天川財閥の会長夫人、天川月実に連れられて台湾から数名、男がやってきた。
ひとりは高身長で、スキンヘッドの大男、リーチェン。 彼は台湾の格闘家にして、会社経営のプロだ。 黒い背広のスーツを着ている。いかにもインテリかつ厳格な外見をしている。
もうひとりは、長身痩躯の男、ロン。 リーチェンと同じぐらいの年齢で、同じく格闘技を習得している男だ。 黒く長い髪を伸ばしており、顔立ちも整っているが、表情に乏しい。
そして最後のひとりは、丸々と太った大男、チエンだ。 まるで雪だるまを思わせるような体系をしているが、これでも台湾でも名の知れた格闘家であり、台湾料理店の店長も努めている。 白いタンクトップを着ている。
そんな彼らだが、日本に伝わるある噂を聞いていた。 いまの日本には、ズボンやスカートを脱いで、パンツを丸出しにすると超人的な能力を発揮するという少女たちがいるという噂だ。 にわかには信じがたい話なのだが、本当に実在しているのだという。
それにはある科学者の存在が関係していた。 その科学者の名は「君島アラン」。
その君島が、何やらそのパンツとやらを開発・研究をしているそうだ。 そのパンツの素材には「異界からとれた素材」を使用しているそうなのだが、真相は不明。 調べようとしても「異界」が見当たらないためだ。 情報を提供したのは月実だった。
なんでも、月実にはふたりの娘がいて、双子なのだそうだが、その子供たちが噂の「パンツ」を身に付けているのだという。 2人とも白銀色の長い髪を青いリボンで可愛らしく飾りつけており、その容姿は瓜二つだという。 聖マリア国際高等学校という、名古屋でも名門の女子高に通っているそうだ。
彼女たちは、その「異界からの素材により作られたパンツ」を丸出しにすることで、超人的な力を発揮できるらしいのだ。 それを聞いたリーチェンたちは興味を持ち、その様子を見た月実はもしよければ来日して真相を確かめてみてはどうか、と提案したのだ。
こうして、3人の台湾人が来日を果たしたのだった。 しかし、台湾人のリーチェン、ロン、チエンにとっては、海外である日本は興味深いものがたくさんあった。 月実とその家族が住むとされている名古屋へと飛行機で降り立つと、そこには「名古屋名物」とされる食べ物が多く存在していた。
なかでも驚いたのが、「味噌カツ」と呼ばれる料理だ。 豚ロース肉に甘辛いソースをかけたもので、その味はとても美味しいものだった。 他にもきしめんやひつまぶしといったものが存在するようだ。
リーチェンたちはその名古屋の伝統的な食べ物に舌鼓を打った。 飲食店を経営しているチエンにとっては、衝撃的な味だった。
日本にこんなにもおいしいものがあるのか、と思ったほどだ。 こうして、彼らは日本の文化に触れたりしながら、名古屋での日々を過ごした。
栄にあるテレビ塔に登ったり、動物園でコアラなどの動物を見物したり、大須観音でお参りし、大量の鳩に遭遇したり…。
少女のパンツそっちのけで、いつの間にか名古屋を堪能してしまっていた。 目的をすっかり忘れてしまっていたのだ。 しかし、仕事三昧のリーチェンたちにとっては、なかなかの息抜きであった。 ある時はデスクワーク、またある時は格闘技の鍛錬、そしてまたある時は格闘家との対戦…。
台湾での彼らの生活は実にハードワークであった。 だから、こうした休暇はとてもありがたかった。 リーチェンたちも、いつしかこの名古屋に愛着を抱くようになっていった。
しかしある日のことだった。
プルルルルル…。
名古屋駅付近の居酒屋で酒盛りをしていた時だった。 ウーロンハイを飲んでいたリーチェンのスマホに、着信が来ていた。 慌ててリーチェンはトイレに駆け込み、電話をとる。
『もしもし、リーさん?私よ』
電話の相手は、天川月実。自分たちを名古屋へと導いた女性だ。
「あ、お世話になってます。リーチェンです」
リーチェンの口から、少しなまりがちな日本語が飛び出す。
『ごめんなさいね、突然電話なんかかけちゃって。実はね、お願いがあって電話をしたんだけど……』
「えぇと、なんでしょうか?」
『それがね、格闘技の訓練を教えてほしいの』
月実のその言葉を聞き、酒で少しうとついていたリーチェンの目が覚める。
「はい。ですが、あなたにですか?」
『いいえ。あなたたちが担当するのは、私の娘たちとその同級生たち。あなたたちが知りたがっている『パンツ』を履いてる子たちよ』
「…!」
リーチェンの目が見開かれる。 彼は噂が本当であることを確信した。 「パンツ」を丸出しにすると超人的な能力を発揮する少女たちがいるということを。
(なるほど、そういうことか)
そこでようやく理解したリーチェンは口を開く。
「そうなんですか。しかし、なぜなんでしょうか」 『あの子たちはまともな格闘術を身に付けていないと思って。そこで、手慣れたあなたたちに手ほどきをしてほしいのよ』
「はぁ…」
『心配はいらないわ。私のかわいい後輩を会場に送り込むつもり。今はあの子たちの担当よ』
「わかりました。引き受けましょう」
リーチェンはそう返事をする。
『ありがとう!今度の訓練の場所の会場を、早速送信するわね』
「お願いします」
リーチェンは月実との通話を終えると、席に戻る。 そして、酒を飲んでいるロンとチエンの元へと帰ってきた。
「なんだ、どうしたんだ」
ビールを飲んでいたロンが気になった様子で話しかけてきた。顔が赤い。 「ツキミからだ。なんでも、噂の女の子たちに稽古をつけてほしいそうだ」
「おっ!本当にいるんだな!」
チエンが嬉しそうな顔をする。彼はレバ刺しを食べていた。
「らしいぞ。もう来てるかな…。ん?旅館?旅館かぁ…。三重県?」
月実から訓練の会場の場所の情報が記載されたメールが、リーチェンのスマホに来ていた。 場所は三重県の田舎の方にある、大きな旅館のようだ。
「愛知から三重か」
ロンがビールを飲み終え、若干へべれけになっていた。日本のビールの味は、うまかったようだ。
「残念だ。送り届けてはくれないみたいだな」
来ていたメールには「当日送ります」みたいな送信は来ていなかった。 どうやら、自分たちで現地に赴かなければならないようだ。
「厳しいな、ツキミは」
「そう文句を言っても仕方がない。例の女たちに合わせてもらえるだけ、ありがたく思おうぜ」
若干落胆しているチエンを、リーチェンは慰めた。こうして、リーチェンたちは急遽、三重県へと向かうことになった。
名古屋から三重の旅館へと向かう3人は、借りたレンタカーに乗り、会話をしていた。 彼らが借りたのは、銀色のステップワゴンだった。
「さっきの話だけど、リーチェンは女の戦い方を知ってるか?」
チエンが唐突に質問してきた。運転しているリーチェンが回答する。
「女って例のパンツの?」
「そうだ」
リーチェンはあくまで噂だけを聞いただけなので、実物を見ているわけではない。
「超人的な能力…、か。なんだろう。エスパーとか、そんなものかな?」
「まあともかく、あの紹介された旅館に向かえば、すべてわかるだろうな」
ロンが後ろの座席に座りたばこを吸っていた。 運転席にいたリーチェンは座席の窓を開けていたので、副流煙を吸い込まずに済んでいた。 リーチェンたちが乗った車は、速度を上げて現場へと向かっていった。 そして、数時間後……。
「ついたー!」
リーチェンの運転で到着したそこは、立派な旅館だった。 駐車場に車を停めた彼らは、荷物を持って車を出る。
「おお、なかなかいいところじゃないか」
「うん。なかなかいい場所だ」
ロンとチエンは辺りを見回した。青々とした木々がそびえたつ山をバックにした旅館だ。 1泊が何万円するかもわからない、豪勢な旅館だった。 旅館にはゴルフ場もあるみたいだ。
「ここであの娘たちに会えるのか」
「楽しみだなぁ」
リーチェンがつぶやくと、チエンはウキウキしながら答える。 しかし、リーチェンだけは少し緊張していた。 これから会う少女がどんな人物なのか、想像できないからだ。
「おい、行くぞ」
ロンの声で、彼らは旅館の中へと入っていった。 そして、旅館の従業員に案内され、部屋へと通された。 畳が敷かれており、高級感あふれる空間だった。 3人が座布団の上に腰かける。
「いい旅館だな」
「ああ。いい旅館だ」
「こんな場所に連れてきてくれるなんて、ツキミはいい女だぜ」
三者三様の言葉を口にした。
それから数分後、部屋の襖が開いた。
浴衣を着た女性が、木製の箱を持って現れた。
「ご宿泊中の皆様。こちら、天川月実様より賜った、品です。なんでもそれをつけて『稽古』をしてほしいとのこと」
「おぉ…。ご苦労さん」
その言葉を聞き、チエンが少しためらいがちに言った。 その箱を入り口近くに置き、女性が去っていく。
「なんだこりゃ」
気になったロンがその置かれた木箱を開ける。木箱の蓋を床に置き、中を確認した。 そこには真っ白な布のようなものが入っており、その上に置手紙のような紙があった。
「これなんだ?手紙?」
「ツキミからかな」
リーチェンとチエンが顔を合わせ、その紙が何なのかを予想する。 ロンが2人の元まで歩いてきて、それを拾い上げ、読み上げた。
『これはふんどしと呼ばれる布です。それを身に着けて、特訓を行ってください。つけ方は、箱の中に入っている紙に書いています。しっかり読んでつけてね』
ロンはその文面を見て、苦笑した。
「なるほど、すなわちこれはパンツか。あの少女たちと同じ雰囲気を味わえというわけだね」
ロンはその白いふんどしを手に、にやけている。
「しかし、日本伝統のふんどしを身に着けてやるとは、これぞ未知の体験ってやつだな」
リーチェンはそう言いながら、ふんどしの入った箱から紙を取り出す。
「どれ……」
彼はそこに書かれている、ふんどしの付け方を眺める。 「……うーん、なになに。まずは足を通すところからか」
彼はそう言うと、立ち上がってズボンを脱ぎ、それから履いている青いボクサーブリーフを脱ぎ、それを畳の上に置いた。 リーチェンの大きくて立派なモノが、姿を見せる。ぶらさげている玉袋も、なかなかの大きさだ。
「ほう、お前のは大きいな」
チエンがまじまじと彼の股間を見ながら、感想を述べる。そして、リーチェン同様、ズボンとパンツを下ろして、チンポを露出させる。足に履いている靴下はそのままだ。
「ありがとう」
褒められてないのに、なぜか礼を言うリーチェン。 そして、彼は下半身裸になり、純白のふんどしを早速身につけることにした。
「こうしたらいいのか」
箱の中にふんどしと一緒に入っていた説明書きを参照しながら、チエンはふんどしを股間につけていった。 そうしている内に、チエンの股間に、真っ白で汚れひとつないふんどしが巻き付けられた。 もとより大きな男根が、ふんどし越しにもっこり膨らんでいる。
ロンもズボンとブリーフを脱いでちんちんを見せ、ふんどしを装着した。リーチェンと同じように、大きなモノがふんどしに圧迫されている。
「おお、意外といい感じだ」
「いいなぁ」
「俺も結構いいと思う」
彼らは互いに見せ合い、感想を述べ合った。 たくましい台湾人3人は、こうして股間にふんどしを身に着けることができた。
そして、訓練の時間を待つため、ズボンを履きなおしたのだった。
そして時はきた。
聖マリア国際高等学校に所属している、噂に聞く「パンツ丸出しの超人少女」たちが、やってきたそうだ。 彼女たちを乗せた旅館のマイクロバスが、到着したようだ。 それを聞いたリーチェンたちが反応する。 彼らは今、自分たちの部屋でトランプでポーカーをやっていた。 旅館の仲居の女性が知らせに来る。
「リーチェン様、ロン様、チエン様。御一行が到着いたしました」
「おお。そうか。ありがとうな」
ロンが礼を言い、仲居がどこかへと消えた。
「楽しみになってきたよ」
リーチェンが微笑む。同時に、ふんどしに包まれた股間が反応を見せたようだ。
それから数分後、リーチェンたちは部屋を移していた。
ここは旅館内にある、大きな部屋だった。
ここは本来、宴会などを行うときに使用する部屋なのだが、今回特別に特訓用として貸してもらうことができた。月実のおかげだ。
「で、ここで待てゃいいのか」
ロンが、スマホを片手に持っているリーチェンに確認をとる。
「ああ。しばらく待てば担任と生徒諸君が来るってさ」 月実からの連絡で、ここに移動して待機してほしいとあったため、リーチェンたちはここで待っていた。 宴会にてカラオケを歌う際に使う、ステージにて彼らは立っていた。 もちろんここで歌を披露するわけではない。
「へぇ……。カラオケまであるんだね」
チエンは感心したようにつぶやく。
「日本じゃ昔はこれが当たり前だったそうだな。俺らの国とはえらい違いだ」
ロンがニヤリと笑いながら言った。 近くの国とはいえど、やはり日本は台湾の人間たちにとっては異国のようだ。
そんな感じで会話をしていると、部屋にひとりの女性がやってきた。 黒いウェーブがかった髪に、胸元を強調させた黒いTシャツと、ミニスカートを履いていた。 胸は恐らく見るからにD以上はありそうな巨乳だ。
「あんたは?」
チエンがその女性に話しかけた。
「はじめまして、私は、聖マリア国際高校の学校医で、神城雪恵と言います」
「おぉ!先生かい!」
リーチェンが嬉しそうに反応し、その女性のところまで歩いていった。
「あ、あの……」
そんなリーチェンに戸惑うその女教師・雪恵に対し、リーチェンは彼女の手を取り、握手をした。
「どうもどうも。私は月実さんの知り合いのリーチェンです。台湾から来ました」
「ど、どうも…」
雪恵の反応が、少し遅れた。
「リーチェンはね、女たらしなんだ」
ロンが横から茶々を入れる。
「おいこら、やめろ」
リーチェンは苦笑する。
「ははははは」
ロンが笑った。
「あなたたちが今日、あの子たちに格闘術を教えてくれる方たちね?今日はビシバシしごいてやってね」
雪恵が笑顔で言う。
「はい、任せてください」
3人が返事をする。
「それで、あの……、みなさん、例のアレ、つけておいでですか……?」
雪恵が不思議そうに、3人の股間を眺める。ズボンを履いているため、今はつけているふんどしは見えない。 「ええ、ええ。準備ばっちりですよ」
リーチェンがガッツポーズをした。 チエンがそんな彼を見てクスッと笑う。
「じゃあしばらく待っててもらえますか。あの子たちにも準備を整えさせてから、こちらに案内しますので」 「はい。いいですよ」
ロンが答えた。 そして、30分後、再び雪恵が現れた。 「お待たせいたしました」
雪恵が言うと、待機時間中にわくわくしていたリーチェンたちは神妙な顔になった。 これから、リーチェンたち台湾人による、旅館内での特訓がはじまる。 リーチェンたちは今、旅館内の大部屋にいた。
「じゃあ、入りなさい」
と、雪恵の声がした。 その声に応じるかのように、リーチェンたちのいる部屋に、ぞろぞろと、学校指定のジャージを身に着けた少女たちが入ってきた。
少女たちは部屋に入り、ぶつからないよう距離をとり、列を作る。 リーチェンたちはそれを黙って見守る。そして、彼女たちの格好をじっくり観察する。
少女たちは同じデザインのジャージを着ているが、身長やスタイルは違っていた。
中でも目を引くのが、白銀色の長い髪をしており、それを青いリボンで飾り付けをしたふたりの少女だった。 彼女たちこそが、月実の娘である、双子の姉妹だ。 顔たちも胸の膨らみも、ほぼ一致している。ただ、姉のほうが妹よりも若干背が高いようだ。
また、姉妹ともに、顔立ちは整っている。 そんな2人は、履いているズボンの中には、おそらく例のパンツを身につけているのだろう。そうリーチェンたちは思っていた。
だが、彼女らは力士ではない。れっきとした女子高生だ。 そんな少女たちがパンツ丸出しで超人的な力を発揮するとは、にわかにも信じがたい。 だが、月実たちがそう言うのだから、事実なのだろうとリーチェンたちは思った。
「では、これより聖マリア国際高等学校、戦乙女の修練を執り行いたいと思います。お三方、自己紹介をお願いします」
雪恵がリーチェンたちに自己紹介を促した。
「えー、みなさんこんにちは。台湾から来た、会社経営者兼格闘家の、リーチェンと申します」
「同じくチエンです。台湾で飲食店をやってます」
「ロンといいます。今日はよろしく」
3人はそれぞれ自己紹介をした。 生徒たちが、
「よろしくお願いします」
と一斉に挨拶をする。 そして、双方軽く頭を下げて、あいさつを済ませた。 その後、雪恵が説明を始めた。 「まず最初に、皆さんに聞いておきたいことがあります」
雪恵は真剣な表情になり、生徒一同を見渡す。
「あなたたちは、なぜこの修練に参加したか、わかりますか?」
それを聞いた生徒たちが、互いに顔を見合わせながら、ざわつきはじめた。 そんな様子を見たリーチェンが口を開いた。
「えー、みなさん。あなたたちは不思議なパンツを履いている。それを丸出しにすれば、あら不思議。すごーい力を出せちゃいます。ですが、そのパンツだけに強さを頼っていませんか?」
リーチェンがそう言い、生徒たちが静かになる。
「今日はそんなあなたたちに、格闘技のプロである我々が、稽古をつけたくてここに来ました」
皆、真剣に話を聞いている。
「我々は、格闘家です。私達の技のテクニック、そして運動のコツを教えたいと思います。なので、安心して稽古に励んでくださいね」
「はい!」
生徒が返事をした。
「いい反応だ」
ロンが微笑んだ。
「はい、ありがとうございます。では、まずは準備運動として、ラジオ体操をやりましょう!」
「はい!!」
元気よく返事をする。 こうして、少女たちの修練がはじまった。