目を覚ますと、部屋の中だった。石造りだから、まだ地下にいるようだ。
真正面に、椅子に縛られた沙綾が、ぐったりとうなだれているのが見える。
「雨野さん、しっかり!」
「ん……ここは……?」
遅れて起きた沙綾は、ぼんやりした目つきで、室内を見回した。
どうやら彼女も不意を突かれてしまったようだ。
「調教部屋の一つだ。まだ商品になる前の女を、ここでみっちり仕込んで、使える状態に仕上げる。もっとも、あんまり淫乱になると、客が萎えるけどな」
壁際に立っていた男が、竜彦と沙綾に見える位置まで進み出てきた。最初に見かけた、赤髪の男子生徒だ。知性を感じさせる風貌で、目つきは鋭く、冷たい。
「さっきは安い芝居をしてくれたな。あんなんで俺の目を欺けると思ったか? 雨野沙綾」
「まさか……同業者なの?」
沙綾は身じろぎせず、首だけ赤髪の男へと向けて、キッと睨みつけた。椅子に縛られてるから、抵抗しても、縄が体に食いこむだけとわかっているのだろう。
「ああ。伊賀の出身、天蔵院(てんぞういん)秋水(しゆうすい)とは俺のことだ。ここの校長に雇われて秘密クラブの手伝いをしている」
「悪に手を貸して! 忍者の恥さらし!」
「真面目だねえ。せっかくの力だ、存分に使ったほうが楽しいじゃないか。それに」
秋水は、沙綾の正面に回りこんだ。制服の上から、乱暴に、乳房を掴んだ。
「ん……!」
羞恥で頬を赤くし、沙綾は顔をそむける。
「お前みたいな、俺好みの女を、好きなだけ犯せるんだから、役得ってもんだ」
「何をする気……なの……?」
怯えた眼差しを向ける沙綾に、秋水は嗜虐的な笑みを浮かべ、べえ、と舌を突き出した。
「犯すんだよ。よがり狂うくらいに、禍々しく、官能的に、な」
秋水は、ぶん、と手を振った。その指先がどろりと溶けるように床へと落ちると、それ自体が独立した肉の塊となり、やがて蠢き始めた。次第に大きくなっていき、先端が男根の形をした、五本の触手と化した。
「分芯の術……!」
「さすが詳しいな。なら、これからどうされるかもわかっているよな」
「ん! くう!」
沙綾は椅子を揺らし、なんとか脱出しようとあがくが、きつく縛ってある縄からは抜け出せそうにない。
ぬらぬらと艶めかしく光る五本の触手が迫ってくる。その様子に、声を上げそうになるのを耐えながら、最後の最後まで諦めずに抵抗しようと沙綾は頑張っていたが、無駄だった。
ふくらはぎから絡みついて、膝、太ももと、触手がせり上がってくる。
「よく見とけ、新聞部。学校一の美少女が肉欲で狂い乱れる様を。こんな特ダネはないぜ」
秋水は竜彦のほうを向き、冷たく笑いかけた。
「いや! やめてえ!」
涙をこぼしながら、首を振って抗っていた沙綾だが、触手が股の間へと滑りこんだ直後、悲鳴を上げた。
スカートをめくり上げ、純白の下着をずらすと、秘口へずぶずぶとめりこんでいく。まだ濡れてもいない性器の中へと無理やり入られて、沙綾は悶え苦しみ、天井を見上げて叫ぶ。
「あぐ、うう、痛い! 抜いて! 抜いてよぉ!」
「情けないやつだ。それでも甲賀のくノ一か」
秋水は、先ほど「分芯」を生み出した右手を動かし、触手を操り始めた。
残る四本の触手もまた、それぞれ沙綾の身体を責め始める。一本は尻側に回り、柔らかな肉を撫でながら、下着の隙間から滑りこんで肛門に潜っていく。
「ひぎ、うぐ! ぐうう! くあああ!」
アナルは慣れていないのか、すさまじく痛々しそうな表情で悲鳴を上げる。
さらに二本の触手が乳房に絡みついてきた。ぎゅうぎゅうと豊かな胸をしぼり上げながら、亀頭の形をした先端で、乳首をコリコリといじり回す。そこから伝わる心地良さに流されてか、沙綾の苦痛の声の中には、少しばかり甘い声が混じり始めた。
そして最後の一本が、半開きになっている沙綾の口の中へと入り、口腔を犯し始めた。
「んむぅ、ぐ、むぅぅ……!」
穴という穴を犯され、乳も責められ、身動きも取れない状態の中で、身体が順応し始めたのか、そのうち沙綾の秘所からは温かい液体がとろとろと溢れ出てきた。口のほうからもいやらしい響きが聞こえてくるが、触手が自ら動く水音か、沙綾が一所懸命おしゃぶりしている音なのか、わからない。
「雨野さん! しっかり!」
竜彦は励ましの声をかけたが、沙綾の目はうっとりとしているようにも見える。かなり追いこまれてきているようだ。
「そろそろ欲しいだろ」
秋水は冷たい声を放ち、右手を強く握り締めた。
触手の動きが激しくなる。水が弾け飛ぶような音が聞こえ始めた。膣を、肛門を、口を犯す触手達が、沙綾の中に精を放たんとばかりに、ひたすら前後に動き続ける。
