俺は岩馬雷児。
覚悟はしていたが、ついにこの日がやってきてしまった…。
そう。その日なのだが、俺の住むワンルームマンションで同棲している、天川財閥のお嬢様「天川三月」が、俺の家を出る日だ。
今は2023年1月31日。世はもうすぐ節分とバレンタインデーだ。
節分やら鬼はどうでもいいとして…。
俺は三月と一緒に、三月の荷物を整理していた。
「……ふぅーっ……」
俺は一息つきながら、自分の部屋を見渡す。
今朝までここで寝泊まりしていた三月だが、今日からもともと住んでいた財閥の豪邸に帰ってしまうため、俺の部屋にはもう用はないのだ。
荷物運びは豪邸にいる使用人たちが持って帰ってくれるそうだが、彼らが来る前にせっせと荷物整理をしているわけだ。
彼女の私物などを、段ボールに入れていく。
勉強道具、服などといった、生活に必要なものはすべて入れ終わったのだが……、まだ残っているものが一つだけあるのだ。
それは―――。
「……なぁ、三月?」
「ん? どうしました?」
三月が俺の方を振り向く。彼女はちょうど荷物の仕分けをしている最中だった。
「俺になんか言いたいことがあるんじゃないのか?」
「……え!?」
三月は少し驚いた顔で俺の方を見る。
青い瞳は、見開いていても美しいな。この瞳をしばらく見れなくなるのは、少し残念だ。
4月まで我慢だ。我慢。
しかし、そんな綺麗な瞳はすぐに閉じられてしまった。
「……別に何もありませんよ? どうしてですか?」
そう言って、再び作業に戻る彼女。……明らかに何か隠してますって感じなんだが。
まあ、三月のことだから、恥ずかしいことか、または言いにくいことなんだろうけどさ……。
「そっか。じゃあいいんだ。でももし何かあったらいつでも言ってくれていいからな?」
「はい! わかりました!」
……やっぱり何か隠してるな? まあ、いつか話してくれるなら、それでいっか。
俺の方はもうじき終わりそうだ。女の子となると、こうも荷物が多くなるものなのか。そして、すべての荷物の整理が終わった。
「よし、これで全部かな」
「はい! すみません、ありがとうございます!」
「おう。いいってこと」俺は立ち上がり、ぐっと背伸びをする。するとその時――。
ピンポーンという音が部屋に鳴り響いた。
「あっ、誰か来たみたいですね」
「ああ、そうだな」
誰だろうか? 宅配便とかが来る予定もないはずだし……。
不思議に思いながらもモニターを確認すると…。
そこには、奇抜な格好と髪形のあの男がやってきたようだ。そう。君島アラン博士だ。
三月の通う名門女子高「聖マリア国際高等学校」に極秘裏に作られた研究所で、「戦乙女」の研究をしているらしい。
この「戦乙女」とは、超人的な能力を持つパンツ丸出しの女性のことらしい。
ここにいる三月もそうだ。
君島博士の実験に付き合い、協力しているとのことだ。
ちなみに、俺は一度会っている。ここにやってきたのだ。
しかし、姿を見るだけでなぜかどっと疲れてくるな。気のせいか。
「久しぶりー!ふぃ!すぁ!すぃ~!」
「お久しぶりです……」
相変わらず気持ち悪いくらいのテンションだな…。パンツの研究をしている故に、こんなおかしな人になったんだろうか。
俺はモニターの近くのボタンを押し、エントランスにあるエレベーターの間のロックを解除した。
「ロック解いたんで、入りたきゃどうぞ」
俺は素っ気ない声で言った。
それに応じたのか、君島はくねくねしながらエレベーターに乗っていったようだ。
しばらくすると、間を置かずに玄関のチャイムが鳴る。
ガチャッという音と共に入ってきたのは、やはり君島だった。
「やぁやぁ! 元気にしてるかい? 三月ちゃん!」
「まあ君島さん!元気にやってますよ!」
三月が挨拶する。君島のテンションについていけているあたり、さすがと言うべきなのかもしれない。
「おっと失礼した。雷ちゃんもいたんだねぇ」
「ええ、まあ」
俺は適当に応える。すると突然、君島が俺の方を向いてきた。
「そういえば……。君は私の実験に付き合ってくれるし、この子の護衛にもなるんだってね」
真顔でそう聞いてくる。いきなりやめろ!怖いだろ。
「そうですけど」
「しっかり働いてね。足引っ張ったら、キーっ!だぞ」
いきなりふざけるのもやめろ!まじめにするかふざけるかどっちかにしてくれ。
「はい、わかりました」
俺が適当に応えていると、今度は三月が話しかけてきた。
「あっ! そうだ雷児さん!」
「ん? なんだ?」
「せっかく君島さんが来てくれたんですし、3人でお茶でも飲みましょうよ!」
「おお…。そうだな」
やれやれ…。引っ越しの準備の次はこの陽気なおじさんのお世話かぁ…。
「はあ、まあいいか」
結局、俺も二人と一緒にお茶を飲むことになった。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
俺はこの前のように、お茶を君島のもとに運ぶ。
「ところで君島さん」
「うん? なんだい?」
どことなくムカッとする顔で俺の方を見る。髪形が気に入らん。
「君島さんの自宅ってどこにあるんですか?」
「ああ……。それはね――」
その時、君島が答えようとした時だった。
ドゴォン!!という爆音が聞こえてきたのだ。それも遠くからではない。すぐ近くからだ。
「な、なんだ!? 爆発かっ?」
俺は慌てた。そして、俺は急いでバルコニーに行き、外の様子を見ることに。
距離的にもこのマンションからすぐ近くのところで、黒煙がもくもくと立ち込めていた。
あの爆音のうるささからして、おそらくどこかの住宅街だろう。その辺りから黒い煙が立ち上っていたのだ。
「……おいおい、まさか事故か何かじゃないよな……」
俺は不安になりながら、部屋にいるであろう君島に聞いた。
「……君島さーん! あれ、なんですかー?」
俺は君島のいる、リビングの方へ顔をむけた。
君島の様子はというと、部屋の隅の方にうずくまり、ブルブルと身震いをしていた。
まるで低温の冷凍庫に入れられたような、わかりやすい震え方をしている。
三月も心配そうにその様子を見ている。
「き、君島さん…?」
三月が声をかける。
「…」
三月の声に応じていないのか黙ったままだ。耳をふさいで、自分を守るかのようにうずくまり、震えている。
何かにおびえているんだろうか。あの爆音と黒煙が影響しているのは間違いない。
それが起きるまではいつものようにハイテンションだったのだから。
俺はいったんリビングに入り、君島に声をかけた。
「君島博士。一体どうされたのですか?」
背中をトントンと叩いた。びくん、びくん、と博士の身体は震えていた。
このまま黙っていられても何もわからない。
「すみません、何か返事をいただければ…」
「……ふぅ……」
息を大きく吐いて、ようやく口を開いた。
「あぁ……。すまないね……。私にも何が何だかわからなくて……」
「そう、ですよね……」
そりゃそうだ。あんなものを見たら、誰だって驚くに決まっている。俺ですら驚いたんだから。
しかし、その怯え方は尋常じゃない。
「あいつらだな」
「あいつら…」
君島のその「あいつら」の声に、三月が反応する。
「あいつらが僕を捜しに来たみたいだね」
うずくまりながら、声を震わせて発言をしている。
「捜しに……。それって君島博士とご関係のある方ですか?」
三月が聞く。
「そうだよ……。僕の居場所がバレてしまったようだねぇ」
君島は力なく答える。
「なるほど、それでいつもの調子を崩したんですね」
「そういうことだねぇ」
君島は完全に怯え切っていた。その様子を見ていると、俺でもつらいと感じてしまう。
恐らく、爆発が起きてしばらく時間は経っていないため、まだ現場に行けば何かわかるかもしれない。
そう思った俺は、外出することにした。行先はもちろん、あの黒煙が立ち込めている場所だ。
「三月すまん、俺、あの爆発が起きた場所に行ってくる」
俺は三月にそう声をかけて、君島の家を出た。
「えっ!? 雷児さん!? ちょ、ちょっと待っ――」
三月が俺を止めようとしたが、俺はすでに走り出していた。
「悪い三月!後で戻る!」
それだけ言い残し、俺は現場へと急いだ。
マンションを出て、数メートル先の場所が、黒煙の立ち込めている場所だ。
その爆発は、住宅街で起きたようだ。
くそ、もし爆発が起きた場所が家屋などだったら、そこにいた人たちはただではすまないぞ。
生きていないかもしれないけど、生きていてほしい。
俺は心の中でそう祈りながら、現場へと急行していった。
俺は念のために、片手に竹刀を持っていた。
一応護身のためである。警官に聞かれたら、そう言っておく。そして、俺はついに現場に到着した。
「これは……」
爆発が起きた場所は、幸いと言っていいのかわからないが、子供たちが遊ぶ公園の中だった。
地面は黒く焼け焦げており、煙は未だに消えていない。
俺は公園の中には入らず、入り口の前でじっと、その現場を見つめていた。
逆上がりなどを行うための鉄棒も、無残にぐにゃっと折れ曲がって、地面に突っ伏してしまっていた。
俺の近くに誰かが来る気配がした。振り返るとそこには、三月の姿があった。
「おい!君島さんはどうしたんだ」
「ああ、それが、マンションの部屋でじっとしてもらうことにしました」
三月は青いジャンバーと、紺色のデニムジーンズを身に纏っている。
「そうか。お前も心配で…」
「はい」
「よし、じゃあ俺はここで見張るから、君は君島さんのところに戻ってくれ」
「わかりました。何かあったらすぐに連絡しますので!」
「おう、頼んだぞ!」
俺は三月にそう指示を出し、その場を任せることにした。
三月は足早にマンションに戻ろうとしたが、急に立ち止まってしまう。
というのも、彼女の前に、ある人物が立ちはだかったからだ。
「す、すみません。少し急いでいるので」
三月の前に立ちはだかったのは、黒い肌の外国人風の男だった。
漆黒の軍服に身を包んでおり、目にはサングラスをかけている。身長もかなり高い。
「キミシマハ、ドコダ」
片言の日本語で、その男は喋った。一応日本語は喋ることはできるようだ。
「えっ?」
とまどった顔で、三月が聞き返す。
「キミシマハドコダト、キイテイル」
男は威圧的な雰囲気で、三月を見つめている。三月も警戒していた。
俺もその様子にいち早く気づく。
この男性はどうやら君島博士に用があるらしい。しかし、あの爆発とは何か関係があるんだろうか?
三月が口を開く。
「申し訳ないですが、見かけていませんよ」
三月はきっぱりと答えた。
「フム……。ダガ、GPSデノジョウホウニヨルト、ココニイルトノキジュツガアッタノダガ……」
「……えっ?」
俺も三月も怪しげな男を警戒する。俺は持っている竹刀を後ろに向けた状態にしている。
俺は質問をした。
「ひとつ聞きたい。先ほどの爆発はお前の仕業か?」
その質問に、素直に男は答えてくれた。
「イカニモ。オレハ、キミシマヲツレテイクタメ、イバショノチカクノトコロニチャクチシタ」
比較的被害がなさそうな無人の公園を着地場所に選んだらしい。しかし、着地ってなんだ?
ただ着地しただけで、あんなに派手な爆音や煙は起きるか普通?俺は続けて質問をする。
「どうして君島博士を連れていく必要がある」
「ソレガワレワレノテツダイヲシテモラウカラダ」
「なんの手伝いをしてもらいたいんだ?」
「ソレハオマエニハカンゲケイガナイ。トイウカ、ドウシテキミシマノソンザイヲシッテイル?」
いかん…。下手だな俺も嘘が。
「あ、ああ、実は君島さんとは知り合いでね……。偶然ここを通りかかったときに、爆発音が聞こえたんだ」
俺は咄嵯に思いついた理由を述べた。すると、男は納得したかのように返事を返した。
「ナルホドナ。デハ…」
男の右腕が、銀色に輝く剣に変化した。
「チカラヅクデコタエテモラオウ」
そう男が言うと、俺と三月に襲い掛かった。
俺は男の攻撃を避ける。三月も何とか避けているようだった。
「くそ!いきなりかよ!」
俺は竹刀を構える。
「雷児さん!気をつけてください!こいつ、強いですよ!」
「わかってる!でも、今は戦わなくちゃいけないときだろ!」
俺は竹刀を構える。男の方から向かってきたようだ。
俺は竹刀を持ち、男に対抗した。
男は腕の剣で切り裂こうとしてくる。俺は回避も兼ねて、竹刀をその軌道に振り下ろした。
キンッという金属音が鳴り響く。
竹刀はというと…。受けたものが金属製の刃だったということもあり、傷が入ってしまっていた。
俺の手に衝撃も伝わってくる。これはまずいな……。
「ふん……、ナラバコレハドウダ?」
男はもう片方の腕を変化させ、今度は槍のように尖らせた状態で、こちらに向かってくる。
それを見た三月は…。
「雷児さんっ!手助けします!」
そう叫んだ後、下半身に履いているデニムジーンズを一気にずるっと脱ぎ捨て、白く輝く清純なパンツを丸出しにした後、両手から強烈な突風のような衝撃波を放ったのだった。
「ウオオッ!?」
男は油断していたのか、三月の放った攻撃により、後方へと吹き飛ばされていった。
そして地面をゴロゴロと転がっていく。
「うおおおっ!!」
俺も三月の援護を受け、傷がついた竹刀で男に斬りかかる。
「グッ……!」
男は起き上がり、すぐにまた倒れることとなった。竹刀で斬られた部分からは血が流れ出ている。
「クソガッ!!ナンナノダ、ソノチカラハ……!」
「へへん、これが私の力です。あなたも諦めたらどうですか?」
三月は得意げに言った。白いパンツに包まれた丸くきれいなお尻が美しい。
三月はパンツを丸出しにすると、超人的な力を発揮するのだ。
「ククク……、ナルホド。ヤハリオマエタチガ」
「えっ?」
俺は笑っている男の方を見る。
「オマエタチガカクマッテイルンダナ、キミシマヲ、スバラシイチカラヲモツオトコヲ…」
気づかれてしまったか。しかし仕方がない。
身を守るためのとっさの行動だったのだから。
俺はその男の姿をじっくりと眺め、記憶に収めていた。
胸のところにエンブレムがあるな…。あれはなんだ。十字架?いや違うな……。
あれは…。羽根を広げた鷹のようなものにも見える。近くで見ているわけではないがわからないが。
「ふっ……。残念だが、俺達は何も知らない。ただの通りすがりだよ」
俺は適当な嘘をつくことにした。
「ソウカ。ダガ、コノコトハシッカリト、ホウコクヲサセテモラウカラナ」
男は立ち上がった。先ほどの衝撃波を受けても傷はない模様だ。まあ、吹っ飛ばす程度のものだったのだろうし、ダメージは軽いものだったのだろう。
「ジャア、ゲンキデナ」
男はそう言うと、足からジュー、とロケットの炎のように火を噴きだし、上空に飛んでいった。
どうやら逃げられてしまったようだ。…というか、何なんだその帰り方は。
今どきのギャグマンガでもそんな演出はないぞ。
「くそ!逃したか……」
「雷児さん……」
「大丈夫か?三月」
「はい、なんとか」
「あいつは一体何者なんだ?」
「さあ、私にもわかりません…。あの者が何者なのか」
三月でさえ知らないらしい。まあ、あんな出で立ちの外国人なんて知るはずもない。
俺はとりあえず一件落着したので、竹刀についた汚れを払いながら、竹刀袋の中に戻した。
そして、三月の方を見る。
…いや待て。
三月、さっきまで履いていたジーンズ、どこにやった?
俺は気づくのが遅すぎたのかもしれない。
上半身には厚手の青いジャンバーを羽織っている。そりゃ、冬だから着ていてもなんらおかしいことはない。
しかし、下半身だ。下半身。
可愛くて魅力的な三月の下半身はというと…。
むちむちで魅惑的な太ももとお尻を包んでいるのは、真っ白なパンツ一枚だった。
模様も柄もない。シンプルで清純な、肌触りのよさそうな、純白のパンティだけだった。
足はさすがに黒い靴下と白と青のスニーカーは履いたままだったが。
「み、三月、お前……」
「えっ、あっ!こ、これはですね……」
三月の顔がみるみると赤く染まっていき、やがて耳までも真っ赤になった。
もっと赤くなったのは俺の方だった。
「すまん三月。なんで君がパンツ丸出しでここにいるのか、簡単に説明願いたいんだがぁ~…」
俺はパンツから目を背けるように、三月の目を見て話した。
「はううぅ……。それは……その……、実はですね、私、パンツを丸出しにすると途端にものすごーく強くなるんですけどぉ……」
「それで……?」
「履いてるパンツを見せることですっごい力を発揮できちゃうんです」
にわかに信じがたい。こんな破廉恥な姿の女の子が、ズボンを脱いだ途端にあんな突風を巻き起こしたとは。
あれ?でも待てよ。以前俺はこんな様子を見たことがある。あるんだ。
そうだ。俺は、古くからの友人で、天川財閥や君島博士と交友のある、黒金誠司から、「パンツを丸出しにして超人的な力を解き放つ少女」の動画を見せられたのだった。
俺は思考を回転させ、ようやく思い出した。
それ以前にも、北陸地方の漁港で漁師の娘がパンツを丸出しにして漁船の上で舞い、大量の魚を呼び寄せた様子もこの目で見たこともあった。
つまりはそういうことなのだ。
「えっと、つまりだな、三月。君はいわゆる、パンツパワーというものを使うことができるのか?」
「ええ。恥ずかしいですけど……」
「ふうん……」
俺は改めて三月の格好を見る。
俺の目の前にいるのは白いパンツを丸出しにした、財閥育ちのお嬢様だ。
そのパンツは俺も何度か見たことのある、青いリボンが可愛らしくワンポイントの、清純で清潔なパンツだ。
太もものむちむち具合。ぷりんとしていてハリのある、丸くて大きなお尻。そして、俺の大好きな彼女の顔と、すらりと伸びた手足。全てが美しい。
「はあ……、やっぱり可愛いな」
「ふぇっ!?」
俺は思わず本音を漏らしてしまった。
「あ、あの、雷児さん……。わ、私のパンツ、そんなにジロジロ見て…。ど、どうしてですか?もしかして、見惚れているとか……」
「あ、ああ、悪い。つい見てしまった。あまりにも綺麗だったからな」
「へっ?き、きれいって……。あ、ありがとうございます。そ、その、嬉しいです」
三月は照れながら笑ってくれた。怒りそうかと思いきや、意外とそうでもないらしい。
「じゃあ三月。博士が待ってるから、帰ろうか」
「はあ…」
下半身が寒そうだな。早くズボンを履いてもらわないと。
「そうとなったら、ジーンズ履いて!」
俺はそう言いながら、三月のむちむちでぷるぷるの、パンツに包まれたお尻をパン、と手のひらで叩いた。
「ひゃっ!?」
生に近いお尻を俺に触られたのか、三月が顔を赤らめて悲鳴を上げる。
そして、若干ジャンプする。
その後、三月はしかめっ面で俺の方を見て、
「もう!バカーッ!!」
そう言った後、純白のパンツに包まれたお尻を俺の方にむけ、
「ぷぅーっ!!」
と、ものすごく大きな音で、先ほど放たれた突風と同じほどの勢いのあるおならを、俺の方に向けて放射した。
俺は完全に油断していたのか、その風速の測定ができそうにないおならをもろにくらい、吹き飛ばされた。
「ぐおおおっ!?み、三月、お前……」
俺は住宅地の壁に叩きつけられた。痛い。背中がめちゃくちゃに痛い。
「バカァ~!!雷児さんの変態ぃ~!!!」
三月は涙目になって叫びながら、急いでジーンズを履いた。……ふう。でもよかった。これで安心だ。
こうして俺たちは、君島の待つマンションへと帰ったのだった。