※この作品はR-18です。

守銭奴、実力至上主義の学校に入るってよ   作:トラファルガー

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第30話

 

テスト結果発表日、Dクラスの教室の雰囲気にはただならぬものがあった。赤点が出るか出ないか皆が緊張しているからだ。

 

「先生、今日は中間テストの結果発表日と聞いています。いつですか?」

 

「お前はそこまで気を張る必要はないだろう、櫛田」

 

「クラスメイトが居なくなるかもしれないので、それでいつですか」

 

「喜べ、たった今発表する。放課後じゃ、色々手続きが間に合わない事もあるからな」

 

手続きという言葉に、教室内の雰囲気が強張る。

 

「……どういう意味ですか」

 

「慌てるな。今点数を発表する」

 

Dクラス担任の茶柱はそう言って大きな白い紙を五枚、ホワイトボードに張り出した。

 

英、国、数、理、社。それぞれの教科の一人一人の点数が表示されている。

 

「正直に言って感心した。お前らがここまでの高得点を取るなんてな。それとボーナスについてだが、これは来月1日に渡す」

 

高得点がずらりと並ぶ中、茶柱がそう告げる。ボーナスについてはCクラスの生徒が話しているのを偶然聞いていたDクラスの生徒がいて、茶柱に交渉した結果、Cクラスと同じ条件で認可された。

 

各教科を見れば85点以上の者は10人以上いて、一部の生徒たちは歓喜の声をあげる。中でも退学が迫っている借金組の喜びは半端ない。

 

しかし暗い気持ちの生徒もいる。いまだに借金を返していない15人中の須藤、池、山内、篠原、佐藤、本堂、外村、宮本、森の9人はどの科目でも80点以下であったので85点以上に貰えるボーナスを全く貰えないことを意味する。

 

誰かに立て替えて貰うのがベストだが、5月に入ってから須藤や池や山内や篠原を中心とした借金組が非借金組にポイントを立て替えろと要求した為、非借金組と借金組の中には険悪な空気が流れている。

 

ちなみに恵と松下も直ぐに返済した事から借金組から嫉妬の眼差しを向けられるようになったが2人は特に気にしてなかった。恵に至っては今日初夜を迎えるので、狂夜の所有物としてどうやって狂夜に喜んで貰うかを考えていた。

 

また非借金組も借金組の横柄な態度を我慢出来ず、普段から退学を求めている為、須藤達が落ち込んでいるのを見て嘲笑を浮かべ、非借金組にポイントを渡さないと硬く誓っていた。

 

そんな時だった。

 

「喜んでいるところ悪いが凶報が1つある。須藤、お前は赤点だ。放課後に職員室に来い」

 

茶柱は須藤の名前の上に名前を書く。

 

「は?!嘘つくんじゃねぇよ!赤点は31点だって言ってたじゃねぇか!」

 

須藤が激昂する中、茶柱は冷静だ。

 

「それは小テストの話だ。赤点の基準はテストごとに変わる。その算出方法を教えてやろう」

 

すると、茶柱先生は黒板に何やら書き始める。

 

82.2÷2=41.1

 

「赤点ラインは平均点を2で割った値だ。小数点以下は四捨五入する。今回のDクラスの英語の平均点は82.2で英語の赤点は41点未満で、須藤の英語については39点だから2点足りない。ボーナスによってやる気の出た生徒が多かったようだな」

 

茶柱の言葉は事実だ。クラスで中堅以上はボーナスを得るべく必死になって勉強をして過去問を暗記した。結果としてどの科目も平均点は80点台となった。

 

「ふざけんじゃねぇよ!な、何で俺がこんな……こんな目に遭わねえといけないんだよ!鳳橋の所為で怪我をさせられて、部活も奪われたってのに!」

 

須藤が怒りを露わにするが、非借金組は内心喜んでいた。4月は大半の生徒が自由気ままに過ごしていた。

 

そして5月になって地獄を見てからは皆授業態度を改めたが、須藤だけは少し前まで「ポイントが増えないなら変わる意味ない」と改めなかった為にヘイトが凄まじい。

 

よって大半の生徒がざまぁ!と思っている中、ドアが開かれる。

 

現れたのは……

 

「なるほど。やっぱり赤点を取る馬鹿がいたとはな……ハッ」

 

「クハハッ!マジでクズだな!平田に続いて退学第二号おめでとさん!」

 

鼻と口の周りに治療の痕跡があるイケメン…Cクラスリーダーの鳳橋狂夜と、ワイルドな雰囲気を醸し出すロン毛……Bクラスリーダーの龍園翔だった。

 

2人は須藤と黒板に貼られた紙を交互に見て嘲笑を浮かべる。それにより須藤の怒りが爆発する。

 

「鳳橋ぃっ!ふざけんなよぉ!お前の所為で!お前の所為で俺の人生がメチャクチャじゃねぇか!」

 

「は?何言ってんだ負け犬。テメェが安易に暴力に走って自爆しただけだろうが」

 

「しかも赤点については鳳橋関係ねぇし。寧ろ部活が出来なくなったんだし勉強に集中出来る筈じゃねぇの?」

 

「全くだ。しかも過去問ってチートアイテムをDクラスは使ったのに赤点とか馬鹿過ぎだろ?」

 

「クハッ!過去問使ったのに赤点だぁ?!しかも見ろよ鳳橋!過去問があるのに60点台の馬鹿がいるじゃねぇか!俺のクラスは最低でも70点台だぜ!」

 

龍園が笑いながら黒板を指差す。言われてみれば俺に借金をした面々の大半は70点以下だ。過去問があったのにこれとは情けない。

 

ちなみに松下は全科目90点台とちゃっかり5万ポイント稼いでいるし、恵も俺の指導に加えて過去問の暗記を頑張ったのか、2科目が85点以上だった。

 

というか龍園も過去問の存在に気づいたようだな。

 

龍園の嘲笑の混じった言葉にDクラスの馬鹿どもには怒りの色が生まれてくる。

 

「まあそう言うな龍園。そいつらは今まで勉強のやり方を知らなかったのかもしれないだろ。それなら仕方ない。まあ39点は論外だがな」

 

「だよな。過去問を使って39点って頭に障害があるかもしれないな!」

 

龍園の煽りに須藤は真っ赤になって握り拳を振るおうとする。そんな中、俺は笑いながら口を開ける。

 

「まあ怒るな。詫びと言っちゃなんだが、退学を回避する方法教えてやるよ」

 

俺の言葉にDクラスに騒めきが生まれる。まさか対処法があると思わなかったのだろう。

 

「えっ?そんな方法があるの?だったら教えてくれないかな?」

 

櫛田が話しかけてくるが、内心では須藤が消えて欲しいと思ってるだろう。それでも質問するって事はクラスメイトに良い目で見られたいという欲求が原因だと思う。

 

まあ教えてやろう。

 

「簡単な話だ。この学校ではプライベートポイントで何でも買えるから須藤に対する点数を売ってもらえる」

 

俺の言葉に騒めきが生まれる。実際に星之宮に確認したので間違いない。

 

「それ、本当?それなら幾らなのかな?」

 

「この前星之宮に聞いたら1点10万ポイントだな。つまり須藤を助けたいなら20万ポイント必要になる。まあ死金になるだろうけどな」

 

高いかもしれないが当然だ。1点が1000ポイントとかなら容易に点数を増やせて勉強に対する意欲を失うからな。

 

「にっ……茶柱先生。それは本当ですか?」

 

「本当だ。これは学校でも決められている」

 

その言葉に龍園の目が細まる。それだけで何を考えたのかわかった。大方学校が定めたポイントの価値を少しずつ調べていくべきと考えているに違いない。

 

俺だって同じことを考えているからな。

 

「皆、須藤君を助ける為に少しずつポイントを出してくれないかな?」

 

櫛田はそんな風に頼むが……

 

「櫛田ちゃんには悪いけど嫌だ」

 

「俺も嫌だ」

 

「何で過去問があるのに赤点取る馬鹿に大金を払わないといけないの?」

 

「いい気味じゃん、このまま消えてくれない?」

 

「というか小テストで14点しか取れなかったのに、過去問の暗記を怠る馬鹿に払うなんて死金じゃん」

 

凄い人気ぶりだ。須藤本人は自分がここまで嫌われていたのを自覚してなかったようで呆然としている。

 

まさか嫌われている自覚がなかったのか?そんな能天気な頭を持っていて羨ましいな(笑)

 

「人気者のようだな。それなら俺が出すのも吝かじゃないが……」

 

言いながら俺は櫛田をチラッと見る。それを見た櫛田は何かを察したようで一瞬だけ歯軋りするが、直ぐに真剣な表情になる。

 

「何を要求するのかな?出来れば退学なんて重いペナルティはやめてほしいな」

 

「まさか。いつでも消せる奴に退学なんてペナルティを与えるわけないだろ……そうだな、今回の中間の成績上位5人以外の34人に対して今年度学校から支払われるプライベートポイントの内、毎月3割くれる条件なら20万くれてやるぞ」

 

俺の要求に騒めきが生じる。怒りの色もあるが戸惑いの色もある。ちなみに成績上位5人を免除したのは5人の中にかなりの自由人であると噂が強い高円寺六助がいるからだ。奴を含めたら、取引が成立しないだろう。

 

「な、何だよそれー!お前ポイント沢山持ってんだし恵んでくれたって良いだろー」

 

山内が文句を言って龍園が口元に笑みを浮かべる。どうやら完全にロックオンされたな。

 

「山内君ちょっと落ち着いて。でも鳳橋君、クラスポイントが0なら渡せないし、仮に1年間クラスポイントが0ならメリットがないよ」

 

「ああ。わかってる」

 

クラスポイントについてはハナから期待していない。重要なのは夏休みに行われるであろう特別な試験だ。特別な試験でプライベートポイントが報酬として出るかもしれないし、布石を打っておく。

 

「何を企んでるのかしら?既に600万も稼いでいる貴方がそんなDクラスに有利な条件を提示するとは思えないわ」

 

ここで黒髪女子が割って入ってくるが……

 

「おいおい。下っ端が口を挟むなよ。今話してるのはCクラスとDクラスの代表だぜ」

 

龍園が鼻で笑いながらそう返す。

 

「ご尤もだな。俺は櫛田を代表として話している。お前のことを知らない以上下っ端であるのは明白だが、代表同士の話し合いに口を挟むな」

 

俺の言葉に女子は悔しそうに歯軋りするが、それを無視して櫛田に向き合うと一瞬だけ笑みを浮かべていた。

 

色々気になるがとりあえず後回しだ。

 

「嫌なら無理強いはしない。ただ要求を受けなきゃ須藤は退学が確実、クラスポイントは実質的にマイナス200ポイントだぞ」

 

「っ……それは平田君の退学も含めて?」

 

「そうだ。平田が退学した後に聞いたが、平田の退学によりDクラスのクラスポイントは表向き0ポイントだが実質マイナス100ポイントになっているらしい。で、そのポイントは100クラスポイント稼がないと消えないから、今回の中間で100ポイント稼いでも0になるだけだ」

 

条件を受け入れたら今年度俺にプライベートポイントを取られ、拒否したら須藤は退学になるが更にクラスポイントを落とす。どっちも地獄だろう。

 

「……少し時間をくれないかな?茶柱先生、須藤君は放課後に職員室に来るように言われたけど保護者に連絡するまでどのくらいの猶予がありますか?」

 

「須藤の実家はこの学校から近いし、昼休み終了までなら間に合うぞ」

 

「ありがとうございます。じゃあそれまで待って貰って良いかな?」

 

「構わない。どっちにしてもお前らは地獄を見るけどな」

 

「まあ悪いのは須藤だけだどな!」

 

龍園が鼻で笑いながら須藤を指差す。須藤は怒りの余り震え出すが、自分の立場を理解しているようで動きはしない。

 

と、ここで予鈴が鳴る。一旦ここまでだな。

 

「行くぞ龍園。じゃあ昼休み終了15分前に返事を聞かせてもらう」

 

そう告げてから俺は龍園とDクラスを後にするのだった。




ストックが切れたんで、次回は遅れます

オリ主と真逆の考え方を持つ一之瀬、徹底的に貶めてから逆らえない奴隷にするのはアリか?

  • アリだ。雌犬にしてやれ
  • アリだけど程々に
  • 無しで
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