守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
ピンポーン
午後7時55分、インターフォンが鳴るので玄関を開けると案の定、松下がいた。しかし制服ではなく私服に着替えている。若干胸元が見えるあたりハニトラ的作戦も考えているのかもしれない。まあ胸元どころか胸そのものを見慣れている俺からしたら大した武器にはならんけど。
「来たか。とりあえず上がれ」
「お邪魔します」
松下を部屋に入れてクッションの上に座らせる。
「何が飲みたい?アイスティー、リンゴジュース、牛乳、コーヒー、爽健美茶、すっぽんの生き血があるけど」
「……ちょっと待って。最後に1つとんでもないものが混じってなかった?」
「すっぽんの生き血か?飲むと昂って気分良くなれるぞ」
「いや、それ別の目的に使うでしょ」
「まあな」
真澄が飲むと物凄くエロくなるからな。アレを飲んだ真澄を見たら6回戦まで出来るだろう。
「まあ飲みたいものを選べ」
「じゃあリンゴジュースで」
「はいよ」
俺は素直にグラスにリンゴジュースを注ぎテーブルに持っていく。
「で?話ってのは?まあクラスを切って俺の下につく腹だろ?」
それ以外考えられない。コイツの瞳には中々の狡猾さが見えるからな。
「まあ近いね。少なくともクラスは切るけど。Dクラスを見限らないと私の学校生活はタイタニックだよ」
沈むって事だよな。
「そんなにDクラスは酷いのか?」
「酷いよ。赤点は7人もいるし、借金組は鳳橋君の悪口ばかりな上に非借金組にポイントをたかっていて、非借金組は平田君をこの上なく罵倒しているし、須藤君に至ってはクラスポイントの存在を知らされても真面目な態度を取らないし」
「……大半がクソいが非借金組は仕方ないんじゃないか?」
平田に恫喝され、幸村って男子は殴られたらしいしな。罵倒してもおかしくない。
「かもね……っと、私が要求したいのは今後Dクラスの情報をポイントで買って欲しいの」
なるほどな……下につくのではなく商売をしたいようだな。
「……良いだろう。なら試しに1つ仕事を頼むがそれが出来たら正式に商談契約を結んでやる」
「仕事?」
「期限は7月20日。それまでに櫛田桔梗の弱みを掴め」
「櫛田さん?あ、Dクラスにいる理由を知りたいの?」
「そうだ」
Dクラスのメンバーは救いようのない不良品だけではなく、何かしらの問題を持つ奴もいる。爽やかな雰囲気の裏に凶暴な本心を宿している平田のように。
そして櫛田にも何かしらの問題があるだろう。奴の普段の言動が素ならDクラスにいる筈がないからな。
そして奴の弱点を握ればDクラスの動きを制限出来る。平田が消えた今、Dクラスを纏め上げるのは十中八九櫛田だろう。
「小型カメラとボイレコは予備のを貸してやる。良い記録を取れたら最大で5万やる。どうだ?やるか?」
「やる」
即答、そう言うと思ったぜ。
「決まりだな。じゃあこれを使え」
俺は予備の小型カメラとボイスレコーダーを机の引き出しから取り出して松下に渡す。
「確かに預かったよ。そういえばそっちのクラスはどうなの?Cクラスに落ちて不満とかはないの?」
「若干あるな。加えて今日はBクラスに上がった奴等から嫌がらせを受けてるしストレスは結構溜まってると思う」
まあストレスを与えるように動いたのは俺だけどな。
「まあさして問題はない。今は負けていても最後に勝てば良い。その為に俺がリーダーになる」
「アレ?まだリーダーじゃないの?茶柱先生によれば入学初日にSシステムを知ったんだし、対抗馬がいるとは……もしかして一之瀬さん?」
「ああ。俺のやり方は認められないらしくてな」
「うーん。他所のクラスを過剰に攻撃する事とかを?」
松下は理解に苦しむといった表情を浮かべてからリンゴジュースを飲む。やっぱり一之瀬は甘過ぎるよ。
俺が自分のクラスメイトにキツい命令をすると危惧して対抗馬になる場合はまだしも、他所のクラスをを徹底的に潰す事を認められないのは微塵も理解出来ないな。
「大体そんな所だ。とりあえず明日から頼むぜ」
「わかった。任せて……じゃあ長居は危険だから帰るね。リンゴジュースご馳走様」
松下はコップを差し出して一礼して小型カメラとボイレコをポケットに入れてそのまま去って行く。さて、上手くやれるのだろうか。
櫛田は平田のように表向き善人である可能性が高い。そうなるとどっかで奴の本性を曝け出すスイッチを押す必要があるが、上手くやれるだろうか?
松下が任務を遂行できるか興味を抱きながら吉報を待つ事にするが……
『マジでウザい、ムカつく。死ねば良いのに』
『お高く止まりやがって、本っ当に最悪……』
『あんたの指紋、べっとりついたから冤罪じゃなくなるから』
「……って感じの情報が沢山手に入ったの。報酬なんだけど、これなら5万どころか10万貰えないかな」
翌日、早速松下は凄まじい情報を持ってきたのだ。クラスの勉強会を終えて寮の自販機でお茶を買っていると松下と会ったのだ。
で、櫛田がクラスメイトの堀北って女を物凄く罵倒している音声記録、その光景を見た綾小路って男子に無理矢理自身の胸を触らせて口止めする映像を持ってきた。
確かにこれは5万以上の価値はある。特に綾小路に無理矢理胸を触らせた映像、これは立派な犯罪記録だ。これを学校に届ければ櫛田を退学させる事は余裕だ。実際今の時代、痴漢冤罪を押し付ける事が問題視されてるしな。
「良いだろう。その代わりもう一つ仕事だ。11万やるから今から電気屋に行って1万ポイントでUSBメモリやSDカードを買えるだけ買ってデータをコピーして俺の携帯に送れ。明日以降自分の部屋、学校の机の引き出し、ビニールをかけて花壇の土の中などとあらゆる場所に保管して貰う」
証拠を1つだけしか残さないのは愚策だ。万が一、ボイレコとカメラにコーヒーでも溢したら武器を失うが、バックアップを残しておけば問題ない。
「わかった。じゃあ行ってくるね」
俺が金を送金すると松下は早足でケヤキモールに向かっていく。
今日はラッキーだ。グループメンバーの勉強も順調で櫛田の弱点もゲットしたしな。
それに今から軽井沢に勉強を教えるが報酬でエロい事を要求出来るし、そっから一気に開発していこう。
内心良い気分になりやがらも俺は自販機のある中庭を後にして寮のエントランスに向かうが、郵便受けの前で一之瀬と白波に遭遇する。白波はガンつけてくるが無視しよう。
「よう。少し前には今日の勉強会が終わったみたいだが調子はどうだ?」
「うん。助言に従って教室を借りたからBクラスからの干渉もないし順調かな。教えてくれてありがとね」
「気にするな。条件を可能な限り対等にしないと、どっかの運動音痴の55点が馬鹿みたいに喚きそうだしな」
「っ!っ!……!」
俺が白波を流し見しながらそう口にすると白波は歯軋りをして睨みつけてくる。
「鳳橋君!わざと煽るのはやめて!」
一之瀬は怒るが、この程度が煽りなわけないだろう。俺の煽りをそこらの煽りと一緒にしないで貰いたい。
「これは失礼。まあ何にせよ条件は対等にしてクラス全員がボーナスを得られるように頑張ろうぜ」
俺の言葉に一之瀬は目を見開く。ボーナスってのは85点以上取る必要がある。そんな高得点を全員に取らせる発言に驚いているのかもしれない。
「全員って……無理に決まってんじゃん。馬鹿じゃないの?」
白波が鼻で笑ってくるが……
「言われてみれば白波がいるしそうかもな。悪かった、じゃあな」
軽く一礼してエレベーターに向かう。それから数秒後に白波が俺の背中に醜い罵倒の嵐をぶつけてくる。
しかし奴は気づいてないだろうか?自身の好きな女の前で醜い罵倒をするのは自身の首を絞めるって事を。
一之瀬が同性愛に忌避感を持ってなくても、あんな醜い罵倒をする女を心から受け入れる筈がないだろうに。
俺は内心ほくそ笑みながらエレベーターに乗って、自分の部屋がある階に向かうのだった。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで