守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「……以上でテスト前の解説を終了する。明日は全員、これまで培ったものを全てぶつけろ」
テスト前日、2回目の模擬試験の解説を済ませた俺は皆にそう告げる。それに対して皆、大小差はあれど疲れを見せているが全員笑みを浮かべている。
「今日までよく付いてきた。テストの結果が帰ってきたら全員を『焼肉ハッスル』に連れてってやる。そしてもしもお前ら全員が全科目85点以上なら、『焼肉ハッスル』じゃなくてケヤキモール最上級の焼肉屋『肉帝』で奢ってやるから楽しみにしてろ」
『おおっ!』
俺の言葉に男子を中心に歓声が上がる。『焼肉ハッスル』の相場は1人あたり3〜4000ポイントだが、『肉帝』の相場は1万5千ポイントで人によっては2万ポイントかかる。
そして十中八九『肉帝』行きになるだろう。昨日行った2回目の中間試験と瓜二つの模擬試験では5科目全て85点以上が19人中17人、残りの2人も1科目で1、2点足りなかっただけだ。
そんな結果の中で、今日は2回目の解説をしたのだ。全員85点以上取れると思う。つうか取れ。
よって『肉帝』で19人に奢るとなれば30万以上はかかるだろうが、働いた兵隊に褒美を取らすのはリーダーとして当然の事だから妥協はしない。
人によっては金使いが荒いと思うかもしれないが、金は使うべきじゃない時には絶対に使わずに、使うべき時には躊躇いなく使うのが鉄則だ。
そしてリーダーとして信用を見せる為にテスト後に労う為に使うのは正しい。
それに俺個人の資産は減るが、クラス全体のプライベートポイント量は変わらないだろう。
『肉帝』で奢る条件は全員が5科目全科目で85点以上取ることだ。そしてテストのボーナスは85点以上で5千、90点以上で1万、100点で2万ポイントだ。
つまり『肉帝』に行く為の最低条件である5科目85点を俺を含めグループ全員が取った場合……
5000(ボーナス)×5(科目数)×20(人数)=50万
となる。で、『肉帝』で1人前食べると1万5千くらいで20人分で30万くらいだから余裕で補える。
しかもこれはあくまで『肉帝』に行く際の最低条件を達成した際の条件であり、中には90点以上取れるであろう生徒もいるし、一之瀬のグループからもボーナスを得れる生徒が出るだろうからクラス全体のポイント保有量が減る可能性はないと言っても過言じゃない。
何にせよ序盤から大量の資金を得られるチャンスはゲット出来るし、実に幸先がいいだろう。
「だから頑張れよ。それと今日はもう勉強しないでゆっくり休め。お前らは既に目標を達成出来るポテンシャルを持ってるから、最後にゆっくり休んで万全の状態で試験に挑め」
よく受験前は寝る間を惜しんで勉強する奴は多い。もちろん受験では1点が勝敗を決める事もあるので勉強時間を増やしたい気持ちはわかる。
しかし試験前日については本番に備えてコンディションを整える事は絶対だし、俺としてはグループメンバーにこの後の時間については勉強を求めず、美味い飯を食べて温かい風呂に入ってベッドでグッスリ休むことを求めている。
俺は解散を告げてから戸締りや忘れ物のチェックをしてから1番最後に部屋を出てそのまま職員室に向かう。
歩いている最中に一之瀬が借りている部屋をドアの窓から見れば皆が机に向かっている。向こうも最後の仕上げに取り掛かっているのだろう。
気配を殺して中を見れば一之瀬ら成績優秀者が下位の生徒を見ている。その事から俺1人が指導していた学校制度とは真逆のマンツーマン制度でやっているようだ。
それを否定するつもりはない。俺も状況次第で成績下位の生徒にマンツーマンで教えていたからな。
しかしどうにも集中力が低いな。一之瀬は俺と違って明確なノルマを提示してないのか空気が温く感じる。赤点は絶対大丈夫で、毎日勉強してるからどうにかなると思っているのかもしれない。
まあそれならそれで構わない。ライバルが温いならこっちとしてはありがたいからな。
俺は偵察をやめて職員室に向かい学校側に鍵を返してから廊下を歩く。そして図書館の近くを歩いていると騒ぎ声が聞こえてくる。
「いやー、マジで櫛田ちゃんには感謝だな。これなら赤点は回避だぜ!」
「だな。しかし過去問を手に入れるなんてやっぱ凄えよ」
「絶対にボーナスをゲットだ!」
……どうやらDクラスも過去問を手に入れたようだ。それを考えると赤点を取る奴はいないだろう。簡単な問題を暗記すれば馬鹿でも40点以上は取れるし。
しかもボーナスの話も出ているが、Cクラスから漏れたか?
(まあ退学者が出ないならそれで構わない。Dクラスの奴らがボーナスを得るなら俺が直接毟り取るだけだ)
Dクラスについては情報を集めているが『優秀であるが何らかの欠点を持つ人間』『一点だけ見れば強みはあるがあまり優秀でない人間』『救いようのない無能な人間』の3つに分かれている。よって救いようのない無能をターゲットにすれば良いだけだ。
(まあ須藤あたりは寝落ちする可能性もあるし、そうなったら笑い倒してやろう)
俺は明日を楽しみにしながら足を早めて夜の学校から寮に向かって歩くのだった。
翌日……
遂に中間試験の日を迎えた。クラスにも緊張が走っている。幾ら勉強したとはいえ赤点=退学というペナルティは重いからな。それにテスト中に急な体調不良もあり得るし油断は出来ない。
そしてチャイムが鳴ると三十路宮が封筒を持って入ってくる。
「おはよう皆。今日はいよいよ中間試験だけど、これまでの積み重ねをしっかり活かして頑張るように。それと最後の確認だけど鳳橋君と一之瀬さんのグループの総合点の平均点を比べて、高いグループの代表が今後クラスのリーダーになるけど、2人は異論はないね?」
「はい」
「ねぇよ」
一之瀬と俺が即答する。
「オッケー。じゃあテストを配るけどカンニングは当然1発退場、トイレに行きたかったり体調不良の場合は手を挙げてね。それと試験を乗り越えたら楽しい楽しいバカンスがあるから楽しみにね」
バカンスだと?絶対に裏があるだろ。
「おい三十路宮」
「三十路宮?!合体するのやめてくれない?!」
「じゃあ三十路」
「星之宮!本気でぶっ飛ばすよ!」
「返り討ちにしてやるよ。まあそれはさておき、そのバカンスはクラスポイントがどのくらい絡むんだ?絡む場合、クラスポイントを重視しても楽しめるのか?」
俺の質問に三十路はビクッとして目元を引き攣らせる。ビンゴだ。少なくともクラスポイントが関係してるのは間違いない。
「ごめんね。まだ詳しい事は話せないんだ」
「ちっ、使えないな……四十路が」
「あぁんっ?!誰が四十路だぁ?!」
星之宮の態度が崩れた。完全にチンピラの態度だ。
「お前だお前だ。聞きたい事はわかったからさっさとテスト用紙を『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』なっ!なんだ?」
いきなり背後から爆音が聞こえてくるので思わず振り返ってしまう。方角的にBクラスかDクラスのどちらかだろうが、何があったんだ?
「……鳳橋君とは後でみっちり話すとして、時間が近づいてるからテストを配るよ。筆記用具以外はしまって」
雄叫びに星之宮も冷静になったようでそう命じる。俺達は筆記用具以外全て鞄に入れる。
そして配られた問題用紙と答案用紙を裏返しにして待機して……
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴ると同時に一斉にひっくり返して解き始める。
オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?
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アリだ。雌犬にしてやれ
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アリだけど程々に
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無しで