守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
レストランにて、甘い空気が漂っていた。周りの皆は甘い空気に砂糖を吐きそうになりながらも、甘い空気の発生源を見ていた。
そこには……
「おっ、これ美味いな。もう一口くれないか?」
「良いですよ。その代わりにそのグラタンをもう一口ください」
「良いぞ。ほらよひより、あーん」
「あーん……やっぱり美味しいです。では私もあげますね。はい狂夜君、あーん」
「んっ……やっぱり美味いな」
狂夜とひよりが向かい合って飯を食べているのだが、今現在2人は互いにあーんをしていたのだ。
しかもそれだけじゃなく、レストランに入ってきた際は甘い空気を放ちながら腕を組んでいて、席に着いたら狂夜がひよりの頭を撫で撫でしたり、ひよりが狂夜の口元を拭いたり、挙句は1つの飲み物を2つのストローで一緒に飲むなど最早バカップルのレベルでイチャイチャしていた。
しかしそれでも2人は付き合っていない。互いに親友とは思っているが、互いに親友の時点で満たされていてそれより先に進んでおらず、本人達も恋人になると考えていなかった。
「……お待たせしました。デザートになります」
ここで店員が甘い空気に耐えながらも狂夜の前にパフェを、ひよりの前にシャーベットを出す。
店員がそそくさと去る中、2人は各々のデザートを食べるが、半分くらい食べたあたりで……
「狂夜君、あーんです」
「ひより、あーん」
互いのデザートを食べさし合いをして甘い空気を撒き散らし、食後はひよりが試験の内容を聞くまでデッキで抱き合ってそこでも甘い空気を撒き散らしていたのだった。
「さて、そろそろ時間か。済まんがひより。今日はもう解散だ。また今度な」
8時25分、俺はラウンジにてそう告げる。ひよりが試験を聞いてからまたラウンジで互いの温もりを感じ合っていたが、俺はそろそろ指定された場所に向かわないといけない。
「そうですね……あの、狂夜君」
「何だ?」
「明日から試験があるので一緒に過ごすのは難しいですけど、試験が終わったらまたこうして一緒に過ごす時間を作ってくれませんか?」
「もちろんだ。時間は作る」
「ありがとうございます。楽しみにしてますね」
「ああ」
最後にもう一回ギュッとしてから、ひよりとの抱擁を解いて近くのエレベーターに乗って指定された階に向かう。
そして目的の階層に付いたので降りると先客がいる。廊下にて龍園が有栖と葛城と向かい合っている。ただし有栖は笑っていて葛城は物凄く苦い表情だ。
その近くでは綾小路が森下を膝の上に乗せて見守っているがどういう状況だ。
と、ここで龍園が俺に気づいて手招きしてくるので近寄ると、何故か有栖がジト目で見ているが口にはしてないので後で聞いてみようか。
「何してんだお前ら?喧嘩か?」
「失礼な奴だな。俺は単に仲違いしていた坂柳派と葛城派が仲良くなって良かったなって褒めただけだぜ?」
「……っ!」
龍園の悪意ある笑みに葛城は下唇を噛み悔しさを露わにする。
龍園の言うように現在坂柳派と葛城派は仲違いをしていない。葛城派が軸となった無人島試験で惨敗したのにだ。
理由は簡単で俺と龍園と恵が自分のクラスを利用して「BクラスからDクラスがAクラスを叩いたのは、自分がAクラスだからと他クラスを見下した戸塚にムカついたから」って噂を流した。
更に有栖が自身の派閥のメンバーに「悪いのは全て戸塚だから葛城や戸塚以外の葛城派のメンバーは悪くないし、考え方は違っても必要以上に争うのは止めよう」と命じた。
有栖の命令を受けた坂柳派は戸塚以外の葛城派メンバーに「お前達も戸塚の被害者だから無人島試験の結果は気にするな」と言って、葛城派のメンバーとの蟠りを解いたのだ。
結果としてAクラスにおける無人島試験の大敗の責任は全てに戸塚にあるという考えが学年全体に伝播して、戸塚は学年中の嫌われ者になってしまった。
葛城としては到底納得出来ないかもしれないが動けないだろう。現状、両派閥の蟠りは解けてるし、何より戸塚がレストランで発言した内容がBクラス以下を敵に回してもおかしくない内容なのだから。
加えて無人島試験の敗因を真澄や山村や森下に押し付けようとした挙句、無罪を証明したのに「俺は悪くない」の一点張りだし、嫌われない方がおかしい。
これについては葛城どころか龍園や俺、有栖でも無理だろう。ハッキリ言って奴の態度はクソだしな。
そんな風に思っていると……
「あ、狂夜達もこのグループなんだ」
エレベーターから出てきたのは恵、櫛田、一之瀬、神崎だった。
「どうやらこのグループは発言力が強い生徒が集められたようだな」
神崎が右端にいる葛城から左足にいる綾小路を見てそう告げる。
「いや、オレと藍は違うぞ。藍が終わる時間に迎えに来て、そのまま膝に乗せてるだけだ」
「清隆によって清隆の膝に乗せられてます」
無表情コンビがそう告げると空気が緩くなるのがわかる。このヘンテココンビは見ていて飽きないな……
と、ここでまたエレベーターのドアが開くが……
「は?何で堀北さんがいるの?」
恵の言うように堀北がエレベーターが出てくる。ただし腕には包帯がギチギチに巻かれている。綾小路に関節を外され、ハメ直されたら大事を取っているのだろう。
「……今から試験の説明を受けるからに決まってるじゃない」
「ふむ……そうなると発言力の強い人間が集まるというのは違うようだ。Dクラスの疫病神が来るはずがないからな」
神崎がそう呟くと大半が意外そうに見てくる。
「意外だな。お前が堂々と毒を吐くなんて」
葛城が意外そうに神崎に話しかけると神崎は憮然とした表情になる。
「当たり前だ。鳳橋が身を粉にして作り上げたベースキャンプを暗黙の了解を破る形で踏み躙っておきながら謝罪の1つもしない人間に毒の1つや2つも吐きたくなる」
「まあそうだよな。軽井沢や櫛田なんかはCクラスの生徒に謝罪をしてるってのに、生きてて恥ずかしくないのか?」
龍園がケラケラ笑いながら堀北を見ると、堀北は歯を食い縛り、握り拳を作り始める。
「あー、ウチのクラスのお荷物が迷惑をかけたわね」
「ねぇ、堀北さん。今からでも謝った方が良いんじゃないかな?堀北さんがクラスの為に動いたのはわかったけど、結果的にCクラスに迷惑をかけたんだし。謝るのが1番だよ……ね?謝ろっか?」
恵が呆れ混じりに謝罪して櫛田が堀北に対して謝るように提案する。
「よせ。謝意のない奴に謝られても不愉快になるだけだ。堀北然り、須藤然り、山内然り、池然り、戸塚然り、白波然り……世の中にはどうしようもない奴が存在するんだから」
どうせ堀北が謝っても謝意を感じれるはずがないからな。
そう呟くと周りの人の大半が頷く。そして一之瀬は苦い顔をするだけで咎めてこない。
仲間思いの一之瀬が咎めない時点で白波のクソっぷりに辟易しているようだ。
「……不愉快ね。あんな低脳な連中と一緒にされるなんて」
「クラスに迷惑をかけている時点で同じレベルだと思いますよ。しかし何故堀北さんがこのグループに?」
と、ここで我慢出来なくなったのか反論する堀北だが有栖は全く気にしていない態度で独り言を呟く。
確かに堀北以外のメンバーは大小差はあれど人の上に立った人間であり、明らかに堀北は場違いだ。
「アレじゃないか?傲慢な堀北に身の程を知って貰おうと教師が仕組んだとか?」
『それだ(です)!』
綾小路の呟きに俺、龍園、有栖、神崎、恵は同時に賛成する。綾小路の発言は理にかなってるし納得だ。
「疑問が解けたぜ。それなら堀北がいてもおかしくないな……っと、そろそろ時間だから行くぞ。またな綾小路」
「ああ……お前らも頑張れよ。特に堀北は腕を怪我しているんだから無理はするな」
「っ!」
堀北は綾小路の発言に怒りを宿しながらひと足先に部屋に入っていく。
さて、バカのいびりも終わったし、俺達も行くとしようか。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで