守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
時間になったので指定された応接室に入ると既に両親はいた。
「おう狂夜。顔はボロボロだが元気そうだな」
親父はニヤリと笑いながら手を挙げて迎えてくれる。
「まあボチボチだ。遠路はるばる悪かった」
「気にすんな。それより学校では上手くやってるか?」
「当然。既にあらゆる場所で布石を打っているしな」
今回の話し合いで金を毟り取れたら更なる飛躍が叶うだろう。
「それは良かったわ。じゃあ今日は狂夜が相手を攻めなさい。私達はフォローに徹するわ。相手の情報も沢山手に入ってるわ」
お袋は楽しそうに目を細めているが目には嗜虐の色が混じっている。どうやら相当いびり倒せるネタを持っているようだ。これは頼りになるな。
「わかった。それと2人に頼みたい事があるんだが……帰ったら一之瀬帆波って○×中学に通っていた生徒の詳しい情報を調べて教えて欲しい」
一之瀬はAクラスにいてもおかしくない生徒なのにBクラスにいる。これは明らかに裏があるのでそれを知りたい。俺もネットで独自で調べているが、わかったのは奴の所属していた中学と一之瀬が長期間欠席をしていた事だ。
長期間欠席した理由は明確になっておらず、犯罪だの事故だの拉致とか複数候補があってどれが正しいかわからない。これ以上の情報は現地に行かないと得れないだろうが、許可なく外部に行けない俺には無理だ。
よって俺が更なる情報を得るには外部にいる親に頼み、特殊な方法で教えて貰う必要がある。
「オッケー。情報は25の45の35に5だけパンに記しておくから」
なるほど。その日時にあそこに記すのか。忘れないようにしないとな。
「頼む……っと、来たか」
話しているとドアをノックされるので親父がどうぞと言えば星之宮が入ってくる。
「お待たせしました。向こう側も到着したのでご案内します。付いてきてください」
星之宮が背を向けて歩き出すので俺達もそれに続く。どうやらここは待合室で話し合いは別の場所で行うようだ。
暫く歩くと一際大きな扉があり、星之宮が扉を開けて中に入る。そこにはDクラスの担任の茶柱と生気のない表情の平田、平田に寄り添う男性と女性……十中八九平田の両親がいる。
俺達が入ると両親は一気に立ち上がって頭を下げてくる。
「この度は息子がご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!」
「申し訳ありませんでした!」
誠心誠意を込めて謝っているのはわかるが容赦はしない。
「は?しかも当の本人は謝罪無しかよ?クズだな」
俺は見下すように発言する。それにより平田本人の目に生気が宿り、星之宮がドン引きした表情を浮かべて、茶柱は冷たい眼差しを向ける。
そして俺の母親がヘラヘラ笑いながら肩を叩く。
「こら狂夜。弱ってる相手に鞭を打つのはやめなさい。彼、虐められっ子の友人の杉村君が自殺未遂になるほど苦しんだのを気にしてるの、そんな中で中学時代と同じように暴力で物事を解決しようとした結果、退学処分を受けたのよ。内心穏やかじゃないんだし、わかってやってあげなさい」
へぇ、そんな事があったのか。そりゃDクラスに落ちる訳だ。
「「っ!」」
「っ!黙れっ!」
お袋の言葉に平田の両親は目を見開き、平田は激昂する。そして自身の逆鱗を笑いながら踏みまくったお袋に詰め寄ろうとするがその前に親父が割って入り、平田の腕を掴む。
「人の妻に手を出すな」
「っが……!ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
腕からミシミシと音が鳴り、平田は苦悶の表情に変わる。
「やめてください!」
「お願いします!どうか!」
平田の両親は親父の腕から平田を解放しようとするが、親父の丸太のような腕はびくともしない。見るからに非力な平田の両親が止めようとしても、家庭用冷蔵庫や食器棚を1人で楽々運べる怪力の持ち主の親父を力でどうにか出来るとは思えない。
「そこまでにしてください!」
「これ以上の暴力は学校側から介入します」
ここで星之宮と茶柱が割って入る。すると親父は呆気なく平田を解放する。この時点で解放すれば咎められないだろう。元々先に暴力を振るおうとしたのは平田で、親父は止めに入っただけだし。
「さて、では話し合いを始めましょうか」
平田を激昂させたお袋は先程の騒動をまるで無かったように、星之宮と茶柱にそう言う。余りの切り替えの速さに2人は絶句している。
「今回の件についてですが、私は息子が金銭トラブルで平田洋介君から暴力を受けたとしか聞いておりませんが、詳しい事情についてお聞かせください」
「わかりました。ただし学校の機密事項も含まれていますので、こちらにサインをお願いします」
星之宮が俺と平田の両親に4枚の紙を渡す。多分契約書関係だろう。政府が力を入れている学校だし親父達も破らないと思う。
そして4人がサインを書いて星之宮に渡すと、星之宮がSシステムや俺がDクラスの生徒を退学させようと交わした契約を説明していく。
全てを聞いたお袋は考える素振りを見せて口を開ける。
「話はわかりました。では先生方に質問があるので、はいかいいえで答えてください」
「わかりました」
「では息子が交わした契約についてですが、例年のDクラスなら返済が可能ですか?」
「はい。借金をした生徒は全員2万ポイント以下で、利息も理不尽でないですし、例年のDクラスは5月時点で2万ポイント以上貰ってますので例年なら5月1日の時点で返済可能です」
そりゃそうだ。その辺りで文句を言われないように低金利にして期日も長くしたのだから。
「次、この契約は最終的に学校が正式に認めたものですか?」
「はい。ですが反対する教員も多く「誰が過程を言えと言いましたか?私は認めたかどうかを聞いているので、結論だけ言ってください」……失礼しました。認めました」
茶柱の言い訳を冷たい声で一瞬で黙らせる。それにより部屋の空気が重くなる。
「わかりました。では次に平田君のご両親に聞きたい事があります」
お袋の言葉に平田の両親は顔を青くして怯える。
「お宅の息子は中学時代に友人の自殺未遂を機に、クラスのトラブルに暴力を使って介入して、クラスを解体して再編成させる愚行を犯しましたが、その時に改善するように教育をなさらなかったのですか?」
お袋の容赦ない指摘に平田の両親は真っ青を通り越して真っ白になる。ここまで自身らの家族情報を知られているのに恐怖を感じているのだろう。
改めてウチの両親の情報網はぶっ飛んでいると認識してしまう。
「申し訳ありませんでした。当時の洋介は「無駄な言い訳は結構。教育をしたかどうかを聞いているのです」……していないです」
最早話し合いを通り越して弾劾になっているな。星之宮なんか冷や汗をダラダラかいて俺達に目を合わせようとしてないし。
「なるほど。だからご子息は反省せず学校が認めた契約、それもペナルティ以外は理不尽でない契約に納得いかないが為にウチの息子に理不尽な暴力を振るって、鼻の骨を折って歯を奪った……そういう事ですね?」
そう口にするお袋の声は優しいが、その優しさが恐ろしさを増している。
「なるほどなるほど。随分と斬新な息子ですね。実に素晴らしい逸材でしょう。是非ともこれからも暴力を振るって物事を解決してくださいな。保護者の方も良い指導をお願いします」
「っぷっ……うぅぅぅぅぅ!」
ここで平田の母親がお袋の優しい声音の嫌味に我慢を限界を超えたのか嘔吐してしまう。手で押さえるもポタポタとテーブルに垂れる。
「母さん……良い加減にしろ!母さんは関係ないだろ!」
平田は激昂するが両親は涼しい顔をして星之宮と茶柱を見る。
「少し体調が悪いみたいですね。一旦休憩を挟みませんか?」
平田をガン無視してそんな提案をする。それに伴い平田の怒りは増大するが、それでは両親の思う壺だ。
「……そうですね。では一旦休みましょうか?鳳橋さん達は先程使っていた応接室に戻っていただけませんか?」
星之宮も不味いと感じたのかドン引きしたまま退室を促すので俺達は平田の殺意を受けながら部屋を後にするのだった。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで