守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「あー、やっと終わった……」
午前6時、俺は眠気を感じながらも伸びをする。流石に簡易テキストと19人分の対策プリントを5科目分作るのは負担が大きい。
しかし1番重要な仕事は完了したので後は指導だけだが、これについては中学時代から経験しているので大して苦ではない。
そう思いながら俺は立ち上がり、パジャマからジャージに着替えて外に出る。今から寝たら絶対に寝坊するのは目に見えているので走り込みをして眠気を覚ます必要がある。
そしてエレベーターの前に立って下ボタンを押すとエレベーターが降りてくるが……
「……鳳橋」
そこにいたのは平田だった。ジャージを着ているので走り込みをするようだが、軽井沢の言うように瞳が死んでいて明らかにヤバい空気を醸し出している。
「何だよ、後下に行くからそこを「今すぐあの契約を破棄しろ……」は?嫌に決まってんだろ。そもそも学校が認めた契約だぞ」
平田はエレベーターから降りて俺の方によってくる。
「煩い……!破棄しろって言っているんだ……!」
「借りたものを返すのは当たり前の事だ。金銭管理が出来てない奴等が悪い。しかも聞いた話じゃ真面目な奴に立て替えろって喚くクズみたいだな。そんなクズ共を消してやるんだから感謝される事はあっても恨まれる筋合いはねぇよ」
俺は悪意全開の挑発をしながら平田の横を通り過ぎてエレベーターの方に向かう。それにより平田に背中を晒すことになるが……是非とも殴ってこい。
そこまで考えながらエレベーターに乗ろうとすると足払いをかけられて、地面に倒れ平田は俺に馬乗りになってくる。
「破棄しろ……しないなら破棄するまで殴り続ける……」
「何言ってんだ?悪いのはアイツらだし退学した方が「煩い!」ごふっ!いきなりだな……」
平田は俺の頬を殴ってくる。口内に鈍い痛みが広がってくるがそれに耐える。
「良いから破棄しろ……お前のやり方は間違ってる……!」
「だから学校が認めたんだから「そんなもの関係ない……!」がふっ!「破棄しろって言っているんだ!」げふっ!ぐぁっ!」
平田は連続で俺の顔面を殴ってくる。それによって意識を飛ばしそうになる。ここまで殴られるのは久しぶりである。
(だ、が……チャンスだ)
本当は軽い暴力を誘導して停学をネタに少し強請るつもりだった。しかしここまで殴ってくるのは予想外だった。
ならばこのまま警察沙汰にしてやろう。
「お、断りだ……俺は金と人が苦しむ姿が大好きな「ふざけるな!早く破棄する事を認めろ……!」ぐぎぃっ!」
顎や口にも拳が当たり、激痛と共に歯が取れるのが目に入る。正直言って物凄く痛くて意識が飛びそうだがもうちょっと殴られれば俺の勝ちだ。
そう思いながら俺は殴られまくり更に歯が取れたり、鼻の骨が折れて、声にならない声を上げていると背後のドアが開き……
「っ!おい平田!何をしているっ!?」
クラスメイトの神崎が出てきて平田と俺を引き剥がし、そのまま腕を押さえ込む。
「離せよ神崎……!鳳橋に騙された皆を守らないと……!」
「だからってやり過ぎだ!これは犯罪だ!」
神崎は平田を拘束しながら近くにある火災報知器を鳴らす。それにより周りに喧しい警報音が鳴る。火災報知器を鳴らせば管理人が来るので通報の為に押したのだと思う。
暫くするとこの階の部屋に住む面々がドアから出てきてギョッとした表情を浮かべて、管理人のおばちゃんもエレベーターからやってくる。
「大丈夫かい?!今、学校とケヤキモールの病院に連絡するから待ってな!」
おばちゃんがそのまま携帯を取り出して通報する。俺の勝ちだ……警察沙汰を匂わせてテメェの両親から搾り取ってやる。
俺は激痛に耐えながら平田を嘲笑い、そのまま意識を手放す。
ただ、目が閉じる直前にニヤニヤ笑いを浮かべる龍園が印象的だった。
「はい。じゃあ知ってると思うけど報告ね。今日の朝Dクラスの平田君がウチの鳳橋君に思い切り暴力を振るって、鳳橋君はケヤキモールの病院に行ってるから」
Cクラスの教室にて星之宮がCクラスの生徒に説明する。しかしCクラスの生徒は既に知っている。寮の廊下で起こった事件なのだから。
更に平田が昨日から人が変わったようにクラスメイトに借金返済の協力を暴力で強いていた事が広まり、朝の神崎の証言から例の契約を破棄する為に暴力をを振るったのだと容易に推測できた。
「それで先生。鳳橋君は大丈夫なんですか?」
クラスの代表候補の一之瀬が心配そうに尋ねると星之宮は呆れ顔を浮かべる。
「鼻の骨が折れて、歯が数本無くなったけど大丈夫だと思うよ。ついさっきお見舞いに行ったけど彼、「今回は警察沙汰に出来る事態だから互いの親を呼んで平田の親から金を毟り取ってやる」って張り切ってたし」
星之宮の言葉にクラスの大半が戦慄する。金好きなのはわかっていたが、そこまでとは思わなかった。
「先生。今回の件ですが学校側はどう判断してるんですか?」
「監視カメラを見たら平田君は背後から鳳橋君に攻撃して転ばせてから馬乗りになって殴打してたけど、これは明らかな暴力行為だね。クラスメイトの為って言い訳は通すつもりはないし退学は確定で、警察沙汰にするか示談にするかは後日保護者を含めて話し合う感じ。非常事態の場合は外部から保護者を呼べるからね」
まあ星之宮は100%狂夜側が金を毟り取ると考えている。狂夜の父親は元ヤクザ……それも全国屈指の過激派ヤクザの暴鮫組の元幹部で、母親は専業主婦であるが闇金との繋がりがあると疑いがある。
どんな親かわからないが息子の傍若無人っぷりを見ると、間違いなくヤバい人間である事は容易に想像出来る。
(多分担任の私も立会人として参加しないといけないけど……憂鬱だなぁ)
星之宮は数日後に行われる話し合いを想像して頭痛と胃痛を感じつつ、放課後になったら薬局に行くと決意したのだった。
「……わかりました。そうですね……3日後の5日の夕方にお願いします……はい、わかりました。では息子を宜しくお願いします……ふぅ」
とある屋敷の玄関付近、左目に大きな切り傷をつけた男性は息を吐いて、小指がない左手に持つ受話器を電話に置く。
「貴方、息子って言っていたけど狂夜の高校から?」
男性に話しかけるのは眼鏡をかけた女性。エプロンを身につけ、両手に大量の札束と帳簿と通帳を持ちながら不思議そうに見てくる。
「ああ。何でもヒラタヨウスケって奴が狂夜を散々殴ったらしく、ソイツが退学する前に狂夜が保護者も交えてと話をつけたいと希望してな。3日後の夕方に高度育成高等学校に行くぞ」
「わかったわ。じゃあそれまでにヒラタヨウスケとその家族の情報を調べられるだけ調べておくわ」
女性は穏やかの口調でそう言うが、瞳は夜叉のように冷たくて鋭い。
「俺の方も組の連中に頼んで情報を集める。そして世間話のネタにしようじゃないか」
男性がニヤリと笑うと女性の方もニヤリと笑う。世間一般的に見れば間違いなく悪魔の笑みを浮かべる2人が考える事は同じである。
絶対に金儲けの為に殴られた息子の為、相手から金を毟れるだけ毟れるように協力しよう。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで