守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
須藤が乗り込んでから数日が経過したが、平穏な日々が続いている。勉強会では皆真面目に取り組んでいるし、俺がリーダーでも良いと考えてくれてる人も増えているので順調だ。
というかクラス最弱であり一之瀬を1番慕っている白波が自分の弱さを棚上げして俺を馬鹿にしたり、一之瀬に近寄る男子にキツイ態度を取っている。
結果、一之瀬の勉強会グループの男子メンバーも白波を疎ましく思い一之瀬から離れている。
白波は俺を嫌ってるが、そんな白波が一之瀬の勢力を弱めているとは皮肉だな。
そんな風に思いながら帰りのHRを迎える中、星之宮がプリントを持って教室に入ってくる。
「じゃあ帰りのHRを始めるよ。最初に連絡事項だけど、中間試験の範囲だけど全科目変更になったの。今から範囲を話すからしっかり聞いてね」
その言葉にクラスメイトは騒然とする。俺も声に出してはないが結構驚いた。授業の進行具合から範囲が多少変わる事は中学時代にも何回かあったが、全科目が一斉に変更ってのは学校側の意図的な行動だろう。
そう思う中、星之宮は範囲を説明していく。
(国語、社会、理科は今重視して勉強してる場所だから問題ないが、英語と数学はまだ余り勉強してない箇所だし、今日からは数学と英語を優先だな)
まあ習ってない範囲は含まれてないので赤点はないだろうが、俺が教える以上、目標の「グループメンバー全員が全科目で85点以上」を諦めるつもりはない。
「以上で範囲の説明を終えるよ。大変だけど頑張ってね」
星之宮はそう言って帰りのHRを終わらせると、白波が一之瀬に詰め寄る。
「どうしよう帆波ちゃん?!やってない範囲ばかりだよ!」
「大丈夫だよ。まだ2週間弱あるし、頑張ろうね」
どうやら一之瀬陣営にとってはやっていない範囲が多いようだ。しかし2週間もあれば一之瀬の言うように余裕で巻き返せる。
俺は俺で頑張らないといけない。
「んじゃ行くぞお前ら。今日から暫く数学と英語を重視する。場合によって神崎、小橋、津辺、米山も指導者に回って貰うぞ。他の連中は一歩ずつ伸ばしていけ」
俺の命令にグループメンバーは動揺を抑え込み教科書を鞄の中にしまって俺の後に続く。そして廊下を歩いているとあることに気づく。
(現Bクラスの教室から不満が聞こえるのにDクラスからは聞こえない?妙だな)
廊下を歩いていていると龍園の教室からはテスト変更に対する不平不満が聞こえるが、Dクラスはかなり静かだ。てっきり須藤達3馬鹿は騒いでいると思ったがいつも通りだ。軽井沢によれば3馬鹿は全員小テストで25点以下のカスと聞いている。普通テスト範囲変更となれば赤ゴリラは喚く筈……もしかして茶柱は話していないのか?
ありえない話ではない。あの女、俺の契約や話し合いについてペラペラ話すカスだからな。
(いや、待てよ。案外使えるかもしれない。ついでにそろそろ赤点回避のアイテムの確保もしとくべきだな)
本当はテスト1週間前に動くつもりだったが、良い機会だ。
「済まん、少し用事を思い出した。先に行ってこのプリントをやっといてくれ。制限時間は30分だが20分以内に戻ってくるから」
「わかった。何をするかは知らないがクラスの利益になる事を期待している」
「何だいきなり?」
「だって今の鳳橋君、獣のような眼差しをしていたし」
網倉の言葉にグループメンバー全員がうんうん頷く。ある意味信用されてるな。
「まあある意味クラスの利益にはなる。少なくとも損害にはならないから安心してくれ」
そう言ってから皆に背を向けて廊下を歩きながら携帯を操作して松下を校舎裏に来るようにメールする。
ひと足先に校舎裏に行き待機していると松下は直ぐにやって来る。
「お待たせ。呼び出すって事は頼みたい事でもあるの?」
「ああ。1つ、場合によっては2つあるな。じゃあ最初に確認するが、帰りのHRで茶柱からテスト範囲の変更を聞いたか?」
「え?聞いてないんだけど」
松下の表情には驚きの色がある。嘘はついてなさそうだな。
「事実だ。後で変わった範囲は教えとく」
「お願い。それにしてもDクラスの担任も不良品みたいだね」
だろうな。俺の契約についてはまだしも、テストの範囲変更を教えないのは論外だろう。
「かもな。それより話を戻すが2つ頼みたいことがある。金は渡すから……と……をやって欲しい」
俺は松下に2つの頼み事をする。
「まあ悪名高い鳳橋君には難しいか……オッケー。じゃあいつ頃にやれば良いかな?」
「前者は今週中に。後者は来週の中頃に頼む。必要ならボイスレコーダーと小型カメラをまた貸す」
「わかった。じゃあ今日の夜にはボイスレコーダーとカメラを取りに行くから宜しくね」
「頼む。じゃあ先に10万渡しとくが、報酬は仕事が終わった際の余りで良いか?」
要するに松下の戦力調査だ。報酬が多ければ有能と判断出来て、報酬が少ないと無能と判断出来る。
「わかった。頑張って7万以上残せるようにする」
「期待してる」
松下に会釈をしてから校舎裏から離れる。頼み事は終わったし、早いところ向かって今日の勉強会をしないといけない。リーダーの俺が遅刻したら示しがつかないからな。
そう思いながら視聴覚室に向かうと皆が集中してプリントを解いている。今俺がやらせているプリントは教科書や参考書を分析して、テストに出る形を予想して作ったものでそれなりに自信作であり、テスト勉強に役立つ自負がある。
しかし更なる一手を使えば更なる飛躍が可能だ。
(今から愉しみにしてな、一之瀬に白波)
俺のやり方を明白に否定する奴等には俺が直接相手をしよう。そこで明確な格の差をじっくり教えてやろうじゃないか。
俺は愉悦を感じながら皆がプリントを終えるのをじっくり待って、終わってから自分の欲望を表に出さないように注意しながらプリントの解説をするのだった。
数時間後……
pipipi……
勉強会を終えて自分の部屋でのんびりしていると頭の近くに置かれた携帯が鳴るのに気づく。携帯を見れば松下からのメールで『約束のものを2年分送るね。報酬は7万1500ポイントだけど貰うからね』って文章と一緒に昨年と一昨年の期末試験と小テストの写真がついてくる。
確認すると小テストの内容は俺が受けた物と全く同じであり、中間試験も昨年と一昨年で全く同じであった。
(やはり過去問が攻略法のようだな)
小テストの難易度、星之宮の言う攻略法、いきなりのテスト範囲変更に裏技があると思ったが当たりのようだ。攻略法さえ知ればDクラスでも赤点は回避できるだろう。
過去問を悪名高い俺が手に入れるには警戒心剥き出しにされそうだがDクラスの松下に頼んだのは正解だったな。
そう思いながら俺は身体をベッドから起こしてパソコンを起動する。今からやるのは試験前に行う予定の模擬試験の作成だ。と言っても過去問を少し変えただけのものだ。数学なら数字を変えるくらいの変化にする予定だ。
過去問の丸暗記はさせない。今年から急に違う問題を使う可能性もあるし、ちゃんとした解き方を覚えさせた方が今後の役に立つだろうから模擬試験を2、3回解かせる手段にする。
模擬試験は過去問を少し変えるだけだから楽に作れるし、模擬試験を解けたら本番でも解けるだろう。
何より試験前に2、3回、過去問を少しいじった模擬試験を作れば、それだけ俺の本気度が伝わる可能性が高い。これまでの俺の指導と白波のお荷物ぶりのおかげで味方が増えていたが、この模擬試験でグループメンバーからの信用を更に高めるつもりだ。
俺は自身の地位を確立する為、溜まっている疲れを強引に振り払いながら問題作成を進め、夕食前に何とか完成させた。
そして夕食を食べてからベッドに寝転がると睡魔が襲って来たので、逆らう事なくゆっくりと目を閉ざすのだった。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで