守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「もう我慢出来ねぇ!やり返そうぜ!」
「ダメ!向こうの目的はこっちに暴力を振るわせる事だよ!」
図書室にて1人の男子の叫びに一之瀬はキッパリと拒否する。一之瀬のグループは図書室で勉強会を開いているが、図書室に向かうまでや図書室に着いてからBクラスからちょっかいをかけられている。
今もくしゃみをした男子に「煩い」「口を押さえろ」「常識はないのか」と嫌味を吐いてきて、一之瀬のグループのフラストレーションは高まっている。
しかしここで暴力に走ったら負けであるのは明白。今朝、鳳橋に暴力を振るった平田の退学を告げられたからだ。流石に骨でも折らない限り退学にならないとは思うが、怪我をさせたら停学になる可能性は充分にある。
鳳橋なら煽り返して相手の逆鱗を踏みにじり、逆に暴力を誘発するくらい事をやるが、善性の塊の一之瀬にはそのような考えに辿り着かない。尤も辿り着いても実行する気はないが。
どうしたものかと一之瀬が悩んでいるとメールが鳴る。見れば友人の網倉からであり……
「皆。今麻子ちゃんから連絡があって、鳳橋君は嫌がらせ対策として使われてない第二視聴覚室をポイントで貸し切ったらしいの。私達も別の部屋を借りるのはどうかな?」
鳳橋の対策方法が記されていて、一之瀬はその手を使うことにした。大事なのはより良い環境を準備することだ。
「教室を貸し切る?そんなやり方があるのか?!」
「借りてる人以外を立ち入り禁止にするのは良いかもね。やっぱり鳳橋君って発想力が半端ないね」
「でもそんな発想力があるから一之瀬さんと綿密に協力すれば凄いのに……」
「にゃはは……それが理想的だけど、現実的には難しいかな」
一部がクラス皆が思う事を口にして、一之瀬が苦笑いを浮かべるが若干空気が重くなる。
Cクラスで「誰が1番リーダーに相応しいか?」を議論したら殆どが一之瀬を選ぶだろう。見た目良し、性格良し、成績良し、運動能力良し、更に協調性や積極性もあり入学当初からクラスをあらゆる場面で引っ張っているのだから。
しかしCクラスで「誰が1番強いか?」を議論したら鳳橋が選ばれるだろう。協調性は低いが一之瀬以上の成績と身体能力を持ち、高い洞察力に金が絡んだ際の行動力、容赦の無さ、自身の怪我も金儲けに利用する執念などを併せ持った強さは他と隔絶するほどの差を生み出している。
この2人が手を組めば絶対に強いだろうと大半が考えているが、正反対の2人が足並みを揃えて戦う可能性は殆ど0だ。寧ろ足並みを揃えようとしたら、一之瀬が鳳橋のやり方に反対し続けて足の引っ張り合いになりかねない。
よってどっちか1人がリーダーになるべきであるが……
「あんな人間性に問題ある人と協力する必要なんかないよ!クラスのリーダーは帆波ちゃん以外あり得ない!」
約1名は一之瀬以外をリーダーと認めないのは明白。メンバーの大半は喚く存在……白波に冷めた眼差しを向ける。お前が言うなと……
1名を除いてこの場にいる面々は鳳橋がリーダーに立候補した事に怖いなど多少の不満あるが、それでも実績を出してくれる期待はある。よって彼がリーダーになったら余程理不尽な命令でない限り従うつもりだ。
しかし白波の存在が不安の種である。クラス最弱候補の白波はクラス最強候補の鳳橋がリーダーになっても絶対に認めず悪口を止めない可能性は極めて高い。
そして余りにも酷い罵倒を繰り返したら鳳橋が白波を消して本当の恐怖政治を始めそうで、大半の生徒はそれを恐れている。
「千尋ちゃん!良い加減鳳橋君を悪く言うのはやめて!あり得るかどうかは今回の中間試験で決めるの!」
「っ!ほ、帆波ちゃんはアイツの味方になるの?!」
一之瀬に叱責された白波はビビりながらもそう返す。
「敵味方は関係ないよ。私は鳳橋君のやり方は間違っていると思ってるけど、実力は私よりも上だと思ってる。だから仮に勝負に負けたとしても潔く受け入れて彼のストッパーになるつもり」
もちろん勝つつもりであるが負けた際には受け入れる覚悟は出来ている。負けた場合、鳳橋が暴れ過ぎないようにストッパーになったり、無茶苦茶な作戦を行う際はクラスメイトのフォローをするつもりである。
「というか白波。そんなに鳳橋君がリーダーになるのが嫌なら成績を良くしろよ」
「だよな。一之瀬をリーダーにしたいならお前が1番頑張るべきだろ。1番成績が悪い白波が1番一之瀬のお荷物になってるぞ」
リーダー争いは次の中間試験の両グループの平均点の上下で判断するが、小テストだけで判断すると一之瀬グループと鳳橋グループに差は殆どない。
つまり少しの差で勝敗が決まる可能性が高いので、伸び代のある成績下位のメンバーがどれだけ伸ばせるかが重要である。
よって小テストで最下位の1人だった白波が1番頑張る必要があるというのは、紛れもない正論である。
「っ……男なんてガキみたいな癖に……」
しかし白波はガキ扱いしている男子から一之瀬のお荷物呼ばわりされた事が逆恨みとばかりに歯軋りをする。冗談じゃない、自分こそが彼女の隣で彼女を支えるべきなのだ……とばかりに威嚇行動をして、それがまた男子の怒りを高める。
「何だと?!大体小テスト55点ってなんだよ!その上、同じ55点の南方と違って運動能力も低いのに鳳橋に喧嘩を売るなんて本当の馬鹿じゃねぇの?!」
「確かに鳳橋の人間性は糞を下水で煮込むくらい最低レベルだけどよ、障害者を見下してるお前も大差ないからな!」
「お互いに人間性が最低レベルである以上、単純なポテンシャルがクラスの順位に繋がるけど、お前は間違いなく鳳橋以下だろうが!」
女尊男卑の発言に男子はキレて白波を罵倒する。しかも白波が嫌っている鳳橋を比較対象にして。
「っ!あんな屑以下なんてあり得ないっ!どうせ私達を見下して「良い加減にしなさい!」っ!」
白波がヤケになって反論しているタイミングで大声が響いたので、大声のした方を見ると、図書室の司書が額に青筋を浮かばせながら仁王立ちしている。
「さっきからギャーギャーと……図書室の常識を知らないの?他の人の邪魔になるから全員出ていきなさい」
『……すみませんでした』
大声を出さない。これはどの図書室にも当てはまるルールであり、一之瀬達は返す言葉を無くしながら頭を下げてから荷物の整理をする。
しかし空気が悪い。男子の大半は白波を睨みつけ、女子の大半も白波に馬鹿を見る眼差しを向けている。対する白波も意地を張って睨み返してくる。
「皆、これ以上迷惑をかけないようにしようね。それと千尋ちゃん、竹口君と松山君、墨田君は悪口を言い過ぎだからね!口喧嘩が起こるのは仕方ないかもしれないけど、相手の尊厳を踏み躙るような発言は絶対にしないように!それは相手だけじゃなくて自分自身の尊厳を傷つけるんだから!」
一之瀬が強い口調で言うと男子はバツの悪そうな表情で頷く。しかし白波は鳳橋に対する憎悪を高める。
(何で?!何で私が悪いように言われるの?!そもそも帆波ちゃんがリーダーになるべきなのに、アイツが身の程知らずにもリーダーに立候補したのが悪いのに!どうして帆波ちゃんはアイツを庇うの?!あんな生きてる価値のない男を!)
白波は内心にて鳳橋を物凄くこき下ろしながら一之瀬の後に続いて校舎に向かうのだった。
一之瀬が鳳橋に……されるのを白波が見るまで後……日。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで