぎるぅ♡ こんなのはじめてぇ……!!」
「んはぁ……れろぉ……んぷ、んぷ」
彼のしている事は今までと変わりません。セックスの教本で身に着けたらしい、オーソドックスなクンニリングス。それなのに今までよりずっと刺激的で気持ちよくて、身をよじりながら陰核の快楽に悶絶するしかありませんでした。
「やぁんっ♡ きもちいぃっ♡ らめぇっ♡」
どうしてこんなに感じてしまうのか……。
私でしょうか? 私の心と体が淫らな欲望に支配されてしまったのでしょうか。それとも単に彼を深く信頼した結果なのでしょうか?
いずれにせよ、私の身体はすっかりおかしくなってしまったようでした。彼が舌を動かさなくても自然と腰を動かしてしまうほどです。足をM字に開いて性器を差し出す恥ずかしい格好で、男性の舌が欲しくて腰をヘコヘコ動かし媚びているんです……!
「あぁぁっ……やだっ、だめぇっ……♡ もっと舐めてください……♡ お願いですからぁ……」
「ふ~っふ~っ」
熱い舌が、はしたない腰の動き、止まらない嬌声に合わせてうごめきます。ぬめった軟体動物みたいに動いて、私の股間にある最も敏感な部分を刺激し続けていました。
にゅるんっ、ねちょんっ、という粘着質な音と呼吸音が混ざり合って聴覚を犯していきます。
それだけでなく、鼻腔にまで染み渡るほどの強い匂い、それは課長の発する体臭、汗とも違う独特の臭気……雄の、フェロモンでしょうか。
(男の人の臭い……えっちな匂い……)
身体が火照って、次から次に汗が流れ落ちていきます。首を左右に振っても髪を振っても、フェロモンは振り払えない。それどころかますます濃厚になっていくのです。
(あうぅ♡ 頭がおかしくなりそうですぅ……♡)
いつの間にか、自分の指で乳首をいじっていました。男性にアソコを舐められながら、自分で自分の胸を刺激してしまっているのです。気付いた瞬間、自分の変態性を感じ、背徳感がゾクゾクと背筋を駆け上がりました。
「あはぁっ♡ だめ、ちくびいぃ……ひいっ!?」
「ちゅうううううっ……!」
「あひぃいいっ!? すわないれくらはいぃ♡」
クリトリスを思いっきり吸い上げられて、背中が大きく仰け反ります。ビリビリとした強烈な快感が脳天を貫き、頭の中で何かが弾けて、意識が真っ白に。全身の筋肉が硬直してガクガク痙攣しています。
イッた──そう理解するまでにしばらく時間がかかってしまいました。
「……んっ……♡ ぁ、やっ……♡」
余韻に浸りながら、絶頂直後のクリトリスを優しく愛撫される快感に酔いしれて……
「ああ、ああ、私、私、初めてイカされちゃいましたぁ……♡」
うっとりと、甘いため息が止まりません……♡ 痺れるクリトリスをあやすような舌使いが、とても心地良くて……このままずっとこうしていたい気分になります……♡
「──っぷぁっ!」
「……はあぁ~っ」
課長は大きく息を吐きながら顔を上げました。口元はびしょ濡れになっていて、それが私のせいだと思うと……課長が私のために汚れてくれたのだと、そう思うとなんだか、ふわふわとした幸福感に包まれていきます。
「ああ……なんて美しいんだ……」
恍惚とした表情で呟いている彼は、とても幸せそうで嬉しそう。嬉しくてたまらない様子で私を見つめ、お尻を撫で、太ももにキスして、黒々した陰毛の一本一本を口に含んでいやらしい液を吸い取っています。
「じゅるる……ちゅうううう~っ……ごくっ……はぁ~っ、おいしいよ……君のお汁……」
「いやぁ、やぁ♡ そんなこと言われたら恥ずかしいですぅ♡」
自分でも信じられないくらいに甘い響き、媚びるような声色で応えてしまいます。恥ずかしくて、でもやっぱり嬉しい気持ちの方が大きくて、頬がだらしなく緩んでしまうのを止められません。
「えへ……えへへぇ……♡」
「ヨルくんっっ、次は穴舐めるぞっ、いいなっ? 舐めていいよなっ?」
「はいぃ……♡ お願いしますぅ♡」
私が了承するや否や、彼は再び顔をうずめてきました。舌はクリトリスの根元を通過して、生温かい唾液をべっとりと塗りたくりながら、膣口に向かって下降します。そして次の瞬間には、熱くて柔らかいものがぬぷっと侵入してきたのです。
「んひぃっ!? いっ……! ひゃうぅっ! ひゃあんっ!」
ぬめった肉の塊が執拗に膣口をこね回し、入り口をこじ開けようとしています。固く尖らせた舌先でグリグリと穿たれ、思わず悲鳴が漏れてしまいました。
「はぅっ……! はぁあっ……♡」
舌がうねってナカに入り込み、内壁をこそぎ取るように舐めまわします。膣内に挿入されたことで空気が押し出され、ちゅぽっ、ぢゅぽぉっと下品な音を奏でていました。
恥ずかしくて耳を塞ぎたいのですが、自分でも信じられないのですが、私の両手は彼の頭を押さえつけて離してくれません。むしろもっともっとと引き寄せるような動きすら見せてしまっています。
「あぁっ、やだぁ……恥ずかしいです……んくぅうッ♡ ぅうう゛ッ♡」
「うぶぶっ……ふっ、ふううぅぅ~~~……うぶっ……あむ……」
恥ずかしいポーズ、ふしだらな所作。
背筋がぞくぞくと震え、もう何も考えられずされるがまま。下半身は完全に脱力して、まるで腰が抜けてしまったかのよう。けれど、上半身だけはしっかりと彼を離さないから不思議です。
(あっ──くる──きちゃう──もう──あっという間──に──!)
二度目の絶頂がすぐそこまで迫っていました。びちゃっびちゃっと体液が飛び散るほどの激しい愛撫で、下半身が溶けてなくなってしまうのではないかと錯覚するほどの快楽が駆け巡っています。
(イク、イク、イかされちゃいます、またイカされちゃいますっ)
全身が熱く痺れて、視界がチカチカと明滅しています。私の身体はとっくに限界を迎えているのに、それでもなお彼はクンニを続けています。
「ぁ、あ、あッ♡ イっ、イクぅ……♡ ヨルはぁ、またイキましゅぅ……♡」
私はぎゅっと目をつむり、歯を食いしばりました。少しでも長く刺激的な時間を味わいたかったからです。
でも、その時……。
「い、いててててて!」
突如、課長が苦悶の声を上げました。何事かと思って目を開けると、顔を押さえてうずくまっていたのです。
殴られた傷が痛み始めて、苦しいのでしょう……と頭では分かりました。ですが、私はムカムカした気分を抑えられません。
激しく愛さ……愛撫されて、絶頂寸前まで高められていたというのに……そんな時に急に苦しみ始めるだなんて……!
そんな理不尽で不条理な憤りが、あっという間に心を支配して。気付けば叫んでいました。
「何をしているのですか、情けない! 私を脅してレイプするのではなかったんですかぁっ!?」
「え!? いや、だって痛いんだよ、本当に痛くて……!」
「なーんだ、できないんですね!?」
不思議な感覚でした。頭がカッカッと熱くなるほど興奮しているのに、どこか冷めた目で俯瞰している自分もいます。けが人の課長を責めて、どうなると言うのでしょう。
でもでも、だって我慢できないんです。
この人が悪いんです!
「何度も何度も私を脅迫して痛がらせた癖に、自分が痛くなったらやめるんですね!? もういいです、じゃあいいですからさっさと出て行ってください!!」
まずいことを言おうとしている。自覚はありましたが、止めることはできませんでした。
「こんなの、次長の方が素敵な男性だったって、私がそう思っちゃってもしょうがありませんよねぇっ!!」
「……え……」
言った瞬間、胸の中にぽっかりと穴が開いたような喪失感を覚えました。課長の表情が凍りついたからです。自分で殺した人を引き合いに出して、煽るなんて。我ながら最低なことをしてしまったと思います。
……でも、でもでも、だからって、課長相手に遠慮してどうなるというのですか? この人は命をかけて私を欲しがったのです。だったら私がどんなワガママ言っても許されるはずじゃないですか!!!
「ねえ、私の事がお嫌いですか? 軽蔑しますか!? もしそうだと言うなら……きゃっ!?」
「う、う、うおおおおおおぉぉぉッ!!」
突然でした。急に起き上がった課長が雄叫びを上げ、両腕で力強く抱きしめてきたのです。対面で、お互い座ったまま、力いっぱいギュウゥッと抱き締められていきます。
でも痛くない。
「あ、あ」
むしろ心地良い抱擁に包み込まれて、自分でも気づかないうちに声が出ていました。ベッドが軋む音とスプリングの振動が、やけに生々しくて。
「くそぉっ、くそぉっ、あんな奴に負けてたまるかぁぁっ……! 僕は君が好きだっ! 君は僕の女だっ! 絶対に誰にも渡さないっ!」
「うふっ、ふうっ、う、ううっ……!」
ああ、ああ、心がゼリーのようにぷるぷる震え、ううん、肌から伝わる熱で溶けてしまいそう。溶かされた心のシロップが、涙になって頬を伝い落ちていきます。
その涙を、彼が唇で吸い取ってくれました。きっと今、私の顔、だらしないことになってるんでしょうね。恥ずかしいなあ。
そのまま、ベッドに押し倒されます。背中に感じる冷たいシーツの感触も気にならなくて、ただ体温を味わうことに夢中でした。
「はあ、はあ、課長っ」
「なにっ、なんだぁっ?」
「き、き」
「き?」
「キスしてくださいぃ……」
気づいたら求めていました。初めて、自分から課長の唇を求めたのです。
「キ……ス……?」
「だめ…………?」
彼はびくんっと目を見開き、すぐに応えてくれました。唇が触れ合った瞬間、全身を襲う痺れるような快楽。
「んっ……ふぅ……んむっ……んん~っ……♡」
唇同士のつん、つんという軽い接触だけでしたが、それだけでも信じられないくらい気持ちいいです。お互いの吐息を交換し合うだけの行為なのにどうしてこんなに幸せなんでしょう?
「ちゅぱ……れる……ちゅっ……」
やがてどちらからともなく舌を伸ばし、にゅるにゅると絡め合わせ始めました。くちゅくちゅと唾液が混ざり合って泡立ち、いやらしい音が漏れ聞こえます。
流れ込んでくる唾は苦くて生臭くて美味しくなんてないのに、頭の中がふわふわしてきて何も考えられなくなってしまいました。ただただ幸せで、胸の奥がきゅぅぅっと締め付けられてたまらなく切ない気持ちになるんです。
(この気持ち……これって……)
唇を離してから数秒間、見つめ合いました。
「か、課長……」
「好き……好きだ……ヨルくん……僕だけのヨルくん……」
後戻りできない所まで踏み込んでしまった、そんな不安感。なのに恐怖ではなく期待でゾクゾクする、とってもいけない感覚。これって、恋、なんでしょうか。わからないけれど、もっとこの人が欲しいと思うのはいけないことでしょうか。
彼の手が、私の胸を優しくほぐすように揉んできます。
「……っ、はっ……んぅ……♡ 課長っ、またキスしてください……」
「うぐっ……! あぅ、ああっ……!」
また唇を奪われてしまいました。口内を蹂躙され、舌の裏をれろれろと舐められ、ぞくぞくとした快感が背中を駆け抜けます。
「はっ、んんっ……ちゅっ……んっ……ふぅ……んむっ……んん~っ……♡」
頭がぼーっとしてきました。こんな風にキスを楽しむのは初めてで、息継ぎの仕方もわからないから酸欠で頭がクラクラです。
気持ちいいのが止まらない。ずっとこのまま繋がっていたいと思いました。
「……ぷはぁっ!」
「あっ、やっ……もっとぉ……」
なのに彼は唐突に、口を離してしまいました。もっとして欲しい。そう思って舌を伸ばすものの、顔を逸らされてしまいます。
どうして? どうして意地悪をするのですか? 思わず両手で肩を引き寄せようとすると……
「い、いててててて!」
痛そうに顔をしかめています。そういえば怪我をしているんでした。でも、でもでも、そんなの知ったことじゃありません!
「はやくぅ……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ……! き、傷に響くんだよ……! そ、それに……」
「い、いやん、いじわるしないでぇ……♡」
あ、あれ? 私、今「いやん」なんて言いました? え、やだ恥ずかしい……ああもう、顔が熱い! 顔だけじゃなくて体まで熱く……!
(ううー……!)
両手で顔を覆い隠します。指の隙間から課長の様子を覗き見ると、彼も顔を真っ赤にして目を泳がせていました。
ああ、この人本当に私のこと好きなんだなぁと確信できてしまいます。
「そ、そんな声で言われると我慢できなくなるだろ……! ううっ、痛くな、痛くないぞぉっ」
ベッドに立ち上がった課長は、興奮のあまりズボンの股間部分をはち切れさせています。はち切れそう、ではなく、文字通りボタンが千切れる寸前でした。
「うっ……! ぬ、脱がせてくれ」
「……はい」
私は膝立ちになると、ゆっくりとファスナーを下げていきました。そして下着ごと下ろすと、ボロン、と飛び出るペニス。私はそいつが与える圧迫感に息を吞み、ごくりと喉を鳴らしました。
「きゃっ……!」
むわっと広がる雄の匂いに、頭はくらくら。鼻の穴を広げて嗅ぐと、まるで脳みそを直接犯されているような錯覚に陥ります。柔らかい神経細胞に直接刻み込まれるような、濃い匂い。
早く欲しい……。
たまらない気分でした。今までは苦痛と嫌悪しか感じられなかった男性の象徴。でも、その人そのものを見直した今は、なぜか愛しくてたまりません。
グロテスクで醜悪で汚いイチモツ。でもコレが私を満たしてくれるのだと考えるだけで、さっきまでキスしていた口内に涎が溢れて止まりませんでした。
「ふう、ふう、いいかい? もういいかな?」
「……はい、来て下さい……♡」
仰向けになって股を開き、両手を顔の横に置いて彼を迎え入れる姿勢を取ります。恥ずかしいのですが、これも脅迫……もういいか、セックスを楽しむためです♡
「いくよ、入れるからねっ……おおっ!?」
「あ、あっ! ♡」
彼のペニスは大き過ぎて、受け入れるだけでも一苦労。まるで杭を打つように体重をかけながら押し込まれ、お腹の奥深くにまで侵入してくる異物感に息ができなくなってしまいます。
でもお腹の中でどくんどくんと脈打つソレの存在感はとても強く、内側から食い破られてしまうのではないかとさえ思いました。
「はぁーっ、はぁーっ、だ、大丈夫!? 痛くない!? 平気!?」
心配そうに顔を覗き込みながら尋ねてくるのですが、私の方はそれどころではありません。
「ごめっ、ごめんなさいっ♡ あぁぁイくッ……♡ イくっイくッ♡ イッグぅぅううううっ♡♡♡」
全身に電流が走ったかのような衝撃、入れられただけで絶頂に達してしまったのです。
爪先から頭のてっぺんに至るまで強烈なオーガズムを感じ取り、頭の中が真っ白なペンキで塗りつぶされたような感覚に襲われ続けていました。
「おっ……! おおお……! すごいよ……!
ヨルくんのっおまんこスゴい!」
「すきっ……これ好きっ……♡ ああ……ああ……! あっイくッ……♡」
ああ、こんなの嘘です。あり得ません。こんな簡単にイカされてしまうなんて、あり得ない。
「ひぐぅッ……♡ あっあっあっあぁあぁっ♡ イクぅっ♡」
ですが、現実に私は何度も達していました。自慰やクリトリスでの絶頂とは比べ物にならないほどの幸福感。
グロテスクな男根をぱっくり咥えこんだ膣穴からどろどろと愛液が溢れ出し、子宮口がパクパク開いて亀頭の先端を咥えこんでいました。彼のモノを離すまいと、必死に吸い付いているのがハッキリ感じられます。
ああ、だめです、こんなの絶対だめです。
これが本当のセックス。自分で選んだ男性に生殖器官を埋め尽くされる、喜びと快楽の儀式。
「す、すごっ、君のナカすごく熱くてトロトロしてて、なのにキュンキュン締め付けてきてっ」
「……かちょぉ……♡」
うわ言のように彼を呼びました。自分でも驚くほど甘い声で、たくましいペニスの持ち主をうっとりと見上げています。
全身で悦びを噛みしめる私はどんな表情をしているのでしょうか? きっとだらしなく緩み切った顔をしているはずです。こんな顔を見せるなんて恥ずかしいけれど、でも止められないのです。
だって、本当のセックス、すごく気持ちいいんですもの……♡
「ヨルくん、きれいな顔がゆるんで、か、か、可愛いよぉ……!」
声が上ずっています。どうやら私のとろけきった表情にドキドキしてくれているようです。
嬉しい……♡
もっともっと好きになってほしい……♡
だから、おねだりする事にしました。ぽろぽろと悦びの涙を零しながら、彼に懇願します。
「かちょう……キス……きしゅぅ……」
「……うん」
「えへー……んっ……」
唇が触れ合いました。
キス。ペニスを挿れられながらのキス。
両腕を首に回してしがみつき、夢中で舌を伸ばします。唾液を交換し合いながら粘膜を擦り合わせると、それだけで甘イキしてしまいます。
(課長、課長、課長……!)
「ん、んちゅ……ちゅるっ♡ ……んくッ……♡ んっ……んんんっ♡ んんん~♡」
唾液を交換し合い、相手の舌に歯を立てないように気をつけて愛撫する……なんだか自分が自分じゃないみたい。心も体もとろとろに蕩けきってしまっています。
(ああっ、幸せ……!)
絶頂の余韻に浸りながらの、甘い甘い口づけ。このまま時間が止まってしまえばいいのにと思うほど幸せな時間です。彼が唇を離せば、私からチュッチュッとついばんでキスを迫ります。
「あン、もっとしてください……♡ ちゅっちゅっしたいれすぅ♡ ちゅっちゅっ♡ ちゅぅぅ♡」
「うっ……! ああ……!」
唇を塞がれると嬉しくて、またイッてしまいました。膣内が激しく収縮し、よりいっそう強く彼のモノを抱きしめてしまいます。そのたびピクンと反応するのが可愛くて仕方ありません。
「んふ♡ んんー、ぅんっ♡」
突き刺されたまま腰を浮かせて、ねっとりと円を描くように腰を振る。恥ずかしくてたまらない、でもせずにはいられない求愛のダンス。彼は小さく声を上げました。
「ううっ……!」
「あんっ♡ うごいてくださぃ……♡」
「う……うん……」
上の口でもお願いすると、彼はさっそく動き出してくれました。根元まで入りきったところから、ゆっくりと引き抜いていくのです。
「さ、最初はゆっくりね……いーち、にーい」
「……ッ!」
「さーん、しーい、ごーお、ろーく……」
まるで幼稚園児の遊戯のような掛け声に合わせ、内壁が引きずられるような感覚がします。膣内の粘膜がカリ首に引っかかれ、腰骨に響くような刺激が与えられました。
「ひぃ……っ! あ゛っ! あ゛ぁぁああっ♡」
私は歯をカチカチ鳴らして必死に耐えようとしますが、駄目でした。ああっ、気持ち良すぎて、頭がおかしくなりそうです……!
「っあ……♡ あ゛ぁぁーっ♡」
みっともない嬌声がこぼれ出て止まりません。自分の声とは思えなくて、耳を塞ぎたくなります。 けれど両手はシーツを掴んで離しません。むしろより一層力を入れて握り締めていました。
だって気持ちいいから。気持ちよくて幸せだから。ずっとこの状態を維持したいと思ってしまうんです。
「つ、次は速く……! それっ!」
「──ッ!」
再び最奥まで突き込まれました。ぐいっぐいっと二段階に分けて入り込んでくる太くて長いモノ。内臓を圧迫されてしまい呼吸もままなりません。
苦しいはずなのに、それなのに──気持ちいいんです!
「あーっ、あーっ、ひっ、ひいぃっ!」
喉を震わせて絶叫する私に構わず抽送が始まります。激しく腰を打ち付けられて、ふだん私の寝ているベッドが大きく軋みました。
「ヨルくんっ! ほらっ! ここだろう!? ヨルくんの気持ちいいところはっ!」
「あ、ああっ!
ああぁぁぁああああ~~~~~っっっ!!」
弱点を見つけられてしまったみたいです。その一点だけを集中して責め立てられると、もうどうしようもなくなってしまいました。
(あ、あたまのなかぐちゃぐちゃになっちゃうぅぅ……!)
私は快感と多幸感に酔い痴れ、イぐっイぐぅッ♡とだらしない喘ぎ声を出しながら何度も何度も絶頂を迎えてしまいます。
「イっぐッぅぅぅ~…………ッッ!!!」
絶頂に次ぐ絶頂で、思考回路はショート寸前です。目の前がチカチカして意識を失いそうになりますが、すぐに次の波が押し寄せてきて無理矢理覚醒させられてしまうのです。
(こ、こわいっ……こわいぃぃ……!!)
自分が自分でなくなってしまうような恐怖、でもそれを遥かに上回るほど気持ち良い。心と体がバラバラになってしまいそう、怖い、けど、それ以上にもっとして欲しい。もっと私を抱きしめて、心を気持ちよさだけで一つにして欲しいっ♡
「うう……っ! おおおおッッ!!?」
課長の行為はやがて終わりに向かい始めました。ストロークの間隔が狭まっていき、ドクン、ドクンと心臓の音が高鳴ります。その瞬間が近付いてきていると分かるのです。
終わり。それは膣内射精である事は言うまでもありません。
「ヨルくぅん! イクよ! いっぱい出すよ! 受け止めてね! 全部! 全部ぅ!」
……ああ、それにしても。恐ろしいのは、オンナの肉体です。二十七歳になるまで男を知らなかった私の中のオンナは、今まさに種付けをされようとしている男のイチモツに吸い付き、絡みつき、その欲望を叶えようと必死なのですから。
そんな自分の体に戦慄を覚えながらも、しかし悦楽が絶え間なく沸き上がってきます。体の奥底に熱い奔流が流れ込み、歓喜に打ち震える瞬間が目前に迫っているのですから……!
「ああ~っ! ああ~っ! 出る! もう出ちゃうよ! あーっ! あーっ!」
動きが激しくなり、私の胸に顔を埋めてきました。彼もオトコの限界が近いようです。
(ああ……! ああ……! くる……! くる……!)
期待で子宮口が痙攣し、膣壁全体が蠕動し、ペニスを奥へ奥へと誘い込み、射精を乞うて、そしてついにその時が訪れたのです。
「……うっ!」
子宮口に亀頭を押し付けたまま、課長のモノが爆ぜました。
「あ゛っ♡ あっあっあっ♡♡ あっあっあっ♡♡ あっあっあっ♡♡ あっあっあっ♡♡」
熱い精液を注がれている最中もピストン運動は続きました。亀頭の先っぽをぐりぐり押し付けてくるせいで、ナカに出しながらクリトリスを弄り回されるという拷問のような快楽を与えられてしまいます。
(きもぢいいぃぃ……ぎぼぢいぃよぉ……♡ ああっ……)
クリトリスと膣の複合的な快感と、ナカダシされている幸福感。思考がどんどんぼやけて、女に生まれて良かった……と心から思います。こんなに気持ちいい事をしてくれる殿方に巡り会えるなんて本当に幸運です。
もっともっと、この悦楽を味わっていたい……。
「ああ……ヨルくん……」
課長の短く太い指が、私の胸の谷間を這い回ります。指の間に乳首を挟み込むと、恐る恐るの力加減で乳房全体を揉みしだきました。
とても優しい手つきに、絶頂快楽の余韻がじんわりと引き延ばされてゆきます。
(……あぁ……)
絶頂の波が終わりを迎えた頃、私はふわふわの陶酔感に包まれていました。汗まみれになった肢体はぐったりとして、涎や鼻水まで垂れ流し。
それでも、いつまでもこうしていたい。心地良い倦怠感の中で、本気で思ってしまいます。
「ああー、ヨル君、好き、好きだよ……」
(ああ、しあわせぇ……)
このまま溶けて無くなってしまいたいと思いながら、私はそっと目を閉じました。
◆◇◆◇◆
それから一週間後の、晴れた朝。
私は市役所の給湯室でお茶汲みの仕事をしていました。課長にお出しするコーヒーの香気が鼻をくすぐります。爽やかな朝にはぴったりの香り。
「……♡」
淹れたてのコーヒーを、あらかじめお湯で温めたマグカップに注ぎます。冷めたコーヒーを、
「今週末うちでパーティーやるんですよぉ、ヨル先輩もよかったら来てくださぁい♪」
カミラさんが声をかけてきました。
「ぜひ、パートナーとご一緒にぃ……」
「すみません、お断りします」
即答です。もちろんお呼ばれするのは嬉しいのですが、彼女の魂胆は分かっています。だってその笑顔がとってもいやらしいんですもの。
「う、えっと……」
「私、お付き合いしている方はいませんので」
「せ、先輩って二十七でしたっけ? 独り身の女って不審がられますよぉ? カレシ作っておいた方が」
「問題ありません」
「……ヨル先輩、なんか感じ悪くなってません? ちょっと課長に気にいられてるからって……」
カチンときました。この方がこんな調子なのはいつもの事ですけど、今日は特に酷いです。
「あんなモテない小太りキモオヤジ、どうせ先輩の無駄に大きいお尻触る度胸もないんですから……」
「カミラさん」
ぴしゃりと名前を言い放ちます。こういう言葉は許せませんでした。上司に対して失礼ですし、何より事実に反します。
「課長は素敵な男性です」
「へっ」
「……」
「…………」
「それに度胸もあります。私がどれだけ嫌と言っても無理やり触ってきますもの」
「…………」
「………………」
「……そですかー」
何か思うところがあったのか、彼女は黙って出て行ってしまいました。唖然、という感じの表情をしていた気がします。
もしかしたら、課長の意外な一面を知って幻滅してしまったのでしょうか……?
だとしたら申し訳ありませんね……でも事実なんですから仕方ないじゃないですか……ねえ?
◆◆◆
「ヨルくん? 『後で郵便局に手紙を出してきて欲しい』んだけど、頼めるかな」
「はい、お任せください♡」
今日も、課長から〈脅迫状〉をいただきました。きっと私の部屋で会いたいという内容でしょう。そのお誘いに胸が高鳴ります。ドキドキワクワクが止まりません。
(ふふっ♡)
デスクに座る課長を盗み見ながら、私は足取り軽くオフィスを出ます。心はウキウキ、スキップしたい気分でした。
まあ、正直、浮かれていました。だからすっかり失念していたのです。
課長には奥様と娘さんがいらっしゃるという、そもそもの発端を……
(第一話 部下からも嘲笑される小太りでキモいハゲオヤジの慰み者、ヨル・ブライア 了)
(第二話 最近笑われなくなってきた小太りなハゲオヤジの不倫相手、ヨル・ブライア に続く)