「ん! んん! んんん!」
涙を滲ませ、やがて来るであろう触手の絶頂の瞬間から逃れようと、沙綾は身をよじらせて抵抗する。
だが、無駄だった。
秋水が、握っていた右手を開いた。
それと同時に、五本の触手の先端から、一気に白く濁った粘液が吐き出された。
「ごぽ! ぐぷ、む、ぐ……ぷあ! あああ!」
口の中に大量に白濁液を出され、受け止めきれなくなった沙綾は、触手をなんとか吐き出したものの、いまだ射精中であった触手から飛び出た体液が、顔面をべとべとに汚してしまう。
膣からも触手の白い体液が噴き出した。肛門にも放たれた精が、べちゃべちゃと飛び散り、椅子や床を汚していく。胸を犯していた触手から飛び出した体液は、胸の谷間に溜まってゆき、また体中を汚しまくった。
「ああ……はぁ……」
その表情は、苦しみの果ての解放感か、あるいはまだ物足りないという官能から来るものか。
とろんとした眼差しで、虚空を見つめる沙綾の前に、秋水は立った。
「忍法、衣堕転の術!」
指で印を作り、十字を切った途端、大きな音とともに白い煙が立った。
「な、何が……!?」
竜彦が仰天していると、白い煙の向こうから、再び沙綾と秋水の姿が見えてきた。
ところが、二人の着ている服は、いつの間にか変わっている。
秋水は忍者服。
沙綾にいたっては、ゲームなんかで出てくるような、露出度の高いくノ一衣装だ。
「やはり、最後はこれでないと、気分が出ないからな」
そう言って、秋水は袴を脱ぎ、下半身を剥き出しにすると、椅子に縛られている沙綾に抱きついて、強引に秘部へと肉棒をねじこんだ。
「あん! くぁあ!」
「どうだ? 触手なんかに犯されるよりも、ずっといいだろ? ん?」
貪るように腰を突き動かし、秋水は、沙綾の膣内をかき回していく。首へと手を回して、時おり沙綾の耳たぶを舐め回したり、唇を奪っては濃厚に舌を絡めたりする。
「ちゅぱ……ぴちゅ……もう……やめ……て……」
「じゅ……じゅる……やだね……前からこうして……お前を無茶苦茶に犯したかったんだよ……」
息も荒く、さらに秋水は強く、激しく、腰を振る。肉と肉のぶつかる音がひんやりした室内に響き渡る。
そんな光景を見ていたましく思いつつも、いつしか竜彦は、自分が勃起していることに気が付いた。
(くそ! 興奮してる場合じゃないのに! このまんまじゃ、雨野さんが、あいつの虜に!)
沙綾の喉奥から甘い喘ぎ声が漏れ始めた。
「いいよ……ぁん……いっぱい……して……」
沙綾は、瞳を潤ませて、自分から腰を動かし始めた。気分を良くした秋水は、沙綾の首筋や頬に口づけをしながら、挿入を続ける。
やがて様子が変わってきた。それまで沙綾を責めていたはずの秋水が、呻き声のようなものを上げ始めた。勢いよく腰を振っているが、快楽から動かしているというよりも、止められなくなっているかのようだ。
「く、お、お!」
顔が真っ赤になり、汗を大量にかくも、中断できずにいる。途中で射精したが、あまり気持ちよさそうではない。沙綾の膣から精液をかき出すように肉棒を出し入れしながら、なおも挿入を繰り返している。
ついに、泡を噴きながら、秋水は倒れてしまった。
「こいつ厄介そうだから、ちょっとエッチな目にあっちゃったけど、いまのうちに倒しておきたかったの」
さっきまで抜け出せなさそうにしていた縄を、沙綾は難なく外した。
「ふぅ、でも、やっぱり同じ忍者ね。あのまま犯されてたら……本気で、落ちてたかも……」
倒れている秋水を、少しばかり頬を赤らめながら、沙綾は見下ろしている。少し名残惜しそうな表情だ。
「こ、これは、いったい」
「うふふ、私の膣内には秘薬が仕込まれてるの。人間には効果てきめん。君も試してみる?」
竜彦は慌てて首を振った。沙綾とできるのは大歓迎だけど、あんな風に泡を噴いて倒れたくはない。
「さ、仕事を終えないとね。君も手伝ってくれる?」
竜彦の縄もほどくと、正面から沙綾は見つめてきた。小首をかしげる愛くるしい仕草に、胸がキュッと締めつけられるような気持ちをかき立てられる。
これもまたくノ一の術だろうか、と考えながら、竜彦は小刻みにうなずいた。
「じゃあ行こっか! 悪いやつらを成敗、成敗♡」
翌日の夕刊で、秘密調教倶楽部の存在が暴露され、校長以下関係者は全員逮捕された。
だが、調教倶楽部に資金を供与していたスポンサーの存在は明らかにならず――とりあえずの任務を終えた沙綾は、密かに学校を去っていった。
いつか必ず、闇に蠢く巨悪を退治するため、今日も沙綾はどこかで忍ぶのであった。